JP5156349B2 - ブロック共重合体又はその水添物のペレットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィッシュアイ(以後FEと記す。)が少ないブロック共重合体又はその水添物のペレットの製造方法に関する。
共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体又はその水添物は比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が少ない場合、透明で加硫をしなくても加硫された天然ゴム或は合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも高温で熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、履物、プラスチックの改質、アスファルト、粘接着分野等で広く利用されている。
又、比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が多い場合は、透明で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂が得られることから、食品包装容器分野を中心に近年その使用量が増加すると同時に用途も多用化しつつある。
かかるブロック共重合体又はその水添物中にはブロック共重合体或いはブロック共重合体の成分が三次元架橋したゲルが存在し、ブロック共重合体を使用した最終製品に好ましくない影響を及ぼしている。
例えば厚み0.1mm以下の薄いシートの場合は、突起状のゲルがFEとなってシートの外観性を損なう他、印刷時にその部分が印刷されない等の問題が生じてくる。このブロック共重合体中のゲルは重合反応器中で生成する場合、或いは製造プロセス又は成形加工時の押出機中で生成する場合がある。その中で重合反応器中又は製造プロセスの押出機で生成するゲルを低減化する方法がいくつか試みられている。
例えば、重合槽内のゲル生成を防止するため、アニオンリビング重合後に重合停止剤を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、重合体を回収するにあたり、スクリュー先端部とダイ部の間にポンプを設けた2軸ベント押出機を用いて重合体を回収する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。更に、特定の安定剤を添加した後、2軸多段ベント押出機を用いて直接脱溶媒する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、ペレットのゲルが少ないビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体を得るため、ブロック共重合体を脱溶媒する際に特定の押出機とフィルターを組合わせた製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、これらのプロセスで製造されるブロック共重合体中のゲルの減少は十分ではなく、成形品のFEを改良する新たな方法が望まれている。
特開平3−269003号公報 特開昭63−314207号公報 特開平4−175304号公報 特開2000−351808号公報
本発明はFEが少なく、生産時のフィルター詰まりによるフィルターの交換頻度も少ないブロック共重合体又はその水添物の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ブロック共重合体又はその水添物の溶液から、2軸多段ベント押出機を用いた直脱法によってブロック共重合体ペレットを製造するにあたり、特定構造の特徴を有するフィルターを通過させることにより、顕著にFEを低減すると共に生産時のフィルター詰まりによるフィルターの交換頻度も少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエン及びビニル芳香族 炭化水素を重合して得た、ビニル芳香族炭化水素含有量が10〜95重量%である ブロック共重合体又はその水添物の溶液から、2軸多段ベント押出機を用いた直脱 法によってブロック共重合体又はその水添物ペレットを製造するにあたり、押出機 に結合した下記のイ)〜ト)の特徴を有するフィルターを通過するブロック共重合 体又はその水添物のペレットの製造方法。
イ)フィルターは、フィルターバケット内壁に貼り付けられており、
ロ)フィルターバケットは流入孔(開口部)と複数の穴状の流出孔を有し、
ハ)バケット内に貼り付けられたフィルターは襞状に突起した形状で、
ニ)フィルターバケットの流入孔断面積は押出機のバレルの開口断面積以下であり、
ホ)フィルターの最小メッシュサイズは200〜800メッシュで、
ヘ)フィルターバケットの内壁面積とフィルターの面積の比が1.5〜8の範囲で、
ト)フィルターバケットが押出機に少なくとも1個以上結合している。
[2]前記[1]記載のフィルターが金網、金属不職布及び焼結金属の少なくとも1種
以上から形成することを特徴とする前記[1]記載の製造方法。
[3]前記[1]記載のフィルターの最大メッシュサイズが10メッシュ以上100メッ シュ以下、最小メッシュサイズが200メッシュ以上800メッシュ以下の複数の フィルターから構成することを特徴とする前記[1]又は前記[2]記載の製造方 法。
[4]前記[1]記載のフィルターバケットの形状が円筒形であることを特徴とする前記 [1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記[1]記載の2軸多段ベント押出機のベント部下流に位置した、吸引側圧力が 0〜10kg/cm2となるように調整したギアポンプを設置してなる前記[1] 〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、2軸多段ベント押出機を用いた直脱法によってブロック共重合体又はその水添物のペレットを製造するにあたり、顕著にFEを低減すると共に、生産時のフィルター詰まりによるフィルターの交換頻度も少なく製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のペレットの製造方法に用いられるブロック共重合体又はその水添物は、そのビニル芳香族炭化水素含有量が10〜95重量%の範囲である。ビニル芳香族炭化水素含有量が10重量%未満及び95重量%を超えた場合には、本発明の効果を発揮する用途に用いることが難しいため好ましくない。
