JP4609325B2 - 溶鉄のNd添加による処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼中に溶解するP濃度または鋼中に固溶するP濃度を低減する溶鉄の精錬方法に関し、さらに詳しくは、溶鉄中にNdを添加してPをNdP介在物とすることにより、溶解または固溶するP濃度を低減する精錬方法に関する。
鋼中に固溶した燐(P)(以下、「固溶P」とも記す)は、結晶粒界あるいは鋳片中心部などにおいて濃化し、鋼材の高温延性、耐食性、溶接性などの特性を著しく悪化させるため、鋼中の固溶P濃度を低減することが重要とされている。固溶Pは、鋼中において単体の元素として存在するが、この固溶Pは、溶鉄中では溶解したP(以下、「溶解P」とも記す)として存在している。
一般に、鋼中の固溶P濃度を低減する方法として、製鋼段階において溶鉄から溶解Pを除去する脱燐処理が用いられている。脱燐処理は、脱燐に適したスラグあるいはフラックスを溶鉄に添加し、酸化雰囲気下で溶鉄中のPを酸化物としてスラグまたはフラックスに移行吸収させる方法である。
従来、脱燐効率をより高めるとともに、より低い溶解P濃度まで脱燐することを目的として、多数の溶銑脱燐技術、溶鋼脱燐技術が開発されてきた。一方、近年、鋼材に対する要求性能が高まると同時に、高級鋼の需要が増加している。この要求性能と需要に対応するためには、より簡便な方法により鋼中の固溶P濃度を従来以上に低減する必要が生じてきた。
しかしながら、従来の脱燐処理には、(a)低減可能なP濃度の下限に経済的および熱力学的限界がある、(b)徹底した脱燐処理を行うと排出スラグ量が増加する、(c)還元精錬条件下では脱燐ができないなどの課題があり、上記要求に応えることが困難であった。
上述したとおり、従来の考え方に基づくフラックスあるいはスラグを用いて溶解P濃度を低減する脱燐処理によって近年の低燐化に対応するには、1)脱燐能力の限界からくる生産性の低下および精錬コストの上昇、2)精錬末期において脱燐処置ができないことに起因する過剰脱燐処理、3)排出スラグ量の増加による廃棄物量の増加など、が課題となっていた。
一方、脱燐に対する新しい考え方として、溶鉄中においてPとREMとからなる化合物(介在物)を生成さて、溶解Pの一部を化合物として固定することにより、溶解P濃度を低減させるという技術も開発された。例えば、特許文献1には、非酸化性雰囲気下に保持された溶融金属に、レアアースメタル(以下「REM」とも記す)を0.1質量%以上添加するとともに溶融金属を攪拌し、生成したスラグを除去した後に酸化精錬する脱燐方法が開示されている。この方法は、REMとPとの化合物を溶融金属中で生成させ、攪拌してこれを浮上させた後、P化合物を含むスラグを除去し、さらにその後、溶融金属中のREMを酸化精錬により除去する方法である。
しかしながら、REMを用いて溶解PをREMとの化合物とすることにより、溶解P濃度を低減させる従来の方法では、P化合物の生成および浮上処理やスラグの除去、ならびにその後の酸化精錬など複数の処理が必要であることから、処理コストの面で改善の余地があった。
上記の課題を解決すべく、本発明者らは、溶鉄にNdを添加した場合の溶鉄中におけるNdP介在物の生成反応について詳細に調査し、P濃度とNd濃度とを適正に制御することにより、介在物の浮上処理、スラグ除去および酸化精錬を行う必要のない新しい溶解P濃度の低減方法を、先に特許文献2として提案した。この方法は、生産性が高く、また処理コストを低減できる点で優れた処理方法であるが、さらに、効率の高い溶解P濃度の低減方法が望まれる。
特公平6−21288号公報(特許請求の範囲および3頁左欄8〜13行) 特願2006−003257号公報(特許請求の範囲など)
本発明者らが前記の特許文献1に提案した溶鉄へのNd添加による処理方法によれば、溶鉄の清浄度を悪化させることなくNdP介在物を効率よく生成させ、溶解P濃度を低減させることが可能である。また、溶鉄中のNd濃度が過度に高くなることを回避するとともに、介在物やスラグの除去処理を不要としたため、生産性が高く、また処理コストを低減できる点で優れている。
一方、Ndは、Pのほか、酸素や硫黄とも反応するため、特許文献2で提案した処理方法においては、Ndの一部が酸素や硫黄との反応によって消費されてしまう。このため、NdPの生成による溶解P濃度の低減効果が、酸素や硫黄の存在によって影響を受ける場合があった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、NdPの生成による溶解P濃度の低減に及ぼす溶鉄中酸素および硫黄の阻害作用を排除し、さらに優れた溶解P濃度の低減効果を確保できる溶鉄の処理方法を提供することにある。
