1…加工対象物、3…加工対象物の表面(外表面)、5…切断予定ライン、11…シリコンウェハ(加工対象物)、11a…シリコンウェハの表面(主面)、11b…シリコンウェハの裏面(外表面,主面)、16,22…保持具,ダイシングテープ(保持手段)、21…加工対象物の裏面(外表面,主面)、41…外周面(外表面)、C1〜C7…亀裂、E…エッチング液(エッチング材)、L…レーザ光、M1〜M15…改質領域、M16…切断用改質領域(改質領域)、P…集光点。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る切断用加工方法では、加工対象物に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより、加工対象物の切断予定ラインに沿って、改質領域を加工対象物に形成する。そして、改質領域のエッチングレートがその他の領域(非改質領域)よりもエッチングレートが高いエッチング材(以下、「エッチング液」ともいう)を利用して、改質領域が形成された加工対象物にエッチング処理を施すことにより、改質領域をエッチングする。そこで、まず、本実施形態の切断用加工方法における改質領域の形成及びエッチング処理について、それぞれ説明する。
[改質領域の形成]
本実施形態の切断用加工方法における改質領域の形成について、図1〜図9を参照して説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置100は、レーザ光(加工用レーザ光)Lをパルス発振するレーザ光源101と、レーザ光Lの光軸の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、レーザ光Lを集光するための集光用レンズ105と、を備えている。また、レーザ加工装置100は、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される加工対象物1を載置するための載置台107と、載置台107をX、Y、Z軸方向に移動させるためのステージ111と、レーザ光Lの出力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、ステージ111の移動を制御するステージ制御部115と、を備えている。
このレーザ加工装置100によれば、レーザ光源101から照射されたレーザ光Lが、ダイクロイックミラー103でその光軸が90°変えられ、集光レンズ105で載置台107上の加工対象物1の内部に集光される。これと共に、ステージ111が移動され、加工対象物1がレーザ光Lに対して切断予定ライン5に沿って相対移動される。これにより、切断予定ライン5に沿って、加工対象物1に改質領域が形成されることとなる。以下、この改質領域について詳細に説明する。
図2に示すように、板状の加工対象物1には、加工対象物1を切断するための切断予定ライン5が設定されている。切断予定ライン5は、直線状に延びた仮想線である。加工対象物1の内部に改質領域を形成する場合、図3に示すように、加工対象物1の内部に集光点Pを合わせた状態で、レーザ光Lを切断予定ライン5に沿って(すなわち、図2の矢印A方向に)相対的に移動させる。これにより、図4〜図6に示すように、改質領域7が切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に形成される。
なお、集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所のことである。また、切断予定ライン5は、直線状に限らず曲線状であってもよいし、仮想線に限らず加工対象物1の表面3に実際に引かれた線であってもよい。また、改質領域7は、連続的に形成される場合もあるし、断続的に形成される場合もある。また、改質領域は少なくとも加工対象物1の内部に形成されていればよい。また、改質領域を起点に亀裂が形成される場合があり、亀裂及び改質領域は、加工対象物1の外表面(表面、裏面、若しくは外周面)に露出していてもよい。
ちなみに、本実施形態に係る切断用加工方法は、レーザ光Lが、加工対象物1に透過されると共に加工対象物1の内部の集光点近傍にて特に吸収され、これにより、加工対象物1に改質領域7が形成される(すなわち、内部吸収型レーザ加工)。よって、加工対象物1の表面3ではレーザ光Lがほとんど吸収されないので、加工対象物1の表面3が溶融することはない。一般的に、表面3から溶融され除去されて穴や溝等の除去部が形成される(表面吸収型レーザ加工)場合、加工領域は表面3側から徐々に裏面側に進行する。よって、除去部の近傍にはエッチングレートを急伸させる改質領域が形成されない。
ここで、本実施形態に係る切断用加工方法にて形成される改質領域は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいう。例えば、(1)溶融処理領域、(2)クラック領域、絶縁破壊領域、(3)屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域もある。
本実施形態に係る対象物加工方法にて形成される改質領域としては、レーザ光の局所的な吸収や多光子吸収という現象が利用することで形成することができる。多光子吸収とは、材料の吸収のバンドギャップEGよりも光子のエネルギーhνが小さいと光学的に透明となるため、材料に吸収が生じる条件はhν>EGであるが、光学的に透明でも、レーザ光Lの強度を非常に大きくするとnhν>EGの条件(n=2,3,4,・・・)で材料に吸収が生じる現象をいう。多光子吸収による溶融処理領域の形成は、例えば、溶接学会全国大会講演概要第66集(2000年4月)の第72頁〜第73頁の「ピコ秒パルスレーザによるシリコンの加工特性評価」に記載されている。
また、D.Du,X.Liu,G.Korn,J.Squier,and G.Mourou,”Laser Induced Breakdown by Impact Ionization in SiO2 with Pulse Widths from 7ns to 150fs”,Appl.Phys.Lett64(23),Jun.6,1994 に記載されているようにパルス幅が数psからフェムト秒の超短パルスレーザ光を利用することにより形成される改質領域を利用しても良い。
(1)改質領域が溶融処理領域を含む場合
加工対象物(例えばシリコンのような半導体材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光Lを照射する。これにより、集光点近傍にてレーザ光Lが吸収されて加工対象物の内部が局所的に加熱され、この加熱により加工対象物の内部に溶融処理領域が形成される。
溶融処理領域とは、一旦溶融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造に変化した領域、単結晶構造から多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。加工対象物がシリコン単結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。
図7は、レーザ光が照射されたシリコンウェハ(半導体基板)の一部における断面の写真を表した図である。図7に示すように、シリコンウェハ11の内部に溶融処理領域13が形成されている。
入射するレーザ光の波長に対して透過性の材料の内部に溶融処理領域13が形成されたことを説明する。図8は、レーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示す線図である。ただし、シリコン基板の表面側と裏面側それぞれの反射成分を除去し、内部のみの透過率を示している。シリコン基板の厚さtが50μm、100μm、200μm、500μm、1000μmの各々について上記関係を示した。
例えば、Nd:YAGレーザの波長である1064nmにおいて、シリコン基板の厚さが500μm以下の場合、シリコン基板の内部ではレーザ光Lが80%以上透過することが分かる。図7に示すシリコンウェハ11の厚さは350μmであるので、溶融処理領域13はシリコンウェハ11の中心付近、つまり表面から175μmの部分に形成される。この場合の透過率は、厚さ200μmのシリコンウェハを参考にすると、90%以上なので、レーザ光Lがシリコンウェハ11の内部で吸収されるのは僅かであり、ほとんどが透過する。しかし、1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光Lをシリコンウェハ内部に集光することで集光点とその近傍で局所的にレーザ光が吸収され溶融処理領域13がシリコンウェハ11の内部に形成される。
なお、シリコンウェハには、溶融処理領域を起点として亀裂が発生する場合がある。また、溶融処理領域に亀裂が内包されて形成される場合があり、この場合には、その亀裂が、溶融処理領域においての全面に渡って形成されていたり、一部分のみや複数部分に形成されていたりすることがある。さらに、この亀裂は、自然に成長する場合もあるし、シリコンウェハに力が印加されることにより成長する場合もある。溶融処理領域から亀裂が自然に成長する場合には、溶融処理領域が溶融している状態から成長する場合と、溶融処理領域が溶融している状態から再固化する際に成長する場合とのいずれもある。ただし、どちらの場合も溶融処理領域はシリコンウェハの内部のみに形成され、切断面には、図8に示すように、内部にのみ溶融処理領域が形成されている。
(2)改質領域がクラック領域を含む場合
加工対象物(例えばガラスやLiTaO3からなる圧電材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光Lを照射する。このパルス幅の大きさは、加工対象物の内部にレーザ光Lが吸収されてクラック領域が形成される条件である。これにより、加工対象物の内部には光学的損傷という現象が発生する。この光学的損傷により加工対象物の内部に熱ひずみが誘起され、これにより加工対象物の内部に、1つ又は複数のクラックを含むクラック領域が形成される。クラック領域は絶縁破壊領域とも言える。
図9は電界強度とクラックの大きさとの関係の実験結果を示す線図である。横軸はピークパワー密度であり、レーザ光Lがパルスレーザ光なので電界強度はピークパワー密度で表される。縦軸は1パルスのレーザ光Lにより加工対象物の内部に形成されたクラック部分(クラックスポット)の大きさを示している。クラックスポットが集まりクラック領域となる。クラックスポットの大きさは、クラックスポットの形状のうち、最大の長さとなる部分の大きさである。グラフ中の黒丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が100倍、開口数(NA)が0.80の場合である。一方、グラフ中の白丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が50倍、開口数(NA)が0.55の場合である。ピークパワー密度が1011(W/cm2)程度から加工対象物の内部にクラックスポットが発生し、ピークパワー密度が大きくなるに従いクラックスポットも大きくなることが分かる。
(3)改質領域が屈折率変化領域を含む場合
加工対象物(例えばガラス)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1ns以下の条件でレーザ光Lを照射する。このように、パルス幅が極めて短い状態で加工対象物の内部にレーザ光Lが吸収されると、そのエネルギーが熱エネルギーに転化せず、加工対象物の内部にはイオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起され、屈折率変化領域が形成される。
なお、改質領域とは、溶融処理領域、絶縁破壊領域や屈折率変化領域等やそれらが混在した領域を含めて、その材料において改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域であったり、格子欠陥が形成された領域でもある。これらをまとめて高密転移領域と言うこともできる。
また、溶融処理領域や屈折率変化領域、改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、格子欠陥が形成された領域は、さらにそれら領域の内部や改質領域と非改質領域との界面に亀裂(割れ、マイクロクラック)を内包している場合がある。内包される亀裂は改質領域の全面に渡る場合や一部分のみや複数部分に形成される場合がある。このように亀裂を内包する場合、亀裂を通じて改質領域全面や改質領域内部にエッチング材が浸潤し、改質領域の厚さ方向だけでなく、厚さ方向に渡って改質領域の側面方向にもエッチングが行われるので、通常知られているエッチングのように厚さ方向に対して上から下へとエッチングが進むものに比べてエッチングの反応領域を多くすることができ、エッチング速度をより高めるという本発明に有利な効果をもたらす。
ちなみに、加工対象物の結晶構造やその劈開性などを考慮して、改質領域を次のように形成すれば、精度よく加工対象物を切断することが可能になる。
すなわち、シリコンなどのダイヤモンド構造の単結晶半導体からなる基板の場合は、(111)面(第1劈開面)や(110)面(第2劈開面)に沿った方向に改質領域を形成するのが好ましい。また、GaAsなどの閃亜鉛鉱型構造のIII−V族化合物半導体からなる基板の場合は、(110)面に沿った方向に改質領域を形成するのが好ましい。さらに、サファイア(Al2O3)などの六方晶系の結晶構造を有する基板の場合は、(0001)面(C面)を主面として(1120)面(A面)或いは(1100)面(M面)に沿った方向に改質領域を形成するのが好ましい。
