JP6083793B2 - 車両固有振動数検出装置および重心位置測定装置 - Google Patents
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Description
車両の固有振動数を検出する車両固有振動数検出装置であって、
車両を載せる載台と、
少なくとも車両の長さ方向または幅方向のいずれかの方向に互いに離れた状態で前記載台を支持することにより該載台上の車両の荷重を検出する複数のロードセルと、
前記載台上の車両を揺り動かす揺動手段と、
前記載台の揺れを止める揺れ止め手段と、
前記揺動手段により前記載台上の車両が揺り動かされ、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記複数のロードセルの少なくとも1個以上のロードセルからの荷重信号に基づいて車両の固有振動数を算出する固有振動数演算手段と、
を備えることを特徴とするものである。
車両の固有振動数を検出する車両固有振動数検出装置であって、
車両を載せる載台と、
少なくとも車両の長さ方向または幅方向のいずれかの方向に互いに離れた状態で前記載台を支持することにより該載台上の車両の荷重を検出する複数のロードセルと、
前記載台への車両の進入によりその車両から前記載台が受ける力または前記載台上での車両の停止によりその車両から前記載台が受ける力によって車両と共に揺り動かされる前記載台の揺れを止める揺れ止め手段と、
前記載台への車両の進入によりその車両から前記載台が受ける力または前記載台上での車両の停止によりその車両から前記載台が受ける力によって前記載台が車両と共に揺り動かされ、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記複数のロードセルの少なくとも1個以上のロードセルからの荷重信号に基づいて車両の固有振動数を算出する固有振動数演算手段と、
を備えることを特徴とするものである。
第1発明または第5発明に係る車両固有振動数検出装置を用いた重心位置測定装置であって、
前記固有振動数演算手段によって算出される車両の固有振動数に基づいて車両の重心高さを算出する重心高さ演算手段を備えることを特徴とするものである。
また、載台上に車両が乗り込んだ後において、載台上の車両は、揺動手段によってその幅方向または全長方向に揺り動かされ、その後、車両と共に揺り動かされている載台の揺れが揺れ止め手段によって止められる。これにより、載台の振動成分を除いた、車両のローリング方向またはピッチング方向の振動成分による荷重変化が複数のロードセルによって検出されることになり、車両のローリング振動数またはピッチング振動数を正確に検出することができる。
また、車両の載台への進入によって車両から載台が受ける力または車両の載台上での停止によって車両から載台が受ける力によって、車両と共に載台がその車両の全長方向に揺り動かされ、その後、車両と共に揺り動かされている載台の揺れが揺れ止め手段によって止められる。これにより、載台の振動成分を除いた、車両のピッチング方向の振動成分による荷重変化が複数のロードセルによって検出されることになり、車両のピッチング振動数を正確に検出することができる。
さらに、第7発明の重心位置測定装置によれば、複数のロードセルからの荷重信号に基づいて車両の二次元重心位置が算出されるので、重心高さも含めて車両の三次元重心位置を正確に測定することができる。
<トラックスケールの概略構成の説明>
図1(a)(b)に示されるトラックスケール1は、地面を掘り下げて形成されるピット2内に組み込まれる載台3を備えている。
載台3は、貨物トラックやトレーラー等の車両4が載ることができる大きさの平面視四角形状の板状部材からなり、その四隅がピット2の底面上に設置される第1ロードセル5、第2ロードセル6、第3ロードセル7および第4ロードセル8によって支持されている。
本実施形態では、車両4として例えば図2(a)に示されるような貨物トラックが一例として挙げられる。図2(a)に示される車両4は、左右それぞれに第1車輪9,10が装着される第1車軸11と、左右それぞれに第2車輪12,13が装着される第2車軸14と、左右それぞれに第3車輪15,16が装着される第3車軸17とを有し、第1車軸11が運転席の下方に、第2車軸14および第3車軸17が荷台の下方に設けられてなる3軸車両である。
図3に示されるように、各ロードセル5〜8は、ダブルコンベックス・ローディング方式のひずみゲージを用いたコラム型ロードセルであり、弾性体21と、密封ケーシング22とを備えている。
弾性体21は、例えばアルミニウム合金やステンレス等の金属製で略円柱形状に形成され、その軸線を鉛直方向に向けて起立配置されている。
