JP4912524B2 - 連続中和方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合して得られた重合体溶液、およびその水添物を効率よく後処理し、製造する方法に関するものである。
詳述すれば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合して得られた重合体活性溶液に水、もしくはアルコールを添加し、活性末端を失活させた後に、炭酸ガスを吹き込み、触媒残渣を連続的に中和し安定化させることで、効率よく後処理して重合体を製造する方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンからなるブロック共重合体は、比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が少ない場合、透明で加硫をしなくても加硫された天然ゴムあるいは合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、履き物、プラスチック改質、アスファルト、粘接着分野等で広く利用されている。また、比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が多い場合は、透明で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂が得られることから、食品包装容器分野を中心にその使用量が増加するとともに用途も多岐にわたってきている。
【0003】
かかるブロック共重合体は、一般には、炭化水素溶媒中にてアニオン重合法を用いてブロック共重合体を得、溶媒を除去した後に得られる。溶媒の除去には、スチームストリッピング法もしくは直接脱揮法を用いるが、近年はランニングコストの面からも有利である直接脱揮法がよく用いられているようである。直接脱揮法を用いたブロック共重合体の製造方法においては、炭化水素溶媒中にてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンをアニオン重合により重合させ、活性末端を適当な停止剤により失活させ、その後に触媒残渣を安定化させた後に直接脱揮する手法がしばしば用いられる。
【0004】
アニオン重合法により得られた重合体溶液中の触媒残渣を中和し安定化させる手段としては、炭酸ガスを重合体もしくは重合体溶液と接触させる方法が一般的である。例えば、重合を重合缶で行い、さらに重合体溶液を含有した同一の重合缶内で活性末端を失活させる停止剤の添加、および炭酸ガスを吹き込んで中和する方法、あるいは重合は重合缶で行い、その後重合溶液を重合停止専用の重合液ホ−ルド槽に移送して、その槽内で停止剤の添加、および炭酸ガスを吹き込んで中和する方法等が一般的に行われている。しかし、これらの方法では炭酸ガスと重合体溶液の接触方法や、接触の高効率化等にはなんら注意が払われておらず、重合体溶液の処理時間が長くなってしまったり、炭酸ガスの接触不足が発生しがちであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状において、本発明者らは炭酸ガスを重合体溶液に効率よく接触させ、重合体溶液中の触媒残渣を中和し安定化させる方法および装置を鋭意検討した結果、該重合体溶液を脱揮工程に連続的に移送する工程で、炭酸ガスを重合体溶液に連続的に吹き込むことでその目的が達成されることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決する手段】
即ち、本発明は炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合して得られた重合体溶液、またはその水添物溶液から重合体を得る際に、重合後の後処理として、該重合体活性溶液に水、もしくはアルコールを添加し、活性末端を失活させた後に、炭酸ガスを吹き込み、触媒残渣を安定化するに当たり、重合缶または重合液ホ−ルド槽から脱揮工程に重合液を移送するために設けた重合体溶液移送配管内で重合体溶液に炭酸ガスを直接吹き込む方法およびその装置、その後に攪拌混合機能を備えた配管、および攪拌混合槽を設けること、あるいは炭酸ガスを連続的に吹き込むことのできる混合槽を設けることによって連続的に中和し安定化することができるものである。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の方法においては、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合せしめて重合体溶液を製造する。得られる重合体中のビニル芳香族炭化水素および共役ジエンとの重合体の単量体質量比は特に制限は無いが、一般に99.9:0.1〜0.1:99.9、好ましくは95:5〜2:98の範囲で変化させることが出来る。
ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンから得られる重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、一般的には不活性な炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物によりアニオン重合する公知の方法で製造できる。
【0008】
具体的には、ランダム共重合体は米国特許3094514号明細書に記載されているように、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンの混合物を通常の重合速度より遅い速度で重合器に供給することによって製造できる。あるいは、米国特許3451988号明細書に記載されているように、極性化合物やランダム化剤の存在下にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を共重合させてランダム共重合体を製造することによってもできる。
【0009】
また、ブロック共重合体の製造方法としては、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415公報、特公昭49−36957公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特公昭51−49567号公報等に記載された方法があげられる。
【0010】
これらの方法で得られるブロック共重合体は、一般式、(A−B)n、A−(B−A)n、B−(A−B)n 等で表される線状ブロック共重合体があげられる。(なお、上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロック、Bは共役ジエンを主とする重合体ブロック、nは1以上の整数である。)
あるいは、一般式、[(B−A)n−]m+1−X、[(B−A)n−]m+1−X、[(B−A)Bn−]m+1−X、[(A−B)An−]m+1−X等で表される非線状ブロック共重合体があげられる。(なお、上式において、A,Bは前記と同じであり、Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油等のポリエポキサイド、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、多塩基酸無水物、多官能イソシアネート、多官能アルデヒド、多官能ケトン、ポリビニル芳香族化合物等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。また、n,mは1以上の整数を示す。)
【0011】
該ブロック共重合体は、上記一般式に示すとおり少なくともビニル芳香族炭化水素を主体とする重合ブロック部と少なくとも共役ジエンを主体とするブロック部とを有するブロック共重合体であり、それぞれブロック部は複数個存在していても良い。また、ブロック共重合体中に、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンの共重合ブロック部が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は共重合ブロック部中に均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよいし、該共重合ブロック部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分が複数個存在していてもよい。
【0012】
本発明の方法で用いるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等があるが、とくに一般的なものとしてはスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンがあげられる。これらは一種のみならず2種以上混合して使用しても良い。
【0013】
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等であるが、特に一般的なものは、1,3−ブタジエン、イソプレン等がある。これらは一種のみならず2種以上混合して使用しても良い。
【0014】
炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できるが、これらに限られるものではない。またこれらは一種のみならず2種以上混合して使用しても良い。
【0015】
