JPWO2007049824A1 - 極低炭素鋳片の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このアルミナクラスターの一部は、連続鋳造時に、タンディッシュから浸漬ノズルへ侵入し、浸漬ノズル内孔部に付着すると、ノズルの閉塞を引き起こして、操業を阻害する。さらに、アルミナクラスターが鋳型へ侵入し、鋳片表層に残留すると、薄鋼板の表面疵発生の原因となり、品質に悪影響を及ぼす。
この対策として、一般的には、タンディッシュ上ノズル、スライディングノズル、または、浸漬ノズルから、Arガスを吹き込み、Al2O3系介在物を気泡表面に付着させて、浸漬ノズルの内孔部への付着を防止するとともに、鋳型内で浮上させて除去する方法がある。
しかし、この方法では、吹き込んだAr気泡が、鋳片におけるピンホール欠陥の原因となること、また、鋳型内で浮上したAr気泡によりメニスカスが乱されて、パウダー巻き込みが起き、巻き込まれたパウダー粒子が、薄鋼板における表面疵の原因になるという問題があった。
また、溶鋼を連続鋳造する場合、製造が容易であるという観点から、通常は、図7に示すように、内径が、内孔部10の上端から下端にかけて一定の、ストレート形状の浸漬ノズル1を使用する。
しかし、内孔部がストレート形状の浸漬ノズルの場合、図8に示すように、スライディングノズル11の開口部12が、浸漬ノズル1の中心からずれているので、タンディッシュ(図示なし)内の溶鋼がスライディングノズル11を通過して浸漬ノズル1内へ流入すると、同じく、図8に示すように、浸漬ノズル1内に、溶鋼流速の不均一分布が不可避的に生じる(図中、中央部の下向き矢印、参照)。
これが原因で、左右の吐出孔で流速が異なる偏流13a、13bが発生し、鋳型内の流動状態が乱され、パウダーまたは気泡が、溶鋼未凝固部の深い位置にまで持ち込まれて、鋳片内に残留するという問題があった。
これらの問題を解決するため、従来の知見に基づき、2つの解決方法が開示されている。1つ目は、Al脱酸を施した溶鋼に対し、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用する方法である。
この方法は、内孔部へのアルミナ付着防止、および、偏流の抑制を目的とするもので、例えば、特開2001−239351号公報には、内孔部に複数の段差を有する浸漬ノズルが開示され、また、特開2004−255407号公報には、内孔部に複数の不連続な突起を有する浸漬ノズルが開示されている。
そして、これらの特許文献においては、内孔部にオリフィス(段差または突起)を設けると、浸漬ノズル内において、溶鋼流速が著しく遅い部分が解消されて、流速が均一化され、その結果、偏流抑制とアルミナ付着防止効果が得られることが開示されている。
また、特開2001−239351号公報には、不活性ガス流量は、1Nl(ノーマルリットル)/分以上40Nl(ノーマルリットル)/分以下が適正であることが開示されている。なお、以降、「ノーマルリットル」を、単に、「Nl」と記載することがある。
2つ目は、アルミナクラスターを生成させない方法であり、例えば、特開2002−88412号公報、特開2003−49218号公報、特開2003−268435号公報、特開2005−60734号公報、および、特開2005−139492号公報には、Tiと希土類金属で脱酸(以下、「Ti−希土類金属脱酸」という。)する方法が開示されている。
この方法は、溶鋼をTiで脱酸してTi酸化物を生成し、その後、希土類金属を添加して、Ti酸化物を、凝集合体し難い球状介在物に改質して微細分散させる方法である。この方法によれば、浸漬ノズルへの介在物付着、浸漬ノズルの閉塞、および、アルミナクラスター起因の表面疵発生を防止することができる。
また、特開平11−343516号公報には、Ti脱酸後、Caおよび希土類金属のいずれか1種または2種を添加し、Arガスを吹き込まずに連続鋳造する方法が開示されている。この方法も、クラスター状介在物の生成を抑制して、介在物を微細分散させる方法であり、この方法により、表面性状が良好なチタンキルド鋼を得ることができる。
上記特許文献に開示の技術においては、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用しても、流速分布を均一化する効果は得られ難い。それは、上記技術においては、ノズル閉塞の問題があるからである。
この原因は、オリフィス下端より下部では、渦流が発生して攪拌が起こるので、アルミナは付着しないが、オリフィス上端より上部では渦流が発生しないので、アルミナの付着が避けられない点にある。
特に、オリフィス上端は、アルミナの付着が最も進行しやすい箇所であり、ここに、大量のアルミナ系介在物が付着すると、ノズルが閉塞する。
特開2001−239351号公報に開示するように、Arガスを溶鋼に吹き込めば、ノズルの閉塞を防止することは可能となる。しかし、溶鋼に吹き込んだArガスの一部は、浸漬ノズル内に充満し、浸漬ノズル内の湯面位置(2次メニスカス)を押し下げる。
タンディッシュから浸漬ノズルへ流入する溶鋼は、スライディングノズル位置から、2次メニスカスまで自由落下するが、2次メニスカスが押し下げられていると、溶鋼の落下距離が長くなるので、溶鋼の落下位置の直下では、強い下降流が発生し易くなる。
場合によっては、その反動で、図9に示すように、反転上昇流14(図中、点線矢印、参照)が発生し、浸漬ノズル内において、溶鋼流速の不均一分布(図中、実線矢印、参照)が生じる。
溶鋼の落下流により発生する溶鋼流速の不均一分布は、2次メニスカスを、スライディングノズル位置に近付けると緩和される。しかし、アルミナの付着防止効果を得るためには、所定量以上のArガス流量が必要である。通常、Arガス流量は、5〜20Nl/分であるが、このArガス流量では、2次メニスカスをスライディングノズル位置に近付けることは困難である。
2次メニスカスが低く、オリフィス上端(図1中、「21a」、参照)までの距離が短いと、溶鋼が、オリフィスより上部で一旦滞留せず、流速分布が均一化されないまま、オリフィスを通過する可能性が高い。よって、2次メニスカスが低い状態では、オリフィスのみで、落下流に起因する偏流を抑制することは難しい。
次に、特開2002−88412号公報、特開2003−49218号公報、特開2003−268435号公報、特開2005−60734号公報、特開2005−139492号公報、および、特開平11−343516号公報に開示の方法、即ち、アルミナクラスターを生成しない溶鋼を連続鋳造する方法について説明する。
上記特許文献開示の技術では、介在物は凝集合体し難いので、粗大なクラスターは生成せず、ノズル閉塞は発生し難い。しかし、上記特許文献において、浸漬ノズルの内孔部の形状は規定されておらず、2次メニスカスに関する技術的事項は記載されていない。
上記技術においては、流速の不均一分布および偏流の抑制に対する手段が講じられていないので、パウダーまたは気泡が、溶鋼未凝固部の深い位置にまで持ち込まれる可能性が高く、パウダーまたは気泡が鋳片内に残留して、薄鋼板に加工した場合に発生する表面疵の原因となることが懸念される。
