JPWO2014112411A1 - 重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
共役ジエン系重合体の製造に際しては、触媒に対して不活性な炭化水素溶媒中で単量体の重合を行い、生成した共役ジエン系重合体は溶媒に均一に溶解した状態又は懸濁した状態で得られる。このため、共役ジエン系重合体を回収するためには、共役ジエン系重合体と溶媒とを分離する工程が必要となる。
しかしながら、前記直接脱溶媒法により得られる共役ジエン系重合体を成形した成形品は、品質の観点から未だ改善すべき点があるため、経済性及び品質の観点から、比較的品質の良いものが得られるが経済性の観点では直接脱溶媒法に劣るスチームストリッピング法とは異なる方法が要求されている。
特許文献3では、重合後に活性末端を失活し、その後に2種類のフェノール系化合物を添加する方法が提案されている。
特許文献4では、重合後に活性末端を失活し、重合体溶液のpHを調整し、フェノール系安定剤を添加し、排気ゾーンを有するスクリューで脱溶媒し、さらに、リン系安定剤を添加方法が提案されている。
特許文献5では、重合後に活性末端を失活し、重合体溶液を脱溶媒工程に連続的に移送する工程で、炭酸ガスを重合体溶液に添加し、触媒残渣を中和する方法が提案されている。
特許文献6では、重合後に酸化防止剤、さらに必要に応じて停止剤を添加し、76.9質量%以上の溶液濃度(重合体100質量部に対して残存溶媒が30質量部以下)とした後、水分含有量を0.5質量%以下とした状態で、炭酸ガスを添加する方法が提案されている。
そこで、本発明においては、成形品の色調が良好で、耐加熱変色性が高く、耐失透性が高く、成形品の製造時の押出機のフィルター詰まりが少ない、高品質で、かつ取扱性にも優れた重合体を低コストで製造できる、重合体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体を重合させ、重合体を得る重合工程と、
前記重合工程の後、下記(1)〜(4)の工程と、
を、順次行う、重合体の製造方法。
(1)前記重合体を含む溶液100質量部に対して、酸と、20〜300質量部の水と、を混合する工程
(2)前記重合体を含む溶液100質量部に対して水を10質量部以下にする工程
(3)前記重合体を含む溶液に炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を添加する工程
(4)前記重合体を含む溶液を重合体の濃度が95質量%以上になるまで脱溶媒する工程
〔2〕
前記重合体を含む溶液が、チタン化合物とリチウム化合物を含む、前記〔1〕に記載の重合体の製造方法。
〔3〕
前記チタン化合物中のチタンと前記(1)の工程で混合される酸とのモル比が、チタン化合物中のチタンのモル量/酸のモル量=0.02〜0.35である、前記〔2〕に記載の重合体の製造方法。
〔4〕
前記(1)の工程で混合される酸と、前記(3)の工程で混合される炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物のモル比が、
酸のモル量/炭酸ガスと脱炭酸する化合物との合計のモル量=0.1〜2.0である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔5〕
前記(1)の工程で混合される酸が、無機酸である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔6〕
前記(3)の工程で添加するものが炭酸ガスである、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔7〕
前記(4)の工程において、直接脱溶媒する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔8〕
前記(3)の工程後、前記重合体を含む溶液に酸化防止剤を添加する工程(A)を、さらに行う、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔9〕
前記(3)の工程後、前記工程(4)の前に、前記重合体を含む溶液の溶媒の一部を脱溶媒する工程を、さらに行う、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔10〕
前記(2)の工程が、デカンテーションにより行われる、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔11〕
前記(2)の工程が、遠心分離機を用いて行われる、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔12〕
前記重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とのブロック共重合体である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
〔13〕
前記重合体が、水添前の共役ジエン単量体単位全量中のビニル含有量が50mol%以上である、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
なお、以下において、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「単位」を省略し、単に「〜単量体」と記載する場合もある。
本実施形態の重合体の製造方法は、
炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体を重合させ、重合体を得る重合工程と、
前記重合工程の後、下記(1)〜(4)の工程と、
を、順次行う、重合体の製造方法である。
(1)前記重合体を含む溶液100質量部に対して、酸と、20〜300質量部の水と、を混合する工程
(2)前記重合体を含む溶液100質量部に対して水を10質量部以下にする工程
