JP5381243B2 - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板や冷延鋼板に用いられるAl脱酸又はAl−Si脱酸による溶鋼の精錬方法に関するものである。
一般に熱延鋼板や冷延鋼板といった圧延鋼板は、転炉で溶製された未脱酸の溶鋼をAl又はAlとSiで脱酸して製造されている。Alを含む脱酸の際に発生するアルミナを主体とする介在物は、溶鋼からの除去が不十分な場合、連続鋳造時のノズル詰まりといった操業トラブルや、圧延段階での表面欠陥の原因となることが知られている。
アルミナを溶鋼から除去する方法として、脱酸後のアルミナの浮上、分離時間をできるだけ長くとるように転炉での出鋼時に脱酸剤のAlを投入する方法や、CASをはじめとする簡易取鍋精錬法あるいはRH真空脱ガス精錬法などの取鍋精錬において溶鋼の強攪拌を行い、アルミナの浮上、分離を促進する方法が行われてきた。
ところが、これらの方法によるアルミナの浮上分離対策では限界があって、数100μm以上の介在物を完全に除去できないため、スリバー疵を防止できないという問題があった。
また、Caを添加して介在物全体をCaO−Al23系の低融点介在物に改質する方法が一般的に良く知られているが、通常Caを安価なCaSi合金で添加するため、Si上限の厳しい鋼板への適用は難しい。
ノズル閉塞の問題を解決するために特許文献1、2ではアルミナのクラスタリングを防止するため、T.O量に応じてREMを適量添加しバインダーとなるFeOおよびFeO・Al23を還元する方法が開示されている。特許文献1では、酸化物系介在物をAl23とREM酸化物が主成分で、REM酸化物の含有量を重量%で0.5〜15%とする。この組成範囲において、Al23粒子同士の凝集合体を抑制でき、粗大なAl23クラスターの生成が防止できるとしている。また、特許文献3では連続鋳造までの酸素増加量を加味したREM添加方法が開示されている。
簡易取鍋精錬法とは、取鍋中の溶鋼を大気圧雰囲気においてArガス攪拌を行いつつ精錬する取鍋精錬法をいう。具体的には、非特許文献1に記載のように、取鍋内の溶鋼をアルゴンガス攪拌しつつ合金成分を添加する方法、SAB(Sealed Argon Bubbling)法、CAB(Capped Argon Bubbling)法、CAS(Composition Adjustment by Sealed Argon bubbling)法、浸漬ランスAr吹き込み法などが挙げられる。大気圧雰囲気で行うことが特徴であり、減圧下で精錬を行うRH真空脱ガス法などは含まれない。
溶鋼から採取した試料中の非金属介在物粒子の量や組成を評価する方法としてコールドクルーシブル法が知られている。コールドクルーシブルとは、特許文献4に記載のように、円周方向に分割された水冷銅坩堝の周りに誘導加熱コイルが巻かれた装置である。高周波の交流電流をコイルに通電することで、ルツボによる誘導ロスなく、ルツボ内に高周波交流磁場を形成することができ、ルツボ内に配置された金属をピンチ力により浮揚させ、かつ誘導電流によるジュール発熱により溶解することができる。一方、溶鋼にピンチ力が作用する反作用として内部の介在物(絶縁物)には外向きの体積力が作用し、介在物は金属表面に寄せ集めることができる。そのようにして得られた介在物が集積した部分について、低倍のSEM−EDS分析を行うと介在物の平均組成を代表性よく求めることができる。
特開2004−52076号公報 特開2004−52077号公報 特開2007−254819号公報 国際公開WO96/28729パンフレット
日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧II製銑・製鋼」昭和54年10月15日、丸善株式会社発行、第690〜691頁 S.Ueda, K.Morita and N.Sano: ISIJ-International, vol.38(1998), No.12, pp.1292-1296
特許文献1〜3のいずれの方法も、アルミナのクラスタリング防止、バインダー介在物の還元を目的としたものであり、本課題を解決する手段しては十分ではない。