本発明に用いられるブロック共重合体又はその水添物とは、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとを有するブロック共重合体又はその水添物である。ここでビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとは、ビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックとは、共役ジエンを50重量%を超える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存しても よい。
本発明に用いられるブロック共重合体(水添物は水添前のブロック共重合体)は基本的には従来公知の手法で製造でき、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報などに記載された手法があげられるが、各構成ポリマーは後述する要件を満足するように製造条件を設定しなければならない。上記の公知の手法はすべて、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブロック共重合する手法である。
本発明に用いられるブロック共重合体の水添物は、水添前のブロック共重合体を水素添加することにより得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。
本発明に用いられるブロック共重合体組成物の水添物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。熱安定性及び耐候性の良好な水添ブロック共重合体を得る場合、水添ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を越える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。また、熱安定性の良好な水添物を得る場合、水添添加率は3〜70%、或いは5〜65%、特に好ましくは10〜60%にすることが好ましい。なお、水添物中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
本発明に用いられるブロック共重合体又はその水添物のポリマー構造は例えば
A−(B−A)n ,A−(B−A)n −B
B−(A−B)n+1
[(A−B)km+1−X , [(A−B)k−A]m+1−X
[(B−A)km+1−X , [(B−A)k−B]m+1−X
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5で、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるブロック共重合体、あるいはこれらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明においては重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。本発明の方法においてブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には1〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
この様にして得られたブロック共重合体又はその水添物の数平均分子量は、一般的に5000〜1000000、好ましくは10000〜500000である。またブロック共重合体溶液中の炭化水素の量は、一般にブロック共重合体100重量部に対して50重量部〜2000重量部である。尚、ブロック共重合体の性質によってはブロック共重合体が炭化水素溶媒に不溶で懸濁状態で得られる場合もあるが、本発明においてはこれらもブロック共重合体溶液とよぶことにする。
重合終了後のブロック共重合体又はその水添物に、安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートをブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部添加することが熱安定性を向上する上で好ましい。添加量が0.05重量部未満では熱安定性向上の効果はなく、3重量部を超えても本発明以上の効果を得ることはない。2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートは単独で添加しても、他のフェノール系安定剤及びリン系安定剤と併用しても良い。
フェノール系安定剤としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられ、リン系安定剤としては、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビスフェニレンジフォスファイト、ビス(2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの安定剤は、ブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部添加することが好ましい。
本発明で脱溶媒する際の好ましい2軸多段ベント押出機としては、2軸エンドレススクリューと後方排気ゾーン及びギアポンプを有する押出機である。
本発明の脱溶媒はブロック共重合体溶液を130〜180℃に加熱し、エンドレススクリューの供給ホッパーに導入して供給ゾーンで除圧を生じさせ、溶媒の50〜98重量%好ましくは75〜95重量%を短時間で除去する。
この除圧はエンドレススクリューに供給するラインに配置した制御弁によって調整される。ここで、130〜180℃の温度範囲が、後方排気ゾーンで除去される溶媒を適正とするのに好適な温度である。130℃未満の温度では、溶媒の除去が50重量%未満となって、その後の排気ゾーンでエントレが生じて運転に支障をきたすことと溶媒の除去が十分できないため、最終的に得られるブロック共重合体の残存溶媒量が高くなり、好ましくない。また、180℃を超えると供給ライン内の圧力が高くなり、制御弁での調整が難しくなる。なお、短時間で除去する溶媒量とは、後方排気ゾーンで除去される溶媒量である。ブロック共重合体の最終的に得られるペレット中の好ましい残存溶媒量は1000ppm以下である。次に、後方排気ゾーンでポリマー温度が相当低下するため、前方に位置した排気ゾーンのポリマー温度を150〜260℃の温度になるように再加熱し、バレル内でのスクリューの前進運動と共に排気ゾーン間の少なくとも1箇所に0.5〜2重量%の水の注入によって段階的に漸次、残りの溶媒の2〜50重量%を除去する。ブロック共重合体に対して0.5〜2重量%の水を添加することで、より溶剤除去効率を高めることができる。