(3)前記重合体を含む溶液に炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を添加する工程
(4)前記重合体を含む溶液を重合体の濃度が95質量%以上になるまで脱溶媒する工程
本実施形態において、重合体を含む溶液とは、重合反応終了後の重合体溶液であり、少なくとも反応溶媒である炭化水素溶媒と重合体を含むものである。
ここで、重合体を含む溶液中の重合体の濃度は10〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜25質量%である。
重合工程においては、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体を含む重合単量体を重合させて重合体を得る。
<重合単量体>
重合単量体としては、少なくとも共役ジエン単量体を用いる。
共役ジエン単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合単量体としては、前記共役ジエンの他、当該共役ジエンと共重合可能な他の単量体を用いることができる。
前記共役ジエンと共重合体可能な他の単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニル芳香族単量体が使用でき、当該ビニル芳香族単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性エラストマーの中でも、重合体の回収の容易さの観点で、少なくとも共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックと、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体が好適である。
(a−b)n ・・・(i)
b−(a−b)n ・・・(ii)
a−(b−a)n ・・・(iii)
a−(b−a)n−X ・・・(iv)
[(a−b)k]m−X ・・・(v)
[(a−b)k−a]m−X ・・・(vi)
前記式(i)〜(vi)中、aはビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを表し、bは共役ジエン単量体単位を主体とするブロックあるいはその水添ブロックを表す。
ブロック共重合体中に重合体ブロックa、bが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
m、n及びkは、1以上の整数を表し、1〜5の整数であることが好ましい。
前記重合体は、カップリング体と非カップリング体の混合物であってもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
なお、本実施形態の重合体の製造方法で得られる重合体は、水添物である場合と未水添物である場合の双方を含む。
また、水添することにより重合体の耐熱性が向上するため、重合体の水添物は、直接脱溶媒法に好適であるという利点を有している。
重合体の水添物の水添率は、重合体や成形品の特性に応じて任意に選択することができる。例えば、未水添ブロック共重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には、好ましくは共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を3%以上80%未満、より好ましくは5%以上75%未満水添するものとし、耐熱劣化性及び耐候性を向上させる場合には、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上水添するものとする。
重合体の水添率は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。
重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
ここで、ビニル含有量とは、水添前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエンの総mol量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合とする。
前記ビニル含有量は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態の製造方法により得られる重合体は、成形品の色調、耐加熱変色性、耐失透性に優れており、外観が重視される用途や医療用途では、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性がより求められるため、本実施形態の重合体の製造方法により得られる重合体を好適に使用できる。
上述したように、重合工程においては、炭化水素溶媒を用いる。
当該炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
重合工程においては、重合開始剤として、少なくとも有機リチウム化合物を用いる。
有機リチウム化合物とは、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物を、いずれも用いることができる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
極性化合物やランダム化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
水添反応に使用される触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が知られている。
水添方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法や、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
水添反応は、特に限定するものではないが、高い水添活性の観点で、後述する重合体の活性末端を失活する工程後に行うことが好ましい。