また、上述した改質領域を形成すべき方向(例えば、単結晶シリコン基板における(111)面に沿った方向)、或いは改質領域を形成すべき方向に直交する方向に沿って基板にオリエンテーションフラットを形成すれば、そのオリエンテーションフラットを基準とすることで、改質領域を容易且つ正確に基板に形成することが可能になる。
[エッチング処理]
次に、本実施形態の切断用加工方法におけるエッチング処理について、図10〜図21を参照して説明する。
本実施形態のエッチング処理では、改質領域のエッチングレートが高いという特徴を利用して、加工対象物において切断予定ラインに沿って形成された改質領域を選択的にエッチングし除去する。例えば、加工対象物がシリコンウェハの場合、改質領域が300μm/分以上のエッチングレート(単結晶Si領域の約10倍)を有するという特徴があるため、100μm以下の厚さのシリコンウェハでは、チップに小片化するためのエッチング処理が、数秒から数十秒で完了する。
ここで、このエッチング処理としては、エッチング液に加工対象物を浸漬する場合(ディッピング方式:Dipping)と、加工対象物を回転させつつエッチング液を塗布する場合(スピンエッチング方式:SpinEtching)とがある。
ディッピング方式では、図10(a)に示すように、まず、改質領域7が形成された加工対象物1が、保持テープ等のテープ材である保持具(保持手段)16に貼り付けられた状態で液槽17内に配置される。続いて、図10(b)に示すように、エッチング液(例えば、KOH溶液)Eが液槽17内に流入され、加工対象物1がエッチング液に浸漬されることで、加工対象物1に形成された改質領域7が選択的にエッチングされ、これにより、加工対象物が複数のチップに小片化される。図10(c)に示すように、液槽17内のエッチング液Eが除去された後、加工対象物1が洗浄・乾燥され、そして、図10(d)に示すように、保持具16が拡張されて、隣接するチップ間隔が拡張される。
このディッピング方式では、液槽17内にエッチング液Eを貯留し、このエッチング液Eで加工対象物1をエッチングすることから、エッチング液Eの温度制御が容易であり、且つ、エッチング処理にムラが生じ難いという利点がある。さらに、液槽17の構造を比較的容易となり、液槽17の設計が比較的容易となる。また、一般的なKOH溶液でエッチングできるため、廃液処理の問題が生じ難い。
なお、保持具16としては、上述したように、拡張させることから拡張性を有するテープ部材が適切であるが、例えば拡張させる必要がない場合には拡張性の無い部材でもよい。また、拡張されたチップ間隔を冶具等により保持してもよいし、加工対象物1を支持する支持具(支持手段)でもよい。また、上記エッチング処理では、改質領域7をエッチングすることで複数のチップに小片化したが、保持具16を拡張することで、複数のチップに最終的に小片化してもよい。また、保持具16の材質は、耐熱性及び耐薬液性に優れたものが好ましく、ここでは、ポリオレフィンとしている(詳しくは後述)。また、ダイシングフレーム18の材質も耐薬液性に優れたものにすることが好ましく、ここでは、シリコン製の樹脂等を用いている。これらについては、以降のエッチング処理の説明においても同様である。
一方、スピンエッチング方式では、(i)加工対象物においてデバイスが形成された側の面(デバイス面)を保持具側にして加工対象物を保持具に貼り付けてエッチング液を上方から塗布する場合と、(ii)デバイス面を上方側にして加工対象物を保持具に貼り付けてエッチング液を上方から塗布する場合と、の2つの場合がある。
(i)デバイス面が保持具側の場合
まず、図11(a)に示すように、改質領域7が形成された加工対象物1が、デバイス15が形成されたデバイス面3をテープ材等の保持具16側(加工対象物1の裏面21が上方側)にして、当該保持具16に載置される。続いて、図11(b)に示すように、エッチング液Eがノズル19で上方から塗布されながら加工対象物が所定の速度で回転され、エッチング液Eが裏面21全体に行き渡るように塗布される。
続いて、エッチング液Eが改質領域7に浸潤されると共に、当該改質領域7が選択的にエッチングされ、これにより、図11(c)に示すように、加工対象物1が複数のチップに小片化される。続いて、加工対象物1が洗浄・乾燥され、図12(a)に示すように、UV照射されることで加工対象物1と保持具16との剥離性が高められる(接着強度を低下させる)。そして、図12(b)に示すように、保持具16が拡張されて、隣接するチップの間隔が拡張された後、図12(c)に示すように、チップがピックアップされる。
ここで、加工対象物1にDAF(Die Attach Film)を形成する場合においては、加工対象物1がUV照射された後、図13(a)に示すように、加工対象物1の裏面21に、DAFテープ20及び保持具22がこの順に取り付られる(転写)。続いて、加工対象物1が上下反転され、図13(b)に示すように、保持具16が剥離される。そして、図13(c)に示すように、保持具22が拡張されて、隣接するチップの間隔が拡張されると共にDAFテープ20がチップ毎に分断され、その後、図13(d)に示すように、チップがピックアップされる。
(ii)デバイス面が上方側の場合
まず、図14(a)に示すように、改質領域7が形成された加工対象物1が、デバイス面3を上方側(加工対象物1の裏面21が保持具16側)にして、保持具16に載置される。ここでは、デバイス15には、エッチング液Eから保護するための保護膜(例えば、SiN等)23が形成されている。
続いて、図14(b)に示すように、エッチング液Eが上方から塗布されながら加工対象物1が所定の速度で回転され、エッチング液Eがデバイス面3全体に行き渡るように塗布される。エッチング液Eが塗布されることで、エッチング液Eが改質領域7に浸潤されると共に当該改質領域7が選択的にエッチングされ、これにより、図14(c)に示すように、加工対象物1が複数のチップに小片化される。続いて、加工対象物1が洗浄・乾燥され、図15(a)に示すように、UV照射されて、加工対象物1と保持具16との剥離性が高められる。そして、図15(b)に示すように、保持具16が拡張されて、隣接するチップの間隔が拡張された後、図15(c)に示すように、チップがピックアップされる。
ここで、加工対象物1にDAFを形成する場合においては、図16(a)に示すように、加工対象物1の裏面21と保護具16との間にDAFテープ20を介在させて、加工対象物1が保持具16に載置される。続いて、図16(b)に示すように、エッチング液Eが上方から塗布されながら加工対象物1が所定の速度で回転され、エッチング液Eがデバイス面3全体に行き渡るように塗布される。エッチング液Eが塗布されることで、エッチング液Eが改質領域7に浸潤されると共に当該改質領域7が選択的にエッチングされ、これにより、図16(c)に示すように、加工対象物1が複数のチップに小片化される。そして、図17(a)に示すように、保持具16が拡張されて、隣接するチップの間隔が拡張されると共にDAFテープ20がチップ毎に分断され、その後、図17(b)に示すように、チップがピックアップされる。
これらのスピンエッチング方式では、加工対象物1にエッチング液Eを塗布することにより、短時間に選択的なエッチング処理をすることが可能となる。さらに、常に清浄なエッチング液Eでエッチング処理されるため、加工対象物1の二次汚染を抑制することができる。さらに、洗浄工程を兼ねたエッチング機構を容易に採用することができる。また、一般的なKOH溶液でエッチングできるため、廃液処理の問題が生じ難い。
ちなみに、改質領域7が亀裂を含む場合、毛細管現象により、加工対象物1の亀裂領域へエッチング液Eが浸潤し、エッチング速度の速い改質領域のエッチングが亀裂面に沿って進み、よって、エッチング速度は一層速くなる。一方、改質領域7が亀裂を含まないときには、エッチング液Eの浸潤が進行しにくく、エッチング速度が遅くなる場合がある。
さて、本実施形態のエッチング処理に適した保持具としては、次の3つの特徴を有することが望まれる。つまり、1)エッチング液に対してチップ保持能力の低下が軽微であること、2)エッチング後に拡張性を有していること、3)温度以外の外部刺激を加えることでチップと保持具との間の剥離強度が低下され、保持具からチップを剥離し易くできること、が保持具に望まれる。
アルカリ性エッチング液(例えば、KOH)に耐性(耐薬液及び耐温度)のある保持具としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン及びPETが挙げられる。しかし、下記の耐性限度に示すように、これらのエッチング液に対する耐性は、エッチング液の温度とエッチング液に浸漬する時間(Dipping時間)に依存する。
耐久限度:
PET 温度117℃(KOH沸点),Dipping時間60分、
ポリオレフィン 温度50℃ ,Dipping時間60分
塩化ビニル 温度40℃ ,Dipping時間60分
図18はデバイス面を保持具側にして加工対象物にエッチング処理を施した場合の保持具における材質の適否を示す図表であり、図19はデバイス面を上方側にして加工対象物にエッチング処理を施した場合の保持具における材質の適否を示す図表である。図中において、材質の適否は、上記3つの特徴を有するかどうかで判断され、×,△,○,◎は、この順に保持具に適しているものを表す。
デバイス面を保持具側にして加工対象物にエッチング処理を施す際、図18に示すように、塩化ビニルの耐熱性が低いことから、塩化ビニルをDipping方式に採用する場合が、好ましくない(図中の「×」)となっている。また、ポリオレフィンがPETに比べて耐熱性が低いことから、ポリオレフィンをスピンエッチング方式に採用する場合が、好ましい(図中の「○」)に留まっている。一方、PETは拡張性を有さないが、エッチング処理後に拡張性のある保持具に転写した後に保持具を拡張すれば足り、且つ、PETはエッチング液に対する耐性が優れることから、PETをスピンエッチング方式に採用する場合が、非常に好ましい(図中の「◎」)となっている。
デバイス面を上方側にして加工対象物にエッチング処理を施す際、図19に示すように、塩化ビニルをスピンエッチング方式に採用すると、エッチング処理後に転写する必要なくそのまま保持具を拡張することができるが、耐熱性が他の2つより低いことから、この場合、やや好ましい(図中の「△」)となっている。また、ポリオレフィンをスピンエッチング方式に採用すると、転写する必要なくそのまま保持具を拡張することできるため、非常に好ましい(図中の「◎」)とされ、PETをスピンエッチング方式に採用すると、そのまま保持具を拡張することできないため、好ましくない(図中の「×」)とされている。
また、図18及び図19に示すように、Dipping方式では、保持具への熱影響が大きく、よって、保持具に適合する材質が少ない。これに対し、スピンエッチング方式では、保持具への熱影響が軽度であることから、Dipping方式に比べ、いずれの材質でも保持具に適合し易いことがわかる。以上より、エッチング液塗布方法としては、スピンエッチング方式が好ましく、保持具としては、ポリオレフィンが好ましい。
図20は、用いられるエッチング液の一例を基板の材質別に示す図表である。ここで、エッチング液は、常温〜100℃前後の温度で用いられ、必要とされるエッチングレート等に応じて適宜の温度に設定されるものである。例えば、Si(異方性)をKOHでエッチング処理する場合には、好ましいとして、約60℃とされる。
図21は、エッチングの効果の優劣を材料別に示す図表である。図中において、×、△、○、◎は、効果が優れるものをこの順に表したものであり、最後までエッチング処理により加工対象物が最終的に切断された場合には「◎」とし、エッチング処理後に外部応力を印加(ブレイク)されて加工対象物が最終的に切断された場合には「×」としている。また、RIE(反応性イオンエッチング:Reactive Ion Etching)とは、ドライエッチングに分類される微細加工技術の一つで、微細加工に適した高い精度でのエッチングが行えるものであり、通常のドライエッチングと違って異方性エッチングも可能である。
図中の「▲」が付された条件では、亀裂を積極的に作ると放射状に亀裂が形成され易く、切断面が凸凹化し易い。また、RIEを採用する場合、エッチング用のマスクパターンに依存してエッチングが進行することから、エッチング処理により最終的に加工対象物が切断された条件(図示の太枠内)が好ましい。この図21に示すように、タクトタイムという見方をすると、ドライエッチングは1枚単位の加工であるのに対し、ウェットエッチングは複数枚のバッチ処理が可能のためにタクトタイムを短縮でき、よって、エッチング処理としては、ウェットエッチングが好ましい。
なお、等方性エッチングの場合には、比較的薄い加工対象物(例えば、厚さ10μm〜100μm)に適用でき、結晶方位や改質領域に依存せずに、等方向にエッチングを進行させることができる。また、この場合、表面に亀裂が露出していると、エッチング液が当該亀裂を伝わって内部に浸潤され、改質領域において厚さ方向の全面が改質領域の起点とされることから、切断面が半円形に窪むようにエッチングされたチップを取り出すことが可能となる。他方、異方性エッチングの場合には、比較的薄い加工対象物だけでなく厚いもの(例えば、厚さ800μm〜100μm)にも適用できる。また、この場合、改質領域を形成する面が面方位と異なるときにも、この改質領域に沿ってエッチングを進行させることができる。つまり、結晶方向に倣った面方位のエッチングに加えて、結晶方位に依存しないエッチングも可能となる。
