JP3896650B2 - 含Ti極低炭素鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含Ti極低炭素鋼の製造方法に関し、とくにAl,Si,Mnの使用が制約されるような極低炭素Ti脱酸鋼を連続鋳造する際に、タンディッシュノズルにおいてノズル詰まりを起こすことがなく、また、製品中の非金属介在物性の欠陥が少なく、しかも、発錆の少ない含Ti極低炭素冷延鋼板を製造する方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】
冷延用極低炭素Ti脱酸鋼,とくに含Ti極低炭素冷延鋼板は、当初、特公昭44−18066号公報に開示されているように、脱ガス後にAlを用いずにFeTiで脱酸する方式のTi脱酸鋼を製造するものであった。しかし、近年では、含Ti極低炭素鋼を低コストで安定して製造するために、Alを0.005mass%以上添加するAl脱酸鋼が主流となっている。
【0003】
ところで、このAlによる脱酸では、ガス攪拌やRH脱ガス装置において生成する酸化物を凝集,合体させて分離浮上を図る方法が取られているが、鋳片には不可避的にAlの酸化物(Al2O3)が残留する。しかも、残留Al2O3は、クラスター状の形状になるため、溶鋼に対する見掛け比重が小さく分離浮上しにくいため、鋼中には数100μm以上のクラスター状介在物が残留しやすくなる。このようにして生成するクラスターがもし、連続鋳造時に鋳片表層部に捕捉された場合、ヘゲ,スリーバのような表面欠陥になり、冷延鋼板の表面性状を損なうことになる。また、Al脱酸で生成した固相のAl2O3は、連続鋳造において、タンディッシュからモールドへ注入するために使用するイマージョンノズルの内壁に付着堆積し、ノズルの閉塞を起こすという問題もあった。
【0004】
このように、Al脱酸鋼の場合、多くの課題があるため、最近では、Alを添加せずTiで脱酸するケースも多くなってきている。というのは、Ti脱酸の場合、Al脱酸に比べると到達酸素濃度が高く、介在物量は多いが、Al脱酸に比べるとクラスター状の酸化物は生成しにくく、5〜20μm程度の酸化物が鋼中に分散した状態で存在するようになるからである。従って、このTi脱酸では、クラスター状介在物による表面欠陥は減少する。しかしながら、Ti濃度が0.010mass%以上でTi/Al≧5の極低炭素鋼では、Ti酸化物は溶鋼中では固相状態になるから、連続鋳造時において地金を取り込んだ形でタンディッシュノズルの内面に付着成長する結果、ノズル閉塞の原因となる。
【0005】
例えば、特公昭56−29730号公報にも記載されているように、C≧0.50mass%の高炭素鋼の場合、Ti≦0.015mass%であってもノズル閉塞の発生は少ない。しかし、C<0.50mass%の極低炭素鋼では、Ti濃度が0.010mass%にしても脱酸前の初期酸素濃度が高いために生成酸化物量が多く、かつ凝固温度も高いため、ノズル閉塞が発生する。とくに、優れた深絞り性を確保のために、0.010mass%以上のTiを含有させるような場合、一般には、タンディッシュノズルの閉塞は避けられないのが実情である。
【0006】
このような問題点を解決する方法として、従来、特開平8−281391号公報では、AlレスTi脱酸鋼において、タンディッシュノズルの閉塞の防止策として、ノズルを通過する溶鋼の酸素量を制限することにより、ノズル内面に成長するTi2O3の成長を防止する方法を提案している。しかし、Ti脱酸鋼の場合、酸素濃度は30ppm程度であり、この場合、800トン程度までしか鋳造できず、また、閉塞の進行とともにモールド内の湯面のレベル制御が不安定になるため、根本的な解決にはなっていない。
【0007】
また、特開平8−281390号公報では、AlレスTi脱酸鋼においてタンディッシュノズルの閉塞の防止策として、溶鋼Si濃度の適正化と、介在物組成をTi3O5−SiO2形にすることにより、ノズル内面に成長するTi2O3の成長を防止する方法を提案している。しかし、Siの増加は材質の硬化を招き、また、めっき性が悪化するため、望ましい方法とは言えず、ノズル閉塞の防止に対する根本的な解決にはなっていない。
【0008】
また、特公平7−47764号公報では、Mn:0.03〜1.5mass%、Ti:0.02〜1.5mass%となるように脱酸し、鋼中の介在物をMnO:17〜31mass%のMnO−Ti系酸化物からなる低融点組成の介在物とした非時効性冷延鋼板を提案している。たしかに、この技術については、溶鋼中において液相状態である低融点組成のMnO−Ti系酸化物を介在物として生成させるので、この介在物を含んだ溶鋼をタンディッシュノズルに通過させてもノズルに付着することなくモールドに注入でき、タンディッシュノズルの閉塞防止には有効であると言える。
