JP5056826B2 - 連続鋳造用鋼およびその製造方法 - Google Patents
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S:0.005%以下
硫黄(以下、単に「S」とも記す)は、鋼中においてその濃度が0.005%を超えると、LN濃度によらず硫化物の生成量が多くなる。また、Sは、LNと同様に、Caとも強い親和力を有するため、CaSの生成量が増加し、後述するCa濃度の増加を妨げる。そこで、S濃度の適正範囲を0.005%以下とした。
酸素(以下、単に「O」とも記す)も、鋼中においてその濃度が0.005%を超えると、LN濃度によらず酸化物の生成量が多くなる。Oは、LNと同様に、Caとも強い親和力を有するため、CaOの生成量が増加し、後述するCa濃度の増加を妨げる。そこで、O濃度の適正範囲を0.005%以下とした。
LN濃度が0.01%未満ではLNによる鋼材性能改善効果が十分得られない。0.3%を超えて高くなるとLN添加効果が飽和に近づくのみならず、LN介在物が粗大化するため、却って性能を低下させる場合がある。よって、本発明では0.01%以上0.3%以下を対象とする。
従来技術ではLN濃度の上限は0.02%〜0.1%としているのに対し、本発明の様にさらに高いLN濃度を対象とし、かつ、Caによって介在物制御を行うという特徴がある。このため、本発明ではCaは重要な役割を果たす。Ca濃度が0.0012%未満の場合、Ca添加による介在物改質効果が得られない。また、Ca濃度が0.0055%を超えて高くなると本来目的であるLN介在物の改質効果を超えて、Ca系介在物が新たに生成し、介在物個数が増加する。よって、Ca濃度は0.0012%以上0.0055%以下とする。
LN添加鋼でノズル閉塞が発生しやすいのは、上述のように、(1)介在物の生成個数が多いこと、(2)生成した介在物の比重により溶鋼からの浮上分離が遅いこと、(3)介在物が耐火物に接触した際に低融点相を形成しないため耐火物に付着すること、の3つの要因によるとされている。
そこで、本発明者らは、介在物の組成と耐火物への付着状況との関係を調査するため、以下の実験を行った。
鋼350kgを、高周波誘導溶解炉を用いて1873Kに加熱し、S濃度を0.005%以下、O濃度を0.005%以下、その他の成分をAl:0.005〜0.18%、Si:0〜0.2%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.012%、C:0.0015〜0.3%、Ti:0〜0.03%、Nb:0〜0.02%、Cr:0〜15%、Ni:0〜30%、に調整した後、LNの合計濃度を0.01%以上0.3%以下、Ca濃度を0.012%以上0.055%以下とした。この溶鋼からサンプルを採取した後、内径15mm、長さ200mmのアルミナ系耐火物製ノズルを介して溶解炉から鋳型内に出鋼した。出鋼後、ノズル内面を観察し、耐火物への介在物の付着状況を確認した。さらに鋳型内鋼塊からサンプルを切り出し、鋼成分と介在物組成を調査した。このような出鋼試験を24種類の溶鋼について行った。
介在物組成の評価の結果、酸硫化物系介在物はいずれもLN、Ca、SおよびOを含有し、介在物中のLN、Ca、SおよびOの合計濃度は30mol%以上であった。溶鋼中のAl濃度等の条件によっては、P、Al、Mg、SiおよびTiのうち1種類以上を含有した。
以上の結果から、鋼中の酸硫化物系非金属介在物がLN、Ca、SおよびOを含有し、同時にP、Al、Mg、SiおよびTiのうち1種類以上を含有し、かつ、この非金属介在物が、三元換算した組成においてCa濃度が30mol%以上かつS濃度が30mol%以下であれば、耐火物への介在物の付着が発生しないことを知見した。すなわち、鋼中の非金属介在物の組成を上記範囲とすることにより、ノズル閉塞を生じることなく連続鋳造が可能であり、高LN添加鋼の生産性を飛躍的に向上させることができる。
本発明者らは、鋼中の酸硫化物系介在物の組成を上記範囲に効率よく制御する方法について検討した。
(a)−1.S濃度およびO濃度の好適範囲
本発明の方法は、上述の通り、S濃度が0.005%以下、およびO濃度が0.005%以下の鋼を対象とする。ただし、S濃度は0.0015%以下、O濃度は0.0025%以下とすることが好ましい。これにより、発生する介在物の総量を低減することができ、連続鋳造の安定性をさらに向上させることができる。S濃度については0.0001%以上0.001%以下、O濃度については0.0005%以上0.0010%以下が、さらに好ましい。上記濃度は鋼製品で満足していることが必須であるが、LN添加前の溶鋼段階で満足しておくことが望ましい。LN添加前で上記濃度範囲を満足させることで、溶鋼処理中の変動に起因する性能分布範囲(いわゆるバラツキ)を狭くできる。
次に、C、Si、Mn、Alその他の成分組成の好ましい範囲について述べる。
