JPH09124727A - ブロック共重合体の回収方法 - Google Patents

ブロック共重合体の回収方法

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JPH09124727A
JPH09124727A JP28307495A JP28307495A JPH09124727A JP H09124727 A JPH09124727 A JP H09124727A JP 28307495 A JP28307495 A JP 28307495A JP 28307495 A JP28307495 A JP 28307495A JP H09124727 A JPH09124727 A JP H09124727A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペレット中のゲルが少なく、色調及び透明性
に優れ、残留溶媒量が少なく、尚且つ良好な加工安定性
を有するブロック共重合体を提供する。 【解決手段】 例えば、ビニル芳香族炭化水素含有量が
70重量%のブロック共重合体溶液から溶媒を直接脱溶
媒するにあたり、溶液のPHを6.5〜8.5の範囲に
調整し、その溶液に、特定のフェノール系安定剤を添加
した後、加熱し、エンドレススクリューの特定ゾーンで
除圧を生じさせ、溶媒の75〜95重量%を短時間で除
去した後、再加熱し、0.5〜2重量%の水を排気ゾー
ン間に注入し、溶媒の5〜25重量%を供給ホッパーの
前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度が150〜2
60℃で除去し、特定ゾーンにリン系安定剤を添加し、
下流側に位置したダイに導入し、ダイのすぐ後に配置さ
れた、カッターで切断して、ペレット状の形態を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共役ジエンとビニ
ル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体又はその水
添物の溶液から溶媒を直接脱溶媒するに際して、ペレッ
ト中のゲルが少なく、色調及び透明性に優れ、残留溶媒
量が少なく、尚且つ良好な加工安定性を有するブロック
共重合体又はその水添物を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから
なるブロック共重合体は優れた透明性と耐衝撃性を備え
た樹脂であることから、シート、フィルム、射出成形品
等に広く使用されている。これらのブロック共重合体を
製造するに際しては、触媒に対して不活性な炭化水素溶
媒中で通常重合が行われ、生成したブロック共重合体は
溶媒に均一に溶解しているか、或いは懸濁した状態で得
られるため、ブロック共重合体と溶媒とを分離する工程
が必要となる。ブロック共重合体と溶媒を分離する方法
としては種々の方法があるが、その一つとしてブロック
共重合体溶液を直接脱溶媒するに際し、ベント押出機か
ら1段階で脱溶媒してブロック共重合体を回収する方法
が知られている。
【0003】例えば特開昭51−86588号公報、特
開昭51−41087号公報ではスチレン系ブロック共
重合体樹脂を2軸多段押出機を用いて脱溶媒する方法
が、特開昭63−284203号公報には弾性ポリマー
溶液をエンドレススクリューを備えた2軸ベント押出機
に導入し、溶媒を除去する方法が、特開昭63−314
207号公報には重合体を回収するにあたり、スクリュ
ー先端部とダイ部の間にポンプを設けた2軸ベント押出
機を用いて重合体を回収する方法が、特開平2−270
600号公報には特定の安定剤を添加した後、2軸多段
ベント押出機を用いて直接脱溶媒する方法が記載されて
いる。
【0004】上述の、従来の技術に記載した重合体溶液
を2軸ベント押出機を用いて直接脱溶媒する方法では、
得られるブロック共重合体の品質面、特にゲル生成の防
止、脱溶媒ポリマーの分子鎖切断と架橋反応の抑止、色
調、耐失透性等の点で必ずしも十分ではなかった。その
ため、ブロック共重合体又はその水添物を高温条件下で
加工する、或いは厚みが0.1mm以下の薄いシート、
フィルム等に加工するような場合に、ゲル混入による印
刷不良というような問題が発生した。また、ブロック共
重合体又はその水添物を生産するに際しても残存溶媒の
少ないものを効率よく運転する点で十分ではなく、その
解決が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ブロック共重合体又は
その水添物を生産するに際しても残存溶媒の少ないもの
を効率よく運転する方法を提供する。この方法により、
ゲル生成の防止、脱溶媒時の分子鎖切断と架橋反応の抑
止、色調、耐失透性等の点を改良した。この結果、ブロ
ック共重合体又はその水添物を高温条件下で加工する、
或いは厚みが0.1mm以下の薄いシート、フィルム等
に加工するような場合でも、ゲル混入による印刷不良も
解決した。
【0006】
【発明が解決する課題】即ち、本発明は、 炭化水素溶
媒中、有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエン及
びビニル芳香族炭化水素を重合して得られた、ビニル芳
香族炭化水素含有量が65〜95重量%であるブロック
共重合体又はその水添物の溶液から溶媒を直接脱溶媒す
ることによりブロック共重合体又はその水添物を取得す
るにあたり、(1)ブロック共重合体又はその水添物の
活性重合体溶液に、重合器中へ反応停止剤を添加する工
程、(2)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液
に、(A)炭酸ガス、(B)有機酸の少なくとも1種を
添加し、溶液のPHを6.5〜8.5の範囲に調整する
