JP5387045B2 - 軸受鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、清浄性が高く、転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼の製造方法に関するものである。
ベアリング、ローラなどの用途で使用される軸受鋼は、非常に厳しい転動疲労寿命特性が要求されており、そのためには、鋼中の非金属介在物を微細且つ少量に制御する技術が必須となっている。尚、現在、軸受鋼の製造プロセスとしては、転炉或いは電気炉で溶製した溶鋼を出鋼時にAlで脱酸し、先ず、アーク加熱機能を有するLF炉(「取鍋精錬炉」ともいう)でフラックスと攪拌して非金属介在物の除去を図り、次いで、RH真空脱ガス炉でガス成分を除去するとともに更なる非金属介在物の除去を図り、その後、連続鋳造機で鋳造するという製造工程が一般的に行われている。
転動疲労寿命特性に影響する鋼中の非金属介在物としては、酸化物系非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)が大半を占めており、その起源は、脱酸剤として添加したAlと溶鋼中の溶存酸素とが反応して生成されるAl23介在物であることが知られている。そのために、軸受鋼の転動疲労寿命特性を改善するべく、鋼中のAl23介在物を低減する技術が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、Al、Al合金及び/またはSi合金を脱酸剤とする溶鋼の脱酸において、脱酸剤と同時にCaO−SiO2系フラックスを溶鋼に添加して脱酸する脱酸方法が提案されている。この技術は、脱酸剤と同時にCaO−SiO2系フラックスを溶鋼に添加すると、脱酸反応で生成するAl23が迅速にCaO−SiO2系フラックスに吸収され、介在物がCaO−SiO2−Al23系の介在物に形態制御され、浮上・分離が促進されるという技術である。
また、特許文献2には、転炉で溶製された溶鋼を取鍋に出鋼する際に、脱酸剤及び合金鉄、更に、質量比でSiO2:10%以下、MgO:6〜15%未満、Al23:25〜45%、CaO:35〜60%を含有するスラグが取鍋内溶鋼上に形成されるようにフラックスを添加し、次いで、前記フラックスと溶鋼とを混合・撹拌し、しかる後、真空脱ガス処理による溶鋼撹拌処理を行うことを特徴とする清浄鋼の精錬方法が提案されている。この技術は、生石灰(CaO)をフラックスとして添加することにより生成されるCaO−Al23系介在物は低融点化するものの粗大化し、却って転動疲労寿命特性を劣化させるので、全ての介在物をAl23−MgO系またはAl23介在物として微細化させ、この介在物を、前記フラックスと溶鋼とを混合・撹拌することによってフラックスに吸収させるという技術である。
また、特許文献3には、軸受鋼の成分組成からなる溶鋼を、塩基度が5以上のCaO−Al23−MgO系スラグを用いて精錬し、得られた溶鋼にAlを脱酸剤として添加することを特徴とする、転動疲労寿命特性に優れる軸受鋼の製造方法が提案されている。この技術は、介在物の形態をAl23−MgO系介在物とし、Al23−MgO系介在物は溶鋼との界面エネルギーが小さく、クラスター化せず、介在物は、大きさが3μm以下の微細介在物となり、転動疲労寿命特性を劣化することがないとする技術である。
特開平6−33132号公報 特開2004−169147号公報 特開2004−323938号公報
上記に説明したように、軸受鋼の転動疲労寿命特性を向上させるための手段が多数提案されており、転動疲労寿命特性は改善されてきているが、未だ改善の余地はある。また、フラックスを添加し、このフラックス中に介在物を吸収させる技術では、例えば特許文献3に示すように、実操業においては、フラックスに、フラックスの滓化促進剤としてCaF2(蛍石)などのフッ素源を添加する場合が多く、フッ素源を添加した場合には、取鍋耐火物の溶損が激しく、また、スラグからのフッ素(F)の溶出による環境への影響もあり、スラグのリサイクル利用が阻害されるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、CaF2などのフッ素源を含有しないフラックスを用いて、鋼中の介在物を微細化すると同時に介在物個数を低減し、清浄性が高く、転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼を製造する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る軸受鋼の製造方法は、転炉または電気炉で溶製された溶鋼を収容する取鍋内に、フッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加し、次いで、大気下において、Alにより脱酸された溶鋼と前記フラックスとを攪拌用ガスの溶鋼中への吹き込みによって攪拌し、該溶鋼のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった後に、下記の(1)で定義される[%Ca]effが0.0003質量%以上0.0010質量%以下の範囲となるように溶鋼にCaを添加し、その後、真空脱ガス装置において溶鋼を減圧下で精錬することを特徴とするものである。
[%Ca]eff=[質量%Ca]-(0.18+130×[質量%Ca])×[質量%T.O] …(1)