弾性体21は、軸線方向中央部に形成される起歪部23と、上端に形成される上側凸面24と、下端に形成される下側凸面25とを有している。上側凸面24および下側凸面25はいずれも、所定の曲率半径Rの部分球面形状に形成されている。
弾性体21は、起歪部23が密封ケーシング22内に気密に収められ、上端部および下端部がそれぞれ密封ケーシング22から露出させた状態で密封ケーシング22に組み込まれている。
そして、起歪部23に貼り付けられた図示されない所要のひずみゲージは、弾性体21に作用した荷重をその大きさに応じて電気的な荷重信号に変換して出力する。
弾性体21の下端部とピット2の底面との間には、下側受け部材28が介在されている。下側受け部材28は、水平座面29を有し、この水平座面29を弾性体21の下側凸面25に接触させた状態でピット2に固定されている。
y0:弾性体21の上部の移動量
S:弾性体21の上部と下部の接触点長さ
H:弾性体21の高さ(ロードセル5〜8の高さ)
A:上側凸面24の曲率半径(=R)
B:下側凸面25の曲率半径(=R)
N:弾性体21に作用する垂直荷重
θ:弾性体21の傾斜角
tanθ≒y0/H ・・・(1)
また、弾性体21の上部と下部の接触点長さSは、次式(2)で表わすことができる。
S≒A・tanθ+(B−H)tanθ
=(A+B−H)・y0/H ・・・(2)
そして、垂直荷重Nと復元力Fyとの比Kは、次式(3)で表わすことができる。
K=Fy/N≒S/H=(A+B−H)・y0/H2 ・・・(3)
前記式(3)より復元力Fyは、次式(4)で表わすことができる。
Fy=N・(A+B−H)・y0/H2 ・・・(4)
なお、復元力Fxは、載台3の水平全長方向(車両の全長方向)の変位x0に対して、式(4)を援用して、以下の式(5)のように表わすことができる。
Fx=N・(A+B−H)・x0/H2 ・・・(5)
図5(a)に示されるように、載台3の下面には、当て金具31が突設され、ピット2の内部には、油圧シリンダ32が設置され、この油圧シリンダ32のシリンダロッドの先端部には、当て金具31に当接可能な押し金具33が装着されている。
載台3の一側面には、ピット2の壁面との間に所定隙間を存してストッパ34が突設されている。
油圧シリンダ32の伸長作動によって載台3がその載台3上の車両4と共にその車両4の幅方向の一方側に向かって揺り動かされた後に、載台3がストッパ34を介してピット2の壁面に押し付けられ、その状態が油圧シリンダ32によって保持されると、載台3の揺れが止められる一方で、載台3上の車両4のみが幅方向に揺り動かされることになる。
油圧シリンダ32は、載台3上の車両4を揺り動かす揺動手段として機能するとともに、車両4と共に揺り動かされる載台3の揺れを止める揺れ止め手段としても機能する。
なお、油圧シリンダ32が収縮されて載台3に対する押動力が作用しなくなると、各ロードセル5〜8の復元力Fyの作用により、載台3が元の位置に戻される。
次に、トラックスケール1の制御システムについて、図6を用いて以下に説明する。
図6に示される制御システムにおいて、各ロードセル5,6,7,8から出力されるそれぞれの信号は、増幅器35でA/D変換可能な大きさに増幅された後、ローパスフィルタ36で低域周波数のみが信号として通過されて、マルチプレクサ37に送り込まれる。マルチプレクサ37に送り込まれた複数の信号は、選択制御信号の指令に基づいて選択的にA/D変換器38へと送られ、このA/D変換器38でデジタル信号に変換された後、I/O回路39を介してMPU40へと送られる。
MPU40は、メモリ41に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路39からの信号を取り込み、またメモリ41に記憶されている種々のデータを読み込み、これらの信号やデータに基づいて所定の演算を実行する。そして、その演算結果は表示装置42に表示される。
MPU40が本発明の「固有振動数演算手段」、「重心高さ演算手段」および「二次元重心位置演算手段」に対応する。
次に、図7を用いて、車両4の重心Gの重心高さの求め方について説明する。
ここで、図7中および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
HG:車両4の重心高さ
Tr:車両4のトレッド幅(有効トレッド幅)
m:車両4の総重量
k:車両4のサスペンションばね定数
h1:載台3から車両4のサスペンションばね上までの高さ(ばね下高さ)
h2:車両4のサスペンションばね上から重心Gまでの高さ
g:重力加速度
θ:車両4のローリング方向の回転角度
Δ:車両4のサスペンション変形量
ω:車両4の鉛直振動数
