しかしながら、上述の特許文献1に開示された言わば第1の従来技術では、ロードセルの起歪体の傾斜角度(詳しくは起歪体の中心軸が鉛直線に対して成す角度)が大きいほど、曲げ歪み誤差の補償精度が低下する。これは、起歪体の傾斜角度が大きいほど、当該起歪体に作用する曲げモーメントが大きくなり、ひいては曲げ歪み誤差が大きくなる一方、曲げ歪み誤差と当該曲げ歪み誤差を求めるための上述の曲げ歪み測定信号との関係が非線形であるからである。ゆえに、起歪体の傾斜角度が大きいほど、曲げ歪み測定信号から曲げ歪み誤差を精確に求めることが困難になり、結果的に、当該曲げ歪み誤差の補償精度が低下する。
また、特許文献2に開示された第2従来技術では、計量台の長手方向における撓みについては、上述の如く予め当該計量台が反らせて構成されている、という対策が講じられているものの、計量台の短手方向における撓みについては、何らの対策も講じられていない。即ち、計量台は、長手方向のみならず、短手方向においても、多少なりとも撓みを生じる。そうであるにも拘らず、第2従来技術では、計量台の短手方向における撓みについては、何らの対策も講じられておらず、従って、曲げ歪み誤差への対策としては不十分である。加えて、計量台という比較的に大きな構造物について、これに車両が載置されたときの撓み方を想定して、この想定通りに当該計量台そのものを予め反らせて構成するのは、極めて難しい。
そこで、本発明は、起歪体が傾斜することに起因する誤差を従来よりも小さくすることができ、しかも、これを極めて簡素な構成で実現することができる、計量装置を提供することを、目的とする。
この目的を達成するために、本発明の計量装置は、上面に荷重が印加される概略平板状の計量台と、この計量台を支持するロードセルと、を具備することを前提とする。ロードセルは、計量台の下面と、当該計量台の下方に位置する基礎面と、の間に設けられている。計量台の下面には、上側部材が設けられており、この上側部材は、下方を向いた平坦な面である上側接触面を有している。また、基礎面には、下側部材が設けられており、この下側部材は、上方を向いた水平な面である下側接触面を有している。ロードセルは、圧縮型のものであり、特にダブルコンベックス型のものである。即ち、ロードセルは、両端が直線状の中心軸上に位置する起歪体を有しており、この起歪体の両端は、凸面状に形成されていおり、さらに、当該起歪体は、その両端に加わる圧縮力によって歪みを生ずる。このロードセルは、起歪体の両端の一方である上側端部を上側部材の上側接触面に可動的に接触させると共に、当該起歪体の両端の他方である下側端部を下側部材の下側接触面に可動的に接触させた状態で、計量台を支持している。その上で、ロードセルは、起歪体に生じる歪みに応じた荷重信号を出力する。ここで、計量台は、その上面に荷重が印加されることによって、当該荷重の大きさに応じた撓みを生ずる。そして、上側部材は、計量台の上面に印加される荷重の大きさがゼロよりも大きくかつ当該荷重の定格値よりも小さい所定値と等価である所定荷重印加状態にあるときに、自身の上側接触面が水平となり、これに伴い、起歪体の中心軸が鉛直方向に延伸するように当該起歪体が正規姿勢としての直立姿勢となるよう、構成されている。また、上側部材は、計量台の上面に印加される荷重の大きさが所定値よりも小さい小荷重印加状態にあるときに、自身の上側接触面が水平面に対して鋭角を成して傾斜し、これに伴い、起歪体の中心軸が鉛直線に対して鋭角を成すように当該起歪体が傾斜するよう、構成されている。さらに、上側部材は、計量台の上面に印加される荷重の大きさが所定値よりも大きい大荷重印加状態にあるときに、自身の上側接触面が小荷重印加状態にあるときとは反対の方向に水平面に対して鋭角を成して傾斜し、これに伴い、起歪体の中心軸が当該小荷重印加状態にあるときとは反対の方向に鉛直線に対して鋭角を成すように当該起歪体が傾斜するよう、構成されている。なお、起歪体が傾斜しているときの荷重信号は、当該起歪体が傾斜することに起因する誤差を含んでいる。
このような本発明によれば、例えば計量台の上面に荷重が印加されていない無負荷状態(空掛け状態)にあるとき、当該計量台は、撓みを生じない。このとき、計量台の下面に設けられた上側部材の上側接触面は、水平面に対して或る大きさの鋭角を成して傾斜し、これに伴い、ロードセルの起歪体は、その中心軸が鉛直線に対して或る大きさの鋭角を成すように傾斜する姿勢となり、言わば初期傾斜姿勢となる。
そして、計量台の上面に荷重が印加されると、当該計量台は、その荷重の大きさに応じた撓みを生じる。例えば、計量台の上面に印加される荷重の大きさがゼロよりも大きくかつ当該荷重の定格値よりも小さい所定値と等価である所定荷重印加状態にあるとき、計量台は、或る大きさの撓みを生じる。このとき、上側部材の上側接触面は、水平となり、これに伴い、ロードセルの起歪体は、その中心軸が鉛直方向に延伸する姿勢となり、言わば正規姿勢としての直立姿勢となる。このようにロードセルの起歪体が直立姿勢にあるときには、当該起歪体が傾斜することに起因する誤差は現れない。
