JPH0527883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 この考案は、主として自動車等の輸送関係およ
び家具、寝具等に使用される発泡クツシヨン体の
好適なクツシヨン性と形状を長期に保持し、良好
な着座感とソフトなサスペンシヨン機能を十分に
発揮させるばね機能を有する特殊構造のフアブリ
ツクをフオームクツシヨン体に埋設一体化した複
合クツシヨン体に関するものである。 〔従来の技術〕 従来、座席用クツシヨン体としては、クツシヨ
ン性にすぐれたポリウレタンフオームをもつて全
体を成形したフオームタイプのものが多く使用さ
れているが、該フルフオームタイプのものにおい
ては、柔軟なポリウレタンフオームを使用する
と、着座時の座面に局部変形が生じ、この凹み内
に長時間着座していると疲労しやすく、また、局
部変形に対する表面強度も不充分で耐久性の得ら
れないものである。 そこで、このような欠点を改良するため、主体
の柔軟な発泡クツシヨン体の座面に、該主体より
硬度の高い連続気泡の片面を熱溶融した板材を埋
め込み一体化した系統のものが特公昭57−7726号
公報に開示されている。また、異質の補強材にて
改良を企図した系統として実開昭61−170360号公
報には、その請求の範囲として、「プラスチツク
製延伸フイラメントよりなる網状体２をポリウレ
タンフオームよりなる主体１の表層部に全面的に
埋込み一体化して表面補強層を形成したことを特
徴とする座席用クツシヨン体」が開示されてい
る。 また、硬度の異なるクツシヨン体の間に板状体
を介在せしめて積層する系統として、特開昭61−
234806号公報が開示されている。すなわち、「25
％圧縮硬さ（JIS K6401による）15Kg／200mmφ
以上のクツシヨン体と、同じく14Kg／200mmφ以
下のクツシヨン体とをそれらの間に板状体を介在
せしめて積層してなる複合クツシヨン体」を要旨
とするものである。その外、ポリウレタンフオー
ムで成形されたクツシヨン体において、座面と両
側部の土手部を異なる硬度のウレタンフオームに
よつて成形されたクツシヨン体系統のものがあ
る。この系統で繊維集合体を詰め込んでバインダ
ーで結合させるものが特開昭61−137732号公報に
開示されている。すなわち、「繊維を主体的に交
絡させた綿状の繊維集合体の繊維相互をウレタン
系バインダーによつて結合させてクツシヨン体を
形成すると共に、このクツシヨン体の一部に、繊
維集合体の密度または上記バインダーの含浸量を
変化させるか、あるいは別の繊維集合体を詰込ん
でバインダーで結合させることにより、上記クツ
シヨン体とは硬度の異なる部位を形成したことを
特徴とする異硬度クツシヨン体。」を要旨とする
ものである。 その外、フオームパツドの下面のシートフレー
ムに金属スプリングを設けたスプリング組付けタ
イプのもの等がある。 また、織物材料をフレームに張設して、剛性を
増大して荷重を緊張支持するようにしてフオーム
と一体化した構造のものが、実開昭61−172560
号、特開昭59−80212号公報に開示されている。
これらのフレーム張設構成は、縦方向の２方向を
フレームに張設するものであり、剛性を増大し良
好なクツシヨン性が得られないばかりでなく、自
由性がなきため応力の集中による繊維のクリープ
性が大きく経時的に局部的変形を生起するもので
ある。 以上、従来技術としては、フオームタイプのも
のには、柔軟な連続気泡の発泡体または柔軟な発
泡体と高密度の硬度の高い発泡体との組合せのも
のがあり、また、織物関係材料にて補強されるも
のは、従来、通常縦糸と横糸が同程度の補強性を
有する平織系の一般の織物組織布にて行なわれて
いるものである。すあわち、剛性の大なる織布に
て全体を支持する構想の下に組み立てられている
ものである。また、織物以外の合成樹脂等の板状
体を補強体として使用するものもあるが、同じく
剛性の大なる平面体にて支持する構想であつて、
いずれの場合も、介在体に自由性の大なるばね機
