JP5240985B2 - ブロック共重合体組成物、その水添物の製造方法 - Google Patents

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本発明はスチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性と剛性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等なブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法に関する。
従来から、透明性を保持しながら耐衝撃性等の機械特性を向上させることを目的として、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体及びその製造方法、或いはその組成物がいくつか提案されている。
例えば、透明性と耐衝撃性を改良する目的で触媒を分割添加する方法で得た分岐状ブロック共重合物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、耐環境応力亀裂性を改良することを目的として、触媒を分割添加する方法を採用した漸変性ブロック共重合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、透明性と機械的特性を得るために、S1−B1−B/S−S2構造(S1とS2は芳香族系ビニル均質重合体ブロックを、B1は共役ジエン均質重合体ブロックを、B/Sはランダム共重合体ブロックを表す)を有するブロック共重合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
更に、透明性と耐衝撃性を改良するために、ブロック率、重合体ブロックの配置、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとがランダム共重合した部分の共役ジエン量比率等に特徴をもたせたブロック共重合体が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
更に、透明性と耐衝撃性が良好でシート、フィルムへの製膜性に優れるブロック共重合体組成物を得るため、重合反応系中にプロトン供与性の物質を添加する製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
しかしながら、上記のこれら公知のブロック共重合体及びブロック共重合体組成物ではスチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等ではなく、その解決が望まれている。
特開昭52−58788号公報 特開平4−277509号公報 特開昭63−145314号公報 特開平7−97418号公報 特開2000−26698号公報
本発明は、スチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性と剛性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等なブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、スチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性と剛性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等性は射出成形時の流動性及び配向性の影響が大きく、それらを改善するためには特定の分子量を有する直鎖状ブロック共重合体と分岐ブロック共重合体からなる組成物が有効であり、且つそれを効率よく生産する製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1] ビニル芳香族炭化水素の含有量が10〜55重量%および共役ジエンの含有量が45〜90重量%とからなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量が1万〜5.8万である成分(a)を20〜80重量%、および3官能以上の多官能カップリング剤で結合され、かつそのピーク分子量が3万〜11万の範囲少なくとも1つ存在する成分(b)を80〜20重量%含有するブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法において、全ビニル芳香族炭化水素の添加量が10〜55重量%で全共役ジエンの添加量が45〜90重量%であり、ビニル芳香族炭化水素と、共役ジエン、及び/又はビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの混合物をリビングアニオン重合法により重合させつつある重合反応系中に、3官能以上の官能基数を有するカップリング剤を重合活性末端数より少ない化学量論数の量を一括添加して、または分割添加して、重合活性末端の一部を失活させることにより前記成分(b)を生成させておき、この後重合反応系中ビニル芳香族炭化水素を追加添加し、または追加添加せずに、重合反応を続けることにより前記成分(a)を生成させることを特徴とするブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法。
[2]前記ブロック共重合体組成物又はその水添物の30℃での貯蔵弾性率(E’)が0.8×108Pa〜5×108Paの範囲であることを特徴とする前記[1]記載のブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法。
本発明によれば、スチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性と剛性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等な直鎖状ブロック共重合体と分岐状ブロック共重合体からなる組成物又はその水添物を効率よく製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、該ブロック共重合体組成物のビニル芳香族炭化水素含有量は10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%、更に好ましくは20〜45重量%の範囲である。ビニル芳香族炭化水素含有量が10〜55重量%の範囲にあっては耐衝撃性と剛性に優れる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物における成分(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量は1万〜25万、好ましくは3万〜20万であり、成分(b)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量は3万〜35万、好ましくは5万〜30万である。成分(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量は1万〜25万、成分(b)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量は3万〜35万の範囲にあっては成形加工性に優れる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物の成分(a)の含有量は20〜80重量%、好ましくは25〜75重量%、更に好ましくは30〜70重量%、成分(b)の含有量は80〜20重量%、好ましくは75〜25重量%、更に好ましくは70〜30重量%である。成分(a)の含有量が20〜80重量%、成分(b)の含有量が80〜20重量%の範囲にあっては射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等な成形品を得ることができる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物のピーク分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。即ち、ブロック共重合体組成物をGPCにかけてGPC曲線を得た後、単分散ポリスチレンをGPCにかけてそのピークカウント数と分子量から作成した検量線を用いて、常法[例えば、「ゲルパーミエーションクロマトグラフィー」、81〜85頁(1976年、日本国丸善株式会社発行)を参照]に従って算出することによって、ピーク分子量を求めることができる。ブロック共重合体組成物の成分(a)と成分(b)の含有量は、GPC曲線の各ピークの面積比から求める、或いは重合反応系中に添加するカップリング剤の官能基数と重合活性末端数の化学量論数から計算することによっても求めることができる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は特に制限はないが、好ましくは60〜100%、更に好ましくは80〜100%である。本発明のブロック共重合体組成物に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は、該組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)で測定でき、該方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めた値を云う。