ωθ:車両4の幅方向の重心G回りの回転振動であるローリング振動数
前記式(6)より、
前記式(7)より、
前記式(8)の計算結果の正の値(h2>0)と、車両4の車種によってある程度決まった値であるばね下高さh1とから下記式(9)を用いて車両4の重心高さHGを求めることができる。
HG=h1+h2 ・・・(9)
図8(a)には、車両4の全軸が載台3に乗り込んだ直後からのロードセル5〜8の荷重信号の波形が示されている。また、図8(b)には、同図(a)の波形をFFT(Fast Fourier Transform)解析した結果が示されている。
車両4の重心高さHGを計算するためには、車両4の鉛直方向の振動数が必要であり(前記式(8)参照)、車両4の載台3への乗り込み時に、図8(a)に示される波形データを取得する。
この図8(a)のFFT解析の結果である同図(b)のデータに基づいて、鉛直振動数ωを求めることができる。
図9には、車両4を載せた載台3の水平幅方向の変位に対するロードセル5,6(7,8)の荷重信号の波形で、車両4の重心高さが高い場合(a)および低い場合(b)がそれぞれ示されている。
図9(a)(b)において、記号Ly0で示されるラインは、載台3の水平幅方向の変位量を表わし、記号LLCで示されるラインは、載台3の左側列のロードセル5,6の荷重信号の波形データを表わしている。なお、載台3の左側列のロードセル5,6の荷重信号の波形データに代えて、載台3の右側列のロードセル7,8の荷重信号の波形データを用いてもよい。また、左側列のロードセル5,6(または右側列のロードセル7,8)の出力ではなく、左側または右側の任意の1個以上のロードセルの出力を使用してもよい。
図9(a)(b)におけるロードセル5,6の荷重信号の波形を比較して明らかなように、車両4の重心高さが高い場合(図9(a))は振動周期が長くなり、言い換えれば振動数が低くなり、車両4の重心高さが低い場合(図9(b))は振動周期が短くなり、言い換えれば振動数が高くなる。
そこで、図5(a)〜(b)に示されるように、油圧シリンダ32の伸長作動によって載台3をその載台3上の車両4と共にその車両4の幅方向の一方側(図5(b)中記号X1矢印方向)に向かって揺り動かし、載台3をストッパ34を介してピット2の壁面に押し付け、その状態を油圧シリンダ32によって保持して載台3の揺れを止めた後、所定の安定時間を待ってから波形データを取得し、これにフィルタ処理を施して、FFT解析を行う。
このFFT解析の結果に基づいて、ローリング振動数ωθを求めることができる。
車両4のトレッド幅Trを求めるにあたっては、図10に示されるような、左右の各車輪9,10;12,13;15,16までの距離を計測する例えばレーザ光線式の距離センサ43,44の計測値が用いられる。
距離センサ43,44は、車両4の載台3への乗り込み位置側の左右両側に所定間隔を存して地面に設置されている。これら距離センサ43,44の計測信号は、I/O回路39を介してMPU40に与えられる(図6参照)。
ここで、左右の距離センサ43,44の設置間隔をD、左側の距離センサ43による左側車輪9,12,15までの計測値をd1、右側の距離センサ44による右側車輪10,13,16までの計測値をd2、左右各車輪9,10;12,13;15,16の幅寸法をu、左側車輪9,12,15の外側面と右側車輪10,13,16の外側面との距離をUとすると、図10より明らかなように、以下の式(10),(11)が成り立つ。
D=d1+U+d2 ・・・(10)
U=Tr+(u/2)+(u/2) ・・・(11)
前記式(10),(11)からトレッド幅Trは以下の式(12)で表わすことができる。
Tr=D−u−(d1+d2) ・・・(12)
左右の距離センサ43,44の設置間隔Dの値は既知であり、左右各車輪9,10;12,13;15,16の幅寸法uの値は車種等によって略決まった値であるため、左右の距離センサ43,44の計測値が得られればトレッド幅Trの値を前記式(12)から求めることができる。
各ロードセル5〜8の合計荷重と時間との関係は、図11に示されるようなステップ状のグラフになる。
第1車軸11が載台3に載ったときの荷重値PL1と、第1車軸11と第2車軸14の両方が載台3に載ったときの荷重値PL2と、全車軸11,14,17が載台3に載ったときの荷重値PL3とに基づいて、第1車軸11の軸重W1と、第2車軸14の軸重W2と、第3車軸17の軸重W3とを以下の式(13),(14),(15)のように求めることができる。
W1=PL1 ・・・(13)
W2=PL2−PL1 ・・・(14)
W3=PL3−PL2−PL1 ・・・(15)
