JPWO2019116685A1 - シートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法 - Google Patents

シートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明に係るシートパッド(2)は、発泡体(240)と、前記発泡体(240)の内部に配置された袋体(230)とを有する、袋内蔵パッド部(250)を備える。

Description

本発明は、シートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法、に関する。
従来、車両の走行中において車両用シートの着座者が感じる振動の特性を変化させる手法として、シートパッドのクッションパッドの裏側に設けられたパンフレームの通気窓の開口部面積を変化させ、これによりクッションパッドの通気性を変化させるものがある(特許文献1参照)。この手法によれば、通気性を上げることにより振動伝達率(共振倍率)を上げることができ、通気性を下げることにより振動伝達率を下げることができる。
特開2001−211956号公報
しかしながら、特許文献1の手法では、クッションパッドをゆっくり圧縮させたときの特性を表す圧縮たわみ曲線(以下、「静的波形」ともいう。)を変えることができず、ひいては、着座者が着座する際に感じる着座感を変えることができなかった。
本発明は、車両用シートを構成するシートパッドの振動伝達率と着座感との両方を変化させることが可能な、シートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法を、提供することを目的とする。
本発明のシートパッドは、
発泡体と、前記発泡体の内部に配置された袋体とを有する、袋内蔵パッド部を備えている。
本発明の車両用シートは、
上記シートパッドと、
前記袋体の内部に流体を供給できるように前記袋体と接続されたポンプとを、備えている。
本発明の車両用シートの制御方法は、
上記の車両用シートにおける、車両用シートの制御方法であって、
前記制御部が、外部からの信号に応じて前記ポンプを制御する。
本発明のシートパッドの製造方法は、
上記シートパッドを製造するためのシートパッドの製造方法であって、
前記袋内蔵パッド部は、
金型に設けられた保持部に、前記袋体に設けられた被保持部を保持させて、前記金型に前記袋体を位置決めし取り付ける袋体取付工程と、
前記袋体を取り付けた前記金型に、発泡性材料を注入する注入工程と、
前記金型の前記発泡性材料を発泡させる発泡工程と、
を経て製造され、
前記袋体取付工程における前記袋体は、前記袋体の体積が一定以上に増加しないように拘束されている。
本発明によれば、車両用シートを構成するシートパッドの振動伝達率と着座感との両方を変化させることが可能な、シートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法を、提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用シートを示す、斜視図である。 図1の車両用シートを示す、図1のA−A線に沿う縦断面図である。 図2のシートパッドの一部を示す斜視図である。 図4は、図3の袋体を示す斜視図であり、図4(a)は、袋体が潰れた状態にあるときの様子を示しており、図4(b)は、袋体が膨張した状態にあるときの様子を示している。 本発明の一実施形態に係る車両用シートの動作を説明するための図である。 本発明の一実施形態の第1変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第2変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 図9(a)〜図9(g)は、それぞれ、本発明の一実施形態の第4変形例〜第10変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の車両用シートの実施例1の実験結果として得られた動的波形を示す図である。 本発明の車両用シートの実施例1の実験結果として得られた静的波形を示す図である。 本発明の車両用シートの比較例1、2の実験結果として得られた静的波形を示す図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートを示す、斜視図である。 図13の車両用シートを示す、図13のA−A線に沿う縦断面図である。 本発明の一実施形態に係るシートパッドの一部を示す斜視図である。 図15の袋体が膨張していない状態にあるときの様子を示す斜視図である。 図15の袋体が膨張した状態にあるときの様子を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートの動作(その1)を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートの動作(その2)を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートの動作(その3)を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るシートパッドの製造方法に用いられる金型の概略構造を示す説明図である。 図18の上型に袋体が取り付けられた状態を示す説明図である。 本発明の一実施形態の第1変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第2変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第4変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第5変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第6変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第7変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第8変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第9変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明の一実施形態の第10変形例に係る車両用シートを説明するための図である。 本発明のシートパッドの実施例2の実験結果として得られた動的波形を示す図である。
本発明のシートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法は、任意の種類の車両に利用できるが、特に、快適性への要求が高い乗用車や、大きな振動が発生するトラック、バス、建設車両等の大型車に、好適に利用できる。
<第1実施形態>
以下、本発明に係るシートパッド、車両用シート、及び、車両用シートの制御方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
本実施形態の各例(図1〜図9)に係る車両用シートは、いずれも本発明に係る車両用シートに相当する。本実施形態の各例(図1〜図9)に示すシートパッドは、本発明に係るシートパッドに相当する。本実施形態の第1変形例(図6)に係る車両用シートの制御方法は、本発明の車両用シートの制御方法に相当する。
図1は、本実施形態の車両用シート1を示している。図2は、図1の車両用シート1のA−A線に沿う縦断面図である。本実施形態の車両用シート1は、シートパッド2と、シートパッド2の表側(着座者側)を覆うカバー部材13と、シートパッド2の裏側においてシートパッド2を下から支持するパンフレーム6と、ポンプ270と、第1弁Vと、を備えている。本例のシートパッド2は、着座者が着座するためのクッションパッド2aと、着座者の背中を支持するためのバックパッド2bと、を備えている。
カバー部材13は、例えば、通気性のよい材料(布等)から構成される。
便宜のため、図1では、カバー部材13を実線で示し、シートパッド2を破線で示しているが、図2では、カバー部材13を破線で示し、シートパッド2を実線で示している。
本明細書では、各図面に表記するとおり、車両用シート1に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
以下では、シートパッド2のうち、バックパッド2bではなくクッションパッド2aについて説明する。そのため、クッションパッド2aのことを、単に「シートパッド2」ということがある。
シートパッド2のクッションパッド2aは、着座者の臀部及び大腿部が載るように構成されたメインパッド部21と、メインパッド部21の左右両側に位置する一対のサイドパッド部22と、を有している。メインパッド部21は、着座者の臀部が載るように構成された尻下部21hと、尻下部21hに対し前方に位置し、着座者の大腿部が載るように構成された、腿下部21tと、を有している。
図1のA−A線は、尻下部21hを通っている。
図2の例では、メインパッド部21とサイドパッド部22とが、別体に構成されている。
ただし、メインパッド部21とサイドパッド部22は、一部または全部において、一体に構成(一体成形)されていてもよい。
図3は、図2のシートパッド2のうち、メインパッド部21のみを示しているとともに、車両用シート1に備えられるポンプ270及び第1弁Vも併せて示している。図2及び図3の例において、シートパッド2は、メインパッド部21の構成要素として、袋内蔵パッド部250を備えている。袋内蔵パッド部250は、発泡体からなる外側発泡体240(発泡体)と、外側発泡体240の内部に配置された袋体230とを、有している。
