JPWO2008062867A1 - 重心検知装置および横転限界速度予測装置並びに貨物重量予測装置 - Google Patents

重心検知装置および横転限界速度予測装置並びに貨物重量予測装置 Download PDF

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Abstract

本発明の重心検知装置(100)は、貨物を搭載可能な、牽引車両により牽引される車両(11、12)と、この車両(11、12)の走行時の車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器(14)と、演算ユニット(15)と、を備え、演算ユニット(15)は、上述の揺れに相関する物理量に基づいて車両(11、12)の3次元空間上の重心位置を導くように構成されている。

Description


本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両により牽引される車両の重心検知装置および横転限界速度予測装置並びに貨物重量予測装置に係り、更に詳しくは、牽引車両に牽引輸送されるコンテナ貨物車両の3次元空間上の重心位置を求める技術、および3次元空間上の重心位置を用いて曲路における車両の横転限界速度、貨物の重量を求める技術に関する。

国際間の輸出入により商取引されるコンテナ貨物は、国内流通網においては、コンテナごとコンテナシャーシと称される台車に載せられ、このコンテナシャーシを牽引可能なトラクタや機関車等の牽引車両により牽引輸送されている。

ところで、上述のコンテナ貨物は、通常は、コンテナ内の積載状態を未確認のまま輸送されることから、従来からコンテナ輸送車両による様々な不都合が社会的に問題視されている。例えば、コンテナ内の貨物の偏荷重に依拠した、コンテナの扉開封時の貨物の荷崩れ落下やコンテナ輸送車両の曲路における走行不安定といった事態が社会問題に発展するに至っている。

その一方で、四輪トラック等の車両の貨物積載の状態を計測する技術や貨物の積載異常への対処法が既に種々提案されている。

例えば、電子制御の制動装置(ブレーキ制御装置)を有するトレーラ(上記コンテナシャーシに相当)の制動方法に関する従来技術がある(特許文献1参照)。本従来技術により、狭い曲線車道又は高速自動車道路出口の車両転倒が防止される。

また、トラックのローリング周波数を測定することにより、車両の前後の長手方向(走行方向)の慣性モーメント、質量および傾斜を導く従来技術がある(特許文献2参照)。本従来技術によれば、車両の慣性モーメント、質量および傾斜が一義的に計算でき、例えば車両の転倒可能性を事前に予知している。

また、アーティキュレート式ダンプトラックが、停止時に積載している土砂等を排出するためにダンプボディを上げた際に、偏荷重による傾斜が原因となって生じる転倒を防ぐことを意図した従来技術がある(特許文献3参照)。

また、トラックの荷台に積載される貨物の重量を荷台の表面に敷き詰められた感圧センサによって、トラックの荷台の静的な荷重分布を2次元平面的に求める従来技術がある(特許文献4参照)。本従来技術によれば、トラックの部分的積載重量超過や積載重量不均衡などの積載異常を計数的、客観的に検知することになり、貨物の荷崩れや車両転倒が未然に防止される。

また、トラックの荷台下部に姿勢制御装置を設けることにより、トラックが曲路を曲がった際の遠心力をセンサにより感知して、荷台の姿勢制御装置を操作させて、その遠心力に打ち勝てるよう荷台を自動的に傾斜させる従来技術がある(特許文献5参照)。

また、荷台の前後左右の水平面上の荷重分布および傾斜または曲路走行時の横加速度を計測することにより、トラックの荷台に積載された貨物の上下方向の重心の位置を導く従来技術がある(特許文献6参照)。本従来技術によれば、予め特定の車両により特定の積載状態で貨物を荷台に積み、直線路と曲路など異なるいくつかの路面を試験走行させ、そこで得られた傾斜値や横加速度値を計測して貨物の積載状態と路面の状況の相違による上下方向の重心の位置の行列データベースを作ることができる。このため、そのデータベースを実際の車両の運行時に携行し、貨物の積載状態ごとに荷重分布と傾斜の値を行列データベースに入力することにより、上下方向の重心の位置が推定できる。

特開2005−313879号公報 特開2000−28427号公報 特開2000−302063号公報 特開平5−213108号公報 特開平5−124543号公報 特開2001−97072号公報

本件発明者は、積載状態が不明なコンテナ貨物の偏荷重により、コンテナ輸送車両が引き起こす社会問題(例えば車の横転)を抜本的に解決する技術開発に取り組んでいる。この技術開発の過程において、コンテナ貨物車両についての3次元空間上の重心位置(以下、必要に応じて「3次元重心位置」と略す)の重要性および有益性に着目した。つまり、このようなコンテナ貨物車両の3次元重心位置は、コンテナ貨物の偏荷重の度合いを直接に反映する貴重なデータであり、これが正確に求まれば、コンテナの扉開封時の貨物の荷崩れ落下やコンテナ輸送車両の曲路における不安定走行の未然防止に資することができる。

例えば、このようなコンテナ貨物車両の3次元重心位置が正確に求まれば、コンテナ貨物車両が走る曲路の曲率半径に応じたコンテナ貨物車両の横転限界速度を適切に予測演算できるようになる。また、コンテナ貨物車両の3次元重心位置が正確に求まれば、コンテナ貨物の重量を適切に予測演算でき、ひいては、コンテナ貨物の過積載を予測できるようになる。

なお、本明細書において、コンテナ貨物車両とは、牽引車両以外のコンテナ輸送車両の部分、つまり、貨物を搭載可能なコンテナと、このコンテナを載せるコンテナシャーシ(台車)とからなる車両を指すものとする。

そして、鋭意研究の結果、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な力学理論に基づいた、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両(例えば上述のコンテナ貨物車両)の3次元重心位置の導出法を見出すことに成功した。また、牽引車両に牽引される車両(例えば上述のコンテナ貨物車両)の3次元重心位置を用いた、上述の車両の横転限界速度の導出法を見出すことにも成功した。更には、牽引車両に牽引される車両(例えば上述のコンテナ貨物車両)の3次元重心位置を用いた、貨物の重量の導出法を見出すことにも成功した。これらの導出法は、後程詳しく解説する。

また、後述の定式化の内容から容易に理解されるとおり、これらの導出法の理論は、互いに独立して完結している。よって、車両の3次元重心位置の導出法としての独自の利用価値があり、車両の横転限界速度の導出法としての独自の利用価値があり、貨物の重量の導出法としての独自の利用価値がある。

なお、以上に述べた各従来技術は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置の重要性すら、認識してなく、何れの従来技術も参酌に値しない。

第1の本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を適切に導ける重心検知装置を提供することを目的とする(第1の課題)。
また、第2の本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を用いて、車両が走る曲路の曲率半径に応じた車両の横転限界速度を適切に導ける、横転限界速度予測装置を提供することを目的とする(第2の課題)。
また、第3の本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を用いて、当該貨物の重量を適切に導ける、貨物重量予測装置を提供することを目的とする(第3の課題)。

上記第1の課題を解決するため、第1の本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、前記車両の走行時の前記輸送車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器と、演算ユニットと、を備え、

前記演算ユニットは、前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記車両の3次元空間上の重心位置を導く、重心検知装置を提供する。
このような車両の一例は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である。

このようなコンテナ貨物車両の3次元重心位置は、積載状態が不明な貨物の、偏荷重の度合いを直接に反映する貴重なデータであり、例えば、これにより、コンテナの扉開封時の貨物の荷崩れ落下やコンテナ輸送車両の曲路における不安定走行の未然防止に資することができる。

特に第1の本発明によれば、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な力学理論に基づき車両の3次元重心位置が導かれており、その演算結果の信頼性は極めて高い。

ところで、物体の重心運動の定式化には、一般的に、質点系の力学の問題として捉える方法と、剛体系の力学の問題として捉える方法と、がある。

本件発明者は、車両(ここでは、コンテナ貨物車両を例にとる)の運動を、コンテナ貨物車両の重心を質点とした質点系の力学の問題として捉えた。そして、これにより、コンテナ貨物車両の重心の運動を規律する運動方程式が、コンテナ輸送業務の実情に照らして極めて好都合な式に整理できることに気がついた。

よって、第1の本発明は、このような知見に基づいて案出されたものであり、第1の本発明の重心検知装置の一例は、前記自重方向の揺れが、前記コンテナ貨物車両の重心を質点とした上下方向の往復運動に対応し、前記幅方向の揺れが、前記コンテナ貨物車両の車軸中心を支点とし、前記コンテナ貨物車両の重心を質点とした左右方向の単振子運動に対応する場合、前記物理量は、前記往復運動の周波数と、前記単振子運動の周波数および前記単振子運動の中心角度と、を含み、前記演算ユニットは、前記単振子運動の周波数に基づいて前記コンテナの走行方向についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導くとともに、前記往復運動の周波数、前記単振子運動の周波数および前記単振子運動の中心角度に基づいて、前記走行方向に垂直な断面についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導くよう、構成された装置である。

つまり、上述の物理量には、コンテナ輸送車両の弾性係数およびコンテナ貨物車両の重量が含まれない。そして、このことは、弾性係数および重量の計測に費やされる膨大な手間を省くことを可能にするとともに、コンテナ輸送車両のメーカ、年式および老朽度等不確定要因に関係なく、任意のコンテナ輸送車両(つまり、不特定多数の牽引車両と、不特定多数のコンテナシャーシと、不特定多数のコンテナとの間の任意の組合せ)への本技術の普遍的な適用を容易にする。

より詳しくは、前記コンテナシャーシの走行方向の前部近傍と前記牽引車両との間で、両者を幅方向にスイング移動可能に連結する円盤形の連結部材を備え、前記コンテナシャーシは、前記コンテナの幅方向に延びて、前記コンテナの走行方向の後部近傍を支える横梁を含み、前記演算ユニットは、前記揺動検知器の出力データを、前記単振子運動の周波数と振幅との間の相関を表すローリングデータに変換して、前記ローリングデータを基にして、前記横梁に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第1の前記単振子運動の周波数と、前記連結部材に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第2の前記単振子運動の周波数と、前記コンテナ貨物車両の重心に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第3の前記単振子運動の周波数と、を取得し、前記第1、第2および第3の単振子運動の周波数に基づいて前記走行方向についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導く装置であっても良い。
また、前記演算ユニットは、前記揺動検知器の出力データを、前記単振子運動の周波数と振幅との間の相関を表すローリングデータに変換して、前記ローリングデータを基にして、前記コンテナ貨物車両の重心に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する前記単振子運動の周波数を取得し、前記揺動検知器の出力データを、前記往復運動の周波数と振幅との間の相関を表すピッチングデータに変換して、前記ピッチングデータを基にして、前記往復運動の最大振幅に対応する前記往復運動の周波数を取得し、前記揺動検知器の出力データから前記単振子運動の振幅の経時データをサンプリングして、前記経時データの平均値を前記単振子運動の中心角度として取得し、前記単振子運動の周波数、前記往復運動の周波数および前記単振子運動の中心角度に基づいて、前記走行方向に垂直な断面についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導く装置であっても良い。

また、前記コンテナ貨物車両の上下方向(自重方向)および幅方向の揺れは、前記コンテナ貨物車両の路面の直進走行時に、前記路面の凹凸に応じて前記コンテナ貨物車両に与えられる外乱による運動であっても良い。

これにより、コンテナ貨物車両を通常の車の流れに合わせて任意走行(好ましくは直進走行)させれば、重心検知装置は、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の演算できる。よって、演算用データ取得作業が簡易に行え、曲路走行時のデータを取る必要もなく好適である。

更に、前記揺動検知器は、前記牽引車両に配置されてなり、角速度の感度軸が前記自重方向および前記幅方向に調整された角速度センサを備えても良い。

これにより、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の演算には、牽引車両の適所に角速度センサを、簡易な手段(接着剤接合やボルト止め;不図示)により僅か1個、配置すれば足りる。言い換えれば、コンテナ輸送業務に取り扱われる多量のコンテナおよびコンテナシャーシには、何等の措置も施す必要がなく好適である。

また、上記第2の課題を解決するため、第2の本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、演算ユニットと、を備え、

前記演算ユニットは、前記車両の3次元空間上の重心位置および前記車両が走る曲路の曲率半径を取得し、前記3次元空間上の重心位置を用いて、前記曲率半径に応じた前記車両の前記曲路における横転限界速度を導く、横転限界速度予測装置を提供する。

なお、演算ユニットによる車両の3次元空間上の重心位置の取得の具体的な方法としては、上述の第1の本発明の重心検知装置を利用しても良いが、これに限らない。例えば、作業者自身が、車両に貨物を搭載する場合には、作業者は、車両の3次元空間上の重心位置を測定できる。この場合、演算ユニットは、作業者による重心位置入力操作により、当該車両の3次元空間上の重心位置を取得できる。

このような横転限界速度は、車両が横転に至るか否かの基準速度であり、これにより、車両の曲路における不安定走行の未然防止に資することができる。

ところで、本件発明者は、車両が曲路を走行する場合、この車両の走行方向に垂直な断面おける車両の回転運動とは独立して、車両の自重がかかる方向の面内の回転運動が同時に作用して、これらの運動力が偶然かつ瞬間的に車両を傾かせる方向に一致してしまう場合があることを見出した。このため、車両の曲路走行時の異常走行状態の適切な定式化には、車両の走行方向に垂直な断面についての車両の重心位置および車両の走行方向についての車両の重心位置の取得、つまり、上述のとおり、車両の3次元空間上の重心位置の特定が必須であると考えられる。

よって、前記演算ユニットは、前記車両の走行方向に垂直な断面についての前記車両の重心位置を用いた、前記車両の旋回外輪を中心として前記車両が回転に至る場合の前記車両の速度と前記曲率半径との関係を表す第1の式と、前記車両の走行方向についての前記車両の重心位置を用いた、前記牽引車両と前記車両との間の連結点を中心として前記車両が回転に至る場合の前記車両の速度と前記曲率半径との関係を表す第2の式と、に基づいて、前記横転限界速度を導いても良い。

これにより、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な力学理論に基づき車両の横転限界速度を導くことができ、演算結果の信頼性は極めて高い。

前記車両の一例は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である。
また、前記車両の走行時の前記車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器を備え、
前記演算ユニットは、前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記3次元空間上の重心位置を導いてもよい。

これにより、この3次元空間上の重心位置をもとにして、横転限界速度の導出に必要な各種の重心関連データ(詳細は後述)を演算でき、これらの重心関連データの測定の手間が省けるとともに、高精度なデータが得られる。更に、車両内の積載状態を未確認のまま輸送される場合(例えば、国際間の輸出入により商取引されるコンテナ貨物の場合)であっても、当該重心関連データを得ることができる。

また、前記曲率半径の無線情報を受信して、前記無線情報を前記演算ユニットに与える受信機を備えてもよい。

これにより、演算部ユニットは、受信機を用いて、車両が走る予定の曲路の曲率半径の無線情報を、例えば、地域のITSから自動的に取得でき、曲路の曲率半径の取得に費やされる手間を省ける。

また、上記第3の課題を解決するため、第3の本発明は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、演算ユニットと、を備え、

前記演算ユニットは、前記貨物が搭載された車両の3次元空間上の重心位置、および、前記貨物が搭載されていない車両の3次元空間上の重心位置を取得し、これらの2つの重心位置を用いて前記貨物の重量を導く、貨物重量予測装置を提供する。

なお、演算ユニットによる車両の3次元空間上の重心位置の取得の具体的な方法としては、上述の第1の本発明の重心検知装置を利用しても良いが、これに限らない。例えば、作業者自身が、車両に貨物を搭載する場合には、作業者は、上述の2つの重心位置を測定できる。この場合、演算ユニットは、作業者による重心位置入力操作により、当該車両の3次元空間上の重心位置を取得できる。

このような貨物の重量の取得により、車両への貨物の過搭載状態を適切に知ることができ、これにより、車両の不安定走行や貨物荷崩れ落下の未然防止に資することができる。

なお、前記車両の一例は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である。

また、前記演算ユニットが、前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の走行方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記走行方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導いてもよい。
また、前記演算ユニットが、前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の幅方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記幅方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導いてもよい。
また、前記演算ユニットが、前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の自重方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記自重方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導いてもよい。