工程、(3)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶
液に、200℃の蒸気圧が5mmHg以下のフェノール
系安定剤の1種以上をブロック共重合体又はその水添物
100重量部に対して0.05〜3重量部を添加する工
程、(4)前記ブロック共重合体又はその水添物の溶液
を130〜180℃の温度に前もって加熱し、エンドレ
ススクリューの供給ホッパーに導入して供給ゾーンで除
圧を生じさせ、溶媒の75〜95重量%を短時間で除去
した後、バレルからの伝熱とスクリューの回転によって
再加熱し、0.5〜2重量%の水を排気ゾーン間の少な
くとも1箇所に注入し、溶媒の5〜25重量%を供給ホ
ッパーの前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度が1
50〜260℃で除去し、実質的に水を含まないブロッ
ク共重合体又はその水添物が通過するゾーンであって、
しかもそのスクリュー構造がニーディングディスクであ
るゾーンにリン系安定剤を添加し、下流側に位置したダ
イに導入し、ダイのすぐ後に配置された、カッターで切
断することによって、ペレット状の形態を得る工程、か
らなることを特徴とするブロック共重合体又はその水添
物を回収する方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。 ブロック共重合体又はその水添物の溶液を製造する工程 本発明のブロック共重合体は、比較的ビニル芳香族炭化
水素の含有量が多い熱可塑性樹脂であり、ビニル芳香族
炭化水素含有量は65〜95重量%の範囲である。本発
明のブロック共重合体は少なくとも1個のビニル芳香族
炭化水素を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個
の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとを有するブ
ロック共重合体である。ここでビニル芳香族炭化水素を
主体とする重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含
有量が50重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と
共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香
族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主
体とする重合体ブロックとは共役ジエンを50重量%を
越える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素
共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロ
ックを示す。
【0008】ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体
ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中
にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合
体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族
炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、
テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共
重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布してい
る部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数
個共存してもよい。
【0009】本発明で用いるブロック共重合体は基本的
には従来公知の手法で製造でき、例えば特公昭36−1
9286号公報、特公昭43−17979号公報、特公
昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公
報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11
446号公報などに記載された手法があげられるが、各
構成ポリマーは後述する要件を満足するように製造条件
を設定しなければならない。上記の公知の手法はすべ
て、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン
開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブ
ロック共重合する手法である。
【0010】本発明で用いるブロック共重合体のポリマ
ー構造は例えば、A−(B−A)n、A−(B−A)n
−B、B−(A−B)n+1(上式において、Aはビニル
芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、B
は共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。Aブ
ロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別され
る必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5で
ある。)で表される線状ブロック共重合体、あるいは一
般式、 [(A−B)km+2−X 、[(A−B)k−A]m+2−X [(B−A)km+2−X 、[(B−A)k−B]m+2−X (上式において、A、Bは前記と同じであり、k及びm