シートパッド2のうち、袋内蔵パッド部250以外の部分を構成する材料は、発泡体が好ましく、弾性樹脂発泡体がより好ましく、ポリウレタンフォームが特に好ましい。
外側発泡体240を構成する発泡体の材料としても、弾性樹脂発泡体が好ましく、ポリウレタンフォームが特に好ましい。外側発泡体240を構成する発泡体の材料は、シートパッド2のうち、袋内蔵パッド部250以外の部分を構成する材料と、同じでもよいし、異なっていてもよい。
袋体230は、非伸縮性の材料で構成されている。本明細書において、「非伸縮性の材料」とは、伸縮性を全く有しない材料に限られず、伸縮性が小さい材料も含む。
具体的に、袋体230を構成する「非伸縮性の材料」は、JIS K7161に準拠して測定される10N時の伸びが、8%以下、特には6%以下であるとよい。
ここで、「JIS K7161に準拠して測定される10N時の伸び」とは、以下に述べる試験片の寸法および試験条件を除いてはJIS K7161に準拠して、伸び計を用いて試験片に10Nの引張力を作用させた場合における、標線間距離の増加量を標線間距離で除して100を乗じることで得られる伸び(引張ひずみ)(%)を指す。ここで、伸び計としては、島津製作所社製のオートグラフAGS-1kNを用いる。試験片は、80mm(引張方向の長さ)×40mm×0.26mm(厚み)の矩形板形状とする。試験条件については、引張力を作用させる前の標線間距離を50mmとし、引張速度を10mm/minとし、チャックした状態でストローク及び荷重リセットを実施して試験を開始するものとする。
また、袋体230を構成する材料は、可撓性があり、かつ、通気性を有しないことが、好適である。
袋体230を構成する非伸縮性の材料としては、例えばゴム材料、合成樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートが好適である。
図4は、図2及び図3の例の袋体230のみを示している。袋体230は、上記のように非伸縮性の材料から構成されているため、袋体230の内表面及び外表面の面積は、袋体230が収縮状態(図4(a))又は膨張状態(図4(b))のいずれにあるかに関わらず、常にほぼ一定となる。すなわち、袋体230の内部に流体が入っていない状態(図4(a))から、袋体230の内部に流体を供給すると、袋体230は、袋体230の内部体積が所定の最大内部体積VMAXになるまでは膨張し続けるものの、当該最大内部体積VMAXに到達した後は、袋体230の内圧が上昇するだけで、袋体230はそれ以上ほとんど膨張せず、袋体230の形状及び大きさがほぼ又は完全に維持される(図4(b))。
本実施形態では、袋体230の内部に供給される流体として、空気を用いるが、水、塩水など、非圧縮性流体としての液体を用いることが好ましく、ラジエータ用の冷却液、エチレングリコール、シリコンオイルなど、各種の不凍液からなる液体を用いることが特に好ましい。
図2及び図3に示すように、ポンプ270は、袋体230の内部に流体を供給できるように袋体230と接続されている。これにより、袋体230の内部に流体を簡単に供給できる。本例において、ポンプ270の排出口(図示せず)は、袋体230の開口232と、配管160を介して接続されており、これにより、ポンプ270が、配管160及び開口232を介して、袋体230の内部に流体を供給できるようにされている。ポンプ270の吸込口(図示せず)は、例えば、シートパッド2の外部に配置される。
なお、図2及び図3の例では、袋体230の開口232が袋体230の底面に配置されているが、袋体230の開口232は、袋体230の側面あるいは上面に配置されてもよい。
本例において、ポンプ270は、手動式である。ただし、ポンプ270は、後述の制御部15によって制御されるものでもよい。
なお、ポンプ270が設けられることにより、袋体230の内部に流体を簡単に供給できるのでよい。ただし、ポンプ270は無くてもよい。
図2及び図3の例において、袋体230の開口232とポンプ270との間の配管160には、第1弁Vが設けられている。本例において、第1弁Vは、ポンプ270から袋体230に向かう流体の通過のみを許容するように構成された、逆止弁から構成されている。これにより、ポンプ270から袋体230へ流体が供給される間は、第1弁Vが開放状態となるが、ポンプ270が停止されると、第1弁Vが開放状態から閉鎖状態に切り換わることによって、袋体230から流体が出るのを阻止でき、ひいては、袋体230の膨張状態を維持できる。
本例において、逆止弁からなる第1弁Vは、ポンプ270から袋体230に向かう流体の通過のみを許容するという逆止機能の作動及び解除が、切換可能に構成されたものでもよい。その場合、第1弁Vの逆止機能の切換は、手動で操作されるものでもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されるものでもよい。逆止機能の作動及び解除を切換可能とすることにより、例えば、着座者が着座した際、あるいは、車体のエンジンが起動した際に、逆止機能を作動させ、エンジンが停止した際に、逆止機能を解除させて第1弁Vを開放状態とする、といったことが可能となる。
第1弁Vは、逆止弁の代わりに、流路の開閉が可能に構成された開閉弁によって構成されてもよい。その場合、第1弁Vの開閉は、ポンプ270の動作と連動するようにリンク機構等を介して機械的に切り換えられるか、あるいは、後述の制御部15によってポンプ270の動作と連動して切り換えられるようにされると、好適である。すなわち、ポンプ270から袋体230へ流体が供給される間は、第1弁Vは開放状態とされて、ポンプ270が停止されるときに、第1弁Vは開放状態から閉鎖状態に切り換えられるとよい。
ただし、第1弁Vとしては、本例のように逆止弁からなる場合のほうが、操作や制御を要しないのでよい。
このように、本例では、車両用シート1が第1弁Vを備えているので、いったん袋体230に流体が供給された後は、上述のように第1弁Vが開放状態から閉鎖状態に切り換わるようにすることによって、袋体230から流体が出るのを阻止でき、ひいては、ポンプ270をそれ以上作動させなくても、袋体230の膨張状態を維持できる。
ただし、車両用シート1は、第1弁Vを有していなくてもよい。
袋体230の内部に供給された流体を排出させて袋体230を収縮させる手法としては、任意のものを用いてよい。
例えば、図示は省略するが、袋体230の開口232と第1弁Vとの間の配管160に、袋体230の開口232と第1弁Vとを連通させる供給状態と、袋体230の開口232と流体排出口(例えば大気開放口)とを連通させる排出状態とを、切り換え可能に構成された、切換弁(第2弁)を設けてもよい。その場合、袋体230の内部の流体を排出させる際には、切換弁(第2弁)を排出状態にし、それ以外のときは、切換弁(第2弁)を供給状態にすればよい。この場合、切換弁からなる第2弁の切換は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
あるいは、袋体230に、ポンプ270側の配管160とは別に、排出用の配管を連結し、その排出用の配管に、流路の開閉が可能に構成された開閉弁(第2弁)を設けてもよい。その場合、袋体230の内部の流体を排出させる際には、開閉弁(第2弁)を開放状態にし、それ以外のときは、開閉弁(第2弁)を閉鎖状態にすればよい。この場合、開閉弁からなる第2弁の開閉は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
あるいは、第1弁Vが、逆止機能の作動及び解除が切換可能に構成された逆止弁、あるいは、開閉弁から構成される場合、袋体230の内部の流体の排出は、第1弁Vを開放状態にした上で、停止したポンプ270の吸込口等を介してなされるようにしてもよい。この場合、第1弁Vの切換は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
図5を参照しながら、本実施形態の動作を説明する。
図5は、図2及び図3の例の動作例を説明するための図面である。上述したように、本例では、ポンプ270が手動式であり、第1弁Vが逆止弁である。
図5(a)では、シートパッド2に荷重が掛かっておらず、ポンプ270が停止しており、袋体230が収縮状態にある。その後、操作者(例えば着座しようとしている者)によってポンプ270が作動されると(図5(b))、ポンプ270から空気が袋体230の内部へ供給される。それに伴い、袋体230が徐々に膨張するとともに、外側発泡体240の上面が徐々に盛り上がる。その間、第1弁Vは、開放状態となる。そして、ポンプ270が停止されると、第1弁Vが閉鎖状態となる。これにより、袋体230からポンプ270側へ空気が流出するのが阻止され、袋体230の膨張状態が維持される。操作者は、例えば、クッションパッド2aの上面の盛り上がり状態を観ながら、ポンプ270を操作して袋体230への空気の供給を繰り返したり、上述したような任意の手法によって袋体230から空気を排出させたりして、袋体230の内部の空気量を適宜調整する。その後、着座者Pがシートパッド2に着座し、エンジンが起動して車体側からの振動が加わると、着座者Pも上下に振動する(図5(c))。その間、袋内蔵パッド部250の外側発泡体240は、上下方向に圧縮・復元を繰り返すとともに、袋体230は、外側発泡体240の内部で上下方向に振動する。その後、上述したような任意の手法によって袋体230の内部の空気が排出されると、袋体230は収縮状態に戻る。
つぎに、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、まず、シートパッドのクッションパッド2aの振動伝達率(共振倍率)を変化させることが可能である。