このように、従来の技術においては、ノズル閉塞の防止と鋳片品質の確保を両立させることが難しいという問題があった。なお、ここでいう鋳片品質の確保とは、薄鋼板に加工しても表面疵が発生しない鋳片を安定的に製造することを意味する。
本発明は、これらの問題に鑑み、連続鋳造の操業性と鋳片品質を両立できる極低炭素鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、極低炭素溶鋼に、Ti−希土類金属(Ce、La、Nd)脱酸を施し、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用すると、ノズル閉塞を防止し、かつ、薄鋼板に加工を施しても表面疵が発生しない極低炭素鋳片を連続鋳造することができることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、以下の構成を要旨とするものである。
(1) 炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭した溶鋼に、Tiを添加し、また、Ce、La、Ndのうち1種以上を添加し、浸漬ノズルを使用して、タンディッシュ上ノズルから該浸漬ノズル吐出孔までの範囲の任意の箇所から吹き込むArガス流量を、3Nl(ノーマルリットル)/分以下としつつ、上記溶鋼を、タンディッシュから鋳型へ注入し、連続鋳造することを特徴とする極低炭素鋳片の製造方法。
(2) 前記浸漬ノズルが、内孔部にオリフィスを有することを特徴とする前記(1)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(3) 前記内孔部の断面形状が真円であり、さらに、(i)内孔部上端の半径R〔mm〕とオリフィスの最小半径r〔mm〕の間に、3≦R−r≦30なる関係があり、かつ、(ii)オリフィスの上端から下端までの長さL〔mm〕が50≦L≦150であることを特徴とする前記(2)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(4) 前記内孔部の断面形状が惰円であり、さらに、(i)内孔部上端における長径方向の半径A〔mm〕とオリフィスにおける長径方向の最小半径a〔mm〕との間に、3≦A−a≦30なる関係があり、かつ、(ii)オリフィスの上端から下端までの長さL〔mm〕が50≦L≦150であることを特徴とする前記(2)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(5) 前記浸漬ノズルが、有底円筒状であり、さらに、(i)円筒形の側壁の下部に、2個の吐出孔が円筒に軸対称の位置に配置され、かつ、(ii)円筒底部及び両吐出孔の底部を連ねて外部に開口するスリットが設けられていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(6) 前記浸漬ノズルにおいて、(i)円筒底部におけるスリットと接する部位が円筒側壁に向かって上方に傾斜し、かつ、(ii)吐出孔底部におけるスリットと接する部位が吐出孔側壁に向かって上方に傾斜し、さらに、(iii)円筒底部が形成する面と吐出孔底部が形成する面との間に、実質的に段差を有しないことを特徴とする前記(5)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(7) 前記浸漬ノズルにおいて、円筒底部における“スリットと接する部位”が円筒側壁に向かう傾斜角、及び、吐出孔底部における“スリットと接する部位”が吐出孔側壁に向かう傾斜角が、いずれも、上方に30°以上であることを特徴とする前記(6)に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(8) 前記浸漬ノズルにおいて、吐出孔の頂部が円筒の側壁と接する部位が、円筒の側壁に滑らかに接する曲面で形成されていることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(9) 前記浸漬ノズルが、スリットの両側面の間を結合するリブを備えることを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(10) 前記浸漬ノズルにおいて、スリットの開口幅が、吐出孔開口断面積の平方根の0.15〜0.40倍であることを特徴とする前記(5)〜(9)のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
(11) 前記浸漬ノズルにおいて、円筒の側面および底部、吐出孔およびスリットの溶湯と接する面の一部または全部を、カーボンレススピネル、ローカーボンスピネル、マグネシアグラファイト、ジルコニアグラファイト、シリカレスアルミナグラファイトのいずれかの材質で構成したことを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
本発明によれば、極低炭素鋼の連続鋳造において、ノズル閉塞を防止し、かつ、薄鋼板に加工しても表面疵が発生しない極低炭素鋳片を製造することができる。
図2は、断面形状が真円で、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを示す図である。
図3は、断面形状が楕円で、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを示す図である。
図4は、オリフィスの好ましい設置位置を説明する図である。
図5は、断面形状が真円で、かつ、2個のオリフィスを有する浸漬ノズルを示す図である。
図6は、断面形状が惰円で、かつ、2個のオリフィスを有する浸漬ノズルを示す図である。
図7は、一般的に使用される、内径が内孔部上端から下端にかけて一定のストレート形状の浸漬ノズルを示す図である。
図8は、図7に示す浸漬ノズルを使用した場合に生ずる溶鋼流速の不均一分布を示す図である。
図9は、強い落下流により生じる溶鋼流速の不均一分布および反転上昇流の態様を示す図である。
図10は、Arガス流量と、鋳片に発生したピンホール欠陥との関係を示す図である。
図11は、Arガス流量と、鋼板に発生した表面疵との関係を示す図である。
図12は、本発明で用いる、有底円筒状で、円筒形の側壁の下部に、2個の吐出孔を円筒に軸対称の位置に有し、かつ、円筒底部及び両吐出孔の底部を連ねて外部に開口するスリットを備える浸漬ノズルを示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。
図13は、浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。(d)は、D−D断面を示す図である。
図14は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。(d)は、D−D断面を示す図である。
図15は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。
図16は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。