本発明は、溶解Pをスラグ中などへ移行させて溶解P濃度を低減する一般的な脱燐処理方法には属さず、溶鉄中においてPとNdとを反応させてNdP化合物を生成させることにより、溶解P濃度を低減し、その結果として固溶P濃度を低減させる精錬方法である。すなわち、本発明の要旨は、下記に示される溶鉄の処理方法にある。
「質量%で、P:0.001%以上0.%以下、O(酸素):0.005%以下、S:0.005%以下を含有する溶鉄にNdを添加して、溶鉄中のNd濃度を0.001%以上1%以下とするに際し、スラグ中のCaOとAl23の質量濃度比である(CaO/Al23)の値を0.7以上9以下、およびスラグ中のCaOとSiO2の質量濃度比である(CaO/SiO2)の値を0.65以上とすることによって酸素活量を制御し、かつ、溶鉄中のNd濃度である[Nd](質量%)を、溶鉄中のP濃度である[P](質量%)、溶鉄中のO濃度である[O](質量%)および溶鉄中のS濃度である[S](質量%)に応じて、下記(1)式により表される関係を満足するように制御することを特徴とする溶鉄の処理方法。
0.2<{[Nd]−0.8([S]+[O])}/(0.8[P])<20・・・(1)」
なお、以下の説明において、鋼の成分組成表示における「%」の記載は、「質量%」を意味する。
本発明者らは、前述の課題を解決するために、NdP化合物の効率的生成条件および介在物制御効果の調査および解析を行い、下記の(a)および(b)の知見を得て、上記の本発明を完成させた。
(a)燐化合物の効率的生成条件
1)溶鉄およびスラグ成分組成の適正範囲
1)−1 溶鉄の成分組成の適正範囲
P:0.0001%以上0.5%以下
Pは、鋼材の高温延性、耐食性、溶接性などの特性を悪化させる不純物元素であり、その濃度は低いほど好ましい。しかし、現実には、材料特性などの面から固溶P濃度が0.0001%未満においてさらに溶解P濃度の低減を必要とすることは殆どないことから、対象とするP濃度を0.0001%以上とした。一方、P濃度が0.5%を超えて高い場合には、本発明の方法を用いなくても、通常の脱燐処理により0.5%まで容易に低下させることができる。そこで、P濃度の適正範囲を0.0001%以上0.5%以下とした。
O(酸素):0.005%以下
酸素(以下、単に「O」とも記す)は、溶鉄中において、PとNdとの親和力よりもNdとの強い親和力を有すると考えられる元素である。O濃度が0.005%を超えて高くなると、NdPの生成に優先して生成されるNd酸化物の生成量が多くなり、NdPの生成が抑制される。そこで、O濃度の適正範囲を0.005%以下とした。
S:0.005%以下
硫黄(以下、単に「S」とも記す)は、溶鉄中において、PとNdとの親和力よりもNdとの強い親和力を有すると考えられる元素である。S濃度が0.005%を超えて高くなると、NdPの生成に優先して生成されるNd硫化物の生成量が多くなり、NdPの生成が抑制される。そこで、S濃度の適正範囲を0.005%以下とした。
1)−2 スラグ中(CaO/Al23)および(CaO/SiO2)の適正範囲
スラグ中のCaOとAl23の質量濃度比である(CaO/Al23)の値を0.7以上9以下とし、CaOとSiO2の質量濃度比である(CaO/SiO2)の値を0.65以上とすることにより、再現性良くNdP化合物(介在物)が生成することが判明したので、スラグ成分組成の適正範囲を上記のとおり規定した。下記にその理由の詳細を説明する。
前述したとおり、Ndは反応性が高いために、Oなど様々な元素と反応する。PとNdとを反応させるには、Ndが他の元素との反応により過剰に消費されないようにすることが重要である。このNdと他の元素との反応を抑制し制御する方法として、OやSを大幅に低減する方法が考えられるが、精錬コストの上昇や生産性の低下の観点から適切ではない。
そこで、他元素との反応を制御する方法として、スラグを用いて酸素活量や硫黄活量を間接的に制御する方法を検討した。溶鉄にNd添加量を変化させて添加し、NdP介在物の生成状況を観察した。その結果、Nd添加量が同一条件であっても、NdP介在物が生成する場合と生成しない場合とが存在した。さらに、Nd添加量が同一条件の場合について、NdP介在物の生成および非生成とスラグ成分組成との関係を調査した結果、スラグ中のCaOとAl23の質量濃度比である(CaO/Al23)の値が0.7以上9以下であり、かつCaOとSiO2の質量濃度比である(CaO/SiO2)の値が0.65以上の場合に、再現性良くNdP化合物(介在物)が形成されることが判明した。