一般的に、クッションパッドの振動伝達率は、加振時におけるクッションパッドのダンピング性能によるところが大きい。本実施形態においては、外側発泡体240の内部に袋体230を配置することにより袋内蔵パッド部250を構成し、袋体230の内部に空気を供給できるようにしている。これにより、袋体230の内部の空気量を変化させることによって、加振時における袋体230自体の動きや袋体230と外側発泡体240との間の相互作用を変化させることができ、ひいては、加振時における袋内蔵パッド部250のダンピング性能を変化させることができ、その結果、袋内蔵パッド部250ひいてはクッションパッド2aの振動伝達率を変化させることが可能になる。具体的には、袋体230の内部の空気量を増大させると、袋内蔵パッド部250ひいてはクッションパッド2aの振動伝達率を高くすることができ、ひいては、加振時(特に共振周波数付近の振動の入力時)に、クッションパッド2aが、より大きく跳ねるようになる。
また、本実施形態によれば、袋内蔵パッド部250の袋体230の内部の空気量を変化させることによって、シートパッドの振動伝達率ひいては振動波形(動的波形)が変えられるだけでなく、クッションパッドをゆっくり圧縮させたときの特性である、圧縮たわみ曲線(静的波形)を変化させることもできる。これにより、着座者が着座する際に感じる着座感を変化させることができる。例えば、袋体230の内部の空気量を調整することによって、着座者が着座する際に、着座者が最初はより柔らかく感じて後のほうでより硬く感じるような、着座感となるようにする、といったことが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、車両用シート1を構成するシートパッド2の振動伝達率と着座感との両方を変化させることが可能である。
なお、特許文献1のように、シートパッドのクッションパッドの裏側に設けられたパンフレームの通気窓の開口部面積を調整させる手法によれば、上述したように、パンフレームの通気窓の開口部面積を変化させることにより、振動伝達率を変化させることができるが、圧縮たわみ曲線(静的波形)ひいては着座感を変化させることができない。これは、パンフレームの通気窓での空気の出入りが、加振時のようにクッションパッドが速く圧縮される場合にはクッションパッドに影響を与えるものの、着座時のようにクッションパッドがゆっくり圧縮される場合にはクッションパッドに影響を与えないためである。
さらに、本実施形態によれば、袋内蔵パッド部250の袋体230の内部の空気量を変化させることにより、シートパッドの振動伝達率を変化させつつも、シートパッドの共振周波数をほとんど変化させないようにすることもできる。
このように、本実施形態によれば、車両用シート1のシートパッド2の共振周波数をほとんど変えずに、シートパッド2の振動伝達率を単独で変えることができる。よって、シートパッド2の振動伝達率の調整がし易くなる。例えば、本実施形態の手法により振動伝達率を調整しつつ、他の手法により共振周波数を別途単独で調節する、といったことが可能となる。
また、本実施形態においては、袋体230が、非伸縮性の材料から構成されているため、袋体230の内圧管理がしやすいという利点もある。
仮に袋体230が伸縮性の材料から構成されている場合、袋体230の内部に流体を供給する間、袋体230は、膨張し続けた後に破裂するおそれがある。
本実施形態では、袋体230が非伸縮性の材料から構成されているため、袋体230の内部に流体を供給する間、袋体230は、袋体230の内部体積が上述の最大内部体積VMAXになるまでは膨張し続けるものの、それ以降は、袋体230の膨張が止まって内圧が大きく上昇し、さらなる流体の供給がしにくくなる。よって、袋体230が最大限充填されたことの把握が簡単になるので、袋体230の破裂を回避し易い。
なお、袋体230は、本実施形態のように、外側発泡体240の内部に配置されていること、言い換えれば、外側発泡体240によって袋体230の外表面のほぼ全体が覆われていることが、重要である。仮に、袋体230が、外側発泡体240の内部に無く、外側発泡体240の底面あるいは上面に貼りついているだけの場合は、袋体230の内部の空気量を変えても、袋体230が外側発泡体240の動作にほとんど影響を与えることができない。そのため、振動伝達率や着座感はほとんど変化しない。
袋内蔵パッド部250を構成する外側発泡体240と袋体230とは、一体成形されているのが好ましい。すなわち、外側発泡体240の射出成形時には、金型内に袋体230がインサートされた状態で、金型内に溶融樹脂が射出されて、外側発泡体240が成形されるのが、好ましい。
これにより、加振時や着座時等に、外側発泡体240及び袋体230が動いても、外側発泡体240が袋体230の周りに密着した状態を効果的に維持できる。よって、より効果的に、振動伝達率や着座感を変化させることができる。
仮に、予め単独で成形した外側発泡体240に、切れ込み等を形成し、その中に袋体230を収容することによって袋内蔵パッド部250を構成した場合、加振時や着座時等において、外側発泡体240及び袋体230が動く間、外側発泡体240と袋体230との間に隙間ができるおそれがある。そのため、さほど効果的に、振動伝達率や着座感を変化させることができない。
図6は、図3に対応する図であり、車両用シート1の第1変形例を示している。
図6の例では、車両用シート1が、操作者の手動による操作を受け付ける操作部17と、制御部15と、をさらに備えている点で、図3の例とは異なる。
制御部15は、外部からの信号に応じて、ポンプ270を起動(ON)及び停止(OFF)の制御ができるように構成されている。上記「外部からの信号」としては、例えば、操作部17が手動操作される際の操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、及び/又は、ポンプ270側に圧力センサ等のセンサが設ける場合、ポンプ270側のセンサからの出力等、任意の信号を用いてよい。
制御部15は、例えばECU(Engine Control Unit)やCPU(Central ProcessingUnit)などの制御装置から構成される。制御部15は、ポンプ270の外部又は内部のどちらに配置されてもよい。
制御部15は、さらに、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、ポンプ270の供給圧力の制御ができるように構成されてもよい。
また、制御部15は、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、第1弁Vの切換も制御できるように構成されてもよい。
また、車両用シート1が、上述した排出用の第2弁(図示せず)を備える場合、制御部15は、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、第2弁の切換も制御できるように構成されてもよい。
本例によれば、操作者が、制御部15を介してポンプ270を操作できるので、袋体230の内部の流体量の調整を簡単に行うことができる。また、操作者が、ポンプ270を簡単に操作することができる。
なお、本実施形態の車両用シート1は、図2の例のように、1つの袋内蔵パッド部250によって、シートパッド2のメインパッド部21の全体を構成する場合に限られない。シートパッド2のメインパッド部21は、複数の袋内蔵パッド部250を有していてもよい。また、メインパッド部21の上下方向及び/又は水平方向における一部分を袋内蔵パッド部250によって構成し、他の部分を、袋体230を内蔵していない通常の発泡体によって構成してもよい。また、シートパッド2のメインパッド部21だけでなくサイドパッド部22の一部又は全部を、1つ又は複数の袋内蔵パッド部250によって構成してもよい。また、クッションパッド2aを平面視したとき(上から観たとき)に、複数の袋内蔵パッド部250が互いに異なる位置(例えば、前後方向又は左右方向に異なる位置)に配置されていてもよい。
図7、図8は、それぞれ、第2変形例、第3変形例を示しており、図2に対応する図面である。
本明細書で説明する各例においては、図7に示す第2変形例のように、メインパッド部21が、左右一対のサイドパッド部22と、一体に構成されてもよい。この場合、袋内蔵パッド部250は、クッションパッド2aの全体を構成しており、外側発泡体240は、メインパッド部21を構成する発泡体と一対のサイドパッド部22を構成する発泡体との両方からなる。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、図8に示す第3変形例のように、メインパッド部21が、袋内蔵パッド部250と、この袋内蔵パッド部250の上側を覆う被覆部21aと、を有しており、メインパッド部21の被覆部21aが、左右一対のサイドパッド部22と、一体に構成されてもよい。この場合、シートパッドの製造時において、袋内蔵パッド部250は、シートパッド2のクッションパッド2aの裏側においてメインパッド部21の被覆部21aと一対のサイドパッド部22とによって区画される凹所23の内部へ、裏側から収容される。
袋体230は、その少なくとも一部分が、クッションパッド2aの上面うち、着座者からの荷重が掛かる部分の真下にあることが好ましい。
具体的には、袋体230の少なくとも一部分が、クッションパッド2aのメインパッド部21(尻下部21h及び/又は腿下部21t)の内部に配置されていると好適であり、特には、メインパッド部21の尻下部21hの内部に配置されていると好適である。
これにより、より効果的に、振動伝達率や着座感を変化させることが可能になる。
また、同様の観点から、図2の例のように、袋体230の全部が、クッションパッド2aのメインパッド部21の内部に配置されていると好適である。
図2〜図4の例における袋体230は、膨張状態での形状が、上から観た時に略正方形となる、略直方体形状であった。しかし、袋体230は、膨張状態での3次元形状が、いかなる形状でもよい。