但し、(1)式において、[質量%Ca]は溶鋼中のCa濃度(質量%)、[質量%T.O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(質量%)である。
本発明によれば、溶鋼のトータル酸素濃度に応じた所定量のCaを添加して溶鋼中のAl23介在物をCaO−Al23系介在物に強制的に組成変更するので、Al23介在物に比べて溶鋼からの浮上・分離が促進され、CaF2などのフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを用いても、フラックスによる鋼浴中のCaO−Al23系介在物の吸収が促進されるとともに、残存するCaO−Al23系介在物はAl23介在物のようにクラスター化せず、小サイズのままであるので、清浄度の高い、転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼が製造可能となる。また、フラックスはフッ素源を含有しないので、取鍋耐火物の溶損が抑制されるとともに、フラックが溶融して形成されるスラグからはフッ素が溶出せず、スラグのリサイクル利用を阻害する原因が解消され、スラグのリサイクル利用が促進される。
Caを添加して溶鋼中のAl23介在物をCaO−Al23系介在物に改質する際に、トータル酸素濃度に応じたCa濃度の最適範囲を示す図である。 比較例4及び比較例5における各プロセス段階での介在物の組成変化を示す模式図である。 本発明例1〜3における各プロセス段階での介在物の組成変化を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明が適用対象とする軸受鋼は、JIS G 4805で規定されるSUJ1〜SUJ5などの高炭素クロム鋼軸受鋼、SCR420、SCM420などの浸炭軸受鋼、SUS440Cなどの耐食・耐熱軸受鋼である。
本発明においては、これらの軸受鋼を、転炉または電気炉で溶鋼を溶製し、この溶鋼を取鍋に出鋼し、取鍋内の溶鋼上にCaF2などのフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加し、このフラックスと、Alで脱酸された溶鋼とを攪拌用ガスの吹き込みにより攪拌して、スラグ−メタル界面反応により鋼浴中の介在物を溶融したフラックス中に吸収させ、その後、該溶鋼のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった後に、溶鋼にCaを添加してAl23介在物をCaO−Al23系介在物に強制的に改質し、その後、更に真空脱ガス装置における減圧化での精錬による攪拌で鋼浴中の介在物を凝集・合体させて除去する工程を経て製造する。
上記工程を経る本発明において、フラックスが溶融して形成されるスラグと溶鋼とのガス吹き込みによる攪拌、及び溶鋼へのCaの添加は、アーク加熱機能を有するLF炉や、アーク加熱機能は有さないものの、溶鋼に攪拌用ガスを吹き込んで溶鋼とスラグとを攪拌することのできるガスインジェクション装置を用いて実施する。また、溶鋼をAlで脱酸する時期は、転炉からの出鋼時や出鋼後のフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加する以前であっても、また、フッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加した後のフラックスと溶鋼との攪拌処理中であっても、どちらでも構わない。また更に、溶鋼にCaを添加する期間、或いは、溶鋼へのCa添加を完了した後も、ガス吹き込み攪拌によって前記スラグと溶鋼との攪拌を行っても構わない。尚、LF炉とは、取鍋内に昇降可能なアーク電極のみならず、原材料や造滓剤を添加する装置を有し、取鍋底部に設置されるポーラス煉瓦或いはインジェクションランスから攪拌用ガスを吹き込み、Arガス雰囲気などの不活性雰囲気で原材料及び造滓剤などを添加し、溶鋼を精錬する設備である。また、ガスインジェクション装置とは、アーク加熱機能を有していないLF炉相当の設備である。
溶鋼中の介在物をフラックスによって形態制御するとともに、このフラックスに介在物を吸収させる技術は、軸受鋼などの高清浄度鋼を製造する際の極めて有効な手段の1つである。但し、溶鋼とスラグとの界面反応を活性化するには、スラグに液相部を形成させることが不可欠であり、そのために、フラックスに滓化促進剤としてフッ素源を添加する、具体的には、5〜25質量%のCaF2を添加して、液相部を早期に且つ安定して形成させる技術は良く知られている(特許文献3を参照)。しかしながら、本発明では、CaF2などのフッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスを用いており、フッ素源を含有しないフラックスであってもスラグ−メタル間反応を活性化させるために、溶鋼中にCaを添加する。尚、フッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスとは、不純物としてのフッ素(F)は含有することはあっても、意図的にCaF2などのフッ素源が添加されていないフラックスという意味である。