載台3に乗り込んできた車両4の輪重を正確に求めるには、車両4の幅方向の乗り込み位置の情報が必要となる。車両4の載台3への乗り込み位置は、図12に示される左右の距離センサ43,44の計測値d1,d2を用いて以下のようにして求めることができる。
ここで、第1ロードセル5と第3ロードセル7との中間位置(第2ロードセル6と第4ロードセル8との中間位置)を示す中心線をCLSとし、トレッド幅Trの幅方向の中心位置を示す中心線をCLTとし、これら中心線CLTと中心線CLSとの距離をfとすると、図12より明らかなように、以下の式(16)が成り立つ。
D/2=d1+U/2+f ・・・(16)
Dはd1+d2+Uであるので(前記式(10)参照)、fは、以下の式(17)のように表わすことができる。
f=|d2−d1|/2 ・・・(17)
すなわち、上下方向の荷重の釣り合いから、次式(18)が成り立つ。
P12+P34=WL1+WR1 ・・・(18)
第1ロードセル5の回りのモーメントの釣り合いから、次式(19)が成り立つ。
WL1×{bW/2−(Tr/2+f)}+WR1×{bW/2+(Tr/2−f)}}=P34×bW ・・・(19)
これら式(18),(19)より、次式(20),(21)が得られる。
WL1={P12(bW/2+Tr/2−f)−P34(bW/2−Tr/2+f)}/Tr
・・・(20)
WR1={−P12(bW/2−Tr/2−f)+P34(bW/2+Tr/2+f)}/Tr
・・・(21)
次に、主として、図14〜15を用いて、車両4の重心Gの二次元重心位置(水平面的重心位置)の座標(XG,YG)の求め方について説明する。
図14において、車両4の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿ってX軸を定め、第1車軸11に沿ってY軸を定め、車両4の第1車軸11と車両中心線との交点に原点をとって、直交座標系O−XYを定める。
載台3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる中心線に沿ってx軸を定め、載台3の全長方向の中心位置を通り幅方向に延びる中心線に沿ってy軸を定め、載台3の中央に原点をとって、直交座標系o−xyを定める。
ロードセル5〜8のそれぞれの出力は無負荷時において零に調整されているものとする。
図14〜15中および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
G:車両4の重心
XG:座標系O−XYにおける車両4の全長方向の重心位置
YG:座標系O−XYにおける車両4の幅方向の重心位置
xG:座標系o−xyにおける車両4の全長方向の重心位置
yG:座標系o−xyにおける車両4の幅方向の重心位置
aL:第1ロードセル5と第2ロードセル6との中心間距離(第3ロードセル7と第4ロードセル8との中心間距離)
V:載台3の全長方向寸法
l0:第2ロードセル6(第4ロードセル8)と第1車軸11との中心間距離
l1,l2:車軸間距離
f:X軸とx軸との距離(中心線CLTと中心線CLSとの距離)
W:総重量(=W1+W2+W3)
Pi:第iロードセルに作用する力(静荷重)〔=そのロードセルから載台3に作用する力(静荷重)〕
Pj:第jロードセルに作用する力(静荷重)〔=そのロードセルから載台3に作用する力(静荷重)〕
Pij:Pi+Pj
P=P1+P2+P3+P4
Pi:第i車軸のPへの影響分
図15には、車両が載台に載る際の荷重変化の様子を表わす図で、第1車軸の位置xとP13(x)およびP13(t)との関係を表す図が示されている。
XGの測定には、ljの測定が不可欠である。また、ljは、第1ロードセル5〜第4ロードセル8の出力P1(t)〜P4(t)の波形により求めることができる。
P13(t)波形に最初にピークが生じた時刻を時間の原点(t=0)にとり、それ以降に極値が生じた時刻をt1,t2,t3とする。
P13(0)に対応する第1車軸11の位置xと、載台3の車両前進走行経路上流側端との距離をrとする。このrはタイヤ接地長の半分に相等する。また、P13(0)に対応する第1車軸11の位置xと、第1ロードセル5(第3ロードセル7)の中心点との距離をsとする。
前記の距離sについて、次式(22)が成立する。
P1(0)/(aL+s)=W1/aL ・・・(22)
ここで、W1=P1(t),0<t<t1である。
前記式(22)から次式(23)で示されるようにsを求めることができる。
s={P1(0)/W1−1}aL ・・・(23)
一方、前記の距離rと距離sとについて、次式(24)が成立する。
r+s=V/2−aL/2 ・・・(24)
前記式(24)から次式(25)で示されるようにrを求めることができる。
r=V/2−aL/2−s ・・・(25)