そして例えば、計量台の上面に印加される荷重の大きさが所定値よりも小さい小荷重印加状態にあるとき、計量台は、所定荷重印加状態にあるときよりも小さい撓みを生じる。このとき、上側部材の上側接触面は、無負荷状態にあるときと同じ方向に水平面に対して鋭角を成して傾斜し、これに伴い、ロードセルの起歪体は、その中心軸が無負荷状態にあるときと同じ方向に鉛直線に対して鋭角を成すように傾斜する。このときの上側部材の上側接触面の傾斜角度(詳しくは当該上側接触面が水平面に対して成す角度)は、無負荷状態にあるときの当該傾斜角度よりも小さく、また、計量台が大きく撓むほど、つまり当該計量台の上面に印加される荷重が大きいほど、小さくなる。これと同様に、ロードセルの起歪体の傾斜角度(詳しくは起歪体の中心軸が鉛直線に対して成す角度)は、無負荷状態にあるときの当該傾斜角度よりも小さく、また、計量台が大きく撓むほど小さくなる。このようにロードセルの起歪体が傾斜すると、当該起歪体が傾斜することに起因する誤差が現れる。この誤差は、計量台の上面(厳密にはロードセルの起歪体)に印加される荷重が大きいほど大きく、つまり当該荷重の大きさに依存する。また、当該誤差は、起歪体の傾斜角度が大きいほど大きく、つまり当該起歪体の傾斜角度に依存する。
さらに例えば、計量台の上面に印加される荷重の大きさが所定値よりも大きい大荷重印加状態にあるとき、計量台は、所定荷重印加状態にあるときよりも大きい撓みを生じる。このとき、上側部材の上側接触面は、無負荷状態および小荷重印加状態にあるときとは反対の方向に水平面に対して鋭角を成して傾斜し、これに伴い、ロードセルの起歪体は、その中心軸が無負荷状態および小荷重印加状態にあるときとは反対の方向に鉛直線に対して鋭角を成すように傾斜する。そして、計量台が大きく撓むほど、つまり当該計量台の上面に印加される荷重が大きいほど、上側部材の上側接触面の傾斜角度が大きくなり、これに伴い、ロードセルの起歪体の傾斜角度もまた大きくなる。そして、計量台の上面に印加される荷重の大きさが当該荷重の定格値と等価であるときに、計量台の撓みが最大となり、これに応じて、上側部材の上側接触面の傾斜角度が(大荷重印加状態において)最大となり、併せて、ロードセルの起歪体の傾斜角度もまた(大荷重印加状態において)最大となる。そして、このようにロードセルの起歪体が傾斜することによって、当該起歪体が傾斜することによる誤差が現れる。
ここで例えば、本発明の比較対象となる構成を仮想する。具体的には、計量台が無負荷状態にあるときに、上側部材の上側接触面が水平となり、これに伴い、ロードセルの起歪体が直立姿勢となる構成を、仮想する。この仮想構成によれば、計量台の上面に印加される荷重が大きいほど、つまり当該計量台が大きく撓むほど、上側部材の上側接触面の傾斜角度が大きくなり、これに伴い、ロードセルの起歪体の傾斜角度が大きくなる。言い換えれば、ロードセルの起歪体の傾斜角度は、計量台の撓み量に応じた大きさとなる。従って、計量台が大きく撓むほど、その撓み量に応じた大きさでロードセルの起歪体が傾斜し、この起歪体の傾斜角度に応じた大きさの誤差が現れる。なお、このことは、上述の第1従来技術についても、同様である。
これに対して、本発明によれば、ロードセルの起歪体の傾斜角度は、所定荷重印加状態にあるときの計量台の撓み量と、その時々の当該計量台の撓み量と、の相互差、に応じた大きさとなる。この相互差は、少なくともその時々の計量台の撓み量(言わば絶対値)よりも小さい。従って、本発明によれば、上述の仮想構成に比べて、つまり第1従来技術に比べて、ロードセルの起歪体の傾斜角度が小さく抑えられ、ひいては当該起歪体が傾斜することに起因する誤差が低減される。これに加えて、特に小荷重印加状態にあるときには、計量台の上面に印加される荷重の大きさが所定値よりも小さく、言わば比較的に小さい。また、当該小荷重印加状態にあるときの起歪体の傾斜角度は、上述の如く計量台が大きく撓むほど小さくなり、つまり計量台の上面に印加される荷重が大きいほど小さくなる。これらのことも相俟って、小荷重印加状態にあるときの誤差はさらに低減される。
このように本発明によれば、ロードセルの起歪体が傾斜することに起因する誤差が第1従来技術よりも小さく抑えられる。そして、このことは、上側部材の構成によって実現され、つまり当該上側部材という極めて簡素な構成によって実現され、特に上述の第2従来技術よりも遥かに簡素な構成によって実現される。
なお、ロードセルの起歪体は、概略柱状のものであってもよい。この場合、当該起歪体が傾斜することに起因する誤差として、特に上述の曲げ歪み誤差が現れるが、この曲げ歪み誤差を含む当該起歪体の傾斜に起因する誤差を小さく抑えることが可能となる。
また、上述の所定値は、定格値の略半分の値であってもよい。この場合、計量台の上面に当該定格値の略半分に相当する大きさの荷重が印加されたときに、所定荷重印加状態になる。そして、この所定荷重印加状態にあるときの計量台の撓み量と、その時々の計量台の撓み量と、の上述した相互差、の最大値は、仮想構想における計量台の最大撓み量の略半分の大きさとなり、つまり第1従来技術における計量台の最大撓み量の略半分の大きさとなる。これに伴い、ロードセルの起歪体の最大傾斜角度もまた、仮想構想におけるそれの略半分の大きさとなり、つまり第1従来技術におけるそれの略半分の大きさとなる。従って例えば、計量台の上面に定格値の大きさの荷重が印加されたときに、ロードセルの起歪体の傾斜角度が最大となり、この起歪体の最大傾斜角度は、第1従来技術におけるそれの略半分の大きさとなる。この結果、ロードセルの起歪体が傾斜することに起因する誤差の最大値は、第1従来技術におけるそれの略半分の大きさに抑えられる。また、計量台の上面に荷重が印加されていない無負荷状態にあるときにも、つまりロードセルの起歪体が上述した初期傾斜姿勢にあるときにも、当該起歪体の傾斜角度が最大となり、この初期傾斜姿勢にあるときの起歪体の最大傾斜角度もまた、第1従来技術におけるそれの略半分の大きさとなる。しかも、この無負荷状態にあるときを含め、小荷重印加状態にあるときには、計量台の上面に印加される荷重が比較的に小さいので、つまりロードセルの起歪体に印加される荷重が比較的に小さいので、当該起歪体が傾斜することに起因する誤差がさらに小さく抑えられる。