そして、前記演算ユニットが、前記3方向の貨物の見かけの重量に基づいて、前記貨物の正味の重量を導いてもよい。

これにより、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な質点系の力学理論に基づきコンテナ貨物の見かけの重量や正味の重量を導くことができ、重量演算の信頼性は極めて高い。

また、前記車両の走行時の前記車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器を備え、
また、前記演算ユニットは、前記貨物が搭載された車両の前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記貨物が搭載された車両の3次元空間上の重心位置を導くとともに、
前記貨物が搭載されていない車両の前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記貨物が搭載されていない車両の3次元空間上の重心位置を導いてもよい。

これにより、これらの重心位置の測定の手間が省けるとともに、高精度なデータが得られる。更に、車両内の積載状態を未確認のまま輸送される場合(例えば、国際間の輸出入により商取引されるコンテナ貨物の場合)であっても、当該重心位置を得ることができる。

本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。

第1の本発明によれば、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を適切に導ける重心検知装置が得られる。

また、第2の本発明によれば、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を用いて、車両が走る曲路の曲率半径に応じた車両の横転限界速度を適切に導ける、横転限界速度予測装置も得られる。
また、第3の本発明によれば、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を用いて、当該貨物の重量を適切に導ける、貨物重量予測装置も得られる。
図1は、第1実施形態の重心検知装置の構成例を示した概略図である。 図2は、第1実施形態の重心検知装置中の揺動検知器および演算ユニットの内部構成の一例を示したブロック図である。 図3は、第1実施形態の重心検知装置によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法を説明する模式図である。 図4は、第1実施形態の重心検知装置によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法を説明する模式図である。 図5は、第1実施形態の重心検知装置によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法を説明する模式図である。 図6は、第1実施形態の重心検知装置による3次元重心位置の検知ルーチンを示したフローチャートである。 図7は、横軸に周波数(Hz)をとり、縦軸に振幅(角速度)をとって、ローリング周波数/振幅分布の一例を示した図である。 図8は、横軸に周波数(Hz)をとり、縦軸に振幅(角速度)をとって、ピッチング周波数/振幅分布の一例を示した図である。 図9は、横軸に時間(秒)をとり、縦軸にローリング角度をとって、ローリング振幅の経時変化の一例を示した図である。 図10は、第2実施形態による横転限界速度予測装置の構成例を示した概略図である。 図11は、第2実施形態による横転限界速度予測装置中のデータ検出部および演算ユニットの内部構成の一例を示したブロック図である。 図12は、第2実施形態の横転限界速度予測装置によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の導出法を説明する模式図である。 図13は、第2実施形態の横転限界速度予測装置によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の導出法を説明する模式図である。 図14は、第2実施形態の横転限界速度予測装置によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の予測動作を示したフローチャートである。 図15は、第2検証実験の検証実験用トレーラトラックのタコメータの記録画面の写真を示した図である。 図16は、横軸に曲率半径をとり、縦軸に検証実験用コンテナ貨物車両の横転限界速度をとって、両者の関係を示した図である。 図17は、第3実施形態の貨物重量予測装置の構成例を示した概略図である。 図18は、第3実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量の導出法を説明する模式図である。 図19は、第3実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量の導出法を説明する模式図である。 図20は、第3実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量の導出法を説明する模式図である。 図21は、第3実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物の重量の予測動作を示したフローチャートである。
符号の説明
10 トラクタ
11 コンテナ
12 コンテナシャーシ
13 カプラ
14 揺動検知器
14a 角速度センサ
14b A/D変換器
114 データ検出部
114c アンテナ
114d 受信機
15、115 演算ユニット
15a、115a 演算部
15b、115b 記憶部
15c、115c 操作設定/表示部
20 前横梁
21 後横梁
50 トレーラトラック(コンテナ輸送車両)
100 重心検知装置
100A 貨物重量予測装置
110 横転限界速度予測装置
201 垂直中心ライン
202 車軸位置ライン
207 水平中心ライン
204 路面
204c 曲路
205 サスペンション
206 ローリング中心ライン
300 旋回外輪の外端
E 連結点

以下、本発明の好ましい第1、第2および第3実施形態を、図面を参照しながら説明する。

(第1実施形態)

図1は、第1実施形態の重心検知装置の構成例を示した概略図である。図1(a)は、この重心検知装置を、コンテナ貨物車両の幅方向(側面)から見た図であり、図1(b)は、この重心検知装置を、コンテナ貨物車両の後側から見た図である。
なお、以下に述べる説明の便宜上、図面において、コンテナ貨物車両の自重のかかる方向を「上下方向」とし、コンテナ貨物車両の幅方向を「左右方向」とし、コンテナ貨物車両の走行方向を「前後方向」とする。
重心検知装置100は、図1(a)に示す如く、コンテナ輸送車両50と、コンテナ貨物車両の走行時の上下方向および左右方向の揺れを検知する揺動検知器14と、演算ユニット15と、を備える。

このようなコンテナ輸送車両50の典型的な一形態は、トラクタを牽引車両とするトレーラトラックである。よって、本実施形態(後述の第2および第3実施形態も同じ)では、世界的な標準仕様の40フィートの海上コンテナを搭載したコンテナシャーシをトラクタにより牽引するトレーラトラック輸送を例にとり、コンテナ輸送車両50の構成および動作の説明を行う。但し、以下に述べる技術は、このコンテナ輸送車両50に限らず、鉄道貨車等、他の輸送形態の車両にも適用可能である。
トレーラトラック50は、図1(a)に示す如く、コンテナ貨物(不図示)を搭載可能な直方形のコンテナ11と、コンテナ11を載せる台車としてのコンテナシャーシ12と、コンテナシャーシ12と連結してコンテナシャーシ12を牽引または駆動させるトラクタ10(牽引車両)と、を備える。このトラクタ10は、コンテナシャーシ12に連結する円盤形のカプラ13(連結部材;後述)を有し、これにより、両者がカプラ13を介して左右方向にスイング可能なように連結されている。

なお、本実施形態(後述の第2実施形態も同じ)の検知技術は、理論上、コンテナ11へのコンテナ貨物の積載の有無に拘わらず適用可能であることから、本明細書においては、上述のコンテナ11とは、コンテナ貨物積載の有無を問わないものとする。
また、図1に示されたトレーラトラック50の形態は、飽くまで一例に過ぎず、本実施形態(後述の第2および第3実施形態も同じ)の検知技術は、様々なタイプのトレーラトラックに対して適用できる。

図2は、本実施形態の重心検知装置中の揺動検知器および演算ユニットの内部構成の一例を示したブロック図である。

上述の揺動検知器14は、トレーラトラック50の左右方向の中央であって、トラクタ10側の輸送業務に支障の無い場所(例えばカプラ13の近傍)に固着されている。上述の演算ユニット15は、トラクタ10の運転室内の適所に配置されている。そして、両者は、適宜のデータ入出力ポート(不図示)を介して有線通信や無線通信等によりデータ送信可能なように接続されている。
揺動検知器14は、図2に示すように、トレーラトラック50の走行時のコンテナ貨物車両の上下方向および幅方向の揺れを検知するよう、角速度の感度軸が調整された2軸(2次元)の角速度センサ14aと、この角速度センサ14aから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(アナログ/デジタル)変換器14bと、を備える。

なお、このA/D変換器14bによりデジタル化された角速度信号の大きさは、トレーラトラック50の走行時のコンテナ貨物車両の上下方向または幅方向の揺れの角速度に比例している。2軸の角速度センサ14aには、例えば水晶音叉式のセンサや振動式のセンサがあるが、これに限らない。この角速度センサ14aに替えて、3軸(3次元)の角速度センサを用いても良く、速度センサを用いても良い。また、ここでは、揺動検知器14の使用の際の利便性に配慮して、A/D変換器14b内蔵型の揺動検知器14を例示しているが、このA/D変換器14bを外付けにしても良い。更には、揺動検知器14には、フィルタ(不図示)やアンプ(不図示)等の各種の信号処理回路が内蔵されているが、これらは慣用技術であり、ここでは、詳細な説明は省く。

また、演算ユニット15は、図2に示すように、マイクロプロセッサ等からなる演算部15aと、ROM(リードオンリーメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等からなる記憶部15bと、操作設定/表示部15cと、を備える。このような演算ユニット15としては、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ等の情報携帯端末がある。

記憶部15bは、演算部15aに接続され、コンテナ貨物車両の3次元重心位置を適切に導くための演算プログラムや、当該演算に必要な各種の入力用の定数(後述)を記憶している。
演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている演算プログラムに従って動作し、例えば、後述のとおり、揺動検知器14(A/D変換器14b)から出力されたデジタル信号に基づいてコンテナ貨物車両の3次元重心位置を導くことができる。

操作設定/表示部15cは、上述の入力用定数の設定ボタンを配設した操作部(例えばキーボード;不図示)と、演算部15aから出力されたコンテナ貨物車両の3次元重心位置についての出力データを、作業者(運転者や同乗者)が認識できるように表示通知や音声通知する通報装置(例えば液晶パネル画面やスピーカ;不図示)と、を備える。

次に、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法について図面を参照しながら詳しく説明する。

図3、図4および図5は何れも、本実施形態の重心検知装置によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法を説明する模式図である。図3および図4は、トレーラトラックが走行する前後方向から見た図であり、図5は、トレーラトラックの自重のかかる上下方向から見た図である。

なお、図3、図4および図5では、重心検知装置100の構成については、3次元重心位置の導出法を理解し易くなるように、簡略乃至省略して図示している。
まず、図3および図4を用いて、コンテナ11の前後方向(走行方向)に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの位置を導く方法について説明する。

図3に示すように、コンテナ11は、コンテナシャーシ12に積載された状態では、トラクタ10とコンテナシャーシ12に配設されたサスペンション205(懸架装置;図4参照)の緩衝用弾性力(例えば空気圧やバネ力)に支えられ、路面204から一定の高さで中立する。この状態で、トレーラトラック50が走行すると、タイヤが路面204の凹凸を踏み続けることにより、ランダムな外乱がサスペンション205を通してトレーラトラック50の車体(コンテナ11)に伝わる。このような外乱によって、トレーラトラック50は、サスペンション205の弾性力、コンテナ貨物車両の総重量およびその重心位置に依存する固有の周期(周波数)を持つ運動に基づいて揺動する。そして、この運動は、コンテナ貨物車両の重心Wの上下方向の往復運動(正確には後述のトラクタ10のピッチング)およびコンテナ貨物車両の重心Wの左右方向の単振子運動として揺動検知器14により検知される。なお、本明細書において、サスペンション205とは、トレーラトラック50の車体の路面204からの振動を緩衝できる部材を指し、例えば、車軸に連結されたバネ式の緩衝器の他、車軸の端に配されて空気が充填されているタイヤなども含むものとする。

前者の運動は、トラクタ10のピッチングと呼ばれる挙動に対応する。コンテナ貨物車両が上下方向に往復運動すると、トラクタ10とコンテナシャーシ12とを連結するカプラ13が上下に押される。カプラ13の位置は、トラクタ10の後方に存在するので、カプラ13が上下に押されることにより、トラクタ10の前部が逆に、浮き沈みする。このような現象が、トラクタ10のピッチングである。つまり、コンテナ貨物車両の上下方向の往復運動が、カプラ13を通じてトラクタ10に伝わり、これにより、トラクタ10のピッチングが起こる。

また、後者の運動は、トレーラトラック50のローリングと呼ばれる挙動に対応する。

トレーラトラック50には、通常、前後左右の車軸ごとにサスペンション205が取り付けているが、上下方向の往復運動および左右方向の単振子運動の挙動が同時に起きることから、力学上の弾性係数(バネ定数)を考慮するに当たり、簡易的に左右に一つずつ弾性体(バネ)があると仮定して挙動解析することが妥当であると考えられる。この仮定の妥当性は、後述の実車による第1検証実験により確認されている。
なお、付言するに、上述の従来技術の中には、サスペンションの弾性係数の測定を前提として車両の慣性モーメント等固有量を判定する例(特許文献2)や試験走行時のサスペンションの強度を予めデータベース化する例(特許文献6)が提案されているが、これらの技術は、トレーラトラック50については、コンテナ輸送業務の実情から見て役に立たない。

つまり、サスペンション205の弾性係数は、トラクタ10とコンテナシャーシ12のメーカ、車種、年代および老朽度により変化する一方で、これらのメーカ、車種、年代および老朽度の特定は事実上、コンテナ11の輸送業務の実情に鑑みると不可能に近い。コンテナ11の輸送業務では、不特定多数のトラクタ10と不特定多数のコンテナシャーシ12との間の任意の組合(事実上、無数の組合)からなるトレーラトラック50により、コンテナ11が日々輸送されている。このため、両者のメーカ、車種および年式を予め特定する有効な方策はなく、まして、双方の車両の老朽度などは特定不可能である。更に、トラクタ10にはエアサスペンションが導入されているものがほとんどであることから、個々の車軸に配設されるサスペンション205の弾性係数は、牽引されるコンテナシャーシ12上のコンテナ11の積載状態、路面204の状況、および走行状況によって随時可変する場合もある。

また、上述の従来技術の中には、多数の検知器をコンテナ側シャーシ(本明細書のコンテナシャーシに相当)に配設することを前提とした技術(例えば特許文献1)もあるが、コンテナ輸送業務に取り扱われる多量のコンテナシャーシの数量に鑑みれば容易に想像できるとおり、このような方策は、コスト面で成り立たない。

まず、コンテナ貨物車両の重心Wを質点として、コンテナ貨物車両の重心Wの上下方向の往復運動の周期「T'」(トラクタ10のピッチング周期に対応する周期)を定式化する。

図3に示すように、車両の左右に二つの弾性体の弾性力が存在すると考えると、コンテナ貨物車両の往復運動の固有周期は以下の式により表される。
この式において、「T'」はコンテナ貨物車両の重心Wの上下方向の往復運動の周期である。「k」はサスペンション205の左右片方の弾性係数(バネ定数)である。「m」はコンテナ貨物車両の重量であり、「π」は円周率である。
次に、コンテナ貨物車両の重心Wを質点として、コンテナ貨物車両の重心Wの左右方向の単振子運動の周期「T」(トレーラトラック50のローリング周期)を定式化する。

図4に示すように、コンテナ貨物車両のローリングは、コンテナ貨物車両の重心Wの車軸の中心(図4に示した垂直中心ライン201と車軸位置ライン202との交点)を支点とした左右方向の単振子運動であることから、コンテナ貨物車両のローリング中のローリング円の接線方向における回転モーメントの釣り合いから、以下の式が得られる。
この式において、「f」はコンテナ貨物車両の重心Wに対しローリング円(回転円)の接線方向に与えられる力である。「θ」はローリング角である。「L」は車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心Wまでの長さである。「b」はコンテナ11の荷重を支えている部分の長さであり、コンテナ11毎に定められる定数である。「l(スモールエル)」は車軸からコンテナ貨物車両の重心Wまでの上下方向の長さであり、図1(b)に示す如くコンテナ11の前後方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの垂直方向の位置を表す値である。「s」は車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さであり、図1(b)に示す如くコンテナ11の前後方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの水平方向の位置を表す値である。「x」は左右のサスペンションの変位量である。「g」は重力加速度である。

つまり、ここでの「l」および「s」が求まれば、コンテナ11の前後方向(走行方向)に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの位置を導ける。
ここで、x=(b/2)sinθであるから、上述の回転モーメントの釣り合い式は、式(1)のように表すことができる。
また、この式(1)は、括弧内の三角関数を合成すれば、式(2)の如く展開される。なお、上述の式(2)において、三角関数の合成により得られるサイン関数の角度(θ+Φ)のことを、ローリング角度θ'として表している。
ところで、コンテナ貨物車両の重心Wの水平方向の位置が垂直中心ライン201上に存在すれば、重心Wのローリング(単振子運動)の中心角度「α」はゼロになる。本明細書において、この中心角度「α」とは、図4に示すように、垂直中心ライン201とローリング中心ライン206との間のなす角を指す。

