JP4430834B2 - 浸漬ノズルの偏流防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造に際してモールド内に溶鋼を注入するために使用する浸漬ノズルの偏流防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
浸漬ノズルには、通常、溶鋼が流通するそのノズル内孔の下端付近の左右に2つの吐出口が形成されている。鋳造中はプレートや上ノズル等のノズル孔面積を絞って流量制御をしているため、浸漬ノズルの内径は、その絞った孔面積に対して1.1〜3倍程度となっている。このため、プレートや上ノズルから落下する溶鋼は、流心が偏心してノズル内孔の溶鋼の流れが一方に偏る偏流を生じる傾向がある。この結果、吐出口から左右均等に溶鋼が流出しなくなることがある。この吐出口での偏りは、鋳型内における溶鋼の均一な凝固を妨げ、凝固した後の鋳片の組織が不均一になる。
【0003】
図11は、3枚のプレートからなるスライディングプレート40の中間プレート41を摺動することにより流量制御する装置に取り付けられた浸漬ノズルの例であり、摺動方向Zが吐出口43の向きと直角になっている。この例では溶鋼は矢印のように偏流するが、偏流方向が吐出口43の向きとは直角方向であるため、吐出口43からの吐出流は偏らないというという考え方で使用されている。
【0004】
しかし現実には、この吐出口43からの吐出流も偏りが発生している。この原因は、中間プレート41の孔を摺動することで発生した偏流がノズルの内孔42を落下するときにねじれを起こすために吐出口43からの吐出流が偏りを起こすと考えられている。
【0005】
また、一般的に溶鋼の吐出口からモールドヘ流出する流れは、図12に示すように吐出口13の下端部ほど流速が早くなり、矢印の長さで示すような流速分布となっている。そして上下の流速の差が大きくなると、モールド内の溶鋼の流れが乱れ、鋼の品質に悪影響を及ぼすともされている。
【0006】
これに対して、特開平11−123509号公報には、浸漬ノズルの内孔部に段差構造を設けると、アルミナ付着による浸漬ノズルの閉塞を防止するとともに浸漬ノズル内孔部での偏流を防止して管内流速を均質化することができると記載されている。
【0007】
しかしながら、水モデル実験でテストによると、段差を設けただけでは、タンディッシュから浸漬ノズルへの溶鋼の流量制御を行うスライディングノズルやストッパー等により発生している浸漬ノズル内孔部の偏流に起因する吐出流の偏流を防止するには不十分であることがわかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特にモールド長辺に対し直角方向に中間プレートが摺動するスライディングノズル装置に使用される浸漬ノズルによる鋼の連続鋳造において相対する吐出口から吐出する溶鋼の偏流を防止し、吐出流を均等化することにより、モールド内の溶鋼の流れを安定化させ、モールド内の偏流を防止して、パウダー、気泡等の巻き込みを低減して、鋼の均質凝固に寄与せしめ、鋼の安定鋳造、品質向上を可能にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶鋼が流通するノズル内孔の下部の相対する位置に2つの吐出口を有する浸漬ノズルの偏流防止構造であって、吐出口より上の内孔内に2つの内孔変形部を有し、これら内孔変形部は、何れも、水平断面における内孔の形状が長円をなし、その中の一つの内孔変形部は、吐出口に近い位置に、その長円の長手方向の向きが吐出口方向とほぼ平行に配置されており、また、他方の内孔変形部は、前記吐出口に近い位置に配置された内孔変形部の上方位置に間隔を開けて、その長円の長手方向の向きが吐出口方向とほぼ直角に配置されており、前記内孔変形部の水平断面における長円の長手方向の長さをL、長円の短手方向の長さをS、内孔変形部以外の内孔の内径をDとしたとき、それぞれをmmによって現わして、
L/Sと、L/Dと、S/Dの比が、それぞれ、
1.2≦L/S≦1.75
1.0≦L/D≦1.3
0.7<S/D<0.9
の範囲にあり、且つ、前記吐出口の上端と吐出口に近い内孔長円変形部の下端面との距離をmmによってXとし、吐出口の高さをmmによってHとしたとき、
X=0.3H〜2H
であることを特徴とする。
【0010】
本発明は、内孔径を中心寄りに狭くすることで偏心する流心を中心寄りに矯正するもので、しかも、長円の長手方向の向きは、吐出口の方向とほぼ平行になっている。このため、2つの吐出口に対してより均等に溶鋼を供給することが可能となり、左右の吐出口からの溶鋼の吐出量をより均等にすることができる。
【0011】