図17は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。(d)は、D−D断面を示す図である。
図18は、本発明で用いる、別の浸漬ノズルを示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。
図19は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。(d)は、D−D断面を示す図である。
図20は、別の浸漬ノズルの一部を示す図である。(a)は、A−A断面を示す図である。(b)は、B−B断面を示す図である。(c)は、C−C断面を示す図である。(d)は、D−D断面を示す図である。
条件1:介在物の凝集・合体を防止して、クラスターを生成させない。
条件2:2次メニスカスの位置を、極力、スライディングノズルに近付ける。
条件3:内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズル、および/または、底部にスリットを有する浸漬ノズルを使用する。
まず、[背景技術]の項で述べたように、粗大なクラスターは、ノズル閉塞および薄鋼板の表面疵の原因となるので、条件1は、クラスターの生成を防止することを目的とする。
次に、条件2は、落下流により発生する流速の不均一分布を抑制することを目的とする。2次メニスカスの位置がスライディングノズル位置に近付くほど、溶鋼の落下距離は短くなるので、強い下降流は発生し難くなり、落下流に起因する流速の不均一分布は、ほぼ抑制される。
本発明においては、Ti−希土類金属(Ce、La、Nd)脱酸により、鋳造段階においてクラスターを生成させず、ノズル閉塞の発生を防止する。
それ故、Arガス流量を、Al脱酸溶鋼を鋳造する時のArガス流量よりも大きく低減することができ、その結果、2次メニスカスを、スライディングノズル位置に近付けることができる。さらに、鋳造時に、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用すると、溶鋼流速は均一化され、偏流は抑制される。
使用する浸漬ノズルに係る条件3は、スライディングノズルにより発生する流速の不均一分布を解消することを目的とする。
浸漬ノズルの内孔部にオリフィスを設置すると、オリフィスより上部で、溶鋼は、一旦滞留するので、この間に、流速の不均一分布が解消される。
内孔部にオリフィスを有し、かつ、底部にスリットを有する浸漬ノズルを使用すると、流速の不均一分布が解消されるので、パウダーまたは気泡が、溶鋼未凝固部の深い位置にまで持ち込まれることがない。その結果、パウダーまたは気泡が鋳片内に残留することに起因する、鋼板の表面疵(鋳片を鋼板に加工した時に発生する)の発生を防ぐことができる。
条件2と条件3が同時に満たされると、溶鋼が2次メニスカスとオリフィス上端との間に、より長い時間滞留することになるので、オリフィスによる整流化効果は、より向上する。
なお、偏流発生の有無の評価は、通常、2つの鋳型短辺の熱伝達係数の差を使用して行なう。熱伝達係数は、壁面を介しての熱の伝わり易さを表す指標である。2つの鋳型短辺の熱伝達係数の差が250J/(m2・s・K)以上の場合に、“非対称性な溶鋼流動”、即ち、“偏流”が発生していることが、経験的に知られている。
熱伝達係数の算出方法を、式(1)および式(2)に示す。熱伝達係数h〔J/(m2・s・K)〕は、鋳型抜熱量q〔J/(m2・s)〕、および、溶鋼と鋳型表面との温度差(T∞−TMD)〔K〕から算出され、鋳型抜熱量qは、鋳型冷却水が銅板を通過する前と通過後の温度変化(t out−t in)〔K]、冷却水流量Qw〔kg/s〕、水の比熱Cw〔J/(kg・K)〕、および、銅板表面積S〔m2〕から算出される。
h=q/(T∞−TMD) (1)
q=QwCw(t out−t in)/S (2)
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、極低炭素鋼を対象とする。炭素濃度の上限値は、特に限定されないが、極低炭素鋼の薄鋼板は、厳しい加工が施される自動車用鋼板などに用いられるので、優れた加工性を備える必要がある。それ故、炭素濃度は、0.01質量%以下が好ましい。なお、炭素濃度の下限値は特に規定しない。
本発明においては、2次精錬において、炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭した後、溶鋼にTiを添加して脱酸する。Tiの添加量は、0.04質量%以上が好ましい。0.04質量%未満では、脱酸が十分に起きず、溶存酸素が溶鋼中に残留する可能性が高い。
2次精錬において、炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭する場合、精錬装置で脱炭を行う前に、例えば、転炉による精錬段階において、予備的にAlで脱酸を行なってもよい。この場合、脱酸後のAl濃度を0.01質量%以下、好ましくは0.008質量%以下、さらに好ましくは0.006質量%以下とする。
脱酸後のAl濃度が0.01質量%以下であれば、脱酸生成物のアルミナは、溶鋼を連続鋳造するまでの間に溶鋼表面に浮上し、分離することができるので、鋳造中の溶鋼内に残留するアルミナ量が少なくなり、ノズル閉塞などの問題が発生しない。
また、脱酸後のAl濃度が0.008質量%以下であれば、鋳造中の溶鋼内に残留するアルミナ量がより少なくなるので好ましく、さらに、脱酸後のAl濃度が0.006質量%以下であれば、鋳造中の溶鋼内に残留するアルミナ量がさらに少なくなるので、より好ましい。
一方、Ti添加量の上限は特に規定しない。Ti添加で生成するTi酸化物は、Al2O3系介在物より凝集合体し難いが、耐火物に付着し易いので、ノズル閉塞が起きることが懸念される。
そこで、溶鋼をTiで脱酸した後、Ce、LaおよびNdの1種以上を添加する。この添加で、Ti酸化物が、凝集合体し難く、かつ、耐火物に付着し難い球状介在物に改質される。
Ce、LaおよびNdの1種以上の合計添加量は、0.001質量%以上0.01質量%以下が好ましい。上記合計添加量が0.001質量%未満であると、Ti酸化物の改質が不充分となり、凝集合体し難い球状介在物になり難く、また、0.01質量%超であると、Ti酸化物の改質が過剰となり、Ti系介在物の比重が重くなって浮上し難くなり、溶鋼の清浄性が悪化する。
Ce、La、Nd以外の希土類金属(例えば、Pr、Smなど)は、Ce、La、Ndと同等の改質効果を持たないので、Ti酸化物の改質には、Ce、LaおよびNdのうちの1種以上の添加が、有効である。
ここで、図1に、本発明で使用する、オリフィスを有する浸漬ノズルを示す。本発明では、内孔部10のうち、内孔部上端よりも内径が小さい部位を「オリフィス21」、内孔部上端と内径が等しいか、または、それよりも内径が大きい部位を「非オリフィス21z」と定義する。オリフィス21と非オリフィス21zの境界については、上流側の境界をオリフィス上端21a、下流側の境界をオリフィス下端21bとする。
前述の通り、本発明では、Arガス流量を、従来のAl脱酸時よりも大きく低減することが可能である。Arガス流量を低減していくと、2次メニスカスは上昇していき、3Nl/分以下になると、2次メニスカスは、スライディングノズルから100〜120mm程度の位置まで上昇する。