有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ボリリウム化合物等であり、たとえばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサンメチレンジリチウム、ブタジエルジリチウム、イソブレニルジリチウム等があげられる。これらは1種のみならず2種以上混合して使用しても良い。
【0016】
本発明においては重合速度の調製、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンの反応性比の調製等の目的で極性化合物やランダム化剤を使用することが出来る。
極性化合物としては、エーテル類、アミン類、チオエーテル類、ホスフィンおよびホスホルアミド等があげられる。エーテル類の例はジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルおよびテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルである。アミン類としては第3級アミン、例えばトリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの外、環状第三級アミン等も使用できる。チオエーテル類としては、チオアニソールやチオフェノール等の硫化アルキルや硫化アリールがあげられる。ホスフィンおよびホスホルアミドとしては、トリフェニルホスフィンおよびヘキサメチルホスホルアミドがある。
また、ランダム化剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムまたはナトリウムのアルコキシド等があげられる。例えばアルキルベンゼンスルホン酸カリウムまたはナトリウム、カリウムまたはナトリウムブトキシド等があげられる。
【0017】
本発明において重合体を製造する際の重合温度は一般に−10℃ないし150℃、好ましくは40℃ないし120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には1ないし10時間である。
また、重合圧力は、上記重合温度範囲内で単量体および溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲内で行えばよく、特に限定されるものではない。さらに重合系内には触媒およびアニオン重合体を不活性化させるような不純物、たとえば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必要がある。
【0018】
このようにして得られた重合体の重量平均分子量は、一般に5000〜5000000、好ましくは10000〜1000000である。また、重合体溶液中の炭化水素溶媒の量は、一般に重合体100重量部に対して50重量部から2000重量部である。なお、重合体の性質によっては重合体が炭化水素溶媒に不溶で懸濁状の状態で得られる場合もあるが、本発明においてはこれらも重合体溶液と呼ぶことにする。
【0019】
また、本発明においては、上記で得られた重合体溶液を水添反応(水素添加反応)により部分的に、或いは選択的に水添した重合体溶液も用いることができる。水添率は任意に選定する事が出来、未水添重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を3%以上、80%未満、好ましくは5%以上、75%未満水添する事が、また耐熱劣化性および耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%以上水添することが推奨される。水添率は核磁気共鳴装置等により測定できる。水添反応に使用される触媒としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸またはアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、あるいはRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯体触媒等の均一触媒が知られている。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、あるいは特開昭59−133203号公報、特開昭60−220147号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添重合体溶液を得ることが出来る。
【0020】
次に、前記で得られた重合体溶液またはその水添物溶液の後処理について述べる。