袋体230の最大内部体積VMAXを一定として考えた場合、袋体230の膨張状態での形状が変わっても、ほぼ同等の程度で、上述の効果(振動伝達率や着座感を変化させることができること)が得られる。
なお、外側発泡体240内における袋体230の厚み方向(上下方向)の配置位置は、図2のように外側発泡体240内における厚み方向のほぼ中心位置に限られず、外側発泡体240内における厚み方向の上面側あるいは底面側に偏った位置でもよい。
外側発泡体240の厚みや袋体230の最大内部体積VMAXを一定として考えた場合、外側発泡体240内における袋体230の厚み方向(上下方向)の配置位置が変わっても、ほぼ同等の程度で、上述の効果(振動伝達率や着座感を変化させることができること)が得られる。
図9(a)〜図9(g)は、それぞれ、第4変形例〜第10変形例においてクッションパッド2aを上から観た様子を示しており、上から観た時の袋体230の膨張状態での形状及び配置を例示するものである。
図9(a)の例では、上から観た時の袋体230の形状が前後方向に長い略長方形である。袋体230は、メインパッド部21内のみに配置されており、メインパッド部21の尻下部21hと腿下部21tとの両方にわたって前後方向に延在している。
図9(b)の例では、上から観た時の袋体230の形状が左右方向に長い略長方形である。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。
図9(c)の例では、上から観た時の袋体230の形状が略正方形である。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。
図9(d)の例では、上から観た時の袋体230の形状が8の字型である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、左右に2つ有している。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこれら2つの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図9(e)の例では、上から観た時の袋体230の形状が環状である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図9(f)の例では、上から観た時の袋体230の形状がU字型である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。この凹部230aは、袋体230における後側部分に配置されており、その後端が開放されている。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図9(g)の例では、上から観た時の袋体230の形状がU字型(図9(f)の例と比べると、逆U字型ともいえる)である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。この凹部230aは、袋体230における前側部分に配置されており、その前端が開放されている。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。本例によっても、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
〔実施例、比較例〕
ここで、図10〜図12を参照しながら、本発明の車両用シートにおける実施例、比較例について説明する。
<実施例1>
図10は、本発明のシートパッドの実施例1について振動実験を行った結果として得られた振動波形(動的波形)を示している。図11は、本発明のシートパッドの実施例1について圧縮たわみ実験を行った結果として得られた圧縮たわみ曲線(静的波形)を示している。
実施例1の試験体は、図3に示すように、クッションパッド2aのメインパッド部21を想定して、袋内蔵パッド部250を作製し、それにポンプ270と第1弁Vを接続したものとした。袋内蔵パッド部250は、外側発泡体240と袋体230とを一体成形して構成した。袋内蔵パッド部250の外側発泡体240は、材料をポリウレタンフォームとした。袋体230が潰れた状態における袋内蔵パッド部250の寸法(外側発泡体240の寸法)は、400mm×400mm×100mmとした。袋体230は、上下、左右、前後の各方向において外側発泡体240のほぼ中心に配置した。袋内蔵パッド部250の袋体230は、ゴム材料により構成した。袋体230の開口232は、袋体230の側面に配置した。また、袋体230の開口232とポンプ270の排出口とを配管160によって接続した。ポンプ270は手動式であった。第1弁Vは逆止弁であった。ポンプ270と第1弁Vとの間の配管160には、排出用の第2弁が設けられていた。
実施例1の振動試験においては、事前に試験体の袋体230の内部の空気量をポンプ270や第2弁を操作しながら調整した上で、試験体を、パンフレーム6を想定して構成した受け具の上に載置した。そして、50kgの着座者が着座した状態を想定して、上から50kgの鉄研盤からなる加圧子を載せた。その状態で、袋体230の内部の空気量を、0mlとした場合、80mlとした場合、120mlとした場合、160mlとした場合の、それぞれで、周波数1〜10Hz、掃引時間5分にて、振動試験を実施した。その結果を図10に示す。
また、実施例1の圧縮たわみ実験においては、袋体230の内部の空気量を、0mlとした場合、80mlとした場合、120mlとした場合の、それぞれで、圧縮たわみ実験を行った。その結果を図11に示す。
図10に示す振動波形において、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は振動伝達率である。
図10に示される、袋体230の内部の空気量を0mlとした場合の波形X0、80mlとした場合の波形X1、120mlとした場合の波形X2、160mlとした場合の波形X3からわかるように、袋体230の内部の空気量が多くなるにつれて、振動伝達率が大きく増加したのに対し、共振周波数は微増するだけであった。具体的に、最も空気量の少ない、空気量0mlとした場合の波形X0と、最も空気量の多い、空気量160mlとした場合の波形X3とを比べると、空気量160mlとした場合は、空気量0mlとした場合よりも、振動伝達率が1.23アップしたのに対し、共振周波数は0.3Hzしかアップしなかった。
このように、実施例1によれば、袋体230の内部の空気の調整によって、振動伝達率だけを単独で調整できる。
図11に示す圧縮たわみ曲線において、横軸はたわみ(mm)であり、縦軸は荷重(N)である。
図11に示される、袋体230の内部の空気量を0mlとした場合の波形Y0、80mlとした場合の波形Y1、120mlとした場合の波形Y2からわかるように、袋体230の内部の空気量が増加するのに応じて、圧縮たわみ曲線(静的波形)も変化した。
このように、実施例1によれば、袋体230の内部の空気の調整によって、圧縮たわみ曲線(静的波形)ひいては着座感も調整できる。
<比較例1、2>
図12は、本発明のシートパッドの比較例1、2について圧縮たわみ実験を行った結果を示している。
比較例1、2の試験体は、発泡体と、発泡体を下から支持するパンフレームとを備えていた。比較例1、2の試験体を構成する発泡体は、いずれも、袋体230を内蔵しておらず、材料をポリウレタンフォームとし、寸法を400mm×400mm×100mmとした。発泡体のポリウレタンフォームの組成は、比較例1、2において同じであった。比較例1は、パンフレームに通気窓を有していたのに対し、比較例2は、パンフレームに通気窓を有していなかった。
図12に示す圧縮たわみ曲線において、横軸はたわみ(mm)であり、縦軸は荷重(N)である。
図12に示すように、比較例1と比較例2とで、圧縮たわみ曲線(静的波形)は全く変化しなかった。
図12の結果からわかるように、パンフレームの通気窓の開口部面積を変化させたとしても、圧縮たわみ曲線(静的波形)ひいては着座感を変化させることはできない。
<第2実施形態>
次に、本発明に係るシートパッド及び車両用シートの第1実施形態とは別の実施形態、並びに、シートパッドの製造方法の一実施形態、について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
本実施形態の各例に係る車両用シートは、いずれも本発明に係る車両用シートに相当し、本実施形態の各例に係るシートパッドは、いずれも本発明に係るシートパッドに相当する。
図13は、本実施形態の車両用シート1を示している。図14は、図13の車両用シート1のA−A線に沿う縦断面図である。本実施形態の車両用シート1は、本実施形態のシートパッド2と、シートパッド2の表側(着座者側)を覆うカバー部材13と、シートパッド2の裏側においてシートパッド2を下から支持するパンフレーム6と、ポンプ270と、第1弁Vと、を備えている。本例のシートパッド2は、着座者が着座するためのクッションパッド2aと、着座者の背中を支持するためのバックパッド2bと、を備えている。
カバー部材13は、例えば、通気性のよい材料(布等)から構成される。
便宜のため、図13では、カバー部材13を実線で示し、シートパッド2を破線で示しているが、図14では、カバー部材13を破線で示し、シートパッド2を実線で示している。
本明細書では、各図面に表記するとおり、車両用シート1に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
以下では、シートパッド2のうち、バックパッド2bではなくクッションパッド2aについて説明する。そのため、クッションパッド2aのことを、単に「シートパッド2」ということがある。
