JP4516923B2 - アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片及びその製造方法 - Google Patents

アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は,例えば機械構造用の圧延,鍛造素材や自動車用鋼板等に用いられるアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片とその製造方法に関する。
一般に,機械構造用の圧延,鍛造素材や自動車用鋼板等に用いられるアルミキルド鋼を鋳造する場合には,まず,高炉から出銑された溶銑を転炉で脱炭して出鋼する。次いで,出鋼した溶鋼中に脱酸元素としてのAlを添加し,添加したAlを溶鋼中の酸素と反応させて脱酸する。そして,脱酸後に連続鋳造を行い,連続鋳造鋳片を製造する。このように,Alで十分に脱酸してから鋳造することにより,溶鋼が鋳造される際にガスを発生せずに静かに凝固するため,内部に気泡や欠陥を含まない高品質な鋳片を製造することができる。
ところがアルミキルド鋼においては,脱酸元素であるAlが酸素と反応して生じるアルミナ(Al)が,互いに凝集して巨大なアルミナクラスターを形成する。このアルミナクラスターは,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入するノズル(いわゆる鍋ノズル),溶鋼をタンディッシュから鋳型に注入するノズル(いわゆる浸漬ノズル)等のノズルを詰まらせ,鋳造を困難にし,また,付着物除去のために鋳造速度を低下させ,生産効率を低下させてしまう。また,製造された鋳片中には相当量のアルミナクラスターが残存するため,品質が低下してしまう。更に,浸漬ノズルが詰まった状態で鋳造を続けると,浸漬ノズルからの吐出流に偏りが発生し,溶鋼上に配置されているモールドパウダーを巻き込み,製品欠陥の要因となる。
そこで,上述したアルミナクラスターに起因する問題を解決するために,特許文献1には,Al脱酸した溶鋼中にREM(ランタノイド元素及びSc,YをまとめてREMと呼ぶ)を添加して,アルミナクラスターの少ない鋼材を得る方法が開示されている。
特開2004−52076号公報
Alで脱酸した溶鋼にREMを添加すると,溶鋼中のアルミナ粒子の凝集合体を抑制し,アルミナ粒子が凝集して形成されるアルミナクラスターの量を低減することができる。かかる効果は,アルミキルド鋼を鋳造して得た鋼片中に介在する酸化物系介在物のREM酸化物濃度が0.5質量%未満となるようでは不十分であり,アルミナ粒子のクラスター化が十分に防止できない。一方,酸化物系介在物中のREM酸化物濃度が15質量%を超えるようになると,酸化物系介在物の凝集合体が却ってしやすくなり,粗大クラスターを生成してしまう。そのため上記特許文献1では,酸化物系介在物(平均介在物組成)をAlとREM酸化物が主成分で,重量%でREM酸化物の含有量を0.5〜15重量%の範囲としている。
しかしながら,特許文献1のように酸化物系介在物のREM酸化物濃度を規制しても,いまだノズル詰まり等の問題を発生する場合があり,アルミナクラスターに起因する種々の問題を更に解決することが望まれていた。
本発明の目的は,アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片を製造するにあたり,ノズル詰まりなどといったアルミナクラスターに起因する問題をより確実に回避することにある。
本発明者らは,上記課題を解決するために更なる考察を進め,Al脱酸後にREMを添加して製造したアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片からサンプルを採取して,サンプル中に含まれる個々の酸化物系介在物のREM酸化物濃度を測定し,そのばらつきを調べた。その結果,鋼片中に介在する酸化物系介在物のREM酸化物濃度は,各酸化物系介在物毎に一定ではなくてばらついており,しかも,Al脱酸後の溶鋼に添加されるREMの添加方法によって,鋼片中の各酸化物系介在物のREM酸化物濃度が,大きくばらついたり,逆にばらつきが小さくなることが判明した。
そして,ノズル詰まり等の問題を解決するためには,連続鋳造鋼片中の酸化物系介在物のREM酸化物濃度(平均濃度)を0.5〜15質量%の範囲にするだけでは不十分であり,更に,鋼片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物の個数比率において,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物が30%以上,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物が10%未満,残りがREM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物となるような分布に規制することが必要であるという知見を得た。また,このような連続鋳造鋼片を得るためには,Al脱酸後の溶鋼に対して行われるREMの添加を,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で行うことが必要であるという知見を得た。
