JPWO2002041736A1 - 車両用シートパッド - Google Patents

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Abstract

車両用シートパッド1は、シートの着座部(尻下部)、腿下部、サイド土手部に相当する上面部2と、その下側の底面部3とを有する。上面部2と底面部3とは各々別々に成形され、接合されている。底面部3は、異車種で共用化可能に同一形状とされており、車種やグレードが異なるものに対してもその一部を共用化可能である。底面部3と上面部2との間に着座センサ4が配置されている。

Description

技術分野
本発明は車両用シートパッドに係り、特に、別々に成形された上面部と底面部とを接合して一体化してなる車両用シートパッドに関する。
背景技術
車両用シートパッドは、一般に軟質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォームで構成されている。
車両用シートパッドの着座時の快適性を向上させるために、人体が直接接触する表層部は柔軟な材料で構成し、その下側の部分については、剛性を確保するために比較的硬度の高い材料で構成した2層構造の車両用シートパッドが提案されている。この車両用シートパッドは、一般に、金型内に硬さの異なる2種類のウレタン配合原液を同時に或いは時間差をおいて注入成形する方法により製造される。
車両用シートでは、自動車の車種やグレードにより、シートパッドの着座部、腿下部、サイド土手部、背もたれ部等の形状、材質は全く異なるものとなっている。シートパッドを取り付けるフレーム部分については、コスト削減を目的として、共用化による大量生産が進められており、車種やグレードが異なる車でも、同一のフレームを適用するようになっている。このため、シートパッドについても、表層側は車種やグレードに応じて異なるものとされているが、フレームに接する裏面の形状は、車種やグレードが異なっても同一形状とされるようになってきている。
同一の金型内に2種類のウレタン配合原液を注入して成形する方法では、異材料の境界部分において、液混じりにより境界位置が安定せず、再現性のあるばらつきのない製品が得られない場合が多い。過度に発泡性や物性の異なる材料同士を組み合わせることは困難であるために、用いる材料にも自ずと制約を受け、表層と下層との材料特性に変化をつけにくいことから、要求性能を満足し得ない場合があるという問題もある。更には、材料に制約を受けるために、材料コストが高くならざるを得ない場合があるという問題もある。
前述の如く、自動車のシートのフレームについては、共用化が進められているが、シートパッドについては、共用化はなされておらず、依然として車種やグレード毎に異なるシートパッドが製造されているのが現状である。
自動車において、助手席用エアバッグの誤作動を防止するため、シートに着座センサが取り付けられることがある。助手席側のシートクッションパッドの座表面にフィルム状のセンサーが貼り付けられることが多いが、次の問題点がある。
i) 貼り付け工数が生じる。また貼り付け精度が要求されるが、貼り付け時の位置決めが難しい。
ii) 着座時センサーを異物として感じる。
iii) チャイルドシートを取り付けた場合等の集中荷重が生じた場合、センサーが傷み、誤作動が生じる。
iv) 上記ii),iii)の不具合を解消するには、パッド座表面にセンサーを貼り付けた上に更にスラブフォームを貼り付ける工夫が必要であり、工数を非常に掛ける必要がある。
v) シートパッドの表面デザインに応じセンサー形状を変更する必要があり車種によらない共通化ができない。
発明の開示
本発明の目的は、車種やグレードが異なるものに対してもその一部を共用化することでコストダウンを図ることができ、しかも、表層と下層とで独立して材料選定を行うことができ、これにより材料コストを抑えた上で幅広い要求性能に対応することが可能な車両用シートパッドを提供することにある。
本発明の他の目的は、着座センサを有する車両用シートパッドにおいて、容易に製造することができ、着座センサによる違和感がなく、また、着座センサに対して集中荷重が加えられることがなく、着座センサの誤動作が防止されると共に、着座センサの耐久性も良好で、さらに、着座センサを異機種の車両用シートパッドにわたって共通化することができる車両用シートパッドを提供することにある。
本発明の第1の態様に係る車両用シートパッドは、上面部と底面部とが別々に成形され、両者が接合されてなる車両用シートパッドであって、底面部が異車種で共用化可能に同一形状とされているものである。
