JPWO2014141721A1 - 二次電池用バインダー組成物、二次電池用スラリー組成物、二次電池用負極、および、二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、近年では、二次電池の更なる性能向上を達成すべく、これら電池部材の形成に用いられるバインダー組成物やスラリー組成物の改良が試みられている。
そして、本発明は、集電体と負極合材層との密着性に優れ、かつ、二次電池の電気的特性を向上させることができる二次電池用負極を提供することを目的とする。
更に、本発明は、集電体と負極合材層との密着性が優れており、かつ、電気的特性に優れる二次電池を提供することを目的とする。
そして、本発明の二次電池用負極によれば、集電体と負極合材層との密着性を向上させると共に、二次電池の電気的特性を向上させることができる。
更に、本発明の二次電池によれば、電気的特性を向上させることができると共に、負極合材層と集電体との密着性を確保できる。
ここで、本発明の二次電池用バインダー組成物は、正極、負極、セパレータ、これらの上に設けられる多孔膜、などの二次電池の電池部材に用いることができるが、好適には、負極の形成に用いる。そして、本発明の二次電池用スラリー組成物は、本発明の二次電池用バインダー組成物を含んで構成され、二次電池の電池部材の形成、好適には二次電池の負極の形成に用いる。また、本発明の二次電池用負極は、本発明の二次電池用スラリー組成物を用いて製造することができる。更に、本発明の二次電池は、本発明の二次電池用負極を用いたことを特徴とする。
本発明の二次電池用バインダー組成物は、水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)と、前記水溶性増粘剤(A)の水酸基又はカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)とを含む。そして、本発明の二次電池用バインダー組成物は、前記水溶性増粘剤(A)100質量部当たり、前記架橋剤(B)を0.001質量部以上100質量部未満含有し、前記粒子状重合体(C)を10質量部以上500質量部未満含有する。以下、各成分について、特に該バインダー組成物を負極の形成に用いた場合を例に挙げて説明する。
水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)(以下「水溶性増粘剤(A)」と略記することがある)は、バインダー組成物及びバインダー組成物を含むスラリー組成物の粘度調整剤としての機能を有するものである。水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)としては、その分子構造中に水酸基又はカルボキシル基を有し、且つ、水溶性の増粘剤として使用されうる化合物であれば特に限定されない。そして、水溶性増粘剤(A)としては、少なくとも水酸基を有する水溶性増粘剤が好ましい。
ここで本明細書において、増粘剤が「水溶性」であるとは、イオン交換水100質量部当たり増粘剤1質量部(固形分相当)を添加し攪拌して得られる混合物を、温度20〜70℃の範囲内で、かつ、pH3〜12(pH調整にはNaOH水溶液及び/又はHCl水溶液を使用)の範囲内である条件のうち少なくとも一条件に調整し、250メッシュのスクリーンを通過させた際に、スクリーンを通過せずにスクリーン上に残る残渣の固形分の質量が、添加した増粘剤の固形分に対して50質量%を超えないことをいう。なお、上記増粘剤と水との混合物が、静置した場合に二相に分離するエマルジョン状態であっても、上記定義を満たせば、その増粘剤は水溶性であるとする。
水溶性増粘剤(A)の水酸基又はカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋剤(B)(以下「架橋剤(B)」と略記することがある)は、上述の水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)、そして後述する粒子状重合体(C)と、加熱などにより架橋構造を形成する。即ち、架橋剤(B)は、水溶性増粘剤(A)同士、水溶性増粘剤(A)と粒子状重合体(C)、そして、粒子状重合体(C)同士、を繋ぐ好適な架橋構造を形成すると推察される。
即ち、本発明のバインダー組成物や、本発明のバインダー組成物を含むスラリー組成物は、加熱などの処理を施すことにより、組成物中に含まれている水溶性増粘剤(A)および粒子状重合体(C)が架橋剤(B)を介して架橋構造を形成する。その結果、水溶性増粘剤(A)同士、水溶性増粘剤(A)と粒子状重合体(C)、および、粒子状重合体(C)同士の架橋により、弾性率、引っ張り強度、耐疲労性などの機械的特性や、接着性に優れ、且つ、水への溶解度が小さい架橋構造が得られる。そのため、本発明のバインダー組成物や、本発明のバインダー組成物を含むスラリー組成物を二次電池の電池部材の調製に用いれば、電極部材中の成分(例えば、電極活物質など)を良好に結着させつつ、該電池部材を用いた二次電池の電気的特性を向上させることができる。具体的には、本発明のバインダー組成物や、本発明のバインダー組成物を含むスラリー組成物を二次電池の負極の調製に用いた場合には、架橋構造の形成により、充放電の繰り返しに伴う負極の膨れを抑制することができると共に、負極合材層と集電体との高い密着性を確保することができる。更には、架橋構造の形成により得られる耐水性(水への溶解度の低さ)を利用して、水系のスラリー組成物を用いて負極合剤層上に多孔膜などを形成することもできる。また、架橋剤(B)および架橋剤(B)に由来する構造に起因して、本発明のバインダー組成物や、本発明のバインダー組成物を含むスラリー組成物を用いて調製した電池部材を使用して二次電池を形成する際の電解液の注液性を高めることができる。そして、その結果、初期クーロン効率、サイクル特性、レート特性などの電気的特性を向上することができる。