かかる知見に基き,本発明によれば,Alで脱酸した溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造して,質量%でC:0.0005〜1.5%,Si:0.005〜1.2%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.001〜0.1%,S:0.0001〜0.05%,Al:0.005〜1.5%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物からなる炭素鋼である鋼片を製造する方法であって,前記REMの添加を,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で行うことを特徴とする,アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片の製造方法が提供される。また,このアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片の製造方法においては,さらにNb:0.005〜0.1%,Ti:0.001〜0.25%を含有する鋼片を製造しても良い。
なお,前記REMの添加を,RH脱ガス装置で行うようにしても良い。
また本発明によれば,Alで脱酸した溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造した,質量%でC:0.0005〜1.5%,Si:0.005〜1.2%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.001〜0.1%,S:0.0001〜0.05%,Al:0.005〜1.5%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物からなる炭素鋼である鋼片であって,鋼片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物の個数比率において,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物が30%以上,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物が10%未満,残りがREM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物であることを特徴とする,アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片が提供される。また,このアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片においては,さらにNb:0.005〜0.1%,Ti:0.001〜0.25%を含有していても良い。
本発明によれば,Al脱酸後の溶鋼に対して行われるREMの添加を所定の条件で行うことにより,ノズル詰まり等の発生をより確実に回避してアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片を好適に製造することが可能となる。こうして製造された連続鋳造鋼片は,鋼片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物の個数比率において,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物が30%以上,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物が10%未満,残りがREM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物となり,アルミナクラスターの残存量が低く品質に優れる。
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明では,Alで脱酸した溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造して鋼片を製造するにあたり,REMの添加を,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で行う。REMを添加することによって,溶鋼中のアルミナ粒子の凝集合体を抑制し,アルミナ粒子が凝集により形成されるアルミナクラスターの量を低減することができる。なお,本発明におけるREM(Rare Earth Metal;希土類金属)とは,原子番号57のLaから原子番号71のLuまでのランタノイド元素及びSc,Yをさす。
本発明で製造される鋼片は,好ましくは質量%でC:0.0005〜1.5%,Si:0.005〜1.2%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.001〜0.1%,S:0.0001〜0.05%,Al:0.005〜1.5%を含有し,あるいはさらにNb:0.005〜0.1%,Ti:0.001〜0.25%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物からなる炭素鋼であり,鋼片に必要な圧延を加えることにより,薄板,厚板,鋼管,形鋼,棒鋼等へ適用できる。この範囲が好ましい理由は以下の通りである。
Cは鋼の強度を最も安定して向上させる基本的な元素であるため,所望する材料の強度によって含有量を0.0005〜1.5%の範囲で調整する。強度あるいは硬度確保のためには0.0005%以上含有させることが望ましいが,1.5%より多いと靭性が損なわれるので1.5%以下がよい。
Siを0.005〜1.2%としたのは,0.005%未満では予備処理が必要となって精錬に大きなコスト負担をかけ経済性を損ねることとなり,1.2%より多いとメッキ不良が発生し,表面性状や耐食性を劣化するためである。
Mnを0.05〜3.0%としたのは,0.05%未満では精錬時間が長くなって,経済性を損ねることになり,3.0%より多いと鋼材の加工性が大きく劣化するためである。
