JP3717213B2 - ブロック共重合体の回収方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体又はその水添物の溶液から溶媒を直接脱溶媒するに際して、ペレット中のゲルが少なく、色調及び透明性に優れ、残留溶媒量が少なく、尚且つ良好な加工安定性を有するブロック共重合体又はその水添物を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は優れた透明性と耐衝撃性を備えた樹脂であることから、シート、フィルム、射出成形品等に広く使用されている。これらのブロック共重合体を製造するに際しては、触媒に対して不活性な炭化水素溶媒中で通常重合が行われ、生成したブロック共重合体は溶媒に均一に溶解しているか、或いは懸濁した状態で得られるため、ブロック共重合体と溶媒とを分離する工程が必要となる。ブロック共重合体と溶媒を分離する方法としては種々の方法があるが、その一つとしてブロック共重合体溶液を直接脱溶媒するに際し、ベント押出機から1段階で脱溶媒してブロック共重合体を回収する方法が知られている。
【0003】
例えば特開昭51−86588号公報、特開昭51−41087号公報ではスチレン系ブロック共重合体樹脂を2軸多段押出機を用いて脱溶媒する方法が、特開昭63−284203号公報には弾性ポリマー溶液をエンドレススクリューを備えた2軸ベント押出機に導入し、溶媒を除去する方法が、特開昭63−314207号公報には重合体を回収するにあたり、スクリュー先端部とダイ部の間にポンプを設けた2軸ベント押出機を用いて重合体を回収する方法が、特平2−270600号公報には特定の安定剤を添加した後、2軸多段ベント押出機を用いて直接脱溶媒する方法が記載されている。
【0004】
上述の、従来の技術に記載した重合体溶液を2軸ベント押出機を用いて直接脱溶媒する方法では、得られるブロック共重合体の品質面、特にゲル生成の防止、脱溶媒ポリマーの分子鎖切断と架橋反応の抑止、色調、耐失透性等の点で必ずしも十分ではなかった。そのため、ブロック共重合体又はその水添物を高温条件下で加工する、或いは厚みが0.1mm以下の薄いシート、フィルム等に加工するような場合に、ゲル混入による印刷不良というような問題が発生した。また、ブロック共重合体又はその水添物を生産するに際しても残存溶媒の少ないものを効率よく運転する点で十分ではなく、その解決が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ブロック共重合体又はその水添物を生産するに際しても残存溶媒の少ないものを効率よく運転する方法を提供する。この方法により、ゲル生成の防止、脱溶媒ポリマーの分子鎖切断と架橋反応の抑止、色調、耐失透性等の点を改良した。この結果、ブロック共重合体又はその水添物を高温条件下で加工する、或いは厚みが0.1mm以下の薄いシート、フィルム等に加工するような場合でも、ゲル混入による印刷不良も解決した。
【0006】
【発明解決するための手段
即ち、本発明は、
1.炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を重合して得られた、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜95重量%であるブロック共重合体又はその水添物の溶液から溶媒を直接脱溶媒することによりブロック共重合体又はその水添物を取得するにあたり、(1)ブロック共重合体又はその水添物の活性重合体溶液に、重合器中へ反応停止剤を添加する工程、(2)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液に、(A)炭酸ガス、(B)有機酸の少なくとも1種を添加し、溶液のPHを6.5〜8.5の範囲に調整する工程、(3)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液に、200℃の蒸気圧が5mmHg以下のフェノール系安定剤の1種以上をブロック共重合体又はその水添物100重量部に対して0.05〜3重量部を添加する工程、(4)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液をフラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させ、130〜180℃の温度に前もって加熱し、2軸エンドレススクリューと後方排気ゾーンを有し、スクリュー先端部と吐出ダイ部との間にギアポンプを有する押出機のエンドレススクリューの供給ホッパーに導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶媒の75〜95重量%を短時間で除去した後、バレルからの伝熱とスクリューの回転によって再加熱し、0.5〜2重量%の水を供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーン間の少なくとも1箇所に注入し、溶媒の5〜25重量%を供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度が150〜260℃で除去し、実質的に水を含まないブロック共重合体又はその水添物が通過するゾーンであって、しかもそのスクリュー構造がニーディングディスクであるゾーンにリン系安定剤を添加し、下流側に位置したダイに導入し、ダイのすぐ後に配置された、カッターで切断することによって、ペレット状の形態を得る工程、からなることを特徴とするブロック共重合体又はその水添物を回収する方法