P1(0)/(aL+s)=P1(t1)/(aL+s−l1+r) ・・・(26)
前記式(26)からl1は次式(27)で示されるように求めることができる。
l1=(aL+s){1−P1(t1)/P1(0)}+r ・・・(27)
P1(t2)について、次式(28)で示される関係式が成立する。
P1(0)/(aL+s)=P1(t2)/(aL+s−l1) ・・・(28)
前記式(28)からP1(t2)は次式(29)で示されるように求めることができる。
P1(t2)={(aL+s−l1)/(aL+s)}P1(0) ・・・(29)
また、P2(t2)は次式(30)から求めることができる。
P2(t2)=P13(t2)−P1(t2) ・・・(30)
P1(t3)について、次式(31)が成立する。
P1(t2)−P1(t3)={(l2−r)/(aL+s)}P1(0)
・・・(31)
前記式(31)からP1(t3)は次式(32)で示されるように求めることができる。
P1(t3)=P1(t2)−{(l2−r)/(aL+s)}P1(0)
・・・(32)
また、P2(t3)について、次式(33)が成立する。
P2(t2)−P2(t3)={(l2−r)/(aL+s)}P2(t2)
・・・(33)
前記式(33)からP2(t3)は次式(34)で示されるように求めることができる。
P2(t3)=P2(t2)−{(l2−r)/(aL+s)}P2(t2)
・・・(34)
P13(t3)=P1(t3)+P2(t3) ・・・(35)
前記式(35)に前記式(32)および式(34)をそれぞれ代入する。
P13(t3)=P1(t2)−{(l2−r)/(aL+s)}P1(0)
+P2(t2)−{(l2−r)/(aL+s)}P2(t2)
・・・(36)
前記式(36)は次式(37)に示されるように変形することができる。
{(l2−r)/(aL+s)}・(P1(0)+P2(t2))=
P1(t2)+P2(t2)−P13(t3) ・・・(37)
前記式(37)からl2は次式(38)で示されるように求めることができる。
l2=(aL+s)[{(P1(t2)+P2(t2)−P13(t3)}/{(P1(0)+P2(t2)}]+r ・・・(38)
図14(a)から明らかなように、車両4の全長方向の重心位置XGは、次式(39)で表わすことができる。
XG=−{(aL/2−l0)−xG} ・・・(39)
全ての車輪9,10;12,13;15,16が載台3上に載った状態(t4<t<t5:図7(b)参照)におけるモーメントのつりあいから次式(40)が成立する。
WV10+W2(l0+l1)+W3(l0+l1+l2)−P13aL=0
・・・(40)
前記式(40)からl0は次式(41)で示されるように求めることができる。
l0={P13aL−W2l1−W3(l1+l2)}/W ・・・(41)
(aL/2+xG)P=aLP24 ・・・(42)
前記式(42)からxGは次式(43)で示されるように求めることができる。
xG=aL(P24/P−1/2) ・・・(43)
前記式(39)(41)(43)から車両4の全長方向の重心位置XGを求めることができる。
図14において、車両4の座標系o−xyにおける重心位置yGは、ロードセル5〜8の出力P1,P2,P3,P4を用いて次式(44)で求めることができる。
yG=(P1+P2)bW/W−bW/2 ・・・(44)
ただし、W=P1+P2+P3+P4である。
Wは全車軸11,14,17が載台3に載りきってから計測すればよい。また、各計測値を用いて行う演算はリアルタイムにする必要はなく、メモリ41に記憶させておいて必要なタイミングで波形処理を施したうえで演算すればよい。
そして、車両4のY方向の重心位置YGは次式(45)で求めることができる。
YG=yG−f ・・・(45)
この式(45)に、前記式(44)の計算値と、前記式(17)の計算値とを代入することにより、車両4の重心位置YGの値を求めることができる。
以上に述べたように構成されるトラックスケールの計測動作時におけるMPUの処理内容について、図16のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図16において記号「S」はステップを表わす。
車両4が載台3に進入するに伴いトレッド幅や軸重、輪重、二次元重心位置、鉛直振動数などの演算に必要なデータを取得する(S1)。
次いで、車両4の停止後で所定の安定時間が経過した時刻以降において、前記式(39),(41),(43)を用いてXGを,前記式(17),(44),(45)を用いてYGをそれぞれ演算する(S2)。