さらに、吐出口から2番目の内孔変形部として内孔長円変形部を、その水平断面の長手方向を吐出口方向とほぼ直角に設けることにより、中間プレートの孔を摺動することで発生した偏流がノズル内孔を落下するときにねじれを起こしているために、ちょうどねじれた偏流が内孔長円変形部の上端面にぶつかって乱流を起こし、偏りを緩和させている。それにより吐出口から出る溶鋼の上下方向のバラツキを少なくすることができる。
【0012】
また、内孔円形部を挟んで、吐出口に2番目に近い内孔変形部として内孔長円変形部を、その水平断面の長手方向が吐出口方向とほぼ直角に設けることで、段差によって圧損が生じるため流速が低下し、先の従来の吐出口からの流れを示す図12の場合とは異なり、全体の速度分布が均一な状態に近づく効果が得られ、内孔変形部を1つ設ける場合より、偏流防止効果はより高くなる。
【0013】
さらに、内孔長円変形部以外の内孔の断面は円形であり、内孔長円変形部と内孔円形部の水平断面における内孔の断面積はほぼ同じが良い。内孔変形部として内孔円形部よりは断面積が小さい内孔変形部を設けただけでは、内孔ストレート形状と比較して溶鋼の通鋼量が減少して鋼の引き抜き速度に影響を及ぼす。しかし断面積を同じに近付けることで溶鋼の通過量は内孔ストレート形状と同じであり、鋼の引き抜き速度に影響を与えることなく鋳造が可能なためである。
【0014】
内孔円形部と内孔長円変形部の水平断面における内孔の断面積を同じにする条件としては、内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向の長さをL(mm)、短手方向の長さをS(mm)とし、この比L/Sが1.2〜1.75であり、内孔円形部の内孔径をD(mm)とし、Dと長円の長手方向L(mm)との比L/Dが1.0〜1.3、短手方向S(mm)との比S/Dが0.7<S/D<0.9にあるのが望ましい。L/Sが1.2より小さければ内孔長円変形部の効果があまりなく、また1.75より大きくなると長円の形状が扁平しすぎてノズル閉塞を起こす可能性がある。
【0015】
さらに、偏流を防止する効果としては過去に行った水モデル実験から、吐出口の高さをH、吐出口の上端と吐出口に近い内孔長円変形部の下端面との距離をXとすると、Xは0.1H〜3Hに設定することにより、吐出口から流れる溶鋼流の上下方向バラツキを少なくする効果を得ている。また同じく内孔長円変形部の長さを変化させた水モデル実験より得た知見から、ノズル内の上部で発生した偏流を2つの内孔長円変形部で最小限にするためには、吐出口に近い内孔長円変形部の長さをYとすると、Yは吐出口高さHの0.5H〜3H、吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔をKとすると、Kは0.5Y〜2Y、上部の内孔長円変形部の長さをZとすると、Zは1Y〜3Yが望ましいことが判明した。しかし、変形円内孔部で長円のL/S比と断面積の関係から溶鋼の流速を緩和させるためには、X=0.3H〜2Hとする。更には、Y=1H〜2H、K=1Y〜1.5Y、Z=1.5Y〜3Yに限定することで、有効とするものである。
【0016】
また、内孔変形部以外の内孔の断面が円形、しかも浸漬ノズルの外形も円形であるつまり基本構造が円筒形になっている方が、ノズルの実用面からは好ましい。円筒形の方が、製造面でより低コストで品質も安定して製造することができ、使用時にも、熱応力がより均一にかかるためライフもより長い。従って、内孔変形部以外の内孔の水平断面と浸清ノズルの外面の水平断面が円形であることが、実用面からより好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1の(イ)は、本発明の浸漬ノズルの垂直断面図である。(ロ)の(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ(イ)のA−A断面、B−B断面、C−C断面及びD−D断面で、内孔、内孔長円変形部及び吐出口部の水平断面図を示す。(イ)の垂直断面図に示すように、浸漬ノズル1の内孔2で吐出口3の上部に、第1の内孔変形部4と第2の内孔変形部5を有している。それぞれの内孔変形部4、5の水平断面形状は、(ロ)の(b)、(c)に示すように水平断面において長円形状をしている。また吐出口は、(ロ)の(d)に示すように相対する2つの吐出口3を有する。(ロ)の(b)、(c)において、矢印で示す内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向の向きは、同じく(ロ)の(d)において、矢印で示す吐出口3の方向と(b)はほぼ直角、(c)はほぼ平行になっている。(イ)では内孔長円変形部以外は(ロ)の(a)に示すように内径がほぼ一定で断面が円形のストレートになっている。
【0018】