本発明者らは重合体を含む溶液が、チタン化合物とリチウム化合物の双方を含む場合、従来公知の重合体と溶媒との分離方法を適用すると、成形品の色調や耐加熱変色性、耐失透性において十分な特性が得られないことを見出した。
チタン化合物とリチウム化合物としては、前述の重合反応に用いる重合開始剤や、水添反応に用いる触媒の残渣が挙げられる。
本実施形態において(1)〜(4)の工程前の重合体を含む溶液中のリチウム化合物の含有量は重合体に対し、0.02〜0.25質量%であることが好ましく、0.02〜0.20質量%がより好ましく、0.06〜0.20質量%がさらに好ましく、0.04〜0.17質量%がさらにより好ましい。
チタン化合物とリチウム化合物中のチタン(Ti)とリチウム(Li)のモル比は、(Ti/Li)=0.03〜0.15であることが好ましく、0.06〜0.08であることがさらに好ましい。
本実施形態の重合体の製造方法においては、前記重合工程の後、前記重合体の活性末端を失活させる工程を行うことが好ましい。
重合体の活性末端を失活させることにより、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性、及び生産時の押出機の少ないフィルター詰まり性を達成できる。
重合体の活性末端の失活方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記重合工程において用いた重合器中の活性重合体溶液に、反応停止剤を添加する方法が挙げられる。
前記活性重合体溶液とは、重合体を含む溶液に、共役ジエン単量体や芳香族ビニル単量体を追加したときに、追加した単量体と重合する溶液を指す。
前記反応停止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性水素を有する化合物、有機ハロゲン化物又は無機ハロゲン化物が挙げられる。
前記活性水素を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール、チオール、アミン、無機酸、有機酸等が挙げられる。
前記有機ハロゲン化物又は無機ハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化アルキル化合物、ハロゲン化珪素、ハロゲン化錫、エステル化合物、アミド化合物、ケトン化合物、及びアルデヒド化合物等が挙げられる。
この中では、経済性や成形品の色調の観点から、水やアルコールが好ましく、アルコールがより好ましい。水とアルコールとを併用してもよい。
前記アルコールの中では、沸点が低く、後述のように重合体を含む溶液から脱溶媒し、重合体を回収する際、重合体に残存し難く、臭気がない点で、炭素数1〜3のアルコールが好ましい。
反応停止剤の添加量は、特に限定されるものではないが、成形品の色調、耐加熱変色性、耐失透性、押出機のフィルター詰まり抑制の観点で、前記重合開始剤である有機リチウム化合物に対して0.1〜10倍当量の範囲が好ましい。0.5〜2.0倍当量の範囲がより好ましく、0.6〜1.5倍当量がさらに好ましい。
前記重合工程後、好ましくは上述した重合体の活性末端を失活させる工程後、重合体を含む溶液100質量部に対して、酸と、20〜300質量部の水と、を混合する工程((1)の工程、工程(1)と記載する場合もある。)を行う。
これにより、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性、生産時の押出機のフィルター詰まりの抑制が達成できる。
重合体を含む溶液に混合する水の量は、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性、生産時の押出機のフィルター詰まりの抑制の観点から、重合体を含む溶液100質量部に対して20〜300質量部とし、30〜200質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましく、50〜100質量部がさらに好ましい。
これらの酸は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
除去性や、成形品へ混入した時の悪影響の小ささの観点から、無機酸が好ましい。塩酸、硫酸、硝酸がより好ましく、塩酸や硫酸がさらに好ましい。
除去する水のpHとは、後述するように重合体を押出機に導入するまでの、水の除去工程の中で除去した水量が最も多い除去工程における水のpHを指す。
(1)の工程における、酸及び水の添加方法としては、酸と水を別々に添加してもよく、酸と水を混合後に添加してもよい。重合体を含む溶液と、酸及び水との混合のし易さの観点から、酸と水とを混合した後に、この混合物を、重合体を含む溶液と混合することが好ましい。
重合体を含む溶液と、酸及び水との混合方法としては、特に限定されないが、攪拌機、回転分散機あるいはスタティックミキサー等を用いる方法が挙げられる。
チタン化合物とは、Tiを含有する化合物であり、その中にLiを含有していてもよい。
前記(1)の工程:重合体を含む溶液100質量部に対して、酸と、20〜300質量部の水と、を混合する工程の後、重合体を含む溶液100質量部に対して水を10質量部以下にする工程((2)の工程、工程(2)と記載する場合もある。)を行う。
これにより、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性が得られ、生産時の押出機のフィルター詰まりが抑制できる。
また、後述する(4)の工程により、脱溶媒し易くなるという観点から、重合体を含む溶液100質量部に対して水の量を10質量部以下とし、好ましくは5質量部以下とし、より好ましくは2質量部以下とし、さらに好ましくは1質量部以下とする。
良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性を得、かつ生産時の押出機の高い耐フィルター詰まり性を良好なものとする観点から、(2)の工程における金属の除去率は、総金属量の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがさらにより好ましい。