次いで、油圧シリンダ32の駆動装置(図示省略)に向けて所定の駆動制御信号を出力する(S3)。これにより、油圧シリンダ32の伸長作動によって載台3がその載台3上の車両4と共にその車両4の幅方向の一方側(図5(b)中記号X1矢印方向)に向かって揺り動かされた後に、載台3がストッパ34を介してピット2の壁面に押し付けられ、その状態が油圧シリンダ32によって保持されて、載台3の揺れが止められる一方で、載台3上の車両4のみが幅方向に揺り動かされる。
次いで、ローリング振動数ωθの演算に必要なデータを取得し(S4)、前記式(8),(9)から重心高さHGを演算する(S5)。
そして、ステップS2での二次元重心位置(XG,YG)の演算結果と、ステップS5での重心高さHGの演算結果とから車両4の三次元重心位置の測定結果を表示装置42に表示させる(S6)。
第1の実施形態のトラックスケール1においては、載台3上に車両4が乗り込んだ際における各ロードセル5,6,7,8からの荷重信号に基づいて車両4の鉛直振動数ωが算出される。ここで、各ロードセル5〜8によって支持される載台3は、構造上、鉛直方向には揺り動かされないので、載台3の振動成分を除いた、車両4の鉛直方向の振動成分による荷重変化が各ロードセル5〜8によって検出されることになり、車両4の鉛直振動数ωを正確に検出することができる。
また、載台3上に車両4が乗り込んだ後において、油圧シリンダ32の伸長作動によって載台3がその載台3上の車両4と共にその車両4の幅方向の一方側(図5(b)中記号X1矢印方向)に向かって揺り動かされた後に、載台3がストッパ34を介してピット2の壁面に押し付けられ、その状態が油圧シリンダ32によって保持されて、載台3の揺れが止められる一方で、載台3上の車両4のみが幅方向に揺り動かされる。これにより、載台3の振動成分を除いた、車両4のローリング方向の振動成分による荷重変化が各ロードセル5〜8によって検出されることになり、車両4のローリング振動数ωθを正確に検出することができる。
第1の実施形態では、前記式(8)において、車両4の幅方向の重心G回りの回転振動であるローリング振動数ωθを用いて重心高さHGを求める上で必要な車両4のサスペンションばね上から重心までの高さh2を求める例を示したが、このローリング振動数ωθに代えて、車両4の全長方向の重心G回りの回転振動であるピッチング振動数ωαを用いてそのh2の値を求めるようにしてもよい。
この場合、油圧シリンダ32の伸長作動によって載台3がピット2の壁面に向かって車両4の全長方向の一方側に押進されるようにその油圧シリンダ32の配置等が変更されるのは言うまでもない。また、計算式は、前記式(8)を援用して、次式(46)を用いるものとする。
この式(46)中のLWは、車両4のホイールベースである。
ホイールベースLWは、車両4の第2車軸14と第3車軸17との中間に仮想の第2車軸があるものとして、次式(47)から求めることができる。
LW=l1+l2/2 ・・・(47)
第1の実施形態では、油圧シリンダ32がピット2の内部に設置された例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、油圧シリンダ32をピット2の外部に設けてもよい。また、油圧シリンダ32を載台3側に取り付けて、押し金具33をピット2の側壁に直接的に押し当てることにより、載台3を動かして変位させるようにしてもよい。
油圧シリンダ32を用いる以外にも、例えば電動シリンダを用いてもよく、また、載台3に力を作用させてピット2の壁面に押し付ける、あるいは引き寄せることができればよいので、電動モータを駆動源とする直動機構を用いてもよい。
ここで、リンク47は、図19(b)に示されるように、x座標軸に対しθの傾きを持って配置されている。このリンク47により、載台3のx方向とy方向の変位x0,y0は、次式(48)で示されるような関係に拘束される。
y0=αx0,α=1/tanθ(既知) ・・・(48)
一方、電磁石46は、載台3のy軸の正方向の側面とそれに対向するピット2の壁面との間に配設されている。
そして、x軸の正方向に走行している車両4が載台3に進入し程なくして停止する際に、リンク47による載台3の運動方向の拘束により、その車両4から受ける力を利用して載台3がy軸の正方向に揺り動かされ、載台3がピット2の壁面に向かって車両4の幅方向の一方側(図19(b)中記号y矢印方向)に押進されてピット2の壁面に押し付けられ、その状態が電磁石46によって保持されると、載台3の揺れが止められる一方で、載台3上の車両4のみが幅方向に揺り動かされることになる。
本例において、リンク47は、載台3上の車両4をその幅方向に揺り動かす揺動手段として機能し、電磁石46は、車両4と共に揺り動かされる載台3の揺れを止める揺れ止め手段として機能する。