能を備えているものではない。 〔考案が解決しようとする問題点〕 上記従来のクツシヨン体は、フルフオームタイ
プのものでは、柔軟な連続気泡のフオームを使用
すると座面の局部変形が大きく、変形が大きいと
長時間着座していると、着座部の疲労感が増大す
る。また、高密度の発泡体との組合せにおいて
も、クリープ性は大きく、時間の経過と共に変形
は増大し、破損性並びに形状の変形性も増大し、
耐久性が低下する。また、高密度の発泡体を直接
着座面に形成すると、好適な接触ソフト感が得ら
れない。 またフナブリツク補強のクツシヨン体において
は、すべてスプリング性にすぐれたサスペンシヨ
ン機能は発揮できないものであり、フアブリツク
素材としては、通常反発弾性は全く考慮されてい
ないものである。素材に弾性繊維が一部考慮され
たものがあるが、縦横同程度のヤーンの撚り糸か
らなる一般の織物組織を２方向をフレームに張設
して剛性な支持性を発揮するように形成するもの
で、張設による縦横の凹みによつて支持する圧迫
感を形成するものである。 以上のとおり、クリープ性およびソフトな反発
弾性強度等の機械的性質、発泡クツシヨン体の形
状の長期安定性等のエンジニアリング性能に劣る
ものである。従つて、この考案においては、いす
や寝具関係等のクツシヨン体には、特に有効に、
柔軟なフオームクツシヨン体の性能を充分に生か
しうるばね機能を有する補強材として、また、一
般の緩衝用クツシヨン体にも好適な適合性を発揮
しうるばね機能を有する特殊なフアブリツクの組
織布を探究し、従来の問題点の解消を目指すもの
である。 なお、従来のフルフオームタイプの肉厚の厚い
クツシヨン体の厚さの薄肉化と、薄肉化の欠点で
あるボトミング（BOTTOMING、底付き）感の
問題点の解消をも目指すものである。 〔問題点を解決するための手段〕 この考案のばね機能を有する補強用フアブリツ
クとしては、主として、エンジニアリング性能に
すぐれたポリエステル繊維系またはポリウレタン
繊維系を使用し、スプリング性にすぐれたサスペ
ンシヨン機能をうるため、従来のフアブリツクの
構成である縦糸と横糸が同じような撚り糸からな
るバランス的な剛性組織布の使用を排除し、すぐ
れた反発弾性とクリープ性および寸法安定性の得
られる組織布として、スプリング性にすぐれ且つ
高い復元性をもつエラストメリツクモノフイラメ
ントを横糸に使用し、縦糸にはヤーン又はエラス
トメリツクモノフイラメントを使用し、該縦糸と
の交点において、接着または融着にて結合して、
フアブリツクの寸法安定性を保持するようにし、
ダンピング特性とスプリング性にすぐれたサスペ
ンシヨン機能が得られるように構成する。なお、
横糸に結合する縦糸にエラストメリツクモノフイ
ラメントを使用する場合にあつては、一般の緩衝
用クツシヨン体として縦方向と横方向を同じよう
な特性にて支持する用途に好適である。このよう
な場合、縦糸の径は、縦糸の径と同等であつても
よいが、横糸のスプリング性を十分発揮させるよ
うな場合は、むしろ縦糸を小径とする方が好まし
い。また、打込み数も横糸のピツク数以下が好ま
しい。 上記構想に基づき、通常エラストメリツクモノ
フイラメントの横糸の繊維径は、0.125mm以上1.5
mm以下の範囲において使用され、各種のモノフイ
ラメント径および／または各種のピツク数
（Picks、2.54cm間におけるモノフイラメントの本
数）の組合せによつて、所要のばね定数が得ら
れ、各種のサスペンシヨン機能が得られる。ま
た、この組織のフアブリツクをフオームクツシヨ
ン体のぱね機能を有する補強材として複数層を使
用する場合、横糸のモノフイラメントのピツク数
を、各層異なるピツク数または横糸の径を異にす
る組合せ、あるいは、横糸の径およびピツク数の
両者の色々な組合せに構成することによつて、用
途に応じて適切なばね定数が得られ、各種の所要
のスプリング性にすぐれたサスペンシヨン機能が
得られる。特に、この考案の複合クツシヨン体
は、フオームクツシヨン体の各部のばね機能を有