本実施形態のシートパッド2のクッションパッド2aは、着座者の臀部及び大腿部が載るように構成されたメインパッド部21と、メインパッド部21の左右両側に位置する一対のサイドパッド部22と、を有している。メインパッド部21は、着座者の臀部が載るように構成された尻下部21hと、尻下部21hに対し前方に位置し、着座者の大腿部が載るように構成された、腿下部21tと、を有している。
図13のA−A線は、尻下部21hを通っている。
図14の例では、メインパッド部21とサイドパッド部22とが、別体に構成されている。
ただし、メインパッド部21とサイドパッド部22は、一部または全部において、一体に構成(一体成形)されていてもよい。
図15は、図14のシートパッド2のうち、メインパッド部21のみを示しているとともに、車両用シート1に備えられるポンプ270及び第1弁Vも併せて示している。図14及び図15の例において、シートパッド2は、メインパッド部21の構成要素として、袋内蔵パッド部250を備えている。袋内蔵パッド部250は、発泡体からなる外側発泡体240(発泡体)と、外側発泡体240の内部に配置された袋体230とを、有している。
本実施形態の袋体230は、シートパッド2を車両用のシートパッドとして用いた場合に、車両の着座者の着座位置に配置されている。袋体230は、外側発泡体240の内部に配置された状態で、上述した着座者の着座位置となる、着座者の臀部及び大腿部が載るように構成されたメインパッド部21に、埋設状態に配置されている。即ち、袋体230は、着座者の少なくとも尻下に位置するように配置されていれば良い。
シートパッド2のうち、袋内蔵パッド部250以外の部分を構成する材料は、発泡体が好ましく、弾性樹脂発泡体がより好ましく、ポリウレタンフォームが特に好ましい。
外側発泡体240を構成する発泡体の材料としても、弾性樹脂発泡体が好ましく、ポリウレタンフォームが特に好ましい。外側発泡体240を構成する発泡体の材料は、シートパッド2のうち、袋内蔵パッド部250以外の部分を構成する材料と、同じでもよいし、異なっていてもよい。
袋体230は、伸縮性の材料で構成されている。本明細書において、「伸縮性の材料」とは、例えば、ゴムのように内圧(エア量)に応じて体積が変化する、伸縮機能を備えている材料を言う。
具体的に、袋体230を構成する「伸縮性の材料」は、JIS規格:JIS K7161に準拠して測定される10N時の伸びが、6%以上、特には8%以上であるとよい。
ここで、「JIS K7161に準拠して測定される10N時の伸び」とは、以下に述べる試験片の寸法および試験条件を除いてはJIS K7161に準拠して、伸び計を用いて試験片に10Nの引張力を作用させた場合における、標線間距離の増加量を標線間距離で除して100を乗じることで得られる伸び(引張ひずみ)(%)を指す。ここで、伸び計としては、島津製作所社製のオートグラフAGS−1kNを用いる。試験片は、80mm(引張方向の長さ)×40mm×0.26mm(厚み)の矩形板形状とする。試験条件については、引張力を作用させる前の標線間距離を50mmとし、引張速度を10mm/minとし、チャックした状態でストローク及び荷重リセットを実施して試験を開始するものとする。
また、袋体230を構成する材料は、可撓性があり、かつ、通気性を有しないことが、好適である。
袋体230を構成する材料としては、例えば合成樹脂又はゴム材料が好適であり、具体的な例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはエチレン酢酸ビニール共重合体(EVA)等の樹脂フィルムがあるが、ゴム材料が特に好適である。
本実施形態においては、袋体230として、例えば、自転車用タイヤに使用されるチューブを用いており、このチューブを、折り曲げて平面視U字形状になるように、外側発泡体240の内部に配置している。袋体230の状態は、平面視U字形状に限るものではなく、例えば、平面視円形状やその他の形状でも良い。
この袋体230(本実施形態ではチューブ)は、袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されている。伸縮性の材料から構成されている袋体230は、袋体230内部に流体(例えば空気)を供給することにより膨張し、例えば、ゴムのように内圧(エア量)に応じて体積が変化するが、袋体230の体積が一定以上に増加しないように、即ち、袋体230の内圧上昇時の形状変化を抑えるために、拘束されている。
本実施形態において、袋体230は、袋内蔵パッド部250全体の厚さの1〜80%の厚さに膨張する。袋体230の膨張時、袋体230は、袋内蔵パッド部250全体の厚さである、袋内蔵パッド部250の上下方向の厚さの、好ましくは1〜70%の厚さに、特に好ましくは1〜60%の厚さになるように、拘束されている。
袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束される一例として、本実施形態の袋体230には、袋体230の体積が一定以上に増加しないように袋体230の外側(本実施形態では外周面)を拘束する、非伸張性の拘束体300が装着されている。
本実施形態の拘束体300は、例えば、ガラスクロス基材を用いて粘着性を有するテープ状に形成したガラスクロステープを用いており、このガラスクロステープを、本実施形態の袋体230であるチューブの複数個所(本実施形態では6ヶ所)で、例えば、チューブ長さ方向に直交する周方向に巻き付けている。拘束体300であるガラスクロステープを巻き付けることにより、袋体230であるチューブは、一部(ガラスクロステープが無い部分)が膨らんだとしても、全体として、一定以上膨張しないように拘束されることになる。なお、拘束体300の巻き付け箇所は、チューブの複数個所(部分拘束)に限らず、例えば、一箇所或いは全長全て(全面拘束)でも良く、また、チューブの外周面の全面或いは一部でも良い。
拘束体300としては、伸張し難く殆ど伸張しない、高い引張強度を有していることが必要であり、加えて、耐熱性を有して温度変化に強く、含侵しないものであることが望ましく、条件に適うのであれば、ガラスクロステープ以外の樹脂等により形成しても良い。
図16A及び図16Bは、図14及び図15の例の袋体230のみを示している。袋体230は、上記のように伸縮性の材料から構成されているため、袋体230の内表面及び外表面の面積は、袋体230が膨張していない状態(図16A参照)にある場合と、膨張状態(図16B参照)にある場合とで、大きく変化する。すなわち、袋体230の内部に流体が入っていない状態(図16A参照)から、袋体230の内部に流体を供給すると、袋体230は、供給量に応じて内圧が上昇し膨張するが、袋体230が一定の体積になった後は、袋体230の内圧が上昇するだけで、袋体230はそれ以上ほとんど膨張せず、袋体230の形状及び大きさがほぼ又は完全に維持される(図16B参照)。
これは、袋体230(本実施形態ではチューブ)は、袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されている(本実施形態では、袋体230に拘束体300を装着)からであり、袋体230の体積が一定、例えば、袋内蔵パッド部250全体の厚さの1〜80%までの厚さに膨張した後は、それ以上の体積にはならない。つまり、袋体230の内圧は上がるが体積は増えない。
本実施形態では、袋体230の内部に供給される流体として、空気を用いるが、水、塩水など、非圧縮性流体としての液体を用いることが好ましく、ラジエータ用の冷却液、エチレングリコール、シリコンオイルなど、各種の不凍液からなる液体を用いることが特に好ましい。
図14及び図15に示すように、ポンプ270は、袋体230の内部に流体を供給できるように袋体230に接続されている。本例において、ポンプ270の排出口(図示せず)は、袋体230の開口232と、配管160を介して接続されており、これにより、ポンプ270が、配管160及び開口232を介して、袋体230の内部に流体を供給できるようにされている。ポンプ270の吸込口(図示せず)は、例えば、シートパッド2の外部に配置される。
なお、図14及び図15の例では、袋体230の開口232が袋体230の側面に配置されているが、袋体230の開口232は、袋体230の底面側あるいは上面側に配置されてもよい。
本例において、ポンプ270は、手動式である。ただし、ポンプ270は、後述の制御部15によって制御されるものでもよい。
図14及び図15の例において、袋体230の開口232とポンプ270との間の配管160には、第1弁Vが設けられている。本例において、第1弁Vは、ポンプ270から袋体230に向かう流体の通過のみを許容するように構成された、逆止弁から構成されている。これにより、ポンプ270から袋体230へ流体が供給される間は、第1弁Vが開放状態となるが、ポンプ270が停止されると、第1弁Vが開放状態から閉鎖状態に切り換わることによって、袋体230から流体が出るのを阻止でき、ひいては、袋体230の膨張状態を維持できる。つまり、袋体230に流体が供給された後に、ポンプ270をそれ以上作動させなくても、袋体230の膨張状態を維持することができる。
本例において、逆止弁からなる第1弁Vは、ポンプ270から袋体230に向かう流体の通過のみを許容するという逆止機能の作動及び解除が、切換可能に構成されたものでもよい。その場合、第1弁Vの逆止機能の切換は、手動で操作されるものでもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されるものでもよい。逆止機能の作動及び解除を切換可能とすることにより、例えば、着座者が着座した際、あるいは、車体のエンジンが起動した際に、逆止機能を作動させ、エンジンが停止した際に、逆止機能を解除させて第1弁Vを開放状態とする、といったことが可能となる。