本発明に使用する2軸多段ベント押出機は、最終ベント部の下流にギアポンプを有する構造のものが好ましい。ギアポンプの吸引側圧力は0〜10kg/cm2、好ましくは0〜8kg/cm2となるように調整することが望ましい。これによって、スクリュー回転数を上げた際に、練りによるポリマー温度の上昇を抑止できるため、FE低減化に寄与する。
本発明に用いる2軸ベント押出機は、排気用のベントゾーンを2〜5個有し、L/D=30〜60(Lはスクリューの有効長さ、Dはスクリューの直径)程度のもので、かみ合い型同方向2軸ベント押出機が好ましく、ダイはアンダーウォーターカット用又はホットカット用のものとし、カッターは必要なペレットサイズに合わせて、2〜12枚刃のものを用いる。
本発明の最大の特徴であるフィルターは、襞状に突起した形状であるため、濾過面積を増やすことができ、濾過時の詰まりによる圧力上昇時間を長くする効果が認められる。このため、小サイズのフィルター使用が可能となり、ペレット中のFEを少なくできると共に、フィルターの交換頻度を少なくすることができる。本発明のフィルターバケットとは、溶融樹脂がフィルターを通過する際に生じる圧力変形、或いは圧力変形による破れからフィルターを保護する、所謂保護カバーを称したものである。フィルターバケットの形状に制約はなく、直方体、立方体、円錐形、円筒形等であっても良いが、円筒形が好適である。
本発明に使用するフィルターの構造の一実施形態を図1及び図2に例として示した。フィルターは円筒状のフィルターバケット内壁に貼り付けられているが、これはフィルターの強度向上を目的としている。
また、フィルターバケットは流入孔(開口部)と円筒側面に複数の穴状の流出孔を有している。流出孔を複数の穴状としているのはフィルターの破れを考慮したものであり、流出孔が大きすぎてはフィルターに破れが生じ、小さすぎては流出面積が小さくなるため、適度な大きさと個数が必要である。更に、バケット内に貼り付けられたフィルターは襞状に突起した形状であるため、濾過面積を大きくすることができ、フィルター詰まりによる圧力上昇時間を長くすることが可能である。この襞は押出機に平行でもよく、捻じれた構造であっても良い。更に、フィルターバケットの流入孔断面積は押出機のバレルの開口断面積以下とすることで、複数のフィルターの装着が可能となるため、更にFEを少なくする効果を得ることができる。更に、フィルターの最小メッシュサイズはFEの低下とフィルター詰まりによる圧力上昇時間のバランスから200〜800メッシュが良く、好ましくは300〜500メッシュがより良好である。本発明のメッシュはJISZ8801に準拠したもので、100メッシュの目開き寸法は149μm、500メッシュの目開き寸法は30μmに相当する。更に、フィルターバケットの内壁面積とフィルターの面積の比は1.5〜8の範囲であることが濾過面積を大きくすることとフィルター詰まりによる圧力上昇時間を長くするために必要である。好ましい内壁面積とフィルターの面積の比は2〜6の範囲である。内壁面積とフィルターの面積の比は、フィルターの襞の高さを高くし、襞数を増やすことで大きくできる。
本発明に使用するフィルターは金網、金属不職布及び焼結金属の少なくとも1種以上から形成することが好ましい。焼結金属フィルターはステンレスと青銅の粉末を使用したパウダーフィルターと金網を何層も重ね合わせた積層金網焼結フィルターのいずれを使用しても良い。パウダーフィルターは粉末冶金特有の多孔質を利用しフィルターの役目をさせたもので、粒度を揃えたパウダーを型に充填及びプレス成形し、雰囲気中又は真空中で高温焼結したものであり、積層金網焼結フィルターは金網を多数枚重ね合わせ真空中で高温焼結したもので、金網のメッシュ、積層数によって濾過孔を調節したものである。本発明に使用するフィルターの装着位置は押出機に結合しており、押出機本体と押出機ダイの中間に装着することが好ましく、押出機本体の下流にギアポンプが結合し、その下流にフィルターが結合し、その下流にダイ部が結合していることが更に好ましい装着位置である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定を受けるものではない。
尚、本発明のFEの評価方法は、L/D=30、スクリュー径25mm、樹脂温度220℃の条件で単軸シート押出機を用いて幅100mm、厚さ0,1mmのシート押出を20分間行った後、シート長さ30mのシートを採取して、そのシート中のFE個数を測定した。FEは長径0.2mm以上の個数を目視で計数した。FE個数が少ないほど良好である。また、実施例で使用したブロック共重合体の重合体溶液は次のようにして製造した。得られたブロック共重合体(A)〜(D)の重合体溶液の、重合体と溶媒との重量比はいずれも1:3であった。
[ブロック共重合体(A)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン13重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.103重量部添加し、75℃で25分間重合した後、更に1,3−ブタジエン70重量部とスチレン4重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して75℃で70分間重合した。次にスチレン13重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、75℃で25分間重合した。その後水添触媒をブロック共重合体100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。得られた重合体は、スチレン含有量30重量%、水添率35%の水添ブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体(B)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン3重量部と1,3−ブタジエン5重量部とテトラヒドロフラン0.3重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.074重量部添加し、75℃で15分間重合した後、スチレン67重量部を含むシクロヘキサンを添加して75℃で70分間重合した。その後、1,3−ブタジエン25重量部添加し、75℃で30分間重合した。その後、1,3ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して1.0倍当量添加して10分間反応させた。