Al脱酸直後の溶鋼は、溶鋼中の溶存酸素と、脱酸剤として添加されるAlとが反応して、鋼浴中に大量のAl23介在物を含有する。本発明は、この溶鋼にCaを添加することにより、Al23介在物をCaO−Al23系介在物に強制的に形態変化させる。鋼浴中の介在物がCaO−Al23系介在物に改質されることで、Al23介在物に比べて溶鋼からの浮上・分離が促進され、フラックスによる介在物の吸収が進行し、溶鋼の清浄度が高くなり、転動疲労寿命特性が向上する。
溶鋼にCaを添加する方法は、Ca−Si合金粒或いはCa−Fe合金粒などの外周を薄鋼板で覆った鉄被覆Ca合金ワイヤーを所定速度で溶鋼中に添加する方法や、粉体状のCa−Si合金或いはCa−Fe合金を、不活性ガスとともに鉄浴中に吹き込む方法などが知られており、本発明においても、これらの方法を用いて添加する。
ところで、軸受鋼に対してCaを添加する技術は、快削性を必要とする軸受鋼においては、CaS、MnSなどの硫化物を生成させる目的で、一般的に行われている。しかしながら、Caを多量に添加するとCaO−Al23系介在物の低融点化に伴う凝集・合体の進行により、100μmを超える巨大な介在物が溶鋼中に形成され、この巨大介在物が連続鋳造工程で鋳片の凝固シェルに捕捉されると、転動疲労寿命特性を大きく損なうことになる。
このような理由から、転動疲労寿命特性を要求される軸受鋼では、Caを添加しない製造方法が一般的である(特許文献2及び特許文献3を参照)。
本発明においては、上記のCaO−Al23系介在物の低融点化に伴う凝集・合体に起因する問題を回避するために、溶鋼にCaを添加する時期及び添加量を、下記に示すように適正な範囲に規定する。
即ち、Caの添加時期はAlによる脱酸後とし、しかも、添加時のAl23介在物の総量を抑制する観点から、また更には、添加時のCaの酸化度合を抑制する観点から、溶鋼中のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった後とする。ここで、溶鋼中のトータル酸素濃度とは、溶鋼中に介在物として含有される酸素と、溶鋼中に溶解して存在する溶存酸素との合計値である。但し、Alは酸素との親和力が強く、Al脱酸後のトータル酸素はほとんどが介在物として含有される酸素である。
また、Caは以下の理由から多量に添加し過ぎないことが必要である。
本発明者らは、容量が30kgの溶解炉を用い、未脱酸の軸受鋼成分の溶鋼にフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを上置きし、次いで、金属Alを添加して脱酸した後、溶鋼中トータル酸素濃度が0.0030質量%以下になった以降、溶鋼に、添加量を変えてCaを添加し、その後、30分の真空処理を施した際の溶鋼中介在物の組成及び介在物サイズの分布を調査する試験を実施した。
その結果、Ca添加量が多い場合には、介在物組成はCaO・Al23〜2CaO・Al23組成の融点の低い介在物となり、その最大径は50μm以上であり、粗大な介在物が多く見られた。これに対して、Ca添加量を適度に抑えた試験では、介在物組成はCaO・6Al23〜CaO・2Al23組成となっており、その最大径は20μm以下と小型であった。
一方、Ca添加量が少ない場合には、介在物組成は、一部にCaO・6Al23組成が見られたものの、大半はAl23のままであった。
本発明者らは、これらの結果をCa濃度及びトータル酸素濃度と関連付けして詳細調査し、その結果、介在物の微細化及び介在物の個数低下を達成する条件として、図1に示すCa添加量の適正範囲を得た。
つまり、Caの添加時期を溶鋼のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった以降とするとともに、下記の(1)で定義される[%Ca]effが0.0003質量%以上0.0010質量%以下の範囲となるようにCaの添加量を調整することである。
[%Ca]eff=[質量%Ca]-(0.18+130×[質量%Ca])×[質量%T.O] …(1)
但し、(1)式において、[質量%Ca]は溶鋼中のCa濃度(質量%)、[質量%T.O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(質量%)である。
上記に示す組成は、Ca添加直後の組成であり、本発明においてはその後に真空脱ガス装置にて減圧下で精錬を行うので、この減圧下での精錬により蒸気圧の高いCaはほとんどが溶鋼中から蒸発してしまうので、前述した低融点介在物の凝集・合体に起因する巨大介在物の生成も抑制することができる。つまり、介在物組成をCaO・6Al23〜CaO・2Al23に維持することができる。
以上説明したように、本発明によれば、溶鋼のトータル酸素濃度に応じた所定量のCaを添加して溶鋼中のAl23介在物をCaO−Al23系介在物に強制的に組成変更するので、Al23介在物に比べて溶鋼からの浮上・分離が促進され、CaF2などのフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスを用いても、フラックスによる鋼浴中のCaO−Al23系介在物の吸収が促進されるとともに、残存するCaO−Al23系介在物はAl23介在物のようにクラスター化せず、小サイズのままであるので、清浄度の高い、転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼が製造可能となる。また、フラックスはフッ素源を含有しないので、取鍋耐火物の溶損が抑制されるとともに、フラックが溶融して形成されるスラグの再利用が促進される。