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る切断用加工方法について説明する。
図22及び図23(a)に示すように、加工対象物1は、厚さ300μm、直径8インチのシリコンウェハ(基板)11と、シリコンウェハ11の表面11aに複数形成された機能素子15(デバイス)と、機能素子15を覆うように形成された例えばSiO2からなる保護膜24と、保護膜24を覆うように形成されエッチング液に対し耐性がある例えばSinからなる保護膜25と、を備えている。
シリコンウェハ11は、その表面(主面)11aの結晶面が(111)面となっている。機能素子15は、例えば、結晶成長により形成された半導体動作層、フォトダイオード等の受光素子、レーザダイオード等の発光素子、或いは回路として形成された回路素子等であり、シリコンウェハ11のオリエンテーションフラット6に平行な方向及び垂直な方向にマトリックス状に多数形成されている。このような加工対象物1は、隣り合う機能素子間を通るように格子状に設定された切断予定ライン5に沿って切断され、例えばチップサイズが0.5mm×0.5mmのチップとなる。
この加工対象物1を加工する場合、まず、図23(a)に示すように、加工対象物1の表面3にダイシングテープ(保持部材)16が貼り付けられ、この加工対象物1の裏面21(シリコンウェハ11の裏面11b)側が上方にされて載置台に載置される。続いて、加工対象物1の裏面21側から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図23(b)に示すように、切断予定ライン5(紙面垂直方向に延在している)に沿って、エッチングレートを急伸させる改質領域M1が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の表面11aから裏面11bに至り(表面11a及び裏面11bに露出する)、保護膜24には達していない改質領域M1が加工対象物1に形成される。ここでは、改質領域M1から発生した亀裂が、当該改質領域M1に内包されて形成されている。なお、この亀裂の内包については、以下の実施形態の改質領域においても同様である。
続いて、図24に示すように、裏面21側からエッチング液が塗布され、改質領域M1に沿ってエッチングが進行されて、改質領域M1が選択的にエッチングされる。続いて、図25(a)に示すように、この裏面21にダイシングテープ22が転写され、図25(b)に示すように、上下反転され、そして、ダイシングテープ16が剥がされる。
続いて、図26(a)に示すように、ダイシングテープ22が拡張され(つまり、切断予定ライン5に沿って外部応力を印加され)、加工対象物1がチップ26,26に小片化(切断)されると共にチップ26,26が離間(チップ間距離が確保)される。そして、図26(b)に示すように、チップ26が取り出されて、その後、例えばフリップチップボンディングで実装されることとなる。
以上、本実施形態の切断用加工方法によれば、切断予定ライン5に沿って加工対象物1に改質領域M1が形成された後、この加工対象物1にエッチング処理が施されることで改質領域M1に沿ってエッチングを進行されるため、改質領域M1における高いエッチングレート(ここでは、300μmt/分)を利用して、加工対象物1を切断予定ライン5に沿って選択的且つ迅速にエッチングすることができる。
ところで、従来、切断用加工方法として、改質領域M1が形成された加工対象物1に対して切断予定ライン5に沿って外部応力が印加され、改質領域M1を起点として、加工対象物1が切断予定ライン5に沿って切断されるものが知られている。しかし、この場合、チップ26のサイズが小さく(例えば0.5mm×0.5mm以下)なる程、チップ26の1箇所当たりに作用される力が小さくなるため、加工対象物1に引張応力を印加(テープ拡張方式)したり、曲げ応力を印加(ブレーキング方式)したりしても、場合によっては、未分割のチップが発生してしまうおそれがある。
一方、プラズマエッチング法により、加工対象物1を切断する場合があるが、この場合、エッチング用のマスクパターンを形成する必要がある。また、例えば、特開2005−74663号公報に記載されているような加工方法もあるが、この場合でも、エッチング処理が行なわれる前にマスクパターンが形成する必要がある。よって、これらの場合においては、加工工数が増加し、タクトタイムが遅延すると共にコストが高くなるため、現実的ではない。
さらに、エッチング時間にはエッチングレートに依存した物理的な限界があるのに対し、プラズマエッチング法では、加工対象物1が厚いものであるとエッチング処理に長い時間が要されるため、エッチングが不完全で加工対象物1を確実に切断することができないおそれがある。
これらに対し、本実施形態の切断用加工方法では、上述したように、切断予定ライン5に沿って形成されエッチングレートを急伸させる改質領域M1に沿ってエッチングが進行されるため、改質領域M1における高いエッチングレートを利用して、加工対象物1を切断予定ラインに沿って選択的且つ迅速にエッチングすることができる。よって、チップ26のサイズが小さくとも、加工対象物を切断予定ラインに沿って確実に切断することができ、且つ、加工対象物1が厚くとも、切断予定ライン5に沿って確実にエッチングすることができる。
すなわち、本実施形態の切断用加工方法によれば、レーザ加工技術おいて応力の印加で切断するのが困難である超微小チップの切断を容易に行うことができる。また、迅速なエッチングが可能であるため、プラズマエッチング法で課題となった加工対象物1の厚さ依存性は解決することができる。さらに、別途にマスクパターンを形成する必要が無いことから、コスト及び工数の低減が可能となると共に、タクトタイムを速めることができる。
また、本実施形態の切断用加工方法では、切断面の改質領域M1がエッチングにより殆ど除去されてしまうため、切断面が非常に綺麗でその後の工程(ダイボンディング工程やパッケージ工程等)でのチッピングを少なくすることができる共に、チップ26の抗折強度を一層向上することができる。
また、上述したように、加工対象物1がダイシングテープ16,22に貼り付けられるため、切断後の加工対象物1がばらばらに散乱するのを防止することができる。さらに、上述したように、ダイシングテープ22が拡張されてチップ26,26が離間されることから、後段の工程においてチップ26を取り出し易くすることができる。このことは、チップサイズが極小になればなる程、その効果が顕著となる。
ここで、一般的に、ガラスにレーザ光を照射して変質部を形成した後に当該変質部をエッチングすることで、ガラスに孔や溝を形成する方法がある。この場合、変質部から亀裂が発生する現象は生じないとされている。一方、本実施形態では、上述したように、亀裂が発生(亀裂を内包)するように加工対象物1に改質領域M1が形成されている。そのため、この亀裂が利用されてエッチング液が浸透され、加工対象物1の厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」という)へのエッチングが進行されるに加えて、改質領域M1から図示左右方向(厚さ方向及び切断予定ラインの方向と交差する方向)へも、エッチング液が浸潤されてエッチングが進行される。すなわち、改質領域M1の全域をエッチングの起点としてその進行を促進することができ、エッチング速度を速めることが可能となる。なお、ガラスに対するエッチング技術としては、例えば、特開2006−290630号公報や、特開2004−351494号公報が知られている。
また、上述したように、改質領域M1が加工対象物1の裏面21(外表面)に露出するように、加工対象物1に改質領域M1が形成されている。つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する改質領域M1から加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、エッチング開始面である加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、上述したように、改質領域M1がシリコンウェハ11の表面11aから裏面11bに至るまで形成されているため、加工対象物1の厚さ方向全面に渡って、改質領域M1が有する高いエッチングレートを利用することができ、切断面精度の高い加工が可能となる。
また、シリコンェハ11における表面11aの結晶面が(111)面であると、シリコンウェハ11の厚さ方向に傾斜する方向に劈開面を有するため、切断面が厚さ方向に対して傾斜し易いのが一般的である。これに対し、本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1が切断予定ライン5に沿って選択的にエッチングされるため、シリコンウェハ11の表面11aの結晶面が(111)面でも、切断面が厚さ方向に平行になるように(厚さ方向に真っ直ぐに)、加工対象物1を切断することができる。
なお、上記の説明では、2つのチップ26,26に切断する場合を例示して説明したが、複数のチップに切断する場合もこれと同様である(以下の実施形態において、同じ)。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて改質領域M1がエッチングされた後(図24参照)、図27(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図27(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図27(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、図28(a)に示すように、ダイシングテープ22が拡張され、そして、図28(b)に示すように、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図29に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M2が加工対象物1に形成される。具体的には、加工対象物1の表面3から裏面21に至る(表面3及び裏面21に露出する)改質領域M2が加工対象物1に形成される。
続いて、図30に示すように、裏面21側からエッチング液が塗布され、改質領域M2に沿ってエッチングが進行されて改質領域M2が選択的にエッチングされ、加工対象物1がチップ26,26に小片化される。続いて、図31(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図31(b)に示すように、上下反転される。続いて、図31(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、図32に示すように、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第3実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、ダイシングテープ16が剥がされた後(図31(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第3実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後にダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第3実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M2がエッチングされた後(図29参照)、図33(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図33(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図33(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第3実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施された後に、ダイシングテープ16が拡張され、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第3実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図34に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M3が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M3が形成されると共に、当該改質領域M3から、厚さ方向に延在する亀裂C1,C2が発生される。ここでは、これらの亀裂C1,C2は、加工対象物1の裏面21及びシリコンウェハ11の表面11aにそれぞれ到達されていない。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図35に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、亀裂C1、改質領域M3、及び亀裂C2にこの順に沿ってエッチングが進行されて、亀裂C1,C2及び改質領域M3が選択的にエッチングされる。続いて、図36(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図36(b)に示すように、上下反転され、図36(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、厚さ方向の上下方向に延在する亀裂C1,C2が形成されているため、これらの亀裂C1,C2を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。また、フルカットしない(すなわち、加工対象物1の表面3及び裏面21に、改質領域又は亀裂が露出しない)ため、ダイシングテープ16,22の貼り替えを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、上述したように、改質領域M3及び亀裂C1,C2が、加工対象物1の裏面21に露出しないため、Siやデバイス表面物質等が周辺に飛散するのを抑制でき、周辺汚染を抑制することができる。また、このように、改質領域M3及び亀裂C1,C2が裏面21に露出しないことから、改質領域M3が形成された加工対象物1にあっては、比較的割れにくく、搬送性に優れている。