一方、上述の位置が左右の何れかに偏倚していれば(つまり、「s」≠0であれば)、このローリングの中心角度「α」はゼロ以外の一定の値を持つようになる。このような状態で、トレーラトラック50が停止すれば、その中心角度「α」を保ったまま傾斜して中立する。そこで、式(1)のθを、重心Wのローリングの中心角度「α」(言い換えれば、重心Wの静止時の傾斜角度)に置き換えることにより、重心Wがローリングの中心を通る場合またはトレーラトラック50が停止する場合を想定して、式(3)が成り立つ。
この式において、「α」は、上述のとおり、コンテナ貨物車両の重心Wのローリングの中心角度であり、垂直中心ライン201とローリング中心ライン206とのなす角度である。

そこで、式(3)を、式(2)に代入して整理すれば、以下のような式になる。
ところで、上述のローリング角度θ'は、高々、数度程度の微小な値であると想定される。よって、「θ'」が充分に微小値である場合の三角関数の特性(つまり、sinθ'≒θ'の関係)から上述の式の「f」を、以下の式のように記述できる。
この式形は、Lを半径とした振子の円運動の方程式と同値であることから、
と書き直せる。
ここで、「θ'」の位相を「ω」とおくと、
となる。

また、トレーラトラック50のローリング周期をTとおくと、T=2π/ωであることから、
と書き直せる。

そして、L=√(l+s)であることから、最終的には、リーリング周期「T」について、以下の式が得られる。
このようにして、コンテナ貨物車両の重心Wの上下方向の往復運動の周期「T'」およびコンテナ貨物車両の重心Wの左右方向の単振子運動の周期「T」が導かれる。

ところで、揺動検知器14(角速度センサ14a)により検知される角速度は、通常は、角度/時間に相当する角周波数(以下、「周波数」と略す)であり、この周波数は、周期の逆数(1/周期)で表される。そこで、重心Wの上下方向の往復運動の周期「T'」に対応する、トラクタ10のピッチングの周波数を「ν’」とおき、重心Wの左右方向の単振子運動の周期「T」に対応するローリングの周波数を「ν」とおくと、上述の式は各々、
と整理できる。

ここで、式(3)、(4)および(5)の比較から理解されるとおり、中心角度「α」、周波数「ν」および周波数「ν’」が既知である場合(つまり、演算ユニット15が、揺動検知器14を用いてこれらの値「α」、「ν」および「ν’」を特定できた場合)、未知数は「l」、「s」および「k/m」の3個であり、解析的に解ける。

まず、式(4)および(5)は各々、式(6)および(7)に展開される。
ここで、式(7)に、式(6)を代入すれば、式(8)が得られる。
同様に、式(3)に、式(6)を代入すれば、式(9)が得られる。
なおここで、式(9)を式(8)に代入して「l」による二次方程式化すれば、式(10)のように書き直される。
ここで、「l」の二次係数、一次係数および定数項を特定すれば、「l」が求まり、それを式(9)に代入すれば「s」も求まる。

このようにして、これらの式(8)、(9)および(10)によれば、コンテナ11の前後方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの位置を表す値「l」および「s」のみを未知数とする単純な連立方程式の問題に帰着できることが分かる。この連立方程式では、サスペンション205の弾性係数「k」およびコンテナ貨物車両の重量「m」を入力値としないように内在化させている。つまり、サスペンション205の弾性係数「k」およびコンテナ貨物車両の重量「m」が、上述の連立方程式の定式化の過程でこれらの式から除かれている。そして、このことは、弾性係数「k」および重量「m」の計測に費やされる膨大な手間を省くことを可能にし、不特定多数のトラクタ10と不特定多数のコンテナシャーシ12との間の任意の組合からなるトレーラトラック50により、コンテナ11が日々輸送されている状況を直視すれば、その意義は極めて大きい。

次に、図1(a)および図5を用いて、コンテナ貨物車両の前後方向(走行方向)の重心Wの位置を導く方法について説明する。

以上に述べたように、コンテナ11の前後方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの位置は、式(9)および(10)の連立方程式を「l」および「s」について解くことにより導けるが、これだけでは、コンテナ貨物車両の3次元重心位置は未だ特定できていない。つまり、これらの「l」および「s」に加えて、コンテナ貨物車両の前後方向(走行方向)の重心Wの位置を求める必要がある。

このコンテナ貨物車両の前後方向の重心Wの位置は、以下のようにして導くことができる。

トレーラトラック50は、図5に示すように、コンテナシャーシ12上に載ったコンテナ11を、コンテナシャーシ12の後横梁21および前横梁20によって支える。これらの前後横梁20、21は、コンテナ11の左右方向(幅方向)に延びており、前後方向に走る縦梁(不図示)に固定されている。これにより、コンテナ11の荷重は、後横梁21および前横梁20並びに縦梁を介してコンテナシャーシ12の前部に連結されているトラクタ10と、コンテナシャーシ12の後部のサスペンション205とに分散されている。

ところで、コンテナ11を積載して走行中のトレーラトラック50では、図1(a)に示すように、路面204の凹凸による外乱の前後方向の作用中心において、このような外乱に応じて発生するローリングの強弱(振幅)が異なる。例えば、図1(a)に示すように、外乱の作用中心が重心位置から離れると、外乱に対抗するトレーラトラック50の荷重は小さくなることから、ローリングの振幅は大きくなる。逆に、外乱の作用中心が重心位置に近づくと、トレーラトラック50の大きな荷重が抗力として機能して、ローリングの振幅は小さくなる。よって、前後方向の重心Wの位置は前後横梁20、21の間にあると見做せることから、ローリングの振幅が増加する方向にローリング現象が顕著に現れる外乱の作用中心は、コンテナ11の前後部に対応するコンテナシャーシ12の前後横梁20、21の位置であると考えられる。

ここで、コンテナシャーシ12の前部とトラクタ10との間は、コンテナシャーシ12の前横梁20より短いカプラ13と呼ばれる円盤形の連結部材により連結されている。カプラ13の直径は、通常は、コンテナシャーシの前横梁20の長さの半分にも満たない。このため、コンテナ11を積載するコンテナシャーシ12に対するトラクタ10との連結部支えの左右方向の長さは、実際上、コンテナシャーシ12の前横梁20の長さではなく、カプラ13の直径「b」である。

なお、ここでは、コンテナシャーシ12が連結されるカプラ13の直径「b」が、3次元重心位置の導出に欠くことができない必須事項であるが、第2実施形態のコンテナ貨物車両の横転限界速度では、カプラ13による、トラクタ10とコンテナシャーシ12との間の一点連結状態(図13の連結点「E」参照)が重要な意味をなしている。つまり、上述の直径「b」を構成する部材および上述の連結点「E」を構成する部材は何れも、カプラ13であるが、これらの技術的な意義は異なっている。なお、連結点「E」の技術的な意義については、後程詳しく説明する。

このような状況下において、式(5)を参酌すれば、「k/m」が一定値であれば、ローリングの周波数「ν」は、コンテナ貨物車両の重心Wの位置を表す値「l」および「s」とコンテナ11を支えている部分の長さ「b」に依存する。上述のとおり、この長さ「b」は、コンテナシャーシ12の前後部で相違することから、ローリングの振幅が増加する方向にローリング現象が顕著に現れる極大ピーク振幅(凸状ピークの頂点)は、2つ存在すると考えられる。

つまり、このような極大ピーク振幅には、コンテナシャーシ12の前部とトラクタ10との連結部材としてのカプラ13に由来する極大ピーク振幅と、コンテナシャーシ12の後部に位置する後横梁21に由来する極大ピーク振幅と、がある。そして、式(5)の参酌から、後者の極大ピーク振幅に対応する周波数の方が、前者のそれより大きくなる。

また、これらの周波数の間に、ローリングの振幅が減少する方向にローリング現象が現われ難い極小ピーク振幅(凹状ピークの谷間)がある。この極小ピーク振幅が、コンテナ貨物車両の前後方向の重心Wに由来するピークである。

次に、以上のような原理に基づいて、コンテナ貨物車両の前後方向の重心Wの位置を導くための定式化を図る。
ローリングの周波数「ν」とコンテナ11を支えている部分の左右方向の長さ「b」との間の関係は、式(5)によれば、
と表される。

ここで、ローリングの周波数「ν」と左右方向の長さ「b」以下は定数項として、CとCとしてまとめてしまうと、式(11)のように略して表される。
よって、コンテナ11の前後部に外乱が作用した場合の双方のローリングの周波数「ν」と、両者の位置においてコンテナ11を支えている部分の左右方向の実質的な長さが得られれば、CおよびCを求めることができ、式(11)は、任意のローリングの周波数「ν」に対して、左右方向の長さ「b」を導ける方程式になる。

ここで、コンテナ11の前後部のそれぞれに対応する、左右方向の長さ「b」とローリングの周波数「ν」との組合せを、それぞれ(b、ν)、(b、ν)とおけば、
と組める。そして、この連立方程式を解くと、式(12)が得られる。
この式(12)において、「b」はコンテナ11の後部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さであり、定数として決まる値である。「b」はコンテナ11の前部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さであり、トラクタ10のカプラ13の直径「b」とから幾何学的に定数として決まる値である。「ν」は、コンテナ11の前部において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数である。「ν」は、コンテナ11の後部において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数である。

次に、コンテナ貨物車両の前後方向の重心Wの位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」を特定する。

この長さ「b」は、周波数「ν」、「ν」および「ν」が何れも既知である場合(つまり、演算ユニット15が、揺動検知器14を用いて、周波数「ν」、「ν」および「ν」を特定できた場合)、式(13)により求まる。なお、「ν」は、重心Wの位置において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合のローリングの周波数である。
ここで、図5から理解されるとおり、コンテナ11の前部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」と、トラクタ10カプラ13の直径「b」と、重心Wの位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」と、コンテナ11の前部からカプラ13の中心までの長さ「k」と、コンテナ11の前部から重心Wの位置までの長さ「k」と、コンテナ11の前後方向の長さ「p」との間の幾何学的な関係は、線形比として表現することができる。そこで、この関係を定式化すると、式(14)が得られる。
式(14)において、式(13)により求めた、コンテナ貨物車両の前後方向の重心Wの位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」を代入すれば、このコンテナ11の前部から重心Wの位置までの長さ「k」が導ける。
更に、この長さ「k」に対応する、コンテナ11の前後方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の重心Wの位置を表す値「l」および「s」は、上述の長さ「b」を、式(10)中の「b」に用いて、式(9)と併せて導ける。
以上のような力学理論により、本実施形態の重心検知装置100は、コンテナ貨物車両の3次元空間上の重心Wの位置を表す3つの数値「l」、「s」および「k」を全て取得できる。

次に、本実施形態の重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の検知動作の一例について図面を参照しながら説明する。

図6は、本実施形態の重心検知装置による3次元重心位置の検知ルーチンを示したフローチャートである。演算ユニット15の操作設定/表示部15cの電源スイッチが押されると、操作設定/表示部15cの表示画面(不図示)には複数のメニューが表示される。そして、操作設定/表示部15cの適宜のボタン操作により、トレーラトラック50の走行中に、以下の3次元重心位置の検知動作を開始することができる。なお、本検知動作を以下のように実行するにあたり、作業者(例えばトラクタ10の運転者や同乗者)が行う必要がある指示内容は、操作設定/表示部15cの表示画面にメッセージ表示される。3次元重心位置の検知動作が選択されると、演算ユニット15の演算部15aは、記憶部15bから3次元重心位置検知用の演算プログラムおよび予め記憶された適宜の定数を読み出し、この演算プログラムが、以下の処理を演算部15a、記憶部15bおよび操作設定/表示部15cを制御しながら実行する。

なお、この定数には、例えば、コンテナ11の前後方向の長さ「p」と、トラクタ10のカプラ13の直径「b」と、コンテナ11の前部からカプラ13の中心までの長さ「k」と、コンテナ11の後部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」と、重力加速度「g」と、円周率「π」と、がある。
標準仕様の40フィートの海上コンテナでは、定数「p」、「b」、「k」および「b」は、標準値になっている場合が多く、当該定数「p」、「b」、「k」および「b」を記憶部15bに予め記憶させる方が、上述の定数の確認作業や入力作業が省けて好適である。

なお、3次元重心位置の検知動作を実行する度に、作業者が、演算ユニット15の操作設定/表示部15cを介して、これらの定数「p」、「b」、「k」および「b」を記憶部15bに入力するという制御法を採用しても良い。

まず、コンテナ貨物車両の3次元重心位置検知の準備段階動作として、貨物を搭載したコンテナ11をコンテナシャーシ12とともに牽引するトラクタ10が、路面204を走行する(ステップS601)。揺動検知器14による角速度データ測定中に、トレーラトラック50が偶に交差点の曲路を通過してもデータの精度にさしたる支障はないが、コンテナ貨物車両の重心Wのローリングの中心角度「α」を適切に推定する観点から、トレーラトラック50は、通常の車の流れに合わせて直進走行する方が好ましい。

そして、路面204の適度の凹凸により、ランダムな外乱がサスペンション205を通してトレーラトラック50の車体(コンテナ11)に伝わり、これにより、揺動検知器14が、コンテナ貨物車両の自重方向および幅方向の揺れを検知できる。

なお、付言するに、上述の従来技術の中には、トラックの曲路走行中のデータ(例えば遠心力や横加速度)を意図的に検知しようとする例(例えば特許文献1、5および6)があるが、このような手法は、却って、トラックの曲路走行中(データ取得時)にトラックの走行不安定(最悪の場合、トラックの横転)を招く可能性があり、本当に実用可能か疑問である。

作業者(例えばトラクタ10の運転者や同乗者)の操作設定/表示部15cのボタン操作により、3次元重心位置の検知動作が開始すれば、揺動検知器14の角速度センサ14aにより、重心Wの上下方向の往復運動に対応するピッチングおよび重心Wのローリング(左右方向の単振子運動)の角速度データがアナログ信号として計測される(ステップS602)。そして、このアナログの角速度データは、演算ユニット15(演算部15a)により、記憶部15bに予め記憶された一定のサンプリング期間毎(例えば0.01S(秒)毎)に、揺動検知器14のA/D変換器14bを経たデジタル信号としてサンプリングされ(ステップS603)、サンプリングされたデジタルの角速度データは、時系列データとともに記憶部15bに記憶される(ステップS604)。なおここでは、角速度センサ14aによる角速度データの検知例を述べたが、車の流れに乗って車両が直進している状況では、ローリングの状態は、sinθ=θと仮定できるので、角速度センサに代えて、速度センサにより速度データを検知しても良い。

次に、演算部15aは、角速度センサ14aによる角速度データの計測を終了して良いか否かを判定する(ステップS605)。演算部15aが、角速度データの計測を終了して良いと判定した場合(ステップS605において「Yes」の場合)、次の処理ステップ(ステップS606以降)に進み、角速度データの計測を終了して良いと判定しなかった場合(ステップS6605において「No」の場合)、上述のステップS602〜604の動作が継続される。

このような計測終了の良否判定は、記憶部15bに予め記憶された必要なトータルサンプル個数と上述のサンプル時間とから導かれる、所定の計測時間を基準にしてなされても良い。例えば、後述の第1検証実験の結果からサンプリングの統計誤差が充分に小さくなるサンプル個数が4096個(FFTが2の整数乗の個数を対象とした分析であることから、ここでは、212個を例示)であり、サンプル時間が0.01Sである場合、最低限必要な計測時間は、4096×0.01S≒40Sとなる。よってこの場合、演算部15aは、角速度センサ14aによる角速度データの計測開始時から40S以上、経過したら、角速度データの計測を終了して良いと判定する。なお、トレーラトラック50の走行中、リアルタイムにコンテナ11の3次元重心位置を更新するような使用形態を想定すれば、この計測時間はなるべく短い方が好ましい一方、短過ぎると、サンプル個数が少なく統計誤差が増える。後述の第1検証実験の結果によれば、2分間を目安としてデータ計測すれば統計誤差を抑えた安定なデータが得られた。

また、このような判定動作に代えて、作業者による操作設定/表示部15cの計測終了用ボタン操作の有無に基づいて、演算部15aが、角速度データの計測終了の良否を判定しても良い。

なお、以上のような短時間の角速度データの測定は、角速度データの測定期間中、サスペンション205の弾性係数「k」およびコンテナ貨物車両の重量「m」が不変であるという前提条件の下、これらの数値「k」、「m」を、上述の連立方程式の定式化において除ける根拠になる。