【0009】
しかしながら、この技術の実施に当たって、MnOを17〜31mass%含有するMnO−Ti系酸化物を得るためには、溶鋼中のMn濃度とTi濃度の関係において、MnおよびTiと酸素との親和力の違いから、溶鋼中のMnとTiの濃度比を、mass%Mn/mass%Ti≧100とする必要がある(森岡泰行,森田一樹ら:鉄と鋼,81(1995),p40)。したがって、鋼中のTi濃度が0.010mass%の場合、MnOを17〜31mass%含有するMnO−Ti系酸化物を得るためには、Mn濃度は1.0mass%以上が必要となる。しかし、Mn含有量が1.0mass%を超えると材質が硬化し、また、Ti含有量が0.010mass%未満だと優れた深絞り性が得られないという問題がある。
したがって、介在物を、MnO:17〜31mass%含有するMnO−Ti系酸化物にすることは、実際には困難である。
【0010】
さらに、特開平8−28139号公報では、AlレスTi脱酸鋼において、タンディッシュノズル閉塞の防止策として、ノズル部材にCaO・ZrO2粒を含有する耐火物を用いることにより、溶鋼中のTi3O5がノズルに捕捉された場合、TiO2−SiO2−Al2O3−CaO−ZrO2系の低融点介在物となるようにしてその成長を防止する方法を提案している。しかしながら、この技術では、溶鋼中の酸素濃度のバラツキにより、酸素が高いと付着介在物中のTiO2濃度が高くなり、十分に低融点化されないため、ノズル閉塞の改善にはつながらず、一方で酸素濃度が低いとノズルが溶損する問題があり、十分な対策にはなっていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、連続鋳造時にノズル閉塞を招くことなく含Ti極低炭素鋼の円滑な鋳造を行う方法を提案する。
本発明の他の目的は、表面性状に優れた含Ti極低炭素冷延鋼板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、発錆が少なく表面欠陥の少ない自動車用薄鋼板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、従来技術が抱えている上述した問題点を解決するために実験,研究を重ねた結果、以下に述べるような要旨構成で示すことができる含Ti極低炭素鋼の製造方法を開発するに至った。
即ち、本発明は、C≦0.020mass%,Si≦0.2mass%,Mn≦1.0mass%,S≦0.050mass%,Ti≧0.010mass%を含み、Al≦(mass%Ti)/5の条件を満足する組成からなる極低炭素Ti脱酸鋼を製造するに当たり、溶鋼をまず真空脱ガス装置による脱炭処理したのち、Ti含有合金によって脱酸し、その後、脱酸溶鋼中にCa≧10mass%およびREM≧5mass%の1種または2種とFe,Al,SiおよびTiのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する介在物組成調整用合金を添加することにより、該溶鋼中の酸化物組成をTi酸化物が90mass%以下、CaO,REM酸化物のいずれか少なくとも1種の含有量が10mass%以上50mass%以下で、Al2O3が70mass%以下にすることを特徴とする含Ti極低炭素鋼の製造方法である。
【0013】
本発明においては、脱炭処理後の溶鋼を、Ti含有合金による脱酸処理に先立って、Al,Si,Mnのいずれかにて予備脱酸することにより、溶鋼中の溶存酸素濃度を予め200ppm以下にすることがより好ましい実施態様となる。
なお、本発明は、不可避に混入するSiO2,MgOを5mass%以下の範囲内で含有するものであってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、Ti≧0.010mass%を含有するTi脱酸極低炭素鋼を対象とし、とりわけそのTiの含有量に応じてAlの添加量を調整することにより、介在物の組成ならびに形態を制御するようにした点に特徴がある。
【0015】
即ち、本発明は、Al≦(mass%Ti)/5であるTi脱酸極低炭素鋼である。この点、上記の範囲を外れると、Ti脱酸ではなくAl脱酸となり、Al2O3クラスターが大量に生成する。
本発明では、介在物をTi酸化物を主体とした酸化物にて構成し、鋼中に5〜20μm程度の大きさのTi酸化物が分散した状態で存在させることにより、冷延用鋼板の介在物性表面欠陥を防止する。
【0016】