本発明では、図1(ロ)の(a)で示すように、浸漬ノズルの水平断面の内孔形状が円形である部分を内孔円形部とし、水平断面の内孔形状が長円形である部分を内孔長円変形部と呼ぶことにする。浸漬ノズルの上部にある流量制御ノズルの内孔面積と内孔円形部及び内孔長円変形部の水平断面の断面積はほぼ同じである。図1の場合、流量制御に内孔面積38.47cm 2 のスライディングプレートを使用すると、内孔円形部及び内孔長円変形部の断面積も38.47cm 2 となる。またストッパー制御の場合は上ノズル(タンディッシュノズル)の内孔の最小面積が基準となる。場合によっては上ノズルが一体になった浸漬ノズルもあり、この場合には、上ノズルに相当する部分の内孔の最小面積が基準である。
【0019】
図2において、(イ)は内孔円形部の水平断面、Dは直径を示す。(ロ)は内孔長円変形部の水平断面、Lは長円の長手方向の長さ、Sは長円の短手方向の長さを示す。
【0020】
図3において、(イ)は図1(イ)の浸漬ノズルの内孔変形部と吐出口との位置関係を説明するための垂直断面図であり、(ロ)は(イ)を90°回転して示す断面図である。同図において、内孔円形部22の水平断面における内孔径をDとすると、内孔径Dは70mm、吐出口23の高さをHとすると、Hは70mm、吐出口23の上端と吐出口23に近い内孔長円変形部24の下端面との長さXは100mm、吐出口23に近い内孔長円変形部24の長さYは90mm、内孔長円変形部24の上端面と内孔長円変形部25の下端面の間隔Kは90mm、上部の内孔長円変形部25の長さZは140mmとなる。また、吐出口3に近い内孔長円変形部24の水平断面における長円の長手方向が吐出口23の方向とほぼ平行であり、上部の内孔長円変形部25の水平断面における長円の長手方向が吐出口23の方向とほぼ直角である。
【0021】
本発明でいう水平断面において内孔が長円形状をした内孔変形部としては、例えば図4に示すように、(イ)の楕円形、(ロ)の長多角形等も本発明にいう長円形状に含まれる。
【0022】
【実施例】
本発明の浸漬ノズルをアクリルで作成し、図5に示す要領で水モデル実験を行い偏流状態を観察した結果を示す。
【0023】
試験装置はアクリルで作成したモールドを想定した水槽36とその中に配置したアクリル製浸漬ノズル31で、一定の水を浸漬ノズルの内孔に供給しつつ、同じ量の水を水槽から排出し、常に水面のレベルが一定になるようにした。偏流の程度を調査するため、水槽表面の水の速度と吐出口33から出る水の流速を測定した。
【0024】
水槽表面の流速は、歪ゲージ37を取り付けた薄いプラスチック板38を水面付近の左右に配置しその歪量を測定した。この歪は、以下の式に示すように水流の速度に対応したものであり、以下の式により歪量から流速を計算することができる。
【0025】
V=A・ε 1/2
V:流速
A:プラスチック板の剛性及び断面積で決まる定数
ε:歪量
そして、この表面の水の流れは、矢印で示すように、吐出口33から出る水の反転流39であり、この反転流39の左右の差から吐出口33からの偏流の程度を知ることができる。さらに、吐出口33の上下方向の水流の分布はピトー管を吐出口33の上下方向3箇所に配置することで流速を測定した。
【0026】
図6に示す(イ)から(ホ)は、水モデルに使用したアクリル製の浸漬ノズルの垂直断面図である。
【0027】
表1は、図6に示す各種浸漬ノズルについて反転流を測定した結果を示す。
【0028】
【表1】
表1において、反転流の評価は、左右の反転流の流速差をB[m/sec]、内孔の水の通過量をS[ m 3 / min ]として、B/Sで示した。B/Sと表示する理由は、反転流は水の通過量に比例するためである。
【0029】
流速は30分間テストを実施し、その間の歪量の平均値から算出した。吐出口での水流の分布は、反転流と同様、水の通過量に比例するので、吐出口での流速をVt[m/sec]として、Vt/Sで表示した。浸漬ノズルはアクリル製で、全長900mm、内径70mm、吐出口高さ70mmであり、図6(イ)〜(ホ)に全て共通である。
【0030】
比較例(ロ)は、浸漬ノズル内孔はストレート形状で内径は70mmである。比較例(ハ)は、内孔長円変形部を吐出口に近いところに1段のみ設け、その長さは90mm、内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向が吐出口方向とほぼ平行である。比較例(ニ)は、吐出口上端と吐出口に近い内孔長円変形部の下端面との長さは100mmである。吐出口に2番目に近い内孔長円変形部の長さは140mm、内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向が吐出口方向とほぼ平行であり、吐出口に近い内孔長円変形部の長さは90mm、内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向が吐出口方向とほぼ平行である。2つの内孔長円変形部の間隔は90mmである。比較例(ホ)は内孔変形部として水平断面が円形である内孔変形部を設け、その内孔変形部の水平断面の内孔の断面積は、内孔変形部以外の内孔の水平断面積の73.5%であり、吐出口に近い内孔長円変形部の長さは90mm、上部の内孔変形部の長さは140mmである。