簡易取鍋精錬法では、溶鋼攪拌を目的として取鍋底からアルゴンガス吹き込みを行う。吹き込んだアルゴンガスが溶鋼表面から離脱する際、アルゴンガス攪拌によって溶鋼表面の取鍋スラグが溶鋼中に懸濁し、取鍋スラグの溶鋼中への巻き込みが発生する。取鍋スラグはCaOを含有している。また、成分調整のために添加した合金鉄はCaOなどの不純物を含有するので、これら合金鉄起因の不純物も溶鋼中に混入する。そのため、従来の簡易取鍋精錬法を用いた鋼の製造方法においては、アルミナの低減を図ることはできるが、一部の介在物組成がCaO−Al23系介在物に変化する。取鍋スラグの巻き込みはアルゴン吹き込みを行っている間は継続するので、このCaO含有介在物の生成反応は、簡易取鍋精錬終了時まで継続するため浮上分離が十分に行われない。
従来の簡易取鍋精錬法で精錬した鋼について、コールドクルーシブル法で採取した介在物の写真を図1に示す。図1に矢印で示す2箇所について介在物の成分分析を行ったところ、CaO濃度:10%、Al23濃度90%組成の箇所と、CaO濃度50%、Al23濃度50%組成の箇所が見られた。即ち、溶鋼中にCaO−Al23系の複数組成の介在物が共存した形態となっている。他に微量濃度ではあるが、MgO,SiO2他を含むケースがある。CaO濃度50%、Al23濃度50%の組成は低融点であるから、溶鋼中では固体介在物(高融点)だけでなく、低融点介在物が液体として存在することを示している。また、図1に示す介在物の外観から、固体介在物(高融点)に低融点介在物が混在した形態をとっていることが分かる。この低融点介在物が起因となって、取鍋ノズルや浸漬ノズル内壁に付着、堆積し、ノズル閉塞の原因となる。また、一部が鋳片に捕捉され鋼板での表面欠陥の原因となる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡易取鍋精錬法で生成する液体介在物と固体介在物が混在した複数組成のCaO−Al23系介在物を無害化することにより、鋼製造における連続鋳造時のノズル詰まり、圧延鋼板での表面欠陥を防止することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)取鍋中の溶鋼を大気圧雰囲気においてArガス攪拌を行いつつ精錬する簡易取鍋精錬法を用いる溶鋼の精錬方法において、Al脱酸またはAl−Si脱酸した溶鋼中に希土類元素(REM)を添加し、その際溶鋼に供給するREM添加量、溶鋼質量に対して5〜20ppmの範囲内とし、REM添加時期は、簡易取鍋精錬法での最終成分調整後であって、かつ添加から処理終了までの時間が下記式で計算される均一混合時間τ以下の時期とし、鋼中の平均介在物組成質量比で、CaO%=1〜25%、Al23%=8〜95%、REM酸化物%=3〜90%、さらに残分として微量元素の酸化物を含む前記介在物となることを特徴とする溶鋼の精錬方法。
τ=800・ε -0.4
ε=((6.18・V g ・T l )/M l )ln(1+(h 0 /(1.46×10 -5 ・P 0 )))
ここで、V g :ガス流量(Nm 3 /min)、M l :取鍋内溶鋼質量(ton)、T l :溶鋼温度(K)、h 0 :ガス吹き込み深さ(m)、P 0 :溶鋼表面圧力(Pa)、ε:攪拌動力値(W/ton)、τ:均一混合時間(s)
(2)前記溶鋼は、質量%でC:0.01〜1.5%、Si:0.001〜3.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.05%、Al:0.001〜2.0%で、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
(3)前記溶鋼は、さらに質量%で、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.2%、B:0.0005〜0.005%の一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の溶鋼の精錬方法。
本発明は、簡易取鍋精錬法において溶鋼中にREMを添加し、REM添加量を溶鋼質量に対して5〜20ppmの範囲とし、REM添加時期を簡易取鍋精錬の終了直前とすることにより、介在物を起因とするノズル詰まり、製品欠陥を大幅に改善することができる。