2.上記1.記載の(4)の供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーンの少なくとも1ゾーンのポリマー温度が200℃を越え、260℃以下であることを特徴とする上記1.記載のブロック共重合体又はその水添物を回収する方法、
である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
ブロック共重合体又はその水添物の溶液を製造する工程
本発明のブロック共重合体は、比較的ビニル芳香族炭化水素の含有量が多い熱可塑性樹脂であり、ビニル芳香族炭化水素含有量は65〜95重量%の範囲である。本発明のブロック共重合体は少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとを有するブロック共重合体である。ここでビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックとは共役ジエンを50重量%を越える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
【0008】
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存してもよい。
【0009】
本発明で用いるブロック共重合体は基本的には従来公知の手法で製造でき、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報などに記載された手法があげられるが、各構成ポリマーは後述する要件を満足するように製造条件を設定しなければならない。上記の公知の手法はすべて、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブロック共重合する手法である。
【0010】
本発明で用いるブロック共重合体のポリマー構造は例えば、A−(B−A)n 、A−(B−A)n −B、B−(A−B)n+1
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状ブロック共重合体、あるいは一般式、
[(A−B)km+2−X 、[(A−B)k−A]m+2−X
[(B−A)km+2−X 、[(B−A)k−B]m+2−X
(上式において、A、Bは前記と同じであり、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるラジアルブロック共重合体、あるいはこれらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
【0011】
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0012】
炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0013】
有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種まは2種以上混合使用してもよい。
【0014】
本発明においては重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0015】
本発明の方法においてブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には1〜10時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよい。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
【0016】
この様にして得られたブロック共重合体の重量平均分子量、一般的に5000〜1000000、好ましくは10000〜500000である。またブロック共重合体溶液中の炭化水素の量は、一般にブロック共重合体100重量部に対して50重量部〜2000重量部である。尚、ブロック共重合体の性質によってはブロック共重合体が炭化水素溶媒に不溶で懸濁状態で得られる場合もあるが、本発明においてはこれらもブロック共重合体溶液とよぶことにする。
【0017】
又、本発明においては、上記で得られたブロック共重合体を水添反応(水素添加反応)により部分的に、或は選択的に水添したブロック共重合体溶液を用いることができる。水添反応に際し、必要によりブロック共重合体溶液の活性末端は、後述する反応停止剤を添加する工程により不活性化してもよいし、活性末端のままで行ってもよい。
【0018】