具体的には、架橋剤(B)としては、本発明のバインダー組成物を含むスラリー組成物中の安定性を確保して、該二次電池用スラリー組成物を用いて形成した二次電池のサイクル特性を確保するため、多官能エポキシ化合物が好ましく、多官能グリシジルエーテル化合物がより好ましい。なお、多官能グリシジルエーテル化合物は、電解液との親和性が特に優れているため、架橋剤(B)として例えば脂肪族ポリグリシジルエーテル、芳香族ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルなどの多官能グリシジルエーテル化合物を用いた場合には、二次電池を製造する際の電解液の注液性が特に向上する。ここで、「多官能エポキシ化合物」、「多官能グリシジルエーテル化合物」とは、それぞれ、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物、1分子中に2以上のグリシジルエーテル基を有する化合物をいう。
これら架橋剤(B)は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ここで、本明細書において、架橋剤が「水溶性」であるとは、イオン交換水100質量部当たり架橋剤1質量部(固形分相当)を添加し、攪拌して得られる混合物を、温度20〜70℃範囲内で、かつpH3〜12(pH調整にはNaOH水溶液及び/又はHCl水溶液を使用)の範囲内である条件のうち少なくとも一条件に調整し、250メッシュのスクリーンを通過させた際に、スクリーンを通過せずにスクリーン上に残る残渣の固形分の質量が、添加した架橋剤の固形分に対して50質量%を超えないことをいう。なお、上記架橋剤と水との混合物が、静置した場合に二相に分離するエマルジョン状態であっても、上記定義を満たせば、その架橋剤は水溶性であるとする。
水溶率=(100−X)質量%
架橋剤(B)と反応する官能基を有し、かつ、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含む粒子状重合体(C)(以下「粒子状重合体(C)」と略記することがある)は、本発明の二次電池用バインダー組成物を含むスラリー組成物を用いて電極部材(例えば負極)を形成した際に、製造した電極部材において、電極部材に含まれる成分(例えば、電極活物質)が電極部材から脱離しないように保持しうる成分である。ここで、電極部材が負極であり、スラリー組成物を用いて負極合材層を形成する場合には、一般的に、負極合材層における粒子状重合体は、電解液に浸漬された際に、電解液を吸収して膨潤しながらも粒子状の形状を維持し、負極活物質同士を結着させ、負極活物質が集電体から脱落するのを防ぐ。また、粒子状重合体は、負極合材層に含まれる負極活物質以外の粒子をも結着し、負極合材層の強度を維持する役割も果たしている。
なお、本明細書において「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の構造単位が含まれている」ことを意味する。
なお、本発明において、粒子状重合体(C)の「ゲル含有量」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
なお、本発明において、粒子状重合体(C)の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
ここで、単量体組成物中の各単量体の含有割合は、通常、所望の粒子状重合体(C)における繰り返し単位の含有割合と同様にする。
具体的には、水系溶媒としては、例えば、水;ダイアセトンアルコール、γ−ブチロラクトンなどのケトン類;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、ブチルセロソルブ、3−メトキシー3メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;などが挙げられる。中でも水は可燃性がなく、粒子状重合体(C)の粒子の分散体が容易に得られやすいという観点から特に好ましい。なお、主溶媒として水を使用して、粒子状重合体(C)の粒子の分散状態が確保可能な範囲において上記の水以外の水系溶媒を混合して用いてもよい。
ガラス転移温度は、使用する単量体の種類および量を変更することにより調整することができ、例えば、スチレン、アクリロニトリルなどの単量体を使用するとガラス転移温度を高めることができ、ブチルアクリレート、ブタジエンなどの単量体を使用するとガラス転移温度を低下させることができる。
また、ゲル含有量は、重合温度、重合開始剤の種類、分子量調整剤の種類、量、反応停止時の転化率などを変更することにより調整することができ、例えば、連鎖移動剤を少なくするとゲル含有量を高めることができ、連鎖移動剤を多くするとゲル含有量を低下させることができる。
本発明の二次電池用スラリー組成物は、水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)と、前記水溶性増粘剤(A)の水酸基又はカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)と、電極活物質と、水とを含み、前記粒子状重合体(C)は、前記架橋剤(B)と反応する官能基を有し、かつ、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含む。そして、本発明の二次電池用スラリー組成物は、前記水溶性増粘剤(A)100質量部当たり、前記架橋剤(B)を0.001質量部以上100質量部未満含有し、前記粒子状スチレンブタジエン共重合体(C)を10質量部以上500質量部未満含有する。
