JP2006274158A - エラストマー組成物及び接着剤組成物 - Google Patents

エラストマー組成物及び接着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な剪断接着破壊温度及び保持力を有し、また熱劣化を受けても保持力の低下が小さく、しかも溶融粘度が低い接着剤を得ることができるエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 式:(A−BnR(Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロック、Bはイソプレン重合体ブロック、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基、m及びnは3以上の整数でm≦n)で表わされるm分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(a)10〜95重量%、式:(A−B)(Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロック、Bはイソプレン重合体ブロック)で表わされる線状ジブロック共重合体(b)10〜85重量%、及び重量平均分子量5,000〜100,000のポリイソプレン(c)5〜33重量%を含有し、組成物全体の平均芳香族ビニル化合物含有量(S)が14〜50重量%であるエラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤用途に適したエラストマー組成物及びこれを用いた接着剤組成物に関し、更に詳しくは、良好な剪断接着破壊温度及び保持力を有し、更に加熱後においても保持力の低下が小さく、しかも溶融粘度が低いエラストマー組成物及びこれを用いて得られる接着剤組成物に関する。
従来から接着剤組成物のベースポリマーとしてスチレン/イソプレンブロック共重合体をはじめとする各種のブロック共重合体が用いられている。
接着剤には初期接着力、保持力、段ボールシール性、柔軟性、加工性、熱安定性、経時着色安定性等の種々の特性が要求される。
このため、ブロック共重合体のポリマー構造や、組成について、広範な研究が行われてきた。中でも、線状ブロック共重合体と放射状ブロック共重合体とを組み合わせることにより、種々の優れた特性が得られることが知られている。
例えば、特許文献1には、芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体とポリイソプレンとからなる粘着剤用エラストマー組成物が開示されている。このエラストマー組成物を用いて得られる接着剤組成物は、低温での初期接着力、常温での剥離接着強さ、高温での保持力及び剪断接着破壊温度を併せ持つ、優れた接着剤組成物である。しかしながら、粘着剤組成物を加熱劣化させた時に保持力が低下する場合があり、また、ホットメルト型の接着剤を使用するに当たっては、これを溶解して支持体等に塗布する必要があるが、このとき溶融粘度が高くなって、迅速に均一な塗布を行なうことが困難となる場合がある。
特許文献2には、低粘度低適用温度ホットメルト接着剤に用いるための特定の分子量及びカップリング効率等を有する3分岐スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含有する組成物が開示されている。この接着剤組成物は、177℃においても粘度が十分に低く、かつ、剪断接着破壊温度にも優れている。しかしながら、近年の高速塗工及び省エネルギーの観点から更に低い温度においても粘度が十分に低い接着剤が望まれており、剪断接着破壊温度、保持力及び溶融粘度のバランスにおいて優れているとは言い難い。
国際公開第03/020825号パンフレット 特開平5−78637号公報
従って、本発明の目的は、良好な剪断接着破壊温度及び保持力を有し、更に加熱後においても保持力の低下が小さく、しかも溶融粘度が低い接着剤を得ることができるエラストマー組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、このエラストマー組成物を用いた接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、それぞれ特定の構造を有する多分岐状重合体、線状ジブロック共重合体及びポリイソプレンを特定の比率で含有するエラストマー組成物を用いれば、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、一般式(I):(A−BnR(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックであり、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基であり、m及びnは3以上の整数であってm≦nである。)で表わされるm分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(a)10〜95重量%、一般式(II):(A−B)(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックである。)で表わされる線状ジブロック共重合体(b)10〜85重量%、及び重量平均分子量5,000〜100,000のポリイソプレン(c)5〜33重量%を含有し、組成物全体の平均芳香族ビニル化合物含有量(S)が、14〜50重量%であるエラストマー組成物が提供される。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分の芳香族ビニル化合物含有量が20〜75重量%であることが好ましい。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分が一般式(I)においてm=4である4分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体又は一般式(I)においてm=3である3分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体からなるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記エラストマー組成物100重量部と粘着付与樹脂10〜400重量部とを含んでなる接着剤組成物が提供される。