上記位置まで2次メニスカスが上昇すれば、強い下降流は殆ど発生せず、また、オリフィス上端までの距離を十分確保できるので、溶鋼流速の不均一分布を確実に解消することができる。このことを、本発明者らは見出した。なお、本発明におけるArガス流量値としては、市販の流量計を用いて測定した値を用いることができる。
Arガス流量が少ないほど、2次メニスカスが上昇するので、Arガス流量は、好ましくは、2Nl/分以下、さらに好ましくは、1Nl/分未満である。
Ti酸化物が、すべて適切に改質されていれば、Ti酸化物の浸漬ノズルへの付着は殆ど起こらないので、Arガス流量の下限値は、0Nl/分も含む。
Arガスは、タンディッシュ上ノズル、スライディングノズル、または、浸漬ノズルのいずれか1箇所または2箇所以上から吹き込むのが一般的であるが、タンディッシュ上ノズルから浸漬ノズル吐出孔までの範囲内であれば、Arガスを吹き込む箇所の位置および箇所の数は、任意に選択することができる。
本発明で用いる浸漬ノズルにおいては、偏流抑制効果をより顕著に確保するために、オリフィスのサイズに、好ましい範囲が存在する。
浸漬ノズルの断面形状としては、通常、真円または楕円が用いられる。図2に、断面形状が真円の浸漬ノズルを示し、図3に、断面形状が楕円の浸漬ノズルを示す。
断面形状が真円の場合は、内孔部上端の半径をR〔mm〕、オリフィスの最小半径をr〔mm〕と定義する。一方、断面形状が楕円の場合は、内孔部上端の長径方向の半径をA〔mm〕、オリフィスの長径方向の最小半径をa〔mm〕と定義する。
ここで、オリフィスに関し、最小半径を用いたのは、本発明においては、オリフィスを、「内孔部上端よりも内径が小さい部位」と定義しているからである。
オリフィスの形状として、オリフィス上端から下端にかけて内径が一定でない形状も想定されるので、最小半径を用い、そのような形状にも適用できる定義とした。
次に、非オリフィスの半径とオリフィスの最小半径との差を「オリフィスの高さ」と定義する。通常、非オリフィスの半径は、内孔部上端の半径と等しいので、「オリフィスの高さ」は、内孔部上端の半径とオリフィスの最小半径の差と言い換えることができる。
そうすると、「オリフィスの高さ」は、浸漬ノズルの断面形状が真円の場合は「R−r」、楕円の場合は「A−a」で表される。
また、オリフィスの上端から下端までの距離を、「オリフィスの長さ」と定義し、L〔mm〕と表記する。
浸漬ノズルの断面形状が真円の場合、「オリフィスの高さ」については、「3≦R−r≦30」なる関係が成立することが好ましい。R−r<3の範囲は、流速均一化に対するオリフィスの効果が小さくなり、偏流を抑制することが難く、また、R−r>30の範囲は、オリフィスを通過する溶鋼流速が著しく大きくなって、鋳型内流動に悪影響を及ぼし易い。
次に、オリフィスの長さL〔mm〕については、50≦L≦150なる関係が成立することが好ましい。L<50の範囲では、流速が均一化される前に、溶鋼がオリフィスを通過してしまうので、偏流を抑制することが難く、また、L>150の範囲では、内径が小さい部分が長くなるため、溶鋼流速が著しく大きくなって、鋳型内流動に悪影響を及ぼし易い。
浸漬ノズルの断面形状が楕円の場合、「オリフィスの高さ」については、「3≦A−a≦30」なる関係、オリフィスの長さL〔mm〕については、「50≦L≦150」なる関係が成立することが好ましい。理由は、断面形状が真円の場合と同様である。
本発明で用いる浸漬ノズルにおいて、オリフィスの位置は、特に限定するものではない。しかし、図4に示すように、オリフィスの上端Uが、内孔部上端Tと吐出孔上端Bの中間点Mよりも下方にあると、溶鋼を確実に滞留させて、流速の不均一分布を解消し易くなるので、好ましい。
また、オリフィスの数は、単独よりも複数の方が、整流化効果が大きくなるので、好ましい。ただし、オリフィスの数が多くなると、溶鋼流速が大きい部分が増えるので、1個または2個が好ましい。
図5および図6に、オリフィスの数が2個の浸漬ノズルを示す。
断面形状が真円の内孔部に、複数個のオリフィスを設ける場合(図5、参照)、内孔部上端からi番目のオリフィスのrおよびL(それぞれ、ri、Liと表記する)が、それぞれ、3≦R−ri≦30、50≦Li≦150の条件を満たすことが好ましい。
また、いずれか1つのオリフィスの上端が、内孔部上端と吐出孔上端の中間点よりも下方にあることが好ましい。
断面形状が楕円の内孔部に複数のオリフィスを設置する場合(図6、参照)、内孔部上端からi番目のオリフィスのaおよびL(それぞれ、ai、Liと表記する)が、それぞれ、3≦A−ai≦10、50≦Li≦150の条件を満たすことが好ましい。
また、いずれか1つのオリフィスの上端が内孔部上端と吐出孔上端の中間点よりも下方にあることが好ましい。
ここで、本発明で用いる、他の形態の浸漬ノズルについて説明する。
図12に、他の形態の浸漬ノズルの一態様を示す。図12に示す浸漬ノズル1は、有底円筒状の浸漬ノズルである。円筒側壁5の下部には、吐出孔側壁7と吐出孔頂部8で形成される吐出孔2が、円筒軸に対称に、2つ配置され、かつ、円筒底部4および吐出孔2の底部6に、スリット側壁9で形成され、外部に開口するスリット3が設けられている。
浸漬ノズルにスリットを設けると、鋳型内への溶鋼の吐出流がより均一に分散され、偏流がより解消され、また、パウダー巻き込みがより安定的に防止されるので、より好ましい。ここで、スリット3の開口幅Wsと、吐出孔2の開口部2zの断面積Szの平方根の間には、以下に述べる理由により、適正な関係が存在する。
まず、スリット開口幅Ws/√(吐出孔開口部断面積Sz)が0.4を超え、吐出孔2に比してスリット3が大きくなると、スリット3を通過する溶鋼の流量が増加し、溶鋼中の気泡や介在物などが、溶鋼未凝固部の深い位置にまで持ち込まれ、鋳型内に残留し、薄鋼板に加工した時の表面疵の原因となる。
一方、スリット開口幅Ws/√(吐出孔開口部断面積Sz)が0.1未満であると、スリット側壁9への介在物の付着、または、スリット側壁9の損耗などが発生する場合がある。
以上の理由により、スリット開口幅Ws/√(吐出孔開口部断面積Sz)は、0.15〜0.4が適正である。
図13に、図12に示す浸漬ノズルの底部の態様を示す。図13に示す浸漬ノズルにおいて、円筒底部4におけるスリット3と接する部位は、円筒側壁5に向かって傾斜角θ1で傾斜し、吐出孔底部6におけるスリット3と接する部位は、吐出孔側壁7に向かって傾斜角θ2で傾斜している。
傾斜角(θ1及びθ2)は、30〜60°が好ましい。傾斜角が30°未満であると、浸漬ノズル内に渦が発生する場合がある。傾斜角が60°を超えると、吐出孔頂部が鋳型内のメニスカスに接近して、吐出流がパウダーを巻き込み易い状況となる。なお、傾斜角は30°以上が好ましい。
円筒底部4の傾斜角θ1と吐出孔底部6の傾斜角θ2は一致することが好ましいが、必ずしも一致しなくてもよい。傾斜角θ1と傾斜角θ2が一致しない場合の角度差は、10°以下が好ましい。また、円筒底部4の面と吐出孔底部6の面を、同一の平面として形成すると、浸漬ノズルの構造が単純化されて好ましい。