ブロック率(重量%)=(共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量/共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量)×100
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物が含有する成分(a)及び成分(b)は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つと、共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つ有する。成分(a)のポリマー構造は直鎖状ブロック共重合体であり、特に制限は無いが、例えば一般式
(A−B)n、A−(B−A)n、B−(A−B)n+1、
成分(b)のポリマー構造は分岐状ブロック共重合体であり、特に制限は無いが、例えば一般式
[(A−B)k]m+1−X、[(A−B)k−A]m+1−X、
[(B−A)k]m+1−X、[(B−A)k−B]m+1−X、
(上式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n及びkは1以上の整数、一般的には1〜5の整数、mは2以上の整数、一般的には2〜5の整数である。また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。また、上記一般式で表される分岐状ブロック共重合体において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していても良い。)で表される。
本発明において、セグメントA、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジ
エンとの共重合体中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、テーパー(漸減)
状に分布していてもよい。また該共重合体中には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布し
ている部分及び/又はテーパー状に分布している部分がセグメント中にそれぞれ複数個共
存してもよい。セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニ
ル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100
)とセグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭
化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係
は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量のほうが、セグメントBにおける
ビニル芳香族炭化水素含有量より大である。セグメントAとセグメントBの好ましいビニ
ル芳香族炭化水素含有量の差は5重量%以上であることが好ましい。
前述したような成分(a)及び成分(b)を含むブロック共重合体組成物又はその水添物を得るための、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、既述の通り、全ビニル芳香族炭化水素の添加量が10〜55重量%で全共役ジエンの添加量が45〜90重量%で、(i)ビニル芳香族炭化水素または(ii)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとをリビングアニオン重合法により(共)重合させつつある重合反応系中に、3官能以上の官能基数を有するカップリング剤を重合活性末端数より少ない化学量論数の量を一括添加して、または分割添加して、重合活性末端の一部を失活させることにより前記成分(b)を生成させておき、この後(i)ビニル芳香族炭化水素の該重合反応系中にさらに共役ジエンまたは共役ジエンとビニル芳香族炭化水素を追加添加し、あるいは(ii)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの該重合反応系中に共役ジエンおよび/またはビニル芳香族炭化水素を追加添加し、または追加添加せずに、重合反応を続けることにより前記成分(a)を生成させることを特徴とする。
本発明の製造方法において、リビングアニオン重合法により成分(b)を生成させる際またはその後の成分(a)を生成させる際には、有機溶媒中で有機リチウム化合物を重合開始剤とし、前記に説明したビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの中から、それぞれ1種または2種以上を選んで使用することが好ましい。
このリビングアニオン重合法では、重合活性末端が存在する限り原料モノマーとしたビニル芳香族炭化水素、及び共役ジエンは通常全量が重合し、該モノマーが残留することはほとんどない。また連鎖移動反応による重合途中での反応活性末端の失活や新規生成を伴わないという重合反応上の特徴を持つ。
そのため、本発明の製造方法における特定の工程を施すことにより、得られるブロック共重合体組成物における成分(a)及び成分(b)の分子量や分子構造、及び組成物の構成割合等を前述のようにすることができる。
なお、本発明の製造方法においては、本発明の構成及び目的の範囲内で、モノマー、重合開始剤、ランダム化剤、カップリング剤の種類と添加量及びその添加時期、添加回数を適宜変えることにより、成分(a)及び成分(b)の分子量や分子構造、及び組成物の構成割合等を適宜制御することが可能である。
前半の成分(b)を得る工程において、(i)ビニル芳香族炭化水素または(ii)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとをリビングアニオン重合法により(共)重合させつつある重合反応系中に、3官能以上の官能基数を有するカップリング剤を重合活性末端数より少ない化学量論数の量を一括添加して、または分割添加して、重合活性末端の一部を失活させる。
また後半の成分(a)を得る工程において、(i)ビニル芳香族炭化水素の該重合反応系中にさらに共役ジエンまたは共役ジエンとビニル芳香族炭化水素を追加添加し、あるいは(ii)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの該重合反応系中に共役ジエンおよび/またはビニル芳香族炭化水素を追加添加し、または追加添加せずに、重合反応を続ける。
本発明の製造方法において、特定される事項以外の点は得られる成分(a)或いは成分(b)が先に記載した所定の分子量や分子量分布、構造、組成などに合致するように選択できる。またカップリング剤の添加量は一般に反応系の総量に対して極めて微量となるため、その添加量の精度を増す目的で、原料とするモノマーや溶剤など活性末端に影響を与えない他の物質に混ぜて添加しても良い。
尚、重合反応の完了時にはその時点における活性末端数に対して充分な量の水或いはアルコール等の重合停止剤を添加して活性末端を全て失活させることが好ましい。
失活処理の終わった重合溶液からブロック共重合体組成物又はその水添物を取得する方法としては、(1)メタノールなどの貧溶媒中に析出させる方法、(2)加熱ロールなどに重合溶液を供給し、溶剤のみを蒸発させてブロック共重合体組成物又はその水添物を分離する方法(ドラムドライヤー法)、(3)加熱した重合溶液を、そこに含まれる有機溶媒の該温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力に保った缶中に連続的、或いは間欠的に供給して脱揮する方法(フラッシュ蒸発法)、(4)ベント式押出機に通して脱揮させる方法、(5)温水中に撹拌しながら、重合溶液を吹き込んで溶剤を蒸発させる方法(スチームストリッピング法)などや、これらを組み合わせた方法が挙げられる。