この車両用シートパッドは、上面部と底面部とを別々に成形して接合したものであるため、上面部の構成材料と底面部の構成材料との組み合わせに制約がない。上面部と底面部の材料をそれぞれ独立して、幅広い材料から選定することができるため、硬度その他の物性について様々な組み合わせを採用して幅広い要求性能に対応することができる。しかも、底面部が同一車種の異グレードはもちろん、車種が異なるものについても共用化可能な同一形状をされているため、この底面部を共用することでコスト削減を図ることができる。
本発明の第2の態様に係る車両用シートパッドは、上面部と底面部とが別々に成形され、両者が接合されてなる車両用シートパッドであって、底面部と該上面部との合わせ面にシート状の着座センサが配置されているものである。
かかる車両用シートパッドにあっては、デザインに関わらない車両用シートパッド内部に設置するため、位置決めの工夫(例えば穴やけがき)を施すことができる。また、後貼り工数も大幅に削減される。
また、この車両用シートパッドにあっては、着座センサが内部の深い位置に配置されているため、着座センサの異物感が解消される。さらに、センサーに対し集中荷重が掛かりにくくなり、動作不良が軽減される。
着座センサは表面デザインに影響を受けないので、車種に関係しない共通化が可能となる。
発明の好ましい形態
まず、図1a〜1cを参照して、第1の態様に係る車両用シートパッドの実施例を説明する。
車両用シートパッド1は、シートの着座部(尻下部)、腿下部、サイド土手部に相当する上面部2と、その下側の底面部3とが各々別々に成形され、両者が貼り合わせにより接合されたものである。
上面部2は、車種やグレードに応じてデザインが種々変更される部分であり、人体が直接接触する部分であるため、クッション性を重視するコンセプトのパッド、或いはシートパッドの上にかぶせるカバー材として厚さ5mm以上のソフトウレタンやそれに類するものが用いられている場合は、上面部は安価な低密度材で構成し、厚さ方向でより大きな体積を占める底面部の材料を高性能材を使用する組み合わせとするのが好ましい。
上面部2の構成材料としては、コア密度25〜45kg/m、25%硬度15〜20kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましく、底面部3はコア密度45〜70kg/m、25%硬度16〜30kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましい。
表面にソフト感が望まれるパッドあるいは初期の着座フィーリングを良くすることを目指すパッドの場合、上面部2の構成材料としては、コア密度45〜70kg/m、25%硬度8〜20kgf/φ200のポリウレタンフォームが望ましく、底面部3はコア密度25〜45kg/m、25%硬度16〜30kgf/φ200のポリウレタンフォームが好ましい。
上面部2の形状や寸法は、車種やグレード毎によりそのデザインにより決められるため、各々の成形型を用いてウレタン配合原液を注入して発泡成形することにより製造することができる。
底面部3は、シートパッド1の正規着座座面部(尻下部)の裏面側に位置し、車種、グレード間で共用されるシートフレームに合致する裏面形状を有する。
底面部3は、異車種で共用化できるように同一形状とされている。底面部3は、同一の成形型を用いて成形されてもよく、ポリウレタンフォームブロック体からの切り出しで製造されても良い。
底面部3は、異車種間で共用することから、その寸法は共用フレームに合致しかつ異なる上面部と任意に一体化可能な大きさであり、しかも着座時の快適性(座り心地)や支持安定性等を確保するために十分な大きさであることが好ましい。共用部分を大きくすることによる優位性、着座時の快適性(座り心地)や支持安定性等を高めることなどの観点からは、この底面部3の寸法は大きいことが好ましいが、高性能材料よりなる底面部3の寸法を大きくすることはコストアップを招くことになる。底面部3の寸法は、前後方向の長さLが300〜700mm、特に400〜550mmで、幅方向の長さWが200〜500mm、特に300〜400mmであり、厚さTがパッドの総厚Tの50〜90%、特に60〜80%であることが好ましい。
パッドの総厚Tとは、正規着座座面部の主着座部分の総厚であり、底面部3の厚さTはこの部分の厚さを指し、パッドの端部側においては、フレームとの結合のため、或いはシートとしての形状をなすために、このような厚さ比にならない部分が存在する。
上面部2と底面部3とを貼り合わせる接着剤としては、ウレタン系の接着剤等を用いることができ、上面部2と底面部3とは常法に従って貼り合わせにより一体化される。
上面部2と底面部3との接合方法は貼り合わせに限らず、マジックテープ(商品名)等の平面ファスナにより接合しても良く、その他結合部の形状の工夫により、底面部を上面部にはめ込む等で結合してもよい。
図2a,2bは、このように、嵌合により一体化した車両用シートパッド1Aを示す断面図である。車両用シートパッド1Aは、上面部2の裏面に底面部3を嵌合可能な凹部2Aが設けられており(図2a)、この凹部2Aに底面部3を嵌合することにより一体化される(図2b)。