本発明によれば、良好な剪断接着破壊温度及び保持力を有し、また熱劣化を受けても保持力の低下が小さく、しかも溶融粘度が低い接着剤を得ることができるエラストマー組成物を得ることができる。また、このエラストマー組成物を用いて優れた接着剤組成物を得ることができる。
本発明のエラストマー組成物は、一般式(I):(A−BnR(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックであり、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基であり、m及びnは3以上の整数であってm≦nである。)で表わされるm分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(a)10〜95重量%、及び一般式(II):(A−B)(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックである。)で表わされる線状ジブロック共重合体(b)10〜85重量%、及び重量平均分子量5,000〜100,000のポリイソプレン(c)5〜33重量%を含有し、組成物全体の平均芳香族ビニル化合物含有量(S)が、14〜50重量%である。
本発明のエラストマー組成物は、一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(a)(以下、「(a)成分」ということがある。また、単に「放射状ブロック共重合体」ということがある。)を含有する。
(a)成分は、一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体の1種又は2種以上の集合体である。
一般式(I)において、Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであり、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基であり、m及びnは3以上の整数であってm≦nである。
従って、一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体(a)は、一般式:(A−B3R、一般式:(A−B4R、一般式:(A−B5R等で表わされる3分岐ブロック共重合体;一般式:(A−B4R、一般式:(A−B5R、一般式:(A−B6R等で表わされる4分岐ブロック共重合体;一般式:(A−B5R、一般式:(A−B6R等で表わされる5分岐ブロック共重合体;・・等の、3分岐以上の(即ち、放射状の)多分岐ブロック共重合体の1種又は2種以上の集合体である。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分を構成するための芳香族ビニル化合物は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
(a)成分を構成する、一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体が複数である場合、各m分岐放射状ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。また、このとき、各m分岐放射状ブロック共重合体における芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAの割合は、同じであっても異なっていてもよい。
また、各m分岐放射状ブロック共重合体におけるイソプレンの重合体ブロックBは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。また、このとき、各m分岐放射状ブロック共重合体におけるイソプレンの重合体ブロックBの割合は、同じであっても異なっていてもよい。また、イソプレンの重合体ブロックBは、本発明の効果を損なわない範囲で、イソプレン以外の共役ジエン単量体単位を含んでいてもよい。
(a)成分が複数のm分岐ブロック共重合体で構成される場合、各m分岐放射状ブロック共重合体におけるカップリング剤残基XnRは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
本発明において、3官能性以上のカップリング剤としては、前記所望のm分岐放射状ブロック共重合体を得ることができるものであれば、特に限定されない。
3官能性のカップリング剤の具体例としては、クロロホルム、トリブロモメタン、トリクロロエタン、トリクロロプロパン、トリブロモプロパン等の3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリブロモシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン等の3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の3官能性アルコキシシラン;モノメチルトリクロロ錫、モノエチルトリクロロ錫、モノブチルトリクロロ錫,モノヘキシルトリクロロ錫等の3官能性ハロゲン化錫;トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の3官能性ホスファイト;トリメチルプロパントリグリシジルエーテル等の3官能性エポキシ化合物;等を挙げることができる。
4官能性のカップリング剤の具体例としては、四塩化炭素、テトラクロロエタン等の4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン等の4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;クロロトリメトキシシラン、ブロモトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジブロモジメトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリブロモメトキシシラン等の4官能性ハロゲン化アルコキシシラン;四塩化錫、四臭化錫等の4官能性ハロゲン化錫;テトラメトキシ錫、テトラエトキシ錫、テトラブトキシ錫等の4官能性アルコキシ錫;四塩化ゲルマニウム;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル等の4官能性エポキシ化合物;アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル等の4官能性カルボン酸エステル;等が挙げられる。