ここで使用する有機溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、或いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。
重合開始剤として好ましく用いられる有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、本発明では例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの単官能性重合開始剤、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムなどの多官能性重合開始剤が使用できる。
本発明に使用するビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明の製造方法においては、ブロック共重合体組成物における(イ)イソプレンと1,3−ブタジエンからなる共重合体ブロック、(ロ)イソプレンとビニル芳香族炭化水素からなる共重合体ブロックおよび(ハ)イソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素からなる共重合体ブロックの(イ)〜(ハ)の群から選ばれる少なくとも1つの重合体ブロックが組み込まれるようにしても良く、ブタジエンとイソプレンの重量比が3/97〜90/10、好ましくは5/95〜85/15、更に好ましくは10/90〜80/20となるようにしてもよい。ブタジエンとイソプレンの重量比が3/97〜90/10のブロック共重合体からなる水添ブロック共重合体は、水添率が50重量%以下にあっては熱成形・加工等におけるゲル生成が少ない。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物のブロック率は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合時の反応性比を変化させるランダム化剤の添加濃度を変えることにより制御することができる。そのランダム化剤は極性を持つ分子であり、アミン類やエーテル類、チオエーテル類、及びホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、その他にカリウムまたはナトリウムのアルコキシドなどが使用可能である。適当なアミン類としては第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの他、環状第三級アミンなども使用できる。エーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その他にトリフェニルフォスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸カリウムまたはナトリウム、カリウム、ナトリウムブトキシドなどを挙げることができる。ランダム化剤は1種、または複数の種類を使用することができ、その添加濃度としては、原料とするモノマー100重量部あたり合計0.001〜10重量部とすることが適当である。
本発明に使用する多官能カップリング剤は官能基数が3官能以上のものであれば特に制約はなく、具体的には、四塩化スズ、メチル三塩化スズ、ジブチルジクロロスズ、トリブチルクロロスズ等のハロゲン化スズ化合物、テトラアリルスズ、ジエチルジアリルスズ、テトラ(2−オクテニル)スズ等のアリルスズ化合物、テトラフェニルスズ、テトラベンジルスズ等のスズ化合物、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、メチル三塩化ケイ素、ジメチルジクロロケイ素、トリメチルクロロケイ素等のハロゲン化ケイ素化合物、テトラフェノキシケイ素、テトラエトキシケイ素等のアルコキシケイ素化合物、四塩化ゲルマニウム等のハロゲン化ゲルマニウム等の化合物を挙げることができる。また、エポキシ化植物油型の薬剤、エポキシ化ポリブタジエン類または更にエポキシ化テトラアリルエーテルペンタエリスリトールが挙げることができる。更に、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド,3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド,3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられるが、好適な多官能カップリング剤は、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油等である。
本発明の製造方法においては、前述した水添前のブロック共重合体組成物を水素添加することにより、ブロック共重合体組成物の水添物を得ることができる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜7MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
本発明のブロック共重合体組成物の水添物の製造方法においては、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。熱安定性及び耐候性の良好な水添ブロック共重合体を得る場合、水添ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を越える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。また、熱安定性の良好な水添物を得る場合、水添添加率は3〜70%、或いは5〜65%、特に好ましくは10〜60%にすることが好ましい。なお、水添物中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。本発明において、水添物の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、前述の極性を持つランダム化剤の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。一般に、ビニル結合量は5〜90%、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜75%の範囲で設定できる。なお、本発明においてビニル結合量とは、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)である。ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により把握することができる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物又はその水添物の好ましい30℃での貯蔵弾性率(E’)は、0.8×108Pa〜5×108Pa、更に好ましくは1.0×108Pa〜4.5×108Pa、取り分け好ましくは1.3×108Pa〜4.2×108Paである。30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上にあっては、成形品の剛性に優れる。30℃での貯蔵弾性率(E’)はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比率、ブロック共重合体組成物中のビニル芳香族炭化水素ブロック量、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロック量等を調整することにより制御できる。
本発明の製造方法により得られるブロック共重合体組成物又はその水添物は単独でも、さらに別種の重合体、例えばビニル芳香族炭化水素重合体、ビニル芳香族炭化水素重合体と共役ジエンとのグラフト共重合体、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体などと混ぜて使用に供することもできる。