つまり、仮に角速度データの測定時間が長いとすれば、路面の凹凸状態や気象条件(例えば風速)等の外乱の大幅な変化に起因して、上述の数値「k」、「m」が、角速度データの測定期間中、不変であるという前提条件を満たさなくなる場合がある。

角速度センサ14aによる角速度データの計測が終了したら、演算部15aは、記憶部15bに記憶された時系列の角速度データに対し高速フーリエ変換(FFT)をかけて、この角速度データを周波数に対する振幅のデータに変換する(ステップS606)。

これにより、ローリングの周波数と、ローリングの振幅との相関関係を示した分布(以下、「ローリング周波数/振幅分布」と略す)から、上述の力学理論に基づき周波数「ν」、「ν」および「ν」が特定される(ステップS607)。また、ピッチングの周波数と、ピッチングの振幅との相関関係を示した分布(以下、「ピッチング周波数/振幅分布」と略す)から、上述の力学理論に基づき周波数「ν’」が特定される(ステップS607)。
つまり、ローリングの周波数の低い方の値から見て、ローリングの極大ピーク振幅(頂点)に対応する周波数を2つ選ぶとともに、これらの極大ピーク振幅の間(本実施形態では、ほぼ中間)に位置する極小ピーク振幅(谷間)に対応する周波数を選べば良い。そうすれば、これらの選択された3つの周波数は、低い方から順番に、周波数「ν」、周波数「ν」および周波数「ν」に相当する。一方、ピッチングの最大振幅に対応する周波数を、周波数「ν’」として選べば良い。

なお、上述の周波数の数学的な抽出法は、既に多数提案されていることから、ここでは詳細な説明を省略するが、トレーラトラック50の走行中、リアルタイムにコンテナ貨物車両の3次元重心位置を更新するような使用形態を想定すれば、周波数抽出を短時間で行える方法が好ましい。
次に、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「b」および「b」を読み出し、ステップS607により得られた周波数「ν」「ν」および「ν」を用いて、式(13)により、重心Wの位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」を演算する(ステップS608)。
式(13)において「b」はコンテナ11の後部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さであり、定数として決まる値である。「b」はコンテナ11の前部の位置における、コンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さであり、トラクタ10のカプラ13の直径「b」とから幾何学的に定数として決まる値である。「ν」は、コンテナ11の前部において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数である。「ν」は、コンテナ11の後部において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数である。「ν」は、重心Wの位置において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合のローリングの周波数である。

次に、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「p」、「k」および「b」を読み出し、ステップS608により得られた長さ「b」を用いて、式(14)により、コンテナ11の前部から重心Wの位置までの長さ「k」を演算する(ステップS609)
式(14)において、「p」はコンテナ11の前後方向の長さである。「k」はコンテナ11の前部からカプラ13の中心までの長さである。「b」はトラクタ10のカプラ13の直径である。

次に、演算部15aは、記憶部15bに記憶された時系列の角速度データを読み出す。これにより、ローリングの振幅(角度)の時間変化を表した分布(以下、「ローリング振幅の経時変化」と略す)から、ローリング振幅の経時変化の時間平均値に相当するコンテナ貨物車両の重心Wのローリングの中心角度「α」が特定される(ステップS610)。

そして、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「g」および「π」を読み出し、ステップS607により得られた周波数「ν」および「ν’」並びにステップS610により得られた中心角度「α」並びにステップS608により得られた長さ「b」を用いて、上述の式(10)に対応する式(10')により(つまり、式(10)の「ν」を式(10')では「ν」とし、式(10)の「b」を式(10')では「b」としている)、上述の「k」の位置の垂直な断面における車軸からコンテナ貨物車両の重心Wまでの上下方向の長さ「l」を演算する(ステップS611)。
式(10')において、「g」は重力加速度である。「π」は円周率である。「α」はコンテナ貨物車両の重心Wのローリングの中心角度である。「ν’」はピッチング周波数である。「ν」は重心Wの位置において路面204から垂直方向に外乱が作用した場合のローリングの周波数である。「b」はコンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さである。

次に、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「g」および「π」を読み出し、ステップS607により得られた周波数「ν’」並びにステップS610により得られた中心角度「α」並びにステップS608により得られた長さ「b」並びにステップS611により得られた長さ「l」を用いて、上述の式(9)に対応する式(9')により(つまり、式(9)の「b」を式(9')では「b」としている)、上述の「k」の位置の垂直な断面における車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さ「s」を演算する(ステップS612)。
式(9')において、「g」は重力加速度である。「π」は円周率である。「α」はコンテナ貨物車両の重心Wのローリングの中心角度である。「ν’」はピッチング周波数である。「b」はコンテナ11を支えている部材の左右方向の実質的な長さである。「l」は「k」の位置の垂直な断面における車軸からコンテナ貨物車両の重心Wまでの上下方向の長さである。

その後、演算部15aは、ステップS609により得られた長さ「k」、ステップS611により得られた長さ「l」およびステップS612により得られた長さ「s」を、操作設定/表示部15cの表示画面に表示させ(ステップS613)、一連の3次元重心位置の検知ルーチンを終える。

以上に述べたように、本実施形態の重心検知装置100は、貨物を搭載可能なコンテナ11と、コンテナ11を載せるコンテナシャーシ12と、コンテナシャーシ12を牽引するトラクタ10と、を有するトレーラトラック50と、このトレーラトラック50の直進走行時のコンテナ貨物車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する2軸の角速度センサ14aと、演算ユニット15と、を備えてなり、この演算ユニット15が、上述の揺れに相関する物理量(正確には揺れの周波数や中心角度)に基づいて、コンテナ貨物車両の3次元空間上の重心位置を導けるよう、構成されている。

このコンテナ貨物車両の3次元重心位置は、積載状態が不明なコンテナ貨物の、偏荷重の度合いを直接に反映する貴重なデータであり、これにより、コンテナの扉開封時の貨物の荷崩れ落下やコンテナ輸送車両の曲路における不安定走行の未然防止に資することができる。

特に重心検知装置100によれば、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な力学理論に基づきコンテナ貨物車両の3次元重心位置が導かれており、その信頼性は極めて高い。そして、このことは、後述の実車実験による第1検証結果により裏付けられている。

更に、本実施形態の重心検知装置100は、以下のような様々な効果をも奏する。

重心検知装置100のコンテナ貨物車両の3次元重心位置の演算には、サスペンション205の弾性係数「k」およびコンテナ貨物車両の重量「m」を考慮する必要がない。このことは、弾性係数「k」および重量「m」の計測に費やされる膨大な手間を省くことを可能にするとともに、トレーラトラック50のメーカ、年式および老朽度等不確定要因に関係なく、任意のトレーラトラック50(つまり、不特定多数のトラクタ10と、不特定多数のコンテナシャーシ12と、不特定多数のコンテナ11との間の任意の組合せ)への本技術の普遍的な適用を容易にする。

また、トレーラトラック50を通常の車の流れに合わせて任意走行(好ましくは直進走行)させれば、重心検知装置100は、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の演算できる。よって、演算用データ取得作業が簡易に行え、上述の従来技術(例えば特許文献1、5および6)の如く曲路走行時のデータを取る必要もなく好適である。

また、重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の演算には、トラクタ10の適所に2軸の角速度センサ14aを、簡易な手段(接着剤接合やボルト止め;不図示)により僅か1個、配置すれば足りる。言い換えれば、コンテナ輸送業務に取り扱われる多量のコンテナ11およびコンテナシャーシ12には、何等の措置も施す必要がなく好適である。

第1実施形態の重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法の妥当性を裏付ける目的で、2006年4月12日に神戸港ポートアイランドの公道で、実車による第1検証実験(重心位置測定)を行った。なお、本検証実験では、本技術が公知にならないよう、本技術の理論式をパーソナルコンピュータの内部メモリにプログラムとして記憶させブラックボックス化してなされている。

本検証実験の手順は次のとおりである。

まず、標準的な40フィートコンテナ中に、実験用のダミー貨物を約9.5トン(約9.5×10キログラム)積載する。ダミー貨物の積載状態については、コンテナの前部から重心の位置までの長さ「k」と、この「k」の位置の垂直な断面における車軸からコンテナ貨物車両の重心までの上下方向の長さ「l」と、この「k」の位置の垂直な断面における車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心までの左右方向の長さ「s」と、が、以下のように調整されている。

「k」=6.10m
「l」 =1.91m
「s」 =0

本重心検知装置100による3次元重心位置の演算精度や理論的妥当性を見極める一手段として、ここでは、「s」=0としている。つまり、ほぼ全ての一般道は、センターから路端にかけて僅かに傾斜している。このため、コンテナの左右の中心位置にダミー貨物を積載したとしても、一般路を走行中のコンテナ貨物車両の重心位置は、この傾斜によりコンテナの左右中心から少しだけ逸れるはずである。このような僅かな傾斜が、本検証実験において検知されれば、本重心検知装置100による3次元重心位置の優れた演算精度を間接的に証明することになる。

なおここでは、詳細な説明は省略するが、ダミー貨物の積載状態を順次変えて実験を繰り返し、ダミー貨物の重心位置を左右にずらしている場合(つまり、「s」≠0の場合)であっても、信頼性の高い3次元重心位置を検知可能であることを確認している。

次に、このダミー貨物をコンテナとともにコンテナシャーシに載せ、これをトラクタにより牽引させる。なお、トラクタは、神戸港ポートアイランド内のコンテナ輸送車両が行き来する一般道の直線路を、車の流れに合わせて数分間走った。そして、この走行中、パーソナルコンピュータにより、トラクタに配置された角速度センサから出力される角速度のデジタル信号がサンプリングされ、このデジタル信号はこのパーソナルコンピュータの内部メモリに、時系列データとともに順次記憶される。なお、サンプリングは、0.01秒間隔でなされた。

次に、パーソナルコンピュータにより、高速フーリエ変換(FFT)をかけた後の角速度のデジタル信号を用いて、ローリング周波数/振幅分布、ピッチング周波数/振幅分布およびローリング振幅の経時変化がコンピュータ画面に表示される。

図7は、横軸に周波数(Hz)をとり、縦軸に振幅(角速度)をとって、ローリング周波数/振幅分布の一例を示した図である。図8は、横軸に周波数(Hz)をとり、縦軸に振幅(角速度)をとって、ピッチング周波数/振幅分布の一例を示した図である。図9は、横軸に時間(秒)をとり、縦軸にローリング振幅とって、ローリング振幅の経時変化の一例を示した図である。

図7および図8に示すように、パーソナルコンピュータは、適宜の数学的な抽出法により、ピーク振幅に対応する周波数として、コンテナの前部において路面から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数「ν」と、コンテナの後部において路面から垂直方向に外乱が作用した場合に発生するローリングの周波数「ν」と、重心の位置において路面から垂直方向に外乱が作用した場合のローリングの周波数「ν」と、ピッチングの最大振幅に対応する周波数「ν’」と、以下のように抽出している。また、図9に示すように、パーソナルコンピュータは、重心のローリングの中心角度「α」を、以下のように算出している。

「ν」 =0.195Hz
「ν」 =0.550Hz
「ν」 =1.160Hz
「ν’」=1.489Hz
「α」 =1.030deg

次に、パーソナルコンピュータは、コンテナ、トラクタおよびコンテナシャーシに固有の定数を用いて、内部メモリに記憶された理論式により、コンテナの前部から重心の位置までの長さ「k」と、この「k」の位置の垂直な断面における車軸からコンテナ貨物車両の重心までの上下方向の長さ「l」と、この「k」の位置の垂直な断面における車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心までの左右方向の長さ「s」と、を推定演算する。この推定演算の結果は、ダミー貨物の実測値と比較可能なように、下記の表1にまとめられている。

なお、上述の定数には、コンテナの前後方向の長さ「p」と、トラクタのカプラの直径「b」と、コンテナの前部からカプラの中心までの長さ「k」と、コンテナの後部の位置における、コンテナを支えている部材の左右方向の実質的な長さ「b」と、がある。各々の具体的な数値は以下のとおりである。

「p」 =12.192m
「b」=0.915m
「b」=2.438m
「k」=0.076m
表1に示した推定演算値と実測値との比較から理解されるとおり、本実施例の推定演算値は、実測値の測定誤差範囲内で実測値とほぼ完全に一致している。よって、第1実施形態の重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置導出法の妥当性が、本検証実験により裏付けられた。
実測値の測定誤差には、例えば、ダミー貨物寸法やコンテナ内の積載位置をメジャーで測った際の読み取り誤差がある。そうであれば、寧ろ、純粋な力学理論に基づく本実施例の推定演算値の方が、実測値に比べて誤差混在の可能性が少ないと考えられることから、実測値よりも真の重心位置を表しているようにも推定される。
また、車軸の中心からコンテナ貨物車両の重心までの左右方向の長さ「s」が、7センチと演算された理由のひとつとして、上述の一般道の僅かな傾斜が想定される。これにより、本重心検知装置100の高い演算精度が間接的に証明され、仮に路面が傾斜しても、そのまま、何等補正を行う必要なく、本技術を適用できると期待される。

(第2実施形態)

図10は、第2実施形態による横転限界速度予測装置の構成例を示した概略図である。図10(a)は、この予測装置を、コンテナ貨物車両の幅方向(側面)から見た図であり、図10(b)は、この予測装置を、コンテナ貨物車両の後側から見た図である。

なお、以下に述べる説明の便宜上、図面において、コンテナ貨物車両の自重のかかる方向を「上下方向」とし、コンテナ貨物車両の幅方向を「左右方向」とし、コンテナ貨物車両の走行方向を「前後方向」とする。
また、本実施形態による横転限界速度予測装置110については、第1実施形態の重心検知装置100と同じ構成要素には、同一の符号を付している。よって、第1実施形態で述べた重心検知装置100の内容と重複する記載については、適宜省略する。

横転限界速度予測装置110は、図10に示す如く、トレーラトラック50と、データ検出部114と、演算ユニット115と、を備える。
図11は、本実施形態による横転限界速度予測装置中のデータ検出部および演算ユニットの内部構成の一例を示したブロック図である。

データ検出部114は、トレーラトラック50の左右方向の中央であって、トラクタ10側の輸送業務に支障の無い場所(例えば、図10に示したカプラ13の近傍)に固着されている。演算ユニット115は、トラクタ10の運転室内の適所に配置されている。そして、両者は、適宜のデータ入出力ポート(不図示)を介して有線通信や無線通信等によりデータ送信可能なように接続されている。

データ検出部114には、第1実施形態で述べた揺動検知器14の構成要素と同じ機器が内蔵されている。つまり、データ検出部114は、図11に示すように、トレーラトラック50の走行時のコンテナ貨物車両の上下方向および幅方向の揺れを検知するよう、角速度の感度軸が調整された2軸(2次元)の角速度センサ14aと、この角速度センサ14aから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(アナログ/デジタル)変換器14bと、を備える。

また、データ検出部114は、地域のITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)から、アンテナ114cを介して各種の交通無線情報を受信し、この無線情報を演算ユニット115に与える受信機114dも備える。本実施形態の交通無線情報として、トレーラトラック50が走る予定の路面204の状態、例えば、曲路204cの曲率半径の無線情報がある。
演算ユニット115は、図11に示すように、マイクロプロセッサ等からなる演算部115aと、ROM(リードオンリーメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等からなる記憶部115bと、操作設定/表示部115cと、を備える。このような演算ユニット115としては、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ等の情報携帯端末がある。

記憶部115bは、第1実施形態で述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置を適切に導くための演算プログラムや当該演算に必要な各種の入力用の定数の他、後述のコンテナ貨物車両の横転限界速度を適切に導くための演算プログラムや当該演算に必要な各種の入力用の定数(後述)を記憶している。
演算部115aは、第1実施形態で述べた内容と同様に、記憶部115bに予め記憶されている3次元重心位置検知用の演算プログラムに従って動作し、角速度センサ14a(A/D変換器14b)から出力されたデジタル信号に基づいてコンテナ貨物車両の3次元重心位置を導くことができるが、ここでは、その詳細な説明は省略する。