これは、(CaO/Al23)の値あるいは(CaO/SiO2)の値が小さいと、平衡酸素活量が増加し、Ndの酸化ロス量が増加するとともに、酸化ロス量の変動が大きくなることによると考えられる。また、(CaO/Al23)の値が大きすぎると、スラグの固相率(全スラグに占める固相スラグの存在分率)が増加しすぎ、NdとPとの反応の安定性が低下するためと考えられる。Ndとスラグとの反応性については、従来、知見されておらず、上記スラグ条件を満足させることがNdとPとの反応を円滑に進行させるための重要な要件であることが見出された。すなわち、単純にNd添加を行って鋼中Nd濃度を増加させるのみでは、安定的にNdP介在物を生成させることは困難なのである。
2)NdP生成効率支配因子の導出
本発明者らは、先に特許文献2において、溶鉄中のPとNdとの反応によるNdP介在物の生成反応を起こさせるためには、溶鉄中のNd濃度:[Nd]と溶鉄中のP濃度:[P]との間に、下記(2)式により表される関係を満足させる必要があり、さらに、介在物の粗大化を抑止するためには、下記(3)式により表される関係を満足させる必要のあることを開示した。
4.8×10-5/[P]≦[Nd] ・・・(2)
4.8×10-5/[P]≦[Nd]≦9.6×10-3/[P] ・・・・(3)
一方、NdP介在物の生成反応に及ぼす酸素および硫黄の影響については全く知られていない。そこで、下記のとおりの推定を行い、その影響を評価することとした。
Ndとの親和力は、Oが最も強く、次いでSおよびPの順に弱くなると考えられるので、溶鉄中に添加されたNdは、優先的にOと反応し、次いでSと反応して、その後にPと反応すると推定される。この推定によれば、O濃度およびS濃度が低いほど、Ndは効率的にPと反応することが可能となり、したがって、効率的に溶解P濃度が低下することになる。しかし、溶鉄中のO濃度およびS濃度を常に低位に抑制維持することは、精錬コストの面で極めて不利であり、O濃度およびS濃度が高くても効率よくNdPを生成させることのできる条件を把握することが重要となる。
ここで、課題となるのは、上記の反応の優先性ならびにNdとPとの反応に及ぼすOおよびSの影響についての定量的把握である。
Ndの酸化物はNd23であって、その分子量は336であり、また、Ndの硫化物はNdSであって、その分子量は175であり、そして、Ndの燐化物はNdPであって、その分子量は176である。酸化物中においてNdの占める質量比率は(288/336)すなわち0.85であり、また、硫化物中においてNdの占める質量比率は0.82であり、そして、燐化物中においてNdの占める質量比率は0.82である。このことから、各Nd化合物中においてNdの占める質量比率は約0.8であることがわかる。
次に、NdがPと反応するよりも優先的にOおよびSと反応すると考えると、OおよびSと反応した後のNd濃度は、Nd濃度からOおよびSと反応したNd濃度を減じた値となる。換言すれば、NdPを生成させるのに必要なNd濃度は、Pと反応させるのに要するNd濃度にSおよびOと反応するNd濃度を加味しておく必要がある。上記のOおよびSと反応した後のNd濃度とNdの燐化物を生成するために必要なNd濃度との比によりNdPの生成効率が支配されると考えた。この比をAとすれば、Aは下記(4)式により表される。
A={[Nd]−0.8([S]+[O])}/(0.8[P]) ・・・(4)
この比、すなわちNdP生成効率支配因子Aの値(以下、「A値」とも記す)には最適値あるいは適正範囲が存在すると考えられる。A値を物質収支に基づいて算出することも考えられるが、現実には物質収支から最適範囲を推定するのは難しい。その理由は、生成する介在物はNd−P−O−S系の複合介在物であり、介在物内の酸化物、燐化物および硫化物の活量が1ではないことから、各成分の活量が既知であることを前提とする物質収支に基づく計算は困難だからである。そこで、後述するとおり、実験によりA値の適正範囲を求めることとした。
3)NdP生成効率支配因子の適正範囲
C:0.0015〜3.5%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.2〜3%を含み、前記1)にて述べたP、OおよびSの各成分組成の範囲内で成分濃度を変化させた溶鉄を用いて、NdP生成効率支配因子Aの適正範囲を調査した。なお、スラグについても、前記1)にて示した範囲内の成分組成のものを使用した。