まず、重合体溶液に活性末端を失活させるための処理を以下重合停止措置という。活性末端を失活させるための処理剤として用いる停止剤としては、有機リチウム化合物によって製造されたリビング重合体を失活させることが出来る公知の停止剤、例えば、活性水素を有する化合物が使用できるが、好適なものは、水、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、第1級アミン、第2級アミンおよびこれらの混合物があげられる。これらは、一般に重合体100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で使用される。
【0021】
重合停止措置としては、重合および重合体溶液への停止剤の添加を重合をおこなった重合缶内で行っても良いし、または重合は重合缶で行い、その後重合停止を専用に行う槽(以下、重合液ホ−ルド槽という)に移送して処理を行っても良い。
【0022】
次に、重合停止措置後の触媒残渣を中和し安定化させることについて述べる。重合体溶液中の触媒残渣を中和し安定化させる手段として、従来は停止処理を行った重合缶または重合液ホ−ルド槽で炭酸ガスを重合体溶液と間欠接触させる方法であった。
本発明においては重合体溶液中の触媒残渣を中和し安定化させる手段としては、重合停止措置を施した後、次の脱揮工程に重合体を連続的に移送する際、炭酸ガスと重合体溶液とを接触させ、重合体溶液を中和し安定化させることに特徴がある。
【0023】
即ち、本発明は重合停止措置を施した後、次の脱揮工程に重合体溶液を連続的に移送する工程で、移送するために設けられた重合体溶液移送配管の途中に炭酸ガスを吹き込むか、若しくは混合槽を設けてそこに炭酸ガスを吹き込み混合することが必須で、これらの方法によって連続的に処理を行うことができる。なお、炭酸ガスは間欠的に吹き込むこともできるが触媒残渣を中和し安定化させるためには連続的に吹き込むことが好ましい。
【0024】
また、重合体溶液と炭酸ガスを接触させる時点においては、重合体溶液が溶媒を多く含んでいることが重要であり、少なくとも重合体溶液100重量部に対して溶媒は30重量部以上95重量部以下、好ましくは50重量部以上80重量部以下でなくてはならない。また、炭酸ガスの量は重合体中の触媒残渣のモル数と等モル以上でなければならない。
【0025】
重合停止措置を施した後、重合体溶液移送配管内に直接炭酸ガスを吹きこむ場合は、炭酸ガスが吹き込まれた後に、
(1)スタティックミキサーもしくは類似した攪拌能力を有する公知の攪拌装置を配し、重合体溶液の流れを妨げずに重合体溶液と炭酸ガスを混合攪拌する工程および装置、および/または
(2)気相部を有する混合槽からなり、炭酸ガスが吹き込まれた重合体溶液が連続的に移送されつつ、攪拌翼により混合攪拌され、連続的に抜き出される工程および装置により、炭酸ガスと重合体溶液の混合、攪拌がなされることが好ましい。更に(1)と(2)は、それぞれ単独でもよいが、併用することが好ましい。
【0026】
また、重合停止措置を施した後、混合槽にて連続的に中和し安定化する場合には、気相部を有する混合槽に連続的に重合体溶液を移送し、同時に炭酸ガスも連続して混合槽に吹き込むことが好ましい。炭酸ガスの吹き込み口は、混合槽の気相部でも液相部でもよいが、好ましくは液相部に吹き込む。移送された重合体溶液は、混合槽内で攪拌され、炭酸ガスと混合され、連続的に混合槽から抜き出される。混合槽から抜き出された液は重合体と溶媒を分離する脱揮工程へ送られる。脱揮工程としては特に限定はないが、ベント付き押出機、ドラムドライヤー、フラッシュ蒸留装置やこれらを組み合わせたものがあげられる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、装置の詳細を装置図にて説明する。
本発明は、炭酸ガスを吹き込む方法で二通りに分けることが出来る。重合体溶液移送管内に吹き込む場合と、混合槽に吹き込む場合とである。はじめに重合体溶液移送管内に吹き込む場合について述べる。
【0028】
装置図1は、▲1▼炭酸ガス吹き込み部、▲2▼炭酸ガス混合促進部(スタティックミキサー)、および▲3▼炭酸ガス混合促進部(混合槽)よりなる。しかし、実際には▲1▼炭酸ガス吹き込み部の後は、▲2▼炭酸ガス混合促進部(スタティックミキサー)のみでも良く、あるいは▲3▼炭酸ガス混合促進部(混合槽)のみでも良い。以下、各部について詳述する。
【0029】
▲1▼炭酸ガス吹き込み部
炭酸ガスを吹き込むノズル4は、ギヤポンプ1で配送している重合体溶液の流れる配管中に、重合体溶液に直接吹き込めるように、配管内壁より配管内部に出ていることが好ましく、さらに好適には配管内でノズル4の口が下向きになるように設置されているのが良い。炭酸ガスは、バルブ2によって流量を調節する事が出来、連続的に供給される。このバルブ2は手動で調節する形でも自動的に重合体溶液流量にあわせてコントロールする形でもよい。
【0030】
▲2▼炭酸ガス混合促進部(スタティックミキサー)