なお、電磁石46としては、載台3がピット2の壁面に押し付けられた状態を保持することができる程度の性能のものでよい。また、電磁石46の励磁を解除すると、各ロードセル5〜8の復元力Fyの作用により、載台3が元の位置に戻される。
図20には、本発明の第2の実施形態に係るトラックスケールの説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図で載台が揺り動かされる前の状態図、(c)は(a)のC−C線断面図で載台が揺り動かされた後にピットの壁面に押し付けられている状態図である。
なお、この第2の実施形態において、先に述べた第1の実施形態と同一または同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
また、図20(b)〜(c)に示されるように、車両4の載台3への進入によって車両4から載台3が受ける力または車両4の載台3上での停止によって車両4から載台3が受ける力によって、車両4と共に載台3がその車両4の全長方向に揺り動かされ、その後、車両4と共に揺り動かされている載台3の揺れが電磁石46によって止められる。これにより、載台3の振動成分を除いた、車両4のピッチング方向の振動成分による荷重変化が各ロードセル5〜8によって検出されることになり、車両4のピッチング振動数を正確に検出することができる。なお、この場合、h2を求めるための計算式としては前記式(46)が用いられるのは言うまでもない。
この第2の実施形態においては、第1の実施形態では設けられる油圧シリンダ32のような特別な揺動手段が不要であり、電磁石46は車両4と共に揺り動かされる載台3の揺れを止める揺れ止め手段としてのみ機能する。
上記の各実施形態では、車両4の載台3への乗り込み位置の位置情報である距離fやトレッド幅Trを測定する手段として、距離センサ43,44を用いたものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば図21に示されるような感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ60を用いてもよい。
図21(a)(b)に示される、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ60においては、載台3に進入する側の手前の路面の溝に埋め込まれたカバーゴム61の中にリボン状の導電線62と感圧導電性ゴム63と電気抵抗線64がサンドイッチ状態で設置されている。
このカバーゴム61の上面を車両4が通過するとき、カバーゴム61が例えば第1車軸11の左側の車輪9に踏まれると、図21(c)に示されるように、車輪9の踏面の部分のみ感圧導電性ゴム63が圧縮され、上部の導電線62と下部の電気抵抗線64が短絡されて感圧導電性ゴム63が通電状態となる。
図22(a)は車輪に踏まれる前の状態図で、同図(c)はそのときの等価回路図であり、同図(b)は車輪に踏まれた状態図で、同図(d)はそのときの等価回路図である。
以後、各電圧計により電圧を計測し、AD変換してデジタル値として各種演算を行うものとして説明する。
I0=Ed/Rd
また、
I0=E0/(R0+Rd)
これから抵抗R0が導き出される。
R0=E0/I0−Rd
ここで、R0は中心線CLSから外へ半分の距離に相当する抵抗値である。
I1=Ed1/Rd
また、
I1=E0/(R1+R2+R3)
これから抵抗(R1+R2)が導きだされる。
(R1+R2)=E0/I1−Rd
(R1+R2)は載台3の幅寸法の半分(L0,R0)からトレッド幅(Lt,Rt)を差し引いた距離に相当する抵抗値である。
電圧V1により計測された電圧E1より、
R1=E1/I2
電圧計V2により計測された電圧E2より
R2=E2/I2
これらを距離に換算すると、
L1=L0R1/(R1+R2)
L2=L0R2/(R1+R2)
Lt=L0−L1−L2
=R0−R1−R2
となる。
車両4の中心すなわちトレッド幅Trの中心と載台3の中心との偏心量fはf=S−Tr/2として求める。
また、車両4の諸元表等の車両情報からサスペンションばね定数kが既知である場合、ばね上から重心までの高さh2は、鉛直振動数ωを用いることなく求めることができる。
上記の各実施形態における2つの距離センサ43,44に代えて、載台3上に載せた車両4の前輪位置と後輪位置とをそれぞれ検出し得る距離センサを用い、載台3における各ロードセル5,6,7,8で支持される基準領域(平面視で各ロードセル5,6,7,8で囲まれる領域)に対する車両4の前後方向の変位量SFRおよび左右方向の変位量SLRをそれぞれ求め、各ロードセル5,6,7,8からの荷重信号に基づいて載台3の基準領域上に投影した車両3の見かけの二次元重心位置を求め、この見かけの二次元重心位置に対して、前記変位量SFRおよび変位量SLRで補正して、車両4の二次元重心位置を求めるようにしてもよい。