5官能性のカップリング剤の具体例としては、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン、ペンタクロロベンゼン等を挙げることができる。
6官能性以上のカップリング剤の具体例としては、パークロロエタン、パークロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化エーテル;1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、3,3’−オキシジプロピル−ビス(トリメトキシシリル)等のアルコキシシラン;1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン等のハロゲン化シラン化合物;ビストリクロロスタニルエタン等のハロゲン化錫;等を挙げることができる。
更に、上記以外のカップリング剤の例として、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等のエポキシ化合物;テレフタル酸ジクロリド、フタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド等の酸クロリド;等を、挙げることができる。
4官能性以上のカップリング剤としては、テトラクロロシラン及びテトラメトキシシランが好ましく、テトラクロロシランが特に好ましい。
一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体(a)における芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAの割合は、通常、20〜75重量%、好ましくは22〜70重量%、より好ましくは25〜65重量%である。この割合が上記範囲内にあると、得られる接着剤の剪断接着破壊温度及び保持力に優れ、且つ、熱劣化後の保持力の低下も小さい接着剤を得ることができる。
また、一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体(a)における芳香族ビニル化合物ブロックの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で5,000以上、30,000以下であることが好ましく、10,000以上、25,000以下であることがより好ましく、12,500以上、20,000以下であることが更に好ましい。
この重量平均分子量が上記範囲を下回ると、剪断接着破壊温度及び保持力が低下する傾向があり、逆に上回ると溶融粘度が高くなる傾向がある。
一般式(I):(A−BnRで表わされるm分岐放射状ブロック共重合体(a)の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で50,000以上、400,000以下であることが好ましく、80,000以上、350,000以下であることがより好ましく、100,000以上、300,000以下であることが更に好ましい。
この重量平均分子量が上記範囲を下回ると、剪断接着破壊温度及び保持力が低下する傾向があり、逆に上回ると溶融粘度が高くなる傾向がある。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分が一般式(I)においてm=4である4分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体又は一般式(I)においてm=3である3分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体からなるものであることが好ましい。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分が一般式:(A−B4Rで表される4分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体及び/又は一般式(A−B4R及び/又は(A−B3Rで表される3分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体からなるものであることが好ましい。
一般式(I)においてm=4に相当する、一般式:(A−B4R等で表わされる4分岐ブロック共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、通常、80,000〜400,000、好ましくは100,000〜350,000、更に好ましくは120,000〜300,000である。
4分岐ブロック共重合体の重量平均分子量が上記範囲内にあると、溶融粘度が適切な範囲に保たれ、加工性が良好となり、保持力の優れた接着剤組成物が得られる。
一般式(I)においてm=3に相当する、一般式:(A−B4R、(A−B3R等で表わされる3分岐ブロック共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、通常、50,000〜350,000、好ましくは80,000〜300,000、更に好ましくは100,000〜250,000である。
3分岐ブロック共重合体の重量平均分子量が上記範囲内にあると、粘度が適切な範囲に保たれ、加工性が良好となり、優れた保持力が得られる。
本発明のエラストマー組成物は、(b)一般式(II):A−Bで表わされる芳香族ビニル化合物−イソプレンジブロック共重合体(以下、「(b)成分」ということがある。また、単に、「ジブロック共重合体(b)」ということがある。)を更に含有する。
(b)成分は、一般式(II):A−Bで表わされる芳香族ビニル化合物−イソプレンジブロック共重合体の一種又は2種以上の集合体である。
一般式(II)において、Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックである。なお、イソプレンの重合体ブロックBは、本発明の効果を損なわない範囲で、イソプレン以外の共役ジエン単量体単位を含んでいてもよい。
また、ジブロック共重合体(b)は、末端にカップリング剤残基が付加していてもよい。