【0031】
実施例(イ)は内孔長円変形部の水平断面における長円の長手方向を、下段は吐出口方向とほぼ平行、上段は吐出孔方向とほぼ直角に設けたものであるが、B/Sが0.094と比較例(ロ)の約40%低下となり、大きな偏流防止効果が得られており、吐出口の流速分布の差も小さくなっている。
【0032】
比較例(ロ)は内孔ストレート形状の場合であるが、B/Sが0.158と偏流の程度が大きい。比較例(ハ)は内孔長円変形部を1段だけ設けた場合であるが、B/Sが0.134となり、1段だけではあまり偏流は改善されていない。比較例(ニ)は、B/Sが0.115と比較例(ロ)より約27%改善されているが、まだ実施例(イ)と比べると不十分である。比較例(ホ)は、B/Sが0.119となり、比較例(ロ)より約25%改善されているが、実施例(イ)と比べると偏流の改善は不十分である。
【0033】
次に吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口上端との距離をXとすると、Xが偏流に及ぼす影響に関して同様の水モデルテストを行った結果を図7に示す。(イ)は前記反転流速差(B/S)について、(ロ)は吐出口からの流速について測定した結果を、(ハ)はテストサンプルの概略図を示す。浸漬ノズルの全長は900mm、内孔円形部の内径をDとすると、Dは70mm、吐出口は円形で高さをHとすると、Hは70mm、吐出口に近い内孔長円変形部の長さをYとすると、Yは90mm、吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔をKとすると、Kは90mm、上部の内孔長円変形部の長さをZとすると、Zは140mmである。
【0034】
図7(イ)から内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離Xが大きくなるに従って、B/Sが増加して、偏流の程度が大きくなっている。この図から明らかなように、距離Xが2Hまでが顕著な効果を示しているが、それ以上になるとその効果が小さくなる。
【0035】
また距離Xが小さくなってもB/Sは悪化しないが、図7(ロ)において、吐出流速差が大きくなる。これは吐出口に近い内孔長円変形部の下端面で発生した乱流が解消されないまま吐出口から流れ出し、この時、吐出口の上端は乱流の影響を受けやすく、流速が低下する。このため吐出流の上下方向のバラツキが大きくなるのである。このバラツキが大きくなると吐出口上部の逆流によるモールドパウダーの巻き込みの問題がある。従って吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離Xは0.3H以上が望ましい。
【0036】
次に吐出口に近い内孔長円変形部の長さをYとすると、Yが偏流に及ぼす影響に関して同様の水モデルテストを行った結果を図8に示す。(イ)は前記反転流速差(B/S)、(ロ)はテストサンプルの概略図を示す。浸漬ノズルの全長は900mm、内孔円形部の内径Dは70mm、吐出口は円形で高さHは70mm、吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離Xは100mm、吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔Kは90mm、上部の内孔長円変形部の長さZは140mmである。図8(イ)より、吐出口に近い内孔長円変形部の長さYは1H〜2Hが顕著な効果を示している。
【0037】
次に吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔をKとすると、Kが偏流に及ぼす影響に関して同様の水モデルテストを行った結果を図9に示す。図9(イ)は前記反転流速差(B/S)、図9(ロ)はテストサンプルの概略図を示す。浸漬ノズルの全長は900mm、内孔円形部の内径Dは70mm、吐出口は円形で高さHは70mm、吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離Xは100mm、吐出口に近い内孔長円変形部の長さYは90mm、上部の内孔長円変形部の長さZは140mmである。図9(イ)より吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔Kは1Y〜1.5Yが顕著な効果を示している。