一方、図14に示すように、円筒底部4の面と吐出孔底部6の面は、接合面に段差を設けなければ、所要の角度で接していてもよい。図14に示すように、吐出孔底部6を、浸漬ノズル外周に向かって下がる方向に形成すれば、吐出孔頂部8の傾きと相俟って、吐出孔2からの吐出流の向きを調整することができる。
円筒底部4の面と吐出孔底部6の面との間の段差については、実質的に段差がなければよく、完全に、段差をなくす必要はない。ここで、「実質的に段差がない」ということは、段差が、浸漬ノズル1内の下向流と、吐出孔2からの吐出流との連続性を損なわない程度の段差であるという意味である。具体的には、5mm以下程度の段差であればよい。
図15に示すように、円筒底部4の面と吐出孔底部6の面との間に、僅かな段差12が存在していても、本発明の効果は損なわれない。
吐出孔2の形状は、図12〜図15に示すように、ホームベース形が好ましいが、図16に示すように、円弧形状または曲面形状としてもよい。円筒底部4の面も、曲面としてもよい。この場合、円筒底部4の傾斜角θ1と吐出孔底部6の傾斜角θ2は、それぞれ、円筒底部4または吐出孔底部6がスリット3と接する近傍の平均傾斜角とすればよい。
吐出孔頂部8において円筒側壁5と接する部位は、図17に示すように、円筒側壁5に滑らかに接する曲面11で形成することが好ましい。上記部位を曲面で形成することにより、吐出流が、吐出孔頂部2から乖離するのを防ぎ、吐出孔2内へのパウダー巻き込みを抑制することができる。
吐出孔頂部8と円筒側壁5を滑らかにつなぐ曲面11の曲率半径Rzは、図17に示すように、円筒側壁5の肉厚tと吐出角φにより決まる。φを小さくすると、浸漬ノズルを構成する材料の強度上の問題が生じるが、Rzを大きくすることができるので、吐出流の乖離防止には有利である。例えば、φ=45°程度の場合、曲率半径Rzは、50〜100mmが好ましい。
また、本発明で使用する浸漬ノズルとしては、図18に示すように、ノズル上端と吐出孔2との間に、開口断面積が、円筒の開口断面積よりも小さいオリフィス21を有するものが好ましい。
円筒底部にスリットを有する浸漬ノズルにおいては、溶湯流量を増大すると、溶湯流がスリットを押し広げる力が増大する。それ故、図19に示すように、スリット3に、スリット側壁9の間を結合するリブ22を設けることが好ましい。リブ22を設けることにより、スリット3を押し広げる力が増大しても、浸漬ノズル1の変形、破損を防止することができる。
浸漬ノズルに使用する耐火物としては、アルミナグラファイト、アルミナスピネルなど、従来から用いられている耐火物を使用することができる。
しかし、溶鋼の成分によっては、アルミナグラファイト製の浸漬ノズルが侵食を受け、鋳造中に、溶存する場合があるので、浸漬ノズルの内筒側壁および円筒底部や、吐出孔及びスリットの溶鋼と接する面の一部または全部を、カーボンレススピネル、ローカーボンスピネル、マグネシアグラファイト、ジルコニアグラファイト、シリカレスアルミナグラファイト(高耐溶損性耐火物)のいずれかで構成することが好ましい。
図20に、円筒側壁5及び円筒底部6、吐出孔2及びスリット3の溶鋼と接する面の全部を、高耐溶損性耐火物23で構成し、それ以外の部分は、通常耐火物24で構成した浸漬ノズルを示す。
本発明においては、浸漬ノズルへの非金属介在物の付着が極めて少なく、ノズル閉塞が生じないので、鋳片の表面に、クラスター状介在物による表面欠陥が発生し難い。
また、本発明で得られた鋳片は、製造の段階で、表面疵の原因となる気泡およびパウダーの浸透が抑制されているので、熱間圧延、冷間圧延等の常法により薄鋼板としても、表面疵が発生しない。
さらに、本発明は、通常の250mm厚み程度のスラブ連続鋳造に適用されるだけでなく、鋳型厚みがそれよりも薄い、例えば150mm以下の薄スラブ連続鋳造においても、同等の効果を発現するので、品質が極めて良好な鋳片を得ることができる。
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、Arなし(流量0Nl/分)で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で200J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥は発生しなかった。また、冷延鋼板の表面に0.2個/コイルの表面疵が発生した。但し、表面疵の発生位置がエッジトリムの範囲内であったので、製品品質上の問題とはならなかった。
(実施例1−2)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で150J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例1−3)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、Ce、LaおよびNdを、質量比Ce/La=1.3、La/Nd=3.5のCe−La−Nd合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、LaおよびNdの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にし、La濃度/Nd濃度を3.5にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0.5Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、が590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で100J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例1−4)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、Arなし(流量0Nl/分)で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で50J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例1−5)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、Ce、LaおよびNdを、質量比Ce/La=1.3、La/Nd=3.5のCe−La−Nd合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、LaおよびNdの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にし、La濃度/Nd濃度を3.5にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0.5Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外形が、長径170mm、短径120mmの楕円であり、内形が、長径105mm、短径75mmの楕円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:A−a=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で100J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵はともに発生しなかった。
