JP2007254819A - アルミキルド鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミナクラスターによって生じる溶鋼のノズル詰まりや溶鋼の品質低下を確実に防止できるアルミキルド鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造し,アルミキルド鋼を製造する際に,溶鋼にAlを添加して脱酸した後,REMを下記(1)式に示す範囲内の添加量で添加する。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
[但し,W:REMの添加量(質量ppm),T.[O]:REM添加前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm),ΔO:REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)]
【選択図】図1
【解決手段】溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造し,アルミキルド鋼を製造する際に,溶鋼にAlを添加して脱酸した後,REMを下記(1)式に示す範囲内の添加量で添加する。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
[但し,W:REMの添加量(質量ppm),T.[O]:REM添加前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm),ΔO:REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)]
【選択図】図1
Description
本発明は,例えば機械構造用の圧延,鍛造素材や自動車用鋼板等に用いられるアルミキルド鋼の製造方法に関する。
一般に,機械構造用の圧延,鍛造素材や自動車用鋼板等に用いられるアルミキルド鋼を製造する場合には,まず,高炉から出銑された溶銑を転炉で脱炭して出鋼する。次いで,出鋼した溶鋼中に脱酸元素としてのAlを添加し,添加したAlを溶鋼中の酸素と反応させて脱酸する。そして,脱酸後に連続鋳造を行い,連続鋳造鋳片を製造する。このように,Alで十分に脱酸してから鋳造することにより,溶鋼が鋳造される際にガスを発生せずに静かに凝固するため,アルミキルド鋼は,内部に気泡や欠陥を含まない高品質な鋼として製造される。
しかしながら,上述したようにアルミキルド鋼を製造する際に脱酸元素であるAlが酸素と反応して生じるアルミナ(Al2O3)は,互いに凝集して巨大なアルミナクラスターを形成する。このアルミナクラスターは,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入するノズル(いわゆる鍋ノズル),溶鋼をタンディッシュから鋳型に注入するノズル(いわゆる浸漬ノズル)等のノズルを詰まらせ,生産効率を低下させてしまう。また,このアルミナクラスターを完全に除去するのは難しく,製造されたアルミキルド鋼には相当量のアルミナクラスターが残存するため,製品の品質が低下してしまう。
上述したアルミナクラスターに起因する問題を解決するために,特許文献1には,脱酸した溶鋼中に適当な量のREM(ランタノイド元素及びSc,YをまとめてREMと呼ぶ)を添加し,アルミナクラスターのアルミナ粒子間にバインダとして存在するFeO及びFeO・Al2O3の低融点酸化物を還元することによって,溶鋼中のアルミナ粒子の凝集合体を抑制する技術が開示されている。
上記特許文献1では,溶鋼が含有する総酸素量T.[O]に対するREMの添加量を重量比率でREM/(T.[O])が0.05〜0.5の範囲内になるように設定することによりアルミナ粒子の凝集合体を効果的に抑制している。重量比の上限(0.5)は,REM酸化物を主体とする別の粗大なクラスターが生成されてしまう閾値である。これに対して重量比の下限(0.05)は,アルミナ粒子の凝集合体を抑制する効果が得られなくなる閾値である。なお,上述した総酸素量T.[O]は,溶鋼中に溶存する酸素と,例えばアルミナ,REM酸化物等の介在物が含有する酸素とを合計した量として規定されている。
上記特許文献1では,REMの添加量の範囲を算出する際に用いる総酸素量T.[O]の値として,REMを添加する際に溶鋼中に含まれる総酸素量の値を用いている。具体的には,REMを添加してから1分が経過するまでの溶鋼をサンプルとして,その中に含まれる総酸素量を実測して得られた値を用いている。
しかしながら,実際には,溶鋼中に含まれる総酸素量は,溶鋼にREM(REM合金)を添加してから,溶鋼がタンディッシュに到達し,鋳造されるまでの間で変化をしている。例えば,取鍋中を浮遊するスラグはFeOやMnO等の酸化物を含有するため,溶鋼が取鍋を通過する間にこれら酸化物に含まれる酸素が溶鋼とスラグの界面を通して溶鋼中に侵入し,溶鋼中に含まれる総酸素量の値が増大する。