溶鉄温度を1550〜1650℃とし、P、SおよびO濃度に所定濃度に調整した後に、目標量のNdを添加し、一定時間保持した後に溶鉄からサンプルを採取し、急冷凝固させた。その後、サンプル中の非金属介在物(以下、「介在物」とも記す)をSEMにより観察するとともに、EPMAにより介在物組成を定量した。
得られた調査結果は下記の方法により整理した。サンプル中に観察された全介在物個数に占めるNdP含有介在物の個数の比率を百分率により求め、NdP存在率とした。NdP存在率は、その値が0であれば、NdP含有介在物が全く存在しないことを、また、その値が100であれば、全ての介在物中にNdP介在物が含有されることを示す。さらに、NdP生成効率支配因子、すなわちA値が0.2の場合における全介在物個数を1とし、その他の条件における全介在物個数を、上記A値が0.2の場合における全介在物個数により除して、介在物個数指数として規格化し、整理した。なお、介在物個数指数は全介在物の個数を対象としたものであり、NdPを含有しない介在物も対象として含むものである。
図1は、上述のようにして得られたNdP存在率および介在物個数指数とA値との関係を示す図である。
同図の結果によれば、全ての介在物中にNdPが含有されており、NdP存在率は、18%以上の値となっている。また、NdP存在率には、その値が高い領域と低い領域とが存在する。A値が0.2以下では、NdP存在率は31.5〜55.5%であるが、A値が0.2を超えて高くなると、NdP存在率は上昇して68〜78.5%の範囲に達する。これは、溶鉄中のO濃度およびS濃度に比較してNd濃度が増加したため、Pと反応するNd量が増加し、NdP量が増加したことによると考えられる。またNdP存在率の高い状態は、A値が20程度まで維持され、同時に介在物個数指数も1前後であって、変化は認められない。このことは、生成した介在物がNd−O系からNd−P系に変化していることを示すとともに、A値が20程度までは、溶鉄の清浄度の悪化が生じないことを示している。
一方、A値が20以上になると、NdP存在率が低下し、同時に介在物個数指数も増加する。これは、P濃度に比較してNd濃度が高くなり、Nd量が過剰となったために、高濃度となったNdが既に低濃度となっているOおよびSと反応することにより、再びNd23介在物あるいはNdS介在物を生成し始め、溶鉄の清浄度が悪化したことによると考えられる。また、A値が20を超えた領域においてNdP存在率が低下するのは、NdP介在物の個数が減少するためではなく、酸化物系介在物が増加することにより、相対的にNdPの存在率が低下したことによる。
以上に述べた実験結果から、NdP生成効率支配因子Aの適正範囲は0.2を超え20未満の範囲であることが確認されたので、本発明では、溶鉄中のNd濃度を、溶鉄中のP濃度、O濃度およびS濃度に応じて、下記(1)式により表される関係を満足するように制御することとした。下記(1)式の関係を満足するように濃度を制御することにより、溶鉄中の清浄度を悪化させることなく、効率よくNdP介在物を生成させ、その結果、溶解P濃度を低減できる。
0.2<{[Nd]−0.8([S]+[O])}/(0.8[P])<20・・・(1)
なお、本発明ではNdP介在物と同時にNdS介在物およびNd23介在物も生成することから、脱硫および脱酸も同時に行うことができる。
(b)介在物制御効果の確認
熱間工具鋼SKD61相当鋼を対象として、下記の試験を行い、介在物の制御効果を調査した。表1に示す化学成分組成を有する5種類の鋼を真空高周波誘導溶解炉を用いて20kg溶製し、インゴットを作製した。
Figure 0004609325
同表において、試験番号A1に用いた供試鋼は、予めP濃度が低減されているが、前記(2)式および(3)式のいずれの関係をも満足せず、したがって、NdP介在物が生成していない供試鋼であって、かつ、本発明で規定する前記(1)式により表される関係をも満足しない供試鋼である。試験番号A3に用いた供試鋼は、通常の高P濃度鋼であり、(1)〜(3)式の関係のいずれをも満足しない供試鋼である。また、試験番号A4−1およびA4−2に用いた供試鋼は、(2)式および(3)式の関係を満足するので、NdP介在物が生成し、かつその粗粒化も抑止されているが、本発明で規定する(1)式の関係は満足しない供試鋼である。これに対して、試験番号A2に用いた供試鋼は、P濃度は高いが、(2)式および(3)式の関係なもちろんのこと、本発明で規定する(1)式の関係も満足するようにNd濃度を調整し、NdP生成効率支配因子Aの値を適正範囲に制御した供試鋼である。
