JP5332568B2 - 溶鋼の脱窒素方法 - Google Patents

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Description

本発明はラインパイプ、ガスタンク、鋼構造体等に用いられる極低硫極低酸素極低窒素厚板鋼の溶製方法に関し、詳しくは、減圧処理において短時間で鋼中酸素濃度、窒素濃度、硫黄濃度を極低濃度域まで低減する鋼の溶製方法に関する。
鋼中の硫黄(以下、「S」と記す。)、酸素(以下、「O」と記す。)、および窒素(以下、「N」と記す。)は、各種欠陥や溶接性の低下を招くため、従来からこれらの低減技術が多数開発されてきた。
しかし、近年では、要求性能が更に高まり、単なるS低減、O低減またはN低減のみでは不十分となり、S,O,Nを同時に低減することが求められるようになった。これに対応するには、従来のS,O,Nの各不純物を低減する技術の向上が必要となり、そのための技術がこれまでも提案されてきている(例えば特許文献1〜3)。
加えて、従来開発されたS,O,Nそれぞれの低減技術を用いることで、S,O,Nを同時に低減できると考えられてきたが、これが困難であることが解ってきた。
第一の理由は生産性の問題である。S,O,Nそれぞれを低減する処理を単純に組み合わせれば、処理時間が単に長くなるだけではなく、溶鋼温度降下の観点からそういった長時間処理は実質的に不可能である。
第二の理由は各元素の低減処理の化学反応が互いに干渉することである。例えばS、Oを低減すると溶鋼は吸窒しやすくなるためN低減が困難になる。また、介在物巻き込み抑制によるO低減のために溶鋼撹拌を弱めると、脱硫が滞りS低減が困難になる。
以上の理由から、工業的にはS,O,Nを同時に低減し、かつその低減量を従来よりも増加させることには課題が多かった。
特開平5−171253号公報 特開2000−297318号公報 特開2001−181730号公報
この問題に対して、本発明者らは、先に特願2007−324915にて、CaOを主体としたフラックスの脱硫能力とREMの能力を適正に組み合わせることで、低O低S低N化を同時に図る技術を提示した。この特願2007−324915では簡便に低O低S低N化を図ることで高機能高性能製品の製造を可能とするが、他方で一般的な鋼で単に低N化が必要な場合または一般的なN規格成分を満足させるためにN濃度を若干低減する必要がある場合も存在する。これらの場合には、特願2007−324915では過剰性能となるため、より安価に目的を達成する方法もまた必要である。
そこで、本発明ではより簡便かつ安価に溶鋼の脱窒を図り、低窒素鋼の量産を可能とする技術を提案することとした。すなわち、本発明の課題は、真空脱ガス処理装置を用いた脱ガス処理において、窒素濃度を25ppm以下に簡便に低減する鋼の溶製方法を提供することにある。
1.RHによる脱窒促進技術
特願2007−324915により開示された技術では、RHにおいて、近年要求される、高効率脱硫に加えて、低Oと低Nとを同時に図るものである。この方法はS濃度とO濃度を低減することで、N濃度を低減するという技術思想に基づいている。一方、前述したように、本発明は簡便に窒素のみを低減することを主目的としているため、高効率の脱硫によるS濃度の低減やO濃度の低減にはあまり拘らず、N濃度をむしろ選択的に低減する方法である。そこで、本発明者らは従来のRHで低N化を図る脱窒促進技術を検討した。
2.溶鋼成分
上記の方針に基づき検討を行うにあたって、まず、本発明の処理対象となる鉄以外の溶鋼成分を以下の理由により特定した。なお、本明細書において、鋼組成およびREM濃度(詳細は後述。)における「%」は特にことわりがない場合は「質量%」を意味する。
C:Cは減圧下で脱酸元素として作用する他に、S,Nの活量に影響する。このため、Cが0.002%未満では低酸素化効果が不安定となり、0.4%を超えて高くなるとS,Nの活量が大きく変化し、反応機構が変化してしまう。そこで、Cは0.002%以上0.4%以下とした。
Mn:Mnも脱酸元素であり、各種鋼材特性を改善することから、必須元素である。従って、0.1%未満では脱酸が不安定になり、2%を超えて高くなるとSの活量を低下させ、脱硫を困難とする。従って、Mn濃度は0.1%以上2%以下とした。