また,溶鋼は,タンディッシュ内の溶鋼を保温するために添加される保温剤によっても,溶鋼中に含まれる総酸素量の値が増大する。これは,保温剤に含まれる例えばSiO2等の酸化物が酸素源になっている。さらに,タンディッシュ中の溶鋼は,空気と接触し酸化されることによって総酸素量が増大する。
上述したように実際には溶鋼中に含まれる総酸素量が変化するにも関わらず,上記特許文献1では変化を考慮しておらず誤差を含む総酸素量の値に基づいてREMの添加量Xの値(の範囲)を求めているので,添加したREMによって適切な効果を得られない恐れがある。即ち,REMを添加しても溶鋼中のアルミナ粒子の凝集合体したアルミナクラスターの生成が抑制されず,ノズル詰まりや溶鋼の品質低下等の問題が発生してしまう可能性が高い。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり,アルミナクラスターによって生じる溶鋼のノズル詰まりや溶鋼の品質低下を確実に防止できるアルミキルド鋼の製造方法を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するために,本発明によれば,溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造し,アルミキルド鋼を製造する方法であって,
溶鋼にAlを添加して脱酸した後,REMを下記(1)式に示す範囲内の添加量で添加することを特徴とする,アルミキルド鋼の製造方法が提供される。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
[但し,W:REMの添加量(質量ppm),T.[O]:REM添加前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm),ΔO:REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)]
溶鋼にAlを添加して脱酸した後,REMを下記(1)式に示す範囲内の添加量で添加することを特徴とする,アルミキルド鋼の製造方法が提供される。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
[但し,W:REMの添加量(質量ppm),T.[O]:REM添加前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm),ΔO:REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)]
上記アルミキルド鋼の製造方法において,前記REMの添加は,溶鋼を真空脱ガス装置で二次精錬する際に行うようにしてもよい。
上記アルミキルド鋼の製造方法において,前記REMの添加は,少なくともFe及びREMを含むREM合金を溶鋼に添加することによって行うようにしてもよい。
上記アルミキルド鋼の製造方法において,取鍋中のスラグに含まれる酸化物の濃度に基づいて,REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(ΔO)を決定するようにしてもよい。
本発明によれば,溶鋼に添加するREMの適切な添加量の値を算出する際に,溶鋼中に含まれる総酸素量の変化を考慮することによって,誤差が少なく従来よりも正確な値を算出することができ,REMの添加によって,アルミナクラスターに起因するノズル詰まりや品質低下を確実に防止することが可能である。
以下,図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態について説明をする。
本発明では,溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造して行うアルミキルド鋼の製造において,溶鋼にAlを添加して脱酸した後に,REM(ランタノイド元素(La,Ce,Pr,・・・等)とSc,Yを加えた元素をまとめて「REM」と呼ぶ)を下記(1)式に示す範囲内の添加量W(質量ppm)で添加することによって,溶鋼中のアルミナ粒子の凝集合体を抑制し,アルミナ粒子が凝集により形成されるアルミナクラスターの量を低減することができる。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
上式(1)において,T.[O]は,Alで脱酸してからREMを添加する直前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm)である。このT.[O]は,溶鋼中に溶解している溶存酸素(フリー酸素とも呼ぶ)と,溶鋼中に酸化物の形態で存在している酸素とを合計した量である。