CおよびSiは、鋼中におけるPの活量を上昇させる作用を有する元素である。C濃度が3.5%を超えると、Pの活量に与える影響が顕著となり、P化合物の生成条件が変化するおそれがあることから、C濃度は3.5%以下であることが好ましい。同様の理由により、Si濃度は2.5%以下であることが好ましい。
Mnは、鋼中におけるPの活量を低下させる作用を有する元素である。Mnは、濃度が3%を超えると粒界に偏析して靭性の低下を招く恐れがある。したがって、Mn濃度は3%以下であることが好ましい。Mn濃度は、鋼材強度を確保する観点から、0.2%以上であることがさらに好ましい。
Alは、LN、Caに次いてOとの親和力が強い元素である。このため、Al濃度が過度に低いと本発明の前提となる製品鋼中O濃度0.005%以下を安定して得ることが困難になり、過度に高いとアルミナ介在物が増加して靭性の低下を招く。このため、Al濃度は0.0035%以上3%以下であることが望ましい。本明細書において、「Al濃度」とは、「酸可溶Al(sol.Al)の濃度」を意味する。
上記の鋼において、S,O,LN,Caを必須の調整元素とするほか、C、Si、Mn、Alについて上記の範囲とし、残部を鉄(Fe)および不純物とすることが好ましいことを説明した。
ただし、その鉄(Fe)の一部に替えて、Ni、Mo、V、Ti、CrおよびBなどの元素が下記の濃度範囲で含有されていてもよい。これらの元素は、溶鋼中におけるLNとOまたはSとの反応、およびCaとOまたはSとの反応にほとんど影響を及ぼさないからである。すなわち、0.01%〜30%の濃度範囲のNi、0.01%〜1%の濃度範囲のMo、0.001%〜0.1%の濃度範囲のV、0.005%〜0.3%の濃度範囲のTi、0.001%〜35%の濃度範囲のCr、0.0001%〜0.003%の濃度範囲のB、0.001〜0.007%の濃度範囲のN、0.0001〜0.03%の濃度範囲のZr、0.0001%〜0.3%の濃度範囲のW、0.0001〜0.1%の濃度範囲のNbなどである。なお、Pは0.05%以下であることが望ましい。P濃度が0.05%を超えて高くなると粒界偏析による機会特性の低下に加え、リン化物介在物によって溶接性が低下する場合がある。
本発明における鋼中の介在物の組成、およびその形態について説明する。
溶鋼の処理方法として、鋼中の介在物を上記(1)に規定する組成に制御するための、溶鋼の精錬方法について説明する。
(c)−1.二次精錬について
転炉から溶鋼を取鍋に出鋼した後、または出鋼中にCaOなどのフラックス、Si、Mn、Alといった合金元素を添加し、取鍋をガス吹き込み攪拌処理装置や真空脱ガス処理装置(RHなど)などの二次精錬装置に移送する。
取鍋内の溶鋼表面のスラグ組成の好適範囲は以下の通りである。スラグ中のFeO、MnOおよびFe2O3の濃度は合計で5%以下が好ましく、1.5%以下がさらに好ましい。これらの酸化物は、濃度が高いと、LNおよびCaと反応してしまい、介在物の組成の制御の精度が低下するのに加え、二次精錬処理後もスラグから溶鋼へ酸素が供給され続けるため、溶鋼の清浄性が悪化する。これらの現象を「スラグによる再酸化」と称する。この再酸化を抑制するには、スラグ中のこれらの酸化物の合計濃度は合計で5%以下が好ましい。これらの酸化物の合計濃度を1.5%以下まで低減すると再酸化はほぼ完全に抑制される。
上記の精錬処理を施した溶鋼における介在物組成の制御方法について説明する。
(d)−1.LNとCaの添加について
ガス吹き込み攪拌処理装置やRHなど真空脱ガス処理装置などを用いて、鋼からの不純物除去、溶鋼組成調整、溶鋼温度調整、スラグ温度調整などの二次精錬を行った後、取鍋内溶鋼にLNとCaを添加する溶鋼処理を行う。
溶鋼2500kgを1873Kに加熱し、安定させ、そのC、Mn、Si、P、SおよびAlの濃度を表1に示す濃度に調整した。また、溶鋼中のO濃度は、0.005%以下であった。
表2には、鋼中のLNおよびCaの濃度と併せて、介在物中のLN、CaおよびSの濃度、ΔCa、ならびに介在物の付着状況の評価結果を示す。
ΔCa=|P−Q|÷P×100 …(1)
Claims (2)
- S:0.005質量%以下、O(酸素):0.005質量%以下、ランタノイド:0.01質量%以上0.3質量%以下、およびCa:0.0012質量%以上0.0055質量%以下を含有する連続鋳造用鋼において、
鋼中の酸硫化物系非金属介在物が、ランタノイド、Ca、SおよびOを合計30mol%以上含有し、同時にP、Al、Mg、SiおよびTiのうち1種類以上を含有し、
かつ前記非金属介在物中のランタノイド、CaおよびSの合計モル数に対するCaのモル数の割合が30mol%以上、Sのモル数の割合が30mol%以下であることを特徴とする連続鋳造用鋼。 - 溶鋼にランタノイドとCaを添加する溶鋼処理工程を有する請求項1に記載の連続鋳造用鋼の製造方法であって、前記溶鋼処理工程において、Caとランタノイドを同時に溶鋼に添加することを特徴とする連続鋳造用鋼の製造方法。
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