また、本実施形態では、形成される改質領域M3の厚さ方向における長さを制御することで、側面方向等の改質領域以外の領域(例えば、領域31)におけるエッチング量を制御することが可能となる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第6実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C1,C2を有する改質領域M3が加工対象物1に形成された後(図36参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図37に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、亀裂C1及び改質領域M3にこの順に沿ってエッチングが進行され、亀裂C1及び改質領域M3が選択的にエッチングされる。
なお、ここでは、加工対象物1の表面3が裏面21よりも上方に位置するような向きで加工対象物1を配置し(ダイシングテープ16を上方側にし)、この状態で、下方から上方に噴き上げるようにエッチング液を塗布しており、これにより、亀裂C2は、エッチングされずに残存されている。以下の実施形態において、亀裂を残存される場合、このようなエッチング液の塗布方法が同様に行なわれる。
続いて、図38(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図38(b)に示すように、上下反転され、図38(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第6実施形態と同様な効果を奏する。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第6実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C1,C2を有する改質領域M3が加工対象物1に形成された後(図36参照)、加工対象物1の外周面41(図22参照)側からエッチング液が塗布され、図39に示すように、亀裂C1,C2及び改質領域M3が選択的にエッチングされる。加工対象物1の外周面41は切断予定ライン5に沿って形成した改質領域が外周面41すなわち切断予定ライン5の端で露出しており、この露出した改質領域を利用してエッチングを行う。
続いて、図40(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図40(b)に示すように、上下反転され、図40(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26間が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第6実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施されている。つまり、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されている。これにより、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第6実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C1,C2を有する改質領域M3が加工対象物1に形成された後(図36参照)、加工対象物1の外周面41側からエッチング液が塗布され、図41に示すように、改質領域M3が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C1,C2は、エッチングされずに残存されている。
続いて、図42(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図42(b)に示すように、上下反転され、図42(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26間が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第6実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図43に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M4が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M4が形成されると共に、当該改質領域M4から、厚さ方向に延在し且つシリコンウェハ11の表面11aに露出する亀裂C3が発生される。
続いて、加工対象物1の裏面21側からエッチング液が塗布され、図44に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、改質領域M4及び亀裂C3にこの順に沿ってエッチングが進行され、改質領域M4及び亀裂C3が選択的にエッチングされる。続いて、図45(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図45(b)に示すように、上下反転され、図45(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、シリコンウェハ11の表面11aに露出した亀裂C3が形成されているため、この亀裂C3を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、切断速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、改質領域M4及び亀裂C3が、加工対象物1の裏面21に露出しないため、Siやデバイス表面物質等が周辺に飛散するのを抑制でき、周辺汚染を抑制することができる。また、このように、改質領域M4及び亀裂C3が裏面21に露出しないことから、改質領域M4が形成された加工対象物1にあっては、比較的割れにくく、搬送性に優れている。
また、本実施形態では、形成される改質領域M4の厚さ方向における長さを制御することで、側面方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第11実施形態]
次に、本発明の第11実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第10実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図45(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26間が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第12実施形態]
次に、本発明の第12実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第10実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C3を有する改質領域M4が加工対象物1に形成された後(図43参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図46に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、改質領域M4に沿ってエッチングが進行されて、改質領域M4が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C3は、エッチングされずに残存されている。
続いて、図47(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図47(b)に示すように、上下反転され、図47(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第13実施形態]
次に、本発明の第13実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第10実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C3を有する改質領域M4が加工対象物1に形成された後(図43参照)、外周面41側からエッチング液が塗布され、図48に示すように、改質領域M4及び亀裂C3が選択的にエッチングされる。続いて、図49(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図49(b)に示すように、上下反転され、図49(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第14実施形態]
次に、本発明の第14実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第13実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図49(c)参照)、図50(a)に示すように、ダイシングテープ22が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。そして、図50(b)に示すように、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第15実施形態]
次に、本発明の第15実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第10実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C3を有する改質領域M4が加工対象物1に形成された後(図43参照)、外周面41側からエッチング液が塗布され、図51に示すように、改質領域M4が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C3は、エッチングされずに残存されている。続いて、図52(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図52(b)に示すように、上下反転され、図52(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第16実施形態]
次に、本発明の第16実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第15実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図52(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第10実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第17実施形態]
次に、本発明の第17実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図53に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M5が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M5が形成されると共に、当該改質領域M5から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の表面3に露出する亀裂C4が発生される。
続いて、加工対象物1の裏面21側からエッチング液が塗布され、図54に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、領域M5及び亀裂C4にこの順に沿ってエッチングが進行され、改質領域M5及び亀裂C4が選択的にエッチングされる。続いて、図55(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図55(b)に示すように、上下反転され、図55(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、亀裂C4が形成されているため、この亀裂C4を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、切断速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、改質領域M5及び亀裂C4が、加工対象物1の裏面21に露出しないため、Siやデバイス表面物質等が周辺に飛散するのを抑制でき、周辺汚染を抑制することができる。また、このように、改質領域M5及び亀裂C4が裏面21に露出しないことから、改質領域M5が形成された加工対象物1にあっては、比較的割れにくく、搬送性に優れている。