(実施例1−6)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を薄スラブ連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0.5Nl/分で、厚み130mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
ここでは、薄スラブ連続鋳造法として、厚みが150mm以下の鋳型を用いて鋳造し、機端の下流側に設置された保熱炉にて、鋳片の温度を1000〜1200℃に保持し、常温近くまで冷却することなく熱間圧延を行った。
浸漬ノズルの断面形状は、外径70mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で100J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例1−7)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%、Al濃度を0.005質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、Ce、LaおよびNdを、質量比Ce/La=1.3、La/Nd=3.5のCe−La−Nd合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、LaおよびNdの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にし、La濃度/Nd濃度を3.5にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で150J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(比較例1−1)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Alを添加して、脱酸し、5分間環流することで、Al濃度が0.04質量%である溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量7Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、鋳造質量150トンを経過した頃からタンディッシュのスライディングノズルの開度が徐々に大きくなったので、浸漬ノズルへの介在物付着が発生したと判断し、鋳型への溶鋼供給を確保するため減速して鋳造を完了した。
鋳型短辺銅板には、最大で300J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥が15個/m2、鋼板の表面疵が10個/コイル発生した。
(比較例1−2)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Alを添加して、脱酸し、5分間環流することで、Al濃度が0.04質量%である溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。内孔部上端から吐出孔上端までの長さが、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造開始後まもなく、タンディッシュのスライディングノズルの開度が徐々に上昇し始め、鋳造質量150トンの時点で、開度を全開にしても、鋳型への溶鋼供給が不足するようになった。この時点で、浸漬ノズルが閉塞したと判断し、取鍋およびタンディッシュに合計で130トンの溶鋼を残した状態(鋳造質量170トン)で、鋳造を中断した。
鋳造中の鋳型短辺銅板には、最大で330J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
浸漬ノズルの閉塞状態が進むに従い、段差(オリフィス)の効果が失われ、不均一な流速分布が生じて偏流が生じたと推測される。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥は発生しなかったが、鋼板の表面疵が10個/コイル発生した。
(比較例1−3)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、Laの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量7Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で300J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が15個/m2、鋼板には表面疵が3個/コイル発生した。
(比較例1−4)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.2のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、Laの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.2にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量4.5Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で280J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が10個/m2、鋼板には表面疵が3個/コイル発生した。
(比較例1−5)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.2のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、Ce、Laの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.2にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量3.5Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で260J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が5個/m2、鋼板には表面疵が1個/コイル発生した。
ここで、図10に、実施例1−1〜1−6、および、比較例1−3〜1−5(Ti−希土類金属脱酸)に基づく、Arガス流量と鋳片ピンホール欠陥の関係を示す。図中、●は、内孔部がストレート形状の浸漬ノズルを使用した場合を示し、■は、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用した場合を示す。