ここで、本発明の二次電池用スラリー組成物に含まれる水溶性増粘剤(A)、架橋剤(B)、粒子状重合体(C)はそれぞれ、上述の本発明の二次電池用バインダー組成物の項で記載したものと同じものを使用することができる。
電極活物質は、二次電池の電極(正極、負極)において電子の受け渡しをする物質である。以下、リチウムイオン二次電池の負極において使用する電極活物質(負極活物質)を例に挙げて説明する。
そして、炭素質材料としては、例えば、熱処理温度によって炭素の構造を容易に変える易黒鉛性炭素や、ガラス状炭素に代表される非晶質構造に近い構造を持つ難黒鉛性炭素などが挙げられる。
ここで、易黒鉛性炭素としては、例えば、石油または石炭から得られるタールピッチを原料とした炭素材料が挙げられる。具体例を挙げると、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維などが挙げられる。
また、難黒鉛性炭素としては、例えば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、ハードカーボンなどが挙げられる。
そして、黒鉛質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。
ここで、人造黒鉛としては、例えば、易黒鉛性炭素を含んだ炭素を主に2800℃以上で熱処理した人造黒鉛、MCMBを2000℃以上で熱処理した黒鉛化MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維を2000℃以上で熱処理した黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
二次電池用スラリー組成物が、水溶性増粘剤(A)100質量部当たり、負極活物質を好ましくは5000質量部以上含有することにより、該二次電池用スラリー組成物を用いて得られる二次電池の負極における電子の受け渡しが十分となり、二次電池として良好に機能する。また、二次電池用スラリー組成物が、水溶性増粘剤100質量部当たり、負極活物質を15000質量部以下含有することで、負極の膨れが抑制され、また、該スラリー組成物を集電体に塗布する際の作業性を確保することができる。
本発明のスラリー組成物は、上記成分の他に、導電剤、補強材、レベリング剤、電解液添加剤などの成分を含有していてもよい。これらは、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のもの、例えば国際公開第2012/115096号に記載のものを使用することができる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、本発明の二次電池用バインダー組成物が、これらのその他の成分を含有してもよい。
本発明のスラリー組成物は、上記各成分を分散媒としての水系媒体中に分散させることにより調製してもよいし、水溶性増粘剤(A)と、架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)とを含む本発明のバインダー組成物を調製した後、該バインダー組成物と電極活物質とを分散媒としての水系媒体中に分散させることにより調製してもよい。なお、スラリー組成物中の各成分の分散性の観点からは、上記各成分を分散媒としての水系媒体中に分散させることにより、水溶性増粘剤(A)と、架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)とを含有する(即ち、本発明のバインダー組成物を含む)スラリー組成物を調製することが好ましい。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と水系媒体とを混合することにより、スラリー組成物を調製することが好ましい。
ここで、水系媒体としては、通常は水を用いるが、任意の化合物の水溶液や、少量の有機媒体と水との混合溶液などを用いてもよい。また、スラリー組成物の固形分濃度は、各成分を均一に分散させることができる濃度、例えば、30質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上80質量%以下とすることができる。更に、上記各成分と水系媒体との混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行うことができる。
本発明の二次電池用負極は、本発明の二次電池用スラリー組成物を使用して製造することができる。
そして、本発明の二次電池用負極は、集電体と、集電体上に形成された負極合材層とを備え、負極合材層は電極活物質が負極活物質である本発明の二次電池用スラリー組成物から得られる。
上記二次電池用スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる負極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
集電体上のスラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上のスラリー組成物を乾燥することで、集電体上に負極合材層を形成し、集電体と負極合材層とを備える二次電池用負極を得ることができる。なお、スラリー組成物を乾燥する際には、加えられた熱により、架橋剤(B)を介した架橋反応が進行する。ここで、乾燥温度は特に限定されないが、好ましくは50℃以上150℃未満であり、さらに好ましくは60℃以上140℃未満であり、特に好ましくは70℃以上130℃未満である。
また、負極合材層の形成後に、加熱工程を実施して架橋反応を進行させ、架橋構造をさらに十分なものとすることが好ましい。該加熱工程は、80℃〜160℃で、1時間〜20時間程度行うことが好ましい。