加えて、計量台は、概略矩形平板状であってもよい。この場合、当該計量台の短手方向における撓みを抑制する撓み抑制手段が、さらに具備されてもよい。即ち、計量台が概略矩形平板状である場合には、当該計量台の長手方向と短手方向との両方において撓みが生じる。ここで、計量台の長手方向における撓みと短手方向における撓みとを比較すると、長手方向における撓みよりも短手方向における撓みの方が小さい。言い換えれば、長手方向における撓みよりも短手方向における撓みの方が抑制し易い。従って例えば、短手方向における撓みを抑制すれば、計量台は、長手方向においてのみ撓むことになる。これにより、計量台の撓みに伴って起歪体が傾斜することに起因する誤差への対策が講じ易くなり、当該誤差をより小さく抑えることが可能となる。
上述したように、本発明によれば、ロードセルの起歪体が傾斜することに起因する誤差を特に第1従来技術よりも小さく抑えることができる。このことは、当該誤差を補償するのに有益である。しかも、この誤差の抑制は、上側部材という極めて簡素な構成によって実現され、特に第2従来技術よりも遥かに簡素な構成によって実現される。即ち、本発明によれば、起歪体が傾斜することに起因する誤差を従来よりも小さく抑えることができ、しかも、これを極めて簡素な構成で実現することができる。
本発明の一実施形態について、トラックスケールを例に挙げて説明する。
本実施形態に係るトラックスケールは、図1に示す計量部10を備えている。この計量部10は、概略矩形平板状の計量台12と、この計量台12を支持する複数の、例えば4つの、荷重検出手段としての圧縮型のロードセル14と、を備えている。
計量台12は、その両主面を水平にした状態にあり、当該両主面のうちの上面に、図示しないに被計量物としてのトラック等の車両が載置される。なお、計量台12は、1枚の板状体ではなく、複数の部材によって構成されたものであり、少なくとも車両載置面としての上面は、平坦である。この計量台12の長手方向の寸法(長さ寸法)L1は、当該計量台12の短手方向の寸法(幅寸法)L2よりも十分に大きい(L1>L2)。例えば、当該計量台12の長手方向の寸法は、L1=約8mであり、短手方向の寸法L2は、L2=約3mである。
計量台12の下面には、その両側縁よりも少し内側の位置において当該計量台12の長手方向に沿って延伸するように、複数本の、例えば2本の、支持梁16および16が設けられている。それぞれの支持梁16は、例えばH形鋼(またはI形鋼)製であり、その一方のフランジ面を計量台12の下面に密着させた状態で、当該計量台12の下面に強固に結合されている。これにより、計量台12の長手方向における剛性の向上が図られている。そして、各支持梁16および16を互いに連結するように、複数本の、例えば3本の、連結梁18,18および18が設けられている。それぞれの連結梁18もまた、例えばH形鋼(またはI形鋼)製であり、詳しくは支持梁16よりもウェブの高さ寸法(H寸法)が小さいH形鋼製である。そして、それぞれの連結梁18は、計量台12の短手方向に沿って延伸すると共に、自身のウェブ面を鉛直にした状態で、各支持梁16および16のウェブの内側面に強固に結合されている。これにより、計量台12の短手方向における剛性の向上が図られている。なお、各連結梁18,18および18のうちの1本は、計量台12の長手方向における中心C1の位置に設けられており、他の2本は、当該中心C1に関して互いに対称となるように、計量台12の両端寄りの位置に設けられている。そして、各支持梁16および16は、計量台12の短手方向における中心C2に関して互いに対称となるように設けられている。
この計量台12の四隅に近い4つの位置Pa〜Pdにおいて当該計量台12を支持するように、各ロードセル14,14,…が設けられている。具体的には、各ロードセル14,14,…は、各支持梁16および16を介して計量台12を支持するように、当該各支持梁16および16の下側の(上述の一方のフランジ面に対する他方の)フランジ面と、このフランジ面に対向する水平かつ極めて頑丈な基礎面100と、の間に設けられている。ここで、各支持梁16および16の下側フランジ面における各支持位置Pa〜Pdに対応するそれぞれの位置には、後述する傾斜プレート20を介して上側金具22が取り付けられている。この上側金具22は、下方を向いた平坦な面である後述する上側接触面22aを有している。また、基礎面100における当該各支持位置Pa〜Pdに対応するそれぞれの位置には、下側金具24が設けられている。そして、この下側金具24は、上方を向いた水平な面である後述する下側接触面24aを有している。なお、図1においては、図解の便宜上、上側金具22および下側金具24が概略平板状の比較的に簡単な構造のものとして示されているが、実際には、これら上側金具22および下側金具24はより複雑な構造をしている。ただし、これら上側金具22および下側金具24については、それぞれ上側接触面22aおよび下側接触面24aを有していることが肝要であり、これ以外の特に複雑な構造については、本発明の本旨に直接的に関係しないので、これ以上の説明は省略する。
