JP5044981B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、タンディッシュから鋳型へ浸漬ノズルを介して注入される溶鋼中に不活性ガスを吹き込みながら鋳造する鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、吹き込まれる不活性ガスの気泡に起因して発生する表面欠陥の少ないスラブ鋳片を鋳造することのできる鋼の連続鋳造方法に関するものである。
溶銑或いは鉄スクラップを鉄源として溶鋼を製造する場合、溶銑中の炭素や燐、或いは鉄スクラップ中の炭素などの不純物を除去するために、溶銑或いは鉄スクラップの溶解により得た溶鉄には、酸素ガスを用いた酸化精錬が行われる。酸化精錬された溶鋼には高濃度の酸素が存在するので、通常、金属Alにより脱酸され、酸化精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去される。この脱酸処理により、溶鋼中にはアルミナ粒子(Al23 粒子)が生成し、生成したアルミナ粒子は溶鋼との密度差によって溶鋼から浮上・分離する。
しかし、生成したアルミナ粒子を、溶鋼とアルミナ粒子との密度差によって溶鋼から浮上分離させるには限界があり、そのため、溶鋼中には微細なアルミナ粒子が懸濁した状態で残留する。また、溶鋼中酸素を安定して低減させるために、Al脱酸後の溶鋼中にはAlが溶解して存在しており、このAlが取鍋からタンディッシュへの注入過程やタンディッシュ内において大気と接触して酸化した場合には、新たにアルミナ粒子が溶鋼中に生成される。連続鋳造時、溶鋼中に懸濁しているこれらのアルミナ粒子がアルミナ−黒鉛質耐火物からなる浸漬ノズルを通過する際に、浸漬ノズル内壁に付着・堆積して浸漬ノズルの閉塞が発生する。
浸漬ノズルが閉塞すると、鋳造作業上及び鋳片品質上で様々な問題が発生する。例えば、鋳造速度を低下せざるを得ず、生産性が落ちるのみならず、甚だしい場合には、鋳込み作業そのものの中止を余儀なくされる。また、浸漬ノズル内壁に堆積したアルミナが剥離して鋳型内に排出され、これが鋳型内の凝固シェルに捕捉された場合には製品欠陥となる。また更に、浸漬ノズルから吐出される溶鋼流に偏りが起こり(「偏流」という)、この偏流によってモールドパウダーの巻き込みなどが起こり、製品欠陥が発生する。
そこで、これらの問題を解決するために、浸漬ノズルにArガスや窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込み、浸漬ノズルの内壁にアルミナが付着することを防止するとともに、鋳型内に流出したアルミナ粒子を不活性ガス気泡によって浮上分離させる技術が一般的に用いられている。
しかしながら、不活性ガスを吹き込むことにより、吹き込まれた不活性ガスの気泡が凝固シェルに捕捉され、この気泡が鋳片の表面欠陥となり、圧延の際に薄鋼板表面に出現して品質欠陥となってしまうことがある。
この気泡に起因する品質欠陥を防止するための技術として、特許文献1には、予め溶鋼の成分濃度を所定の範囲に調整することにより、凝固シェルの溶鋼側前面に形成される濃度境界層の表面張力勾配を小さくし、濃度境界層に侵入したガス気泡が凝固シェルに捕捉されることを抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、鋳型内の溶鋼に移動磁界を付与する際に、浸漬ノズルの吐出孔の下端位置を、移動磁界印加装置の鉄心の下端よりも上方に位置させるとともに、浸漬ノズルから吐出される吐出流の軌跡が移動磁界印加装置の鉄心の設置位置の範囲を上下に逸脱しないようにするために、浸漬ノズルの吐出角度を適正化した浸漬ノズルを用いて鋳造する技術が開示されている。
また更に、特許文献3には、浸漬ノズルを通過する溶鋼中へ、Arガスと溶鋼へ可溶なガスとの混合ガスを吹き込む連続鋳造方法において、鋳型の断面積に基づいてArガス流量を決定し、且つ、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量に基づいて全体のガス流量を決定する技術が開示されている。
特開2003−251438号公報 特開2005−152996号公報 特開2005−305489号公報