得られたインゴットを1150℃にて2時間の均熱処理後、熱間プレスにより厚さ20mm、幅80mmの板材に鍛伸し、試験用素材とした。その素材を1050℃にて1時間保持後、油冷した後、600℃にて1時間保持し空冷する焼き戻し処理を行って、供試材とした。供試材から直径8mm、高さ12mmの円柱型ヒートチェック試験片を製作し、高周波加熱により100℃から650℃までを5秒で加熱後、Heガスにより冷却する急速加熱冷却を1000回繰り返し、円柱試験片の側面に形成されたクラック深さを縦切断面の光学顕微鏡観察により測定して、ヒートクラックの数およびその平均深さを比較した。なお、ヒートクラック数およびヒートクラック平均深さは、いずれもその値が小さいほど鋼品質が良好なことを意味する。
上記の試験により得られた結果を表2に示す。
Figure 0004609325
同表の結果から、ヒートクラックの数およびクラック深さともに、通常の高P濃度鋼を用いた試験番号A3の場合が最も高い値を示し、これに対して、予めP濃度を低減した供試鋼を使用した試験番号A1では、クラック深さがかなり低減されていることがわかる。さらに、P濃度が高いにもかかわらず、Nd濃度を本発明で規定する(1)式を満足するように制御した供試鋼を使用した試験番号A2においては、ヒートクラック数およびクラック深さの何れも大幅に改善されていることが明らかである。
また、Ndを添加したにもかかわらず(1)式の関係を満たさない供試鋼を用いた試験番号A4−1およびA4−2においても、NdPの生成により試験番号A1およびA3よりは改善されたことが認められる。しかし、試験番号A4−1においては、NdPの生成によりヒートクラック数は低減し、改善されたものの、A値が本発明で規定する適正範囲を超えて高いことから、溶鉄の清浄度が悪化し、クラック深さは試験番号A2の場合よりも大きくなっている。また、試験番号A4−2においては、A値が低いことから、NdPの存在率が低く、したがって、NdP介在物の生成による溶解P濃度の低減効果が小さく、クラック深さが試験番号A2に比較して大きくなっている。
上記の結果から、本発明の方法に基づいて(1)式の関係を満足するようにNd濃度を適正に制御することにより、Nd添加による溶解P濃度の低減効果を最大限に発揮できることが確認された。本発明は、上記の(a)および(b)に詳述した知見を裏付けとして完成されたものである。
本発明のNd添加による溶鉄の処理方法によれば、NdPの生成による溶解P濃度の低減に及ぼす溶鉄中OおよびSの阻害作用を排除し、少量のNdの添加により溶鉄中の溶解P濃度ひいては製品中の固溶P濃度を効率的に低減することができるので、鋼中のPによる有害作用を従来にない極めて低い水準にまで低減することができる。また、本発明の方法は、酸化物および硫化物による溶鉄の清浄度悪化を抑制するとともに、脱硫および脱酸効果をも発揮する。
本発明の方法は、前記のとおり、P:0.0001%以上0.5%以下、O:0.005%以下、S:0.005%以下を含有する溶鉄にNdを添加して、溶鉄中のNd濃度を0.001%以上1%以下とするに際し、スラグ中の(CaO/Al23)の値を0.7以上9以下、および(CaO/SiO2)の値を0.65以上として、溶鉄中のNd濃度を溶鉄中のP濃度、O濃度およびS濃度に応じて、前記(1)式により表される関係を満足するように制御する溶鉄の処理方法である。以下に本発明の方法についてさらに詳しく説明する。
1)Ndの添加方法
本発明において、溶鉄中のNd濃度を溶鉄中のP濃度、O(酸素)濃度およびS濃度に応じて、前記(1)式により表される関係を満足するように制御する具体的方法について下記に説明する。
一般に、溶鉄中のP濃度の制御には最も高いコストを要し、次いでS濃度の制御、すなわち脱硫処理に高いコストを要する。脱酸剤を添加する脱酸処理は比較的容易であり、Ndを添加するだけで処理が可能なNd添加処理が最も容易である。したがって、溶鉄へのNdの添加前もしくはP濃度が変化する溶銑予備処理、または転炉、AODもしくはVOD処理後に、溶鉄中のP濃度を発光分光分析法などにより迅速分析し、その値を把握する。同様にして、S濃度についても測定する。溶鉄中の酸素濃度に規制がない場合には、Al、Siなどの脱酸剤を投入して溶鉄中の酸素濃度を調整する。