ロードセル14は、両端が凸面状に形成された概略円柱状の起歪体14aを有するダブルコンベックス型のものである。このロードセル14は、起歪体14aの一方端部を上側端部として上側金具22の上側接触面22aに可動的に接触させると共に、当該起歪体14aの他方端部を下側端部として下側金具24の下側接触面24aに可動的に接触させた状態で、各支持梁16および16を介して計量台12を支持している。その上で、ロードセル14は、起歪体14aに発生する歪みに応じた、つまり当該起歪体14aに印加される荷重に応じた、荷重信号Swを出力する。そのために、起歪体14aの側面には、図示しない1つ以上の(通常は複数の)歪み検出手段としての歪みゲージが貼着されている。そして、この歪みゲージは、図示しない適当な荷重検出回路、例えばホイートストンブリッジ回路、を構成している。この荷重検出回路としてのホイートストンブリッジ回路が、荷重信号Swを出力する。この荷重信号Swは、図示しない演算手段としてのデータプロセッサに入力される。データプロセッサは、各ロードセル14,14,…(の荷重検出回路)から得られる荷重信号Swに基づいて、被計量物としての車両の重量Waを求める。
ところで、本実施形態においては、上述の如く傾斜プレート20が設けられているが、ここで例えば、本実施形態の比較対象として、当該傾斜プレート20が設けられていない構成を、仮想する。この仮想構成によれば、図2(a)に模式的に示すように、上側金具22の上側接触面22aは、計量台12の下面(支持梁16の下側フランジ面)と平行である。そして例えば、計量台12の上面に被計量物としての車両が載置されていない無負荷状態にあるときには、計量台12の下面は水平であり、従って、上側金具22の上側接触面22aもまた水平である。一方、基準面100は常に水平であり、ゆえに、下側金具24の下側接触面24aもまた常に水平である。このように上側金具22の上側接触面22aが水平であると共に、下側金具24の下側接触面24aが水平であるときには、ロードセル14の起歪体14aの上側端部の中心P1が、上側金具22の上側接触面22aに接触し、当該起歪体14aの下側端部の中心P2が、下側金具24の下側接触面24aに接触する。これにより、起歪体14aは、その中心軸Axが鉛直方向に延伸する姿勢となり、言わば直立姿勢となる。ロードセル14は、この起歪体14aが直立姿勢であるときに、精確な荷重検出を実現する。言い換えれば、起歪体14aの直立姿勢は、ロードセル1が精確な荷重検出を実現するための正規姿勢である。なお、図2(a)は、例えば図1(a)におけるPaという支持位置にあるロードセル14による計量台12の支持状態を、支持位置Pdとは反対の方向から見た図である。従って、この図2(a)における左右方向が、計量台12の長手方向に当たる。そして、この図2(a)における右側に、計量台12の長手方向における中心C1があり、さらには支持位置Pbがある。また、この図2(a)が示されている面(紙面)の表裏方向が、計量台12の短手方向に当たる。ただし、Pa以外の各支持位置Pb〜Pdにあるそれぞれのロードセル14についても、この図2(a)に示すのと同様の状態で計量台12を支持している。また、この図2(a)においては、図解の便宜上、ロードセル14については、起歪体14aのみを示してある。
この仮想構成において、計量台12の上面に車両が載置されると、つまり計量台12の上面に当該車両の重量Waに応じた荷重が印加されると、計量台12は、当該荷重Waの大きさに応じた撓みを生ずる。ここで厳密に言えば、計量台12の撓みは、当該計量台12の長手方向と短手方向との両方に生じるが、このうちの短手方向における撓みについては、無視できる程度に極めて小さい。これは主に、計量台12の短手方向の寸法L2が長手方向の寸法L1よりも十分に小さいこと、当該計量台12の長手方向の剛性を向上させるための2本の支持梁16および16が捻り剛性ならびに曲げ剛性の高いH形鋼製であること、そして、これら2本の支持梁16および16がH形鋼製の3本の連結梁18,18および18によって互いに強固に連結されていること、による。なお、計量台12の長手方向については、上述の如く2本の支持梁16および16が設けられることによって、その剛性の向上が図られているものの、やはり、当該長手方向の寸法L1が短手方向の寸法L2よりも十分に大きいことから、多少の撓みを生じる。これらのことから、計量台12の撓みは、当該計量台12の長手方向においてのみ生じ、短手方向においては生じない、と見なすことができる。このように計量台12の長手方向に撓みが生じたときの起歪体14aおよびその周辺の状態を、図2(b)に示す。