Pを0.001〜0.1%としたのは,0.001%未満では溶銑予備処理に時間とコストがかかり経済性を損ねることとなり,0.1%より多いと鋼材の加工性が大きく劣化するためである。
Sを0.0001〜0.05%としたのは,0.0001%未満では溶銑予備処理に時間とコストがかかり経済性を損ねることとなり,0.05%より多いと鋼材の加工性と耐食性が大きく劣化するためである。
Alを0.005〜1.5%としたのは,0.005%未満ではAlNとしてNをトラップし,固溶Nを減少させることができない。また,1.5%より多いと表面性状と加工性が劣化するので1.5%以下が良い。
以上が基本成分系であるが,本発明では,これらの他にそれぞれの用途に応じて,例えばNb,Tiを含有させるても良い。
Nb,Tiはいずれも析出強化により鋼の強度を向上させる元素であって,Nbは0.005%以上,Tiは0.001%以上含有させることによって,強度向上効果を示すが,Nbは0.1%,Tiは0.25%を超えて添加すると靭性を損なうおそれがあるため,Nbは0.005〜0.1%,Tiは0.001〜0.25%の範囲とする。
本発明では,先ず,溶鋼を転炉等の製鋼炉から取鍋に出鋼し,所定の合金元素を添加した後,Alを添加してAl脱酸を施す。こうしてAl脱酸後の溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造して鋼片を製造する。
ここで,溶鋼中へのREMの添加条件は,次の通りとする。即ち,溶鋼中へREMを添加すると,REMを添加した領域でREM濃度が局所的に高くなり,そのままでは,REM酸化物濃度が高い酸化物介在物が過剰に生成されてしまう。これを回避する対策として,(1)溶鋼中へ添加するREM合金中のREM成分濃度を低くすること,(2)添加するREM合金のサイズを小さくすること,(3)REM合金の添加速度を遅くすること,(4)攪拌力が大きい領域にREM合金を添加することが挙げられる。そこで本発明では,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で添加を行う。
REM合金の添加場所は,攪拌力が最も大きいRH脱ガス装置の真空槽内における還流溶鋼中とし,溶鋼中に添加したREMが速やかに攪拌されて,濃度が均一にされることが望ましい。その他,取鍋でREMを添加後,Arガス等で攪拌することなども考えられる。
そして,REMを添加した後,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入し,鋳型内に溶鋼を注入して連続鋳造を行う。こうして,鋳型内に注入された溶鋼を冷却凝固して鋳片を製造することができる。
以上の条件で連続鋳造を行うことにより,ノズル詰まり等の発生を回避して清浄性に優れたアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片を安定して製造することが可能となる。こうして製造されたアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片にあっては,鋼片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物の個数比率において,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物が30%以上,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物が10%未満,残りがREM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物となり,アルミナクラスターの残存量が低く品質に優れたものとなる。
本発明を,実施例と比較例を用いて説明する。以下の実施例と比較例では,表1に示す成分のアルミキルド鋼(鋼種A,B)を用いた。
Figure 0004516923
まず,REM合金を添加して,ノズル詰まり(鍋ノズル及び浸漬ノズル)の状況について調査した。対象とした鋼種は,最も浸漬ノズル詰まりが発生しやすい表1の鋼種Aとした。使用したREM合金は,Fe−Si−30%REM合金,粒径10mmのものを用い,合金の添加速度については制御しなかった。REM濃度が溶鋼換算濃度として8ppmとなるようにREM合金を添加した。溶鋼換算濃度とは,あらかじめわかっている溶鋼重量(kg)と添加REM量(REM合金中のREM濃度(%)×REM合金量(kg)/100)から求める。今回,試験を行った溶鋼の重量は370tonであり,連々鋳数は8である。
試験の結果,タンディッシュの浸漬ノズル詰まりは発生しないが,取鍋の鍋ノズル詰まりが発生する場合があることがわかった。そこで,鍋ノズル及び浸漬ノズルの両方詰まりが発生しなかった場合と,浸漬ノズルは詰まりが発生せず鍋ノズルのみが詰まりが発生した場合の酸化物系介在物(鋳片中の1〜10μm)の組成を比較した。
その結果,図1に示すように,鍋ノズル及び浸漬ノズルの両方詰まりが発生しなかった場合は,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物の個数比率が30%以上,REM酸化物濃度15質量%超の酸化物系介在物個数比率が10%未満であるのに対して,鍋ノズル詰まりが発生した場合は,REM酸化物濃度15質量%超の酸化物系介在物の個数比率が10%以上であることがわかった。
この結果から,鋳片中の酸化物系介在物(粒径1〜10μm)のREM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物の個数比率が30%以上,REM酸化物濃度15質量%超の酸化物系介在物の個数比率が10%未満であれば,浸漬ノズル及び鍋ノズルとも詰まりが生じないことを知見した。