ただし、このTiの含有量がTi<0.010mass%では、C≦0.020mass%の極低炭素鋼の場合、深絞り性の確保が難しくなり、また、脱酸素能力が弱く、全酸素濃度が高くなる。一方、このTi濃度は、TiNの大量の生成によるイマージョンノズルの防止を図るには、0.15mass%以下が望ましい。従って、好ましいTi含有量は、Ti=0.010〜0.15mass%となる。
【0017】
本発明において、脱炭処理後に脱酸を行うが、その脱酸の方法は、まず、Fe−Ti等のTi含有合金により溶鋼を脱酸し、主としてTi酸化物からなる介在物を生成させる。その結果、介在物はAlで脱酸した時のようなクラスター状にならず、5〜20μm程度の大きさとなって鋼中に分散した状態で存在する。これに対してもし、Al濃度が0.005mass%を超えるまでAlで脱酸すると、巨大なAl2O3クラスターが生成するので、たとえその後に上記Ti含有合金を添加してTi濃度を増加させても十分な還元ができず、鋼中にクラスター状介在物として残存する。
このような理由で本発明では、溶鋼をまずTiで脱酸し、Ti2O3≧80mass%のTi酸化物を生成させる必要がある。
【0018】
このTi脱酸により生成したTi2O3≧80mass%のTi酸化物は、5〜20μm程度の大きさで鋼中に分散していて、クラスター状に巨大化しない。そのため、本発明法に従って得られる冷延用鋼板においては、クラスター状介在物による表面欠陥がほとんど見当たらない。しかしながら、Ti酸化物は溶鋼中では固相状態であり、また、極低炭素鋼は鋼の凝固温度が高いために、連続鋳造時、このTi酸化物はタンディッシュのノズル内面に地金を取り込んだ形で成長し、ノズルの閉塞を招く。
【0019】
そこで、本発明においては、Ti合金により脱酸した後に、10mass%以上のCa、5mass%以上のREM(希土類元素)のいずれか少なくとも1種を含有するFe,Al,SiおよびTiのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する介在物組成調整用合金を添加し、溶鋼中の酸化物組成を、Ti酸化物が90mass%以下でCaO,REM酸化物の1種以上が10mass%以上50mass%以下、Al2O3が70mass%以下のTi酸化物を含有する低融点の介在物組成とする。その結果、タンディッシュノズルへのTi酸化物の付着を効果的に防止することができるようになる。
【0020】
以下、本発明において添加する介在物組成調整用合金の組成限定の理由を説明する。
まず、図1は、本発明法の下で溶鋼中に生成させる酸化物の好ましい組成の範囲を示すものである。
この図からわかるように、本発明において、脱酸処理後の溶鋼中に上記介在物組成調整用合金を添加して介在物制御を行うことにより、溶鋼中の介在物(酸化物)の組成を、Ti酸化物≦90mass%、CaO,REM酸化物:10〜50mass%、Al2O3≦70mass%にすることが良いことがわかる。以下にこの点についてさらに詳しく説明する。
【0021】
Ti合金を用いて脱酸した後に添加するFe,Al,Si,Tiのうちの少なくともいずれか一種を含有する介在物組成調整用合金中のCa濃度が10mass%未満、Ce,La等のREMが5mass%未満で、酸化物中のTi2O3濃度が90mass%以上、CaO,REM酸化物(La2O3,Ce2O3等)の濃度が10mass%未満となり、介在物の融点は充分に低下しない。その結果、介在物は鋼中においてクラスター状にはならないが、ノズル内面に付着し閉塞の原因となる。
【0022】
上記介在物組成調整用合金の添加による、溶鋼中酸化物の組成は、Ti2O3が80mass%以下、CaO,REM酸化物(La2O3,Ce2O3等)は10mass%以上にすることが望ましい。しかし、溶鋼中の介在物中のCaO,REM酸化物(La2O3,Ce2O3等)の濃度が50mass%を超えると、介在物が液相状態で硫黄を含有しやすくなる。その結果、液相介在物が固まる際に介在物の周囲にCaS,REM硫化物(LaS,CeS)を生成し、鋼板での発錆の起点となり、鋼板の発錆量が著しく増加する知見が得られている。したがって、介在物中のCaO,REM酸化物(La2O3,Ce2O3等)の濃度は50mass%以下にする必要がある。なお、REM酸化物(La2O3,Ce2O3)の比重は他の酸化物に比べ大きいために、このREM酸化物が50mass%を超えると介在物の溶鋼中での浮上性が悪くなり、鋼中の全酸素濃度が高く、冷延鋼板での清浄性を悪化する。
【0023】
次に、介在物中のAl2O3濃度は70mass%を超えると、高融点組成となり、ノズル閉塞が起きるだけでなく、介在物はクラスター状になり、製品板での非金属介在物性の欠陥が増加する。
【0024】