この図2(b)は、計量台12が撓むことによって、当該計量台12の下面(支持梁16の下側フランジ面)のロードセル14(起歪体14a)による支持位置Paの部分が水平面に対してθという鋭角の角度を成して傾斜した状態を示す。なお、この図2(b)もまた、上述の図2(a)と同様、図1(a)におけるPaという支持位置にあるロードセル14による計量台12の支持状態を、支持位置Pdとは反対の方向から見た図である。この図2(b)に示す状態においては、上側金具22の上側接触面22aが計量台12と同様に傾斜し、つまり当該上側接触面22aが水平面に対して計量台12の傾斜角度θと等価なθ’(=θ)という鋭角の角度を成して傾斜する。このように上側金具22の上側接触面22aが傾斜することによって、ロードセル14の起歪体14aが傾斜し、詳しくは当該起歪体14aの中心軸Axが鉛直線に対してθ”という鋭角の角度を成す。このとき、起歪体14aの上側端部の中心P1とは異なる部分が、上側金具22の上側接触面22aに接触し、当該起歪体14aの下側端部の中心P2とは異なる部分が、下側金具24の下側接触面24aに接触する。この起歪体14aの傾斜角度(詳しくは起歪体14aの中心軸Axが鉛直線に対して成す角度)θ”は、計量台12が大きく撓むほど、つまり当該計量台12の上面に印加される荷重Waが大きいほど、大きい。そして例えば、計量台12の上面に印加される荷重Waの大きさが当該荷重Waの定格値(秤量)Wmと等価(Wa=Wm)であるときに、計量台12の撓みが最大となり、つまり当該計量台12の傾斜角度θが最大θmとなる。これに応じて、上側金具22の上側接触面22aの傾斜角度θ’もまた最大θm’(=θm)となり、これに伴い、起歪体14aの傾斜角度θ”もまた最大θm”となる。このことは、Pa以外の各支持位置Pb〜Pdについても、同様である。
このようにロードセル14の起歪体14aが傾斜すると、ロードセル14の出力信号である荷重信号Swに、当該起歪体14aが傾斜することに起因する誤差Seが現れる。とりわけ、起歪体14aが傾斜すると、この傾斜した起歪体14aに曲げモーメントが作用し、この曲げモーメントの大きさと方向とに応じた曲げ歪みが当該起歪体14aに発生するが、この曲げ歪みが発生することによる誤差、言い換えれば曲げモーメントに起因する曲げ歪み誤差、が大きく現れる。この曲げ歪み誤差を含む起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seは、当該起歪体14aの傾斜角度θ”が大きいほど、つまり計量台12の上面に印加される荷重Waが大きいほど、大きい。従って、起歪体14aの傾斜角度θ”が最大θm”であるときに、つまり計量台12の上面に定格値Wmの大きさの荷重Waが印加されたときに、当該誤差Seが最大Semとなる。なお、このことは、上述の第1従来技術についても、同様である。
これに対して、本実施形態によれば、各支持位置Pa〜Pdのそれぞれにおいて、支持梁16の下側フランジ面と上側金具22との間に、図3に示す傾斜プレート20が設けられている。この傾斜プレート20は、その両主面が互いに非平行な概略方形板状のものであり、当該両主面は、互いにθm/2という角度を成しており、つまり計量台12の最大傾斜角度θmの半分θm/2に相当する角度を成している。より厳密に言えば、この傾斜プレート20の1つの端面とこれに平行な端面とに直交し、かつ、当該傾斜プレート20の両主面とも直交する、という仮想の平面において、当該両主面は、上述の如く互いにθm/2という角度を成している。このため、傾斜プレート20の当該仮想平面と直交する2つの端面の一方側の厚さ寸法D1は、他方側の厚さ寸法D2よりも大きい。なお、傾斜プレート20の他の2つの端面と直交し、かつ、当該傾斜プレートの両主面のいずれか一方と直交する、という別の仮想平面においては、当該両主面は、互いに平行である。
この傾斜プレート20は、その一方主面を支持梁16の下側フランジ面に密着させると共に、他方主面を上側金具22の上側接触面22aとは反対側にある面(言わば上面)に密着させた状態で、これら支持梁16の下側フランジ面と上側金具22との間に設けられている。また、傾斜プレート20は、その厚さ寸法がD2である側の(つまり厚さ寸法が小さい側の)端面を計量台12の長手方向における中心C1に向けた状態にある。従って例えば、計量台12が無負荷状態にあるときには、図4に示すように、計量台12の下面(支持梁16の下側フランジ面)は水平であるものの、傾斜プレート20が介在することによって、当該上側金具22の上側接触面22aは水平ではなく、当該上側接触面22aは平面に対してθm/2という角度θ’を成して傾斜する。これに伴い、ロードセル14の起歪体14aもまた直立姿勢ではなく、その中心軸Axが鉛直線に対してθm”/2という角度θ”を成すように傾斜する。なお、図4は、上述の図2と同様、図1(a)におけるPaという支持位置にあるロードセル14による計量台12の支持状態を、支持位置Pdとは反対の方向から見た図であるが、Pa以外の各支持位置Pb〜Pdのそれぞれにおいても、同様の状態となる。