本発明の製造方法においては、種々の添加剤を添加することにより、目的に応じたブロック共重合体組成物の水添物とすることができる。好適な添加剤としては、クマロンーインデン樹脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。又各種の安定剤、顔料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤等も添加できる。尚、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤としては、例えば脂肪酸アマイド、エチレンビス・ステアロアミド、ソルビタンモノステアレート、脂肪酸アルコールの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル等、又紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,5−ビス−[5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル−(2)]チオフェン等、「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」(化学工業社)に記載された化合物が使用できる。これらは、一般的に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲で用いられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定を受けるものではない。尚、実施例及び比較例のブロック共重合体組成物の製造に際するブロック共重合体組成物と溶媒の比率は1/3であり、表1、2に示した構造上の特徴及び物性の測定は下記の方法によって行った。
(1)ピーク分子量:ブロック共重合体組成物のピーク分子量は、GPC装置(日本、東 ソー株式会社製)を用い、溶媒にはテトラヒドロフランを用いて35℃で測定した 。ピーク分子量はGPC用単分散ポリスチレンをGPC測定し、そのピークカウン ト数と単分散ポリスチレンの数平均分子量との検量線を基に、測定したクロマトチ ャートからピーク分子量を読み取った。
(2)スチレン含有量
ブロック共重合体組成物を用い,核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ドイ ツ国、BRUKER社製)で測定した。
(3)ブロック率
ブロック共重合体組成物を、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハ イドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)でブロ ックスチレン含有量を測定し、下記の式から算出した。
ブロック率(重量%)=(共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重 量/共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量)×100
(4)成分(a)と成分(b)の組性比
(1)のGPCクロマトチャートの成分(a)と成分(b)に相当する成分の面積 比から求めた。
(5)30℃貯蔵弾性率
ブロック共重合体組成物或いはその水添物を加熱プレスで圧縮成形した厚さ1mm の試験片を、株式会社ユービーエム製粘弾性測定解析装置DVE−V4を用い、振 動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で温度−50℃〜150℃の範囲 を測定して求めた。
(6)水添率
ブロック共重合体組成物水添物を用い,核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400 ;ドイツ国、BRUKER社製)で測定した。
(7)ダート衝撃値
ASTM D1709−72に準拠して測定した。単位はKg・cm。落錘は半径 1/2インチを用いた。
(8)曲げ弾性率
射出成形平板から射出方向にサンプルを切り出しでASTM D790に準拠して 測定した。単位はMPa。
(9)成形収縮率
射出成形平板の射出方向と射出直角方向の成形収縮率をASTM−D955に準 拠して測定した。単位は%。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で1,3−ブタジエン5重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.28重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で10分間重合した。次にスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を25分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3−ブタジエン55重量部を含むシクロヘキサン溶液を65分間連続的に添加して75℃で重合した。その後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.156倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で25分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン14重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.221重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で20分間重合した。次に1,3-ブタジエン72重量部を含むシクロヘキサン溶液を85分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.20倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン14重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で25分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.302重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で20分間重合した後、スチレン5重量部と1,3-ブタジエン65重量部を含むシクロヘキサン溶液を80分間連続的に添加して75℃で重合した。次に1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.16倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で20分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.21重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で20分間重合した後、1,3-ブタジエン5重量部を含むシクロヘキサン溶液を15分間連続的に添加して75℃で重合した。次にスチレン5重量部と1,3-ブタジエン52重量部を含むシクロヘキサン溶液を80分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.15倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン23重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で30分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で1,3−ブタジエン8重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.24重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で15分間重合した。次にスチレン23重量部を含むシクロヘキサン溶液を30分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3−ブタジエン47重量部を含むシクロヘキサン溶液を60分間連続的に添加して75℃で重合した。その後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.2倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン22重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で30分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