しかしながら、近年、薄鋼板の更なる表面品質の向上が要求されており、上記従来技術では、一定の効果は得られるものの、気泡による表面欠陥の原因を必ずしも的確に把握できていないため、鋳造条件によっては鋳片の表面品質に問題が生じる場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、浸漬ノズルを介して鋳型内に注入される溶鋼に不活性ガスを吹き込みながら薄鋼板用のスラブ鋳片を鋳造する鋼の連続鋳造方法において、吹き込まれる不活性ガスの気泡に起因する欠陥を抑制し、表面品質に優れた薄鋼板用のスラブ鋳片を鋳造することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討・研究を行った。その結果、鋳型内においては浸漬ノズルから吐出される気泡を伴った吐出流の存在する領域が高気泡濃度領域となり、この高気泡濃度領域が凝固シェルと接触することによって、気泡に起因する表面欠陥が増加することを見出した。そして、このような気泡による表面欠陥を減少させるためには、鋳片の厚みを厚くして、高気泡濃度領域が凝固シェル、特に鋳片長辺側の凝固シェルに接触しないようにすることが極めて有効であるとの知見を得た。
また、従来、炭素含有量が0.01質量%以下の極低炭素鋼のスラブ鋳片において気泡に起因する表面欠陥が発生しやすく、従って、極低炭素鋼のスラブ鋳片の厚みを増大することで、気泡に起因する表面欠陥を大幅に低減できるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、化学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03〜0.05質量%、S:0.02質量%以下、Al:0.04〜0.08質量%、N:0.004質量%以下を含有する極低炭素鋼の薄鋼板の素材であるスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、下部に鋳型短辺側に向いて開口する一対の吐出孔のみを有する浸漬ノズルを介してタンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5N/min以上20NL/min以下とし、前記吐出孔から鋳型短辺に向けて溶鋼を注入するとともに、鋳型内の溶鋼に交流磁界を印加して溶鋼を水平方向に旋回攪拌し、凝固シェル前面の溶鋼流速を0.14m/sec以上として連続鋳造することを特徴とするものである。
の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第の発明において、前記極低炭素鋼は、化学成分として、更に、Nb:0.003〜0.020質量%を含有することを特徴とするものである。
の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、化学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03質量%以下、S:0.02質量%以下、Al:0.01〜0.06質量%、N:0.004質量%以下、B:0.002質量%以下を含有する極低炭素鋼の薄鋼板の素材であるスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、下部に鋳型短辺側に向いて開口する一対の吐出孔のみを有する浸漬ノズルを介してタンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5N/min以上20NL/min以下とし、前記吐出孔から鋳型短辺に向けて溶鋼を注入するとともに、鋳型内の溶鋼に交流磁界を印加して溶鋼を水平方向に旋回攪拌し、凝固シェル前面の溶鋼流速を0.14m/sec以上として連続鋳造することを特徴とするものである。
の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第の発明において、前記極低炭素鋼は、化学成分として、更に、Nb:0.003〜0.020質量%、Ti:0.01〜0.04質量%を含有することを特徴とするものである。
の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第の発明の何れかにおいて、前記浸漬ノズルの鋳型内溶鋼湯面位置における外径は200mm以下であることを特徴とするものである。
の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第の発明の何れかにおいて、前記浸漬ノズルの鋳型内溶鋼湯面位置における外径は160mm以下であることを特徴とするものである。