従来例について、コールドクルーシブル法で評価した介在物のSEM顕微鏡写真である。 CaO−Al23−REMの三元状態図である。 CAS法で成分調整完了からの攪拌時間と鋼中の介在物個数レベルとの関係を示す図である。 CAS法での製造条件と連続鋳造ノズル詰まりレベルとの関係を示す図であり、左がREMを添加しない場合、中央がその他成分と同時にREMを添加する場合、右がCAS処理終了直前にREMを添加する場合である。 CASの取鍋内へのREM添加量とノズル詰まりレベルとの関係を示す図である。 本発明例について、コールドクルーシブル法で評価した介在物のSEM顕微鏡写真である。 CASの取鍋内へのREM添加量とノズル詰まりレベルとの関係を示す図である。 CaO−Al23−REMの三元状態図において、本発明例と比較例の介在物組成の分布を示す図である。
取鍋中の溶鋼を大気圧雰囲気においてArガス攪拌を行いつつ精錬する簡易取鍋精錬法で溶製される溶鋼は、真空脱ガス法で製造される極低炭素鋼とは異なり、簡易取鍋精錬法で処理される前のC濃度が0.01%以上のためT.O量が低く介在物生成量は少ない。しかしながら、簡易取鍋精錬法で溶製される溶鋼中の介在物形態の特徴として、CaO−Al23系介在物が生成する場合が多い。Alのみで脱酸しSi脱酸を行わないアルミキルド鋼、AlとSiで脱酸するアルミシリコンキルド鋼のいずれでも同様である。その理由は前述のとおり、簡易取鍋精錬のアルゴン攪拌によって取鍋スラグの巻き込みが比較的大きいこと、成分調整のために添加した合金鉄中の不純物(特にCa分)が大気圧下のため分離されにくいことが挙げられる。
そのため、脱酸成分投入後に取鍋内のAr攪拌を継続することによって介在物の浮上、分離時間をできるだけ長くとる方法や、簡易取鍋精錬においてアルゴンガス吹き込み量を増大して溶鋼の強攪拌を行いアルミナの浮上、分離を促進する方法では、スラグ等からの二次反応でのCaO−Al23生成をむしろ助長してしまうという問題点がある。
図3は、CAS法による簡易取鍋精錬法を用いた精錬において、脱酸元素投入の成分調整が終わった後の攪拌継続時間と、溶鋼中の介在物レベルとの関係を調査した結果である。脱酸元素投入直後の介在物レベルを1としている。図3に示すように簡易取鍋精錬法での攪拌時間と介在物量の関係は、ある程度以上に攪拌時間を延ばしても、介在物量の低減が図れないことがわかる。攪拌時間10分を経過した溶鋼から採取したサンプルをコールドクルーシブル法で評価した結果が図1である。図1に示したように、液体介在物と固体介在物が混在したCaO−Al23系介在物が残留してしまう。
そこで、発明者らはREM酸化物が介在物の高融点化する作用に着目し、簡易取鍋精錬法で生成した介在物へのREM添加による、介在物の高融点化処理の実験、および検討を重ねた。なお、本発明において希土類元素(REM)とは、Ce、La、PrまたはNdの1種類以上の元素を意味する。
表1に示す組成の鋼で浸漬ノズル詰まり低減に必要なREM添加時期を検討した結果を図4に示す。浸漬ノズル詰まりレベルは連続鋳造設備のストッパー開度の変化代から求めた。CASにてAlなどの合金成分を最終的に添加した後、アルゴン攪拌を6分間継続し、CASを終了した。
図4の左端はREMを添加しない従来例である。浸漬ノズル詰まりが発生しており、そのときのノズル詰まりレベルを「1」として規格化した。中央と右端は、REMを溶鋼に対して6ppm相当分鍋上から添加した事例である。中央については、REM添加タイミングを成分調整と同時期とした場合である。すると、REMを添加したにもかかわらず、ノズル詰まりレベルは改善されなかった。一方、CAS処理終了直前(1分前)にREMを添加した場合は、処理過程で生成した介在物の改質に有効に機能し、効果が得られた。以上の結果から、CASにてREMを添加してからの攪拌時間が長すぎると、REMを添加した効果が得られないことが判明した。
次に表1に示す組成のAl脱酸鋼で浸漬ノズル詰まり低減に必要なREM添加量を検討した結果を図5に示す。ここでREM添加量とは、鍋上から溶鋼に供給するREMの投入量を、溶鋼質量との質量比で表したものであって、溶鋼中のREM含有量とは別の概念である。CASにおけるREM添加は処理終了1分前とした。REM添加量が不十分な場合は、浸漬ノズル詰まり改善効果が低い。一方で、REM添加量過多の場合は、REM酸化物単体でのクラスタリングが発生するため、浸漬ノズル詰まりが悪化する。従って、実操業で安定して浸漬ノズル詰まり低減を図るためには、CASで鍋上から添加するREM添加量を質量比で5〜20ppmとすることが好まいことが判明した。REM添加量を5〜20ppmとしたとき、鋼中に残存するREM歩留が低いため、鋼中REM濃度は5ppm以下となる。また、このREM添加量範囲であれば、取鍋ノズルの詰まりも改善する。本発明において、鋼中のREM含有量ではなく、鋼へのREM添加量で規定したのは、溶鋼中に含まれる介在物の組成制御を目的としたものだからである。