また、図11に、実施例1−2〜1−6、および、比較例1−3〜1−5(Ti−希土類金属脱酸)に基づく、Arガス流量と鋼板表面疵発生の関係を示す。図中、●は、内孔部がストレート形状の浸漬ノズルを使用した場合を示し、■は、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズルを使用した場合を示す。
本発明において、内孔部にオリフィスを有する浸漬ノズル、または、内孔部がストレート形状の浸漬ノズルを使用し、Arガス流量3Nl/分以下(図中、Aの領域)で鋳造を行なうと、鋳片ピンホール欠陥および鋼板表面疵のいずれも発生しない、品質が良好な鋳片を得ることができることが解る。
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図13に示す浸漬ノズルを用いた。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で100J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例2−2)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0.5Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図17および図18に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円であり、吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。曲面11の曲率半径Rzは、60mmである。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で80J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例2−3)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図17および図18に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は、2829mm2、スリット幅は、15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。吐出角度φは45°、曲面11の曲率半径Rzは、60mmである。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で90J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥は発生しなかった。また、冷延鋼板の表面に0.2個/コイルの表面疵が発生した。但し、表面疵の発生位置がエッジトリムの範囲内であったので、製品品質上の問題とはならなかった。
(実施例2−4)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図19に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は、2829mm2、スリット幅は、15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。吐出角度φは45°、曲面11の曲率半径Rzは60mmである。
リブの頂角θ3は30°、リブの底面の幅Wrは15mm、リブの側壁の間隔Drは85mmである。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で110J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例2−5)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%、Al濃度を0.005質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図13に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で120J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片のピンホール欠陥および鋼板の表面疵は、ともに発生しなかった。
(実施例2−6)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%、Al濃度を0.005質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Tiを添加して、脱酸し、6分間環流し、その後、CeおよびLaを、質量比Ce/La=1.3のCe−La合金で添加して3分間環流することで、Ti濃度を0.03質量%にし、CeおよびLaの合計濃度を0.01質量%にし、Ce濃度/La濃度を1.3にした溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量0Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図17および図18に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。吐出角度φは20°、曲面11の曲率半径Rzは51mmである。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部に、高さ:R−r=5mm、長さ:L=90mmの段差(オリフィス)を有している。この段差の上端部は、内孔部上端から400mmの位置にある。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。また、鋳型短辺銅板には、最大で50J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じたが、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を下回ったので、偏流は発生しなかったと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥は発生しなかった。また、冷延鋼板の表面に0.2個/コイルの表面疵が発生した。但し、表面疵の発生位置がエッジトリムの範囲内であったので、製品品質上の問題とはならなかった。
(比較例2−1)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Alを添加して、脱酸し、5分間環流することで、Al濃度が0.04質量%である溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図13に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は15mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、15°である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中に浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で280J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が10個/m2、鋼板には表面疵が3個/コイル発生した。