本発明の水添反応の水添率は任意に選択することができ、未水添ブロック共重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を3%以上、80%未満、好ましくは5%以上、75%未満水添することが、又耐熱劣化性及び耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%以上水添することが推奨される。水添率は核磁気共鳴装置等により測定できる。水添反応に使用される触媒としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が知られている。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法により、不活性媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
【0019】
工程(1)(反応停止剤を添加する工程)
ブロック共重合体又はその水添物の活性重合体溶液に、反応停止剤を重合器中へ添加する工程である。本工程は最終的に得られるブロック共重合体又はその水添物に混在するゲルの減少に有効である。反応停止剤としては、活性水素を有する化合物及び有機ハロゲン化物或いは無機ハロゲン化物が挙げられる。活性水素を有する化合物としては、水、アルコール、チオール、アミン、無機酸、有機酸等が、有機ハロゲン化物或いは無機ハロゲン化物としてはハロゲン化アルキル化合物、ハロゲン化珪素、ハロゲン化錫等があり、好適な反応停止剤は水、アルコールである。少量の水とアルコールを反応停止剤として使用することにより、溶媒と共に排出されて重合器中に残存せず、次の重合系に影響を及ぼさない。特に水と炭素数1〜3のアルコールは沸点が低く揮散性に優れ、脱溶媒したブロック共重合体又はその水添物に残存しないため、臭気がない点で好ましい。
【0020】
本発明の反応停止剤の添加量は特に制約はないが、有機リチウム化合物に対して0.6〜1.5倍当量が好ましい。
工程(2)(溶液のPHを調整する工程)
前記反応停止剤を添加したブロック共重合体又はその水添物の溶液の製造に用いられる開始剤は、有機リチウム化合物を用い、そのポリマー溶液は強塩基である。この様な状態でフェノール系酸化防止剤等の安定剤をポリマー溶液に添加した場合、多くの安定剤は塩基性条件下で好ましくない変質を起こすため、ポリマーの色調悪化、熱安定性の低下等が発生する。本工程では炭酸ガスと有機酸の少なくとも1種を用いて溶液のPHを調整することによって、優れた品質を有するブロック共重合体又はその水添物を得ることができる。
【0021】
本発明の炭酸ガス、有機酸の添加量は溶液のPHが6.5〜8.5の範囲内になるように所定量添加する。溶液のPHが8.5を超える場合は色調に劣り、6.5未満としても色調の向上はなく、ブロック共重合体又はその水添物溶液中に炭酸ガス、有機酸がそのまま存在するため、設備の腐食等が発生する可能性もあり好ましくない。ここで溶液のPHとは、溶液の一部を採取し、該溶液と同重量の蒸留水(PH7.0±0.5のもの)を該溶液と充分混合した後、静置して二層分離した水層のPHを表示するものとする。PHは、ガラス電極式水素イオン濃度計(PHメーター)を用いて測定できる。
【0022】
本発明で使用する有機酸は広い意味で酸性を有する有機化合物で、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、フェノール等の化合物があげられるが、好ましくはカルボキシル基を含有する有機化合物であって、炭素数8以上の脂肪酸、芳香族カルボン酸が好ましい。本発明で好適に用いられる脂肪酸の具体例としてはオクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸或いはこれらの混合物等があげられる。芳香族カルボン酸としては安息香酸、クロロ安息香酸、アミノ安息香酸、ケイ皮酸、フェニル酢酸あるいはこれらの混合物等があげられる。使用する炭酸ガスはガス状でも固体状であってもよく、水もしくは溶媒に溶解させた状態で添加することもできる。
【0023】
工程(3)(フェノール系安定剤を添加する工程)
本発明においては、上記の炭酸ガス又は有機酸或はそれらの混合物を添加して混合した後、本発明のフェノール系安定剤を添加することがブロック共重合体又はその水添物の酸化劣化等による変質を防止する上で必要である。本発明の200℃の蒸気圧が5mmHg以下のフェノール系安定剤を用いることが、次工程の脱溶媒時のフェノール系安定剤の揮散を防止し、添加量に見合った効果を発揮する。逆に200℃の蒸気圧が5mmHgを超えるフェノール系安定剤を用いた場合は、フェノール系安定剤の揮散が著しいため熱安定性の低下が大きく、好ましくない。
【0024】
本発明のフェノール系安定剤は、200℃の蒸気圧が5mmHg以下の従来公知のフェノール系安定剤が使用でき、これらはそのまま溶液に添加しても、また炭化水素溶媒に溶解して添加してもよい。好適なフェノール系安定剤としては、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等があげられる。上記フェノール系安定剤は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのフェノール系安定剤はブロック共重合体又はその水添物100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部の範囲で使用される。フェノール系安定剤の使用量が0.05重量部未満の場合には安定性の改良効果が認められず、逆に3重量部を超えても本発明の範囲以外の効果が発揮されない。
