JP2007006911A - 車両用シートパッド - Google Patents
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Abstract
【課題】尻下部と他の部位との特性が異なる車両用シートパッドを低コストにて提供する。
【解決手段】車両用シートパッド1は、尻下部2a、腿下部2b、サイド部2s及び底面の凹所3を有したシートパッド本体2と、この凹所3に挿填された挿填体4とが各々別々に成形され、挿填体4が該凹所3が嵌合され、必要に応じ接着されてなるものである。凹所3は尻下部2aの下方のシートパッド本体2の底面から上方に向って凹陥したものである。シートパッド本体2は安価な低密度材料で構成し、挿填体4は高性能材料で構成することにより、腿下部2bが柔らかくて着座時の快適性に優れると共に、尻下部2aが高硬度であり支持安定性に優れたものとなる。
【選択図】図1
【解決手段】車両用シートパッド1は、尻下部2a、腿下部2b、サイド部2s及び底面の凹所3を有したシートパッド本体2と、この凹所3に挿填された挿填体4とが各々別々に成形され、挿填体4が該凹所3が嵌合され、必要に応じ接着されてなるものである。凹所3は尻下部2aの下方のシートパッド本体2の底面から上方に向って凹陥したものである。シートパッド本体2は安価な低密度材料で構成し、挿填体4は高性能材料で構成することにより、腿下部2bが柔らかくて着座時の快適性に優れると共に、尻下部2aが高硬度であり支持安定性に優れたものとなる。
【選択図】図1
Description
本発明は車両用シートパッドに係り、特に、シートパッド本体と尻下部の挿填体とを嵌合して一体化してなる車両用シートパッドに関する。
車両用シートパッドは、一般に軟質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォームで構成され、支持安定性、安全性を確保した上で着座時の快適性を向上させ、また、長時間着座した際の疲労感を低減するために、材質或いは構造面でクッション性や硬度、振動吸収性等についての改良がなされている。
I.車両用シートパッドの着座時の快適性を向上させるために、人体が直接接触する表層部は柔軟な材料で構成し、その下側の部分については、剛性を確保するために比較的硬度の高い材料で構成した2層構造の車両用シートパッドが提案されている(WO 02/41736)。この車両用シートパッドは、硬さの異なる上面部と底面部とを接合したものである。
II.なお、近年、シートパッドの上層側と下層側とを2段階に分けて発泡成形して一体のシートパッドを製造する方法も行われている。
III.特開平11−34710号公報には、シートパッド本体の底面から上方に向って凹部が設けられると共に、該凹部にスラブが挿入されており、該スラブの上面部分にセンサ2が設置された着座センサ付き座席が記載されている。このスラブはシートパッド本体と同一のウレタンフォーム等よりなる(同号公報第0011段落)。
WO 02/41736
特開平11−34710号公報
I.上記WO 02/41736に記載の車両用シートパッドにあっては、下層が上層とほぼ同一大きさであるため、上層形成用の金型(又はそのキャビティ)と下層形成用の金型(又はそのキャビティ)とがほぼ同一の大きさとなり、金型コストや成形コストが嵩む。
II.ウレタンを2段階に分けて発泡、成形させてシートパッドの下層と上層とを成形して一体のシートパッドを製造する方法にあっては、サイクルタイムが2倍掛かり、コストも大幅に上がる。また、最初に発泡された表層側のウレタンが、2段目に発泡されるウレタンの発泡圧に押されて圧縮されてしまい、材料密度が上がってしまい材質のメリハリが付けにくいという欠点もある。
III.上記特開平11−34710号公報には、尻下部を選択的に高硬度とする点の開示はない。
II.ウレタンを2段階に分けて発泡、成形させてシートパッドの下層と上層とを成形して一体のシートパッドを製造する方法にあっては、サイクルタイムが2倍掛かり、コストも大幅に上がる。また、最初に発泡された表層側のウレタンが、2段目に発泡されるウレタンの発泡圧に押されて圧縮されてしまい、材料密度が上がってしまい材質のメリハリが付けにくいという欠点もある。
III.上記特開平11−34710号公報には、尻下部を選択的に高硬度とする点の開示はない。
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、尻下部と他の部位との特性が異なる車両用シートパッドを低コストにて提供することを目的とする。
本発明の車両用シートパッドは、尻下部の下方の底面部に上方へ向って凹陥する凹所が設けられたシートパッド本体と、該凹所に挿填された、該シートパッド本体とは特性の異なる挿填体とを備えてなるものである。
本発明の車両用シートパッドは、シートパッド本体と尻下部の底面部を構成する挿填体とを別々に成形して嵌合し、必要に応じて接合したものであるため、シートパッド本体の構成材料と挿填体の構成材料との組み合わせに制約を受けることなく、それぞれ独立に、任意の幅広い材料から選定することができるため、硬度その他の物性について様々な組み合わせを採用して幅広い要求性能に対応することができる。
しかも、本発明の車両用シートパッドは、挿填体は尻下部の底面部のみを構成するものであり、シートパッド本体に比べて平面積が小さい。そのため、後述の実施の形態のように効率よく成形することができ、金型コスト及び成形コストの削減を図ることができる。