このようにして、Ndの添加に先立って、溶鉄の処理中にP濃度およびS濃度を測定し、脱酸剤を添加することにより酸素濃度を調整した後に、前記(1)式により求められるNd濃度範囲となるように、溶鉄中にNdを添加すればよい。溶鉄中における脱酸元素濃度と酸素濃度、あるいは添加したNdの歩留まりは、処理装置毎に過去の操業実績などから求めることができる。上記の方法により、溶鉄中のS濃度およびP濃度については、Ndの添加前に把握できるが、溶鉄中の酸素濃度に規格がある鋼種の場合には、従来法により、その酸素濃度規格を満足するように酸素濃度の調整を行った後、調整後の酸素濃度を用いて、(1)式によりNdの添加量を求めればよい。
例えば、転炉を用いたプロセスでは、溶鉄は、溶銑予備処理、転炉吹錬、RHなどの真空脱ガス処理、および連続鋳造の順に処理されるので、RH処理中に溶鉄中P濃度およびS濃度を測定する。さらに、脱酸条件から酸素濃度を求め、これらの各濃度に基づいて(1)式からNdの添加量を求め、RH処理末期にNdを添加すればよい。また、RH処理後にP濃度およびS濃度はほとんど変化しないので、RH処理後に取鍋精錬装置を用いた処理中にNdを添加してもよいし、さらに、連続鋳造機のタンディッシュ内の溶鋼にNd添加を行ってもよい。
電気炉、AODまたはVODを用いる場合においても同様である。すなわち、鋳造前の処理工程の末期に溶鉄中P濃度を測定してNdの添加量を決定し、その後、上記処理の終了期あるいは鋳造直前にNdを添加すればよい。
添加するNdの形態としては、総添加量を削減する目的から、金属Ndを用いることが好ましいが、Al、Si、FeなどとNdとの合金や混合物を用いてもよい。また、Ndの添加方法は、ホッパーなどの装入装置を用いた一括添加、インジェクションによる添加、ワイヤ供給方式よる添加など、一般に用いられている方法を用いればよい。
なお、本発明の方法においては、Nd添加後のスラグ除去および酸化精錬は不要である。特に、本発明は、NdP介在物を生成させることにより、溶解P濃度を低減する方法であるため、Nd添加後の酸化精錬は行わない方が好ましい。Nd添加後に酸化精錬を行うと、溶鉄中のNd濃度が低下し、その結果、既に生成したNdP介在物が分解することになるからである。さらに、Ndの添加後に酸化精錬を行うと、溶鉄中の酸素濃度が変動し、前記(1)式の関係を満足することができなくなるおそれがある。ただし、Ndの添加時には、生成したNdP介在物を浮上させるほどの強い攪拌は必要ないが、添加したNdが溶鉄中に混合する程度に、溶鉄を攪拌することが好ましい。
本発明の方法を実施するに当たり、P濃度を大幅に低減するほどの脱燐処理を行う必要はないが、Nd添加量を削減するために、溶銑予備処理などにおいて脱燐処理を行ってもよい。また、Ndの歩留まりを向上させるために、Ndの添加前にスラグの改質を行っておくことが好ましい。
2)溶鉄およびスラグの好ましい成分組成範囲
2)−1 溶鉄の好ましい成分組成範囲
本発明の方法は、前記のとおり、S濃度が0.005%以下、およびO濃度が0.005%以下の溶鉄を対象としているが、好ましくは、Nd添加前におけるS濃度を0.0025%以下、およびO濃度を0.0030%以下とすることにより、Nd添加量をさらに低減することができる。
また、S濃度についてはNdP介在物のより一層の分散を図るために、0.0003%以上であることが、またO濃度についてはNdPのより一層の分散を図るために、0.0005%以上であることが、それぞれ好ましい。
Nd、P、SおよびO以外の溶鉄成分であってこれらの成分組成に影響を及ぼさない合金成分については、Nd添加後にそれらの成分調整を行ってもよい。
また、酸素濃度を効果的に低減することができるAl、Si、Mgなどは、Ndの添加前に添加することが好ましい。これらの元素をNdの添加前に添加することにより、溶鉄中の酸素濃度を低減できるため、酸素濃度の変動を小さくするとともに、Ndの添加量を削減することができる。さらに、前記(1)式の関係を満足させやすい酸素濃度の範囲内であれば、NdPの生成を促進させることができる。
次に、C、Si、Mn、Si、Alその他の成分組成の好ましい範囲について述べる。
C:3.5%以下およびSi:2.5%以下
CおよびSiは、その濃度が高いと、鋼中におけるPの活量を高める作用を有する元素である。C濃度が3.5%を超えて高いと、Pの活量に与える影響が顕著となり、P化合物の生成条件が変化するおそれがあることから、C濃度は3.5%以下であることが好ましい。同様の理由により、Si濃度は2.5%以下であることが好ましい。
なお、C濃度は、鋼材特性の確保および安定した脱酸作用の確保の観点から、0.0015%以上の範囲であることがさらに好ましく、また、Si濃度は、予備脱酸を行う観点から、0.01%以上の範囲であることがさらに好ましい。