第7の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第6の発明の何れかにおいて、前記交流磁界に、静磁界を重畳して印加することを特徴とするものである。
本発明によれば、薄鋼板用のスラブ鋳片を連続鋳造するに当たり、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、タンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5NL/min以上20NL/min以下とするので、浸漬ノズルから吐出される高気泡濃度の吐出流と鋳片長辺側の凝固シェルとが直接接触することが抑制され、吐出流中の気泡は鋳型内溶鋼湯面を介して系外に排出するので、不活性ガス気泡に起因する鋳片の表面欠陥を大幅に減少させることができ、表面品質に優れたスラブ鋳片を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるスラブ連続鋳造設備の鋳型部の概略図である。この連続鋳造設備は、取鍋(図示せず)から注入された溶鋼17を一端貯留するためのタンディッシュ1と、タンディッシュ1の下方に設けられた鋳型2とを備えている。
タンディッシュ1は、外殻を鉄皮15で覆われ、内部を耐火物16で施行されており、このタンディッシュ1の底部には、耐火物16に嵌合する上ノズル3が設置され、そして、上ノズル3の下面に接して、上部固定板5、摺動板6、下部固定板7及び整流ノズル8からなるスライディングノズル4が配置され、更に、スライディングノズル4の下面に接して浸漬ノズル9が配置され、溶鋼17をタンディッシュ1から鋳型2へ流出するための溶鋼流出孔11が形成されている。摺動板6は、往復型アクチュエーター12と接続されており、往復型アクチュエーター12の作動によって、摺動板6は上部固定板5と下部固定板7との間をこれらの固定板と接触したまま移動し、摺動板6と上部固定板5及び下部固定板7とで形成する開口部面積を調整することにより溶鋼流出孔11を通過する溶鋼量が制御される。浸漬ノズル9の下部には一対の吐出孔10が形成されており、溶鋼流出孔11から吐出孔10を経て鋳型2の内部空間に溶鋼17が吐出され、吐出流18が形成される。
上ノズル3の一部はアルミナ質のポーラス煉瓦(図示せず)で形成されており、浸漬ノズル9の内壁面へのアルミナ付着防止のために、不活性ガス供給配管22から供給される不活性ガスが、上ノズル3のポーラス煉瓦部を介して溶鋼流出孔11に吹き込まれるようになっている。不活性ガスとしては、Arガスや窒素ガスなどを用いることができる。
鋳型2は、相対する鋳型長辺13と、この鋳型長辺13の内側に内装された、相対する鋳型短辺14とを備え、矩形型の鋳型内部空間を形成し、鋳片横断面が矩形型のスラブ鋳片が鋳造される。浸漬ノズル9から鋳型短辺14に向けて注入された溶鋼17は鋳型2によって冷却されて凝固シェル21を形成し、表層部を凝固シェル21とし、内部を未凝固の溶鋼17とする鋳片が、鋳型2の下方に設けられた引き抜き機構(図示せず)によって連続的に鋳型2から引き抜かれる。鋳型2の下方には二次冷却帯(図示せず)が設置されており、鋳型2から引き抜かれた鋳片は、二次冷却帯に配置されるスプレーノズルから噴霧される冷却水により冷却されて中心部まで凝固し、中心部まで凝固完了した後に所定の長さに切断される。また鋳型内の溶鋼湯面19にはモールドパウダー20が添加される。モールドパウダー20は溶融して、溶鋼17の酸化防止や凝固シェル21と鋳型2との潤滑剤としての機能を発揮する。
本発明では、このような連続鋳造設備において薄鋼板の素材であるスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、溶鋼流出孔11に吹き込まれる不活性ガスの気泡に起因する鋳片表面の欠陥を抑制するために、鋳片の厚みを285mm以上とし、単位時間当たりの溶鋼17の鋳造量(以下「溶鋼スループット」と記す)を4トン/min以上7トン/min以下とし、且つ、浸漬ノズル9を介してタンディッシュ1から鋳型2へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5NL/min以上20NL/min以下として連続鋳造する。