第1弁Vは、逆止弁の代わりに、流路の開閉が可能に構成された開閉弁によって構成されてもよい。その場合、第1弁Vの開閉は、ポンプ270の動作と連動するようにリンク機構等を介して機械的に切り換えられるか、あるいは、後述の制御部15によってポンプ270の動作と連動して切り換えられるようにされると、好適である。すなわち、ポンプ270から袋体230へ流体が供給される間は、第1弁Vは開放状態とされて、ポンプ270が停止されるときに、第1弁Vは開放状態から閉鎖状態に切り換えられるとよい。
ただし、第1弁Vとしては、本例のように逆止弁からなる場合のほうが、操作や制御を要しないのでよい。
このように、本例では、車両用シート1が第1弁Vを備えているので、いったん袋体230に流体が供給された後は、上述のように第1弁Vが開放状態から閉鎖状態に切り換わるようにすることによって、袋体230から流体が出るのを阻止でき、ひいては、ポンプ270をそれ以上作動させなくても、袋体230の膨張状態を維持できる。
ただし、車両用シート1は、第1弁Vを有していなくてもよい。
袋体230の内部に供給された流体を排出させて袋体230を収縮させる手法としては、任意のものを用いてよい。
例えば、図示は省略するが、袋体230の開口232と第1弁Vとの間の配管160に、袋体230の開口232と第1弁Vとを連通させる供給状態と、袋体230の開口232と流体排出口(例えば大気開放口)とを連通させる排出状態とを、切り換え可能に構成された、切換弁(第2弁)を設けてもよい。その場合、袋体230の内部の流体を排出させる際には、切換弁(第2弁)を排出状態にし、それ以外のときは、切換弁(第2弁)を供給状態にすればよい。この場合、切換弁からなる第2弁の切換は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
あるいは、袋体230に、ポンプ270側の配管160とは別に、排出用の配管を連結し、その排出用の配管に、流路の開閉が可能に構成された開閉弁(第2弁)を設けてもよい。その場合、袋体230の内部の流体を排出させる際には、開閉弁(第2弁)を開放状態にし、それ以外のときは、開閉弁(第2弁)を閉鎖状態にすればよい。この場合、開閉弁からなる第2弁の開閉は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
あるいは、第1弁Vが、逆止機能の作動及び解除が切換可能に構成された逆止弁、あるいは、開閉弁から構成される場合、袋体230の内部の流体の排出は、第1弁Vを開放状態にした上で、停止したポンプ270の吸込口等を介してなされるようにしてもよい。この場合、第1弁Vの切換は、手動で操作されてもよいし、あるいは、後述の制御部15によって制御されてもよい。
図17A〜17Cを参照しながら、本実施形態の動作を説明する。
図17A〜17Cは、図14及び図15の例の動作例を説明するための図面である。上述したように、本例では、ポンプ270が手動式であり、第1弁Vが逆止弁である。
図17Aでは、シートパッド2に荷重が掛かっておらず、ポンプ270が停止しており、袋体230が収縮状態にある。その後、操作者(例えば着座しようとしている者)によってポンプ270が作動されると(図17B)、ポンプ270から空気が袋体230の内部へ供給される。それに伴い、袋体230が徐々に膨張するとともに、外側発泡体240の上面が徐々に盛り上がる。その間、第1弁Vは、開放状態となる。そして、ポンプ270が停止されると、第1弁Vが閉鎖状態となる。これにより、袋体230からポンプ270側へ空気が流出するのが阻止され、袋体230の膨張状態が維持される。
操作者は、例えば、クッションパッド2aの上面の盛り上がり状態を観ながら、ポンプ270を操作して袋体230への空気の供給を繰り返したり、上述したような任意の手法によって袋体230から空気を排出させたりして、袋体230の内部の空気量を適宜調整する。その後、着座者Pがシートパッド2に着座し、エンジンが起動して車体側からの振動が加わると、着座者Pも上下に振動する(図17C)。その間、袋内蔵パッド部250の外側発泡体240は、上下方向に圧縮・復元を繰り返すとともに、袋体230は、外側発泡体240の内部で上下方向に振動する。その後、上述したような任意の手法によって袋体230の内部の空気が排出されると、袋体230は収縮状態に戻る。
つぎに、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、まず、シートパッドのクッションパッド2aの振動伝達率(共振倍率)を変化させることが可能である。
一般的に、クッションパッドの振動伝達率は、加振時におけるクッションパッドのダンピング性能によるところが大きい。本実施形態においては、外側発泡体240の内部に袋体230を配置することにより袋内蔵パッド部250を構成し、袋体230の内部に空気を供給できるようにしている。
袋体230の内部に空気を供給することで、袋体230が膨張し、袋体230内部の空気の体積(エアボリューム)が増加すると共に、袋体230の膨張に伴って、袋体230の外側を覆う外側発泡体240(例えば、ポリウレタンフォーム)に大きな圧縮力が加わることになる。即ち、伸縮性の袋体230の膨張によって、袋体230の周囲の外側発泡体240に圧縮力が加わり、外側発泡体240自体が圧縮され潰れることで、外側発泡体240自体の硬さが変化し、共振点の変化をもたらすことになる。
これにより、袋体230の内部の空気量を変化させることによって、加振時における袋体230自体の動きや袋体230と外側発泡体240との間の相互作用を変化させることができ、ひいては、加振時における袋内蔵パッド部250のダンピング性能を変化させることができ、その結果、袋内蔵パッド部250ひいてはクッションパッド2aの振動伝達率を変化させることが可能になる。具体的には、袋体230の内部の空気量を増大させると、袋内蔵パッド部250ひいてはクッションパッド2aの振動伝達率を高くすることができ、ひいては、加振時(特に共振周波数付近の振動の入力時)に、クッションパッド2aが、より大きく跳ねるようになる。
また、本実施形態によれば、袋内蔵パッド部250の袋体230の内部の空気量を変化させることによって、シートパッドの振動伝達率ひいては振動波形(動的波形)が変えられるだけでなく、クッションパッドをゆっくり圧縮させたときの特性である、圧縮たわみ曲線(静的波形)を変化させることもできる。これにより、着座者が着座する際に感じる着座感を変化させることができる。例えば、袋体230の内部の空気量を調整することによって、着座者が着座する際に、着座者が最初はより柔らかく感じて後のほうでより硬く感じるような、着座感となるようにする、といったことが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、車両用シート1を構成するシートパッド2の振動伝達率と着座感との両方を変化させることが可能である。
なお、特許文献1のように、シートパッドのクッションパッドの裏側に設けられたパンフレームの通気窓の開口部面積を調整させる手法によれば、上述したように、パンフレームの通気窓の開口部面積を変化させることにより、振動伝達率を変化させることができるが、圧縮たわみ曲線(静的波形)ひいては着座感を変化させることができない。これは、パンフレームの通気窓での空気の出入りが、加振時のようにクッションパッドが速く圧縮される場合にはクッションパッドに影響を与えるものの、着座時のようにクッションパッドがゆっくり圧縮される場合にはクッションパッドに影響を与えないためである。
さらに、本実施形態によれば、袋内蔵パッド部250の袋体230の内部の空気量を変化させることにより、シートパッドの振動伝達率を変化させつつも、シートパッドの共振周波数をほとんど変化させないようにすることもできる。
このように、本実施形態によれば、車両用シート1のシートパッド2の共振周波数をほとんど変えずに、シートパッド2の振動伝達率を単独で変えることができる。よって、シートパッド2の振動伝達率の調整がし易くなる。例えば、本実施形態の手法により振動伝達率を調整しつつ、他の手法により共振周波数を別途単独で調節する、といったことが可能となる。
また、本実施形態においては、袋体230が、伸縮性の材料から構成されているが、拘束体300により、袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されているため、袋体230の内圧管理がしやすいという利点もある。
袋体230が伸縮性の材料から構成されている場合、袋体230の内部に流体を供給する間、袋体230は膨張し続けるが、袋体230は拘束体300により拘束されているため、袋体230の体積が一定以上になる前の拘束状態なった時点で、袋体230の膨張が止まって内圧が大きく上昇し、さらなる流体の供給がしにくくなる。よって、袋体230が最大限充填されたことの把握が簡単になり、袋体230の内部への流体の供給を適切に制御することができるので、流体の供給が制御できない場合に生じる虞がある、例えば、袋体230の破裂等を、生じなくすることができる。
なお、袋体230は、本実施形態のように、外側発泡体240の内部に配置されていること、言い換えれば、外側発泡体240によって袋体230の外表面のほぼ全体が覆われていることが、重要である。仮に、袋体230が、外側発泡体240の内部に無く、外側発泡体240の底面あるいは上面に貼りついているだけの場合は、袋体230の内部の空気量を変えても、袋体230が外側発泡体240の動作にほとんど影響を与えることができない。そのため、振動伝達率や着座感はほとんど変化しない。
また、本実施形態の袋体230は、外側発泡体240の内部に配置されており、シートパッド2の外表面(パッド外表面)から一定距離離間している、即ち、メインパッド部21の全ての外表面に接触(外表面から露出)することなく、メインパッド部21の内部略中央に位置するように、埋設されている。