は1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば
四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基
または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示
す。)で表されるラジアルブロック共重合体、あるいは
これらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合
物が使用できる。
【0011】本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素
としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメ
チルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン
などがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられ
る。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよ
い。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有する
ジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−
メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的な
ものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙
げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用し
てもよい。
【0012】炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、
ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪
族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロ
ヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が
使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用
してもよい。
【0013】有機リチウム化合物は、分子中に一個以上
のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有
機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。
これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピ
ルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウ
ム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウ
ム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは
1種まはは2種以上混合使用してもよい。
【0014】本発明においては重合速度の調整、重合し
た共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニル
の比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の
反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を
使用することができる。極性化合物やランダム化剤とし
ては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル
等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチ
レンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィ
ン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられ
る。
【0015】本発明の方法においてブロック共重合体を
製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、
好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間
は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、
特に好適には1〜10時間である。また、重合系の雰囲
気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するの
が望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー
及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えば
よい。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不
活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス
等が混入しないよう留意する必要がある。
【0016】この様にして得られたブロック共重合体の
重量平均分子量、一般的に5000〜1000000、
好ましくは10000〜500000である。またブロ
ック共重合体溶液中の炭化水素の量は、一般にブロック
共重合体100重量部に対して50重量部〜2000重
量部である。尚、ブロック共重合体の性質によってはブ
ロック共重合体が炭化水素溶媒に不溶で懸濁状態で得ら
れる場合もあるが、本発明においてはこれらもブロック
共重合体溶液とよぶことにする。
【0017】又、本発明においては、上記で得られたブ
ロック共重合体を水添反応(水素添加反応)により部分
的に、或は選択的に水添したブロック共重合体溶液を用
いることができる。水添反応に際し、必要によりブロッ
ク共重合体溶液の活性末端は、後述する反応停止剤を添
加する工程により不活性化してもよいし、活性末端のま
まで行ってもよい。
【0018】本発明の水添反応の水添率は任意に選択す
ることができ、未水添ブロック共重合体の特性を維持し
ながら耐熱劣化性等を向上させる場合には共役ジエンに
基づく脂肪族二重結合を3%以上、80%未満、好まし
くは5%以上、75%未満水添することが、又耐熱劣化
性及び耐候性を向上させる場合には80%以上、好まし
くは90%以上水添することが推奨される。水添率は核
磁気共鳴装置等により測定できる。水添反応に使用され
る触媒としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金
属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体
に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、C
o、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有
機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触
媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有
機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機
Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が知られ
ている。具体的な方法としては特公昭42−8704号
公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法、
好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63
−5401号公報に記載された方法により、不活性触媒
中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添ブロック
共重合体溶液を得ることができる。
【0019】工程(1)(反応停止剤を添加する工程) ブロック共重合体又はその水添物の活性重合体溶液に、
反応停止剤を重合器中へ添加する工程である。本工程は
最終的に得られるブロック共重合体又はその水添物に混
在するゲルの減少に有効である。反応停止剤としては、
活性水素を有する化合物及び有機ハロゲン化物或いは無
機ハロゲン化物が挙げられる。活性水素を有する化合物
としては、水、アルコール、チオール、アミン、無機
酸、有機酸等が、有機ハロゲン化物或いは無機ハロゲン
化物としてはハロゲン化アルキル化合物、ハロゲン化珪
素、ハロゲン化錫等があり、好適な反応停止剤は水、ア
ルコールである。少量の水とアルコールを反応停止剤と
して使用することにより、溶媒と共に排出されて重合器
中に残存せず、次の重合系に影響を及ぼさない。特に水
と炭素数1〜3のアルコールは沸点が低く揮散性に優
れ、脱溶媒したブロック共重合体又はその水添物に残存
しないため、臭気がない点で好ましい。
【0020】本発明の反応停止剤の添加量は特に制約は
ないが、有機リチウム化合物に対して0.6〜1.5倍
当量が好ましい。 工程(2)(溶液のPHを調整する工程) 前記反応停止剤を添加したブロック共重合体又はその水
添物の溶液の製造に用いられる開始剤は、有機リチウム
化合物を用い、そのポリマー溶液は強塩基である。この
様な状態でフェノール系酸化防止剤等の安定剤をポリマ
ー溶液に添加した場合、多くの安定剤は塩基性条件下で
好ましくない変質を起こすため、ポリマーの色調悪化、
熱安定性の低下等が発生する。本工程では炭酸ガスと有
機酸の少なくとも1種を用いて溶液のPHを調整するこ
とによって、優れた品質を有するブロック共重合体又は
その水添物を得ることができる。
【0021】本発明の炭酸ガス、有機酸の添加量は溶液
のPHが6.5〜8.5の範囲内になるように所定量添
加する。溶液のPHが8.5を超える場合は色調に劣
り、6.5未満としても色調の向上はなく、ブロック共
重合体又はその水添物溶液中に炭酸ガス、有機酸がその
まま存在するため、設備の腐食等が発生する可能性もあ
り好ましくない。ここで溶液のPHとは、溶液の一部を
採取し、該溶液と同重量の蒸留水(PH7.0±0.5
のもの)を該溶液と充分混合した後、静置して二層分離
した水層のPHを表示するものとする。PHは、ガラス
電極式水素イオン濃度計(PHメーター)を用いて測定
できる。
【0022】本発明で使用する有機酸は広い意味で酸性
を有する有機化合物で、カルボン酸、スルホン酸、スル
フィン酸、フェノール等の化合物があげられるが、好ま
しくはカルボキシル基を含有する有機化合物であって、
炭素数8以上の脂肪酸、芳香族カルボン酸が好ましい。
本発明で好適に用いられる脂肪酸の具体例としてはオク
チル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベ
ヘン酸或いはこれらの混合物等があげられる。芳香族カ