以上より簡易取鍋精錬法で上記介在物組成を達成するためには、CaO−Al23が処理により十分に生成した状態で行うとともに、最終成分調整後であってかつREM添加後から処理終了までの時間が短いこと、スラグを巻き込まないことが好ましい。即ち、均一混合時間τの範囲内(一般的にCASの均一混合時間は100〜200s程度)であればよい。ここで、均一混合時間τはガス攪拌の場合の攪拌動力値εを用いて以下の式により推算される。
ε=((6.18・Vg・Tl)/Ml)ln(1+(h0/(1.46×10-5・P0)))
τ=800・ε-0.4
ここで、Vg:ガス流量(Nm3/min)、Ml:取鍋内溶鋼質量(ton)、Tl:溶鋼温度(K)、h0:ガス吹き込み深さ(m)、P0:溶鋼表面圧力(Pa)、ε:攪拌動力値(W/ton)、τ:均一混合時間(s)
なお簡易取鍋精錬において、REM以外の合金成分の最終成分調整から処理終了までの時間については、少なくとも均一混合時間以上を確保すると好ましい。
アルミキルド鋼についてCASで鍋上から添加するREM添加量を質量比で5〜20ppmとし、かつREM添加後から処理終了までの時間を均一混合時間τの範囲内とした場合について、鋼中の介在物評価を行った。連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼から採取した試料についてコールドクルーシブル評価を行った介在物形態を図6に示す。なお、合金最終調整から処理終了までは5分、REM添加量=5ppm、REM添加後処理終了までの時間は1分(τ=3.3分)である。図6の写真に現れている介在物の形態から、溶鋼温度において介在物が固体であったことが見て取れる。また、図6に矢印で示す2箇所について介在物の成分分析を行ったところ、CaO濃度:35%、Al23濃度25%、REM濃度40%組成の箇所と、CaO濃度18%、Al23濃度55%、REM濃度27%の値が得られた。即ち、この介在物組成は、図2に示すとおり溶鋼温度では固体であり、図6の介在物形態は固体介在物(高融点)に改質されていることが確認できた。
本発明においては、鋼中の介在物組成を質量比で、CaO%=1〜25%、Al23%=8〜95%、REM酸化物%=3〜90%、残分として微量元素の酸化物を含む組成とすることで、介在物を高融点介在物に改質させることでノズル詰まりが防止できることを見出した。介在物組成評価については、連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼から試料を採取し、コールドクルーシブル法で介在物を抽出し、SEM−EDSで介在物組成分析を行い、試料中の4箇所の平均値によって算出することができる。
鋼中の介在物組成において、液相介在物を介在させないことが重要なため、CaO−Al23−REM酸化物の状態図(図2)の低融点領域(ハッチング部分)を避ける組成であればよい。そのため、基本的にはCaO−Al23−REM酸化物の状態図のCaO濃度が0%を下底、CaO濃度が25%を上底、Al23濃度が0%、REM酸化物濃度が0%で囲まれた台形部分が本発明の介在物組成の基本条件となる。
そのため、先ずCaO濃度の上限値が25%となる。加えて、Al23からCaO−Al23系の介在物となることで接触角が低下しより90°に近くなることが知られている。液相が介在するとクラスタリングが進行してしまうが、固体の介在物であればクラスタリングはおこりにくくなる。その効果はCaO濃度が1%以上で顕著となる。そのため、CaO濃度の下限値は1%とする。CaO濃度の下限値は5%であるとより好ましい。
REM酸化物濃度は3%以上で効果が顕著となるため下限値は3%とする。併せて、CaOを含有することでAl23−REM酸化物においてREM酸化物濃度の高濃度側においてもクラスタリングを低減する効果が見られる。但し、本発明ではREM添加量が5〜20ppmの範囲であり、この条件ではREM酸化物単独は見られないため、REM酸化物単独は含まない。そのため、REM酸化物濃度の上限は90%とする。