【0025】
工程(4)(脱溶媒とリン系安定剤を添加する工程)
本工程はブロック共重合体又はその水添物の溶液から溶媒を分離すると共に、リン系安定剤を添加する工程である。本工程では2軸エンドレススクリューと後方排気ゾーンを有する押出機に130〜180℃のブロック共重合体又はその水添物の溶液をエンドレススクリューの供給ホッパーに導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶媒の75〜95重量%を短時間で除去する。この除圧はエンドレススクリューに供給するラインに配置した制御弁によって調整される。ここで、130〜180℃の温度範囲が、後方排気ゾーンで除去される溶媒を適正とするのに好適な温度である。130℃未満の温度では、溶媒の除去が75重量%未満となって、その後の排気ゾーンでエントレが生じて運転に支障をきたすことと溶媒の除去が十分できないため、最終的に得られるブロック共重合体又はその水添物の残存溶媒量が高くなり、好ましくない。また、短時間で除去する溶媒量とは、後方排気ゾーンで除去される溶媒量である。ブロック共重合体又はその水添物の最終的に得られるペレット中の好ましい残存溶媒量は1000ppm以下である。
【0026】
次に後方排気ゾーンでポリマー温度が相当低下するため、前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度を150〜260℃の温度になるように再加熱し、バレル内でのスクリューの前進運動と共に排気ゾーン間の少なくとも1箇所に0.5〜2重量%の水の注入によって段階的に漸次、残りの溶媒の5〜25重量%を除去する。前方排気ゾーンのポリマー温度が150℃未満では残存溶媒量が高くなり、260℃を越えるとポリマー分子鎖の切断と架橋が顕著に起きるため好ましくない。
【0027】
本発明では、前方に位置した排気ゾーンの少なくとも1ゾーンのポリマー温度が200℃を越え、260℃以下にすることが、高押出量で低残存溶媒量を実現するのに有効であり、好ましい。
本発明のブロック共重合体又はその水添物は脱溶媒工程の前工程で、重合器中に反応停止剤を添加し、溶液のPH調整後に特定のフェノール系安定剤を添加しているため、ポリマー温度が200℃以上の運転であってもポリマー分子鎖の切断と架橋は小さく、更に溶媒除去の効率は良好となり、生産性の向上に有効である。また、ブロック共重合体又はその水添物に対して0.5〜2重量%の水を添加することで、より溶剤除去効率を高めることができる。本出願人は、リン系安定剤を本工程内の実質的に水を含まないブロック共重合体又はその水添物が通過する押出機ゾーンに添加することで、ブロック共重合体又はその水添物の熱安定性を高めることを見いだした。ここで実質的に水を含まないとは、ブロック共重合体又はその水添物中の含水率が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下のことを示すものである。リン系安定剤の添加は、熱安定性効果を発揮するものの、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトのように水分の存在下で高温混練りすると容易に加水分解するものもあり、ポリマー溶液中に水分が存在する状態で脱溶媒工程を経ることはできない。特にトリス(ノニルフェニル)フォスファイトの加水分解は、ポリマーの熱安定性の向上に寄与しないばかりか、透明性、耐失透性を悪化させるため好ましくない。本発明の方法によれば、添加したリン系安定剤の分解はなく、相応の効果を得ることができる。リン系安定剤を添加するゾーンのスクリュー構造は、ニーディングディスクを有することが必要である。ニーディングディスクは右ネジ方向型、左ネジ方向型及び直交型のいずれでも良い。これによってポリマー中へのリン系安定剤の分散が良好となるが、特に添加量が多い条件でその効果が顕著に発揮される。リン系安定剤の添加方法は、特に制約はないが、溶融させて、或いはオイル状の液状物等に溶解又は分散させた状態で、定量ポンプ等で添加する方法が好ましい。本発明のリン系安定剤は、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビスフェニレンジフォスファイト、ビス(2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられるが、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトを使用することが本発明の効果を最大限に発揮できる点で好ましい。リン系安定剤の好ましい添加量は、ブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部である。
【0028】
本発明に使用する2軸ベント押出機は、スクリュー先端部と吐出ダイ部との間にギアポンプを有する構造のものが好ましい。これによって、スクリュー回転数を上げても、スムーズな吐出が可能であるため、ブロック共重合体又はその水添物の圧力上昇が抑制されポリマー温度の上昇を防止し、熱安定性の向上に寄与する。ダイはアンダーウォーターカット用又はホットカット用のものとし、カッターは必要なペレットサイズに合わせて、2〜6枚刃のものを用いる。