得られた重合体は、スチレン含有量70重量%のラジアル構造のブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体(C)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン35重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.07重量部添加し、75℃で40分間重合した後、更に1,3−ブタジエン22重量部とスチレン13重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して75℃で40分間重合した。次にスチレン30重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、75℃で35分間重合した。得られた重合体は、スチレン含有量78重量%のブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体(D)]
窒素ガス雰囲気下において、スチレン10重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.054重量部添加し、75℃で15分間重合した後、更に1,3−ブタジエン10重量部とスチレン70重量部を含むシクロヘキサンを連続的に添加して75℃で90分間重合した。次にスチレン10重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、75℃で15分間重合した。得られた重合体は、スチレン含有量90重量%のブロック共重合体であった。
[実施例1〜7及び比較例1〜3]
ブロック共重合体(A)〜(D)にエタノールをn−ブチルリチウムに対して0.9倍当量、重合器中に添加して反応を停止した。その後、重合体溶液を重合器から他の反応槽へ移送する間に少量の水と炭酸ガスを添加した。この溶液に重合体100重量部に対して2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.2重量部、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.1重量部加えて均一に混合した後、熱交換器を通して重合体溶液の温度を170℃に昇温し、次にフラッシュ型濃縮器で溶媒の一部をフラッシュ蒸発させた。濃縮器出口での温度は、100℃に低下し、濃度は52重量%であった。濃縮された重合体溶液を熱交換器を通して再度160℃に加熱し、2軸ベント押出機にフィードして脱溶媒を行った。
使用した押出機は後方排気ゾーンを有するスクリュー外径65mm、L/D=40のかみ合い型同方向2軸3段ベント押出機であり、スクリュー先端とダイの間に、ギアポンプを取り付けたものである。運転条件はスクリュー回転数150rpm、押出量は120Kg/時間で、水は、第2排気ゾーンと最後の排気ゾーン(第3排気ゾーン)の間でポリマーの100重量部に対して1重量部の割合でプランジャー型定量ポンプを用いて添加した。
ギアポンプ下流に取り付けたフィルターはフィルターバケット側から30メッシュ、表1の最小メッシュ、50メッシュの3層構造で、スポット溶接でフィルターバケット内壁に貼り付けられている。フィルターバケットは厚み1mmのアルミニウム製で、流入孔が直径30mm、長さ130mmの円筒形で側面に直径3mmの円形の流出孔が500個ある構造で、押出機本体とダイの間に5本並列のホルダーに取り付けて装着した。
フィルターバケットの内壁面積とフィルターの面積の比は、貼り付けたフィルターの襞の数と襞の突起の高さで調整した。押出機のダイの温度は200℃に設定し、フィルター上流の樹脂圧力が13MPaに達するとフィルターを交換してフィルター目詰まりの経過時間を計測した。ペレット化は水中ホットカットで行った。結果を表1に示した。本発明で規定したフィルターを使用したブロック共重合体又はその水添物は、FEが少なく、フィルター交換時間が長く良好な結果を示している。
Figure 0005156349
本発明の製造方法に係る特定のフィルターを使用した製造方法によって、ブロック共重合体又はその水添物のFEを低下させると共に、生産時のフィルター詰まりによるフィルターの交換頻度を少なくすることが可能である。
本発明の製造方法の一実施形態に用いるフィルターを一部断面とともに示す側面図である。 図1に示すフィルターの流入孔を示す正面図である。

Claims (5)

  1. 炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を重合して得たビニル芳香族炭化水素含有量が10〜95重量%であるブロック共重合体又はその水添物の溶液から、2軸多段ベント押出機を用いた直脱法によってブロック共重合体又はその水添物ペレットを製造するにあたり、押出機に結合した下記のイ)〜ト)の特徴を有するフィルターを通過するブロック共重合体又はその水添物のペレットの製造方法。
    イ)フィルターは、フィルターバケット内壁に貼り付けられており、
    ロ)フィルターバケットは流入孔(開口部)と複数の穴状の流出孔を有し、
    ハ)フィルターバケット内に貼り付けられたフィルターは襞状に突起した形状で、
    ニ)フィルターバケットの流入孔断面積は押出機のバレルの開口断面積以下であり、
    ホ)フィルターの最小メッシュサイズは200〜800メッシュで、
    ヘ)フィルターバケットの内壁面積とフィルターの面積の比が1.5〜8の範囲で、
    ト)フィルターバケットが押出機に少なくとも1個以上結合している。
  2. 前記フィルターが金網、金属不職布及び焼結金属の少なくとも1種以上から形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記フィルターの最大メッシュサイズが10メッシュ以上100メッシュ以下、最小メッシュサイズが200メッシュ以上800メッシュ以下の複数のフィルターから構成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の製造方法。
  4. 前記フィルターバケットの形状が円筒形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記2軸多段ベント押出機のベント部下流に位置した、吸引側圧力が0〜10kg/cm2となるように調整したギアポンプを設置してなる請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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