本発明の二次電池は、正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備え、負極として、本発明の二次電池用負極を用いたものである。そして、本発明の二次電池は、本発明の二次電池用負極を用いているので、充放電の繰り返しに伴う負極の膨れを抑制することができると共に、負極合材層と集電体との密着性を確保でき、更に、優れた電気的特性が得られる。
二次電池の正極としては、例えば二次電池がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオン二次電池用正極として用いられる既知の正極を用いることができる。具体的には、正極としては、例えば、正極合材層を集電体上に形成してなる正極を用いることができる。
なお、集電体としては、アルミニウムなどの金属材料からなるものを用いることができる。また、正極合材層としては、既知の正極活物質と、導電材と、バインダーとを含む層を用いることができ、バインダーとしては本発明の二次電池用バインダー組成物を使用してもよい。ここで正極合材層の密度は、特に限定されないが、セル容量、抵抗等の特性の観点から、好ましくは2.50g/cm3以上3.80g/cm3未満であり、より好ましくは3.00g/cm3以上3.60g/cm3未満である。
電解液としては、溶媒に電解質を溶解した電解液を用いることができる。
ここで、溶媒としては、電解質を溶解可能な有機溶媒を用いることができる。具体的には、溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどのアルキルカーボネート系溶媒に、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、酢酸メチル、ジメトキシエタン、ジオキソラン、プロピオン酸メチル、ギ酸メチルなどの粘度調整溶媒を添加したものを用いることができる。
電解質としては、リチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらのリチウム塩の中でも、有機溶媒に溶解しやすく、高い解離度を示すという点より、電解質としてはLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましい。
また、電解液としては、ポリマーおよび上記電解液を含有するゲル電解質であってもよく、さらには真性ポリマー電解質であってもよい。
セパレータとしては、例えば、特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系の樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)からなる微多孔膜が好ましい。また、セパレータとして、非導電性粒子を本発明の二次電池用バインダー組成物で結着してなる多孔膜を備えるセパレータを使用してもよい。
本発明の二次電池は、例えば、正極と、負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。リチウムイオン二次電池の内部の圧力上昇、過充放電などの発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
実施例および比較例において、粒子状重合体(C)のガラス転移温度およびゲル含有量、二次電池の初期クーロン効率、レート特性、サイクル特性およびサイクル後膨らみ、並びに、負極の負極合材層と集電体との密着性および耐水性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
粒子状重合体(C)を含む水分散液を50%湿度、23〜25℃の環境下で3日間乾燥させて、厚み1±0.3mmのフィルムを得た。このフィルムを、120℃の熱風オーブンで1時間乾燥させた。その後、乾燥させたフィルムをサンプルとして、JIS K 7121に準じて、測定温度−100℃〜180℃、昇温速度5℃/分、DSC6220SII(示差走査熱量分析計、ナノテクノロジー社製)を用いてガラス転移温度(℃)を測定した。
<ゲル含有量>
粒子状重合体(C)を含む水分散液を用意し、この水分散体を50%湿度、23〜25℃の環境下で乾燥させて、厚み3±0.3mmに成膜した。成膜したフィルムを1mm角に裁断し、約1gを精秤した。
裁断により得られたフィルム片の質量をw0とする。このフィルム片を、10gのテトラヒドロフラン(THF)に25℃±1℃の環境の下、24時間浸漬した。その後、THFから引き揚げたフィルム片を105℃で3時間真空乾燥して、不溶分の質量w1を計測した。
そして、下記式にしたがってゲル含有量(質量%)を算出した。
ゲル含有量(質量%)=(w1/w0)×100
<初期クーロン効率>
作製したラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を、電解液注液後、5時間静置させ、0.2Cの定電流法によって、セル電圧3.65Vまで25℃雰囲気下で充電(充電量をC1(mAh)と定義)し、その後60℃に昇温し12時間エージング処理を行い、その後、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流法によってセル電圧3.00Vまで放電(放電量をD1(mAh)と定義)を行った。
その後、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流にて、CC−CV充電(上限セル電圧4.20V)を行い(充電量をC2(mAh)と定義)、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流にてCC放電(下限電圧3.00V)(放電量をD2(mAh)と定義)を実施した。