このジブロック共重合体を構成するための芳香族ビニル化合物は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
上記ジブロック共重合体(b)が複数のものの混合物であるとき、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAは、単一である必要はなく、複数のものの混合物であってもよい。即ち、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAは、それを構成する芳香族ビニル化合物の種類及び重合体ブロックの分子量において、単一であっても異なるものの組合せであってもよい。
上記ジブロック共重合体(b)が複数のものの混合物であるとき、イソプレンの重合体ブロックBは、単一である必要はなく、複数のものの混合物であってもよい。即ち、イソプレンの重合体ブロックBの分子量は、単一であっても異なっていてもよい。
ジブロック共重合体(b)における芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAの割合は、通常、10〜70重量%、好ましくは12〜65重量%、より好ましくは15〜60重量%である。この割合が上記範囲内にあると、得られる接着剤の剪断接着破壊温度及び保持力に優れ、且つ、加熱後の保持力の低下も小さい接着剤を得ることができる。
また、ジブロック共重合体(b)における芳香族ビニル化合物ブロックの重量平均分子量は、ポリスチレン換算5,000以上、30,000以下であることが好ましく、10,000以上、25,000以下であることがより好ましく、12,500以上、20,000以下であることが更に好ましい。
この重量平均分子量が上記範囲を下回ると、剪断接着破壊温度及び保持力が低下する傾向があり、逆に上回ると溶融粘度が高くなる傾向がある。
ジブロック共重合体(b)の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、通常、18,000〜300,000、好ましくは30,000〜250,000、更に好ましくは50,000〜200,000である。
ジブロック共重合体(b)の重量平均分子量が上記範囲内にあると、溶融粘度が適切な範囲に保たれ、加工性が良好となり、保持力の優れた接着剤組成物が得られる。
本発明のエラストマー組成物において、これを構成する全ての芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体の平均重量平均分子量は、ポリスチレン換算で110,000以上、350,000以下であることが好ましく、100,000以上、300,000以下であることがより好ましく、120,000以上、250,000以下であることが更に好ましい。
この平均重量平均分子量が上記範囲内にあるとき、得られる接着剤の剪断接着破壊温度及び保持力に優れ、且つ、熱劣化後の保持力の低下も小さいも良好な接着剤を得ることができる。
本発明のエラストマー組成物は、一般式:(A−BkR(式中、Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであり、XkRは、k官能性以上のカップリング剤の残基であり、kは2以上の整数である。)で表わされる2分岐ブロック共重合体(d1)(以下、「(d1)成分」ということがある。)及び/又は一般式:A−B−A(式中、A及びAは芳香族ビニル化合物の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックである)で表わされるトリブロック共重合体(d2)(以下、「(d2)成分」ということがある。)を本発明の効果が阻害されない範囲で含有していてもよい。以下、(d1)成分及び(d2)成分を総称して「(d)成分」ということがある。
なお、(d)成分を構成するイソプレンの重合体ブロックB及びBは、本発明の効果を損なわない範囲で、イソプレン以外の共役ジエン単量体単位を含んでいてもよい。
上記(d)成分の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックA、A及びAを構成するための芳香族ビニル化合物は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
(d2)成分は、単一の2分岐ブロック共重合体である必要はなく、複数のものの混合物であってもよい。このとき、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックA及びAは、それぞれ、単一であっても異なるものの組合せであってもよい。また、イソプレンの重合体ブロックBも、それぞれ、単一であっても異なるものの組合せであってもよい。
本発明のエラストマー組成物は、第三の成分(以下、「(c)成分」ということがある。)として、ポリイソプレン(c)を含有してなる。
ポリイソプレン(c)の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが必要であり、好ましくは20,000〜95,000、より好ましくは30,000〜90,000である。
ポリイソプレン(c)の重量平均分子量が上記範囲内にあると、初期接着力と保持力及び溶融粘度が高水準で良好にバランスした接着剤を得ることができる。
本発明において、(c)成分は、単一であっても、複数のものの混合物であってもよい。
本発明のエラストマー組成物は、上記(a)成分、(b)成分及び(c)を含有してなる。
本発明のエラストマー組成物において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の含有量が、それぞれ、10〜95重量%、10〜85重量%及び5〜33重量%であることが必要である。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の含有量は、それぞれ、15〜85重量%、12〜75重量%及び10〜31.5重量%であることが好ましく、それぞれ、20〜80重量%、15〜65重量%及び12〜30重量%であることが更に好ましい。
各成分の割合が上記範囲内にあることにより、初期接着力と保持力、及び溶融粘度が高水準で良好にバランスした接着剤を得ることができる。