Mn:3%以下
Mnは、その濃度が高いと鋼中におけるPの活量を低下させる作用を有する元素である。Mn濃度が3%を超えて高いと、Pの活量が著しく低下するため、P化合物の生成が困難となるおそれがある。したがって、Mn濃度は3%以下であることが好ましい。なお、Mn濃度は、鋼材強度を確保する観点から、0.2%以上の範囲であることがさらに好ましい。
Al:3%以下
Alは、鋼中の溶解酸素との平衡関係から、溶解酸素濃度に極めて大きな影響を及ぼす。Al濃度が3%を超えて高くなると、平衡溶解酸素濃度が急激に高くなり、アルミナ系酸化物介在物が増加して鋼の清浄性が悪化するおそれがあることから、Al濃度は3%以下であることが好ましい。また、Al濃度は、Ndの歩留まり向上およびその安定性確保の観点から、0.0035%以上の範囲であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、Al濃度とは、酸可溶Al(sol.Al)の濃度を意味する。
上記の溶鉄において、鉄の一部に替えて下記のNi、Mo、V、Ti、Crなどの元素が含有されていてもよい。これらの元素は、溶鉄中におけるNdとPとの反応にほとんど影響を及ぼさないからである。すなわち、0.01〜30%の濃度範囲のNi、0.01〜1%の濃度範囲のMo、0.001〜0.1%の濃度範囲のV、0.005〜0.3%の濃度範囲のTi、0.001〜35%の濃度範囲のCrなどである。
N:0.0075%以下
溶鉄中のN濃度は0.0075%以下とすることが好ましい。N濃度が上記の濃度を超えて高くなると、Nが、添加したNdと反応してNdが消費されることから、前記(1)式の関係が満足されるだけでは、溶解P濃度の十分な低減効果が得られなくなるおそれがある。なお、N濃度は、低ければ低いほど好ましいが、生産性の確保およびコスト低減の観点から、0.0015%以上の範囲であることが好ましい。
2)−2 スラグの好ましい成分組成範囲
スラグの成分組成は、本発明で規定する条件を満足する必要があるが、(CaO/Al23)の値は1以上2以下であることが好ましい。その理由は、スラグの液相率(全スラグに占める液相スラグの存在分率)が高くなることにより反応性がさらに安定化するとともに、介在物の吸収能が増加するからである。また、(CaO/SiO2)の値は、高くなりすぎるとスラグの液相率が低下しすぎるおそれがあるため、6以下とすることが好ましい。スラグ中のT.Fe濃度とMnO濃度との合計であるスラグ中の低級酸化物の濃度は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。スラグ中の低級酸化物の濃度が低いほど、Ndの酸化ロス量が低減し、Ndの歩留まりが向上するからである。
(試験方法)
C:0.07〜0.5%、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.1〜0.3%、Cr:0.05〜5%なる成分組成を有する鋼180kgを真空高周波誘導溶解炉により溶解し、鋼中のS、O、PおよびNd濃度を変化させたインゴットを作製した。溶解に際しては、CaO−Al23−SiO2系スラグを360g用い、スラグ中の(CaO/Al23)および(CaO/SiO2)の値は、本発明で規定する範囲内の値に制御した。溶解温度は1600℃とし、鋼中のO、SおよびPの順に濃度調整を行った後に、金属Ndを添加してNd濃度を調整した。酸素濃度の調整は、酸素ガスの上吹きにより酸素濃度を上昇させた後、Cによる脱酸またはAlによる脱酸により酸素濃度を低減させる方法により、実施した。
得られたインゴットを1150℃にて2時間の均熱処理後、熱間プレスにより厚さ20mm、幅80mmの板材に鍛伸し、試験用素材とした。その後、1050℃にて1時間保持した後、油冷および600℃にて1時間の保持を行い、空冷による焼き戻し処理を行って、供試材とした。供試材から直径8mm、高さ12mmの円柱型ヒートチェック試験片を製作し、高周波加熱により100℃から650℃までを5秒で加熱後、Heガスにより冷却する急速加熱冷却を1000回繰り返し、円柱試験片の側面に形成されたクラック深さを縦切断面の光学顕微鏡観察により測定して、ヒートクラックの数およびその平均深さを比較した。なお、参考例として、極低P濃度までP濃度を低下させた鋼についても、併せて同様の測定を行った。
(試験結果)
試験条件および試験結果を表3に示した。
Figure 0004609325