本発明は簡易取鍋精錬法を用いているため、溶鋼とスラグとの反応が避けられない。そのため、Al23単独の介在物は観察されにくいので、Al23濃度の上限は95%とする。
本発明において、介在物におけるCaO、Al23、REM酸化物以外の成分については、10%以下である。
Al脱酸またはAl−Si脱酸した溶鋼中にCe、La等の1種類以上の希土類元素(REM)を添加し、CASで鍋上から添加するREM添加量を質量比で5〜20ppmとし、REM添加時期は、簡易取鍋精錬法での最終成分調整後であって、かつ添加から処理終了までの時間が均一混合時間以下の時期とすることにより、介在物組成を上記好ましい範囲とすることができる。
本発明で用いられるAl脱酸鋼、およびAl−Si脱酸鋼とは、質量%でC:0.01〜1.5%、Si:0.001〜3.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.05%、Al:0.001〜2.0%で、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする炭素鋼である。必要に応じて、Nb、Ti、B、等の微量元素を添加し、鋼の特性を向上させた炭素鋼でも用いることができる。
Cは鋼の強度を安定して向上させる元素であり、所望する材料の強度応じて含有量を0.01〜1.5%の範囲で調整する。Arバブリング、CASといった簡易取鍋精錬では、一般的にCが0.01%以上である。1.5%以下としたのは、これ以上の含有量では鋼材の加工性が悪化するためである。
Siを0.001〜3.0%としたのは、0.001%未満では精錬コスト負担が大きく経済性が悪いこと、3.0%超では鋼材の表面性状が劣化するためである。Al脱酸鋼においてはSi含有量が不純物レベルとなる。Al−Si脱酸鋼では、Si濃度が有限の値となる。
Mnを0.01〜3.0%としたのは、0.01%未満では精錬コスト負担が大きく経済性が悪いこと、3.0%超では鋼材の加工性が悪化するためである。
Pを0.001〜0.1%としたのは、0.001%未満では精錬コスト負担が大きく経済性が悪いこと、0.1%超では鋼材の加工性が悪化するためである。
Sを0.0001〜0.05%としたのは、0.001%未満では精錬コスト負担が大きく経済性が悪いこと、0.05%超では鋼材の加工性、耐食性が悪化するためである。
Alを0.001〜2.0%としたのは、0.001%未満では脱酸が不十分となり、鋳造時に気泡が発生し鋳造性が著しく悪化する。また2.0%超では鋼材の加工性が悪化するためである。
本発明で用いられる鋼はさらに必要に応じて、質量%で、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.2%、B:0.0005〜0.005%の一種又は二種以上を含有する。
Nbを0 .001%以上含有させることによって、強度向上効果を示す。一方、0.1%を超えて添加すると靭性を損なうおそれがある。そこで、Nbを添加する場合には含有範囲を0.001〜0.1%とした。
Tiを0 .001%以上含有させることによって、強度向上効果を示す。一方、0.2%を超えて添加すると靭性を損なうおそれがある。そこで、Tiを添加する場合には含有範囲を0.001〜0.2%とした。
Bは鋼の焼入れ性を向上させ、強度を高める元素であって、0.0005%以上含有させることによって、強度向上効果を示すが、0.005%を超えて添加するとBの析出物を増加させ靭性を損なうおそれがあるため、0.0005〜0.005%の範囲に限定する。
100t転炉において吹錬し出鋼した溶鋼を、簡易取鍋精錬設備であるCASで目標成分に調整した。REM以外の成分調整及び脱酸を完了した後、REMを添加した。なお、用いたREM含有合金は質量%で、Si=35%、La=10%、Ce=20%を含むFe−Si−REM合金である。CAS処理を完了した溶鋼を連続鋳造設備において、鋳型寸法が250mm厚×980〜1800mm幅、鋳造速度が0.6〜1.2m/分、タンディッシュ内溶鋼温度が1520〜1590℃の条件で鋳造し、鋳片を製造した。均一混合時間τの計算に用いる諸元は、Vg=0.23〜0.32Nm3/min、Ml=100ton、Tl=1873K、h0=2.6m、P0=101325Paである。CASにおける最終成分調整終了から処理終了までの時間については、一律5分とした。