ルボン酸としては安息香酸、クロロ安息香酸、アミノ安
息香酸、ケイ皮酸、フェニル酢酸あるいはこれらの混合
物等があげられる。使用する炭酸ガスはガス状でも固体
状とであってもよく、水もしくは溶媒に溶解させた状態
で添加することもできる。
【0023】 工程(3)(フェノール系安定剤を添加する工程) 本発明においては、上記の炭酸ガス又は有機酸或はそれ
らの混合物を添加して混合した後、本発明のフェノール
系安定剤を添加することがブロック共重合体又はその水
添物の酸化劣化等による変質を防止する上で必要であ
る。本発明の200℃の蒸気圧が5mmHg以下のフェ
ノール系安定剤を用いることが、次工程の脱溶媒時のフ
ェノール系安定剤の揮散を防止し、添加量に見合った効
果を発揮する。逆に200℃の蒸気圧が5mmHgを超
えるフェノール系安定剤を用いた場合は、フェノール系
安定剤の揮散が著しいため熱安定性の低下が大きく、好
ましくない。
【0024】本発明のフェノール系安定剤は、200℃
の蒸気圧が5mmHg以下の従来公知のフェノール系安
定剤が使用でき、これらはそのまま溶液に添加しても、
また炭化水素溶媒に溶解して添加してもよい。好適なフ
ェノール系安定剤としては、2−〔1−(2−ヒドロキ
シ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−
4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−
t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−
5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス
〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−
ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリ
アジン等があげられる。上記フェノール系安定剤は2種
以上組み合わせて使用することもできる。これらのフェ
ノール系安定剤はブロック共重合体又はその水添物10
0重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.
1〜2重量部の範囲で使用される。フェノール系安定剤
の使用量が0.05重量部未満の場合には安定性の改良
効果が認められず、逆に3重量部を超えても本発明の範
囲以外の効果が発揮されない。
【0025】 工程(4)(脱溶媒とリン系安定剤を添加する工程) 本工程はブロック共重合体又はその水添物の溶液から溶
媒を分離すると共に、リン系安定剤を添加する工程であ
る。本工程では2軸エンドレススクリューと後方排気ゾ
ーンを有する押出機に130〜180℃のブロック共重
合体又はその水添物の溶液をエンドレススクリューの供
給ホッパーに導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶
媒の75〜95重量%を短時間で除去する。この除圧は
エンドレススクリューに供給するラインに配置した制御
弁によって調整される。ここで、130〜180℃の温
度範囲が、後方排気ゾーンで除去される溶媒を適正とす
るのに好適な温度である。130℃未満の温度では、溶
媒の除去が75重量%未満となって、その後の排気ゾー
ンでエントレが生じて運転に支障をきたすことと溶媒の
除去が十分できないため、最終的に得られるブロック共
重合体又はその水添物の残存溶媒量が高くなり、好まし
くない。また、短時間で除去する溶媒量とは、後方排気
ゾーンで除去される溶媒量である。ブロック共重合体又
はその水添物の最終的に得られるペレット中の好ましい
残存溶媒量は1000ppm以下である。
【0026】次に後方排気ゾーンでポリマー温度が相当
低下するため、前方に位置した排気ゾーンのポリマー温
度を150〜260℃の温度になるように再加熱し、バ
レル内でのスクリューの前進運動と共に排気ゾーン間の
少なくとも1箇所に0.5〜2重量%の水の注入によっ
て段階的に漸次、残りの溶媒の5〜25重量%を除去す
る。前方排気ゾーンのポリマー温度が150℃未満では
残存溶媒量が高くなり、260℃を越えるとポリマー分
子鎖の切断と架橋が顕著に起きるため好ましくない。
【0027】本発明では、前方に位置した排気ゾーンの
少なくとも1ゾーンのポリマー温度が200℃を越え、
260℃以下にすることが、高押出量で低残存溶媒量を
実現するのに有効であり、好ましい。本発明のブロック
共重合体又はその水添物は脱溶媒工程の前工程で、重合
器中に反応停止剤を添加し、溶液のPH調整後に特定の
フェノール系安定剤を添加しているため、ポリマー温度
が200℃以上の運転であってもポリマー分子鎖の切断
と架橋は小さく、更に溶媒除去の効率は良好となり、生
産性の向上に有効である。また、ブロック共重合体又は
その水添物に対して0.5〜2重量%の水を添加するこ
とで、より溶剤除去効率を高めることができる。本出願
人は、リン系安定剤を本工程内の実質的に水を含まない
ブロック共重合体又はその水添物が通過する押出機ゾー
ンに添加することで、ブロック共重合体又はその水添物
の熱安定性を高めることを見いだした。ここで実質的に
水を含まないとは、ブロック共重合体又はその水添物中
の含水率が1000ppm以下、好ましくは500pp
m以下のことを示すものである。リン系安定剤の添加
は、熱安定性効果を発揮するものの、トリス(ノニルフ
ェニル)フォスファイトのように水分の存在下で高温混
練りすると容易に加水分解するものもあり、ポリマー溶
液中に水分が存在する状態で脱溶媒工程を経ることはで
きない。特にトリス(ノニルフェニル)フォスファイト
の加水分解は、ポリマーの熱安定性の向上に寄与しない