さらに、デカンテーションの滞留時間としては5分以上が好ましく、10以上がより好ましい。
また、遠心分離機の相対遠心加速度は1000G以上が好ましく、3000G以上がより好ましく、5000G以上がさらに好ましい。
前記(2)の工程後、重合体を含む溶液に炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を添加する工程((3)の工程、工程(3)と記載する場合もある。)を行う。
これにより、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性が得られ、生産時の押出機のフィルター詰まりの抑制ができる。
脱炭酸する化合物としては、カルボキシル基を持つ化合物が挙げられ、以下に限定されるものではないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
成形品中への不純物の少なさ、低臭気、経済性の観点から、重合体を含む溶液に炭酸ガスを添加することが好ましい。
炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物は、重合体を含む溶液に直接添加してもよいし、水もしくは溶媒に溶解させた状態で添加してもよい。
炭酸ガスとは、二酸化炭素である。保存時は液状あるいは個体であってもよい。二酸化炭素は、常温常圧で気体(炭酸ガス)となる。
炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を、重合体を含む溶液に添加する方法としては、断続的に又は連続的に接触させてもよいが、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性の観点から、連続的に添加することが好ましい。
工程(3)で炭酸ガスを添加する場合、添加方法としては、例えば、重合体を含む溶液の移送配管の途中に炭酸ガスを吹き込む方法や、混合槽を設けてそこに炭酸ガスを吹き込む方法が挙げられる。操作の容易さの観点から、重合体を含む溶液の移送配管の途中に炭酸ガスを吹き込む方法が好ましい。
炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物と重合体を含む溶液との接触頻度の観点から、重合体を含む溶液の重合体の濃度は10質量%以上が好ましく、重合体を含む溶液中の炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物の拡散性の観点から、重合体を含む溶液の重合体濃度は50質量%以下が好ましい。重合体の濃度は12質量%以上30質量%がより好ましく、15質量%以上25質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上、20質量%未満がさらにより好ましい。
炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物と重合体を含む溶液との高い混合性の観点から、炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を添加する工程においては攪拌機やスタティックミキサーを用いることが好ましい。
炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物の添加量は、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性、及び生産時の押出機のフィルター詰まりの抑制の観点から、重合工程で使用した重合開始剤のリチウム1モルに対し、0.01mol以上が好ましく、経済性や製造設備の腐食性の観点から1.0mol未満が好ましい。炭酸ガスや脱炭酸する化合物の添加量は重合開始剤のリチウム1モルに対して0.05mol以上0.8mol以下がより好ましく、0.1mol以上0.5mol以下がさらに好ましく、0.1mol以上0.4mol以下がさらに好ましい。
また、前記(1)の工程における酸と、(3)の工程において添加する炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物とのモル比(但し、前記(1)の工程における酸のモル量/炭酸ガスと脱炭酸する化合物との合計のモル量)は、耐加熱変色性や耐フィルター詰まりの観点から0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.9であり、さらに好ましくは0.1〜1.8である。
前記(3)の工程後、前記重合体を含む溶液を、重合体の濃度が95質量%以上になるように、脱溶媒する工程((4)の工程、工程(4)と記載する場合もある。)を行う。
溶媒を除去する方法は特に制限されないが、溶剤回収量が高い、成形品の色調あるいは耐加熱変色性の観点から、直接脱溶媒法を適用することが好ましい。
重合体の濃度を95質量%以上となるようにすることにより、衛生上問題となる成形品中の揮発性物質の除去の効果が得られる。好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上とする。
重合体の濃度は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
後述する〔実施例〕中の実施例8は、特公平05−54805号法に記載のスチームストリッピング法によって溶媒を除去した具体例である。それ以外の実施例と比較例は、直接脱溶媒法で溶媒を除去した。
前記直接脱溶媒法とは、スチームストリッピング(水蒸気脱溶剤法)のような大量の水といった別溶剤を使用せずに溶媒を除去する方法を指す。
前記直接脱溶媒法としては、特に限定されないが、脱揮押出機、脱揮ニーダー、ドラムドライヤーあるいはフラッシュ型濃縮器等を用いる方法が挙げられる。これらは、1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性、生産時の押出機のフィルター詰まりの抑制、重合体の回収の容易さの観点から、二軸脱揮押出機を用いる方法が好ましい。