より具体的に説明すると、計量台12が無負荷状態にあるときには、上側金具22の上側接触面22aは、後述する如く計量台12の上面に定格値Wmの大きさの荷重Waが印加されたときとは反対の方向に水平面に対してθm/2という角度θ’を成して傾斜し、つまり計量台12の最大傾斜角度θmの半分θm/2に相当する当該角度θ’を成して傾斜し、さらに言い換えれば上述の仮想構成における上側接触面22aの最大傾斜角度θm’(=θm)の半分θm’/2に相当する当該角度θ’を成して傾斜する。なお、この上側接触面22aの傾斜角度θ’については、当該上側接触面22aが計量台12と同じ方向に傾いているときをプラス(+)とし、これとは反対の方向に傾いているときをマイナス(−)として、表現する。従って、計量台12が無負荷状態にあるときの当該上側接触面22aの傾斜角度θ’は、θ’=−θm/2と表現される。そして、ロードセル14の起歪体14aは、計量台12の上面に定格値Wmの大きさの荷重Waが印加されたときとは反対の方向に鉛直線に対して約θm”/2という角度θ”を成して傾斜し、つまり上述の仮想構成における起歪体14aの最大傾斜角度θm”の半分θm”/2に略相当する当該角度θ”を成して傾斜する。この起歪体14aの傾斜角度θ”については、当該起歪体14aが計量台12の上面に定格値Wmの大きさの荷重Waが印加されているときと同じ方向に傾いているときをプラスとし、これとは反対の方向に傾いているときをマイナスとして、表現する。従って、計量台12が無負荷状態にあるときの当該起歪体14aの傾斜角度θ”は、θ”≒−θm”/2と表現される。
ここで、計量台12の上面に荷重Waが印加されると、計量台12は、上述の如く当該荷重Waの大きさに応じた撓みを生じる。そして例えば、計量台12の上面に定格値Wmの半分Wm/2に相当する大きさの荷重Waが印加されると、各支持位置Pa〜Pdのそれぞれにおいて、図5に示すように、計量台12が水平面に対して約θm/2という角度θを成して傾斜する。これにより、上側金具22の上側接触面22aは略水平となり、つまり当該上側接触面22aの傾斜角度θ’はθ’≒0°となる。これに伴い、ロードセル14の起歪体14aは略直立姿勢となり、つまり当該起歪体14aの傾斜角度θ”もまたθ”≒0°となる。なお、図5は、上述の図2と同様、図1(a)におけるPaという支持位置にあるロードセル14による計量台12の支持状態を、支持位置Pdとは反対の方向から見た図であるが、Pa以外の各支持位置Pb〜Pdのそれぞれにおいても、同様の状態となる。
さらに例えば、計量台12の上面に定格値Wmの半分Wm/2よりも大きな荷重Waが印加されると、計量台12は、より大きく撓む。すると、上側金具22の上側接触面22aが、それまでとは反対の方向に傾斜し、これに伴い、ロードセル14の起歪体14aもまた、それまでとは反対の方向に傾斜する。そして例えば、計量台12の上面に定格値Wmと等価な荷重Waが印加されると、計量台12の撓みが最大となり、つまり計量台12の傾斜角度θがθ=θmとなる。すると、図6に示すように、上側金具22の上側接触面22aが、水平面に対してθm/2という角度θ’を成して傾斜し、つまり計量台12の最大傾斜角度θmの半分θm/2に相当する当該角度θ’を成して傾斜し、さらに言い換えれば上述の仮想構成における上側接触面22aの最大傾斜角度θm’(=θm)の半分θm’/2に相当する当該角度θ’を成して傾斜する。これに伴い、ロードセル14の起歪体14が、鉛直線に対して約θm”/2という角度θ”を成して傾斜し、つまり上述の仮想構成における起歪体14aの最大傾斜角度θm”の半分θm”/2に略相当する当該角度θ”を成して傾斜する。なお、図6は、上述の図2と同様、図1(a)におけるPaという支持位置にあるロードセル14による計量台12の支持状態を、支持位置Pdとは反対の方向から見た図であるが、Pa以外の各支持位置Pb〜Pdのそれぞれにおいても、同様の状態となる。
即ち、本実施形態によれば、計量台12の傾斜角度θが0°〜θm(0°≦θ≦θm)の範囲で変わる過程において、上側金具22の上側接触面22aの傾斜角度θ’は−θm/2〜θm/2(−θm/2≦θ’≦θm/2)の範囲で変わり、これに伴い、ロードセル14の起歪体14aの傾斜角度θ”は約−θm”/2〜約θm”/2(約−θm”/2≦θ”≦約θm”/2)の範囲で変わる。これに対して、上述の仮想構成によれば、計量台12の傾斜角度θが本実施形態と同じ0°〜θm(0°≦θ≦θm)の範囲で変わる過程において、上側接触面22aの傾斜角度θ’は0°〜θm(0°≦θ’≦θm)の範囲で変わり、これに伴い、起歪体14aの傾斜角度θ”は0°〜θm”(0°≦θ”≦θm”)の範囲で変わる。要するに、本発明によれば、起歪体14aの傾斜角度θ”が最大でも約θm”/2であるのに対して、仮想構成によれば、当該起歪体14aの傾斜角度θ”は最大でθm”であり、つまり本発明の約2倍である。言い換えれば、本発明によれば、仮想構成に比べて、起歪体14aの傾斜角度θ”が小さく抑えられる。
従って例えば、本実施形態においては、図5に示した状態にあるとき以外は、ロードセル12の起歪体14aが傾斜した状態にあるので、当該ロードセル12の出力信号としての荷重信号Swに曲げ歪み誤差を含む起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seが現れる。ただし上述したように、本実施形態によれば、仮想構成に比べて、起歪体14aの傾斜角度θ”(の絶対値)が小さく抑えられるので、その分、当該誤差Seが低減される。このことは、上述の第1従来技術との比較においても、同様である。