初期クーロン効率は(D1+D2)/(C1+C2)×100(%)で定義し、以下の基準により評価した。
A:初期クーロン効率が93.5%以上
B:初期クーロン効率が93.0%以上93.5%未満
C:初期クーロン効率が92.5%以上93.0%未満
D:初期クーロン効率が92.5%未満
<レート特性>
作製したラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を、電解液注液後、5時間静置させ、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流法によって、セル電圧3.65Vまで充電し、その後60℃に昇温し、12時間エージング処理を行い、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流法によってセル電圧3.00Vまで放電を行った。
その後、25℃雰囲気下で、充電電圧4.20Vまで0.2Cレートで充電を行い、放電電圧3.00Vまで0.2Cおよび2.0Cレートで放電を行った。そのとき、各放電レート時の放電容量を、C0.2(0.2C時の放電容量)、C2.0(2.0C時の放電容量)、と定義し、ΔC=C2.0/C0.2時の放電容量×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により評価した。この容量変化率ΔCの値が高いほど、放電レート特性(レート特性)に優れることを示す。
A:ΔCが83%以上
B:ΔCが82%以上83%未満
C:ΔCが80%以上82%未満
D:ΔCが80%未満
<サイクル特性>
作製したラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を、電解液注液後、5時間静置させ、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流法によって、セル電圧3.65Vまで充電し、その後60℃に昇温し、12時間エージング処理を行い、25℃雰囲気下で0.2Cの定電流法によってセル電圧3.00Vまで放電を行った。
さらに、60℃環境下で充電電圧4.20V、放電電圧3.00V、1.0Cの充放電レートにて100サイクル充放電の操作を行った。そのとき1サイクル目の容量、すなわち初期放電容量X1、および100サイクル目の放電容量X2を測定し、ΔC´=(X2/X1)×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により評価した。この容量変化率ΔC´の値が高いほど、サイクル特性に優れることを示す。
A:ΔC´が85%以上
B:ΔC´が83%以上85%未満
C:ΔC´が80%以上83%未満
D:ΔC´が80%未満
<サイクル後膨らみ>
上記サイクル特性の測定終了後のセルを解体して負極を取り出し、負極の厚み(d2)(集電体の厚みを除く)を測定した。そして、リチウムイオン二次電池の作製前の負極の厚み(d0)(集電体の厚みを除く)に対するd2の割合(サイクル後膨らみ特性=(d2/d0)×100(%))を求め、以下の基準により評価した。サイクル後膨らみ特性が小さいほど、サイクル後の負極の膨らみが小さいことを示す。
A:サイクル後膨らみ特性が115%未満
B:サイクル後膨らみ特性が115%以上118%未満
C:サイクル後膨らみ特性が118%以上120%未満
D:サイクル後膨らみ特性が120%以上
<負極合材層と集電体との密着性>
作製した二次電池用負極を長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とし、負極合材層を有する面を下にして負極合材層表面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け、集電体の一端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した(なお、セロハンテープは試験台に固定されている)。測定を3回行い、その平均値を求めてこれを剥離ピール強度とし、以下の基準により評価した。剥離ピール強度の値が大きいほど、負極合材層と集電体との密着性に優れることを示す。
A:剥離ピール強度が30N/m以上
B:剥離ピール強度が25N/m以上30N/m未満
C:剥離ピール強度が20N/m以上25N/m未満
D:剥離ピール強度が20N/m未満
<電解液の注液性>
作製した二次電池用負極を直径16mmの円形に切り出し、負極合材層を有する面にプロピレンカーボネート(キシダ化学製、試薬)を1μL滴下して、滴下してから、その負極上のプロピレンカーボネートの液滴が負極合材層内に浸透するまでの時間(浸透時間)を目視で測定し、以下の基準により評価した。この浸透時間が短いほど、一般的な電解液に含まれるプロピレンカーボネートと負極との親和性が良好であり、即ち、二次電池の製造における、電解液の注液性に優れることを示す。
A:浸透時間が180秒未満
B:浸透時間が180秒以上240秒未満
C:浸透時間が240秒以上300秒未満
D:浸透時間が300秒以上
<負極の耐水性>
作製した二次電池用負極を直径16mmの円形に切り出し、質量を測定して、該質量から、集電体の質量を差し引き、負極合材層の質量(W1)を算出した。該円形の負極を、サンプル瓶に入れ、イオン交換水50mLを注ぎ、60℃で72時間、熱処理を行った。その後、該円形の負極を取り出し、イオン交換水で洗浄した後に、120℃で1時間乾燥させ、質量を測定し、該質量から、集電体の質量を差し引き、負極合材層の質量(W2)を算出した。上記イオン交換水への浸漬および加熱処理による質量変化率を[(W1−W2)/W1]×100で定義し、以下の基準により評価した。この質量変化率が小さいほど、負極が耐水性に優れることを示す。