上式(1)において,ΔOは,REMを添加してからタンディッシュに到達するまでの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)である。実際には,溶鋼の総酸素量は,主として以下の3つの酸素源によって増大する。
まず第1の酸素源は,取鍋中を浮遊するスラグに含まれるFeO,MnO等の酸化物である。Alで脱酸された溶鋼が取鍋を通過する間にこれら酸化物に含まれる酸素が溶鋼とスラグの界面を通して溶鋼中に侵入し,溶鋼中の総酸素量を増大させる。第2の酸素源は,タンディッシュ内の溶鋼の温度を保温するように,溶鋼に添加される保温剤に含まれるSiO2等の酸化物である。この酸化物の含有する酸素がタンディッシュ内の溶鋼に侵入し,溶鋼中の総酸素量を増大させる。第3の酸素源は,タンディッシュ内の溶鋼が接触する空気に含まれる酸素である。溶鋼が,タンディッシュ内で空気により酸化され,溶鋼中の総酸素量を増大させる。
次に,上式(1)において,REMの添加量Wの下限の値を算出するのに用いられる係数0.025と,REMの添加量Wの上限の値を算出するのに用いられる係数0.05とについて説明する。これら係数の値は,以下で図1を用いて説明するように,アルミキルド鋼を製造した際の測定データを複数集め,実際のREMの添加量W,REM添加前における実際の溶鋼中の総酸化量T.[O](質量ppm)及びREM添加後からタンディッシュ到達するまでの間に増加する酸素増加量ΔO(質量ppm)を解析し,ノズル詰まりが発生しない最適な添加量Wの範囲を具体的に求めることによって得られた値である。
図1は,アルミキルド鋼を製造した際に溶鋼に添加したREMの添加量W(質量ppm)及びタンディッシュ内の溶鋼が含有する総酸素量T.[O]+ΔO(質量ppm)と,ノズル詰まり発生の有無との相関を示すプロット図である。なお,REMの添加は,10%REM合金(REMとしてのCeと,Feを含有)を,二次精錬を行うように取鍋に設けた真空脱ガス装置の真空槽内において,脱酸用のAlを添加した2分後に溶鋼に添加することによって行った。T.[O](質量ppm)の値は,REMを添加する前の溶鋼を抽出し,解析することによって求めた。ΔO(質量ppm)の値は,下記式(2)に示すように,REMの添加直後に溶鋼が含むAlの量AlRH(質量%)と,タンディッシュに到達した溶鋼が含むAlの量AlTD(質量%)との差から,酸化してAl2O3になって減少したAlの量{AlRH−AlTD}を求め,このAlの量{AlRH−AlTD}から酸化反応で消費した酸素量の実績値を換算することにより求めた。
ΔO=(48/54)×{AlRH−AlTD}×10000・・・(2)
ΔO=(48/54)×{AlRH−AlTD}×10000・・・(2)
図1では,REMの添加量W(質量ppm)を縦軸とし,溶鋼の総酸素量T.[O]+ΔO(質量ppm)を横軸とした座標上に,アルミキルド鋼を製造した際の各測定データをプロットした。各測定データのノズル詰まり結果は,プロットする記号を,ノズル詰まりがなかった場合には白抜き円,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入するノズル(いわゆる鍋ノズル)が詰まった場合には塗りつぶした四角,タンディッシュから鋳型に注入するノズル(いわゆる浸漬ノズル)が詰まった場合には塗りつぶした三角と,結果に応じて場合分けすることによって示した。鍋ノズル詰まりは,鍋ノズル内の付着物のためにその有効断面積が減少してしまった結果,溶鋼鍋羽口の下部にあって溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼注入制御用の鍋ノズル上部に取り付けているスライディングノズル(以下SNと称す)の開口率が100%(全開)となっても,タンディッシュへの溶鋼供給量が連続鋳造のスループットに追従できない状態である。また,同様にして浸漬ノズル詰まりは浸漬ノズル内の付着物のためにその有効断面積が減少してしまった結果,浸漬ノズル上部に取り付けている鋳型への溶鋼注入制御用のスライディングノズル(以下SNと称す)の開口率を注入初期の付着物が着いていない理想状態の値よりも大きくせざるを得ず,その開口率の増加が予め決め得られた基準値以上(ここでは開口率が1.1倍以上)では鋳造速度確保のため浸漬ノズルの付着物除去(浸漬ノズル上方から棒つつきを行い除去)を行わなければならない状態である。
図1に示すように,ノズル詰まりが発生していないのは,傾きW/(T.[O]+ΔO)が0.025を上回り,且つ0.05を下回る範囲にある場合であり,式で表現すると,
0.025<W/(T.[O]+ΔO)<0.05・・・(3)