【表】 これらのフアブリツクの性能は、一定の面積内
でのモノフイラメントの直径や本数またはモノフ
イラメントの基本ポリマーにより変化する。 次に、フアブリツクの横糸と縦糸の一例を第１
表−２に示す。

〔作用〕

この考案の複合クツシヨン体は、上述のとお
り、横糸のエラストメリツクモノフイラメントを
主体とするフアブリツクのため、好適な高復元性
を持つた弾力的サスペンシヨン機能を発揮するこ
とができ、また、縦糸と横糸の支交点において接
着または融着結合されているため、エラストメリ
ツクモノフイラメントの位置が長期に保持され、
高い引裂き強度が得られると共にフアブリツクの
変形が防止される。従つて、該フアブリツクによ
つて補強されたフオームクツシヨン体は、初期の
クツシヨン体の形態が長期に保持される。また、
エラストメリツクモノフイラメント径、ピツク数
の組合せによつて、好適な各種のばね定数、ダン
ピング機能、スプリング性にすぐれたサスペンシ
ヨン機能が得られるため、クツシヨン体の厚さを
薄くし重量を軽減することができる。また、座席
等のフオームクツシヨン体の横方向に、このフア
ブリツクの、横糸のエラストメリツクモノフイラ
メントを設定して埋設一体補強されたクツシヨン
体は、好適な着座感と着座姿勢が得られるサスペ
ンシヨン機能を有し、すぐれたダンピング特性を
発揮するものである。また、座席の両側部のフオ
ームの隆起状の土手部に、フアブリツクの横糸を
横方向に設定して柔軟な発泡体と埋設一体化され
たものは、充分なスプリング性を有する支持作用
と好適でかつソフトな接触感が得られ、全体的に
良好な着座感を形成するものである。 〔実施例〕 第１図は、この考案のばね機能を有する補強材
に使用されるフアブリツクＦの一例を示す斜視図
で、１は延伸処理されたポリエステル系のエラス
トメリツクモノフイラメントからなる横糸、２は
ポリエステル系のステープルヤーンからなる縦糸
である。 次に、ポリエステル系ポリマーのエラ
ストメリツクモノフイラメントの径が0.35mmの各
グレードの物性の一例を第２表に示す。

【表】

〔考案の効果〕

この考案の複合クツシヨン体は、前記作用項に
て記載のような特殊な機能を発揮するため、長期
にわたり形崩れのない初期のクツシヨン体形を保
持する耐久性を有し、埋設するエラストメリツク
モノフイラメントを有するフアブリツクのすぐれ
た弾力性とダンピング性を有するサスペンシヨン
機能を発揮するため、着座時には違和感のない好
適な着座感が得られ且つ着座面の局部的変形も解
消され、従来のフルフオームタイプのように長時
間の着座時に生起される疲労感や底付き感は解消
される。 なお、このエラストメリツクモノフイラメント
を主体とするフアブリツクは、フルフオーム的弾
性を有するするため、ポリウレタンフオームより
なる主体の底面に硬度の高い連続気泡を有する板
体を埋込み一体化したものや、非定形の短い弾性
部材の多数個を芯材として不規則に埋込み一体化
したもの比べても、これらには得られないフルフ
オームタイプ的緩衝性とソフトな弾性的サスペン
シヨン性との相乗的効果による一段とすぐれた座
り心地が得られる。従つて、金属スプリング併用
のものより好適なソフトな着座感が得られ且つ軽
量化され、小型化が可能となつた。 また、ハード・ソフトタイプのウレタンフオー
ムを積層して形成する従来のフルフオームクツシ
ヨンにおけるフオームの薄肉化には、底付き感解
消のため限界があつたが、この考案の複合クツシ
ヨン体の設定によつて薄肉化の達成が可能となつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のフアブリツクの一例を示
す斜視図、第２図は、この考案のフアブリツクの
一例の伸び特性曲線図、第３図は、フアブリツク
とフオームとの複合試料CSとフオーム試料USと
の荷重とたわみ量との比較の一例を示すヒステリ
シス曲線図、第４図は、この考案の複合クツシヨ
ン体の実施の一例を示す該要断面図、第５図は、
同概要平面図、第６図は、この考案の複合クツシ
ヨン体の他の実施例を示す概要断面図、第７図
は、一部切欠して埋設フアブリツクを示す概要平
面図、第８図は、この考案の複合クツシヨン体の
もう一つの実施例の概要断面図、第９図は、同概
要平面図である。 １……エラストメリツクモノフイラメントの横
糸、２……縦糸、３，６，７……フアブリツク、
４，５，８……フオームクツシヨン体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 繊維径が0.125mm以上1.5mm以下のエラストメ
   リツクモノフイラメントの横糸と、ヤーン又は
   エラストメリツクモノフイラメントの縦糸とか
   らなるフアブリツクを、横糸と縦糸の交点にて
   結合し、そのフアブリツクの一層または複数層
   を、フオームクツシヨン体の各部のばね機能を
   有する補強埋設構造として、上記フアブリツク
   の横糸の方向を、用途に応じてフオームクツシ
   ヨン体の横方向または縦方向に埋設一体化した
   ことを特徴とする複合クツシヨン体。 (2) 複数層のフアブリツクの各層の横糸が、ピツ
   ク数又はモノフイラメント径の異なる組合せ、
   あるいは、ピツク数とモノフイラメント径との
   両者の色々な組合せにより構成された実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の複合クツシヨン
   体。 (3) 横糸と縦糸の基本ポリマーが同系統または異
   系統のポリマーの合成繊維から構成された実用
   新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の複
   合クツシヨン体。