A:質量変化率が5%未満
B:質量変化率が5%以上10%未満
C:質量変化率が10%以上20%未満
D:質量変化率が20%以上
(製造例1)粒子状重合体C1〜カルボキシル基+水酸基を有する重合体〜
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、芳香族ビニル単量体としてスチレン65部、脂肪族共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン35部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてイタコン酸4部、水酸基含有単量体として2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.3部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、溶媒としてイオン交換水150部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム1部を入れ、十分に攪拌した後、55℃に加温して重合を開始した。
モノマー消費量が95.0%になった時点で冷却し、反応を停止した。こうして得られた重合体を含んだ水分散体に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。さらにその後、30℃以下まで冷却し、粒子状重合体C1の水分散液を得た。得られた粒子状重合体C1の水分散液を用いて、上述した方法により、ゲル含有量、及び、ガラス転移温度を測定した。測定の結果、ゲル含有量は90%、ガラス転移温度(Tg)は10℃であった。
上記製造例1において、水酸基含有単量体として2−ヒドロキシエチルアクリレートを添加しないで重合を行う以外は、製造例1と同様にして、粒子状重合体C2の水分散液を得た。結果、得られた粒子状重合体C2のゲル含有量は90%、ガラス転移温度(Tg)は10℃であった。
上記製造例1において、水酸基含有単量体としての2−ヒドロキシエチルアクリレートに代えて、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)0.15部を用い、かつ、分子量調整剤としてのt−ドデシルメルカプタンを添加しない以外は、製造例1と同様にして、粒子状重合体C3の水分散液を得た。結果、得られた粒子状重合体C3のゲル含有量は90%、ガラス転移温度(Tg)は10℃であった。
<二次電池用スラリー組成物の調製>
プラネタリーミキサーに、炭素系活物質である天然黒鉛10000部、水溶性増粘剤(A)として「MAC350HC」(カルボキシメチルセルロースA1、日本製紙(株)製、エーテル化度0.8 1%水溶液の粘度3500mPa・s)の1%水溶液を固形分相当で100部、架橋剤(B)として「EX−313」(架橋剤B1、ナガセケムテック(株)製、官能基数3個(1分子当りエポキシ基2個と水酸基1個の化合物と、エポキシ基3個の化合物との混合物)/1分子、水溶率90%以上、1%水溶液の粘度140mPa・s)を固形分相当で0.1部、粒子状重合体C1の水分散液を固形分相当で100部投入し、さらに固形分濃度が52%となるようにイオン交換水を加えて混合し、カルボキシメチルセルロースA1、架橋剤B1、粒子状重合体C1を含んでなる二次電池用バインダー組成物を含有する二次電池(負極)用スラリー組成物を調製した。
上述の二次電池用スラリー組成物を、コンマコーターで、厚さ20μmの銅箔(集電体)の上に塗付量が8.8〜9.2mg/cm2となるように塗布した。この二次電池用スラリー組成物が塗布された銅箔を、0.3m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間、さらに120℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより、銅箔上のスラリー組成物を乾燥させ、負極原反を得た。
そして得られた原反をロールプレス機にて密度が1.45〜1.55g/cm3となるようプレスし、さらに、水分の除去および架橋のさらなる促進を目的として、真空条件下120℃の環境に10時間置き、負極を得た。
作製した負極を用いて、負極合材層と集電体との密着性、電解液の注液性、負極の耐水性を評価した。結果を表1に示す。
プラネタリーミキサーに、正極活物質としてLiCoO2100部、導電助剤としてアセチレンブラック2部(電気化学工業(株)製「HS−100」)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ化学製「KF−1100」)2部、さらに全固形分濃度が67%となるようにN−メチルピロリドンを加えて混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
得られた正極スラリー組成物をコンマコーターで、厚さ20μmのアルミ箔の上に塗布し、乾燥した。なお、この乾燥は、アルミ箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して正極原反を得た。
得られた原反を乾燥後、ロールプレス機にてプレス後の密度が3.40〜3.50g/cm3になるようにプレスし、さらに水分の除去を目的として、真空条件下120℃の環境に3時間置き、正極を得た。
単層のポリプロピレン製セパレータ(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm;乾式法により製造;気孔率55%)を用意し、5×5cm2の正方形に切り抜いた。また、電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。