また、演算部115aは、後述のとおり、記憶部115bに予め記憶されている横転限界速度予測用の演算プログラムに従って動作し、例えば、上述の3次元重心位置を用いて、コンテナ貨物車両が走る曲路204cの曲率半径に応じたコンテナ貨物車両の横転限界速度を導くことができる。更に、演算部115aは、トレーラトラック50が走る予定の曲路204cの曲率半径の無線情報を、逐次、受信機114dから取得することができる。
操作設定/表示部115cは、上述の入力用の定数の設定ボタンを配設した操作部(例えばキーボード;不図示)と、演算部115aから出力されたコンテナ貨物車両の横転限界速度についての出力データを、作業者が認識できるように表示通知や音声通知する通報装置(例えば液晶パネル画面やスピーカ;不図示)と、を備える。つまり、演算部115aは、上述の横転限界速度を、操作設定/表示部115cを用いて作業者(運転者や同乗者)に予め通報するように構成されている。

次に、コンテナ貨物車両の横転限界速度の導出法について図面を参照しながら詳しく説明する。

図12および図13は何れも、本実施形態の横転限界速度予測装置によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の導出法を説明する模式図である。図12は、トレーラトラックが曲路を右旋回する場合について、トレーラトラック(コンテナ貨物車両)を後から見た図である。つまり、トレーラトラック50の左側の車輪が旋回外輪に相当し、トレーラトラック50の右側の車輪が旋回内輪に相当している。

また、図13(a)は、トレーラトラックが曲路を右旋回する場合について、トレーラトラックの自重のかかる上下方向から見た図であり、同図(b)は、トレーラトラックの幅方向に相当する左右方向から見た図である。

なお、図12および図13では、横転限界速度予測装置110の構成については、横転限界速度の導出法が理解し易くなるように、簡略乃至省略して図示している。

まず、図12を用いて、コンテナ貨物車両の前後方向(走行方向)に垂直な断面において、コンテナ貨物車両が傾く(最悪の場合、横転する)場合の速度条件について説明する。

トレーラトラック50が、曲路204cを曲がる際に、コンテナ貨物車両の重心Wに横向きにかかる力F(遠心力F)が、コンテナ貨物車両の重力との関係で一定の値を超えれば、トレーラトラック50が、トレーラトラック50の旋回外輪の幅方向の外端300を中心とし、外端300から重心Wまでの距離「R」を半径とした円の周囲に沿って傾くと考えられる。

コンテナ貨物車両にかかる遠心力Fとコンテナ貨物車両の重力との間のモーメントの釣り合いから、トレーラトラック50が、上述の外端300を中心とし、距離「R」を半径とした円運動(回転)し始める場合の以下の不等式(1)が得られる。
不等式(1)において、「m」はコンテナ貨物車両の重量であり、「g」は重力加速度である。また、「b」はコンテナ貨物車両の幅寸法であり、第1実施形態で述べた、コンテナ11の荷重を支えている部分の長さと等価な値である。なお、この幅寸法「b」は、コンテナ貨物車両の固有値(コンテナ貨物車両毎に特定される固有の数値;以下、同じ)である。

また、「V」はトレーラトラック50(コンテナ貨物車両)の走行速度であり、「r」は曲路204cの曲率半径であり、「a」は曲路204cの路面204から重心Wまでの高さであり、「s」は垂直中心ライン201からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さである。
上述の不等式(1)によれば、コンテナ貨物車両の旋回外輪の外端300を中心としてコンテナ貨物車両が回転に至る場合の速度が、コンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面についてのコンテナ貨物車両の重心位置を用いて、曲路204cの曲率半径「r」との関係で求まることになる。

なお、車軸位置ライン202からコンテナ貨物車両の重心Wまでの上下方向の長さ「l」と、垂直中心ライン201からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さ「s」と、が、第1実施形態で述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法に基づいて既知とすれば、距離「R」の垂直成分に相当する路面204から重心Wまでの高さ「a」は、コンテナ貨物車両の固有値(車輪の幅や車軸の高さ)を基にして幾何学的に容易に導出できる。

次に、図13を用いて、コンテナ貨物車両の自重方向に垂直な断面(この面を、以下、便宜上、「水平面」という)において、コンテナ貨物車両が回転に至る速度条件について説明する。

トレーラトラック50が、曲路204cを曲がる際に、トレーラトラック50の水平中心ライン207に沿って、トレーラトラック50に遠心力「F」が均等に与えられれば、仮に曲路204cの路面204が滑り易い状態であっても、トレーラトラック50は、曲路204cの水平面内を横滑りするに過ぎない。この場合、最終的には、トレーラトラック50の曲路204cからのコースアウトの問題に帰結すると考えられる。

ところが、トレーラトラック50の水平中心ライン207に沿って、トレーラトラック50に与えられる遠心力「F」のバランスが、何等かの要因(例えば、前後のブレーキのかかり具合の違いや前後のタイヤの状態の違い)により崩れた場合、水平面内のトレーラトラック50の走行運動形態は複雑になる。

本件発明者は、鋭意研究の結果、このような走行運動の場合、トラクタ10とコンテナ貨物車両(コンテナシャーシ12)の折れ曲がり(ジャックナイフ)の誘発の他、上述のコンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面おけるコンテナ貨物車両の回転運動とは独立して、水平面内の回転運動が同時に作用して、これらの運動力が偶然かつ瞬間的にコンテナ貨物車両を傾かせる方向に一致してしまう場合があることを見出した。

このような水平面内の回転運動の定式化について、図13を参照しながら順を追って述べる。

まず、図13に記載した各符号の意味合いについて説明する。

図13において、「W」は、コンテナ貨物車両の重心である。また、「I(ラージアイ)」は、トラクタ10の前輪の路面204への接地点である。つまり、この接地点「I」は、トラクタ10の前輪の車軸中心部直下の路面204上に位置している。
「C(ラージシー)」は、トラクタ10の後輪の路面204への接地点である。つまり、この接地点「C」は、トラクタ10の後輪の車軸中心部直下の路面204上に位置している。

「D」は、コンテナシャーシ12の車輪の前後方向中央部の、路面204への接地点である。つまり、接地点「D」は、前後方向に2列に並んだ車輪の前後方向中央部直下の路面204上に位置している。なお、ここでは、コンテナシャーシ12の車輪が、前後方向に2列に並んだ構成を例示しているが、これに限らない。コンテナシャーシ12の車輪が、前後方向に1列であってもよく、前後方向に3列以上並んでもよい。このような場合にも、接地点「D」を、前後方向に並んだ車輪の前後方向中心部(1列の場合は、車軸中心部)を基準にして定めればよい。

「E」は、トラクタ10とコンテナシャーシ12(コンテナ貨物車両)との間の連結点であり、上述のとおり、図1および図10に図示したカプラ13の点状の連結位置に対応するものである。「a」は曲路204cの路面204から重心Wまでの高さである。「s」はコンテナ貨物車両の水平面における水平中心ライン207(図12の垂直中心ライン201)から重心Wまでの左右方向の長さである。「b」はコンテナ貨物車両の幅寸法である。

また、「c(スモールシー)」は、接地点「C」から重心Wまでの前後方向の長さである。「d」は接地点「D」から重心Wまでの前後方向の長さである。「e」は連結点「E」から接地点「C」までの前後方向の長さである。「f」は接地点「I」から連結点「E」までの前後方向の長さである。「L」は接地点「C」から接地点「D」までの前後方向の長さ(言い換えれば、接地点「C」および重心W間の距離と、重心Wおよび接地点「D」間の距離と、の和;長さ「c」+長さ「d」)である。これらの前後方向の長さのうちの長さ「e」、長さ「f」および長さ「L」は、コンテナ貨物車両の固有値である。

なお、コンテナ11の前部から重心Wの位置までの長さ「kg」が、第1実施形態で述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法に基づいて既知とすれば、接地点「C」から重心Wまでの前後方向の長さ「c」、および、接地点「D」から重心Wまでの前後方向の長さ「d」は、コンテナ貨物車両の固有値(車輪の位置など)を基にして幾何学的に容易に導出できる。

また、図13(a)には、コンテナ貨物車両の重心Wにかかる遠心力「F」が、接地点「I」にかかる遠心力「Fi」の成分と、接地点「C」にかかる遠心力「Fc」の成分と、接地点「D」にかかる遠心力「Fd」の成分と、連結点「E」にかかる遠心力「Fe」の成分と、に分けられるようにして示されている。また、これらの遠心力「Fi」、遠心力「Fc」、遠心力「Fd」および遠心力「Fe」に対する路面204や連結点「E」のカプラ13(図13では図示せず)からの抗力(反力)も点線矢印により示されている。

上述の遠心力「F」は、F=mV/r(m:コンテナ貨物車両の重量、r:曲路204cの曲率半径、V:コンテナ貨物車両の走行速度)であり、この遠心力「F」が、コンテナシャーシ12における接地点「D」での反力、および、連結点「E」を通してトラクタ10に伝わる接地点「I」および接地点「C」での反力の和に釣り合っている場合、トレーラトラック50を水平面内において回転させるモーメントは何等生じない。

ところが、逆に、この釣り合いのバランスが崩れると、トレーラトラック50の可動部である連結点「E」を中心として、コンテナ貨物車両が水平面内を円運動するような回転要素が生まれる。これにより、コンテナ貨物車両の重心Wにおけるその円運動軌跡の接線方向が、上述のコンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面における、コンテナ貨物車両を傾かせる力の方向に瞬間かつ偶発的に一致する場合がある。つまり、水平面内のコンテナ貨物車両の回転運動と、コンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の回転運動と、が、コンテナ貨物車両を傾かせる方向に重畳的に作用する場合があると考えられる。このため、コンテナ貨物車両の横転の適切な予測には、水平面内のコンテナ貨物車両の回転運動を考慮に入れることが不可欠であるとの結論に至った。

換言すれば、コンテナ貨物車両の横転現象を適切に定式化するには、コンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面についての重心Wの位置を用いた、コンテナ貨物車両の回転運動の定式化(不等式(1)参照)の他、後述のとおり、コンテナ貨物車両の走行方向についての重心Wの位置を用いた、コンテナ貨物車両の回転運動の定式化が必要であると考えられる。そして、このことが、コンテナ貨物車両の3次元重心位置検知の重要性を何等認識できていない上述の従来技術に対し、本実施形態による横転限界速度予測装置110の課題解決原理を特徴づける決定的な相違点であると言える。

図13において、トレーラトラック50に与えられる力とモーメントのバランスを考慮すると、トレーラトラック50のうちのコンテナシャーシ12(コンテナ貨物車量)にかかる遠心力とその反力とが釣り合っている場合には、以下の関係が成り立つ。
よって、これらの式を展開すると、遠心力「Fd」は以下のように表される。
また、遠心力「Fe」は、以下のように表される。
次に、トレーラトラック50のうちのトラクタ10にかかる遠心力とその反力とが釣り合っている場合には、以下の関係が成り立つ。
よって、遠心力「Fi」は、以下のように表される。
また、遠心力「Fc」は、以下のように表される。
以上により、コンテナ貨物車両の重心Wにかかる遠心力「F」の各成分である遠心力「Fd」、遠心力「Fe」、遠心力「Fi」および遠心力「Fc」が、遠心力「F」およびコンテナ貨物車両の走行方向についての重心Wの位置により定式化された。

次に、トレーラトラック50を水平面内で回転させようとするモーメントが生じる場合について検討する。

以上に述べた定式化の段階においては、トレーラトラック50のモーメントのバランスにより、上述の遠心力「Fd」、遠心力「Fe」、遠心力「Fi」および遠心力「Fc」を割り出している。つまり、トレーラトラック50が水平面内で回転しない段階では、トレーラトラック50のモーメントの釣り合いが成立していると仮定しており、この場合、各遠心力「Fd」、「Fe」、「Fi」、「Fc」とそれらの抗力も当然釣り合っている。

次に、トレーラトラック50が水平面内で回転し始める段階では、トレーラトラック50のモーメントの釣り合いが崩れることになるが、このモーメントを崩す要因を正確に見極める必要がある。仮にトレーラトラック50の長さが伸縮するとすれば、理論的には、各遠心力「Fd」、「Fe」、「Fi」、「Fc」の大きさが変化しなくても、トレーラトラック50のモーメントのバランスが崩れるかもしれない。しかしながら、常識的に、トレーラトラック50の各部の長さは不変であるので、トレーラトラック50のモーメントのバランスを崩す唯一の要因として、各遠心力「Fd」、「Fe」、「Fi」、「Fc」の大きさが、モーメントの釣り合いの状態のそれから変化した場合が残るだけになる。

このようなモーメントの発生要因としての力のバランスが崩れた場合には、トレーラトラック50の可動部である連結点「E」が、トレーラトラック50の水平面内の回転軸になる。よって、以下の不等式が成り立つと、トレーラトラック50を水平面内で回転させる要素が生まれることになる。
または
つまり、Fc+Fd−Fi>0の場合には、コンテナ貨物車両の横転を誘発させる方向にコンテナ貨物車両が水平面内を回転すると考えられる。これに対し、Fc+Fd−Fi<0の場合には、トラクタ10とコンテナ貨物車両(コンテナシャーシ12)との間のジャックナイフ的な動きを誘発させる方向にコンテナ貨物車両が水平面内を回転すると考えられる。よって、絶対値をとった以下の不等式を満足すれば、コンテナ貨物車両は、水平面内を回転することになる。
この絶対値をとった不等式に、遠心力「Fc」、遠心力「Fd」、および遠心力「Fi」の成分を代入すると、以下の不等式(2)が得られる。

この不等式(2)において、「m」はコンテナ貨物車両の重量である。「V」はコンテナ貨物車両の走行速度である。「r」は曲路204cの曲率半径である。

上述の不等式(2)によれば、トラクタ10とコンテナ貨物車両との間の連結点を中心としてコンテナ貨物車両が回転に至る場合の速度が、コンテナ貨物車両の水平方向についての重心位置を用いて、曲路204cの曲率半径「r」との関係で求まることになる。

次に、コンテナ貨物車両の横転に至ると予測されるコンテナ貨物車両の走行速度の導出法について説明する。

コンテナ貨物車両が、曲路204cを走行中に最も横転し易くなる状態は、コンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面におけるコンテナ貨物車両の回転運動(不等式(1))と、水平面内のコンテナ貨物車両の回転運動(不等式(2))と、が同時に作用する場合である。

このような場合のコンテナ貨物車両の速度は、不等式(1)および不等式(2)からなる以下の連立不等式をコンテナ貨物車両の走行速度「V」で解くことにより得られる。
上述の両式の和を取り移行すると、次のように展開される。
この不等式(3)において、「g」は重力加速度である。「b」はコンテナ貨物車両の幅寸法である。「r」は曲路204cの曲率半径である。「a」は曲路204cの路面204から重心Wまでの高さである。「s」は水平中心ライン207(垂直中心ライン201)からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さである。「c」は、接地点「C」から重心Wまでの前後方向の長さである。「d」は接地点「D」から重心Wまでの前後方向の長さである。「e」は連結点「E」から接地点「C」までの前後方向の長さである。「f」は接地点「I」から連結点「E」までの前後方向の長さである。「L」は接地点「C」から接地点「D」までの前後方向の長さである。

この不等式(3)が、コンテナ貨物車両の横転に至ると予測されるコンテナ貨物車両の横転速度の範囲を求める式である。よって、コンテナ貨物車両の3次元重心位置さえ既知であれば、コンテナ貨物車両の走行速度「V」のうちの不等式(3)が成り立つような速度の範囲、つまり、コンテナ貨物車両の横転速度の範囲を適切に予測することができる。
ところで、本明細書において、不等式(3)の左辺のコンテナ貨物車両の走行速度「V」がこれ以上速度を増せば、コンテナ貨物車両が傾き始めると予測される限界(臨界)速度のことを、横転限界速度「V1」というものとする。つまり、コンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」は、不等式(3)の右辺と左辺を等号で結んだ、以下の等式(4)で与えられる。
コンテナ貨物車両が、この横転限界速度「V1」で曲率半径「r」の曲路204cに差し掛かると、僅かの外乱により、コンテナ貨物車両が傾き始め、最悪の場合、コンテナ貨物車両の横転に至ることが懸念される。このため、この横転限界速度「V1」は、コンテナ貨物車両が横転に至るか否かの基準速度であり、コンテナ貨物車両の曲路204cにおける異常な速度を適切に判定するための貴重なデータである。