Si:SiもMn同様脱酸安定に欠くことのできない元素であるが、0.001%未満では脱酸が不安定となり、1%を超えて高くなるとN活量を増加させ脱窒を促進する。本発明では、そのような低N化が容易な成分系でない成分系において窒素を含む不純物を効率的に低減することを目的としているので、Siは1%以下とする。
Al:Alは最も強い脱酸力を有する元素であるため、低O、低Sかつ低Nを実現するためには必須である。この脱酸効果を得るには0.005%以上が必要である。一方、1%を超えて高くなると再び溶解酸素濃度が高くなって低Oを実現することが困難となるため、1%以下が必要である。
S:Sは除去対象元素であるが、0.0025%を超えて高くなると、物質収支的に脱硫剤使用量が大幅に増加するため、コストが増加する。この傾向は、0.005%を超えると一層顕著になる。そこで、本発明では0.0025%以下の溶鋼を処理対象とした。
N:NもS同様除去対象元素であるが、0.007%を超えて高くなると処理時間を短縮することが困難となるため、0.007%以下の溶鋼を処理対象とした。
O:Oも除去対象元素であるが、Si,AlおよびMnが上記の濃度範囲にあると、O濃度が0.005%を超えて高い場合には、大量に非金属介在物(以下、「介在物」という。)が溶鋼中に存在することとなる。この状態で後述するCaO系フラックスを用いると、CaOフラックスが介在物と衝突することによって脱硫能が低下するため、O濃度は0.005%以下とする必要がある。この脱硫能低下抑制は、O濃度を0.003%以下とすることで一層効果的になる。
なお、上記の必須の成分のほか、その他製品特性確保を目的に必要に応じてCr,Ni,Cu,Mo,V,BおよびNb、Wなどから選ばれる一種または二種以上を任意に添加しても良い。好ましくは、Cr:20%以下、Ni:10%以下、Cu:0.1%以下、Mo:2%以下、V:2%以下、B:0.003%以下、Nb:0.1%以下である。これらの元素は本発明が意図する精錬反応に影響しない。よって、強度、耐食性、溶接性等の製品特性を向上させることを目的にこれらの元素を任意に添加し、製品中濃度を調整しても良い。
3.課題解決の基本方針
次に、上記の鋼組成を前提として、従来のRH脱硫技術に低O化、低N化を付与可能な技術を具体的に検討した。
低N化を図るにはS,Oが低いことが有利であり、低Sを図るには低Oであることが有利である。すると、低O化を図ることが最も優先されることであり、さらにSと親和力の強い元素を併用すれば効果が向上する可能性がある。すなわち、脱酸力を有し低O化を実現することができ、同時にSと親和力のある元素を用いることが望ましい。また、本発明は真空処理を前提にしていることから、蒸気圧の低い元素であることが望ましい。
以上のように考えると、この様な条件を満足する元素として、La、Ce、Nd、Y等の希土類元素(以下、「REM」と記す。)が知られている。つまり、これらREMを用いれば簡便な方法で低S低O低N鋼が得られると期待される。
しかし、REMを用いる場合には、以下の問題があり、現実には容易に使用できない。
第一にREMとOおよびSが反応した結果生じる介在物の比重が溶鋼比重に近いため、これらが浮上しない。従って、REMを単純に添加すると溶解S濃度およびO濃度は低下するが、鋼中S濃度およびO濃度はあまり変化せず、むしろ清浄性が悪化する。
第二に、これらの介在物が存在すると鋳造時のノズル閉塞などの問題を誘発し、生産性を著しく低下させる。
第三にREM自体が鋼材特性に影響する場合があり、これらが鋼中に含まれることが不適当である場合がある。
すなわち、REMを用いることで低N等の精錬効果が見込めるが、REMのみで低O低S化を図ることで低N化を促進しようとしても、上記のような問題が発生し、現実には達成できないのである。この問題に対して、本発明者らは、先に特願2007−324915にて、CaOを主体としたフラックスの脱硫能力とREMの能力を適正に組み合わせることで、低O低S低N化を同時に図る技術を提示した。この方法は、REMとCaO上吹きを併用することで清浄性、鋳造性、REMによる鋼材性質変化を回避すると同時に、極低硫極低窒素高清浄を製造できるという多くの利点がある。