(比較例2−2)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Alを添加して、脱酸し、5分間環流することで、Al濃度が0.04質量%である溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
浸漬ノズルは、図13に示す浸漬ノズルを使用した。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円である。吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は5mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で260J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が5個/m2、鋼板には表面疵が1個/コイル発生した。
(比較例2−3)
転炉での精錬と真空脱ガス装置による処理で、炭素濃度を0.002質量%とした300トンの取鍋内溶鋼に、Alを添加して、脱酸し、5分間環流することで、Al濃度が0.04質量%である溶鋼を溶製した。
この溶鋼を連続鋳造法により、タンディッシュ上ノズルから吹き込むArガス流量2.8Nl/分で、厚み250mm、幅1600mmの鋳片に鋳造した。
鋳造の際に使用した浸漬ノズルは図13に示す浸漬ノズルである。浸漬ノズルの断面形状は、外径150mm、内径85mmの真円であり、吐出孔開口部断面積は2829mm2、スリット幅は25mm、角度θ1およびθ2は、いずれも、45°である。内孔部の材質は、アルミナグラファイトである。
内孔部上端から吐出孔上端までの長さは、590mmであり、内孔部は、ストレート形状である。
鋳造中、浸漬ノズルへの介在物付着は発生せず、操業性に問題はなかった。しかし、鋳型短辺銅板には、最大で300J/(m2・s・K)の熱伝達係数差が生じ、偏流判断基準の250J/(m2・s・K)を上回ったので、偏流が発生したと判断した。
鋳造した鋳片は、長さ10000mmに切断し、1コイル単位とした。この鋳片表面をCCDカメラで観察し、ピンホール欠陥を、鋳片表面積1m2当たりに存在する個数で評価した。
次に、この鋳片を、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的には、厚み0.8mm、幅1600mmの冷延鋼板コイルとした。
鋼板品質は、冷間圧延後の検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面疵の個数で評価した。
その結果、鋳片にはピンホール欠陥が15個/m2、鋼板には表面疵が3個/コイル発生した。
Claims (11)
- 炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭した溶鋼に、Tiを添加し、また、Ce、La、Ndのうち1種以上を添加し、浸漬ノズルを使用して、タンディッシュ上ノズルから該浸漬ノズル吐出孔までの範囲の任意の箇所から吹き込むArガス流量を、3Nl(ノーマルリットル)/分以下としつつ、上記溶鋼を、タンディッシュから鋳型へ注入し、連続鋳造することを特徴とする極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記浸漬ノズルが、内孔部にオリフィスを有することを特徴とする請求の範囲1に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記内孔部の断面形状が真円であり、さらに、
(i)内孔部上端の半径R〔mm〕とオリフィスの最小半径r〔mm〕の間に、3≦R−r≦30なる関係があり、かつ、
(ii)オリフィスの上端から下端までの長さL〔mm〕が50≦L≦150である
ことを特徴とする請求の範囲2に記載の極低炭素鋳片の製造方法。 - 前記内孔部の断面形状が惰円であり、さらに、
(i)内孔部上端における長径方向の半径A〔mm〕とオリフィスにおける長径方向の最小半径a〔mm〕との間に、3≦A−a≦30なる関係があり、かつ、
(ii)オリフィスの上端から下端までの長さL〔mm〕が50≦L≦150である
ことを特徴とする請求の範囲2に記載の極低炭素鋳片の製造方法。 - 前記浸漬ノズルが、有底円筒状であり、さらに、
(i)円筒形の側壁の下部に、2個の吐出孔が円筒に軸対称の位置に配置され、かつ、
(ii)円筒底部及び両吐出孔の底部を連ねて外部に開口するスリットが設けられている
ことを特徴とする請求の範囲1または2に記載の極低炭素鋳片の製造方法。 - 前記浸漬ノズルにおいて、
(i)円筒底部におけるスリットと接する部位が円筒側壁に向かって上方に傾斜し、かつ、
(ii)吐出孔底部におけるスリットと接する部位が吐出孔側壁に向かって上方に傾斜し、さらに、
(iii)円筒底部が形成する面と吐出孔底部が形成する面との間に、実質的に段差を有しない
ことを特徴とする請求の範囲5に記載の極低炭素鋳片の製造方法。 - 前記浸漬ノズルにおいて、円筒底部における“スリットと接する部位”が円筒側壁に向かう傾斜角、及び、吐出孔底部における“スリットと接する部位”が吐出孔側壁に向かう傾斜角が、いずれも、上方に30°以上であることを特徴とする請求の範囲6に記載の極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記浸漬ノズルにおいて、吐出孔の頂部が円筒の側壁と接する部位が、円筒の側壁に滑らかに接する曲面で形成されていることを特徴とする請求の範囲5〜7のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記浸漬ノズルが、スリットの両側面の間を結合するリブを備えることを特徴とする請求の範囲5〜8のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記浸漬ノズルにおいて、スリットの開口幅が、吐出孔開口断面積の平方根の0.15〜0.40倍であることを特徴とする請求の範囲5〜9のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
- 前記浸漬ノズルにおいて、円筒の側面および底部、吐出孔およびスリットの溶湯と接する面の一部または全部を、カーボンレススピネル、ローカーボンスピネル、マグネシアグラファイト、ジルコニアグラファイト、シリカレスアルミナグラファイトのいずれかの材質で構成したことを特徴とする請求の範囲1〜10のいずれかに記載の極低炭素鋳片の製造方法。
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