また、本実施形態では、形成される改質領域M5の厚さ方向における長さを制御することで、側面方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となる。
[第18実施形態]
次に、本発明の第18実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第17実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図55(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26間が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第17実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第19実施形態]
次に、本発明の第19実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第17実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C4を有する改質領域M5が加工対象物1に形成された後(図53参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図56に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、改質領域M5に沿ってエッチングが進行されて、改質領域M5が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C4は、エッチングされずに残存されている。
続いて、図57(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図57(b)に示すように、上下反転され、図57(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第17実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第20実施形態]
次に、本発明の第20実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図58に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M6が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M6が形成されると共に、当該改質領域M6から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の裏面21に露出する亀裂(ハーフカット)C5が発生される。
続いて、図59に示すように、裏面21側からエッチング液が塗布され、エッチング液が亀裂C5、改質領域M6にこの順に沿ってエッチングが進行され、亀裂C5及び改質領域M6が選択的にエッチングされる。続いて、図60(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図60(b)に示すように、上下反転され、図60(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C5が形成されているため、この亀裂C5を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、亀裂C5が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する亀裂C5から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M6の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外のエッチング量を制御することが可能となる。
[第21実施形態]
次に、本発明の第21実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第20実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて亀裂C5及び改質領域M6がエッチングされた後(図59参照)、図61(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図61(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図61(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第20実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第22実施形態]
次に、本発明の第22実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第20実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて亀裂C5及び改質領域M6がエッチングされた後(図59参照)、図62(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図62(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図62(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第20実施形態と同様な効果を奏する。ダイシングテープ16及びブレーク装置32により加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第23実施形態]
次に、本発明の第23実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図63に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M7が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M7が形成される。これと共に、当該改質領域M7から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の裏面21に露出する亀裂C5と、厚さ方向に延在し且つシリコンウェハ11の表面11aに露出する亀裂C3と、が発生される。
続いて、図64に示すように、裏面21側からエッチング液が塗布され、亀裂C5、改質領域M7及び亀裂C3にこの順に沿ってエッチングが進行され、亀裂C5,C3及び改質領域M7が選択的にエッチングされる。続いて、図65(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図65(b)に示すように、上下反転され、図65(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C5,C3が形成されているため、これらの亀裂C5,C3を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、亀裂C5が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する亀裂C5から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M7の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を低減することが可能となる。
[第24実施形態]
次に、本発明の第24実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第23実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて亀裂C5及び改質領域M7がエッチングされた後(図64参照)、図66(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図66(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図66(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第23実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第25実施形態]
次に、本発明の第25実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図67に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M8が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(厚さ方向における略中央)に改質領域M8が形成される。これと共に、当該改質領域M8から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の裏面21に露出する亀裂C5と、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の表面3に露出する亀裂C4と、が発生される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図68に示すように、亀裂C5、改質領域M8及び亀裂C4にこの順に沿ってエッチングが進行され、改質領域M8及び亀裂C4,C5が選択的にエッチングされる。続いて、図69(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図69(b)に示すように、上下反転される。続いて、図69(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C4,C5が形成されているため、これらの亀裂C4,C5を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、亀裂C5が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する亀裂C5から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M8の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施すことで加工対象物1をチップ26,26に最終的に小片化することができる。よって、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第26実施形態]
次に、本発明の第26実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第25実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図69(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第25実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施すことで加工対象物1がチップ26,26に小片化されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第27実施形態]
次に、本発明の第27実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第25実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて亀裂C5,C4及び改質領域M8がエッチングされた後(図68参照)、図70(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図70(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図70(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第25実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第28実施形態]
次に、本発明の第28実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第25実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C4,C5を有する改質領域M8が加工対象物1に形成された後(図67参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図71に示すように、亀裂C5及び改質領域M8にこの順に沿ってエッチングが進行され、これらが選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C4は、エッチングされずに残存されている。続いて、図72(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図72(b)に示すように、上下反転される。続いて、図72(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第25実施形態と同様な効果を奏する。