【0029】
本発明の2軸ベント押出機は排気用のベントゾーンを2〜5個有し、L/D=30〜60(Lはスクリューの長さ、Dはスクリューの外径)のもので、かみ合い型同方向2軸ベント押出機が好ましい。図1に本発明のかみ合い型同方向2軸ベント押出機を用いて、脱溶媒とトリス(ノニルフェニル)フォスファイトを添加する工程の例を示した。
【0030】
ポリマー溶液は2軸エンドレススクリュー(2)を備えた押出機(1)の供給ホッパ(4)に導入される。押出機内の圧力及び供給速度は制御弁(3)によって制御される。押出機は後方排気ゾーン(5)を備え、この後方排気ゾーンを通って溶媒の大部分が除去される。ポリマーは2軸エンドレススクリュー(2)によって前方に移送される。溶媒の残りを除去するために、多数の排気ゾーン(6)が押出機(1)に配置され、この排気ゾーン間には、溶媒の除去を促進するために水を導入するための導入手段(7)が設けられている。その前方にはトリス(ノニルフェニル)フォスファイトを導入するための導入手段(8)が設けられ、ギヤポンプ(9)を経て、ダイ(10)を通過し、そしてカッター(11)によってペレット状の形態に切断される。図2にリン系安定剤添加ゾーンの例を拡大して示した。トリス(ノニルフェニル)フォスファイトの導入手段(8)が第3排気ゾーン(6)とギアポンプ(9)の間に設けられ、そのスクリュー構造は左ネジ方向のニーディングディスク(12)となっている。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施例で使用したブロック共重合体の活性重合体溶液は次のようにして製造した。得られたブロック共重合体(A)〜(D)の重合体溶液の、重合体と溶媒との重量比はいずれも1:3であった。
[ブロック共重合体(A)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.08重量部添加し、75℃で30分間重合した後、更に1,3−ブタジエン30重量部とスチレン25重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して75℃で100分間重合した。次にスチレン25重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、75℃で30分間重合した。得られた重合体は、スチレン含有量70重量%のA−B−A構造のブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体(B)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン25重量部とテトラヒドロフラン0.3重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.08重量部添加し、70℃で20分間重合した後、更に1,3−ブタジエン20重量部とスチレン55重量部を含むシクロヘキサンを添加して70℃で30分間重合した。得られた重合体は、スチレン含有量80重量%のA−B−A構造のブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体(C)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン75重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.15重量部添加し、75℃で連続的に添加して60分間重合した後、1,3−ブタジエン25重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して75℃で40分間重合した。その後、エポキシ化大豆油を5重量部添加してスチレン含有量75重量%のラジアル構造のブロック共重合体を得た。
[ブロック共重合体(D)]
ブロック共重合体(A)のブロック共重合体を特開昭59−133203号公報記載のTi系水添触媒で水添し、ブタジエン部の水添率が95%の水添ブロック共重合体を得た。
【0032】
【実施例1】
ブロック共重合体(A)を重合後、水をn−ブチルリチウムに対して0.9倍当量、重合器中に添加して反応を停止した。その後、重合溶液を重合器から他の反応槽へ移送し、炭酸ガスを加えて溶液のPHを7.9に調整した。この溶液に重合体100重量部に対して2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(以後安定剤Aと記す)を0.5重量部、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以後安定剤Bと記す)を0.2重量部を加えて均一に混合し、熱交換器を通して重合体溶液の温度を170℃に昇温し、フラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させた。濃縮器出口での温度は、100℃に低下し、濃度は48重量%であった。濃縮された重合体溶液を熱交換器を通して再度160℃に加熱し、2軸ベント押出機にフィードして脱溶媒を行った。使用した押出機は後方排気ゾーンを有するスクリュー外径65mm、L/D=40のかみ合い型同方向2軸3段ベント押出機であり、スクリュー先端とダイの間に、ギアポンプを取り付けたものである。運転条件はスクリュー回転数150rpm、ポリマー押出量は120Kg/時間で、水は第2排気ゾーンと最後の排気ゾーン(第3排気ゾーン)の間でポリマーの100重量部に対して1重量部の割合でプランジャー型定量ポンプを用いて添加し、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト(以後TNPと記す)は温度50℃でプランジャー型定量ポンプを用いて第3排気ゾーンとギヤポンプの間に0.5重量部添加した。