ここで例えば、全てのロードセル14から得られる荷重信号Swに基づいて、計量台12の上面に印加される荷重Wa、つまり被計量物としての車両の重量Wa、の測定値である重量測定値Wbが求められる、とする。この場合、図7に太実線αで示すように、実際の荷重Waとその測定値である重量測定値Wbとの関係が線形(直線状)になるのが、理想である。即ち例えば、実際の荷重WaがWa=Wm/2であるときに、重量測定値WbがWb=Wm/2となり、実際の荷重WaがWa=Wmであるときに、重量測定値WbがWb=Wmとなるのが、理想である。しかしながら、上述の仮想構成によれば、図7に太い一点鎖線βで示すように、実際の荷重Waと重量測定値Wbとの関係が非線形(非直線状)であり、特に実際の荷重Waが大きいほど当該荷重Waと重量測定値Wbとは大きく乖離する。そして例えば、実際の荷重Waが定格値Wmと等価な大きさであるときの重量測定値Wbは、当該定格値Wmよりも小さいWm’(<Wm)となる。このことは、第1従来技術における誤差補償前の重量測定値についても、同様である。これに対して、本実施形態によれば、図7に太い二点鎖線γで示すように、実際の荷重Waと重量測定値Wbとの関係が非線形ではあるものの、これら両者WaおよびWbの差は、仮想構成のそれよりも小さい。特に、実際の荷重WaがWa=Wm/2であるときには、上述の如くロードセル14の起歪体14aが直立姿勢となるので、当該起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seは発生せず、ゆえに、重量測定値WbがWb=Wm/2となり、つまり当該重量測定値Wbと実際の荷重Waとが等価(Wb=Wa)になる。さらに、実際の荷重WaがWm/2よりも小さい(Wa<Wm/2)領域においては、当該荷重Waそのものが比較的に小さく、また、当該荷重Waが大きいほど、つまり計量台12が大きく撓むほど、ロードセル14の起歪体14aの傾斜角度θ”(の絶対値)が小さくなるので、これらのことも相俟って、起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seがさらに低減され、結果的に、当該荷重Waと重量測定値Wbとの差が殆どなくなる。そして、実際の荷重Waが定格値Wmと等価な大きさであるときの重量測定値Wbは、仮想構成のそれ(Wm’)よりも当該定格値Wmに近いWm”(Wm’<Wm”<Wm)となる。
このような重量測定値Wbに対してスパン調整が施されると、詳しくは計量台12の上面に定格値Wmと等価な重量Waの分銅(テスト荷重)が載置されたときの重量測定値Wbが当該定格値Wmと等価になるようにスパン調整が施されると、図7に示した関係は、図8に示すようになる。即ち例えば、仮想構成における実際の荷重Waとスパン調整後の重量測定値Wb’との関係は、この図8に太い一点鎖線β’で示すようになる。そして、本実施形態における関係は、図8に太い二点鎖線γ’で示すようになる。この図8から分かるように、本実施形態によれば、仮想構成に比べて、言い換えれば第1従来技術に比べて、実際の荷重Waと重量測定値Wb’との差を縮小することができ、つまり精確な重量測定値Wb’を得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、第1従来技術に比べて、曲げ歪み誤差を含む起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seが小さく抑えられ、ひいては精確な重量測定値Wb’が得られる。従って例えば、本実施形態に対して第1従来技術におけるような誤差補償が組み合わされることによって、さらに効果的な誤差補償が実現される。また、本実施形態は、上述した仮想構成に対して、傾斜プレート20が設けられたものである。従って例えば、計量台という比較的に大きな構造物そのものを反らせて構成するという上述した第2従来技術に比べて、極めて簡素な構成で当該誤差Seを抑制することができる(因みに、従来、傾斜プレート20ではなく、単なる平板状のプレートが設けられたものがあるが、この場合は、当該平板状のプレートが傾斜プレート20に交換されるだけで、本実施形態と同様の効果的な誤差Seの抑制が実現される)。
なお、本実施形態において説明した内容は、飽くまでも本発明を実現するための1つの具体例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
例えば、ロードセル14の起歪体14aについては、概略円柱状のものとしたが、これ以外の概略柱状のもの、例えば概略角柱状のものであってもよい。また、このロードセル14の数については、4つとしたが、これ以外の数であってもよい。そして、このロードセル14が設置される基礎面100については、水平としたが、当該基礎面100の全体が水平である必要はなく、少なくともロードセル14が設置される部分のみが水平であればよい。