ばかりか、透明性、耐失透性を悪化させるため好ましく
ない。本発明の方法によれば、添加したリン系安定剤の
分解はなく、相応の効果を得ることができる。リン系安
定剤を添加するゾーンのスクリュー構造は、ニーディン
グディスクを有することが必要である。ニーディングデ
ィスクは右ネジ方向型、左ネジ方向型及び直交型のいず
れでも良い。これによってポリマー中へのリン系安定剤
の分散が良好となるが、特に添加量が多い条件でその効
果が顕著に発揮される。リン系安定剤の添加方法は、特
に制約はないが、溶融させて、或いはオイル状の液状物
等に溶解又は分散させた状態で、定量ポンプ等で添加す
る方法が好ましい。本発明のリン系安定剤は、トリス
(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2
−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト、
ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリ
トールジフォスファイト、テトラキス(2,4ジ−t−
ブチルフェニル)−4,4−ビスフェニレンジフォスフ
ァイト、ビス(2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げ
られるが、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトを
使用することが本発明の効果を最大限に発揮できる点で
好ましい。リン系安定剤の好ましい添加量は、ブロック
共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部であ
る。
【0028】本発明に使用する2軸ベント押出機は、ス
クリュー先端部と吐出ダイ部との間にギアポンプを有す
る構造のものが好ましい。これによって、スクリュー回
転数を上げても、スムーズな吐出が可能であるため、ブ
ロック共重合体又はその水添物の圧力上昇が抑制されポ
リマー温度の上昇を防止し、熱安定性の向上に寄与す
る。ダイはアンダーウォーターカット用又はホットカッ
ト用のものとし、カッターは必要なペレットサイズに合
わせて、2〜6枚刃のものを用いる。
【0029】本発明の2軸ベント押出機は排気用のベン
トゾーンを2〜5個有し、L/D=30〜60(Lはス
クリューの長さ、Dはスクリューの外径)のもので、か
み合い型同方向2軸ベント押出機が好ましい。図1に本
発明のかみ合い型同方向2軸ベント押出機を用いて、脱
溶媒とトリス(ノニルフェニル)フォスファイトを添加
する工程の例を示した。
【0030】ポリマー溶液は2軸エンドレススクリュー
(2)を備えた押出機(1)の供給ホッパ(4)に導入
される。押出機内の圧力及び供給速度は制御弁(3)に
よって制御される。押出機は後方排気ゾーン(5)を備
え、この後方排気ゾーンを通って溶媒の大部分が除去さ
れる。ポリマーは2軸エンドレススクリュー(2)によ
って前方に移送される。溶媒の残りを除去するために、
多数の排気ゾーン(6)が押出機(1)に配置され、こ
の排気ゾーン間には、溶媒の除去を促進するために水を
導入するための導入手段(7)が設けられている。その
前方にはトリス(ノニルフェニル)フォスファイトを導
入するための導入手段(8)が設けられ、ギヤポンプ
(9)を経て、ダイ(10)を通過し、そしてカッター
(11)によってペレット状の形態に切断される。図2
にリン系安定剤添加ゾーンの例を拡大して示した。トリ
ス(ノニルフェニル)フォスファイトの導入手段(8)
が第3排気ゾーン(6)とギアポンプ(9)の間に設け
られ、そのスクリュー構造は左ネジ方向のニーディング
ディスク(12)となっている。
【0031】
【発明の実施の形態】実施例で使用したブロック共重合
体の活性重合体溶液は次のようにして製造した。得られ
たブロック共重合体(A)〜(D)の重合体溶液の、重
合体と溶媒との重量比はいずれも1:3であった。 [ブロック共重合体(A)]窒素ガス雰囲気下におい
て、スチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液にn
−ブチルリチウムを0.08重量部添加し、75℃で3
0分間重合した後、更に1,3−ブタジエン30重量部
とスチレン25重量部を含むシクロヘキサンを連続的に
添加して75℃で100分間重合した。次にスチレン2
5重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、75℃で
30分間重合した。得られた重合体は、スチレン含有量
70重量%のA−B−A構造のブロック共重合体であっ
た。 [ブロック共重合体(B)]窒素ガス雰囲気下におい
て、スチレン25重量部とテトラヒドロフラン0.3重
量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを
0.08重量部添加し、70℃で20分間重合した後、
更に1,3−ブタジエン20重量部とスチレン55重量
部を含むシクロヘキサンを添加して70℃で30分間重
合した。得られた重合体は、スチレン含有量80重量%
のA−B−A構造のブロック共重合体であった。 [ブロック共重合体(C)]窒素ガス雰囲気下におい
て、スチレン75重量部を含むシクロヘキサン溶液にn
−ブチルリチウムを0.15重量部添加し、75℃で連
続的に添加して60分間重合した後、1,3−ブタジエ
ン25重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して
75℃で40分間重合した。その後、エポキシ化大豆油
を5重量部添加してスチレン含有量75重量%のラジア
ル構造のブロック共重合体を得た。 [ブロック共重合体(D)]ブロック共重合体(A)の