(実施例1)
表2に示す成分のAl−Si脱酸鋼を用いて、REM添加量を種々変更して鋼を製造した。CASでのアルゴンガス流量Vg=0.27Nm3/minとした。REM添加後処理終了までの時間は1分(τ=3.3分)である。連続鋳造設備のストッパー開度の変化代から求めた浸漬ノズル詰まり状況を図7に示す。浸漬ノズルつまり状況の評価は、前述の図5の場合と同様にして行った。前述のAl脱酸鋼と同様に、Al−Si脱酸鋼においても、REM添加量=5〜20ppmとすることでノズル詰まりが改善する。REM合金の添加コストや、様々な成分の鋼材での汎用性を考えると、REM添加量=5ppm程度で製造することが好ましい。
(実施例2)
表3に示す成分のAl脱酸鋼、Al−Si脱酸鋼を用いて、REM添加量、REM添加時期を種々変更して鋼を製造した。表3の「鋼種」欄の数値が同じものについては、同一の成分目標で製造したことを意味する。均一混合時間τを変化させるため、CASでのアルゴンガス流量Vgを0.23〜0.32Nm3/minの範囲で変化させた。
ノズル詰まり状況、介在物に起因する製品欠陥の結果を同じ表3示す。ノズル詰まり評価方法として、連続鋳造設備のストッパー開度の変化代から求めた。○:変化代≦3mm、△:変化代≦5mm、×:変化代>5mmとして評価した。表面欠陥評価方法として、圧延工程検出された介在物を起因とする欠陥の有無を評価した。
介在物組成評価については、連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼から試料を採取し、コールドクルーシブル法で介在物を抽出し、SEM−EDXで介在物組成分析を行い、試料中の4箇所の平均値によって算出した。図8に介在物組成を示す。
本発明例において、介在物組成が本発明範囲に入り、比較例と対比してノズル詰まりと製品欠陥が大幅に改善することが確認できた。
一方、REMを添加しなかった比較例1〜19及びREM添加から処理終了までの攪拌時間が均一混合時間を超えた比較例20、21については、介在物組成が本発明範囲を外れ、ノズル詰まりと製品欠陥が本発明例と対比して不良であった。

Claims (3)

  1. 取鍋中の溶鋼を大気圧雰囲気においてArガス攪拌を行いつつ精錬する簡易取鍋精錬法を用いる溶鋼の精錬方法において、
    Al脱酸またはAl−Si脱酸した溶鋼中に希土類元素(REM)を添加し、その際溶鋼に供給するREM添加量、溶鋼質量に対して5〜20ppmの範囲内とし、REM添加時期は、簡易取鍋精錬法での最終成分調整後であって、かつ添加から処理終了までの時間が下記式で計算される均一混合時間τ以下の時期とし
    鋼中の平均介在物組成質量比で、CaO%=1〜25%、Al23%=8〜95%、REM酸化物%=3〜90%、さらに残分として微量元素の酸化物を含む前記介在物となることを特徴とする溶鋼の精錬方法。
    τ=800・ε -0.4
    ε=((6.18・V g ・T l )/M l )ln(1+(h 0 /(1.46×10 -5 ・P 0 )))
    ここで、V g :ガス流量(Nm 3 /min)、M l :取鍋内溶鋼質量(ton)、T l :溶鋼温度(K)、h 0 :ガス吹き込み深さ(m)、P 0 :溶鋼表面圧力(Pa)、ε:攪拌動力値(W/ton)、τ:均一混合時間(s)
  2. 前記溶鋼は、質量%でC:0.01〜1.5%、Si:0.001〜3.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.05%、Al:0.001〜2.0%で、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
  3. 前記溶鋼は、さらに質量%で、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.2%、B:0.0005〜0.005%の一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の溶鋼の精錬方法。
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