より好ましくは、二軸スクリューと後方排気ゾーンとを有する二軸脱揮押出機に、重合体を含む溶液を導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、重合体の濃度を95質量%以上にする方法が挙げられる。また、除圧はスクリューに供給するラインに配置した制御弁によって調整することができる。
前記二軸脱揮押出機には、温度が130〜200℃の重合体を含む溶液を導入することが好ましい。
重合体を含む溶液の温度を200℃以下とすることにより重合体の分子鎖の切断を防止でき、重合体の成形時における熱安定性を高くすることができる。また、130℃以上とすることにより実用上十分な溶媒除去率を確保できる。
良好な成形品の色調や、溶媒の高い除去率の観点から、押出機を構成するバレル内でのスクリューの前進運動と共に排気ゾーン間に、水を注入することが好ましい。
前記二軸脱揮押出機としては、スムーズな吐出、重合体への熱履歴の抑制の観点から二軸脱揮押出機のスクリュー先端部と吐出ダイ部との間にギアポンプを有する構造のものが好ましい。
前記二軸脱揮押出機としては、脱溶剤性や熱劣化の抑制の観点から、排気用のベントゾーンを複数個有し、L/Dが30以上(Lはスクリューの長さ、Dはスクリューの外径)、かみ合い型同方向二軸ベント押出機がより好ましい。
本実施形態の重合体の製造方法においては、前記工程(3):前記重合体を含む溶液に炭酸ガスや脱炭酸する化合物を添加する工程の後、工程(4)において重合体を含む溶液を押出機や脱揮ニーダーに投入し、重合体の濃度が95質量%以上になるまで脱溶媒する前に、重合体を含む溶液の溶媒の一部を予め脱溶媒する工程を設けることが好ましい。
前記溶媒の一部を脱溶媒する方法としては、例えば、後述する工程(4)で押出機や脱揮ニーダーに投入する前に、重合体を含む溶液を、熱交換器を通して昇温し、さらにフラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させ、直接脱溶媒する方法が挙げられる。
これにより、工程(4)における押出機やニーダーの脱溶剤性が高められ、熱劣化を抑制することができるという効果が得られ、良好な成形品の色調、高い耐加熱変色性、高い耐失透性が実現でき、また、重合体の回収の容易さが向上する。
なお、一部を除去するとは、重合体を含む溶液の溶媒の10質量%〜90質量%を除去する、好ましくは30質量%〜80質量%、より好ましくは40質量%〜70質量%除去することである。
本実施形態の重合体の製造方法においては、重合体の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点で、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤は、前記(2)の工程である重合体を含む溶液100質量部に対して水を10質量部以下にする工程後に添加することが好ましく、さらに、重合体の耐熱老化性やゲル化の抑制、良好な成形品の色調、及び高い耐加熱変色性の観点から、前記(3)の工程である、重合体を含む溶液に炭酸ガスや脱炭酸する化合物を添加する工程後に添加することがより好ましい。
また、酸化防止剤の分散性の観点から、重合体の濃度が90質量%以下の溶液中に酸化防止剤を添加することが好ましい。さらに、重合体を含む溶液を押出機に投入する前に、上述した(重合体を含む溶液から、溶媒の一部を除去する工程)を設ける場合は、重合体を含む溶液に酸化防止剤を添加する工程(A)は、(重合体を含む溶液から、溶媒の一部を除去する工程)の前に行うことが好ましい。
酸化防止剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、ラジカル補捉剤のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤のリン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
重合体の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点で、少なくともフェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
後述する実施例1〜8及び比較例1〜4において得られた重合体の構造の特定方法、及び評価方法について以下に示す。
後述する実施例及び比較例において製造した重合体中のビニル含有量、共役ジエン中の不飽和基の水素添加率、及びスチレン含有量を、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
水添反応後に、大量のメタノール中に沈澱させることで、水添重合体を回収し、次いでアセトン抽出・真空乾燥を行い、1H−NMR測定を行った。
測定機器:JNM−LA400(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
重合体の分子量及び分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置:LC−10(島津製作所製)
カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)、2本
溶媒:テトラヒドロフラン
検量線用サンプル:市販の標準ポリスチレン(東ソー社製)、10点測定
後述する実施例及び比較例において製造した重合体を圧縮成型して、厚さ2mmのシートを製造し、得られたシートのb値を、色差計(日本電色工業株式会社製 ZE−2000)を用いて測定し、下記の基準により評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
b値≦1以下:◎
1<b値≦2:○
2<b値≦4:△
4<b値:×