そして作製した正極を、4×4cm2の正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミ包材外装に接するように配置した。次に、正極の正極合材層の面上に、上記の正方形のセパレータを配置した。さらに、作製した負極を、4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、これをセパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。その後、電解液として濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒はエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=1/2(体積比)の混合溶媒、添加剤としてビニレンカーボネート2体積%(溶媒比)含有)を充填した。さらに、アルミ包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミ外装を閉口し、リチウムイオン二次電池を製造した。
作製したリチウムイオン二次電池について、初期クーロン効率、レート特性、サイクル特性、サイクル後膨らみを評価した。結果を表1に示す。
架橋剤B1の添加量をそれぞれ固形分相当で、0.5部、1部、5部、10部、15部、30部、50部、90部とした以外は、実施例1と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
水溶性増粘剤(A)であるカルボキシメチルセルロースA1に代えて、「MAC500LC」(カルボキシメチルセルロースA2、日本製紙(株)製、エーテル化度0.65 1%水溶液の粘度4200mPa・s)を固形分相当で100部使用し、架橋剤B1の添加量をそれぞれ固形分相当で、0.5部、5部、15部、30部とした以外は、実施例1と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
水溶性増粘剤(A)であるカルボキシメチルセルロースA1に代えて、それぞれ、「1380」(カルボキシメチルセルロースA3、ダイセルファインケミカル(株)製、エーテル化度1.2 1%水溶液の粘度1100mPa・s)を固形分相当で100部、「MAC200HC」(カルボキシメチルセルロースA4、日本製紙(株)製、エーテル化度0.9 1%水溶液の粘度1100mPa・s)を固形分相当で100部、「MAC800LC」(カルボキシメチルセルロースA5、日本製紙(株)製、エーテル化度0.65 1%水溶液の粘度8500mPa・s)を固形分相当で100部、「MAC1400LC」(カルボキシメチルセルロースA6、日本製紙(株)製、エーテル化度0.65 1%水溶液の粘度9100mPa・s)を固形分相当で100部使用した以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
粒子状重合体C1の水分散液の添加量を、それぞれ固形分相当で50部、300部、200部とした以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
粒子状重合体C1の水分散液に代えて、それぞれ、粒子状重合体C2の水分散液、粒子状重合体C3の水分散液を固形分相当で100部使用した以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
架橋剤B1である「EX−313」に代えて、それぞれ、「EX−521」(架橋剤B2 ナガセケムテック(株)製、エポキシ基数3個/1分子、水溶率90%以上、1%水溶液の粘度4600mPa・s)を固形分相当で15部、「エチレングリコールジグリシジルエーテル」(架橋剤B3 東京化成工業(株)製、エポキシ基数2個/1分子、水溶率90%以上(但し、エマルジョン状態)、1%水溶液の粘度100mPa・s未満)を固形分相当で15部、「1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル」(架橋剤B4 東京化成工業(株)製、エポキシ基数2個/1分子、水溶率90%以上、1%水溶液の粘度100mPa・s未満)を固形分相当で15部、「EX−421」(架橋剤B5 ナガセケムテック(株)製、エポキシ基数3個/1分子、水溶率80%以上90%未満、1%水溶液の粘度640mPa・s)を固形分相当で15部、使用した以外は、実施例1と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
水溶性増粘剤(A)であるカルボキシメチルセルロースA1に代えて、ポリアクリル酸(アルドリッチ製、1%水溶液の粘度750mPa・s)を固形分相当で100部、ポリビニルアルコール(東京化成製、1%水溶液の粘度700mPa・s)を固形分相当で100部使用した以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
架橋剤B1である「EX−313」に代えて、「アリルグリシジルエーテル」(架橋剤B6 東京化成工業(株)製、エポキシ基数1個/1分子、水溶率90%以上、1%水溶液の粘度100mPa・s未満)を固形分相当で15部使用した以外は、実施例1と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
架橋剤B1を使用しない以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
架橋剤B1を使用しない以外は、実施例21と同様にして二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