なお、本発明法の下では、Alで脱酸する従来方法に比べると、Ti合金の歩留りが悪く、しかも、Ca,REMを含有するため介在物組成調整用合金は高価である。このことから、かかる合金の溶鋼中への添加は、介在物の組成制御が可能な範囲でできるだけ少量で済むように行うのが経済的で好ましい。
【0025】
次に、脱酸材の添加については、それの添加前の溶鋼中の溶存酸素濃度を200ppm以下になるようにして予備脱酸する。この予備脱酸は、真空中での溶鋼攪拌や、脱酸後のAl≦0.005mass%となるような少量のAlによる脱酸,SiやFeSi,MnやFeMnの添加によって行われる。
【0026】
次に、添加合金以外の成分の限定理由を以下に説明する。
C:0.020mass%を超えると、製品での深絞り性が確保できなくなるため、0.020mass%以下にする必要がある。
Si:0.20mass%を超えると、めっき性が劣化し表面性状が悪化するので、0.20mass%以下にする必要がある。
Mn:1.0mass%を超えると材質が硬化するので1.0mass%以下にした。また、1.0mass%を超えると介在物はTi酸化物−MnOの低融点組成の介在物となり、本発明のような合金を添加する必要はなくなる。
S:0.050mass%を超えると、溶鋼中でCaSやREM硫化物が多くなり、深絞り性が確保できないだけでなく、製品である冷延鋼板において非常に錆が発生しやすくなる。
また、本発明においては、冷延板の材質の必要に応じてB,Nbの1種または2種をさらに含有することはなんら問題ない。
【0027】
【実施例】
実施例1
転炉出鋼後、300トンの溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱炭処理し、溶鋼の成分組成を、C=0.0035mass%,Si=0.02mass%,Mn=0.20mass%,P=0.015mass%,S=0.010mass%、温度を1600℃に調整した。この溶鋼中に、Alを0.5kg/トン添加し、溶鋼中の溶存酸素濃度を150ppmまで低下させた。この時の溶鋼中のAl濃度は0.003mass%であった。そしてこの溶鋼に、70mass%Ti−Fe合金を1.2kg/トン添加し脱酸した。その後、溶鋼中に20mass%Ca−10mass%REM−50mass%Ti−Fe合金を0.5kg/ton添加し、成分調整を行った。この処理後のTi濃度は、0.050mass%、Al濃度は0.003mass%であった。
次に、2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造実験を行った。このときの、タンディッシュ内の介在物を調査した結果、65mass%Ti2O3−15mass%CaO−10mass%Ce2O3−10mass%Al2O3の球状介在物であった。鋳造後、イマージョンノズル内には付着物はほとんどなかった。このスラブを3.5mmまで熱間圧延し、0.8mmまで冷間圧延し、さらに、780℃で45sec間焼鈍を行った。この焼鈍板には非金属介在物性の欠陥は0.1個/1000m以下のコイルしか認められなかった。また、発錆は、従来のAl脱酸と同じく問題はなかった。
【0028】
実施例2
転炉出鋼後、300トンの溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱炭処理し、C=0.0030mass%,Si=0.02mass%,Mn=0.25mass%,P=0.020mass%,S=0.012mass%に、温度を1600℃に調整した。この溶鋼中に、Alを0.5kg/ton添加し、溶鋼中の溶存酸素濃度を170ppmまで低下させた。この時の溶鋼中のAl濃度は0.002mass%であった。そしてこの溶鋼に、70mass%Ti−Fe合金を1.4kg/ton添加し脱酸した。その後、溶鋼中に20mass%Ca−15mass%REM−40mass%Al−Fe合金を0.3kg/ton添加し、成分調整を行った。この処理後のTi濃度は、0.030mass%、Al濃度は0.004mass%であった。
次に、2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造を行った。このときの、タンディッシュ内の介在物を調査した結果、50mass%Ti2O3−15mass%CaO−10mass%Ce2O3−25mass%Al2O3の球状介在物であった。鋳造後、イマージョンノズル内には付着物はほとんどなかった。このスラブを3.5mmまで熱間圧延し、0.8mmまで冷間圧延し、さらに、780℃で45sec間焼鈍を行った。この焼鈍板には表面欠陥非金属介在物性の欠陥は0.02個/1000m以下のコイルしか認められなかった。また、発錆は、従来のAl脱酸と同じく問題はなかった。