同表では、試験条件として、鋼中のP、S、OおよびNdの各濃度、本発明者らが特許文献2にて開示したNdP生成条件である(2)式または(3)式におけるNd濃度の下限値4.8×10-5/[P](同表中ではX1値と表示)、(4)式により算出されるA値および(1)式の満足性を記載し、また、試験結果として、鋼の清浄度、ヒートクラック数およびヒートクラック深さを記載した。
なお、鋼の清浄度とは、試料の研磨面7〜10cm2の範囲を光学顕微鏡により観察して、大きさが0.5μm以上のNdP介在物の個数を求め、参考例の試験番号26における介在物個数により除して指数化した値であって、数値が低いほど清浄度が高いことを意味する。
試験番号1〜14は、前記(1)式により表される関係を満たし本発明で規定する条件を満足する本発明例についての試験であり、特許文献2にて開示したNdP生成条件である前記(2)式の関係も満足している。
比較例1の試験番号15〜19は、NdP生成条件である前記(2)式の関係は満足するものの、本発明で規定する(1)式の関係を満足しない試験であり、また、比較例2の試験番号20〜25は、NdP生成条件である前記(2)式の関係も、本発明で規定する(1)式の関係をも満足しない試験である。そして、試験番号26は、前述した参考例についての試験である。
鋼中のNd濃度を本発明で規定する(1)式の関係を満足するように添加調整した本発明例である試験番号1〜14では、鋼の清浄度は良好であり、P濃度を極低濃度レベルまで低下させた参考例である試験番号26よりもヒートクラック数が少なく、またヒートクラック深さも小さい良質な鋼が得られている。これは、本発明例では、NdP介在物の生成に及ぼす鋼中のSおよびOの阻害作用が排除されていることから、NdPが効率よく生成し、かつ、鋼の清浄度も悪化することなく、溶解P濃度の優れた低減効果が発揮されたことによる。
これに対して、NdP生成条件である前記(2)式の関係も、本発明で規定する(1)式の関係も満足しない比較例2である試験番号20〜25では、参考例である試験番号26に比較して、ヒートクラック数が極めて多く、かつヒートクラック深さも非常に深く、品質の劣った鋼となっている。
また、NdP生成条件である前記(2)式の関係は満足するものの、本発明で規定する(1)式の関係を満足しない比較例1である試験番号15〜19では、ヒートクラック数およびヒートクラック深さともに、比較例2の場合に比較して改善はされているが、本発明例に比較すると、なおヒートクラック深さの低減効果は小さい。
以上の試験結果から、NdP介在物の生成に及ぼす鋼中のSおよびOの阻害作用を排除してNdP介在物を効率よく生成させるとともに、良好な鋼の清浄度をも確保するためには、本発明の処理方法を使用することが極めて効果的であることが確認された。
本発明のNd添加による溶鉄の処理方法によれば、NdPの生成による溶解P濃度の低減に及ぼす溶鉄中OおよびSの阻害作用を排除し、少量のNdの添加により溶鉄中の溶解P濃度ひいては製品中の固溶P濃度を効率的に低減することができるので、鋼中のPによる有害作用を従来にない極めて低い水準にまで低減することができる。また、本発明の方法は、酸化物および硫化物による溶鉄の清浄度悪化を抑制するとともに、脱硫および脱酸効果をも発揮する。したがって、本発明の方法は、高い生産性を確保しながら溶解P濃度を低減し、かつ脱硫および脱酸も実施できる溶鉄の精錬方法として製鋼技術分野において広範に適用できる。
NdP存在比率および介在物個数指数とA値との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 質量%で、P:0.0001%以上0.5%以下、O(酸素):0.005%以下、S:0.005%以下を含有する溶鉄にNdを添加して、溶鉄中のNd濃度を0.001%以上1%以下とするに際し、スラグ中のCaOとAl23の質量濃度比である(CaO/Al23)の値を0.7以上9以下、およびスラグ中のCaOとSiO2の質量濃度比である(CaO/SiO2)の値を0.65以上とすることによって酸素活量を制御し、かつ、溶鉄中のNd濃度である[Nd](質量%)を、溶鉄中のP濃度である[P](質量%)、溶鉄中のO濃度である[O](質量%)および溶鉄中のS濃度である[S](質量%)に応じて、下記(1)式により表される関係を満足するように制御することを特徴とする溶鉄の処理方法。
    0.2<{[Nd]−0.8([S]+[O])}/(0.8[P])<20・・・(1)
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