実施例3のブロック共重合体組成物の重合終了後溶液に、水添触媒をブロック共重合体組成物100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加し、次に安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100質量部に対して0.3質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体組成物の水添物を得た。水添率は、水添率が28%になるように水素量で調整した。
[比較例1]
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で1,3−ブタジエン5重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.10重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で10分間重合した。次にスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を25分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3−ブタジエン55重量部を含むシクロヘキサン溶液を70分間連続的に添加して75℃で重合した。その後、スチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で25分間重合した後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
[比較例2]
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン25重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.38重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で35分間重合した後、スチレン5重量部と1,3-ブタジエン65重量部を含むシクロヘキサン溶液を80分間連続的に添加して75℃で重合した。次に1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.24倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン5重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で15分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
[比較例3]
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン4重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.14重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で15分間重合した。次に1,3-ブタジエン70重量部を含むシクロヘキサン溶液を85分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.17倍モル添加して5分間保持した。その後、1,3-ブタジエン22重量部を含むシクロヘキサン溶液を35分間連続的に添加して75℃で重合した後、スチレン4重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で15分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
[比較例4]
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン29重量部を含むシクロヘキサン溶液にn-ブチルリチウムを0.16重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で40分間重合した。次に1,3-ブタジエン42重量部を含むシクロヘキサン溶液を55分間連続的に添加して75℃で重合した後、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンをn-ブチルリチウムに対して0.17倍モル添加して5分間保持し、その後スチレン29重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で40分間重合した。その後、重合器にメタノールをn-ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体組成物を得た。
前記製造方法で得たブロック共重合体組成物又はその水添物20重量部と汎用ポリスチレン(PSジャパン株式会社製 PSJポリスチレン685)80重量部のペレットブレンド物をスクリュー径30mmの2軸押出機を用い、樹脂温度200℃で溶融混練してペレットを得た。このペレットを、インラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械株式会社製「IS100」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度210℃、金型温度50℃の条件で、射出成形し、縦120mm、横120mm、厚さ2mmの平板を得た。この平板のダート衝撃値、成形収縮率及び平板から切り出したサンプルの曲げ弾性率の値を表2に示した。本発明の製造方法で得たブロック共重合体組成物又はその水添物はダート衝撃値で表される耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率で表される剛性が高く、更に成形収縮率の射出方向と射出直角方向が比較的均等であることが分かる。
Figure 0005240985
Figure 0005240985
本発明の製造方法で得たブロック共重合体組成物は、スチレン系樹脂ブレンド射出成形物とした際の耐衝撃性と剛性が良好で、射出成形物の射出方向と射出直角方向の成形収縮率が較的均等なため、射出成形の成形品に適しており、飲料容器包装や各種食品包装容器及び電子部品包装容器等に好適に利用できる。

Claims (2)

  1. ビニル芳香族炭化水素の含有量が10〜55重量%および共役ジエンの含有量が45〜90重量%とからなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量が1万〜5.8万である成分(a)を20〜80重量%、および3官能以上の多官能カップリング剤で結合され、かつそのピーク分子量が3万〜11万の範囲少なくとも1つ存在する成分(b)を80〜20重量%含有するブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法において、
    全ビニル芳香族炭化水素の添加量が10〜55重量%で全共役ジエンの添加量が45〜90重量%であり、ビニル芳香族炭化水素と、共役ジエン、及び/又はビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの混合物をリビングアニオン重合法により重合させつつある重合反応系中に、3官能以上の官能基数を有するカップリング剤を重合活性末端数より少ない化学量論数の量を一括添加して、または分割添加して、重合活性末端の一部を失活させることにより前記成分(b)を生成させておき、この後重合反応系中ビニル芳香族炭化水素を追加添加し、または追加添加せずに、重合反応を続けることにより前記成分(a)を生成させることを特徴とするブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法。
  2. 前記ブロック共重合体組成物又はその水添物の30℃での貯蔵弾性率(E’)が0.8×108Pa〜5×108Paの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体組成物又はその水添物の製造方法。
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