図1a〜1cに示す接着型の車両用シートパッドにおいて、上面部2を2種以上の異なる材料で構成しても良い。例えば、図3の車両用シートパッド1Bは、裏面に底面部3を嵌合可能な凹部2Aが設けられた上面部2が、土手部2a,2aと着座表面部2bとで異なる材料とされている。上面部2は、同一型内に異なるウレタン配合原液を注入して発泡成形することにより製造することができる。
図1a〜3の車両用シートパッドでは、着座部、腿下部、サイド土手部に相当する部分を上面部2とし、その下側に底面部3を設けているが、上面部2及び底面部3との構成部位はこれに限らず、例えばサイド土手部の下側にも底面部3を設けるようにしても良い。
本発明の車両用シートパッドは、乗用車、バス、トラック等の各種車両用シートパッドに対して、底面部を共用化した上で車種やグレード毎に異なるシートを形成することができ、車両用シートパッドのコスト削減に有効である。
次に、図4a〜4c及び図5を参照して、第2の態様に係る車両用シートパッドを説明する。
車両用シートパッド1Cは、シートの着座部(尻下部)、腿下部、サイド土手部に相当する上面部2と、その下側の底面部3とが各々別々に成形され、この底面部3の上面に着座センサ4が配置され、該底面部3と上面部2とが貼り合わせにより接合されたものである。
この実施の形態にあっては、底面部3の上面及び上面部2の合わせ面は全体として平坦な水平面となっている。ただし、着座センサ4を配置する部分だけを平坦面とし、それ以外の合わせ面には、底面部3と上面部2との位置合わせ用の凹部又は凸部を形成してもよい。
このように、上面部2と底面部3との合わせ面のうち少なくとも着座センサ4が配置される部分を平坦面(好ましくは水平面)とすることにより、シート状の着座センサ4をきわめて容易に底面部3上に配置することができる。
底面部3の上面には、着座センサ4の配置位置を示す表示を設けておくのが好ましい。この表示としては、着座センサ4の外縁に沿う線(例えば、けがき線)が好ましいが、着座センサ4の外縁位置上に設けられた穴であってもよい。
着座センサ4を設けた部分における上面部2の厚みは、上面部2と底面部3との合計の厚みの10〜50%程度であることが好ましい。この厚みの上面部2は、車両用シートパッド1Cに座ったときの違和感を解消する。この厚みの上面部2は、着座センサ4に対し集中荷重が負荷されることを防止し、着座センサ4の誤動作や劣化、損傷等も防止する。
本発明では、図6のように、着座センサ4にチップ状軟質体6を設けると共に、底面部3Aの上面に凹部5を設け、該凹部5にチップ状軟質体6を嵌合させて着座センサ4の位置決めを行ってもよい。
凹部5及びチップ状軟質体6を、ぴったりと嵌合する略直方体形状とすることにより、チップ状軟質体6と凹部5との嵌合時の姿勢を一義的に定めることができ、着座センサ4の位置と方向を一義的に定めることができる。即ち、チップ状軟質体6及び凹部5が立方体であると、チップ状軟質体6の向きが90°ずれるように両者が嵌合される可能性がある。チップ状軟質体6及び凹部5が円柱形であると、チップ状軟質体6の方向が定まらない。略直方体のチップ状軟質体6は、直方体のほかに、直方体の角が取れて丸みを帯びた形状(例えば楕円柱状)のものを包含する。
チップ状軟質体6は、底面部4を構成するウレタンフォーム等の発泡体と同一のものが好ましい。
チップ状軟質体6は、着座センサ4の本体部分から外方に張り出した位置に設けられるのが好ましい。これにより、チップ状軟質体6を凹部5に嵌合させる様子を目視確認しながら着座センサ4を底面部3A上に配置することができ、着座センサ4の配置作業性が向上する。
凹部5及びチップ状軟質体6は、好ましくは、車両用シートパッドの前部中央付近に配置される。
上面部2及び底面部3,3Aはいずれもポリウレタンフォームよりなることが好ましい。上面部2と底面部3,3Aとはウレタン系の接着剤によって接着されるのが好ましいが、平面ファスナ等によって接合されてもよい。
図4a〜6の車両用シートパッドでは、着座部、腿下部、サイド土手部に相当する部分を上面部2とし、その下側に底面部3を設けているが、上面部2及び底面部3との構成部位はこれに限らず、例えばサイド土手部の下側にも底面部3を設けるようにしても良い。
産業上の利用可能性
以上詳述した通り、第1の態様に係る車両用シートパッドによれば、上面部の構成材料と底面部の構成材料との組み合わせに制約を受けることなく、それぞれ独立に、任意の幅広い材料から選定することができるため、硬度その他の物性について様々な組み合わせを採用して幅広い要求性能に対応することができる。同一車種の異グレードはもちろん、車種が異なるものについても底面部を共用することでコスト削減を図ることができる。上面部が安価な低密度材料で構成され、底面部が高性能材料で構成されたシートパッドは、着座時の快適性、支持安定性、安定性に優れると共に、パッド全体の材料コストが低い。
