JP5600639B2 - Rem添加用ワイヤー - Google Patents
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Description
特許文献1では、質量%で、S:0.005%以下、およびO(酸素):0.005%以下を含有する溶鋼に0.1kg/ton以上1.5kg/ton以下のランタノイドと0.1kg/ton以上1.0kg/ton以下のCaとを同時に添加する溶鋼の処理方法において、ランタノイドとCaの混合比を質量比で0.16以上1.0以下としている。
そこで、本発明は、REMの歩留を確保しつつ安定的に溶鋼の精錬(操業)を行うことができるREM添加用ワイヤーを提供することを目的とする。
即ち、本発明のREM添加用ワイヤーは、粒体とされたREMを内含するREM添加用ワイヤーであって、REM=20〜40質量%、Ca=1〜5質量%、残部にSiを含み、且つ、式(1)を満たす組成を有し、前記粒体は、1mm以下の粒度のものが25%未満、100μm以下の粒度のものが15%未満、さらに、平均粒度が500μm〜700μm、最大粒度が5mmであることを特徴とする。
製鋼工場では、転炉等にて一次精錬を行った後、取鍋精錬装置にて二次精錬を行うことが一般的である。この二次精錬では、La、Ce、Pr、Ndなどのランタノイド系の希土類元素(REM)を添加して溶鋼の精錬をすることがあり、REMを溶鋼に添加するためにワイヤー(REM添加用ワイヤー)が用いられることがある。
まず、取鍋精錬装置を説明する。
REM添加用ワイヤーを用いて二次精錬を行う取鍋精錬装置として、図1(a)に示す取鍋ガス攪拌精錬装置1Aや図1(b)に示す還流式脱ガス精錬装置1Bなどがある。
図1(a)に示すように、取鍋ガス攪拌精錬装置1Aは、不活性ガスを溶鋼2に吹き込むことにより溶鋼2を攪拌可能な装置である。この取鍋ガス攪拌精錬装置1Aは、溶鋼2が装入された取鍋3と、取鍋3の溶鋼2内にガスを吹き込むことで溶鋼2を攪拌する溶鋼攪拌装置4とを有したものである。取鍋ガス攪拌精錬装置1Aの周辺には、REM添加用ワイヤー5を溶鋼2に供給する供給装置(図示省略)が設けられている。
取鍋ガス攪拌精錬装置1Aにおいては、ポーラス6で溶鋼2内に不活性ガスを吹き込み溶鋼2を攪拌しながら、供給装置を駆動させて所定の速度でREM添加用ワイヤー5を取鍋3の縁部側から溶鋼2内へ供給することによって二次精錬を行うことができる。なお、二次精錬では、溶鋼の成分調整等を行うため、REM添加用ワイヤー5だけでなく、当業者常法通り合金等などを溶鋼2へ供給する。
還流式脱ガス精錬装置1Bは、溶鋼2が装入された取鍋3と、真空状態となって溶鋼2内の脱ガスを行う脱ガス槽11とを有している。還流式脱ガス精錬装置1Bの周辺には、上記と同様に、ワイヤー5を取鍋3内の溶鋼2に投入する供給装置(図示省略)が設けられている。
還流式脱ガス精錬装置1Bにおいては、浸漬管を取鍋3内の溶鋼2に浸漬した状態で、上昇管12の吹き込み口からAr等の不活性ガスを吹き込むと共に、排気口14から脱ガス槽11のガスを排気して脱ガス槽11内を略真空状態して溶鋼2を脱ガス槽11と取鍋3との間で循環させることで溶鋼2を攪拌し、さらに、供給装置を駆動させてREM添加用ワイヤー5を取鍋3の縁部側から溶鋼2内へ供給することによって二次精錬を行うことができる。
さて、二次精錬後に行われる連続鋳造において、取鍋に設けた浸漬ノズルの閉塞(以降、ノズル閉塞という)が発生することがあるため、二次精錬では次工程にてノズル閉塞が発生しないように様々な対策がなされている。例えば、Alにて溶鋼を脱酸する二次精錬(Alキルド鋼を製造)を行った場合には、CaO−Al2O3系介在物を制御することによって、ノズル閉塞を抑制することができる(S.R. Story et al.: Iron&Steel Technology, 2004, 163, F.R. Meyer: La Revue de Met.-CIT, (2007),585などを参照)。
詳しくは、発明者らは、REMを添加した場合であってもAlキルド鋼と同様に、ノズル閉塞の要因は、溶鋼中に生成される介在物の特性の変化にあると考え、REMを添加した場合での希土類元素酸化物(REM酸化物)と各種成分との検証を行った。
具体的には、鋼中(溶鋼中)に含まれるREM系介在物(REM−CaO系酸化物)の組成と、ノズル閉塞性及び溶損性を実機により調査した。その結果、REM系介在物中に含まれるCaO濃度が10〜20質量%である場合、ノズルの閉塞は無く、ノズル溶損も抑制されていて、閉塞性及び溶損性は良好であった。一方で、REM系酸化物中のCaO濃度が10%未満の場合はノズル閉塞が発生し、REM系介在物中のCaO濃度が20%を超えるとノズル溶損が発生した。