以下に図面を参照して本発明の車両用シートパッドの実施の形態を説明する。
第1図(a)は本発明の車両用シートパッドの実施の形態を示す斜視図であり、第1図(b)は第1図(a)のB−B線に沿う断面図、第1図(c)は第1図(a)の分解図である。
この車両用シートパッド1は、尻下部2a、腿下部2b、サイド部2s及び底面の凹所3を有したシートパッド本体2と、この凹所3に挿填された挿填体4とが各々別々に成形され、挿填体4が該凹所3が嵌合され、必要に応じ接着されてなるものである。
この凹所3は尻下部2aの下方のシートパッド本体2の底面から上方に向って凹陥したものである。この実施の形態では、凹所3及び挿填体4の平面視形状は方形であるが、これに限定されない。
クッション性を重視する車両用シートパッド、或いはシートパッドの上にカバー材として厚さ5mm以上のソフトウレタンやそれに類するものが用いられている場合は、シートパッド本体2は低密度材で構成し、挿填体4の構成材料として高性能材を使用するのが好ましい。
その場合、シートパッド本体2の構成材料としては、コア密度25〜50kg/m3、25%硬度15〜25kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましく、挿填体4はコア密度45〜70kg/m3、25%硬度16〜30kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましい。
一方、表面にソフト感が望まれるシートパッドあるいは初期の着座フィーリングを良くすることを目指すシートパッドの場合、シートパッド本体2の構成材料としては、コア密度40〜70kg/m3、25%硬度8〜20kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましく、挿填体4はコア密度25〜55kg/m3、25%硬度16〜30kgf/φ200のポリウレタンフォームが好ましい。
この車両用シートパッドにあっては、凹所3及び挿填体4の前後方向の長さが150〜500mm、特に200〜400mmであり、幅方向の長さが150〜500mm、特に200〜400mmであり、凹所3の深さが尻下部2aにおけるシートパッド1の厚さの30〜90%、特に60〜80%であることが好ましい。
シートパッド本体2と挿填体4とを貼り合わせる場合、その接着剤としては、ウレタン系の接着剤等を用いることができる。なお、凹所3は、入口側が窄まる形状であってもよく、このようにすれば挿填体4が脱落しにくくなり、接着剤を不要としたり、接着剤量を少なくすることができる。
なお、シートパッド本体2と挿填体4との接合方法は接着に限らず、粘着あるいはマジックテープ(商品名)等の平面ファスナにより接合してもよい。
この車両用シートパッド1によれば、シートパッド本体2の構成材料と挿填体4の構成材料との組み合わせに制約を受けることなく、それぞれ独立に、任意の幅広い材料から選定することができるため、硬度その他の物性について様々な組み合わせを採用して幅広い要求性能に対応することができる。
この実施の形態では、特に、シートパッド本体2は安価な低密度材料で構成し、挿填体4は高性能材料で構成することにより、腿下部2bが柔らかくて着座時の快適性に優れると共に、尻下部2aが高硬度であり支持安定性に優れたものとなる。
なお、第3図は第1図に示すシートパッド本体2及び挿填体4を成形するための金型20の平面図である。この金型20の平面視形状は、長方形であり、長手方向の両端側に2個のキャビティ21,22が設けられ、これらのキャビティ21,22同士の間に2個のキャビティ23,24が配置されている。キャビティ21,22は同一形状であり、それぞれシートパッド本体2を成形するためのものである。キャビティ23,24も同一形状であり、それぞれ挿填体4を成形するためのものである。挿填体4は尻下部2aにのみ配置されるものであり、シートパッド本体2に比べて小さいので、その成形用のキャビティ23,24は金型20の幅方向に並ぶように配列されている。
なお、第3図のキャビティの配列は一例であり、キャビティの配列は図示以外でもよい。例えば、キャビティ21,22を隣接配置し、キャビティ23,24を金型20の長手方向の一端側に配置してもよい。いずれの場合にあっても、金型に各キャビティをコンパクトに配置することにより、比較的小さな金型を用いて同時にそれぞれシートパッド本体2及び挿填体4を2個ずつ生産することができ、成形効率が良好である。
第1図の車両用シートパッド1では、尻下部2a、腿下部2b、サイド部2sに相当する部分を一体のシートパッド本体2としているが、第2図のようにサイド部12を中央部11と別の材質を用いて同時成形するか、あるいは別個に成形して接着してなるシートパッド本体10を用いてもよい。この場合、サイド部を高硬度とすることにより、着座した乗員の身体をしっかりと支えることが可能となる。サイド部12を別個に成形して接着する代りに、サイド部12を予め成形しておき、これを金型内に配置して中央部11を発泡成形して一体化させてもよい。逆に、中央部11を予め成形しておき、これを金型内に配置してサイド部を発泡成形して一体化させてもよい。
上記実施の形態では、凹所3内に1個の挿填体4を挿填しているが、第10図の如く複層状に2以上の挿填体を凹所3内に装填してもよい。この場合、上側に配置される挿填体と下側に配置される挿填体とで特性を異ならせることができる。第10図では挿填体として上層挿填体4''及び下層挿填体4’の2層を挿填している。この実施の形態では、上層挿填体4''はモールド品でなくてもよく、スラブ材などの切り出し品を用いてもよい。上層挿填体4''はウレタン以外の材質でもよい。上層挿填体4''はフィルムなど通気性をコントロールするシートであってもよい。上層挿填体4''の材質を選定することにより、シートパッドの振動特性を変えることも可能である。