不活性ガス気泡による鋳片の表面欠陥は、浸漬ノズル9から吐出する気泡を伴った吐出流18が原因している。即ち、気泡を伴った吐出流18によって形成される高気泡濃度領域と凝固シェル21とが接触して、高気泡濃度領域中の気泡が凝固シェル21に捕捉されて発生する。つまり、気泡に起因する鋳片の表面欠陥を左右するのは、吐出流18による高気泡濃度領域と凝固シェル21との距離であり、従って、吐出流18と、凝固シェル21特に鋳片長辺面側の凝固シェル21とが接触しないようにすることで、気泡に起因する鋳片表面欠陥を抑制することができる。尚、スラブ鋳片を薄鋼板に圧延する場合、スラブ鋳片の短辺面は、薄鋼板の側面部となり、この部位は切り落とされることから、鋳片の短辺面に気泡に起因する表面欠陥が発生しても問題はない。
図2は、スラブ鋳片の厚みが相対的に厚い場合と薄い場合とで、吐出流による高気泡濃度領域と凝固シェルとの位置関係を比較して示す図であり、図2(A)に示すように、鋳片の厚みが相対的に薄い場合には、高気泡濃度領域27と鋳型長辺13との距離、つまり、高気泡濃度領域27と鋳片長辺面の凝固シェル21との距離は小さくなり、高気泡濃度領域27と鋳片長辺面の凝固シェル21とが接触することになる。逆に、図2(B)に示すように、鋳片の厚みが相対的に厚い場合には、高気泡濃度領域27と鋳型長辺13との距離、つまり、高気泡濃度領域27と鋳片長辺面の凝固シェル21との距離は大きくなり、高気泡濃度領域27と鋳片長辺面の凝固シェル21とが接触する機会が少なくなる。ここで、高気泡濃度領域27は、浸漬ノズル9から気泡を伴った溶鋼17が吐出された際にその吐出流18が存在する領域に相当する。
鋼の連続鋳造の場合、浸漬ノズル9の断面寸法は、鋳型2の寸法も加味されるが、溶鋼スループットによって決定されるのが一般的であり、スラブ連続鋳造のように溶鋼スループットが大きい場合には、ブルーム鋳片やビレット鋳片の場合に比べて断面寸法は大きい。しかしながら、スラブの連続鋳造で使用する浸漬ノズル同士で比較すると、溶鋼スループットが3〜7トン/minの場合にその断面寸法は大差がない。従って、浸漬ノズル9から吐出される吐出流18の存在する領域つまり高気泡濃度領域27の大きさも大差がない。従って、スラブ鋳片の厚みを厚くすることで、高気泡濃度領域27と凝固シェル21とが接触する機会は少なくなり、不活性ガスの気泡に起因する鋳片表面の欠陥を抑制することが可能となる。
このことを確認するために、シミュレーションにより求めた鋳片厚みと壁面気泡存在確率との関係を図3に示す。ここで、壁面気泡存在確率とは、数値解析により計算される単位溶鋼当たりの気泡の体積分率(m3 /m3 )である。図3に示すように、鋳片厚みが増加するに伴って壁面気泡存在確率が減少していくことが分かる。特に、鋳片厚みが285mm以上になると壁面気泡存在確率は低位安定することが分かる。
また、このことを実際の連続鋳造設備で確認した結果について図4に示す。この図は、極低炭素鋼のスラブ鋳片(C濃度:0.0020質量%)を、外径が180mmの浸漬ノズルを使用し、溶鋼スループットを4トン/min及び7トン/minの2水準として、鋳片厚みを変化させて連続鋳造した際の、鋳片表面から2〜3mm深さの位置における平均欠陥密度を示す図である。鋳片表面から2〜3mm深さの位置は、鋳片表面を手入れした後の鋳片表面に相当する位置である。図4から明らかなように、鋳片厚みが大きくなるほど平均欠陥密度が減少し、特に、鋳片厚みが285mm以上になると平均欠陥密度が急激に減少することが分かる。また、溶鋼スループットが大きくなると平均欠陥密度は増加するが、溶鋼スループットが4〜7トン/minの範囲内であるならば、平均欠陥密度は同一の挙動を呈することが分かる。
上記のように、溶鋼スループットが4〜7トン/minの範囲内において、鋳片の厚みを285mm以上とすることにより気泡に起因する鋳片の表面欠陥を減少させることができる。この場合、鋳片の厚みを厚くするほど、気泡に起因する鋳片の表面欠陥は減少するが、図3及び図4に示すように、鋳片厚みを厚くすることによる表面欠陥の低減効果は鋳片厚みが350mm程度になると飽和する傾向にあり、また、鋳片厚みを厚くした場合、鋳造速度は鋳片厚みの2乗に比例して低速化する必要があり生産性が低下するので、鋳片厚みの最大は400mm程度とすればよい。
鋳片の厚みを増大させても、それに応じて浸漬ノズル9の外径を拡大すると、高気泡濃度領域27の分布が拡大して高気泡濃度領域27と凝固シェルとが接触する頻度が増加し、鋳片表面の気泡に起因する欠陥が増加する恐れがある。そこで、鋳型内の溶鋼湯面19における浸漬ノズル9の外径を変化させて数値解析によりシミュレーションした。図5に、シミュレーションにより求めた溶鋼湯面における浸漬ノズルの外径と壁面気泡存在確率との関係を示す。図5は、鋳片厚みを300mmとして浸漬ノズルの外径を変化させたときのシミュレーション結果である。図5に示すように、鋳型内の溶鋼湯面19における浸漬ノズル9の外径が大きくなるほど壁面気泡存在確率は大きくなるが、浸漬ノズル9の外径が200mm以下であるならば、壁面気泡存在確率の増加が抑えられることが分かる。但し、図5からも明らかなように、浸漬ノズル9の外径が小さくなるほど壁面気泡存在確率は小さくなることから、鋳型内の溶鋼湯面19における浸漬ノズル9の外径を200mm以下とすることが好ましく、可能ならば160mm以下とすることがより好ましい。