図2に示すように、各直線で囲まれる範囲A内であれば、ノズル閉塞、ノズル溶損も発生せず、しかも、REM添加用ワイヤー5を添加したときの歩留(REM歩留)も良好であった。
図2の直線L3に示すように、REM添加用ワイヤー5のCa濃度が1〜5質量%であっても、REM添加用ワイヤー5中のREM濃度が20質量%未満であるとき、REM系介在物中のCaO濃度を10〜20質量%の範囲内にできない場合があり、ノズル閉塞やノズル溶損が発生することがあった。また、図2の直線L4に示すように、REM添加用ワイヤー5のCa濃度が1〜5質量%であっても、REM添加用ワイヤー5中のREM濃度が40質量%を超えてしまうと、REM歩留が悪化する場合があった。
このように、REM添加用ワイヤー5において、REM=20〜40質量%、Ca=1〜5質量%であるときは、ノズル閉塞、ノズル溶損を防止することができるが、このような条件を満たしても、REM濃度とCa濃度との関係が、式(1)を満たさなければ、ノズル閉塞やノズル溶損を発生する場合があった。
以上をまとめると、REM添加用ワイヤー5においては、REM=20〜40質量%、Ca=1〜5質量%、且つ、式(1)を満たす組成を有することが必要である。本発明において、REM濃度とCa濃度との関係は、図3に示す範囲内となり、従来技術(特開2011−26659に示された実施例及び比較例)とは、その範囲は大きく異なる。
充填された粒体において、1mm以下の粒度は25%未満であり、100μm以下の粒度は15%となっている。加えて、合金の全体の平均粒度が500μm〜700μmであり、最大粒度が5mmである。
表4に示すように、二次精錬で処理した溶鋼重量は230〜250tonである。二次精錬装置は、取鍋ガス攪拌精錬装置(CAS装置)1Aや還流式脱ガス精錬装置(真空脱ガス装置)1Bを用いた。REM添加時の攪拌は、当業者常法通りに行った。
浸漬ノズルのノズル閉塞性や溶損性の判定は、吐出口内面の上端から上部側へ進んで10mmの位置における付着物の厚み(付着厚み)と、ノズルの内管の厚みの減少量(溶損速度)に基づいて判断した。詳しくは、ノズル閉塞性については、付着厚みが30mmを超えてしまうと次の工程の連続鋳造において一定の速度で鋳造できなくなるため、付着厚みが30mm以下であるとノズル閉塞性は良好「○」とし、付着厚みが30mmを超えるとノズル閉塞性は不良「×」とした。
また、REMの歩留は、特開2008−261014号公報に示されているように、高REM歩留の目安として40%であることが開示されている。このように、REMの歩留は、40%以上であることがよいことから、歩留が40%以上であるときを良好「○」とし、40%未満であるときを不良「×」とした。
この攪拌動力密度εは、取鍋ガス攪拌精錬装置1A(取鍋ガス攪拌)を用いる場合は、式(2)を用いた。取鍋ガス攪拌では、大気圧下にて攪拌を行うため、式(2)において、槽内圧力は大気圧の圧力を示すPV=101300とした。式(2)における攪拌動力密度εの算出方法は、「森、佐野:鉄と鋼,第67巻,1981年,672頁」に開示されていて一般的なものである。
式(4)における循環量Q(ton/min)は、「桑原ら:鉄と鋼,第73巻,1987年,S176頁」に開示されているように、式(5)で求められる。この式におけるDは下降管13の内径(m)である。
表5及び6は、上述した実施条件を基に、本発明のREM添加用ワイヤー5を用いた実施例と、本発明とは異なるREM添加用ワイヤー5を用いた比較例とをまとめたものである。
そのため、付着厚みを30mm以下にすることができ、溶損速度も0.08mm/ton未満にすることができてノズル閉塞性や溶損性を良好にする(向上させる)ことができた。加えて、REM歩留も40%以上にすることができた。
1B 還流式脱ガス精錬装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 溶鋼攪拌装置
5 REM添加用ワイヤー
6 ポーラス
7 上吹きランス
11 脱ガス槽
12 上昇管
13 下降管
14 排気口
Claims (1)
- 粒体とされたREMを内含するREM添加用ワイヤーであって、
REM=20〜40質量%、Ca=1〜5質量%、残部にSiを含み、且つ、式(1)を満たす組成を有し、前記粒体は、1mm以下の粒度のものが25%未満、100μm以下の粒度のものが15%未満、さらに、平均粒度が500μm〜700μm、最大粒度が5mmであることを特徴とするREM添加用ワイヤー。
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