粒子状重合体C1の水分散液を使用しない以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極を作製したが、得られた負極の負極合材層が脆く、リチウムイオン二次電池を製造することはできなかった。
架橋剤B1の添加量を固形分相当で100部とした以外は、実施例6と同様にして、二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
粒子状重合体C1の水分散液の添加量を、固形分相当で550部とした以外は、実施例6と同様にして二次電池用バインダー組成物を含む二次電池用スラリー組成物、負極、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
一方、表2より、架橋剤(B)を配合しない比較例1,2や、過剰に架橋剤(B)を使用した比較例4では、充放電に伴う負極の膨れを抑制することができず、負極と集電体との密着性および電解液の注液性を確保することができず、リチウムイオン二次電池の電気的特性を向上させることができないことが分かる。また、比較例1,2,4の負極は、耐水性も低い。
また、表2より、粒子状重合体(C)を過剰に配合する比較例5では、負極合材層と集電体との密着性を確保することはできるが、充放電に伴う負極の膨れを抑制することができず、電解液の注液性を確保できず、リチウムイオン二次電池の電気的特性を向上させることができないことが分かる。また、比較例5の負極は、耐水性も低い。
また、表1の実施例6,12,14〜17より、水溶性増粘剤(A)であるカルボキシメチルセルロースのエーテル化度、1質量%水溶液の粘度を変更することで、負極の膨れ抑制、負極合材層と集電体との密着性、電解液の注液性、および、リチウムイオン二次電池の電気的特性を高い次元で並立し得ることが分かる。
そして、表1の実施例6,21,22より、粒子状重合体(C)の官能基の種類を選択することで、負極の膨れ抑制、負極合材層と集電体との密着性、電解液の注液性、および、リチウムイオン二次電池の電気的特性を高い次元で並立し得ることが分かる。
更に、表1の実施例6,23〜26より、架橋剤(B)の1質量%水溶液の粘度、水溶率を変更することで、負極の膨れ抑制、負極合材層と集電体との密着性、電解液の注液性、および、リチウムイオン二次電池の電気的特性を高い次元で並立し得ることが分かる。
加えて、表1の実施例6,27,28より、水溶性増粘剤(A)の種類を変更することで、負極の膨れ抑制、負極合材層と集電体との密着性、電解液の注液性、および、リチウムイオン二次電池の電気的特性を高い次元で並立し得ることが分かる。
そして、本発明の二次電池用負極によれば、集電体と負極合材層との密着性を向上させると共に、二次電池の電気的特性を向上させることができる。
更に、本発明の二次電池によれば、電気的特性を向上させることができると共に、負極合材層と集電体との密着性を確保できる。
Claims (9)
- 水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)と、前記水溶性増粘剤(A)の水酸基又はカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)とを含み、
前記粒子状重合体(C)は、前記架橋剤(B)と反応する官能基を有し、かつ、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含み、
前記水溶性増粘剤(A)100質量部当たり、前記架橋剤(B)を0.001質量部以上100質量部未満含有し、前記粒子状重合体(C)を10質量部以上500質量部未満含有する、二次電池用バインダー組成物。 - 前記架橋剤(B)の水溶率が、80質量%以上である、請求項1に記載の二次電池用バインダー組成物。
- 前記架橋剤(B)が、多官能エポキシ化合物である、請求項1又は2に記載の二次電池用バインダー組成物。
- 前記水溶性増粘剤(A)が、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、および、これらの塩、からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用バインダー組成物。
- 前記粒子状重合体(C)中の前記架橋剤(B)と反応する官能基が、カルボキシル基、水酸基、グリシジルエーテル基、および、チオール基、からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池用バインダー組成物。
- 水酸基又はカルボキシル基を有する水溶性増粘剤(A)と、前記水溶性増粘剤(A)の水酸基又はカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋剤(B)と、粒子状重合体(C)と、電極活物質と、水とを含み、
前記粒子状重合体(C)は、前記架橋剤(B)と反応する官能基を有し、かつ、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含み、
前記水溶性増粘剤(A)100質量部当たり、前記架橋剤(B)を0.001質量部以上100質量部未満含有し、前記粒子状重合体(C)を10質量部以上500質量部未満含有する、二次電池用スラリー組成物。 - 前記電極活物質が負極活物質である請求項6に記載の二次電池用スラリー組成物から得られる負極合材層を有する、二次電池用負極。
- 前記負極合材層は、前記水溶性増粘剤(A)、前記架橋剤(B)、及び、前記粒子状重合体(C)から形成される架橋構造を有する、請求項7に記載の二次電池用負極。
- 請求項7又は8に記載の二次電池用負極と、正極と、電解液と、セパレータとを備える、二次電池。
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