スタティックミキサー5は長ければ長い程良いが、圧力損失がギアポンプ1の送液能力を越えてはならない。なお、スタティックミキサー5は水平に設置するより、入りよりも出の方が上、つまり流れ方向に上向きが好ましい。さらに好ましくは垂直に設置する。
【0031】
▲3▼炭酸ガス混合促進部(混合槽)
混合槽6は、滞留した重合体溶液量が混合槽6内の容積の少なくとも5〜95%、好適には10〜70%、さらに好適には20〜50%であるように調節しなくてはならない。気相部7は、酸素の混入を防ぐために、不活性ガス吹き込みノズル9より窒素、アルゴン等の不活性ガスが吹き込めるようになっており、結果として炭酸ガス、重合体溶液の溶媒蒸気、および不活性ガスによって満たされている。混合槽6は攪拌翼8を有している。攪拌翼8は、パドル翼、タービン翼、マックスブレンド翼等混合性能を有するものであれば良く、扱う重合体溶液の粘度に合わせて選定できる。また、混合性能を向上させるために混合槽内壁に邪魔板を設置しても良い。重合体溶液の滞留時間は、少なくとも1分以上、好適には5分以上、さらに好適には1時間以上である。混合槽6からの抜き出しはギアポンプ10によってなされる。
【0032】
次に失活後の重合体溶液を混合槽にて連続中和する装置図2について解説する。
混合槽6は、滞留した重合体溶液量が混合槽6の容積の少なくとも5〜95%、好適には10〜70%、さらに好適には20〜50%であるように調節しなくてはならない。気相部7は、酸素の混入を防ぐために、不活性ガス吹き込みノズル9より窒素、アルゴン等の不活性ガスが吹き込めるようになっており、結果として炭酸ガス、重合体溶液の溶媒蒸気、および不活性ガスによって満たされている。混合槽6は攪拌翼8を有している。攪拌翼8は、パドル翼、タービン翼、マックスブレンド翼等混合性能を有するものであれば良く、扱う重合体溶液の粘度に合わせて選定できる。また、混合性能を向上させるために混合槽内壁に邪魔板を設置しても良い。重合体溶液の滞留時間は、少なくとも1分以上、好適には5分以上、さらに好適には1時間以上である。混合槽6からの抜き出しはギアポンプ10によってなされる。炭酸ガスは、炭酸ガス吹き込み部4から連続的に供給される。なお、このノズルは気相部に炭酸ガスを供給する形を取っていても良い。
【0033】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明に使用した重合体溶液中の重合体は、シクロヘキサン溶媒中で、ノルマルブチルリチウムを用いアニオン重合で得られたスチレン−ブタジエンのブロック共重合体で、活性末端を水で失活処理し、脱揮処理時にかかる熱履歴による変質を防ぐための安定剤を添加したものであった。なお、得られた重合体は、スチレン:ブタジエン比は8:2であり、重合体と溶媒の質量比は、2:8であった。
【0034】
実験例1
装置図3に示す装置で重合体溶液の安定化を実施した。重合体溶液流量はギアポンプ1の吐出量を調整して1.0t(トン)/hr(時間)とし、吹き込む炭酸ガス流量は流量計3を見ながらバルブ2にて手動で調節し、1.0Nm3/hrとした。安定化処理をした後、脱揮押出機に移送される前に設けた予熱器により温度180℃まで加熱し、フラッシュ蒸発による濃縮装置で重合体濃度60%まで濃縮し、ベント付き二軸脱揮押出機によりペレット化した。なお、その際の吐出樹脂温度はおよそ240℃であった。その後、射出成型機(日精2oz成型機FS−55、シリンダー温度設定220℃)にて厚さ3mmのプレートに成形し、目視にて色調を評価した。
【0035】
実験例2
吹き込む炭酸ガス流量を0.5Nm3/hrとした以外は実験例1と同様とした。
【0036】
実施例3
装置図4に示す装置で重合体溶液の安定化を実施した。重合、失活工程より、ギアポンプ1によって重合体溶液が図に示す系に連続的に供給され、ギアポンプ10により連続的に次の脱揮工程に供給される。重合体溶液流量はギアポンプ1の吐出量を調整して1.0t/hrとし、吹き込む炭酸ガス流量は流量計3を見ながらバルブ2にて手動で調節し、0.5Nm3/hrとした。その後、容積が0.7m3(気相部0.1m3、滞留液0.6m3)、滞留時間約0.5時間、撹拌翼8として傾斜パドル翼(6枚)一段を有する混合槽6にて炭酸ガスを含む重合体溶液を混合、攪拌し安定化処理をした。その後脱揮押出機に移送される前に設けた予熱器により加熱し、フラッシュ蒸発による濃縮装置で重合体濃度60%まで濃縮し、ベント付き二軸脱揮押出機によりペレット化した。その後、厚さ3mmのプレートに成形し、目視にて色調を評価した。
【0037】
実施例4
混合槽の気相部を0.4m3、滞留液0.3m3、重合溶液滞留時間を15分とし、その他は実施例3と同様とした。
【0038】
実験例5