次に、本発明の目的であるより簡便に窒素濃度のみを低減する方法について説明する。
はじめに、脱窒速度と脱硫、脱酸速度を検討する。脱硫は主にCaOフラックスとの反応により、脱酸はフラックスと介在物との反応または介在物の溶鋼からの浮上によるものであるのに対し、脱窒は溶鋼と気相との反応である。すると、フラックスとの反応や溶鋼からの浮上に対し、単純な脱ガス反応である脱窒の速度の方が早いと考えられる。次に、La,Ceなどのランタノイドは強脱酸元素であるため、処理中徐々にその濃度が低下する。この濃度低下に伴い、ランタノイドと平衡するO,S濃度は徐々に増加する。低N化と同時に低S化、低O化を図る場合は、当然のことながらこのO,S濃度増加を抑制するためにCaOフラックス等を併用する必要があるが、低N化のみを促進したい場合、脱窒反応時のみS,Oの低減が図れれば良く、脱窒後にS,O濃度が増加しても良い。
すると、低N化のみを促進したい場合は、CaOフラックス等が不要になり、単純にランタノイドのみを添加すればよい。つまり、脱窒時のみランタノイドを添加し、脱窒中のみS,Oを低減すればよい。
しかし、脱窒処理中のランタノイドには適正な濃度が存在すると考えられる。ランタノイド濃度が低すぎれば脱窒促進効果を得ることができず、過剰に高めれば効果が飽和するのみならず、介在物が完全にLaやLaSなどのランタノイド酸硫化物に変化してしまい、鋳造性低下や製品性能への影響が生じてしまう他、介在物個数が増加し、清浄性も悪化する。
よって、脱窒を十分促進し、同時に介在物を完全にランタノイド系に変化させない適正ランタノイドに制御する必要がある。
4.溶鋼を用いた調査
そこで、ランタノイドを用いた溶鋼実験を行い、ランタノイド濃度と脱窒反応の関係を調査した。
調査は以下の方法で行った。溶鋼1500kgを1873Kに加熱し、雰囲気をAr雰囲気として圧力を133〜1330Paとした。その後、上記の範囲に溶鋼成分を調整し、ランタノイドとしてLa,CeおよびNdからなる群から選ばれる一種または二種以上を混合し、所定の量を溶鋼に一括で添加した。なお、REMにはLa,Ce,Nd,Y等があり、これらの物性が近いことから同様の効果が期待されるが、本発明ではランタノイドであるLa、Ce、Ndを用いて調査を行った。
その後、溶鋼を所定時間保持し、溶鋼からの脱窒速度と溶鋼中介在物組成を測定した。ランタノイド添加直前のS濃度は30ppm、N濃度は30ppmである。
ランタノイド添加20分後の溶鋼N濃度と溶鋼中ランタノイド濃度(以下、「[LA]」と記す。)との関係を図1に示す。[LA]は、La,CeおよびNdの一種類を添加した場合にはその濃度を、これらの二種類以上を添加した場合はそれらの合計濃度を意味する。[LA]の増加に伴い窒素濃度は低下し、特に、[LA]≧0.0005%で効果が顕在化する。[LA]が0.0005%以上では窒素濃度は低下するが、大きな低下は認められず、[LA]濃度を増加させても効果があまり高くならないことが解る。よって、溶鋼中ランタノイド濃度は0.0005%以上が必要であることが解る。
次に、介在物の状態を計測した。サンプル中の介在物個数を光学顕微鏡(倍率1000倍)にて計測した。[LA]=1ppm(0.0001%)での介在物個数を1として他の濃度での個数を規格化することで、各[LA]濃度での個数を指数化した結果を図2に示す。[LA]≦0.05%では介在物個数はほとんど変化しないが、[LA]>0.05%では介在物個数が顕著に増加した。これは、ランタノイド脱酸、脱硫が支配的になり、ランタノイド系酸硫化物が生成したためと推定される。よって、脱窒促進に対するランタノイドの影響は大きく変化せず、介在物が増加するので有れば、ランタノイドは0.05%以下が適正と結論される。
以上から、脱窒促進には請求項1記載の通り、脱窒処理中のランタノイド濃度は0.0005%以上であり、清浄性を悪化させずに脱窒を促進する場合は請求項2記載の通り0.05%以下が適正である。