第5〜9図は、それぞれ尻下部に複数の挿填体を設けた実施の形態を示している。第5図では2個の凹所3にそれぞれ挿填体4を挿入している。第5〜9図では、挿填体4A,4C,4E,4Gに小挿填体4B,4D,4F,4Hを嵌合させている。
第6,7図においては挿填体4A,4Cと小挿填体4B,4Dの材質を目的に応じて全て変えることも可能である。第6図の場合は尻下部は3層構造となる。第7図の場合は挿填体4Cが鉢巻き上に小挿填体4Dを取り囲むようになる。
第8,9図の様に挿填体4E,4G及び小挿填体4F,4Hの縦壁に傾斜を付けると、着座方向に対して縦壁部4a,4bが寝ているため、着座時に縦壁部を感じることがなく、違和感の発生を抑えることが出来る。第8図では縦壁部4aは順テーパ形であるが、第9図では縦壁部4bは逆テーパ形である。この第9図の場合は、小挿填体4Hの脱落を防ぐことも出来る。
上記説明では、シートパッド本体と挿填体との硬度を異ならせているが、動的特性が異なるようにしてもよい。
実施例1
シートパッド本体にJIS K 6401に規定する硬さが150Nのウレタンフォームを用い、挿填体として硬さが270Nのウレタンフォームを用いて第1図に示す車両用シートパッド1を製造し、その尻下部における荷重(N)−圧縮特性(圧縮量mm)を測定した。結果を第4図に示す。
シートパッド本体にJIS K 6401に規定する硬さが150Nのウレタンフォームを用い、挿填体として硬さが270Nのウレタンフォームを用いて第1図に示す車両用シートパッド1を製造し、その尻下部における荷重(N)−圧縮特性(圧縮量mm)を測定した。結果を第4図に示す。
比較例1
硬さ230Nのウレタンフォームの一体発泡により車両用シートパッドを製造した。この車両用シートパッドの尻下部における荷重(N)−圧縮特性(圧縮量mm)を測定した。結果を第4図に示す。
硬さ230Nのウレタンフォームの一体発泡により車両用シートパッドを製造した。この車両用シートパッドの尻下部における荷重(N)−圧縮特性(圧縮量mm)を測定した。結果を第4図に示す。
第4図の通り、実施例1によると、比較例1に比べて、低圧縮域では荷重を小さく抑え(圧縮量大きく)、逆に高荷重域では荷重を大きく(圧縮量小さく)なる特性が得られている。
また、実施例1及び比較例1の車両用シートパッドについて、小さい加圧子を用いて上面の表面付近の圧縮特性を計測したところ、実施例1の方が表面に柔らかい材料を用いているところから、初期(押し込み深さ20mm以内)の圧縮特性が比較例1に比べ低荷重であることが認められた。また、官能試験を行ったところ、実施例1の方が比較例1よりも柔らかい感触であることが認められた。
1 車両用シートパッド
2,2A,2B,2C,2D,2E,10 シートパッド本体
2a 尻下部
2b 腿下部
3 凹所
4,4A,4C,4E,4G 挿填体
4B,4D,4F,4H 小挿填体
11 中央部
12 サイド部
2,2A,2B,2C,2D,2E,10 シートパッド本体
2a 尻下部
2b 腿下部
3 凹所
4,4A,4C,4E,4G 挿填体
4B,4D,4F,4H 小挿填体
11 中央部
12 サイド部
Claims (7)
- 尻下部の下方の底面部に上方へ向って凹陥する凹所が設けられたシートパッド本体と、
該凹所に挿填された、該シートパッド本体とは特性の異なる挿填体とを備えてなる車両用シートパッド。 - 請求項1において、該挿填体は該シートパッド本体よりも高硬度であることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項1又は2において、該シートパッド本体の中央部とサイド部との特性が異なることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項3において、該サイド部は該中央部よりも高硬度であることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該凹所内に複層状に複数の挿填体が挿填されていることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該凹所の深さは、尻下部における車両用シートパッドの厚さの30〜90%であることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、挿填体の前後方向長さが150〜500mmであり、幅方向長さが150〜500mmであることを特徴とする車両用シートパッド。
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- 2003-10-07 JP JP2003348498A patent/JP2007006911A/ja active Pending
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2004
- 2004-10-05 WO PCT/JP2004/014624 patent/WO2005034685A1/ja not_active Application Discontinuation
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