本発明の(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるエラストマー組成物において、これを構成する組成物全体の平均芳香族ビニル化合物含有量(S)は、14〜50重量%であることが好ましく、17〜45重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることが更に好ましい。
平均芳香族ビニル化合物含有量が上記範囲内にあると、得られる接着剤の剪断接着破壊温度及び保持力に優れ、且つ、熱劣化後の保持力の低下も小さい接着剤を得ることができる。
本発明のエラストマー組成物は、上記(a)〜(c)成分を、それぞれ別個に合成した後、これらを任意の方法により上記重量比率を満足するように混合することによって得ることができる。
また、重合活性末端を有するイソプレン重合体ブロックBが芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAに直接結合したA−Bタイプのブロック共重合体をカップリングさせるときに、カップリング剤の種類及び量を制御することによって、(a)及び(b)成分からなるブロック共重合体混合物を得て、これを(c)成分と混合することにより得ることもできる。
本発明のエラストマー組成物を得るための(a)〜(c)成分の混合方法は特に限定されず、各成分をブラベンダーやニーダー等で加熱混合する方法、(a)〜(c)成分の溶液を混合する方法等を例示することができる。
本発明において用いるm分岐放射状ブロック共重合体の合成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のプロセス(i)〜(iv)に従って作ることができる。
即ち、(i)まず、極性化合物を添加した溶媒中で芳香族ビニル化合物をモノリチウム開始剤により重合させて、重合活性末端を有する芳香族ビニル化合物重合体ブロックAを得る。
モノリチウム開始剤としては、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン系単量体の重合を開始し得る公知のものが使用でき、メチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等がその代表例として示されるが、特に好ましいのはn−ブチルリチウムである。モノリチウム開始剤の使用量は、当業者に周知の方法で、所望する重合体の分子量に応じて計算により求められる。
重合溶剤は、モノリチウム開始剤に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、鎖状炭化水素溶剤、環式炭化水素溶剤又はこれらの混合溶剤が使用される。
鎖状炭化水素溶剤としてはn−ブタン、イソブタン、又はこれらの混合物;1−ブテン、イソブチレン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、又はこれらの混合物、1−ペンテン、トランス−2−ペンテン、シス−2−ペンテン又はこれらの混合物;n−ペンタン、イソペンタン、neo−ペンタン又はこれらの混合物;1−ペンテン、トランス−2−ペンテン、シス−2−ペンテン又はこれらの混合物等の、炭素数4〜5の鎖状アルカン及びアルケンを例示することができる。
また、環式炭化水素溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素を挙げることができる。
重合温度の制御及び芳香族ビニル化合物重合体ブロックの分子量分布制御の点からは、炭素数4〜5の鎖状炭化水素溶剤と環式炭化水素溶剤とを重量比5:95〜50:50の範囲、好ましくは10:90〜40:60の範囲の混合溶剤として用いるのが好ましい。
また、重合調整剤を用いることは必須ではないが、これを用いることにより、重合開始速度の調整、共役ジエン系単量体重合体ブロックのビニル含量の調整、芳香族ビニル化合物重合体ブロックの分子量分布の調整等を行なうことができる。
重合調整剤としては、イソプレン又はこれと芳香族ビニル化合物とをモノリチウム開始剤で共重合する場合において、ビニル含量調整剤ないしランダマイザーとして用いられる公知の極性化合物のうち、比誘電率が2.5〜5.0の芳香族若しくは脂肪族エーテル又は第3級アミンが使用できる。
このような極性化合物の具体例としては、ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香族エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等の脂肪族エーテル;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の第3級モノアミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン等の第3級ポリアミン;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用される。
芳香族ビニル化合物重合体ブロックの分子量分布を所定のものとし、得られたブロック共重合体を含有する粘着剤組成物の特性を優れたものにするために、好ましい極性化合物の使用量はモノリチウム開始剤1モル当り0.005〜10モル、更に好ましくは0.01〜2モルの範囲である。
本発明においては、芳香族ビニル化合物の重合方法は特に限定されず、芳香族ビニル化合物の全量と開始剤の全量を一括重合系に仕込んで反応させるバッチ重合、これらを連続的に重合系に供給しつつ反応させる連続重合、単量体と開始剤の一部を用いて所定の転化率まで重合を行なわせた後、残りの単量体と開始剤を添加して重合を継続する方法等の、通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。
重合は、通常0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃の範囲で実施される。反応温度の制御が困難な場合には還流型凝縮器を設置した反応容器を用い還流冷却による温度制御を行なうのが好ましい。
(ii)次に、重合活性末端を有する芳香族ビニル化合物重合体ブロックAが存在する重合系にイソプレンを添加して重合を行なわせる。イソプレンは反応熱を制御する上で連続的に添加するのが好ましいが、これ以外の添加方法を採用してもよい。かくして、重合活性末端を有するイソプレンの重合体ブロックBが芳香族ビニル化合物重合体ブロックAに直接結合したA−Bブロック共重合体が生成する。