【0033】
下記にポリマー温度と排気ゾーンの真空度を示した。
Figure 0003717213
実施例1の後方排気ゾーンにおける溶媒の回収率は82重量%、得られたポリマーの残存シクロヘキサン量は890ppmで、含水率は320ppm、ダイ出口のポリマー温度は236℃であった。また、添加したフェノール系安定剤とTNPの残存率は何れも95重量%以上であり、フェノール系安定剤の揮散とTNPの加水分解は認められなかった。表1に結果を示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003717213
【0035】
(注1)日本電色工業株式会社製ND−V6B型総合視覚測定機を用いてペレットのb値を測定した。b値が大きい程みかけの黄色度が大きい。
(注2)ペレットを圧縮成形(200℃)して厚さ2mmのシートを作成した。このシートの曇度(%)をASTMD−1003に準拠して測定した。
(注3)厚さ2mmのシートを試験片として、60℃の温水中に150分間浸漬した後、各試験片の曇度(%)をASTMD−1003に準拠して測定し、浸漬前の曇価(%)との差を求めた。この差が大きい程耐失透性が悪い。
(注4)ペレット重量として50gをトルエン200mlに溶解し、直径70mmの濾紙(厚み:0.2mm、保留粒子径:6μm、捕集効率:65%)で吸引ろ過した後、染料(バイオレット36)で残差を染色して5分放置後、濾紙のゲル量を下記の基準で目視判定した。
【0036】
◎:大の個数が0個、又は中が3個以下、又は小が5個以下
○:大の個数が0個、又は中が4〜10個、又は小が6〜20個
△:大の個数が1個、又は中が11〜20個、又は小が21〜40個
×:大の個数が2個以上、又は中が21個以上、又は小が41個以上
(小は直径が0.2mm未満、中は直径が0.2〜0.5mm、大は直径が0.5mmを超える大きさ)
(注5)ペレットを窒素雰囲気下で230℃の温度に加熱し、60分間静置した。このペレットの分子量分布をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定し、静置前のペレットの分子量分布と同一面積で重ね合わせ、低分子量側と高分子側の差異を重量%で表した。
(注6)ペレット50gを密栓した100mlのガラス容器に入れ、70℃の温度で60分間静置後、直ちに取出し下記の基準で臭気官能試験を行った。
【0037】
◎:全く臭わない。○:僅かに臭うが、不快ではない。×:臭う。
【0038】
【実施例2〜4】
ブロック共重合体(B)、(C)、(D)を重合及び水添後、エタノールをn−ブチルリチウムに対して(B)に0.8倍当量、メタノールをn−ブチルリチウムに対して(C)に0.7倍当量、(D)に1.3倍当量それぞれ重合器中に添加して反応を停止した。それ以降の工程条件を表2に示した。表2に記載されていない部分の工程条件、押出機仕様等は実施例1と同様であった。得られたポリマーの含水率は全て350ppm以下であり、フェノール系安定剤とTNPの残存率は何れも95重量%以上で、フェノール系安定剤の揮散とTNPの加水分解は認められなかった。表3に結果を示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003717213
【0040】
【表3】
Figure 0003717213
【0041】
【実施例5】
実施例1と同様な方法で30バッチ重合を繰り返した時点のポリマーの品質等を測定した結果、ゲル量は○と良好であった。
【0042】
【比較例1〜4】
ブロック共重合体(A)を重合後、水をn−ブチルリチウムに対して0.9倍当量重合器中に添加して反応を停止した。それ以降の工程条件を表4に示した。比較例2はフェノール系安定剤として、200℃の蒸気圧が約120mmHgである2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(以後安定剤Cと記す)を用い、比較例4はTNPの添加位置が第1排気ゾーンと第2排気ゾーンの間で、水を添加する以前に添加した。それ以外の表4に記載されていない部分の工程条件、押出機仕様等は実施例1と同様の方法である。得られたポリマーの含水率は全て350ppm以下であった。比較例2の安定剤Cの残存率は10重量%以下であり、比較例4のTNPの残存率は5重量%以下であった。比較例1、3のフェノール系安定剤とTNPの残存率は何れも95重量%以上で、フェノール系安定剤の揮散とTNPの加水分解は認められなかった。表5に結果を示す。
【0043】
【表4】
Figure 0003717213
【0044】
【表5】
Figure 0003717213
【0045】
【比較例5】