次に、本実施形態の横転限界速度予測装置110によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の予測動作例について図面を参照しながら説明する。

図14は、本実施形態の横転限界速度予測装置によるコンテナ貨物車両の横転限界速度の予測動作を示したフローチャートである。

演算ユニット115の操作設定/表示部115cの電源スイッチが押されると、操作設定/表示部115cの表示画面(不図示)には複数のメニューが表示される。そして、操作設定/表示部115cの適宜のボタン操作により、トレーラトラック50の走行中に、以下のコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の予測動作を開始することができる。なお、本予測動作を以下のように実行するにあたり、作業者(例えばトラクタ10の運転者や同乗者)が行う必要がある指示内容は、操作設定/表示部115cの表示画面にメッセージ表示される。コンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の演算動作が選択されると、演算ユニット115の演算部115aは、記憶部115bから横転限界速度予測用の演算プログラムおよび予め記憶された適宜の定数を読み出し、この演算プログラムが、以下の処理を演算部115a、記憶部115bおよび操作設定/表示部115cを制御しながら実行する。

なお、この定数には、重力加速度「g」と、コンテナ貨物車両の幅寸法「b」と、連結点「E」から接地点「C」までの前後方向の長さ「e」と、接地点「I」から連結点「E」までの前後方向の長さ「f」と、接地点「C」から接地点「D」までの前後方向の長さ「L」と、がある。

重力加速度「g」以外の上述の定数は、何れもトレーラトラック50の固有値であることから、以下に述べる動作の如く、トレーラトラック50の機種毎に当該定数が記憶部115bに入力されるものとする。また、記憶部115bに入力された定数は、その後、トレーラトラック50の機種が変更されない限りは、再入力することなく、そのまま使用できる。

まず、作業者(運転者や同乗者)が、トレーラトラック50の車検証やメーカ仕様書などの適宜の資料を用いて、上述の定数「e」、「f」、「b」、「L」を特定する。そして、作業者による操作設定/表示部115cの操作により、演算ユニット115の記憶部115bに、これらの定数「e」、「f」、「b」、「L」が入力される(ステップS1401)。定数としての重力加速度「g」については、普遍的な値であることから、予め記憶部115bに記憶されている。これにより、演算部115aは、これらの定数「e」、「f」、「b」、「L」、「g」を取得できる。

次に、演算部115aは、以下に述べる何れかの方法により、コンテナ貨物車両の重心関連データを取得する。つまり、演算部115aは、曲路204cの路面204から重心Wまでの高さ「a」と、水平中心ライン207(垂直中心ライン201)からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さ「s」と、接地点「C」から重心Wまでの前後方向の長さ「c」と、接地点「D」から重心Wまでの前後方向の長さ「d」と、を取得する(ステップS1402)。

第1の方法として、例えば、コンテナ11内の積載状態を未確認のまま輸送される場合、演算部115aは、記憶部115bに予め記憶されている3次元重心位置検知用の演算プログラムに従って動作し、第1実施形態で述べた角速度センサ14a(A/D変換器14b)から出力されたデジタル信号に基づいてコンテナ貨物車両の3次元重心位置を取得してもよい。そうすれば、演算部115aは、この3次元重心位置のデータをもとに、簡易な幾何学的計算により上述の重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を演算できる。これにより、演算部115aは、論理的な力学理論に基づいて導かれたコンテナ貨物車両の3次元重心位置から高精度のデータを自動的に取得でき好適である。なお、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法は、第1実施形態で詳しく述べたので、ここでは、省略する。

第2の方法として、国内流通の一般貨物輸送の如く、トレーラトラック50の作業者がコンテナ11へのコンテナ貨物の積載を行う場合には、作業者が、上述の重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を実測してもよい。そうすれば、演算部115aは、作業者による操作設定/表示部115cを用いた重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」の入力により、これらの重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を取得できる。但し、この第2の方法では、重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」の測定誤差により、第1の方法に比べてコンテナ貨物車両の3次元重心位置の精度が劣る場合がある。

次に、演算部115aは、以下に述べる何れかの方法により、曲路204cの曲率半径「r」を取得する(ステップS1403)。

第1の方法として、演算部115aは、受信機114dを用いて、トレーラトラック50が差し掛かる予定の曲路204cの曲率半径「r」の無線情報を地域のITSから自動的に取得してもよい。

第2の方法として、トレーラトラック50の運行計画をもとにして、トレーラトラック50の走行が予定されている曲路204cの曲率半径を事前調査してもよい。そうすれば、演算部115aは、作業者による操作設定/表示部115cを用いた曲率半径「r」の入力により、この値「r」を取得できる。

第3の方法として、演算部115aが、曲路204cの曲率半径として想定される数値範囲(例えば、交差点の屈曲カーブの数値から高速道路のなだらかなカーブの数値までの範囲)を所定の数値毎に刻み、これを連続的に取得してもよい。

次に、演算部115aは、記憶部115bに記憶された定数「e」、「f」、「b」、「L」、「g」を読み出し、ステップS1402により得られたコンテナ貨物車両の3次元重心位置に関係する重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」およびステップS1403により得られた曲率半径「r」を用いて、以下の等式(4)により、曲率半径「r」に応じたコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」(予測値)を演算する(ステップS1404)。
この等式(4)において、「g」は重力加速度である。「b」はコンテナ貨物車両の幅寸法である。「r」は曲路204cの曲率半径である。「a」は曲路204cの路面204から重心Wまでの高さである。「s」は水平中心ライン207(垂直中心ライン201)からコンテナ貨物車両の重心Wまでの左右方向の長さである。「c」は、接地点「C」から重心Wまでの前後方向の長さである。「d」は接地点「D」から重心Wまでの前後方向の長さである。「e」は連結点「E」から接地点「C」までの前後方向の長さである。「f」は接地点「I」から連結点「E」までの前後方向の長さである。「L」は接地点「C」から接地点「D」までの前後方向の長さである。

そして、演算部115aは、ステップS1404により得られた横転限界速度「V1」を、作業者に通知するよう、演算ユニット115の操作設定/表示部15cの表示画面に表示させ、および/または、操作設定/表示部15cのスピーカにより音声発信させる(ステップS1405)。

例えば、演算部115aは、トレーラトラック50が差し掛かる予定の曲路204cの曲率半径「r」の無線情報を地域のITSから受信機114bを介して逐次取得しつつ、操作設定/表示部15cを用いて『次の交差点を左折するなら、「V1」以下で曲がれ』や『この高速道路の次のカーブは、「V1」以下に保て』などの通知を作業者に発信してもよい。

ここで、演算部115aは、曲路204cの曲率半径「r」を変更するか否かを判定する(ステップS1406)。曲路204cの曲率半径「r」を変更する場合(ステップS1406において「Yes」の場合)、上述のステップS1403〜ステップS1405の処理が反復される。

一方、曲路204cの曲率半径「r」を変更しない場合(ステップS1406において「No」の場合)、次の判定ステップに進み、演算部115aは、上述の重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」の何れかを変更するか否かを判定する(ステップS1407)。これらの重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」のうちの少なくとも何れか一つを変更する場合(ステップS1407において「Yes」の場合)、上述のステップS1402〜ステップS1406の処理が反復される。

一方、これらの重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」の何れも変更しない場合(ステップS1407において「No」の場合)、次の判定ステップに進み、演算部115aは、トレーラトラック50の固有値である上述の定数「e」、「f」、「b」、「L」を変更するか否かを判定する(ステップS1408)。これらの定数「e」、「f」、「b」、「L」のうちの少なくとも何れか一つを変更する場合(ステップS1408において「Yes」の場合)、上述のステップS1401〜ステップS1407の処理が反復される。

一方、これらの定数「e」、「f」、「b」、「L」の何れも変更しない場合(ステップS1408において「No」の場合)、横転限界速度予測装置110は、一連のコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の予測ルーチンを終える。

以上に述べたように、本実施形態の横転限界速度予測装置110は、貨物を搭載可能なコンテナ11、コンテナ11を載せるコンテナシャーシ12およびコンテナシャーシ12を牽引するトラクタ10を有するトレーラトラック50と、演算ユニット115と、を備える。

そして、横転限界速度予測装置110は、演算ユニット115が、コンテナ貨物車両の3次元空間上の重心位置およびコンテナ貨物車両が走る予定の曲路204cの曲率半径「r」を取得し、この3次元空間上の重心位置を用いて、曲路204cの曲率半径「r」に応じたコンテナ貨物車両の曲路204cにおける横転限界速度「V1」を適切に導けるよう、構成されている。

このような横転限界速度「V1」は、コンテナ貨物車両が横転に至るか否かの基準速度であり、これにより、トレーラトラック50の曲路204cにおける不安定走行の未然防止に資することができる。

より詳しくは、演算ユニット115は、コンテナ貨物車両の走行方向に垂直な断面についての重心位置を用いた、コンテナ貨物車両の旋回外輪の幅方向の外端300を中心としてコンテナ貨物車両が回転に至る場合の車両速度「V」と曲率半径「r」との関係を表す不等式(1)と、コンテナ貨物車両の走行方向についての重心位置を用いた、トラクタ10とコンテナ貨物車両との間の連結点「E」を中心としてコンテナ貨物車両が回転に至る場合の車両速度「V」と曲率半径「r」との関係を表す不等式(2)と、に基づいて、横転限界速度「V1」を導くことができる

これにより、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な力学理論に基づきコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」を導くことができ、その演算結果の信頼性は極めて高い。そして、このことは、後述の実車実験による第2検証結果により裏付けられている。

また、本実施形態の横転限界速度予測装置110によれば、上述の不等式(1)および不等式(2)の入力値としての各種の重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を、第1実施形態の重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置を用いて導くこともできる。この場合、重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」の測定の手間が省けるとともに、第1実施形態で実証したとおり、高精度な重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」が得られる。更に、コンテナ11内の積載状態を未確認のまま輸送される場合(例えば、国際間の輸出入により商取引されるコンテナ貨物の場合)であっても、重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を得ることができる。

また、本実施形態の横転限界速度予測装置110によれば、演算部115aは、受信機114dを用いて、トレーラトラック50が走る予定の曲路204cの曲率半径「r」の無線情報を地域のITSから自動的に取得できる。これにより、曲路204cの曲率半径「r」の取得に費やされる手間を省ける。

第2実施形態の横転限界速度予測装置110によるコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の導出法の妥当性を裏付ける目的で、2005年4月13日に神戸港摩耶埠頭にて実車による第2検証実験(横転実験)を行った。なお、本検証実験では、本技術が公知にならないよう、本技術の理論式をパーソナルコンピュータの内部メモリにプログラムとして記憶させブラックボックス化してなされている。

本検証実験の手順は次のとおりである。

まず、検証実験用トレーラトラックの固有値が取得された。この固有値には、コンテナ貨物車両の幅寸法「b」と、連結点「E」から接地点「C」までの前後方向の長さ「e」と、接地点「I」から連結点「E」までの前後方向の長さ「f」と、接地点「C」から接地点「D」までの前後方向の長さ「L」と、がある。

次に、適宜のダミー貨物を積載させた検証実験用コンテナ貨物車両の重心関連データが取得された。この重心関連データには、曲路204cの路面204から重心までの高さ「a」と、水平中心ライン207(垂直中心ライン201)からコンテナ貨物車両の重心までの左右方向の長さ「s」と、接地点「C」から重心までの前後方向の長さ「c」と、接地点「D」から重心までの前後方向の長さ「d」と、がある。

次に、検証実験用トレーラトラックの走行速度を制御しながら、このトレーラトラックを曲線状に走らせ、横転させた。なお、本検証実験は、生身のドライバーの運転により、現実のトレーラトラック(実車)を横転させるという画期的な取り組みとして、関係者の注目を集めた。
次に、本検証実験の現場のトレーラトラック横転前の事前計測と横転後の事後検査とにより、検証実験用トレーラトラックが、その横転時に通った道筋(横転側の旋回外輪の道筋)の曲率半径が見積もられた。その結果、この曲率半径は、約35mであった。

次に、本検証実験の検証実験用トレーラトラック内のタコメータの記録から、検証実験用トレーラトラックの横転時の車両速度が見積もられた。
図15は、本検証実験の検証実験用トレーラトラックのタコメータの記録画面の写真を示した図である。

図15から容易に認識できるとおり、検証実験用トレーラトラックが横転に至ったと考えられる速度が、約37Km/h(時速約37キロメートル)であったと判断できる。

次に、検証実験用トレーラトラックの固有値としての、定数「b」、「e」、「f」、「L」、および、検証実験用コンテナ貨物車両の重心関連データ「a」、「s」、「c」、「d」を用いて、以下の等式(4)に基づいて、曲率半径「r」に対応した検証実験用コンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」を求めた。
図16は、横軸に曲率半径をとり、縦軸にコンテナ貨物車両の横転限界速度をとって、両者の関係を示した図である。なお、ここでは、便宜上、曲率半径「r」とコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の関係を表した図16の実線のことを、「曲率半径−横転限界速度の相関線」と称する。

図16によると、横軸の曲率半径「r」が35mである場合に対応する曲率半径−横転限界速度の相関線の縦軸の値は、約37Km/hと読み取れる。これにより、横転限界速度予測装置110により得られた検証実験用コンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の値と、上述のタコメータにより得られた検証実験用トレーラトラックが横転したと考えられる値と、が、ほぼ完全に一致した。その結果、第2実施形態の横転限界速度予測装置110によるコンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」の導出法の妥当性が、本検証実験により裏付けられた。
このような曲率半径−横転限界速度の相関線により、曲率半径「r」に応じたトレーラトラック(コンテナ貨物車両)の曲路における横転速度の範囲が適切に見積もれる。例えば、当該曲率半径−横転限界速度の相関線によれば、検証実験用トレーラトラックが、曲率半径「r」が35mである曲路を走行する場合(このような曲路は、一般道ではごく普通に遭遇する)において、検証実験用トレーラトラックの走行速度が37Km/hを超えると(この速度は、ごく普通の制限速度内の値である)、この検証実験用トレーラトラックが横転に至る可能性が高いと判断できる。

つまり、トレーラトラックが、車の流れに合わせて制限速度以下で走行していても、コンテナへのコンテナ貨物の積載状態の如何により、コンテナ貨物車両の横転限界速度「V1」を超える場合がある。そして、このような事実が、以上に述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置検知の重要性および有益性を如実に物語っている。

(第3実施形態)

図17は、第3実施形態の貨物重量予測装置の構成例を示した概略図である。図17(a)は、この貨物重量装置を、コンテナ貨物車両の幅方向(側面)から見た図であり、図17(b)は、この貨物重量装置を、コンテナ貨物車両の後側から見た図である。なお、図面において、コンテナ貨物車両の自重のかかる方向を「上下方向」とし、コンテナ貨物車両の幅方向を「左右方向」とし、コンテナ貨物車両の走行方向を「前後方向」とする。

また、この貨物重量予測装置100Aのハードウェア構成は、第1実施形態の重心検知装置100のハードウェア構成と同じである。よって、図17では、貨物重量予測装置100Aの構成要素には、これに対応する重心検知装置100の構成要素と同一の符号を付しており、貨物重量予測装置100Aの構成の詳細な説明は省略する。つまり、本実施形態の貨物重量予測装置100Aについては、演算ユニット15の記憶部15b(図2参照)に、コンテナ11に積載されたコンテナ貨物の重量を適切に導くための演算プログラム(詳細は後述)が記憶されている点で、このような演算プログラムが記憶部15bに記憶されていない第1実施形態の重心位置装置100と区別されるが、ハードウェア上、重心位置装置100をそのまま使用することができる。

次に、コンテナ11に積載されたコンテナ貨物の重量の導出法について図面を参照しながら詳しく説明する。

本導出法は、後述のとおり、コンテナ貨物車両の3次元重心位置を入力値として用い、コンテナ貨物車両の3方向(前後方向、左右方向および上下方向)のそれぞれの方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量を理論的根拠に基づいて幾何学的に導くことに特徴がある。また、本導出法は、後述のとおり、これらの見かけの重量を用いて、コンテナ貨物の正味の重量を幾何平均により理論的に導くことにも特徴がある。