(iii)イソプレンの重合反応終了後、カップリング剤Xを重合系に添加することにより、前記活性末端を有するA−Bブロック共重合体を結合して、目的とする一般式:(A−BnR(式中、Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロックを、Bは共役ジエン系単量体の重合体ブロックを、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基であり、m及びnは3以上の整数であってm≦nである。)で表わされるm分岐状ブロック共重合体が得られる。このとき、公知のカップリング促進剤を添加することもできる。カップリング促進剤としては、前記した重合時に分子量調整剤等として使用し得る極性化合物を例示することができる。
このとき、上述のように、カップリング剤の種類及び量を制御することにより、多分岐ブロック共重合体とジブロック共重合体とを同時に生成させることも可能である。
(iv)カップリング反応終了後、必要に応じ水、アルコール、酸等を添加して重合活性種を失活させ、必要ならば老化防止剤を添加した後、公知の重合体分離法(例えば、スチームストリッピング等)により重合体を分離し、乾燥工程を経て目的とするm分岐状ブロック共重合体が得られる。
m分岐放射状ブロック共重合体を得るには、n官能性(ただしm≦nである)のカップリング剤を使用することが必要である。
本発明において用いる一般式:A−Bで表わされる(b)成分(ジブロック共重合体)は、上記のm分岐状ブロック共重合体の合成プロセス(i)〜(ii)と同様にして重合活性末端を有するイソプレンの重合体ブロックBが芳香族ビニル化合物重合体ブロックAに直接結合したA−Bブロック共重合体を得た後、上述のプロセス(iv)のごとく重合活性種を失活させ、必要ならば老化防止剤を添加した後、カップリング反応を行なうことなく、分離、乾燥工程を経て得ることができる。
複数種のブロック共重合体を同時に得る方法を採用するときは、カップリング剤及びカップリング促進剤の種類並びにこれらの使用量によって得られるブロック共重合体混合物の組成が異なるので、予備実験を行なうことによりこれらの種類及び最適使用量を求めるのがよい。
通常、カップリング剤の量はモノリチウム開始剤1モルに対して0.06〜0.33モルの範囲から、カップリング促進剤の量はカップリング剤1モルに対して0.001〜1.0モルの範囲から選定するのが好ましい。
工業的に有利に本発明のエラストマー組成物を得るには、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、例えば、下記の第一の方法又は第二の方法によって、同時に合成する。
即ち、上述のプロセス(i)〜(ii)によって、重合活性末端を有するイソプレンの重合体ブロックBが芳香族ビニル化合物重合体ブロックAに直接結合したA−Bブロック共重合体を生成させる。
次に、プロセス(iii)のごとく、カップリング剤Xを重合系に添加することにより、前記活性末端を有するA−Bブロック共重合体をカップリングさせる。このとき、カップリング剤Xの量及び種類を制御して、多分岐ブロック共重合体とジブロック共重合体とを同時に生成させる。
この後、必要ならば重合停止剤を添加して、重合活性種を失活させる。
次いで、反応系に、重合開始剤とイソプレンとを添加して重合させ、ポリイソプレンを生成させる。
反応終了後、必要に応じ水、アルコール、酸等を添加して重合活性種を失活させ、必要ならば老化防止剤を添加した後、公知の重合体分離法(例えば、スチームストリッピング等)により重合体を分離し、乾燥工程を経て目的とするエラストマー組成物が得られる。
本発明のエラストマー組成物において、本発明の効果を損なわない範囲においてエラストマー組成物の5重量%以下を(a)〜(c)成分以外のブロック共重合体、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等の他のポリマーに置き換えることができる。
本発明の接着剤組成物は本発明のエラストマー組成物及び粘着付与樹脂から主としてなるものである。
本発明で使用する粘着付与樹脂としては従来公知のものが使用できる。具体的には、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジン等の変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとロジン又は変性ロジン類とのエステル化物;テルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系又は脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂又はこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂等が挙げられる。
特に好ましい粘着付与樹脂は、本発明のエラストマー組成物と相溶性のよい脂肪族系又は脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂である。
粘着付与樹脂の使用量は、本発明のエラストマー組成物100重量部当り10〜400重量部である。
本発明の接着剤組成物には、必要に応じ軟化剤(可塑剤)、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤その他の配合剤を添加することができる。
軟化剤としては粘着剤に使用されている、従来公知の芳香族系、パラフィン系又はナフテン系の伸展油(エクステンダーオイル);ポリブテン、ポリイソブチレン等の液状重合体等が使用できる。
軟化剤の使用量は、通常、エラストマー組成物100重量部当り100重量部以下である。
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネート等のチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等の亜燐酸塩類;等が単独で又は混合して使用される。
本発明のエラストマー組成物と粘着付与樹脂その他の各種添加剤とを混合する方法も特に制限されない。その例として、各成分を溶剤に溶解し均一に混合した後、溶剤を加熱等により除去する方法、各成分をニーダー等で加熱溶融混合する方法を示すことができる。