1チャージの溶鋼量が200トン規模の実機において、本発明を適用して軸受鋼を製造した(本発明例1〜3)。製造プロセスは、転炉−LF炉−RH真空脱ガス炉−連続鋳造機の工程である。
本発明例1〜3においては、転炉からの出鋼後、取鍋内に、フッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加し、この取鍋をLF炉に搬送し、取鍋の底部に設置したガス吹き込み用のポーラス煉瓦からArガスを攪拌用ガスとして吹き込んで、CaO−SiO2系フラックスと溶鋼とを攪拌しながら、金属Alを添加して溶鋼を脱酸し、Al脱酸後、溶鋼中のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった以降、鉄被覆Ca−Si合金ワイヤーを0.3kg/分・t-steelの添加速度で所定量添加した。その後、RH真空脱ガス炉で減圧下での精錬を40分間実施した。
また、比較のために、上記の本発明例1〜3と同一の工程を経るものの、Caの添加量が本発明の範囲よりも少ない場合(比較例1)、及び、Caの添加量が本発明の範囲よりも多い場合(比較例2及び比較例3)を実施した。更に、Caを添加しないこと以外は本発明例1〜3と同一の工程で製造する場合(比較例4)、及び、本発明例1〜3で使用したフッ素源を含有しないCaO−SiO2系フラックスの代わりにCaF2を含有するCaO−SiO2系フラックスを添加するとともにCaを添加しないこと以外は、本発明例1〜3と同一の工程で製造する場合(比較例5)も実施した。尚、何れの場合も、スラグ組成中にAl23成分を20〜40質量%程度含有させることを目的として、Al23成分を主成分とするフラックス(ボーキサイト)をLF炉にて5kg/t-steel程度添加した。
操業結果の評価方法としては、各プロセス段階で溶鋼試料を採取し、切断加工・研磨後の試料中の介在物を、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、介在物の個数、サイズ及び組成を調査した。介在物の個数及びサイズは、400mm2視野の範囲の研磨面中に存在する介在物で評価した。
図2に、比較例4及び比較例5における各プロセス段階でのSEMによる介在物の組成変化を模式的に示し、また、図3に、本発明例1〜3における各プロセス段階でのSEMによる介在物の組成変化を模式的に示す。
図2に示すように、フッ素源つまりCaF2を含有するフラックスを使用した比較例5では、LF炉での処理中にAl23介在物がCaO−Al23系介在物に変化していることが分かる。一方、フッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスを使用し且つCaを添加しない比較例4では、Al23介在物の改質はほとんど起こらず、RH真空脱ガス精錬時にAl23介在物の一部がCaO−Al23系介在物に変化することが分かる。
これに対して、本発明例1〜3では、Caを添加するまでは比較例4と同等であるが、Caを添加することにより、Al23介在物がCaO−Al23系介在物に変化しており、CaF2を含有するフラックスを使用した比較例5と大差ない挙動を示すことが分かった。
また、表1に、連続鋳造機のタンディッシュ内から採取した試料で調査した介在物最大径及び5μm以上の介在物の個数を示す。
Figure 0005387045
表1に示すように、本発明例1〜3においては介在物の最大径及び個数ともに優れた結果であり、CaF2を含有するフラックスを使用した比較例5に勝るとも劣らない結果であった。これに対して、Caの添加量が本発明の範囲よりも少ない比較例1では介在物の個数が多く、Caの添加量が本発明の範囲よりも多い比較例2及び比較例3では介在物の最大径が大きく、本発明例1〜3よりも清浄性が劣ることが確認できた。
その後、圧延して製造された製品試料を用いて転動疲労寿命評価試験を実施した。その結果、本発明例1〜3及び比較例5では、107サイクル以上の転動疲労寿命特性を達成できることが確認できた。

Claims (1)

  1. 転炉または電気炉で溶製された溶鋼を収容する取鍋内に、フッ素源を実質的に含有しないCaO−SiO2系フラックスを添加し、次いで、大気下において、Alにより脱酸された溶鋼と前記フラックスとを攪拌用ガスの溶鋼中への吹き込みによって攪拌し、この攪拌により、Al脱酸で生成したAl 2 3 介在物を前記フラックスに吸収させて溶鋼のトータル酸素濃度を低下させ、該溶鋼のトータル酸素濃度が0.0030質量%以下となった後に、下記の(1)で定義される[%Ca]effが0.0003質量%以上0.0010質量%以下の範囲となるように、溶鋼のトータル酸素濃度に応じて取鍋内の溶鋼にCaを添加し、その後、真空脱ガス装置において溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中のCaを溶鋼から蒸発させることを特徴とする、軸受鋼の製造方法。
    [%Ca]eff=[質量%Ca]-(0.18+130×[質量%Ca])×[質量%T.O] …(1)
    但し、(1)式において、[質量%Ca]は溶鋼中のCa濃度(質量%)、[質量%T.O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(質量%)である。
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