なお、脱窒処理中にランタノイド濃度を上記範囲とすればよいが、ランタノイドは強脱酸元素であるため、スラグや気相中の僅かな酸素源と反応し、その濃度が低下する場合がある。また、ランタノイド歩留まりのばらつきによって、ランタノイド濃度が上限値0.05%を超えてしまう場合が想定される。この様な状況を回避するには、脱窒処理中にランタノイドを分割して、または連続的に添加することで、脱窒処理中のランタノイド濃度を狭幅に制御することが可能となる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は下記のとおりである。
)真空脱ガス処理装置を用いて溶鋼にLa、CeおよびNdからなる群から選ばれる一種または二種以上のランタノイドを添加する溶鋼の脱窒素方法であって、該溶鋼の成分を、質量%で、C:0.002%以上0.4%以下、Mn:0.1%以上2%以下、Si:0.001%以上1%以下、S:0.0025%以下、Al:0.005%以上1%以下、N:0.007%以下、O:0.003%以下となるように調整した後、前記ランタノイドを該溶鋼に添加して、該溶鋼中の前記ランタノイド濃度を合計で0.0005質量%以上0.05質量%以下とすることを特徴とする溶鋼の脱窒素方法。
)前記ランタノイドの溶鋼への添加を、複数回に分割して、または連続的に行うことを特徴とする、上記(1)に記載の溶鋼の脱窒素方法。
本発明により、簡便かつ安価に溶鋼からの脱窒反応を促進し、極低窒素濃度の溶鋼を効率よく、しかも一工程で製造することができる。
本発明を転炉およびRHを用いて実施する場合を例に、最良の形態を説明する。
(1)転炉出鋼からRH処理前
転炉処理終了後に溶鋼を取鍋へ出鋼する。出鋼時にSi,Mn等の合金を加えても良いし、CaO等の造滓剤を添加しても良い。また、出鋼時にスラグ中低級酸化物を低減することを目的にスラグ改質剤やAlを用いても良い。このとき、スラグ量は10kg/ton以上となることが望ましい。これは、スラグ量が少ないと溶鋼表面の被覆効果が小さくなり、大気からの再酸化および吸窒を受けやすくなるためである。また、スラグ組成はスラグ中FeOとMnOの合計が3質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5質量%以下である。スラグ中FeO,MnO濃度が高いと精錬処理後から鋳込み終了にかけての再酸化による清浄性悪化が進行しやすくなるためである。
取鍋はRHへ移動するが、必要に応じて不活性ガス吹き込みなどの取鍋精錬装置を用いて予備処理を施しても良い。特に、出鋼時の吸窒を抑制する場合、出鋼時のAl,Siの添加量を抑制することが効果的である。この場合、上記スラグ組成への制御が困難になるため、スラグ制御を行うことを目的に、RH処理前に不活性ガス吹き込みなどの取鍋精錬装置を用いて予備処理を行うと良い。ただし、この取鍋精錬装置を用いた処理を長時間行うとスラグ制御が容易になる一方、徐々に溶鋼中N濃度が増加すると共に処理時間が長くなり生産性が低下する。従って、取鍋精錬装置を用いる場合でもその処理時間は10分以内が望ましい。
(2)RHでの処理
RHへ取鍋を移送後、直ちに処理を開始する。RHでの処理は、通常の脱水素等の真空脱ガス、溶鋼温度調整、成分調整等のほか、本発明に係るランタノイド添加による脱窒がある。これらの処理はどの順番で実施しても差し支えないが、好ましくは、温度調整、成分調整、本発明に係るランタノイド添加による脱窒の順である。これは、以下の理由による。脱窒速度は温度が高い方が速くなるため、温度調整にて溶鋼温度を高めた後に本発明を実施した方がより効果が高くなる。さらに、Alなどの脱酸力を有する元素はランタノイド添加前に添加した方が、脱窒効果がより安定する。また、ランタノイド添加による脱窒の後に成分調整するために大量の合金添加を行うと、窒素混入が発生する場合がある。
(3)ランタノイド添加方法と添加量
次に添加するランタノイドの種類について説明する。添加するランタノイドは、La,Ce,Ndなどの純金属の他、これらの混合物たとえばミッシュメタルなどを用いても良い。また、ランタノイド以外の金属、例えばAlやCaなどとの合金や混合物を用いても良い。