次に吐出口に近い内孔長円変形部の上部にある内孔長円変形部の長さをZとすると、Zが偏流に及ぼす影響に関して同様の水モデルテストを行った結果を図10に示す。図10(イ)は前記反転流速差(B/S)、図10(ロ)はテストサンプルの概略図を示す。浸漬ノズルの全長は900mm、内孔円形部の内径Dは70mm、吐出口は円形で高さHは70mm、吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離Xは100mm、吐出口に近い内孔長円変形部の長さYは90mm、吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔Kは90mmである。図10(イ)より吐出口に近い内孔長円変形部の長さZは1.5Y〜3Yが顕著な効果を示している。
【0038】
表2は図6の(イ)〜(ホ)の浸漬ノズルについて、実炉で600tの溶鋼の鋳造に使用し、鋳片の表面欠陥について調査した結果をまとめたものである。
【0039】
比較例(ロ)のノズル内部がストレート形状の浸漬ノズルを使用した場合の、鋳片1m2当たりの欠陥の数を100としてそれぞれの場合を指数で表示した。比較例(ロ)と比較するとその他は全てが良好な結果ではあるが、その中でも実施例(イ)は最も良好な結果になった。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明の構造により偏流を防止し、吐出流を均等化することが可能となり、モールド内の溶鋼の流れを安定化させることで、モールド内での偏流も防止でき、パウダー、気泡等の巻き込みを低減し、鋼の均質凝固に寄与し、鋼の安定鋳造、品質向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浸漬ノズルの垂直断面図と各部での水平断面図を示す。
【図2】内孔部の水平断面図を示す。
【図3】内孔変形部と吐出口との位置関係を説明するための垂直断面図を示す。
【図4】 内孔変形部の例を示す水平断面図である。
【図5】 水モデル実験に使用した試験装置の概略図である。
【図6】 水モデルに使用したアクリル製の浸漬ノズルの構造を示す。
【図7】 吐出口に近い内孔長円変形部の下端面と吐出口の上端との距離が、モールド内の流れに与える影響を示すグラフである。
【図8】 吐出口に近い内孔長円変形部の長さが、モールド内の流れに与える影響を示すグラフである。
【図9】 吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔が、モールド内の流れに与える影響を示すグラフである。
【図10】 上部の内孔長円変形部の長さが、モールド内の流れに与える影響を示すグラフである。
【図11】 スライディングプレートに取り付けられた従来の浸漬ノズルの垂直断面図である。
【図12】 従来の浸漬ノズルの溶鋼が吐出口からモールドヘ流出する流れの状態を示す。
【符号の説明】
1、31 浸漬ノズル本体
2、22、42 ノズル内孔
3、13、23、43 吐出口
4、24 吐出口に近い内孔長円変形部
5、25 上部の内孔長円変形部
36 水槽
37 プラスチック板
38 歪ゲージ
39 反転流
40 スライディングプレート
41 中間プレート
Claims (2)
- 溶鋼が流通するノズル内孔の下部の相対する位置に2つの吐出口を有する浸漬ノズルの偏流防止構造であって、
吐出口より上の内孔内に2つの内孔変形部を有し、
これら内孔変形部は、何れも、水平断面における内孔の形状が長円をなし、
その中の一つの内孔変形部は、吐出口に近い位置に、その長円の長手方向の向きが吐出口方向とほぼ平行に配置されており、
また、他方の内孔変形部は、前記吐出口に近い位置に配置された内孔変形部の上方位置に間隔を開けて、その長円の長手方向の向きが吐出口方向とほぼ直角に配置されており、
前記内孔変形部の水平断面における長円の長手方向の長さをL、長円の短手方向の長さをS、内孔変形部以外の内孔の内径をDとしたとき、それぞれをmmによって現わして、
L/Sと、L/Dと、S/Dの比が、それぞれ、
1.2≦L/S≦1.75
1.0≦L/D≦1.3
0.7<S/D<0.9
の範囲にあり、
且つ、
前記吐出口の上端と吐出口に近い内孔長円変形部の下端面との距離をmmによってXとし、吐出口の高さをmmによってHとしたとき、
X=0.3H〜2H
である浸漬ノズルの偏流防止構造。 - 吐出口に近い内孔長円変形部の長さをmmによってYとするとし、吐出口の高さをmmによってHとしたとき、
Y=1H〜2H
であり、
吐出口に近い内孔長円変形部の上端面と上部の内孔長円変形部の下端面との間隔をmmによってKとすると、
K=1Y〜1.5Y
であり、
上部の内孔長円変形部の長さをmmによってZとすると、
Z=1.5Y〜3Y
である請求項1に記載の浸漬ノズルの偏流防止構造。
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