【0029】
比較例1
転炉出鋼後、300トンの溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱炭処理し、C=0.0030mass%,Si=0.02mass%,Mn=0.20mass%,P=0.015mass%,S=0.010mass%に、温度を1600℃に調整した。この溶鋼中に、Alを0.7kg/ton添加し、溶鋼中の溶存酸素濃度を170ppmまで低下させた。この時の溶鋼中のAl濃度は0.003mass%であった。そしてこの溶鋼に、75mass%Ti−25mass%Fe合金を1.2kg/ton添加し脱酸および成分調整を行った。処理後のTi濃度は0.040mass%、Al濃度は0.002mass%であった。
次に、この溶鋼を2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造を行った。このときの、タンディッシュ内の介在物を調査した結果、組成が90mass%Ti2O3−10mass%Al2O3の微小介在物が分散していた。鋳造後、イマージョンノズル内にはTi2O3−Al2O3の付着物が認められた。このスラブを3.5mmまで熱間圧延し、0.8mmまで冷間圧延し、さらに、780℃で45sec間焼鈍を行った。この焼鈍板には表面欠陥非金属介在物性の欠陥が0.05個/1000mのコイルに認められた。また、発錆は、従来のAl脱酸と同じく問題はなかった。
【0030】
比較例2
転炉出鋼後、300トンの溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱炭処理し、C=0.0030mass%,Mn=0.20mass%,P=0.015mass%,S=0.010mass%に、温度を1600℃に調整した。この溶鋼中に、Alを1.5kg/ton添加後75mass%Ti−25mass%Fe合金を0.5kg/ton添加し脱酸および成分調整を行った。処理後のTi濃度は0.040mass%、Al濃度は0.035mass%であった。
次に、この溶鋼を2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造を行った。このときの、タンディッシュ内の介在物を調査した結果、5mass%Ti2O3−95mass%Al2O3のクラスター状の介在物であった。鋳造後、イマージョンノズル内にはAl2O3の付着物が認められた。このスラブを3.5mmまで熱間圧延し、0.8mmまで冷間圧延し、さらに、780℃で45sec間焼鈍を行った。この焼鈍板には表面欠陥非金属介在物性の欠陥が0.4個/1000mのコイルに認められた。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明にかかる含Ti極低炭素鋼の製造方法によれば、連続鋳造時におけるイマージョンノズルの閉塞は起こらず、また、その後の圧延,焼鈍,めっき処理を施した冷延自動車用薄鋼板は、極めて表面性状が優れており、発錆も少なく、非金属介在物に起因する表面欠陥はほとんど皆無であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における介在物組成を示したものである。
Claims (2)
- C≦0.020mass%,Si≦0.2mass%,Mn≦1.0mass%,S≦0.050mass%,Ti≧0.010mass%を含み、Al≦(mass%Ti)/5の条件を満足する組成からなる極低炭素Ti脱酸鋼を製造するに当たり、溶鋼をまず真空脱ガス装置による脱炭処理したのち、Ti含有合金によって脱酸し、その後、脱酸溶鋼中にCa≧10mass%およびREM≧5mass%の1種または2種とFe,Al,SiおよびTiのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する介在物組成調整用合金を添加することにより、該溶鋼中の酸化物組成をTi酸化物が90mass%以下、CaO,REM酸化物のいずれか少なくとも1種の含有量が10mass%以上50mass%以下で、Al2O3が70mass%以下にすることを特徴とする含Ti極低炭素鋼の製造方法。
- 脱炭処理後の溶鋼を、Ti含有合金による脱酸処理に先立って、Al,Si,Mnのいずれかにて予備脱酸することにより、溶鋼中の溶存酸素濃度を予め200ppm以下にすることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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