同一REM添加量において鍋ノズル詰まりの発生有無の違いは,REM合金添加時の溶鋼中のREM濃度のばらつきによって酸化物系介在物中のREM酸化物濃度分布の差が生じたことが原因であると推察される。これは,REM合金添加時に局所的にREM成分濃度が高い領域ができ,そこで生成した過剰なREM酸化物濃度の高い介在物が鍋ノズル詰まりの主要因であること考えられる。これを回避する対策としては,先にも説明したとおり,(1)溶鋼中へ添加するREM合金中のREM成分濃度を低くすること,(2)添加するREM合金のサイズを小さくすること,(3)REM合金の添加速度を遅くすること,(4)攪拌力が大きい領域にREM合金を添加することが挙げられる。本発明では,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で添加を行うが,次にこれらの限定理由についての実施例を示す。
ここで,REM合金のREM成分濃度が高い場合には,溶鋼に溶けた直後は溶鋼との混合が進むまでは局所的に高濃度のREM成分が存在する領域があり,この局所的な高濃度領域を避けるためにはREM合金中のREM成分濃度を低下させる必要がある。また,REM合金の粒径に関しては,合金添加後に直ちに溶解させ均一化するためには粒径の小さいものが有利である。さらに,REM合金の添加速度については,例えREM合金の粒径を小さくしたとしても,分散させずに一度(ほぼ同時)にまとめてREM合金を添加した場合は,粒径の大きいREM合金を添加した場合と大きな差はない。そのため,REM合金の添加速度を遅くして,粒径の小さいREM合金を分散して添加しなければならない。
これらの3条件(REM成分濃度,粒径,添加速度)は密接に関係しているため,適正範囲を求めることを検討した。REM添加量は溶鋼換算濃度で8ppm一定とし,REM合金中のREM成分濃度,REM合金の粒径,REM合金の添加速度について検討した。前記3条件を種々変更して,鍋詰まりの発生率を整理した結果を表2に示す。
Figure 0004516923
表2に示したように,鍋ノズル詰まりの発生がない条件は,REM合金中のREM成分濃度が30質量%以下,REM合金の粒径が10mm以下,REM合金添加速度が溶鋼1ton当たり25g/min以下の場合である。これらの条件であれば鋳片中の酸化物系介在物(粒径1〜10μm)は,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物個数比率が30%以上,REM酸化物濃度15質量%超の酸化物系介在物個数比率が10%未満となる。
REM合金添加量は,REM合金添加速度(g/min/ton)及び溶鋼量(ton)と添加時間(min)から決まる。実際には,添加速度一定で添加時間によってREM添加量を制御するか,ホッパーなどからあらかじめ所定量のREM合金を切り出し,添加速度を溶鋼1ton当たり25g/min以下に制御しても構わない。ここでは,後者の方法により制御した。なおREM合金を添加する量としては,REM成分の溶鋼換算濃度で3〜10ppmが好ましい。
次に,表1に示す成分のアルミキルド鋼(鋼種A,B)の溶鋼をRH脱ガス装置で二次精錬した。その際,真空槽内に吸上げられた溶鋼に,適宜REMを添加した。添加したREMとその添加条件,鋳造条件等を表3に示す。なお,各鋼種A,Bの成分についてばらつきがあるのは,各鋼種A,Bとして,それぞれ複数のアルミキルド鋼を用いたからであり,実施例で使用した複数のアルミキルド鋼の成分のばらつきが,表1の範囲にあったことを示している。なお,溶鋼鍋の溶鋼量は370tonであり,連々鋳数は8とした。
Figure 0004516923
本発明例ではREM濃度が10質量%または30質量%であるFe−Si−REM合金を添加した。比較例は,REM濃度が30質量%のFe−Si−REM合金を添加した場合と,濃度100%のREMを添加した場合と,REM(もしくはREM合金)を添加しなかった場合を示した。なお,REM(もしくはREM合金)の添加は,ホッパーから真空槽へ投入することによって行った。REM(もしくはREM合金)の添加時期は,脱酸用のAlを溶鋼に添加してから2分経過後である。
その後,真空槽から取鍋に戻された溶鋼を,取鍋からタンディッシュ経由で鋳型に進行させ,連続鋳造を行い,鍋ノズルまたは浸漬ノズルにノズル詰まりが発生したかどうかを確認した。連続鋳造する際の鋳造速度は,1.3m/min〜1.5m/min,鋳造サイズは,鋳造厚280(mm)×鋳造幅1700mm,1800mm,1900mmとした。また,浸漬ノズル内に吹込む不活性ガス(Ar)の量は,1Nl/min,2〜2.5Nl/min,2.5〜3Nl/min,3Nl/minである。鋳型内では,介在物の除去を容易化するために電磁ブレーキ及び電磁撹拌を適用した。なお,各本発明例と各比較例の鋳造中のノズル詰まりの発生有無を表4に示す。
Figure 0004516923
また,製造された各鋳片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物について,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物と,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物と,REM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物の各個数比率を表4に示した。