後述する実施例及び比較例において製造した重合体を圧縮成型して厚さ2mmのシートを製造し、得られたシートをギヤオーブンにより200℃で30分間加熱を行った後、該シートのb値を、色差計(日本電色工業株式会社製 ZE−2000)を用いて測定し、下記の基準により評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
b値≦4以下:◎
4<b値≦6:○
6<b値≦8:△
8<b値:×
後述する実施例及び比較例において製造した重合体を圧縮成型して厚さ2mmのシートを製造し、得られたシートについて、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−1001DP)を用い、流動パラフィン中でのヘイズ値(曇り度)を測定し、下記基準により評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。該ヘイズ値は透明性の指標とした。
ヘイズ値≦6以下:◎
6<ヘイズ値≦10:○
10<ヘイズ値≦15:△
15<ヘイズ値:×
脱揮二軸押出機の先端部に付けた200メッシュのフィルターが詰まり、圧力20kgf/cm2以上になるまでの時間が長い方が経済的で良好であると判断し、下記基準により評価した。評価は良い順から○、△、×とする。
2時間以上:○
1時間以上2時間未満:△
1時間未満:×
以下、実施例1〜8、比較例1〜4について説明するが、これらにおいては、後述する工程(1)〜(4)、工程(A)を適宜選択し、実施順序を変更して重合体の製造を行った。
(重合体を得る工程)
ジャケット付き槽型反応器を用いて、所定量のシクロヘキサンを反応器に仕込んで、温度60℃に調整した後、n−ブチルリチウムの量を全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して、0.08質量部となるように反応器の底部からそれぞれ添加した。
さらに、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの量が前記n−ブチルリチウム1molに対して1.8molとなるようにN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を添加した。
その後、モノマーとして、1ステップ目のスチレン7質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20質量%)を約10分間で供給し、反応器内温度を60℃に調整した。
供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
次に、2ステップ目のブタジエン86質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20質量%)を50分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内温度を50℃になるように調整し、供給停止後、10分間反応器内温度を50℃に調整しながら反応させた。
次に、3ステップ目のスチレン7質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20質量%)を20分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内温度を70〜80℃になるように調整し、供給停止後、10分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
上述のようにして重合を終了した後、エタノールの量が、n−ブチルリチウム1モルに対して1当量になるようにエタノールのシクロヘキサン溶液を添加し、重合体の活性末端を失活し、重合体を得た。
前記重合体を分析したところ、スチレン含有量は14質量%、ブタジエン部のビニル含有量は75mol%、重量平均分子量は14.8万、分子量分布は1.05であった。
次に、得られた重合体(重合体の濃度15質量%のシクロヘキサン溶液)を、特開昭59−133203号公報に記載されているTi系水添触媒を用いて、ブタジエン中の不飽和基中の99.3mol%を水添した。
下記表1の全ての実施例と比較例には、この水添重合体を含む溶液(重合体の濃度15質量%のシクロヘキサン溶液)を用いた。
実施例1においては、酸として乳酸を用いた。
実施例2〜8、比較例1、2、4においては、酸として硫酸を用いた。
実施例1、2、5、6及び比較例1、2の水の量は、重合体を含む溶液100質量部に対して140質量部とした。
実施例3の水の量は重合体を含む溶液100質量部に対して30質量部とした。
実施例4、7、8の水の量は重合体を含む溶液100質量部に対して250質量部とした。
比較例4の水の量は重合体を含む溶液100質量部に対して10質量部とした。なお、本発明の工程(1)においては重合体を含む溶液100質量部に対して水を20〜300質量部混合するが、表1の比較例4中においては、便宜上、工程(1)と記載した。
実施例1〜8、比較例1、2、4においては、酸と水を混合した後、当該混合液を、重合体を含む溶液と混合した。
比較例3は該工程(1)を行わなかった。
また、後述する(混合した重合体を含む溶液から、水を除去する工程((2)の工程)で、デカンターで除去する水のpHが7.0となるように酸の添加量を調整した。
該工程(1)は、噛み合わせ構造を有する回転分散機(大平洋機工製、商品名、キャビトロンCD1050、モータ動力:70kW)を用いて連続的に行った。
実施例1〜6、8及び比較例1、2、4のチタン化合物中のチタン(Ti)と酸とのモル比(チタン化合物中のチタン(Ti)のモル量/酸のモル量)は、0.17であった。
実施例7は、チタン化合物中のチタン(Ti)と酸とのモル比(チタン化合物中のチタン(Ti)のモル量/酸のモル量)は、0.36であった。
実施例1〜8及び比較例2、4の添加した酸と、後述する工程(3)で添加した炭酸ガスとのモル比(酸のモル量/炭酸ガスのモル量)は1.3であった。なお、比較例1は後述するように炭酸ガスを添加しなかった。