まず、コンテナ貨物の重量を導く場合に必要となる入力値(初期情報)の取得方法について述べる。

このような入力値には、コンテナ貨物車両の走行方向(前後方向)におけるコンテナ11の長さ「p」(図18参照)と、コンテナ貨物車両の幅方向(左右方向)におけるコンテナ11の長さ「b」(図19参照)と、コンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の重量「m」(以下、必要に応じて、重量「m」と略す)と、車軸位置ライン202からコンテナ11の上端部までの長さ「z」(図20参照)と、がある。

これらのコンテナ11の長さ「p」、「b」、「z」や重量「「m」については、トレーラトラック50の車検証やメーカ仕様書などの適宜の資料を用いて容易に知ることができる。

また、上述の入力値には、コンテナ貨物がコンテナ11に積載されたコンテナ貨物車両の3次元空間上の重心「W」の位置(以下、必要に応じて、重心「W」の位置と略す)、および、コンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の3次元空間上の重心「W」の位置(以下、必要に応じて、重心「W」の位置と略す)もある。

重心「W」の位置については、第1実施形態に述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法により精度良く導くことができる。

また、重心「W」の位置については、コンテナ11やコンテナシャーシ12の型式を特定できれば、適宜の解析技術や計測技術を駆使して車検場などにおいて求めることも可能である。しかしながら、ここでは、第1実施形態のコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法を用いて、簡便かつ高精度に重心「W」の位置を導ける方法を述べる。

上述のとおり、第1実施形態で述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法は、コンテナ11へのコンテナ貨物の積載の有無に拘わらず適用できる。そこで、コンテナ型式(例えば、40フィートコンテナや冷凍コンテナなど)が異なる各種の空のダミーコンテナを載せたコンテナシャーシ11を、標準的なトラクタ10により牽引させると、上述の導出法により、様々な型式のコンテナの重心「W」の位置が得られる。このため、コンテナ型式毎のコンテナの重心「W」の位置をデータベース化して予め記憶部15bに記憶すれば、演算ユニット15は、コンテナ貨物が積載されたコンテナと同一型式のコンテナの重心「W」の位置のデータを適宜、記憶部15bから読み出して、このデータを入力値として使用できる。

次に、コンテナ貨物車両の前後方向(走行方向)のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量を幾何学的に導く方法について図18を参照しながら説明する。

図18は、本実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」(以下、必要に応じて、重量「m」と略す)の導出法を説明する模式図であり、コンテナ貨物車両を上下方向(正確には上方向)から見た各重心位置の状態を模式的に示した図である。

なお、図18(図19も同じ)において、コンテナ貨物車両の幅方向を「左右方向」とし、コンテナ貨物車両の走行方向を「前後方向」としている。

図18では、重心「W」の位置および重心「W」の位置の他、コンテナ11の内部に積載された貨物の3次元空間上の重心「W」の位置(以下、必要に応じて、重心「W」の位置と略す)も描かれている。

ところで、質点系の力学からの当然の結果として、図18に示すように、重心「W」および重心「W」の間に重心「W」が存在することになり、これらの三者は同一直線上に配されている。このとき、重心「W」は、重心「W」を挟んで重心「W」の前後および左右どちらも反対側になるように位置している。そして、このような重心「W」、「W」、「W」の位置関係が、既知の重量「m」を用いて未知の重量「m」を幾何学的に導く際に好都合であることに、本件発明者は気がついた。

つまり、コンテナ11の内部の個々のコンテナ貨物の積載状態が不明であったとしても、コンテナ11の底面全体に荷重されている前後方向の重量配分を重量「m」および重量「m」を用いて把握でき、その結果、重量「m」は、幾何学的に以下の如く定式化される。
式(1)および式(2)において、「p」はコンテナ11の前後方向の長さであり、「m」はコンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の重量であり、「m」はコンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量である。また、「k」はコンテナ11の前部(前横梁20)を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いた前後方向の長さで記述した値であり、「kg0」はコンテナ11の前部(前横梁20)を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いた前後方向の長さで記述した値である。

なお、第1実施形態では、上述の「k」をコンテナ11の前部から重心「W」の位置までの単純な長さ(正の値)として取り扱っていたが、本実施形態では、この「k」は、座標系の取り方に依存して正の値や負の値をとることになる。

図18に示した座標系によれば、座標軸の原点(0、0)を前横梁20の左右方向の中央に置くことにより、前後方向に平行なX軸と左右方向に平行なY軸とを、互いに原点において直交するように引くことができる。このような座標系を用いると、重心「W」と重心「W」と重心「W」との間の前後方向の位置関係が如何様に変わろうとも、重量「m」を最小限の数式により扱えるので都合がよい。なお、この座標系の取り方は、飽くまで一例に過ぎず、任意に定めることができる。

このように座標系を取ると、重心「W」は第2象限に位置するので、「kg0」は負の値となる。また、重心「W」は第3象限に位置するので、「k」も負の値となる。この場合、コンテナ11の前部と重心「W」との間の長さは、図18に示すように、「−k」として記述され、コンテナ11の後部(後梁部21)と重心「W」との間の長さは、「p+k」として記述される。よって、コンテナ貨物がコンテナ11の底面を均一に荷重していると仮定すると、コンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、重心「W」の位置、重心「W」の位置、長さ「p」、および、重量「m」に基づいて、前後方向の重量配分の考え方により上述の式(1)および式(2)の如く定式化できる。

次に、コンテナ貨物車両の左右方向(幅方向)のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量を幾何学的に導く方法について図19を参照しながら説明する。

図19は、本実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」(以下、必要に応じて、重量「m」と略す)の導出法を説明する模式図であり、コンテナ貨物車両の上下方向(正確には上方向)から見た各重心位置の状態を模式的に示した図である。
図19でも同様に、重心「W」の位置および重心「W」の位置の他、重心「W」の位置が描かれている。そして、これらの重心「W」、「W」、「W」の位置関係が、既知の重量「m」を用いて未知の重量「m」を幾何学的に導く際に好都合であることは、上述の重量「m」を幾何学的に導く場合と同じである。
つまり、コンテナ11の内部の個々のコンテナ貨物の積載状態が不明であったとしても、コンテナ11の底面全体に荷重されている左右方向の重量配分を重量「m」および重量「m」を用いて把握でき、その結果、重量「m」は、幾何学的に以下の如く定式化される。
式(3)および式(4)において、「b」はコンテナ11を支えている部分(横梁)の左右方向の長さであり、「m」はコンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の重量であり、「m」はコンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量である。また、「s」は水平中心ライン207を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いて左右方向の長さで記述した値であり、「s」は水平中心ライン207を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いて左右方向の長さで記述した値である。

なお、第1実施形態では、上述の「s」を車軸の中心(水平中心ライン207)からコンテナ貨物車両の重心「W」までの左右方向の単純な長さ(正の値)として扱っていたが、本実施形態では、この「s」は、座標系の取り方に依存して正の値や負の値をとることになる。

図19に示した座標系によれば、図18の座標系と同様に、座標軸の原点(0、0)を前横梁20の左右方向の中央に置くことにより、前後方向に平行なX軸と左右方向に平行なY軸とを、互いに原点において直交するように引くことができる。このような座標系を用いると、重心「W」と重心「W」と重心「W」との間の左右の位置関係が如何様に変わろうとも、重量「m」を最小限の数式により扱えるので都合がよい。なお、この座標系の取り方は、飽くまで一例に過ぎず、任意に定めることができる。

このように座標系を取ると、重心「W」は第2象限に位置するので、「s」は正の値となる。また、重心「W」は第3象限に位置するので、「s」は負の値となる。この場合、コンテナ11の左端部と重心「W」との間の長さは、図19に示すように、「b/2−s」として記述され、コンテナ11の右端部と重心「W」との間の長さは、「b/2+s」として記述される。よって、コンテナ貨物がコンテナ11の底面を均一に荷重していると仮定すると、コンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、重心「W」の位置、重心「W」の位置、長さ「b」、および、重量「m」に基づいて、左右方向の重量配分の考え方により上述の式(3)および式(4)の如く定式化できる。

次に、コンテナ貨物車両の上下方向(自重方向)のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量を幾何学的に導く方法について図20を参照しながら説明する。

図20は、本実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」(以下、必要に応じて、重量「m」と略す)の導出法を説明する模式図であり、コンテナ貨物車両の前後方向(正確には後方向)から見た各重心位置の状態を模式的に示した図である。

なお、図20において、コンテナ貨物車両の自重のかかる方向を「上下方向」とし、コンテナ貨物車両の幅方向を「左右方向」としている。

図20でも同様に、重心「W」の位置および重心「W」の位置の他、重心「W」の位置が描かれている。そして、これらの重心「W」、「W」、「W」の位置関係が、既知の重量「m」を用いて未知の重量「m」を幾何学的に導く際に好都合であることは、上述の重量「m」、「m」を幾何学的に導く場合と同じである。
つまり、コンテナ11の内部の個々のコンテナ貨物の積載状態が不明であったとしても、コンテナ11の底面全体に荷重されている上下方向の重量配分を重量「m」および重量「m」を用いて把握でき、その結果、重量「m」は、幾何学的に以下の如く定式化される。
式(5)および式(6)において、「z」は車軸位置ライン202からコンテナ11の上端部までの長さであり、「m」はコンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の重量であり、「m」はコンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量である。また、「l」は車軸位置ライン202を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いて上下方向の長さで記述した値であり、「l」は車軸位置ライン202を基準とした重心「W」の位置を、後述の座標系を用いて上下方向の長さで記述した値である。

なお、第1実施形態では、上述の「l」を車軸(車軸位置ライン202)からコンテナ貨物車両の重心「W」までの上下方向の単純な長さ(正の値)として扱っていたが、本実施形態では、この「l」は、座標系の取り方に依存して正の値や負の値をとることになる。

図20に示した座標系によれば、座標軸の原点(0、0)を車軸位置ライン202および垂直中心ライン201の交点に置くことにより、左右方向に平行なX軸(車軸位置ライン202に一致)と上下方向に平行なY軸(垂直中心ライン201に一致)とを、互いに原点において直交するように引くことができる。このような座標系を用いると、重心「W」と重心「W」と重心「W」との間の左右の位置関係が如何様に変わろうとも、重量「m」を最小限の数式により扱えるので、都合がよい。なお、この座標系の取り方は、飽くまで一例に過ぎず、任意に定めることができる。

このように座標系を取ると、重心「W」は第2象限に位置するので、「l」は正の値となる。また、重心「W」は第1象限に位置するので、「l」も正の値となる。この場合、車軸位置ライン202と重心「W」との間の長さは、図20に示すように、「l」として記述され、コンテナ11の上端部と重心「W」との間の長さは、「z−l」として記述される。よって、コンテナ貨物がコンテナ11の底面を均一に荷重していると仮定すると、コンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、重心「W」の位置、重心「W」の位置、長さ「z」、および、重量「m」に基づいて、上下方向の重量配分の考え方により上述の式(5)および式(6)の如く定式化できる。

次に、上述の重量「m」、重量「m」および重量「m」を用いて、コンテナ貨物の正味の重量「M」(以下、必要に応じて、重量「M」と略す)を導く方法について説明する。

上述の重量「m」重量「m」および重量「m」はそれぞれ、コンテナ貨物の正味の重量「M」に各方向相互に依存する誤差を足すことにより記述できると考えられる。
よって、重量「m」、重量「m」および重量「m」はそれぞれ、以下の式により表される。
これらの3つの式において、「α」は重量「m」に介在する誤差であり、「β」は重量「m」に介在する誤差であり、「γ」重量「m」に介在する誤差である。これらは誤差「α」、「β」、「γ」は何れも未知数であるが、それぞれ相互に影響し合う性質を持っていると考えられる(つまり、正負の符号を持つ)

ここで、上記の3つの式の両辺を掛け合わせて展開すると、以下の式が得られる。
更に、上記の式の両辺を「m」で割ると、以下の式となる。
ここで、誤差「α」、「β」、「γ」は、「m」に対して充分に微小な値であると考えられるので、以下の式のように近似しても差し支えない。
このようにして、コンテナ貨物の正味の重量「M」を、以下の式(7)の如く、3方向のそれぞれのみを考慮した見かけの重量「m」、重量「m」および重量「m」の幾何平均の考え方によって定式化できる。
以上のようにして、本実施形態では、重心「W」の位置および重心「W」の位置を入力値(初期情報)として用いて、幾何学的な重量配分のアプローチおよび幾何平均のアプローチによりコンテナ貨物の正味の重量「M」を理論的に導くことができる。

次に、本実施形態の貨物重量予測装置100Aによるコンテナ貨物の重量の予測動作例について図面を参照しながら説明する。

図21は、本実施形態の貨物重量予測装置によるコンテナ貨物の重量の予測動作を示したフローチャートである。

演算ユニット15の操作設定/表示部15cの電源スイッチが押されると、操作設定/表示部15cの表示画面(不図示)には複数のメニューが表示される。そして、操作設定/表示部15cの適宜のボタン操作により、トレーラトラック50の走行中に、以下のコンテナ貨物の正味の重量「M」の予測動作を開始することができる。なお、本予測動作を以下のように実行するにあたり、作業者(例えばトラクタ10の運転者や同乗者)が行う必要がある指示内容は、操作設定/表示部15cの表示画面にメッセージ表示される。コンテナ貨物の正味の重量「M」の演算動作が選択されると、演算ユニット15の演算部15aは、記憶部15bから貨物重量予測用の演算プログラムおよび予め記憶された適宜の定数を読み出し、この演算プログラムが、以下の処理を演算部15a、記憶部15bおよび操作設定/表示部15cを制御しながら実行する。

なお、この定数には、コンテナ貨物車両の走行方向(前後方向)におけるコンテナ11の長さ「p」と、コンテナ貨物車両の幅方向(左右方向)におけるコンテナ11の長さ「b」と、車軸位置ライン202からコンテナ11の上端部までの長さ「z」と、コンテナ貨物がコンテナ11に積載されていないコンテナ貨物車両の重量「m」と、がある。
上述の定数は、何れもトレーラトラック50の固有値であることから、以下に述べる動作の如く、トレーラトラック50の機種(コンテナ11の型式)毎に当該定数が記憶部15bに入力されるものとする。また、記憶部15bに入力された定数は、その後、トレーラトラック50の機種が変更されない限りは、再入力することなく、そのまま使用できる。

まず、作業者(運転者や同乗者)が、トレーラトラック50の車検証やメーカ仕様書などの適宜の資料を用いて、上述の定数「p」、「b」、「z」、「m」を特定する。そして、作業者による操作設定/表示部15cの操作により、演算ユニット15の記憶部15bに、これらの定数「p」、「b」、「z」、「m」が入力される。これにより、演算ユニット15は、これらの定数「p」、「b」、「z」、「m」を取得できる(ステップS2101)。

次に、演算部15aは、以下に述べる何れかの方法により、重心「W」の関連データを取得する。具体的には、演算部15aは、コンテナ11の前部(前横梁20)を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて前後方向の長さで記述した値「kg0」と、水平中心ライン207を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて左右方向の長さで記述した値「s」と、車軸位置ライン202を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて上下方向の長さで記述した値「l」と、を取得する(ステップS2102)。

第1の方法として、上述の如く、これらの重心関連データ「kg0」、「s」、「l」を、予めコンテナの型式毎にデータベース化し、記憶部15bに記憶してもよい。この場合、演算部15aは、コンテナ11と同一型式のコンテナに対応する「kg0」、「s」、「l」のデータを記憶部15bのデータベースから読み出すことにより、これらの数値「kg0」、「s」、「l」を、重心関連データとして取得できる。

第2の方法として、国内流通の一般貨物輸送の如く、トレーラトラック50の作業者がコンテナ11へのコンテナ貨物の積載を行う場合には、作業者が、上述の重心関連データ「kg0」、「s」、「l」を実測してもよい。これにより、演算部15aは、作業者による操作設定/表示部15cを用いた重心関連データ「kg0」、「s」、「l」の入力により、これらの重心関連データ「kg0」、「s」、「l」を取得できる。但し、この第2の方法では、重心関連データ「kg0」、「s」、「l」の測定誤差により、第1の方法に比べてコンテナ貨物車両の3次元重心位置の精度が劣る場合がある。