なお,鋳片内での酸化物介在物は,鋳片厚み中心部の中心偏析帯では凝固中に新たな介在物が生成される可能性があるため,鋳片厚み中心部の中心偏析帯を除いた部分からサンプルを採取する。実施例では,鋳片の1/4幅,1/4厚の部分からサンプル採取した。採取したサンプルは,SEMを用いて,1×1mmの領域の円相当直径で1〜10μmのサイズの介在物を特定し,その後,EPMAを用いて波長分散型検出により,介在物の組成を同定した。なお,EPMAでのREM酸化物検出限界は0.5質量%である。同定した介在物組成を用いて,各々の介在物組成の比率を求めた。
ノズル詰まりは,溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入する鍋ノズルと,タンディッシュから鋳型に注入する浸漬ノズルとの場合を個別に記載した。なお,表4に示すSN開度指標は,詰まりが生じていない理想的な浸漬ノズルの開口状態(1とする)に対して,実際のノズル開口率を示す値(開口面積の比)であり,この値が大きければ大きいほど浸漬ノズルがより詰まっていることを示す間接的な指標である。このSN開度指標が1.1以下であれば,浸漬ノズルに詰まりが生じていないと判定することができ,このSN開度指標が1.1を超えると浸漬ノズルが詰り出したと判定し,浸漬ノズル上方から棒つつきを行って内部付着物除去を行う。棒つつきを行った場合は,そのチャージ(何番目の溶鋼鍋を注入時か)を明記した。また,鍋ノズル詰りは,溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼注入の際に鍋ノズル上部取り付けているSNの開口率を100%(全開)としてもタンディッシュへの溶鋼供給速度が連続鋳造のスループットに追従できない状態になった場合とした。キャスト中に鍋ノズル詰りが発生した場合に,鍋ノズル詰り有としている。
表3,4に示すように,本発明例の測定データ1〜5では,浸漬ノズル及び鍋ノズル詰まりともなく良好な結果が得られている。特に測定データ1〜3は好ましい態様であるREM合金添加量3〜10ppm範囲内にあり,SN開度指標の変化も小さく良好な結果が得られた。一方,比較例の測定データ6では,REM合金中のREM濃度が100%であるため,REM合金添加時に局所的にREM濃度が高くなり,酸化物系介在物中のREM酸化物濃度が15質量%超のものの個数比率が10%以上となり,鍋ノズルの詰まりが発生した。比較例の測定データ7では,REM合金添加速度が25g/minを超えているため,比較例の測定データ8では,添加するREM合金粒径が10mmを超えているため,REM合金添加時に局所的にREM濃度が高くなり,酸化物系介在物中のREM酸化物濃度が15質量%超のものの個数比率が10%以上となり,鍋ノズルの詰まりが発生した。また,比較例の測定データ9は,通常のAl−K鋼でありREM添加を全く行わなかったものであり,キャストの後半で浸漬ノズル詰まりが発生し,棒つつきが行われた。
本発明は,アルミキルド鋼の連続鋳造に有用である。
鋳片中の酸化物系介在物のREM酸化物濃度と酸化物系介在物の個数比率の分布を示すグラフである。

Claims (5)

  1. Alで脱酸した溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造して,質量%でC:0.0005〜1.5%,Si:0.005〜1.2%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.001〜0.1%,S:0.0001〜0.05%,Al:0.005〜1.5%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物からなる炭素鋼である鋼片を製造する方法であって,
    前記REMの添加を,粒径が10mm以下,質量%でREMを30%以下含有するFe−Si−REM合金を用いて,溶鋼1tonあたり25g/min以下の添加速度で行うことを特徴とする,アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片の製造方法。
  2. さらにNb:0.005〜0.1%,Ti:0.001〜0.25%を含有する鋼片を製造する,請求項1に記載のアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片の製造方法。
  3. 前記REMの添加を,RH脱ガス装置で行うことを特徴とする,請求項1又は2に記載のアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片の製造方法。
  4. Alで脱酸した溶鋼にREMを添加した後,連続鋳造した,質量%でC:0.0005〜1.5%,Si:0.005〜1.2%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.001〜0.1%,S:0.0001〜0.05%,Al:0.005〜1.5%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物からなる炭素鋼である鋼片であって,
    鋼片中に介在する粒径1〜10μmの酸化物系介在物の個数比率において,REM酸化物濃度0.5〜15質量%の酸化物系介在物が30%以上,REM酸化物濃度15質量%を超える酸化物系介在物が10%未満,残りがREM酸化物濃度0.5質量%未満の酸化物系介在物であることを特徴とする,アルミキルド鋼の連続鋳造鋼片。
  5. さらにNb:0.005〜0.1%,Ti:0.001〜0.25%を含有する鋼片である,請求項4に記載のアルミキルド鋼の連続鋳造鋼片。
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