[第29実施形態]
次に、本発明の第29実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第28実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図72(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第25実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第30実施形態]
次に、本発明の第30実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第28実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、エッチング処理が施されて亀裂C5及び改質領域M8がエッチングされた後(図71参照)、図73(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図73(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図73(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第25実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第31実施形態]
次に、本発明の第31実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図74に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M9が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(裏面21近傍)から表面11aに至る(表面11aに露出する)改質領域M9が、加工対象物1に形成される。
続いて、加工対象物1の裏面21側からエッチング液が塗布され、図75に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、改質領域M9に沿ってエッチングが進行され、改質領域M9が選択的にエッチングされる。続いて、図76(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図76(b)に示すように、上下反転され、図76(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、改質領域M9が、加工対象物1の裏面21に露出しないため、Siやデバイス表面物質等が周辺に飛散するのを抑制でき、周辺汚染を抑制することができる。また、このように、改質領域M9が裏面21に露出しないことから、改質領域M9が形成された加工対象物1にあっては、比較的割れにくく、搬送性に優れている。
また、本実施形態では、形成される改質領域M9において加工対象物1の厚さ方向の長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を低減することが可能となる。
また、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。また、フルカットしないため、ダイシングテープ16,22の貼り替えを容易に行うことができる。
なお、シリコンウェハ11のように、その表面11aが(111)面等であり、厚さ方向に傾斜する方向に劈開面を有する場合には、本実施形態は、特に有効である。
[第32実施形態]
次に、本発明の第32実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第31実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図76(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第31実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第33実施形態]
次に、本発明の第33実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第31実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M9が加工対象物1に形成された後(図74参照)、外周面41側からエッチング液が塗布され、図77に示すように、改質領域M9が選択的にエッチングされる。続いて、図78(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図78(b)に示すように、上下反転され、図78(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第31実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第34実施形態]
次に、本発明の第34実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第33実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図78(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第31実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第35実施形態]
次に、本発明の第35実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図79に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M10が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(裏面21近傍)から加工対象物1の表面3に至る(表面3に露出する)改質領域M10が、加工対象物1に形成される。
続いて、加工対象物1の裏面21側からエッチング液が塗布され、図80に示すように、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、改質領域M10に沿ってエッチングが進行され、改質領域M10が選択的にエッチングされる。続いて、図81(a)に示すように、エッチングされた後の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図81(b)に示すように、上下反転され、図81(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、改質領域M10が、加工対象物1の裏面21に露出しないため、Siやデバイス表面物質等が周辺に飛散するのを抑制でき、周辺汚染を抑制することができる。また、このように、改質領域M10が裏面21に露出しないことから、改質領域M10が形成された加工対象物1にあっては、比較的割れにくく、搬送性に優れている。
また、本実施形態では、形成される改質領域M10において加工対象物1の厚さ方向の長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。また、フルカットしないため、ダイシングテープ16,22の貼り替えを容易に行うことができる。
なお、シリコンウェハ11のように、その表面11aが(111)面等であり、厚さ方向に傾斜する方向に劈開面を有する場合には、本実施形態は、特に有効である。
[第36実施形態]
次に、本発明の第36実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第35実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図81(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第35実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第37実施形態]
次に、本発明の第37実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第35実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M10が加工対象物1に形成された後(図79参照)、外周面41側からエッチング液が塗布され、図82に示すように、改質領域M10が選択的にエッチングされる。続いて、図83(a)に示すように、裏面21にダイシングテープ22が転写され、図83(b)に示すように、上下反転され、図83(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第35実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第38実施形態]
次に、本発明の第38実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第37実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図83(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第35実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、加工対象物1の外周面41側からエッチング処理が施され、エッチング処理の開始点が制御されて加工対象物の内部へエッチング液が積極的に浸透されていることから、加工対象物1の裏面21側がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21側のダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第39実施形態]
次に、本発明の第39実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図84に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M11が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部(表面11a近傍)から加工対象物1の裏面21に至る(裏面21に露出する)改質領域M11が、加工対象物1に形成される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図85に示すように、改質領域M11に沿ってエッチングが進行され、改質領域M11が選択的にエッチングされる。続いて、図86(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図86(b)に示すように、上下反転され、図86(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、上述したように、改質領域M11が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する改質領域M11から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M11の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
なお、シリコンウェハ11のように、その表面11aが(111)面等であり、厚さ方向に傾斜する方向に劈開面を有する場合には、本実施形態は、特に有効である。
[第40実施形態]
次に、本発明の第40実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第39実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M11がエッチングされた後(図85参照)、図87(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図87(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図87(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第39実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第41実施形態]