本発明の接着剤組成物は、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等に溶解して溶液型の接着剤として、乳化剤を用いて水に分解させたエマルジヨン型の接着剤として、又は無溶剤のホットメルト型接着剤等として使用することができる。特に適しているのはホットメルト型接着剤である。
本発明によれば、従来技術に比較して、剪断接着破壊温度、保持力、加熱促進劣化後の保持力及び保持力保持率に優れ、かつ溶融粘度も低い接着剤用エラストマー組成物を得ることができ、これを粘着付与樹脂と組み合わせることによって優れた接着剤組成物を得ることができる。
ホットメルト型接着剤としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、病院用ガウン、ベッドパッド、手術用ドレープ等の使い捨て用品に、構造及び弾性付着接着剤を含む多くの用途において特に好適に使用される。
また、種々の粘着テープ、ラベル、製本、アッセンブリー用途等にも非常に有用である。粘着テープ用途は包装用、事務用、両面テープ用、マスキング用、電気絶縁用等の多種にわたって適用可能であり、接着力が高い特徴を示す。更に、接着剤組成物の溶融粘度が低い特性から、溶剤法、ホットメルト法にかかわらず、該組成物を基材へ塗布する場合の操作性に優れている。ラベル用途に用いる場合には、溶融粘度が低く、接着力が高い特性から、塗布する場合の操作性、粘着物性に優れるとともに、ダイカット性も良好である。
以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り、質量基準である。
なお、各特性は、以下の方法により評価した。
[重合体の重量平均分子量]
テトラヒドロフランをキャリアーとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求める。具体的には、東ソー社製HLC8220を用いて測定する。分子量の較正はポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施する。
[ブロック共重合体の組成]
高速液体クロマトグラフィにより得られた各共重合体のピーク面積比率から求める。
[共重合体中の芳香族ビニル化合物含有量]
プロトンNMRにより、測定する。
[初期接着力]
粘着シートを幅25mm、長さ250mmに裁断した試験片について、ローリングボールタック法(PSTC−6;米国粘着テープ委員会による初期接着力試験法)に準じて、23℃で測定する。即ち、ボールが転がり停止するまでの距離を測定する(単位:mm)。
[剪断接着破壊温度]
粘着シートを幅10mm、長さ150mmに裁断した試験片を、JIS−Z 0237に準じて表面を清浄化したステンレス板に、粘着剤組成物塗布部分の10mm×25mmが重なるようにして貼り付ける。
この試料に1kgの荷重を取り付け、オーブン中で、室温から毎分0.5℃の昇温速度で温度を上昇させていき、サンプルが凝集破壊したときの温度を剪断接着破壊温度とする(単位:℃)。
[保持力]
粘着シートを幅10mm、長さ150mmに裁断した試験片を、JIS−Z 0237に準じて表面を清浄化したステンレス板に粘着剤組成物塗布部分の10mm×25mmが重なるようにして貼り付ける。40℃において1kgの荷重を吊り下げて粘着テープがステンレス板より脱落するのに要する時間を測定する(単位:分)。
[加熱促進劣化後保持力]
上記保持力評価に用いたと同じ試験片を140℃のオーブン中に20分間保持する。この試験片について、上記と同様にして保持力を測定する。
[保持力保持率]
加熱後の保持力の、加熱前の保持力に対する百分率として求める。
[接着剤組成物粘度]
接着剤組成物構成成分を160〜180℃で混練して作製した接着剤組成物10gを採取し、B型粘度計により、ローターNo.27を用い、回転数240rpm、160℃における溶融粘度を測定する(単位:Pa・s)。
[参考例1]
(エラストマー組成物の調製)
耐圧反応器を用い、n−ブタン/シクロヘキサン=15/85の割合の混合溶剤18.75kg、重合調整剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)2.0ミリモル及び開始剤n−ブチルリチウム118.2ミリモルを存在させ、30℃で1時間、まずスチレン2.40kgを重合した。この時点で生成物を一部サンプリングして分析したところ、生成物は重量平均分子量が18,400のポリスチレンであった。続いてイソプレン3.30kgを添加し反応温度が50℃から60℃の間になるように還流冷却により温度制御しながら更に約1時間半重合した。この時点で生成物を一部サンプリングして分析したところ、生成物は重量平均分子量が69,600であるスチレン−イソプレンジブロック共重合体であった。
次いで、カップリング剤テトラクロロシラン(TCS)25.0ミリモルを添加して5時間カップリング反応を行なった。
次いで、n−ブチルリチウム111.1ミリモル及びイソプレン2.30kgを添加して1時間重合を継続した。
こののち、反応混合物に重合停止剤としてメタノール150ミリモル、酸化防止剤として4−メチル−ジ−t−ブチルフェノールを40g加えてよく混合し、得られた混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶剤を揮発させた。得られたポリマーを粉砕し、85℃で熱風乾燥してエラストマー組成物(I)を得た。
このエラストマー組成物Iは、4分岐体を主成分とする分岐ブロック共重合体60%、線状ジブロック共重合体15%及びポリイソプレン25%の混合物であった。
4分岐体を主成分とする分岐ブロック共重合体の重量平均分子量は223,000、スチレン含有量は42重量%であり、線状ジブロック共重合体の重量平均分子量は99,600、スチレン含有量は31重量%であった。
また、ポリイソプレンの重量平均分子量は、30,000であった。
エラストマー組成物Iの平均重量平均分子量は162,000であり、平均スチレン単位含有量は、30重量%であった。
これらの結果を表1に示す。
[参考例2]〜[参考例4]
重合処方を表1に記載のとおりに変更した他は、参考例1と同様に反応を行い、表1に示すエラストマー組成物(II)、(III)及び(IV)を得た。
[参考例5]
(エラストマー組成物の調製)