ブロック共重合体を特開昭59−133203号公報記
載のTi系水添触媒で水添し、ブタジエン部の水添率が
95%の水添ブロック共重合体を得た。
【0032】
【実施例1】ブロック共重合体(A)を重合後、水をn
−ブチルリチウムに対して0.9倍当量、重合器中に添
加して反応を停止した。その後、重合溶液を重合器から
他の反応槽へ移送し、炭酸ガスを加えて溶液のPHを
7.9に調整した。この溶液に重合体100重量部に対
して2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペ
ンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチル
フェニルアクリレート(以後安定剤Aと記す)を0.5
重量部、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以後安
定剤Bと記す)を0.2重量部を加えて均一に混合し、
熱交換器を通して重合体溶液の温度を170℃に昇温
し、フラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発
させた。濃縮器出口での温度は、100℃に低下し、濃
度は48重量%であった。濃縮された重合体溶液を熱交
換器を通して再度160℃に加熱し、2軸ベント押出機
にフィードして脱溶媒を行った。使用した押出機は後方
排気ゾーンを有するスクリュー外径65mm、L/D=
40のかみ合い型同方向2軸3段ベント押出機であり、
スクリュー先端とダイの間に、ギアポンプを取り付けた
ものである。運転条件はスクリュー回転数150rp
m、ポリマー押出量は120Kg/時間で、水は第2排
気ゾーンと最後の排気ゾーン(第3排気ゾーン)の間で
ポリマーの100重量部に対して1重量部の割合でプラ
ンジャー型定量ポンプを用いて添加し、トリス(ノニル
フェニル)フォスファイト(以後TNPと記す)は温度
50℃でプランジャー型定量ポンプを用いて第3排気ゾ
ーンとギヤポンプの間に0.5重量部添加した。
【0033】下記にポリマー温度と排気ゾーンの真空度
を示した。 実施例1の後方排気ゾーンにおける溶媒の回収率は82
重量%、得られたポリマーの残存シクロヘキサン量は8
90ppmで、含水率は320ppm、ダイ出口のポリ
マー温度は236℃であった。また、添加したフェノー
ル系安定剤とTNPの残存率は何れも95重量%以上で
あり、フェノール系安定剤の揮散とTNPの加水分解は
認められなかった。表1に結果を示す。
【0034】
【表1】
【0035】(注1)日本電色工業株式会社製ND−V
6B型総合視覚測定機を用いてペレットのb値を測定し
た。b値が大きい程みかけの黄色度が大きい。 (注2)ペレットを圧縮成形(200℃)して厚さ2m
mのシートを作成した。このシートの曇度(%)をAS
TMD−1003に準拠して測定した。 (注3)厚さ2mmのシートを試験片として、60℃の
温水中に150分間浸漬した後、各試験片の曇度(%)
をASTMD−1003に準拠して測定し、浸漬前の曇
価(%)との差を求めた。この差が大きい程耐失透性が
悪い。 (注4)ペレット重量として50gをトルエン200m
lに溶解し、直径70mmの濾紙(厚み:0.2mm、
保留粒子径:6μm、捕集効率:65%)で吸引ろ過し
た後、染料(バイオレット36)で残差を染色して5分
放置後、濾紙のゲル量を下記の基準で目視判定した。
【0036】 ◎:大の個数が0個、又は中が3個以下、又は小が5個
以下 ○:大の個数が0個、又は中が4〜10個、又は小が6
〜20個 △:大の個数が1個、又は中が11〜20個、又は小が
21〜40個 ×:大の個数が2個以上、又は中が21個以上、又は小
が41個以上 (小は直径が0.2mm未満、中は直径が0.2〜0.
5mm、大は直径が0.5mmを超える大きさ) (注5)ペレットを窒素雰囲気下で230℃の温度に加
熱し、60分間静置した。このペレットの分子量分布を
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定
し、静置前のペレットの分子量分布と同一面積で重ね合
わせ、低分子量側と高分子側の差異を重量%で表した。 (注6)ペレット50gを密栓した100mlのガラス
容器に入れ、70℃の温度で60分間静置後、直ちに取
出し下記の基準で臭気官能試験を行った。
【0037】◎:全く臭わない。○:僅かに臭うが、不
快ではない。×:臭う。
【0038】
【実施例2〜4】ブロック共重合体(B)、(C)、
(D)を重合及び水添後、エタノールをn−ブチルリチ
ウムに対して(B)に0.8倍当量、メタノールをn−
ブチルリチウムに対して(C)に0.7倍当量、(D)
に1.3倍当量それぞれ重合器中に添加して反応を停止
した。それ以降の工程条件を表2に示した。表2に記載
されていない部分の工程条件、押出機仕様等は実施例1
と同様であった。得られたポリマーの含水率は全て35
0ppm以下であり、フェノール系安定剤とTNPの残
存率は何れも95重量%以上で、フェノール系安定剤の
揮散とTNPの加水分解は認められなかった。表3に結
果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【実施例5】実施例1と同様な方法で30バッチ重合を
繰り返した時点のポリマーの品質等を測定した結果、ゲ
ル量は○と良好であった。
【0042】
【比較例1〜4】ブロック共重合体(A)を重合後、水
をn−ブチルリチウムに対して0.9倍当量重合器中に
添加して反応を停止した。それ以降の工程条件を表4に
示した。比較例2はフェノール系安定剤として、200
℃の蒸気圧が約120mmHgである2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール(以後安定剤Cと記す)