次にランタノイドの添加方法について説明する。ランタノイドの添加はRH真空槽内から一括で添加すればよい。また、上吹きランス等を介して、金属粒や金属粉を連続的に添加しても良い。また、取鍋内溶鋼にワイヤ等を用いて添加しても良い。連続的に添加する場合、30秒間以上途切れなく添加し続けることの他、その間で断続的に添加することを含む。ただし、脱窒処理中に上記のランタノイド濃度(0.0005%以上)を維持させる必要がある。なお、処理時間短縮には短時間で溶鋼中ランタノイド濃度を増加させる必要があるため、供給速度の遅いワイヤ添加法よりも、真空槽内添加の方が望ましい。
また、ランタノイド添加後の真空槽内の雰囲気圧力はより低い方が望ましく、好ましくは1.3kPa以下、さらに好ましくは0.66kPa以下である。さらに、環流ガス流量もより多いことが望ましく、環流ガス流量はArで4以上15Nl/(min・溶鋼ton)である。4未満では環流律速となってしまい、15を超えて高いと環流量が飽和する。
また、ランタノイド添加後の脱窒処理時間であるが、好ましくは10分間以上、さらに好ましくは15分間以上20分間以下である。10分間以下では溶鋼の均一混合時間を考慮すると実質的な混合時間が数分となり、十分な脱窒時間を確保できない。20分間を超えて長くすると、効果が飽和するに加えて、溶鋼温度の低下などの弊害が生じる。
次に、ランタノイドの添加量について説明する。上記のランタノイド濃度(0.0005%以上)を満足するように上記方法で添加すればよいが、ランタノイド歩留まりを考慮する必要がある。歩留まりは装置毎に経験的に決定すればよく、この歩留まりを考慮して添加量を決定すればよい。なお、本発明者らの実験ではランタノイド歩留まりは約70%である。ただし、脱窒処理後の[LA]は0.0005%以上であることが必要である。
なお、本技術に従えば、脱窒処理後に溶鋼中にランタノイドが残留するが、この残留ランタノイドについては以下の方法がある。第一は、ランタノイドを鋼成分として活用する場合で、その場合は、このまま処理を終了すればよい。第二は、ランタノイドが鋼成分として不要な場合であるが、この場合はランタノイドの除去が必要となる。ランタノイドの除去は溶鋼に酸素を供給することで容易に除去される。ランタノイドは酸素と強い親和力を示すため、溶鋼に酸素を供給するとランタノイドが選択的に除去される。酸素の供給方法としては、酸素ガスを溶鋼に吹き付けもしくは吹き込む方法、酸化鉄などの固体酸素源を添加する方法がある。供給する酸素量は、物質収支を満足する量で良い。なお、このランタノイド除去工程により、ランタノイド酸化物介在物が一時的に生成するが、溶鋼中ランタノイドが消失すれば、このランタノイド系介在物も熱力学脱酸平衡に従い消失する。
(4)その他の好適条件
なお、RH処理中のスラグ中CaOとAlの重量濃度比CaO/Alは1.0以上であることが望ましく、更に望ましくは1.3以上3.5以下である。CaO/Al比が1.0未満であると、平衡酸素が高くなりやすいため、ランタノイドの効果が不安定となる場合がある。3.5を超えて高いとスラグ量が増加するに加えて、スラグが固化するなど操業性が低下することが懸念される。
本発明により、溶鋼からの脱窒が促進されるが、本発明と同時にRH吸窒防止技術を併用するとさらに効果が高まる。吸窒防止法としては、浸漬管構造・耐火物材質の適正化の他、RH下部槽と取鍋間の空間を不活性ガス等でパージする方法が知られている。
また、本発明と不活性ガスの上吹きを組み合わせても良い。不活性ガスを真空槽内溶鋼表面に吹き付けることで、気相側物質移動抵抗を低減させるに加えて、真空槽内の窒素ガス分圧を低減することで、さらに効果を高めることができる。
なお、本発明をVODやタンク脱ガス装置で行う場合も、RHと同様の形態となるが、VODやタンク脱ガスでは環流は行わないため、溶鋼ガス撹拌が強いことが望ましい。さらに、VODやタンク脱ガスの場合、溶鋼表面にスラグが存在するが、この望ましいスラグ組成はRHと同様であるが、スラグ量は100kg/溶鋼ton以下が望ましく、さらには80kg/溶鋼ton以下がさらに望ましい。スラグ量が100kg/溶鋼tonを超えて高くなると、スラグ重量による溶鋼表面圧力が低下し、脱窒反応が阻害される場合があり、80kg/溶鋼ton以下であれば、スラグの影響が小さくなる。