次に、本発明の第41実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第39実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M11がエッチングされた後(図85参照)、図88(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されると共に、ナイフエッジ等のブレーク装置32がダイシングテープ22の下方から加工対象物1の切断予定ライン5に沿って押し当てられる。これにより、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図88(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図88(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第39実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16及びブレーク装置32により加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。また、本実施形態では、上述したように、ブレーク装置32が押し当てられて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第42実施形態]
次に、本発明の第23実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図89に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M12が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部から表面11aに至る(表面11aに露出する)改質領域M12が形成されると共に、当該改質領域M12から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の裏面21に露出する亀裂C5が発生される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図90に示すように、亀裂C5及び改質領域M12にこの順に沿ってエッチングが進行され、亀裂C5及び改質領域M12が選択的にエッチングされる。続いて、図91(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図91(b)に示すように、上下反転され、図91(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C5が形成されているため、これらの亀裂C5を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、亀裂C5が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する亀裂C5から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M12の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
[第43実施形態]
次に、本発明の第43実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第42実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C5及び改質領域M12がエッチングされた後(図90参照)、図92(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図92(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図92(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第42実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第44実施形態]
次に、本発明の第44実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図93に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M13が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部から加工対象物1の表面3に至る(表面3に露出する)改質領域M13が形成されると共に、当該改質領域M13から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の裏面21に露出する亀裂C5が発生される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図94に示すように、亀裂C5及び改質領域M13にこの順に沿ってエッチングが進行され、亀裂C5及び改質領域M13が選択的にエッチングされ、加工対象物1がチップ26,26に小片化される。続いて、図95(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図95(b)に示すように、上下反転される。続いて、図95(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、図32に示すように、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施すことで加工対象物1をチップ26,26に最終的に小片化することができる。よって、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第45実施形態]
次に、本発明の第45実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第44実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、ダイシングテープ16が剥がされた後(図95(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第44実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第46実施形態]
次に、本発明の第46実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第44実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M13及び亀裂C5がエッチングされた後(図94参照)、図96(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図96(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図96(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第44実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施された後に、ダイシングテープ16が拡張され、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に一層確実に小片化することができる。
[第47実施形態]
次に、本発明の第47実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図97に示すように、切断予定ライン5に沿って、改質領域M13が加工対象物1に形成される。具体的には、加工対象物1の内部から裏面21に至る(裏面21に露出する)改質領域M14が形成されると共に、当該改質領域M14から、厚さ方向に延在し且つシリコンウェハ11の表面11aに露出する亀裂C3が発生される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図98に示すように、改質領域M14及び亀裂C3にこの順に沿ってエッチングが進行され、改質領域M14及び亀裂C3が選択的にエッチングされる。続いて、図99(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図99(b)に示すように、上下反転される。続いて、図99(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされる。続いて、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C3が形成されているため、この亀裂C3を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、改質領域M14が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する改質領域M14から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M14の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理がされるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第48実施形態]
次に、本発明の第48実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第47実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M14及び亀裂C3がエッチングされた後(図98参照)、図100(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図100(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図100(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第47実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第49実施形態]
次に、本発明の第49実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第47実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M14及び亀裂C3が加工対象物1に形成された後(図97参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図101に示すように、改質領域M14に沿ってエッチングが進行され、改質領域M14が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C3は、エッチングされずに残存されている。続いて、図102(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図102(b)に示すように、上下反転される。続いて、図102(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第47実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、ダイシングテープ16の拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第50実施形態]
次に、本発明の第50実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第49実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図102(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第47実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理が施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第51実施形態]
次に、本発明の第51実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図103に示すように、切断予定ライン5に沿って、亀裂C4を有する改質領域M15が加工対象物1に形成される。具体的には、シリコンウェハ11の内部から加工対象物の裏面21に至る(裏面21に露出する)改質領域M15が形成されると共に、当該改質領域M15から、厚さ方向に延在し且つ加工対象物1の表面3に露出する亀裂C4が発生される。
続いて、裏面21側からエッチング液が塗布され、図104に示すように、改質領域M15及び亀裂C4にこの順に沿ってエッチングが進行され、改質領域M15及び亀裂C4が選択的にエッチングされる。続いて、図105(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図105(b)に示すように、上下反転される。続いて、図105(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように亀裂C4が形成されているため、この亀裂C4を利用してエッチング液を浸潤させて加工対象物を切断することができ、よって、切断速度を速めることができる。
また、上述したように、改質領域M15が加工対象物1の裏面21に露出されている、つまり、エッチング開始点が露出している。そのため、この露出する改質領域M15から加工対象物1の内部へエッチング液が積極的に浸透される。よって、加工対象物1の裏面21がエッチングされるのを抑制でき、加工対象物1の裏面21へのダメージを抑制することができると共に、エッチング速度を速めることができる。