また、実施例1〜8及び比較例1〜4のチタン(Ti)とリチウム(Li)とのモル比(Ti/Li)は、実施例1〜6、8及び比較例1〜4は0.08、実施例7は0.10であり、重合体を含む溶液中のリチウム化合物の含有量は重合体に対し、全ての実施例と比較例は0.08質量%であった。
比較例3以外の実施例及び比較例において、上述した重合体を含む溶液に対して、酸と水とを混合する工程((1)の工程)後(但し、比較例2においては、(1)の工程及び(3)の工程の後)に、デカンター(デカンテーション)により、重合体を含む溶液100質量部に対して、水の量が3質量部になるまで、大部分の水を除去した。
実施例6においては、その後、さらに、遠心分離機(アルファ・ラバル社製ディスク型遠心分離機、相対遠心加速度5000G)で遠心分離し、重合体を含む溶液100質量部に対して、水の量が0.8質量部になるまで除去した。
比較例1以外の実施例及び比較例において、重合体を含む溶液に、炭酸ガスを、重合開始剤の金属1モルに対し、0.4mol添加し、インラインミキサー(駆動部なし)で混合した。
重合体を含む溶液に、酸化防止剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を重合体100質量部に対し、0.25質量部を添加し、インラインミキサー(駆動部なし)で混合した。
実施例1〜7、比較例1〜4は、まず、熱交換器を通して重合を含む溶液の温度を170℃に昇温し、フラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させた。
濃縮器出口での温度は、100℃に低下し、濃度は55質量%であった。
次に、上記のようにして濃縮された重合体を含む溶液を、熱交換器を通して再度160℃に加熱し、2軸脱揮押出機にフィードして脱溶媒を行った。
使用した2軸脱揮押出機は、後方排気ゾーンを有するスクリュー外径65mm、L/D(L:スクリュー長、D:スクリュー外径)=40のかみ合い型同方向2軸3段ベント押出機であり、スクリュー先端とダイの間に、ギアポンプを取り付けたものである。
運転条件はスクリュー回転数120rpm、ポリマー押出量は90kg/時間で、水を第2排気ゾーンと最後の排気ゾーン(第3排気ゾーン)の間でポリマーの100質量部に対して1質量部の割合でプランジャー型定量ポンプを用いて添加した。
得られた重合体中の残存シクロヘキサン濃度は、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、99.7〜99.8質量%であった。
実施例8は、特公平05−54845号公報に記載の通り、スチームストリッピング法を実施した後に、スクリュー外径65mm、L/D=35の二軸押出機で混練し重合体を得た。
表1中、空欄の箇所は工程が無いことを表している。
Claims (13)
- 炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体を重合させ、重合体を得る重合工程と、
前記重合工程の後、下記(1)〜(4)の工程と、
を、順次行う、重合体の製造方法。
(1)前記重合体を含む溶液100質量部に対して、酸と、20〜300質量部の水と、を混合する工程
(2)前記重合体を含む溶液100質量部に対して水を10質量部以下にする工程
(3)前記重合体を含む溶液に炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物を添加する工程
(4)前記重合体を含む溶液を重合体の濃度が95質量%以上になるまで脱溶媒する工程 - 前記重合体を含む溶液が、チタン化合物とリチウム化合物を含む、請求項1に記載の重合体の製造方法。
- 前記チタン化合物中のチタンと前記(1)の工程で混合される酸とのモル比が、チタン化合物中のチタンのモル量/酸のモル量=0.02〜0.35である、請求項2に記載の重合体の製造方法。
- 前記(1)の工程で混合される酸と、前記(3)の工程で混合される炭酸ガス及び/又は脱炭酸する化合物のモル比が、
酸のモル量/炭酸ガスと脱炭酸する化合物との合計のモル量=0.1〜2.0である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。 - 前記(1)の工程で混合される酸が、無機酸である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(3)の工程で添加するものが炭酸ガスである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(4)の工程において、直接脱溶媒する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(3)の工程後、前記重合体を含む溶液に酸化防止剤を添加する工程(A)を、さらに行う、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(3)の工程後、前記工程(4)の前に、前記重合体を含む溶液の溶媒の一部を脱溶媒する工程を、さらに行う、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(2)の工程が、デカンテーションにより行われる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記(2)の工程が、遠心分離機を用いて行われる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とのブロック共重合体である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 前記重合体が、水添前の共役ジエン単量体単位全量中のビニル含有量が50mol%以上である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
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