となる。従って,この式(3)を変形することによって,REMの添加量の最適な範囲を示す式(1)が導出される。REMの添加量Wが0.025×(T.[O]+ΔO)以下である場合には,アルミナ粒子の凝集を制御するにはREMの添加量が不十分であり,浸漬ノズルに詰まりが発生する。また,REMの添加量Wが0.05以上である場合には,添加したREMの酸化物を主体とする粗大なクラスターが生成され,タンディッシュの前の取鍋の段階で鍋ノズルに詰まりが発生してしまう。
0.025<W/(T.[O]+ΔO)<0.05・・・(3)
となる。従って,この式(3)を変形することによって,REMの添加量の最適な範囲を示す式(1)が導出される。REMの添加量Wが0.025×(T.[O]+ΔO)以下である場合には,アルミナ粒子の凝集を制御するにはREMの添加量が不十分であり,浸漬ノズルに詰まりが発生する。また,REMの添加量Wが0.05以上である場合には,添加したREMの酸化物を主体とする粗大なクラスターが生成され,タンディッシュの前の取鍋の段階で鍋ノズルに詰まりが発生してしまう。
以上のようにして得られた,REMの添加量の最適な範囲を示す式(1)を用いると,REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量ΔOを算出することによって,アルミキルド鋼を製造する際に添加するREMの最適な添加量を求めることが可能である。
ここで,REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量ΔOを算出する方法の一例を説明する。既述したように,REMを添加してからタンディッシュに到達するまでの間に増加する溶鋼の酸素増加量ΔOは,主として取鍋内のスラグに含まれる酸化物,タンディッシュ保温剤に含まれる酸化物及びタンディッシュ内の空気の3つに起因する。
しかしながら,タンディッシュ保温剤に含まれる酸化物よって増加する溶鋼の酸素増加量ΔOTD1ついては,同一のタンディッシュ保温剤を用いている限り,製造する鋼の種類に関わらず概ね一定の値になる。また,タンディッシュ内の空気によって増加する溶鋼の酸素増加量ΔOTD2についても,一般的に,タンディッシュ内での空気は遮断されていたり,不活性ガスに置換されていたりして,酸素濃度が低く抑えられているので,製造する鋼の種類に関わらず概ね一定の値になる。
一方,取鍋内のスラグに含まれる酸化物によって増加する溶鋼の酸素増加量ΔOSLは,スラグに含まれる酸化物の組成と,二次精錬終了後に取鍋からタンディッシュに溶鋼が注入されるまでの時間(以下,キリングタイムと呼ぶ)とに依存する。特に,スラグに含まれる酸化物の中でもFeO及びMnOの濃度が,増加する溶鋼の酸素増加量ΔOSLに大きく影響する。さらに,FeO及びMnOの濃度は,転炉でのC濃度に強く依存するため,製造する鋼の種類によって変化する。
しかしながら,同一の鋼種に関しては,スラグに含まれるFeO及びMnOの濃度と,キリングタイムが概ね一定であるので,同一の鋼種では,増加する溶鋼の酸素増加量ΔOSLが概ね一定の値になる。従って,各鋼種の値から,スラグに含まれるFeO及びMnOの濃度と,キリングタイムとの2つを変数として,増加する溶鋼の酸素増加量ΔO(=ΔOSL+ΔOTD1+ΔOTD2)の回帰式を求めることが可能である。この場合,回帰式には,タンディッシュ保温剤に起因する溶鋼の酸素増加量ΔOTD1と,タンディッシュ内の空気に起因する溶鋼の酸素増加量ΔOTD2とが定数項として含まれる。ΔOの実績値から回帰式を求める際には,図1の場合と同様に,減少したAlの量から換算した値をΔOの実績値として用いてもよい。
なお,上述のように回帰式を求める際には,取鍋,タンディッシュの幾何学的形状(取鍋スラグと溶鋼の界面積及び取鍋内の溶鋼量,タンディッシュ保温剤と溶鋼の表面積)及びタンディッシュでの雰囲気中の酸素濃度等の諸条件によって回帰式が変わってしまうため,これらの条件を一定にして回帰式を求める必要がある。
本発明を,実施例と比較例を用いて説明する。
表1に示す成分で構成されるアルミキルド鋼A,Bを以下の手順で製造した。転炉から取鍋に出鋼した,表1に示す成分で構成される鋼種A,Bの溶鋼に,Alを添加し,脱酸を行った。Alを添加してから2分後に,取鍋から二次精錬を行うためのRH真空脱ガス装置の真空槽内に吸上げられた溶鋼に,REM濃度が10%又は30%であるREM合金を添加した。その後,真空槽から取鍋に戻された溶鋼を,取鍋からタンディッシュ経由で連続鋳造の鋳型に進行させ,アルミキルド鋼の製造を行い,鍋ノズル又は浸漬ノズルにノズル詰まりが発生したかどうかを確認した。連続鋳造する際の鋳造速度は,1.3〜1.5mpm,鋳造サイズは,厚さ280(mm)×幅1700〜1900(mm)とした。また,浸漬ノズル内に吹込む不活性ガス(Ar)の量は,1〜3(Nl/ton)である。鋳型内では,介在物の除去を容易化するために電磁ブレーキ及び電磁撹拌を適用した。なお,実施例では溶鋼鍋の溶鋼量は370tonであり,連々鋳数は8とした。