袋体230がメインパッド部21の内部略中央に位置することにより、袋体230の周囲を、メインパッド部21の発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム)全体で包み込むことになって、袋体230に供給した流体(例えば、空気)に対するダンピング効果を適切に得ることができる。
袋内蔵パッド部250を構成する外側発泡体240と袋体230とは、一体に形成されているのが好ましい。すなわち、外側発泡体240の射出成形時には、金型内に袋体230がインサートされた状態で、金型内に溶融樹脂が射出されて、外側発泡体240が成形されるのが、好ましい。
これにより、加振時や着座時等に、外側発泡体240及び袋体230が動いても、外側発泡体240が袋体230の周りに密着した状態を効果的に維持できる。よって、より効果的に、振動伝達率や着座感を変化させることができる。
本実施形態のシートパッド2の外側発泡体240と袋体230とは、本発明に係るシートパッドを製造するためのシートパッドの方法であって、袋内蔵パッド部250の製造方法により一体に形成されている。
本実施形態の袋内蔵パッド部250は、袋体取付工程と、注入工程と、発泡工程と、を経て製造され、袋体取付工程における袋体230は、袋体230の体積が一定以上に増加しないように、拘束体300により拘束されている。
図18は、本発明の一実施形態に係る袋内蔵パッド部の製造方法に用いられる金型の概略構造を示す説明図である。図19は、図18の上型に袋体が取り付けられた状態を示す説明図である。
本実施形態において、先ず、袋体取付工程により、金型310に設けられた保持部としてのピン320に、袋体230に設けられた被保持部としての金属片330を保持させて、金型310に袋体230を位置決めし取り付ける。金属片330として、例えば金属ワッシャを用いることができ、この金属ワッシャは、例えばアルミテープで袋体230(本実施形態のチューブ)に貼り付けることができる。
図18に示すように、本実施形態の金型310は、上型311と下型312を有し、上型311には、外側発泡体240における袋体230の配置状態(図15参照)に対応させ、複数個のピン320が配置されている。このピン320は、袋体230を金型310の内部に浮かして配置するように、金型310の内部に突出して設置されている。この構成によれば、袋内蔵パッド部250の製造がより容易になる。
本実施形態のピン320は、外側発泡体240と袋体230との一体成形時、袋体230を外側発泡体240の内部略中央に位置させることができる、突出高さを有しており、その突出端には、マグネット321が取り付けられている。
図19に示すように、マグネット321に、袋体230に備えられた金属片330を付着させることで、袋体230を、外側発泡体240における配置状態(図15参照)で、ピン320の先端に固定させることができる。
上型311に袋体230を位置決めし取り付けた後、上型311と下型312を対応させて閉じる。このとき、マグネット321と金属片330が付着し、ピン320の先端に保持された状態で、袋体230が金型310にセットされる。
次に、注入工程により、袋体230を取り付けた金型310に、発泡性材料を注入する。発泡性材料として、本実施形態においては、ポリウレタンフォームの原料となる溶融状態の樹脂が用いられ、この溶融樹脂が、金型310内に注入される。
次に、発泡工程により、金型310の発泡性材料を発泡させる。発泡に際し、金型310の内部に注入された発泡性材料である溶融樹脂は、略液体の状態から膨らんで行くので、充填状態になるまでに、金型310の内部の袋体230には、縦方向、横方向等様々な方向から種々の力が加わることになる。しかしながら、金型310内の袋体230は、ピン320の先端に固定させられているため、発泡時においても、金型310内に位置決めされた状態で、保持される。なお、発泡性材料の発泡時、袋体230を若干膨らませておいても良い。
その後、上型311と下型312を開いて、成形された外側発泡体240を下型312から取り出す(脱型する)。これにより、袋体230が内包された外側発泡体240が発泡成形により形成される。
このように、本実施形態の袋内蔵パッド部の製造方法により、外側発泡体240と袋体230とが一体に形成された袋内蔵パッド部250を製造することができる。製造された袋内蔵パッド部250は、袋体230の外表面と外側発泡体240の内表面が接着され一体化された状態にあるので、袋体230は、流体が供給されていなくても、潰れることなく、上型311への配置形状を保持した状態で、外側発泡体240に内包されている。
なお、袋体230と外側発泡体240は、接着されていなくてもよく、例えば、密着状態等、少なくとも、袋体230の変化(膨張等)が外側発泡体240に確実に伝達され、袋体230の変化に伴って外側発泡体240が変化する状態にあれば良い。
図20は、図15に対応する図であり、車両用シート1の第1変形例を示している。
図20の例では、車両用シート1が、操作者の手動による操作を受け付ける操作部17と、制御部15と、をさらに備えている点で、図15の例とは異なる。
制御部15は、外部からの信号に応じて、ポンプ270を起動(ON)及び停止(OFF)の制御ができるように構成されている。上記「外部からの信号」としては、例えば、操作部17が手動操作される際の操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、及び/又は、ポンプ270側に圧力センサ等のセンサが設ける場合、ポンプ270側のセンサからの出力等、任意の信号を用いてよい。
制御部15は、例えばECU(Engine Control Unit)やCPU(Central Processing Unit)などの制御装置から構成される。制御部15は、ポンプ270の外部又は内部のどちらに配置されてもよい。
制御部15は、さらに、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、ポンプ270の供給圧力の制御ができるように構成されてもよい。
また、制御部15は、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、第1弁Vの切換も制御できるように構成されてもよい。
また、車両用シート1が、上述した排出用の第2弁(図示せず)を備える場合、制御部15は、外部からの信号(操作部17からの出力、エンジン側のセンサからの出力、ポンプ270側のセンサからの出力等)に応じて、第2弁の切換も制御できるように構成されてもよい。
本例によれば、操作者が、制御部15を介してポンプ270を操作できるので、袋体230の内部の流体量の調整を簡単に行うことができる。
なお、本実施形態の車両用シート1は、図14の例のように、1つの袋内蔵パッド部250によって、シートパッド2のメインパッド部21の全体を構成する場合に限られない。シートパッド2のメインパッド部21は、複数の袋内蔵パッド部250を有していてもよい。また、メインパッド部21の上下方向及び/又は水平方向における一部分を袋内蔵パッド部250によって構成し、他の部分を、袋体230を内蔵していない通常の発泡体によって構成してもよい。また、シートパッド2のメインパッド部21だけでなくサイドパッド部22の一部又は全部を、1つ又は複数の袋内蔵パッド部250によって構成してもよい。また、クッションパッド2aを平面視したとき(上から観たとき)に、複数の袋内蔵パッド部250が互いに異なる位置(例えば、前後方向又は左右方向に異なる位置)に配置されていてもよい。
図21、図22は、それぞれ、第2変形例、第3変形例を示しており、図14に対応する図面である。
本明細書で説明する各例においては、図21に示す第2変形例のように、メインパッド部21が、左右一対のサイドパッド部22と、一体に構成されてもよい。この場合、袋内蔵パッド部250は、クッションパッド2aの全体を構成しており、外側発泡体240は、メインパッド部21を構成する発泡体と一対のサイドパッド部22を構成する発泡体との両方からなる。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、図22に示す第3変形例のように、メインパッド部21が、袋内蔵パッド部250と、この袋内蔵パッド部250の上側を覆う被覆部21aと、を有しており、メインパッド部21の被覆部21aが、左右一対のサイドパッド部22と、一体に構成されてもよい。この場合、シートパッドの製造時において、袋内蔵パッド部250は、シートパッド2のクッションパッド2aの裏側においてメインパッド部21の被覆部21aと一対のサイドパッド部22とによって区画される凹所23の内部へ、裏側から収容される。
袋体230は、その少なくとも一部分が、クッションパッド2aの上面うち、着座者からの荷重が掛かる部分の真下にあることが好ましい。
具体的には、袋体230の少なくとも一部分が、クッションパッド2aのメインパッド部21(尻下部21h及び/又は腿下部21t)の内部に配置されていると好適であり、特には、メインパッド部21の尻下部21hの内部に配置されていると好適である。
これにより、より効果的に、振動伝達率や着座感を変化させることが可能になる。
また、同様の観点から、図14の例のように、袋体230の全部が、クッションパッド2aのメインパッド部21の内部に配置されていると好適である。
図14〜図16の例における袋体230は、膨張状態での形状が、上から観た時に略U字状となる形状であった。しかし、袋体230は、膨張状態での3次元形状が、いかなる形状でもよい。
袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されていることにより、袋体230の膨張状態での形状が変わっても、ほぼ同等の程度で、上述の効果(振動伝達率や着座感を変化させることができること)が得られる。