を用い、比較例4はTNPの添加位置が第1排気ゾーン
と第2排気ゾーンの間で、水を添加する以前に添加し
た。それ以外の表4に記載されていない部分の工程条
件、押出機仕様等は実施例1と同様の方法である。得ら
れたポリマーの含水率は全て350ppm以下であっ
た。比較例2の安定剤Cの残存率は10重量%以下であ
り、比較例4のTNPの残存率は5重量%以下であっ
た。比較例1、3のフェノール系安定剤とTNPの残存
率は何れも95重量%以上で、フェノール系安定剤の揮
散とTNPの加水分解は認められなかった。表5に結果
を示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【比較例5】ブロック共重合体(A)を重合後に、反応
停止剤である水を重合器へ添加せず、重合溶液を重合器
から他の反応槽へ移送して添加し、その後炭酸ガスを加
えて溶液のPHを調整した以外は実施例1と同様な方法
でポリマーを得た。この方法を30バッチ繰り返した時
点のポリマーの品質等を測定した結果、ゲル量が×で重
合器で生じたと思われる多数のゲルの混在が認められ
た。
【0046】
【比較例6】実施例2において押出機のポリマー温度
が、第1排気ゾーンで142℃、第2排気ゾーンで16
8℃、第3排気ゾーンで182℃、ダイ出口で193℃
である以外は、実施例2と同様な方法でポリマーを得
た。後方排気ゾーンで溶媒の81重量%を除去したもの
の、得られたペレットの残存シクロヘキサンは4200
ppmと多く、このため、臭気が×で、射出成形品に気
泡が認められた。
【0047】
【発明の効果】本発明は2軸ベント押出機を用いてブロ
ック共重合体又はその水添物を直接脱溶媒するに際し
て、反応停止剤、溶液PHの調整、安定剤、2軸ベント
押出機の構造及びその条件を特定化することにより、ペ
レット中のゲルが少なく、色調及び透明性に優れ、尚且
つ良好な加工安定性を有するブロック共重合体又はその
水添物を回収することができる。
【0048】本発明で得られるブロック共重合体又はそ
の水添物はその特徴を生かして、シート、フィルム、各
種形状の射出成形品、真空成形品、圧空成形品、中空成
形品等多種多様の成形品として活用できる。取分け、本
発明の方法で得られるブロック共重合体又はその水添物
はゲルが少なく、耐熱劣化性に優れるため、薄いシート
或いはフィルム等の分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱溶媒とリン系安定剤を添加するフロ
ー工程図である。
【図2】図1におけるリン系安定剤添加ゾーンの拡大フ
ロー工程図である。して示した。
【符号の説明】
1 押出機 2 2軸エンドレススクリュー 3 圧力及び供給速度は制御弁 4 供給ホッパ 5 後方排気ゾーン 6 排気ゾーン 7 溶媒の除去を促進するために水を導入するための導
入口 8 リン系安定剤を導入するための導入口 9 ギヤポンプ 10 ダイ 11 カッター 12 ニーディングディスク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を
    開始剤として共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を重
    合して得られた、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜
    95重量%であるブロック共重合体又はその水添物の溶
    液から溶媒を直接脱溶媒することによりブロック共重合
    体又はその水添物を取得するにあたり、(1)ブロック
    共重合体又はその水添物の活性重合体溶液に、重合器中
    へ反応停止剤を添加する工程、(2)前記ブロック共重
    合体又はその水添物の溶液に、(A)炭酸ガス、(B)
    有機酸の少なくとも1種を添加し、溶液のPHを6.5
    〜8.5の範囲に調整する工程、(3)前記ブロック共
    重合体又はその水添物の溶液に、200℃の蒸気圧が5
    mmHg以下のフェノール系安定剤の1種以上をブロッ
    ク共重合体又はその水添物100重量部に対して0.0
    5〜3重量部を添加する工程、(4)前記ブロック共重
    合体又はその水添物の溶液を130〜180℃の温度に
    前もって加熱し、エンドレススクリューの供給ホッパー
    に導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶媒の75〜
    95重量%を短時間で除去した後、バレルからの伝熱と
    スクリューの回転によって再加熱し、0.5〜2重量%
    の水を排気ゾーン間の少なくとも1箇所に注入し、溶媒
    の5〜25重量%を供給ホッパーの前方に位置した排気
    ゾーンのポリマー温度が150〜260℃で除去し、実
    質的に水を含まないブロック共重合体又はその水添物が
    通過するゾーンであって、しかもそのスクリュー構造が
    ニーディングディスクであるゾーンにリン系安定剤を添
    加し、下流側に位置したダイに導入し、ダイのすぐ後に
    配置された、カッターで切断することによって、ペレッ
    ト状の形態を得る工程、からなることを特徴とするブロ
    ック共重合体又はその水添物を回収する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(4)の供給ホッパーの
    前方に位置した排気ゾーンの少なくとも1ゾーンのポリ
    マー温度が200℃を越え、260℃以下であることを
    特徴とする請求項1記載のブロック共重合体又はその水
    添物を回収する方法。
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