表2には,上述の手順でアルミキルド鋼を製造した際の測定データを示す。各測定データは,添加したREMの添加量(質量ppm),REM添加前の溶鋼の総酸素量T.[O](質量ppm),REM添加後からタンディッシュ到達までの間に増加した溶鋼の酸素増加量ΔO(質量ppm),並びにノズル詰まりの発生結果の有無等の測定結果を示している。
REM添加前の溶鋼の総酸素量T.[O](質量ppm)は,REMを添加する前の溶鋼のサンプルを抽出し,解析することによって求めた。REM添加後からタンディッシュ到達までの間に増加した溶鋼の酸素増加量ΔO(質量ppm)は,REM添加直後の溶鋼が含むAlの量と,タンディッシュに到達した溶鋼が含むAlの量との差から,酸化してAl2O3になって減少したAlの量を求め,このAlの量から既述した式(2)を用いて酸化反応で消費した酸素量の実績値を換算することにより求めた。
ノズル詰まりは,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入する鍋ノズルと,タンディッシュから鋳型に注入する浸漬ノズルとの場合を個別に記載した。なお,表2に示す浸漬ノズルのSN開度指標は,詰まりが生じていない理想的なSNの開口面積(1とする)に対する実際のSNの開口面積の比であり,この値が大きければ大きいほど浸漬ノズルがより詰まっていることを示す間接的な指標である。ここではこのSN開度指標が1.1を超えると浸漬ノズルが詰まりだしたと判定し,浸漬ノズル上方から棒つつきを行って内部付着物除去を行い,そのチャージ(何番目の溶鋼鍋を注入時か)を明記した。また,鍋ノズル詰まりは,溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼注入の際に鍋ノズル上部に取付けているSNの開口率を100%(全開)としてもタンディッシュへの溶鋼供給速度が連続鋳造のスループットに追従できない状態になった場合とした。キャスト中に鍋ノズル詰まりが発生した場合に,鍋ノズル詰まり有としている。
その他,測定の際の各条件は以下の通りである。
取鍋内のスラグのFeO及びMnOの合計濃度:10〜15mass%
キリングタイム:15〜30分
取鍋内のスラグのFeO及びMnOの合計濃度:10〜15mass%
キリングタイム:15〜30分
表2に示すように,本発明のアルミキルド鋼の製造方法によって製造し,REMの添加量が0.025×(T.[O]+ΔO)〜0.05×(T.[O]+ΔO)の範囲に収まっている場合の測定データ1〜5では,キャスト末期(8鍋目)でもノズル詰まりが発生していない。これに対して,本発明のアルミキルド鋼の製造方法で規定するREMの添加量の範囲を逸脱する測定データ6,7では,ノズル詰まりが発生してしまっている。なお,測定データ6の場合には,REMの添加量が0.05×(T.[O]+ΔO)の値以上になっているため,鍋ノズルにノズル詰まりが発生しており,測定データ7の場合には,REMの添加量が0.025×(T.[O]+ΔO)の値以下になっているため,浸漬ノズルにノズル詰まりが発生している。
本発明は,溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造することによってアルミキルド鋼を製造する場合に有用である。
Claims (4)
- 溶鋼を取鍋,タンディッシュ経由で鋳型に注入して連続鋳造し,アルミキルド鋼を製造する方法であって,
溶鋼にAlを添加して脱酸した後,REMを下記(1)式に示す範囲内の添加量で添加することを特徴とする,アルミキルド鋼の製造方法。
0.025×(T.[O]+ΔO)<W<0.05×(T.[O]+ΔO)・・・(1)
[但し,W:REMの添加量(質量ppm),T.[O]:REM添加前に溶鋼が含有する総酸素量(質量ppm),ΔO:REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(質量ppm)] - 前記REMの添加は,溶鋼を真空脱ガス装置で二次精錬する際に行うことを特徴とする,請求項1に記載のアルミキルド鋼の製造方法。
- 前記REMの添加は,少なくともFe及びREMを含むREM合金を溶鋼に添加することによって行うことを特徴とする,請求項1又は2に記載のアルミキルド鋼の製造方法。
- 取鍋中のスラグに含まれる酸化物の濃度に基づいて,REM添加後からタンディッシュ到達までの間に予測される溶鋼の酸素増加量(ΔO)を決定することを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のアルミキルド鋼の製造方法。
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