上記の各実施形態では、計測対象が図2(a)に示されるような3軸車両の場合について説明したが、同図(b)に示される4軸車両やそれ以上の車軸数の車両についても、上記の実施形態で述べた計算法と同様にして各軸重や軸間距離を求めることができる。
なお、例えば、図2(b)に示される4軸車両のトレーラーにおいて、第3車軸17と第4車軸18との距離が短すぎるなどの条件で各軸重や軸間距離を求めることが困難な場合には、これら第3車軸17と第4車軸18との中間位置に仮想の第3車軸を設定して、同図(a)に示される3軸車両とみなして上記の実施形態の同様にして各軸重や軸間距離を求めればよい。
3 載台
4 車両
5,6,7,8 ロードセル
32 油圧シリンダ(揺動手段、揺れ止め手段)
40 MPU(固有振動数演算手段、重心高さ演算手段、二次元重心位置演算手段)
45 可動ストッパ(揺動手段、揺れ止め手段)
46 電磁石(揺動手段、揺れ止め手段)
47 リンク(揺動手段)
Claims (7)
- 車両の固有振動数を検出する車両固有振動数検出装置であって、
車両を載せる載台と、
少なくとも車両の長さ方向または幅方向のいずれかの方向に互いに離れた状態で前記載台を支持することにより該載台上の車両の荷重を検出する複数のロードセルと、
前記載台上の車両を揺り動かす揺動手段と、
前記載台の揺れを止める揺れ止め手段と、
前記揺動手段により前記載台上の車両が揺り動かされ、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記複数のロードセルの少なくとも1個以上のロードセルからの荷重信号に基づいて車両の固有振動数を算出する固有振動数演算手段と、
を備えることを特徴とする車両固有振動数検出装置。 - 前記固有振動数演算手段は、前記載台上に車両が乗り込んだ際における前記ロードセルからの荷重信号に基づいて車両の鉛直振動数を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両固有振動数検出装置。
- 前記載台上の車両は、前記揺動手段によってその幅方向に揺り動かされ、
前記固有振動数演算手段は、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記ロードセルからの荷重信号に基づいて車両のローリング振動数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の車両固有振動数検出装置。 - 前記載台上の車両は、前記揺動手段によってその長さ方向に揺り動かされ、
前記固有振動数演算手段は、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記ロードセルからの荷重信号に基づいて車両のピッチング振動数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の車両固有振動数検出装置。 - 車両の固有振動数を検出する車両固有振動数検出装置であって、
車両を載せる載台と、
少なくとも車両の長さ方向または幅方向のいずれかの方向に互いに離れた状態で前記載台を支持することにより該載台上の車両の荷重を検出する複数のロードセルと、
前記載台への車両の進入によりその車両から前記載台が受ける力または前記載台上での車両の停止によりその車両から前記載台が受ける力によって車両と共に揺り動かされる前記載台の揺れを止める揺れ止め手段と、
前記載台への車両の進入によりその車両から前記載台が受ける力または前記載台上での車両の停止によりその車両から前記載台が受ける力によって前記載台が車両と共に揺り動かされ、前記揺れ止め手段によって前記載台の揺れが止められた状態での前記複数のロードセルの少なくとも1個以上のロードセルからの荷重信号に基づいて車両の固有振動数を算出する固有振動数演算手段と、
を備えることを特徴とする車両固有振動数検出装置。 - 請求項1または5に記載の車両固有振動数検出装置を用いた重心位置測定装置であって、
前記固有振動数演算手段によって算出される車両の固有振動数に基づいて車両の重心高さを算出する重心高さ演算手段を備えることを特徴とする重心位置測定装置。 - 前記ロードセルからの荷重信号に基づいて車両の二次元重心位置を算出する二次元重心位置演算手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の重心位置測定装置。
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