装置図5に示す装置で重合体溶液の安定化を実施した。重合、失活工程より、ギアポンプ1によって重合体溶液が図に示す系に連続的に供給され、ギアポンプ10により連続的に混合槽より抜き出され、次の脱揮工程に供給される。重合体溶液流量はギアポンプ1の吐出量を調整して1.0t/hrとし、吹き込む炭酸ガス流量は流量計3を見ながらバルブ2にて手動で調節し、0.5Nm3/hrとした。その後、容積が0.7m3(気相部0.1m3、滞留液0.6m3)、滞留時間約0.5時間、撹拌翼8として傾斜パドル翼(6枚)一段を有する混合槽6にて炭酸ガスを含む重合体溶液を混合、攪拌し安定化処理をした。その後脱揮押出機に移送される前に設けた予熱器により加熱し、フラッシュ蒸発による濃縮装置で重合体濃度60%まで濃縮し、ベント付き二軸脱揮押出機によりペレット化した。その後、厚さ3mmのプレートに成形し、目視にて色調を評価した。
【0039】
比較例1
装置図6に示すような混合槽6(容積1.5m3)にて、重合体溶液1tを仕込み、炭酸ガス吹き込み部4から炭酸ガスを2m3気相部に吹き込み、攪拌翼8を回し、1時間混合した。その後、抜き出しながらその後脱揮押出機に移送される前に設けた予熱器により加熱し、フラッシュ蒸発による濃縮装置で重合体濃度60%まで濃縮し、ベント付き二軸脱揮押出機によりペレット化した。その後、厚さ3mmのプレートに成形し、目視にて色調を評価した。
【0040】
比較例2
攪拌翼8を回して混合する時間を0.5時間とした以外は比較例1と同様とした。
【0041】
比較例3
吹き込む炭酸ガスを1.0m3とした以外は比較例1と同様とした。
【0042】
比較例4
吹き込む炭酸ガスを1.0m3、攪拌翼8を回して混合する時間を0.5時間とした以外は比較例1と同様とした。
【0043】
これら実施例、比較例の重合体溶液処理量、炭酸ガス使用量および処理時間の実験条件とプレート成形品の色調結果を表1に示した。
なお、色調の評価は、得られたプレートを5枚重ねて色調を観察した。
○○:無色透明
○ :無色とは言えず、若干うすい黄色(pale yellow、透明)に着色していることがわかる。
△ :うすい黄色(pale yellow、透明)に着色していること明らかにわかる。
× :明るい黄色(light yellow、透明)に着色していることが明らかにわかる。
××:非常に色濃く鮮やかな黄色(vivid yellow、透明)に着色している。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明の方法および装置を用いることにより、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合して得られたた重合体溶液またはその水添物溶液から重合体を得る際に、重合後の後処理として、重合停止措置を施した後に、触媒残渣を安定化させるにあたり抱えている問題点を克服し、効率よく炭酸ガスと重合体溶液を接触せしめることが出来、容易に良好な色調を有する重合体を得ることが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における重合体溶液移送配管に炭酸ガスを吹き込んで中和するフロー図の一例である。
【図2】 本発明における混合槽に炭酸ガスを吹き込んで中和するフロー図の一例である。
【図3】 実施例1、2で採用した連続中和法のフロー図の例
【図4】 実施例3、4で採用した連続中和法のフロー図の例
【図5】 実施例5で採用した連続中和法のフローの例
【図6】 比較例で採用した中和法のフロー図の例
【符号の説明】
1:ギアポンプ
2:バルブ
3:流量計
4:炭酸ガス吹き込み部
5:スタティックミキサー
6:混合槽
7:混合槽の気相部
8:攪拌翼
9:不活性ガス吹き込みノズル
10:ギアポンプ
11:パージライン
12:重合体溶液移送配管
Claims (1)
- 炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを重合して得られた重合体溶液、またはその水添物溶液から重合体を得る際に、重合後の後処理として、重合缶ないしは重合液ホ−ルド槽の重合体活性溶液に水、もしくはアルコールを添加し、活性末端を失活させた後に、該重合体溶液を脱揮工程に連続的に移送する工程で、連続的に移送するために設けられた重合体溶液移送配管に炭酸ガスの吹き込み部を設け、重合体中の触媒残渣のモル数と等モル以上の炭酸ガスを、重合体溶液100重量部に対して溶媒が50重量部以上80重量部以下である該重合体溶液に直接吹き込み、重合体溶液移送配管に設置された撹拌混合機能を有する配管部を通過させて、更に設けられた混合槽内で撹拌し、触媒残渣を中和し安定化することを特徴とする連続中和法。
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