なお、外側発泡体240内における袋体230の厚み方向(上下方向)の配置位置は、図14のように外側発泡体240内における厚み方向のほぼ中心位置に限られず、外側発泡体240内における厚み方向の上面側あるいは底面側に偏った位置でもよい。
外側発泡体240の厚みや袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されていることにより、外側発泡体240内における袋体230の厚み方向(上下方向)の配置位置が変わっても、ほぼ同等の程度で、上述の効果(振動伝達率や着座感を変化させることができること)が得られる。
図23A〜23Gは、それぞれ、第4変形例〜第10変形例においてクッションパッド2aを上から観た様子を示しており、上から観た時の袋体230の膨張状態での形状及び配置を例示するものである。この例の袋体230としては、上述した自転車用タイヤに使用されるチューブ或いはチューブ以外の伸縮性の材料からなる袋体の、何れを用いても良く、袋体230は、形状や配置状態に対応して必要な箇所に設けられた拘束体300により、袋体230の体積が一定以上に増加しないように拘束されている。
図23Aの例では、上から観た時の袋体230の形状が前後方向に長い略長方形である。袋体230は、メインパッド部21内のみに配置されており、メインパッド部21の尻下部21hと腿下部21tとの両方にわたって前後方向に延在している。
図23Bの例では、上から観た時の袋体230の形状が左右方向に長い略長方形である。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。
図23Cの例では、上から観た時の袋体230の形状が略正方形である。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。
図23Dの例では、上から観た時の袋体230の形状が8の字型である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、左右に2つ有している。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこれら2つの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図23Eの例では、上から観た時の袋体230の形状が環状である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。袋体230は、メインパッド部21の尻下部21h内のみに配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図23Fの例では、上から観た時の袋体230の形状がU字型である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。この凹部230aは、袋体230における後側部分に配置されており、その後端が開放されている。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。本例によれば、着座者が着座する際に自身の一対の坐骨をこの凹部230a内に収容できるので、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
図23Gの例では、上から観た時の袋体230の形状がU字型とは上下方向が逆向きとなる逆向きU字型である。袋体230は、上下に貫通した穴又は下側へ窪んだ窪みからなる凹部230aを、1つ有している。この凹部230aは、袋体230における前側部分に配置されており、その前端が開放されている。袋体230は、メインパッド部21だけでなく、サイドパッド部22を含めた、クッションパッド2aの全体にわたって配置されている。本例によっても、着座者の座り心地を向上でき、また、着座者の姿勢も向上できる。
ここで、図24を参照しながら、本発明の車両用シートにおける実施例について説明する。
<実施例2>
図24は、本発明のシートパッドの実施例2について振動実験を行った結果として得られた振動波形(動的波形)を示している。
実施例2の試験体は、図15に示すように、クッションパッド2aのメインパッド部21を想定して、袋内蔵パッド部250を作製し、それにポンプ270と第1弁Vを接続したものとした。袋内蔵パッド部250は、外側発泡体240と袋体230とを一体成形して構成した。袋内蔵パッド部250の外側発泡体240は、材料をポリウレタンフォームとした。
袋体230が潰れた状態における袋内蔵パッド部250の寸法(外側発泡体240の寸法)は、400mm×400mm×100mmとした。袋体230は、上下、左右、前後の各方向において外側発泡体240のほぼ中心に配置した。袋内蔵パッド部250の袋体230は、ゴム材料により構成した。袋体230の開口232は、袋体230の側面に配置した。また、袋体230の開口232とポンプ270の排出口とを配管160によって接続した。ポンプ270は手動式であった。第1弁Vは逆止弁であった。ポンプ270と第1弁Vとの間の配管160には、排出用の第2弁が設けられていた。
実施例2の振動試験においては、事前に試験体の袋体230の内部の空気量をポンプ270や第2弁を操作しながら調整した上で、試験体を、パンフレーム6を想定して構成した受け具の上に載置した。そして、50kgの着座者が着座した状態を想定して、上から50kgの鉄研盤からなる加圧子を載せた。その状態で、袋体230の内部の空気圧を、0psi(エア0)とした場合、10psi(エア少)とした場合、20psi(エア多)とした場合の、それぞれで、周波数1〜10Hz、掃引時間5分にて、振動試験を実施した。その結果を図24に示す。
図24に示す振動波形において、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は振動伝達率である。
図24に示される、袋体230の内部の空気圧を0psiとした場合の波形X0、10psiとした場合の波形X1、20psiとした場合の波形X2からわかるように、袋体230の内部の空気圧が高くなる(圧縮率が増加する)につれて、共振点が右上、即ち、共振周波数が高くなり、振動伝達率も増加した。具体的に、共振周波数は、空気圧0psiとした場合(波形X0)との差が、空気圧10psiとした場合(波形X1)は0.1、空気圧20psiとした場合(波形X2)は0.5となり、共振倍率は、空気圧0psiとした場合(波形X0)との差が、空気圧10psiとした場合(波形X1)は0.47、空気圧20psiとした場合(波形X2)は1.23となった。
このように、実施例2によれば、袋体230の内部の空気圧の調整によって、振動伝達率だけを単独で調整することができる。
本発明のシートパッド、車両用シート、車両用シートの制御方法、及び、シートパッドの製造方法は、任意の種類の車両に利用できるが、特に、快適性への要求が高い乗用車や、大きな振動が発生するトラック、バス、建設車両等の大型車に、好適に利用できる。
1:車両用シート、 2:シートパッド、 2a:クッションパッド、 2b:バックパッド、 6:パンフレーム、 13:カバー部材、 15:制御部、 17:操作部、 21:メインパッド部、 21a:被覆部、 21h:尻下部、 21t:腿下部、 22:サイドパッド部、 23:凹所、 160:配管、 230:袋体、 230a:凹部、 232:開口、 240:外側発泡体(発泡体)、 250:袋内蔵パッド部、 270:ポンプ、 P:着座者、 V:第1弁、 300:拘束体、 310:金型、 311:上型、 312:下型、 320:ピン(保持部)、 330:金属片(被保持部)、 321:マグネット

Claims (9)

  1. 発泡体と、前記発泡体の内部に配置された袋体とを有する、袋内蔵パッド部を備える、シートパッド。
  2. 請求項1に記載のシートパッドと、
    前記袋体の内部に流体を供給できるように前記袋体と接続されたポンプとを、備え、
    前記袋体は、非伸縮性の材料で構成されている、車両用シート。
  3. 前記袋体と前記ポンプとの間には、第1弁が設けられており、
    前記第1弁は、前記ポンプから前記袋体に向かう流体の通過のみを許容するように構成された逆止弁、又は、開閉弁である、請求項2に記載の車両用シート。
  4. 前記袋体の内部に供給可能な非圧縮性流体を備える、請求項2又は3に記載の車両用シート。
  5. 前記袋体は、伸縮性の材料で構成されている、請求項1に記載のシートパッド。
  6. 前記袋体は、前記袋体の体積が一定以上に増加しないように拘束されている、請求項5に記載のシートパッド。
  7. 請求項5又は6に記載のシートパッドと、
    前記袋体に接続され、前記袋体の内部に流体を供給するポンプと、
    を有することを特徴とする、車両用シート。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のシートパッドを製造するためのシートパッドの製造方法であって、
    前記袋内蔵パッド部は、
    金型に設けられた保持部に、前記袋体に設けられた被保持部を保持させて、前記金型に前記袋体を位置決めし取り付ける袋体取付工程と、
    前記袋体を取り付けた前記金型に、発泡性材料を注入する注入工程と、
    前記金型の前記発泡性材料を発泡させる発泡工程と、
    を経て製造され、
    前記袋体取付工程における前記袋体は、前記袋体の体積が一定以上に増加しないように拘束されていることを特徴とする、シートパッドの製造方法。
  9. 前記保持部は、前記袋体を前記金型の内部に浮かして配置するように、前記金型の内部に突出して設置されている、請求項8に記載のシートパッドの製造方法。
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