第2の態様に係る車両用シートパッドは、着座センサによる違和感がない。この車両用シートパッドは、着座センサに対して集中荷重が加えられることを防止し、着座センサの誤動作を防止し、着座センサの耐久性も向上させる。この車両用シートパッドは、着座センサを異機種の車両用シートパッドにわたって共通化することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
図1aは、第1の態様に係る車両用シートパッドの実施の形態を示す斜視図であり、図1bは図1aのIb−Ib線に沿う断面図、図1cは図1aのIc−Ic線に沿う断面図である。
図2aは、本発明の車両用シートパッドの他の実施の形態の底面部の嵌合前の状態を示す断面図、図2bは同底面部の嵌合後の状態を示す断面図である。
図3は、本発明の車両用シートパッドの別の実施の形態を示す断面図である。
図4aは、第2の態様に係る車両用シートパッドの実施の形態を示す斜視図であり、図4bは図4aのIVb−IVb線に沿う断面図、図4cは図4aのIVc−IVc線に沿う断面図である。
図5は、本発明の車両用シートパッドの底面部の斜視図である。
図6は、本発明の別の実施の形態に係る車両用シートパッドの底面部を示す斜視図である。

Claims (18)

  1. 上面部と底面部とを有する車両用シートパッドであって、
    該上面部と底面部とは、別々に成形された後、接合されており、
    底面部が異車種で共用化可能な同一形状とされている車両用シートパッド。
  2. 請求項1において、底面部は正規着座座面部の裏面側であることを特徴とする車両用シートパッド。
  3. 請求項1又は2において、上面部と底面部とが別材料にて構成されていることを特徴とする車両用シートパッド。
  4. 請求項3において、上面部は底面部よりも安価な低密度材料で構成されており、底面部は高性能材料で構成されていることを特徴とする車両用シートパッド。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、上面部と底面部とが貼り合わされていることを特徴とする車両用シートパッド。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、底面部の厚さは車両用シートパッドの総厚の50〜90%であることを特徴とする車両用シートパッド。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、底面部の前後方向長さが300〜700mmであり、幅方向長さが200〜500mmであることを特徴とする車両用シートパッド。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、上面部と底面部とが異なる金型で製造され一体化されたものであることを特徴とする車両用シートパッド。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、上面部の土手部と着座表面部とが同一の金型内で互いに異なる材料で成形されており、該上面部は底面部と嵌合可能な凹部を有し、該凹部に底面部を嵌合してなることを特徴とする車両用シートパッド。
  10. 上面部と底面部とを有する車両用シートパッドであって、
    該上面部と底面部とは別々に成形された後、接合されており、
    底面部と該上面部との合わせ面にシート状の着座センサが配置されている車両用シートパッド。
  11. 請求項10において、該合わせ面の少なくとも該着座センサを配置する面が平坦面となっていることを特徴とする車両用シートパッド。
  12. 請求項10又は11において、該底面部の該着座センサを配置する面に着座センサの配置位置の表示が施されていることを特徴とする車両用シートパッド。
  13. 請求項12において、該表示は該着座センサの外縁に沿う形状の線よりなることを特徴とする車両用シートパッド。
  14. 請求項12において、該表示は穴よりなることを特徴とする車両用シートパッド。
  15. 請求項10ないし14のいずれか1項において、該着座センサにチップ状軟質体が設けられており、該底面部に該チップ状軟質体が嵌合した凹部が設けられていることを特徴とする車両用シートパッド。
  16. 請求項15において、チップ状軟質体及び凹部が略直方体形状であることを特徴とする車両用シートパッド。
  17. 請求項15又は16において、該チップ状軟質体及び凹部は、該車両用シートパッドの前部の中央付近に配置されていることを特徴とする車両用シートパッド。
  18. 請求項10ないし17のいずれか1項において、該上面部と底面部とが貼り合わされていることを特徴とする車両用シートパッド。
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