次に、演算部15aは、以下に述べる何れかの方法により、重心「W」の関連データを取得する。具体的には、演算部15aは、コンテナ11の前部(前横梁20)を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて前後方向の長さで記述した値「k」と、水平中心ライン207を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて左右方向の長さで記述した値「s」と、車軸位置ライン202を基準とした重心「W」の位置を、上述の座標系を用いて上下方向の長さで記述した値「l」と、を取得する(ステップ2103)。

第1の方法として、例えば、コンテナ11内の積載状態を未確認のまま輸送される場合、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている3次元重心位置検知用の演算プログラムに従って動作し、第1実施形態で述べた角速度センサ14a(A/D変換器14b)から出力されたデジタル信号に基づいてコンテナ貨物車両の重心「W」の関連データ「k」、「l」、「s」を取得してもよい。これにより、演算部15aは、論理的な力学理論に基づいて導かれたコンテナ貨物車両の3次元重心位置から高精度のデータを自動的に取得でき好適である。なお、コンテナ貨物車両の3次元重心位置の導出法は、第1実施形態で詳しく述べたので、ここでは、省略する。

第2の方法として、国内流通の一般貨物輸送の如く、トレーラトラック50の作業者がコンテナ11へのコンテナ貨物の積載を行う場合には、作業者が、上述の重心関連データ「k」、「l」、「s」を実測してもよい。これにより、演算部15aは、作業者による操作設定/表示部15cを用いた重心関連データ「k」、「l」、「s」の入力により、これらの重心関連データ「k」、「l」、「s」を取得できる。但し、この第2の方法では、重心関連データ「k」、「l」、「s」の測定誤差により、第1の方法に比べてコンテナ貨物車両の3次元重心位置の精度が劣る場合がある。

次に、演算部15aは、記憶部15bに記憶されている重心関連データ「k」、「kg0」を読み出し、重心関連データ「kg0」が重心関連データ「k」以上であるか否かを判定する(ステップS2104)。

重心関連データ「kg0」が重心関連データ「k」以上である場合(ステップS2104において「YES」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「p」、「m」を読み出し、重心関連データ「k」および定数「p」、「m」を用いて、式(1)により、コンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2105)。
一方、重心関連データ「kg0」が重心関連データ「k」未満である場合(ステップS2104において「NO」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「p」、「m」を読み出し、重心関連データ「k」および定数「p」、「m」を用いて、式(2)により、コンテナ貨物車両の前後方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2106)。
次に、演算部15aは、記憶部15bに記憶されている重心関連データ「s」、「s」を読み出し、重心関連データ「s」が重心関連データ「s」以上であるか否かを判定する(ステップS2107)。

重心関連データ「s」が重心関連データ「s」以上である場合(ステップS2107において「YES」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「b」、「m」を読み出し、重心関連データ「s」および定数「b」、「m」を用いて、式(3)により、コンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2108)。
一方、重心関連データ「s」が重心関連データ「s」未満である場合(ステップS2107において「NO」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「b」、「m」を読み出し、重心関連データ「s」および定数「b」、「m」を用いて、式(4)により、コンテナ貨物車両の左右方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2109)。
次に、演算部15aは、記憶部15bに記憶されている重心関連データ「l」、「l」を読み出し、重心関連データ「l」が重心関連データ「l」以下であるか否かを判定する(ステップS2110)。

重心関連データ「l」が重心関連データ「l」以下である場合(ステップS2110において「YES」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「z」、「m」を読み出し、重心関連データ「l」および定数「z」、「m」を用いて、式(5)により、コンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2111)。
重心関連データ「l」が重心関連データ「l」超える場合(ステップS2110において「NO」の場合)、演算部15aは、記憶部15bに予め記憶されている定数「z」、「m」を読み出し、重心関連データ「l」および定数「z」、「m」を用いて、式(6)により、コンテナ貨物車両の上下方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を演算する(ステップS2112)。
次に、演算部15aは、ステップS2105またはステップS2106により得られた重量「m」、ステップS2108またはステップS2109により得られた重量「m」、および、ステップS2111またはステップS2112により得られた重量「m」を用いて、式(7)により、コンテナ貨物の正味の重量「M」を演算して取得する。そして、演算部15aは、この重量「M」を操作設定/表示部15cの表示画面に表示させる(ステップS2113)。このようにして、演算部15aは、一連のコンテナ貨物の正味の重量「M」の予測ルーチンを終える。
以上に述べたように、本実施形態の貨物重量予測装置100Aは、貨物を搭載可能なコンテナ11、コンテナ11を載せるコンテナシャーシ12およびコンテナシャーシ12を牽引するトラクタ10を有するトレーラトラック50と、演算ユニット15と、を備える。

そして、貨物重量予測装置100Aは、演算ユニット15が、コンテナ貨物が搭載されたコンテナ貨物車両の3次元空間上の重心「W」の位置およびコンテナ貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の3次元空間上の重心「W」の位置を取得し、これらの2つの重心「W」、「W」の位置を用いて、コンテナ貨物の見かけの重量「m」、「m」、「m」や正味の重量「M」を導けるよう、構成されている。

このようなコンテナ貨物の重量を取得することにより、コンテナ貨物の過積載を適切に知ることができ、これにより、トレーラトラック50の不安定走行やコンテナ11の扉開封時の貨物荷崩れ落下の未然防止に資することができる。

より詳しくは、演算ユニット15は、2つの重心「W」、「W」の位置、コンテナ貨物車両の走行方向におけるコンテナ11の長さ「p」、および、コンテナ貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量「m」に基づいて、コンテナ貨物車両の走行方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、走行方向の幾何学的な重量配分の考え方により導くことができる。
また、演算ユニット15は、2つの重心「W」、「W」の位置、コンテナ貨物車両の幅方向におけるコンテナの長さ「b」、および、コンテナ貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量「m」に基づいて、コンテナ貨物車両の幅方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、幅方向の幾何学的な重量配分の考え方により導くこともできる。
更に、演算ユニット15は、2つの重心「W」、「W」の位置、コンテナ貨物車両の自重方向におけるコンテナの長さ「z」、および、コンテナ貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量「m」に基づいて、コンテナ貨物車両の自重方向のみを考慮したコンテナ貨物の見かけの重量「m」を、自重方向の幾何学的な重量配分の考えたかにより導くこともできる。

その結果、演算ユニット15は、これらの3方向のそれぞれのコンテナ貨物の見かけの重量「m」「m」「m」に基づいて、幾何平均の考え方により、コンテナ貨物の正味の重量「M」を導くことができる。

これにより、補正係数等の理論的根拠を欠くデータを導入することなく、論理的な質点系の力学理論に基づきコンテナ貨物の正味の重量「M」を導くことができ、重量演算の信頼性は極めて高い。そして、このことは、後述の実車実験による第3検証の結果により裏付けられている。

また、本実施形態の貨物重量予測装置100Aによれば、各種の重心関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」を、第1実施形態の重心検知装置100によるコンテナ貨物車両の3次元重心位置を用いて導くことができる。この場合、重心関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」の測定の手間が省けるとともに、第1実施形態で実証したとおり、高精度な重心関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」が得られる。更に、コンテナ11内の積載状態を未確認のまま輸送される場合(例えば、国際間の輸出入により商取引されるコンテナ貨物の場合)であっても、重心関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」を得ることができる。

第3実施形態の貨物重量予測装置100Aによるコンテナ貨物の重量の導出法の妥当性を実車実験により検証した(第3検証実験)。

ここでは、上述の第1検証実験において、重心関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」の数値および定数「p」、「b」、「z」、「m」の数値並びに実車実験に用いたダミー貨物(防災用の砂袋)の重量の数値が記録されているので、この第1検証実験の際に記録されたデータを用いて、この重量「M」の導出法の妥当性の検証がなされた。

なお、重量関連データ「kg0」、「s」、「l」、「k」、「l」、「s」および定数「p」、「b」、「z」、「m」の具体的な記録値は以下のとおりであった。

「kg0」=−6.09m(コンテナ貨物車両の実測による)
「s」=0m(コンテナ貨物車両の仕様書による)
「l」=1.28m(コンテナ貨物車両の仕様書による)
「k」=−6.17m(第1検証実験での3次元重心位置の演算結果による)
「l」=1.90m(第1検証実験での3次元重心位置の演算結果による)
「s」=−0.07m(第1検証実験での3次元重心位置の演算結果による)
「p」=12.19m(コンテナ貨物車両の仕様書による)
「b」=2.44m(コンテナ貨物車両の仕様書による)
「z」=3.34m(コンテナ貨物車両の仕様書による)
「m」=7.5トン(コンテナ貨物車両の仕様書による)

上記各記録値を、貨物重量予測用の演算プログラムを内蔵するパーソナルコンピュータに入力することにより、当該演算プログラムによるコンテナ貨物の重量の計算が実行された。その結果、幾何平均によるコンテナ貨物の正味の重量「M」の計算値は、約8.6トンとなり、この値は、ダミー貨物の重量(約9.5トン)とほぼ一致している。よって、第3実施形態の貨物重量予測装置100Aによるコンテナ貨物の重量の導出法の妥当性が、本検証により裏付けられた。
ところで、詳細な検討結果の記載は省略するが、本実施形態でのコンテナ貨物の重量の演算では、飽くまで、初期情報(入力値)としての重心「W」、「W」の位置が正確であることが前提となる。そうでなければ、上述の誤差「α」、「β」、「γ」が極端な数値となる可能性があり、この場合、コンテナ貨物の適切な重量を求めることができない。これにより、以上に述べたコンテナ貨物車両の3次元重心位置の高精度検知の重要性および有益性を容易に理解することができる。

上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。

本発明の重心検知装置は、貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両の3次元重心位置を適切に導ける。また、本発明の横転限界速度予測装置は、牽引車両に牽引される車両の横転限界速度を適切に導ける。また、本発明の貨物重量予測装置は、牽引車両に牽引される車両に搭載された貨物の重量を適切に導ける。よって、これらの発明は、例えば、コンテナを搭載したコンテナシャーシをトラクタにより牽引するトレーラトラックの輸送に利用できる。

Claims (16)

  1. 貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、

    前記車両の走行時の前記車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器と、

    演算ユニットと、を備え、

    前記演算ユニットは、前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記車両の3次元空間上の重心位置を導く、重心検知装置。

  2. 前記車両は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である請求項1記載の重心検知装置。

  3. 前記自重方向の揺れが、前記コンテナ貨物車両の重心を質点とした上下方向の往復運動に対応し、前記幅方向の揺れが、前記コンテナ貨物車両の車軸中心を支点とし、前記コンテナ貨物車両の重心を質点とした左右方向の単振子運動に対応する場合、

    前記物理量は、前記往復運動の周波数と、前記単振子運動の周波数および前記単振子運動の中心角度と、を含み、

    前記演算ユニットは、前記単振子運動の周波数に基づいて前記コンテナの走行方向についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導くとともに、前記往復運動の周波数、前記単振子運動の周波数および前記単振子運動の中心角度に基づいて、前記走行方向に垂直な断面についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導く請求項2記載の重心検知装置。

  4. 前記コンテナシャーシの走行方向の前部近傍と前記牽引車両との間で、両者を幅方向にスイング移動可能に連結する円盤形の連結部材を備え、
    前記コンテナシャーシは、前記コンテナの幅方向に延びて、前記コンテナの走行方向の後部近傍を支える横梁を含み、

    前記演算ユニットは、前記揺動検知器の出力データを、前記単振子運動の周波数と振幅との間の相関を表すローリングデータに変換して、前記ローリングデータを基にして、前記横梁に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第1の前記単振子運動の周波数と、前記連結部材に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第2の前記単振子運動の周波数と、前記コンテナ貨物車両の重心に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する第3の前記単振子運動の周波数と、を取得し、

    前記第1、第2および第3の単振子運動の周波数に基づいて前記走行方向についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導く請求項3記載の重心検知装置。

  5. 前記演算ユニットは、前記揺動検知器の出力データを、前記単振子運動の周波数と振幅との間の相関を表すローリングデータに変換して、前記ローリングデータを基にして、前記コンテナ貨物車両の重心に由来する前記単振子運動のピーク振幅に対応する前記単振子運動の周波数を取得し、

    前記揺動検知器の出力データを、前記往復運動の周波数と振幅との間の相関を表すピッチングデータに変換して、前記ピッチングデータを基にして、前記往復運動の最大振幅に対応する前記往復運動の周波数を取得し、

    前記揺動検知器の出力データから前記単振子運動の振幅の経時データをサンプリングし、前記経時データの平均値を前記単振子運動の中心角度として取得し、

    前記単振子運動の周波数、前記往復運動の周波数および前記単振子運動の中心角度に基づいて、前記走行方向に垂直な断面についての前記コンテナ貨物車両の重心位置を導く請求項3記載の重心検知装置。

  6. 前記コンテナ貨物車両の自重方向および幅方向の揺れは、前記コンテナ貨物車両の路面の直進走行時に、前記路面の凹凸に応じて前記コンテナ貨物車両に与えられる外乱による運動である請求項2乃至5の何れかに記載の重心検知装置。

  7. 前記揺動検知器は、前記牽引車両に配置されてなり、角速度の感度軸が前記自重方向および前記幅方向に調整された角速度センサを備える請求項2乃至5の何れかに記載の重心検知装置。
  8. 貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、
    演算ユニットと、を備え、

    前記演算ユニットは、前記車両の3次元空間上の重心位置および前記車両が走る曲路の曲率半径を取得し、前記3次元空間上の重心位置を用いて、前記曲率半径に応じた前記車両の前記曲路における横転限界速度を導く、横転限界速度予測装置。

  9. 前記演算ユニットは、前記車両の走行方向に垂直な断面についての前記車両の重心位置を用いた、前記車両の旋回外輪を中心として前記車両が回転に至る場合の前記車両の速度と前記曲率半径との関係を表す第1の式と、前記車両の走行方向についての前記車両の重心位置を用いた、前記牽引車両と前記車両との間の連結点を中心として前記車両が回転に至る場合の前記車両の速度と前記曲率半径との関係を表す第2の式と、に基づいて、前記横転限界速度を導く、請求項8記載の横転限界速度予測装置。

  10. 前記車両は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である請求項8または9記載の横転限界速度予測装置。

  11. 前記車両の走行時の前記車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器を備え、
    前記演算ユニットは、前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記3次元空間上の重心位置を導く、前記請求項8乃至10の何れかに記載の横転限界速度予測装置。

  12. 前記曲率半径の無線情報を受信して、前記無線情報を前記演算ユニットに与える受信機を備える請求項8乃至11の何れかに記載の横転限界速度予測装置。
  13. 貨物を搭載可能な、牽引車両に牽引される車両と、
    演算ユニットと、を備え、

    前記演算ユニットは、前記貨物が搭載された車両の3次元空間上の重心位置および前記貨物が搭載されていない車両の3次元空間上の重心位置を取得し、前記2つの重心位置を用いて前記貨物の重量を導く、貨物重量予測装置。

  14. 前記車両は、前記貨物を搭載可能なコンテナと、前記コンテナを載せるコンテナシャーシとからなるコンテナ貨物車両である請求項13記載の貨物重量予測装置。

  15. 前記演算ユニットが、前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の走行方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記走行方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導き、
    前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の幅方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記幅方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導き、
    前記2つの重心位置、前記コンテナ貨物車両の自重方向における前記コンテナの長さ、および、前記貨物が搭載されていないコンテナ貨物車両の重量に基づいて、前記自重方向のみを考慮した前記貨物の見かけの重量を導き、

    前記3方向の貨物の見かけの重量に基づいて、前記貨物の正味の重量を導く、請求項14記載の貨物重量予測装置。

  16. 前記車両の走行時の前記車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器を備え、
    前記演算ユニットは、前記貨物が搭載された車両の前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記貨物が搭載された車両の3次元空間上の重心位置を導くとともに、

    前記貨物が搭載されていない車両の前記揺れに相関する物理量に基づいて、前記貨物が搭載されていない車両の3次元空間上の重心位置を導く、請求項13乃至15の何れかに記載の貨物重量予測装置。
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