耐圧反応器を用い、n−ブタン/シクロヘキサン=15/85の割合の混合溶剤18.75kg、重合調整剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)2.0ミリモル及び開始剤n−ブチルリチウム163.3ミリモルを存在させ、30℃で1時間、まずスチレン2.00kgを重合した。この時点で生成物を一部サンプリングして分析したところ、生成物は重量平均分子量が11,000のポリスチレンであった。続いてイソプレン6.00kgを添加し反応温度が50℃から60℃の間になるように還流冷却により温度制御しながら更に約1時間半重合した。この時点で生成物を一部サンプリングして分析したところ、生成物は重量平均分子量が71,000であるスチレン−イソプレンジブロック共重合体であった。
次いで、カップリング剤テトラクロロシラン(TCS)30.6ミリモルを添加して5時間カップリング反応を行なった。
こののち、反応混合物に重合停止剤としてメタノール100ミリモル、酸化防止剤として4−メチル−ジ−t−ブチルフェノールを40g加えてよく混合し、得られた混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶剤を揮発させた。得られたポリマーを粉砕し、85℃で熱風乾燥してエラストマー組成物(V)を得た。
このエラストマー組成物(V)は、4分岐体を主成分とする分岐ブロック共重合体75%、線状ジブロック共重合体25%の混合物であった。
4分岐体を主成分とする分岐ブロック共重合体の重量平均分子量は238,000、スチレン含有量は25重量%、線状ジブロック共重合体の重量平均分子量は71,000、スチレン含有量は25重量%であった。
エラストマー組成物(V)の平均重量平均分子量は196,000であり、平均スチレン単位含有量は、25重量%であった。
これらの結果を表1に示す。
[参考例6]
重合処方を表1に記載のとおりに変更した他は、参考例5と同様に反応を行い、表1に示すエラストマー組成物(VI)を得た。
Figure 2006274158
(接着剤組成物の調製及び評価)
[実施例1]
上記エラストマー組成物Iの30部を攪拌翼型混練機に投入し、これに脂肪族−芳香族共重合系炭化水素樹脂粘着付与樹脂(クイントンD100、日本ゼオン社製)50部、ナフテン系プロセスオイル(シェルフレックス371、シェル化学製)20部及び酸化防止剤ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカル社製)0.2部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160〜180℃で混練して接着剤組成物を調製した。
この接着剤組成物をトルエンに溶解(固形分濃度50%)し、アプリケーターを用いて厚さ25μmのポリエステルフィルム上に30μmの厚さに塗布した。その後トルエンを十分乾燥し、粘着シートを得た。
この接着剤組成物の溶融粘度、及び粘着シートの各種接着物性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例2]〜[実施例3]、[比較例1]〜[比較例3]
エラストマー組成物Iを、表2の通りエラストマー組成物II〜VIに変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物、及び粘着シートを作製し、溶融粘度及び各種接着物性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006274158
表1及び表2の結果から、放射状ではない線状2分岐芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体と線状ジブロック共重合体とを含むエラストマー組成物を使用した場合(比較例1)は、初期接粘着力、剪断接着破壊温度は良好なものの、過熱促進劣化後に保持力が大きく低下するとともに、溶融粘度が高いことが分かる。
また、m分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(本発明の(a)成分)及び線状ジブロック共重合体(同(b)成分)を含むが、ポリイソプレンを含まないエラストマー組成物を使用した場合(比較例2及び3)は、初期接着力、及び剪断接着破壊温度に劣り、溶融粘度も比較的高いことが分かる。
これに対して、本発明の要件を満足するエラストマー組成物で構成した接着剤組成物は、初期接着力、剪断接着破壊温度とともに、保持力、加熱後の保持力及び保持力保持率のいずれについても優れており、溶融粘度の低いものとなっていることが分かる。

Claims (4)

  1. 一般式(I):(A−BnR(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックであり、XnRはn官能性のカップリング剤Xの残基であり、m及びnは3以上の整数であってm≦nである。)で表わされるm分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体(a)10〜95重量%、一般式(II):(A−B)(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロックであり、Bはイソプレン重合体ブロックである。)で表わされる線状ジブロック共重合体(b)10〜85重量%、及び重量平均分子量5,000〜100,000のポリイソプレン(c)5〜33重量%を含有し、組成物全体の平均芳香族ビニル化合物含有量(S)が、14〜50重量%であるエラストマー組成物。
  2. (a)成分の芳香族ビニル化合物含有量が20〜75重量%である請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. (a)成分が、一般式(I)においてm=4である4分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体又は一般式(I)においてm=3である3分岐放射状芳香族ビニル化合物−イソプレンブロック共重合体からなるものである請求項1又は2に記載のエラストマー組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー組成物100重量部と粘着付与樹脂10〜400重量部とを含んでなる接着剤組成物。
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