高気泡濃度領域27における気泡の密度も、気泡に起因する鋳片表面欠陥の発生頻度に影響する。高気泡濃度領域27における気泡の密度は、不活性ガス供給配管22から溶鋼流出孔11に吹き込まれる不活性ガスの流量に影響される。そこで本発明では、不活性ガスの最大流量を20NL/minとして、高気泡濃度領域27における気泡密度の上限を設定している。一方、不活性ガス流量が少なくなりすぎると浸漬ノズル9の内壁面へのアルミナ付着が防止できず、このアルミナ付着を防止する観点から不活性ガス流量は最低5NL/minを確保する。
磁界による電磁気力を利用して凝固シェル21と溶鋼17との界面における溶鋼流速を強制的に上昇させることで気泡の凝固シェル21への捕捉を減少させることができ、また、磁界による電磁気力を利用して吐出流18の流速を強制的に減速し、吐出流18に含まれる気泡の上昇・分離を促進させ、高気泡濃度領域27における気泡密度を低減させることで、気泡の凝固シェル21への捕捉を減少させることができる。従って、気泡に起因する鋳片の表面欠陥を抑制する観点から、鋳型内の溶鋼17に磁界を印加して鋳型内の溶鋼17の流動を制御することが好ましい。
鋳型内の溶鋼17に磁界を印加する方法を図6〜8に示す。図6は、一対の磁界発生装置23を、鋳型内の溶鋼湯面19の近傍の鋳型長辺13の背面に対向して設置した状態を示す概略図、図7は、一対の磁界発生装置24を、浸漬ノズル9の直下位置の鋳型長辺13の背面に対向して設置した状態を示す概略図、図8は、一対の磁界発生装置25を、鋳型内の溶鋼湯面19の近傍の鋳型長辺13の背面に対向して設置するとともに、一対の磁界発生装置26を、浸漬ノズル9の直下位置の鋳型長辺13の背面に対向して設置した状態を示す概略図である。
図6に示す磁界発生装置23からは、移動磁界または振動磁界の交流磁界を印加するか、或いは、この交流磁界に静磁界を重畳した磁界を印加する。交流磁界によって鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌することにより、凝固シェル21と溶鋼17との界面における溶鋼流速が上昇し、気泡の凝固シェル21への捕捉を減少させることができる。この場合、気泡の凝固シェル21への捕捉を防止する観点から、凝固シェル前面の溶鋼流速が0.14m/sec以上となるように交流磁界を印加することが好ましい。また、振動磁界を印加した場合も移動磁界を印加した場合と同等の効果を得ることができる。静磁界を重畳して印加した場合には、静磁界により溶鋼湯面19における溶鋼流が減速され、溶鋼湯面19での溶鋼流が安定して、渦や盛り上がりなどの溶鋼流れの乱れが防止され、モールドパウダー20の鋳片への巻き込みが防止される。図6では、磁界発生装置23が溶鋼湯面19の近傍であるが、磁界発生装置23の中心位置が浸漬ノズル9の吐出孔10の位置と同等となる位置まで下側にずらしても問題はない。
図7に示す磁界発生装置24からは静磁界を印加する。この静磁界中を吐出流18が移動することにより吐出流18は減速され、吐出流18とともに吐出された気泡は吐出流18の減速に伴って溶鋼湯面19に浮上する。その結果、高気泡濃度領域27における気泡密度が低下して、気泡に起因する鋳片の表面欠陥を低減することができる。また、吐出流18が減速されることにより、吐出流18から分岐する下降流は減速されて鋳片の未凝固層深くまで侵入することがなく、鋳片内層部には脱酸生成物であるアルミナを主体とする酸化物のない清浄な鋳片を得ることができる。また、吐出流18から分岐する上昇流も減速されて、溶鋼湯面19における渦や盛り上がりなどの流れの乱れが防止される。
図8に示す磁界発生装置25からは、移動磁界または振動磁界の交流磁界を印加するか、或いは、静磁界を印加するか、若しくは、交流磁界と静磁界とを重畳した磁界を印加するとともに、磁界発生装置26からは静磁界を印加する。