さらに、当該概略柱状の起歪体14aを有するロードセル14に代えて、例えば図9に示すような概略S字状の起歪体140aを有するいわゆるS字型ロードセル140が採用されてもよい。このS字型ロードセル140は、起歪体140aの適当な2箇所に適当な溝140bおよび140bが設けられることによって当該起歪体140aが概略S字状に形成されたものであり、この概略S字状に形成された起歪体140aの中心部分に、図示しない歪み検出手段としての歪みゲージが貼着されている。なお、この図9に示すS字型ロードセル140においては、外部から歪みゲージを保護するために、起歪体140aの中心部分に設けられた2つの円形の凹部140cおよび140c内のそれぞれに、当該歪みゲージが収容されている。そして、起歪体140aの両端は、上述の概略柱状の起歪体14aと同様、凸面状に形成されており、この起歪体140aの両端に加わる圧縮力が、2つのアーム部140dおよび140dを介して当該起歪体140aの中心部分に剪断力として作用する。従って、歪みゲージは、この剪断力を検出することによって、起歪体140aに印加される荷重を検出することになる。このようなS字型ロードセル140もまた、起歪体140aが直立姿勢であるときに、精確な荷重検出を実現する。そして例えば、起歪体140aが傾斜すると、当該起歪体140aの各アーム部140dおよび140dを介して中心部分に伝わる力の分布(応力分布)が変化し、このことにも起因して、荷重信号Swに誤差Seが現れる。本発明によれば、このようなS字型ロードセル140が採用された場合にも、起歪体140aが傾斜することに起因する誤差Seを小さく抑えることができる。
加えて、傾斜プレート20の両主面が互いに成す角度は、θm/2に限らず、0よりも大きく、かつ、θmよりも小さい、という範囲内で適宜に定められればよい。
また、計量台12の剛性を向上させるための構成は、図1に示したH形鋼を組み合わせたものに限らず、適宜のものを採用すればよい。
この計量台12の剛性によっては、当該計量台12の長手方向のみならず、短手方向にも撓みが生じる場合がある。この場合、上述の傾斜プレート20に代えて、図10に示す2方向傾斜プレート30が採用されるのが、望ましい。なお、ここでは、計量台12の上面に定格値Wmと等価な大きさの荷重Waが印加されたときに、上述した各支持位置Pa〜Pdのそれぞれにおいて、当該計量台12がその短手方向に水平面に対してθxという角度を成して傾斜すると共に、長手方向に水平面に対してθyという角度を成して傾斜するものとする。
この図10に示す2方向傾斜プレート30は、上述の言わば1方向傾斜プレート20と同様、その両主面が互いに非平行な概略方形板状のものであるが、当該1方向傾斜プレート20の両主面が所定の1つの方向において互いに(例えばθm/2という)所定の角度を成すのに対して、この2方向傾斜プレート30の両主面は所定の2方向において互いに所定の角度を成すものである。具体的には、この2方向傾斜プレート30の両主面の一方は、上面とされ、支持梁16の下側フランジ面に密着される。そして、当該2方向傾斜プレート30の両主面の他方は、下面とされ、上側金具22の上面(上側接触面22aとは反対側にある面)に密着される。なお、この2方向傾斜プレート30の例えば上面は、矩形である。
ここで、この2方向傾斜プレート30の上面の中心Oに、これから説明するX軸,Y軸およびZ軸から成る3次元の直交座標の原点が置かれる。即ち、この原点Oを通り、かつ、当該上面の或る1組の辺のそれぞれと直交するように、X軸が設定される。そして、原点Oを通り、かつ、当該上面の他の1組の辺のそれぞれと直交するように、Y軸が設定される。さらに、X軸およびY軸のそれぞれと直交するように、Z軸が設定される。そして、Z軸上における原点Oから下方に或る距離D3を置いた位置O’が、この2方向傾斜プレート30の下面の中心とされる。ここで言う距離D3、つまりこの2方向傾斜プレート30の言わば中心厚さ寸法D3は、当該2方向傾斜プレート30の耐荷重性等を考慮して適宜に定められる。
この2方向傾斜プレート30は、X軸が計量台12の短手方向に延伸すると共に、Y軸が当該計量台12の長手方向に延伸するように、設けられる。このことを前提として、Z軸とX軸とを含むZ−X平面において、2方向傾斜プレート30の下面の中心O’を通り、かつ、X軸に対してθx/2という角度を成すように、X’軸が設定される。併せて、Y軸とZ軸とを含むY−Z平面において、2方向傾斜プレート30の下面の中心O’を通り、かつ、Y軸に対してθy/2という角度を成すように、Y’軸が設定される。そして、X’軸とY’軸とを含むX’−Y’平面内に、この2方向傾斜プレート30の下面が形成される。なお、この2方向傾斜プレート30は、X軸方向において、つまり計量台12の短手方向において、その厚さ寸法が小さい側のターゲット面が当該計量台12の短手方向における中心C2に向けられるように、設けられる。Y軸方向においても、つまり計量台12の長手方向においても、同様に、この2方向傾斜プレート30は、その厚さ寸法が小さい側の端面が当該計量台12の長手方向における中心C1に向けられるように、設けられる。
このような2方向傾斜プレート30が設けられることによって、計量台12が長手方向と短手方向との両方に撓む構成においても、ロードセル14の起歪体14aの傾斜に起因する誤差Seが小さく抑えられ、ひいては当該誤差Seを精確に補償することが可能となる。
なお、この2方向傾斜プレート30や上述の1方向傾斜プレート20が設けられなくても、例えば上側金具22が適宜に構成されることによって、当該上側金具22にこれらのプレート20または30の機能が兼備されてもよい。
また、本実施形態においては、トラックスケールの計量部10に本発明を適用する場合について、説明したが、これ以外の計量装置にも本発明を適用できることは、言うまでもない。