また、本実施形態では、形成される改質領域M15の厚さ方向における長さを制御することで、図示左右方向等の改質領域以外の領域におけるエッチング量を制御することが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように、ダイシングテープ16を拡張させることなくチップ26を取り出されるため、タクトアップが可能となると共に、外部応力を印加することができない極小チップも加工することができる。
[第52実施形態]
次に、本発明の第52実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第51実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図105(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第51実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理を施されるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第53実施形態]
次に、本発明の第53実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第51実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M15及び亀裂C4がエッチングされた後(図104参照)、図106(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図106(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図106(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第51実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第54実施形態]
次に、本発明の第54実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第51実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、亀裂C4を有する改質領域M15が加工対象物1に形成された後(図103参照)、裏面21側からエッチング液が塗布され、図107に示すように、改質領域M15に沿ってエッチングが進行され、改質領域M15が選択的にエッチングされる。なお、ここでは、亀裂C4は、エッチングされずに残存されている。続いて、図108(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図108(b)に示すように、上下反転される。続いて、図108(c)に示すように、ダイシングテープ16が剥がされ、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第51実施形態と同様な効果を奏する。
[第55実施形態]
次に、本発明の第55実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第54実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の裏面21からダイシングテープ16が剥がされた後(図108(c)参照)、ダイシングテープ22が拡張され、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第51実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、上述したように、エッチング処理をされるだけでなく、ダイシングテープ22が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第56実施形態]
次に、本発明の第56実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第54実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、改質領域M15がエッチングされた後(図107参照)、図109(a)に示すように、ダイシングテープ16が拡張されて、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間される。続いて、図109(b)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ22が転写され、図109(c)に示すように、上下反転される。続いて、ダイシングテープ16が剥がされ、ダイシングテープ22が拡張され、そして、チップ26が取り出される。
この本実施形態の切断用加工方法においても、上記第51実施形態と同様な効果を奏する。また、本実施形態では、ダイシングテープ16が拡張されて加工対象物1がチップ26,26に小片化された後、さらに、ダイシングテープ22が拡張されるため、加工対象物1をチップ26,26に確実に小片化することができる。
[第57実施形態]
次に、本発明の第57実施形態に係る切断用加工方法について説明する。なお、上記第6実施形態と同一の説明は省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態の切断用加工方法では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16が貼り付けられて載置台に載置された後(図23(a)参照)、加工対象物1の裏面21から加工対象物1に集光点を合わせてレーザ光が照射され、図119(a)に示すように、切断予定ライン5に沿って、厚さ方向に複数の改質領域(ここでは、改質領域M3,M16)が加工対象物1に形成される。
具体的には、加工対象物1の内部において、改質領域M3が形成されると共に、この改質領域M3のデバイス面3側に並設されるように改質領域M16が形成される。そして、厚さ方向に延在する亀裂C1,C2が改質領域M3から発生されると共に、厚さ方向に延在する亀裂C6,C7が改質領域M16から発生される。なお、ここでの亀裂C2,C6は、互いに連結されている。
続いて、図119(b)に示すように、エッチング液に対し耐性がある例えばSinからなるマスク35が、裏面21に取り付けられる。このマスク35には、エッチング幅に対応する開口面積の開口33が設けられている。
続いて、マスク35の開口33を介して加工対象物1の裏面21にエッチング液が塗布され、加工対象物1の裏面21側の領域31がエッチングされて除去される。そして、亀裂C1、改質領域M3、及び亀裂C2にこの順に沿ってエッチングが進行されて、亀裂C1,C2及び改質領域M3が選択的にエッチングされる。このとき、エッチング時間を制御し、加工対象物1を洗浄等することで、デバイス面3にエッチングが到達せず且つ改質領域M16が残存するようにエッチングの進行を停止させる。
続いて、マスク35が剥がされ、裏面21にダイシングテープ22が転写されて上下反転されると共に、ダイシングテープ16が剥がされる。そして、図119(c)に示すように、ダイシングテープ22が拡張されることで、改質領域M16を切断の起点として(すなわち、改質領域M16を切断の基点となる切断用改質領域16として)、加工対象物1がチップ26,26に小片化されると共にチップ26,26が離間されることとなる。なお、マスク35は必要に応じて剥がせばよく、マスク35を残したままチップに小片化してもよい。
以上、本実施形態の切断用加工方法においても、上記第6実施形態と同様な効果を奏する。特に本実施形態では、デバイス面3に到達しないように加工対象物1がエッチングされるため、エッチング液によるデバイス15への悪影響を低減することができ、品質のよいチップ26を得ることが可能となる。
ここで、このようにデバイス面3に到達しないようエッチングされた場合(つまり、エッチングで加工対象物1が完全に切断されない場合)においては、通常、エッチングで除去された領域31の先端部31aから亀裂を発生させて切断する。しかし、この場合、先端部31aから発生する亀裂の進展方向を制御するのは困難であることから、加工対象物1を精度よく切断できないことがある。
この点、本実施形態では、厚さ方向に沿って並ぶ改質領域M3,M16が加工対象物1の内部に形成されると共に、切断用改質領M16を残すようにエッチング処理が施されている。よって、デバイス面3に到達しないようエッチングした場合でも、切断用改質領域16を切断の起点として加工対象物1が切断されるため、加工対象物1を容易に且つ精度よく切断することが可能となる。従って、本実施形態によれば、エッチング液によるデバイス15への悪影響を低減して品質のよいチップ26を得ることできると共に、加工対象物1を容易に且つ精度よく切断することが可能となる。
また、デバイス15によっては、切断に至るまで加工対象物1を完全にエッチングすると、デバイス15とシリコンウェハ11との界面でエッチング液が悪影響を及ぼすこともある。これに対し、本実施形態では、デバイス面3に到達しないように加工対象物1がエッチングされることから、かかる界面での悪影響をも低減することができる。
また、本実施形態では、上述したように、マスク35の開口33を介して、加工対象物1の裏面21をエッチング液に曝している。これにより、裏面21がエッチングされることでエッチング深さ(裏面21から領域31の先端部31aまでの距離)にバラツキが生じてしまうということを抑制し、エッチング深さの均一性を高めることができる。その結果、加工対象物1を安定して切断することができ、一層品質のよいチップ26を得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、亀裂C6,C7を改質領域M16から発生させたが、亀裂C6,C7の何れか一方のみを発生させてもよい。さらに、図120に示すように、亀裂C6,C7の双方を発生させない場合もある。亀裂C6を発生させない場合、切断用改質領域M16の裏面21側に存在する非改質領域Nは、そのエッチングレートが改質領域のエッチングレートより低いため、エッチングの進行を遅らせるエッチングストッパとして機能する。また、この場合には、亀裂C6(図119参照)を介してエッチング液が切断用改質領域M16に浸透するということもない。よって、亀裂C6を発生させない場合、改質領域M16が残存するようエッチングの進行を停止させることが、容易に実施可能となる。
ちなみに、本実施形態では、改質領域M3を形成し当該改質領域M3をエッチングしたが、エッチングされる改質領域はこれに限定されるものではない。デバイス面3に到達しないように加工対象物1がエッチングされれば、エッチングされる改質領域は種々のものであってもよい。
また、本実施形態では、厚さ方向に並設されるように改質領域M3,M16を形成し、切断用改質領M16が残存するようにエッチング処理を施したが、厚さ方向に3つ以上の改質領域を形成し、これらの改質領域のうち少なくとも1つが切断用改質領域として残存するようにエッチング処理を施せばよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16を貼り付け、裏面21側を上方にして加工対象物1を載置台に載置し、裏面21側からレーザ光を照射(裏面入射)したが、以下の場合もある。すなわち、図110(a)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ16を貼り付け、表面3側を上方にして載置台に載置し、表面3側(図示上方側)からレーザ光を照射(表面入射)してもよい。
また、図110(b)に示すように、加工対象物1の表面3にダイシングテープ16を貼り付け、表面3側(ダイシングテープ16側)を上方にして載置台に載置し、表面3側からレーザ光をダイシングテープ16越しに照射してもよい。また、図110(c)に示すように、加工対象物1の裏面21にダイシングテープ16が貼り付け、裏面21側を上方にして載置台に載置し、裏面21側からレーザ光をダイシングテープ16越しに照射してもよい。
また、上記実施形態では、機能素子15をエッチング液から保護するために好ましいとして、保護膜25を備えたが、機能素子15の保護が然程必要ない場合には、この保護膜はなくともよい。
また、上記実施形態では、改質領域を、加工対象物1のエッチングされた切断面が厚さ方向と平行になるように形成したが、例えばレーザ光のレーザ条件や改質領域を形成する位置等を調整して、かかる切断面が所定の面形状となるように形成してもよい。この場合、加工対象物の所定の位置に改質領域を形成することで、改質領域における高いエッチングレートを利用して、加工対象物のエッチングされた切断面をV字や半円形等の所望の面形状とすることができ、よって、例えば加工対象物の抗折強度を所望に設定することができる。例えば、切断面において厚さ方向の中央部分が特にエッチングされるように改質領域を形成すると、側方から切断予定ラインに沿う方向に見て、厚さ方向の中央が窪むような凹状の切断面を得ることができる。この場合、チップの抗折強度が向上される。
また、例えば、切断面において厚さ方向の端部が特にエッチングされるように改質領域を形成すると、側方から切断予定ラインに沿う方向に見て、厚さ方向の端部が切りかかれたような切断面を得ることができる。この場合、面取り等の後処理を別途に行うことが不要となる。