予め、必要に応じて溶銑脱硫および溶銑脱燐処理を行った溶銑を、250トン(ton)規模の上底吹き転炉に装入し、溶鉄中C含有率が0.03〜0.06%になるまで粗脱炭吹錬を行い、終点温度を1630〜1690℃として粗脱炭溶鋼を取鍋に出鋼し、出鋼時に各種脱酸剤および合金を添加して取鍋内溶鋼成分を、C:0.03〜0.2%、Si:0.01〜0.3%、Mn:0.2〜1.3%、P:0.005〜0.013%、S:20〜24ppm、sol.Al:0.007〜0.05%とした。さらに、出鋼時にCaOを添加し、スラグ中CaO/Al重量比を2〜2.5、スラグ中FeOとMnOとの合計濃度を5質量%以下に調整した。
その後、取鍋をRHへ移送し、成分調整、温度調整を行った後、溶鋼にランタノイド(組成:金属Nd、金属La、金属CeまたはNd,La,Ceを重量比で1:1:1とした混合物)を溶鋼に対して目標質量%濃度に対して1.35倍の質量%分を添加し、添加2分後に真空槽内圧力133Paとし、15分間環流することで脱窒を行った。
ランタノイド添加前の溶鋼成分と、ランタノイド添加による脱窒処理後の溶鋼中N濃度およびランタノイドの合計濃度[LA]並びに介在物個数指数とを表1に示す。なお、表中の溶鋼成分の単位は質量%であり、[LA]における”0”は分析下限濃度以下であったことを示す。また、介在物個数指数は、図2と同様の方法(倍率1000倍、視野10cm×10cm)で介在物個数を計測し、試験番号1の個数を用いて規格化した値である。
試験番号1〜15は本発明を満足するもので、溶鋼中N濃度は0.0025%以下まで低減されており、特に前記[LA]を0.05%質量%以下とした試験番号1〜10では、介在物個数の増加も認められない。そのうち、試験番号9,10は所定ランタノイドを二分割し、脱窒処理開始直前とその最初の添加から6分後の二回に分けて添加した結果であるが、試験番号1〜8よりもさらに脱窒が促進されていることが解る。
また、試験番号11〜15は、前記[LA]が脱窒処理中に0.05質量%を超え0.10質量%以下となるような高濃度に維持されるようランタノイドを添加した結果である。試験番号11〜15では、本発明請求項1を満足するため脱窒は進行している。しかし、それらは請求項2を満足しないため、介在物が増加している。
比較例である試験番号16〜20は前記[LA]が本発明の範囲より低い結果で、介在物個数の増加は認められないが、脱窒があまり進行していない。
以上の結果から、脱窒処理中のランタノイド濃度を合計で0.0005質量%以上とすることで、溶鋼中N濃度0.0025%以下まで脱窒が促進されること、および脱窒処理中のランタノイド濃度を合計で0.0005質量%以上かつ0.05質量%以下とすることで、溶鋼の清浄性悪化を抑制できること、およびランタノイドの添加を複数回に分割して行うことで、脱窒促進効果を一層高められることを確認することができた。
Figure 0005332568
ランタノイド添加20分後の溶鋼N濃度と溶鋼中ランタノイド濃度[LA]との関係を示すグラフである。 ランタノイド添加20分後の溶鋼中ランタノイド濃度と介在物個数指数の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 真空脱ガス処理装置を用いて溶鋼にLa、CeおよびNdからなる群から選ばれる一種または二種以上のランタノイドを添加する溶鋼の脱窒素方法であって、該溶鋼の成分を、質量%で、C:0.002%以上0.4%以下、Mn:0.1%以上2%以下、Si:0.001%以上1%以下、S:0.0025%以下、Al:0.005%以上1%以下、N:0.007%以下、O:0.003%以下となるように調整した後、前記ランタノイドを該溶鋼に添加して、該溶鋼中の前記ランタノイド濃度を合計で0.0005質量%以上0.05質量%以下とすることを特徴とする溶鋼の脱窒素方法。
  2. 前記ランタノイドの溶鋼への添加を、複数回に分割して、または連続的に行うことを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の脱窒素方法。
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