ブロック共重合体(A)を重合後に、反応停止剤である水を重合器へ添加せず、重合溶液を重合器から他の反応槽へ移送して添加し、その後炭酸ガスを加えて溶液のPHを調整した以外は実施例1と同様な方法でポリマーを得た。この方法を30バッチ繰り返した時点のポリマーの品質等を測定した結果、ゲル量が×で重合器で生じたと思われる多数のゲルの混在が認められた。
【0046】
【比較例6】
実施例2において押出機のポリマー温度が、第1排気ゾーンで142℃、第2排気ゾーンで168℃、第3排気ゾーンで182℃、ダイ出口で193℃である以外は、実施例2と同様な方法でポリマーを得た。後方排気ゾーンで溶媒の81重量%を除去したものの、得られたペレットの残存シクロヘキサンは4200ppmと多く、このため、臭気が×で、射出成形品に気泡が認められた。
【0047】
【発明の効果】
本発明は2軸ベント押出機を用いてブロック共重合体又はその水添物を直接脱溶媒するに際して、反応停止剤、溶液PHの調整、安定剤、2軸ベント押出機の構造及びその条件を特定化することにより、ペレット中のゲルが少なく、色調及び透明性に優れ、尚且つ良好な加工安定性を有するブロック共重合体又はその水添物を回収することができる。
【0048】
本発明で得られるブロック共重合体又はその水添物はその特徴を生かして、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、真空成形品、圧空成形品、中空成形品等多種多様の成形品として活用できる。取分け、本発明の方法で得られるブロック共重合体又はその水添物はゲルが少なく、耐熱劣化性に優れるため、薄いシート或いはフィルム等の分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱溶媒とリン系安定剤を添加するフロー工程図である。
【図2】図1におけるリン系安定剤添加ゾーンの拡大フロー工程図である。
【符号の説明】
1 押出機
2 2軸エンドレススクリュー
3 圧力及び供給速度制御弁
4 供給ホッパ
5 後方排気ゾーン
6 排気ゾーン
7 溶媒の除去を促進するために水を導入するための導入口
8 リン系安定剤を導入するための導入口
9 ギヤポンプ
10 ダイ
11 カッター
12 ニーディングディスク

Claims (2)

  1. 炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を重合して得られた、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜95重量%であるブロック共重合体又はその水添物の溶液から溶媒を直接脱溶媒することによりブロック共重合体又はその水添物を取得するにあたり、(1)ブロック共重合体又はその水添物の活性重合体溶液に、重合器中へ反応停止剤を添加する工程、(2)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液に、(A)炭酸ガス、(B)有機酸の少なくとも1種を添加し、溶液のPHを6.5〜8.5の範囲に調整する工程、(3)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液に、200℃の蒸気圧が5mmHg以下のフェノール系安定剤の1種以上をブロック共重合体又はその水添物100重量部に対して0.05〜3重量部を添加する工程、(4)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液をフラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させ、130〜180℃の温度に前もって加熱し、2軸エンドレススクリューと後方排気ゾーンを有し、スクリュー先端部と吐出ダイ部との間にギアポンプを有する押出機のエンドレススクリューの供給ホッパーに導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶媒の75〜95重量%を短時間で除去した後、バレルからの伝熱とスクリューの回転によって再加熱し、0.5〜2重量%の水を供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーン間の少なくとも1箇所に注入し、溶媒の5〜25重量%を供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度が150〜260℃で除去し、実質的に水を含まないブロック共重合体又はその水添物が通過するゾーンであって、しかもそのスクリュー構造がニーディングディスクであるゾーンにリン系安定剤を添加し、下流側に位置したダイに導入し、ダイのすぐ後に配置された、カッターで切断することによって、ペレット状の形態を得る工程、からなることを特徴とするブロック共重合体又はその水添物を回収する方法。
  2. 請求項1記載の(4)の供給ホッパーの前方に位置した排気ゾーンの少なくとも1ゾーンのポリマー温度が200℃を越え、260℃以下であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体又はその水添物を回収する方法。
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