磁界発生装置25から交流磁界を印加した場合には、交流磁界によって鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌することにより、凝固シェル21と溶鋼17との界面における溶鋼流速が上昇し、気泡の凝固シェル21への捕捉を減少させることができる。この場合、気泡の凝固シェル21への捕捉を防止する観点から、凝固シェル前面の溶鋼流速が0.14m/sec以上となるように交流磁界を印加することが好ましい。磁界発生装置25から静磁界を印加した場合には、静磁界により溶鋼湯面19における溶鋼流が減速され、溶鋼湯面19での溶鋼流が安定して渦や盛り上がりなどの溶鋼流れの乱れが防止され、モールドパウダー20の鋳片への巻き込みが防止される。磁界発生装置25から交流磁界と静磁界とを重畳して印加した場合には、両磁界の効果を同時に得ることができる。
磁界発生装置26から印加される静磁界により、吐出流18は減速され、吐出流18とともに吐出された気泡は吐出流18の減速に伴って溶鋼湯面19に浮上する。その結果、高気泡濃度領域27における気泡密度が低下して、気泡に起因する鋳片の表面欠陥を低減することができる。また、吐出流18が減速されることにより、吐出流18から分岐する下降流は減速されて鋳片の未凝固層深くまで侵入することがなく、鋳片内層部には脱酸生成物であるアルミナを主体とする酸化物のない清浄な鋳片を得ることができる。
不活性ガス気泡に起因する鋳片表面の欠陥は、炭素濃度が0.01質量%以下である極低炭素鋼のスラブ鋳片に発生しやすい。これは、極低炭素鋼ではその他の鋼種に比べて炭素を含めて溶質元素の濃度が低いことから、凝固時の溶質元素の濃化程度が低く、気泡が一旦凝固シェル21に捕捉されると離脱しにくくなるものと考えられる。これに対して溶質元素が多い場合には、気泡が凝固シェル21に捕捉されても、気泡と凝固シェル21との間の溶鋼が凝固する際に溶質が濃化して融点が降下し、気泡は一旦補足されても融点降下により凝固シェル21から離脱する場合が起こり、相対的に捕捉されにくくなるものと考えられる。つまり、極低炭素鋼を連続鋳造する場合に本発明を適用することで、極低炭素鋼の不活性ガス気泡に起因する表面欠陥を大幅に低減することが可能となる。尚、極低炭素鋼の用途は、自動車用或いはブリキ用などの薄鋼板である。
極低炭素鋼としては、化学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03〜0.05質量%、S:0.02質量%以下、Al:0.04〜0.08質量%、N:0.004質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼種、更に、これら成分に、Nb:0.003〜0.020質量%を追加した鋼種が挙げられる。これら鋼種は焼付硬化性及び耐時効性に優れた加工用薄鋼板として使用される。成分の限定理由は以下の通りである。
C:0.0025質量%以下
Cは、加工性、特にr値及び伸びを劣化させる。その影響は0.0025質量%を超えると顕著になるのでCの上限を0.0025質量%とする。
Si:0.05質量%以下
Siは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量添加されるが、その添加量が0.05質量%を超えると深絞り性及び耐食性を劣化させるので、0.05質量%以下とする。
Mn:0.05〜1.5質量%
Mnは、Sに起因する熱間脆性の防止及び鋼の強化の作用がある。この熱間脆性の防止の効果は0.05質量%以上で現れるが、1.5質量%を超えて添加すると深絞り性が劣化するので、その添加量は0.05〜1.5質量%、好ましくはめっき性の観点から1.0質量%以下とする。また、熱間脆性の防止の点からはMn(質量%)/S(質量%)は10以上が好ましい。
P:0.03〜0.05質量%
Pは、鋼を強化する作用があり、焼付硬化性を発現させるために0.03質量%以上とする。しかし、その添加量が0.05質量%を超えると深絞り性を劣化させ、また粒界面に多く偏析して脆化を引き起こすので0.05質量%以下とする。
S:0.02質量%以下
Sは、熱間脆性の原因となるほか、深絞り性に悪影響を及ぼすので少ないほどよい。これらの影響は0.02質量%を超えると顕著になるので0.02質量%以下とする。特に、プレス成形性の観点からすれば、0.005質量%以下にすることが好ましい。
Al:0.04〜0.08質量%
Alは、脱酸及び鋼中Nの析出固定のために添加される。Alの添加量が0.04質量%未満では加工性が不十分であり、一方、0.08質量%を超えての添加は加工性を劣化させるばかりでなく、表面性状をも劣化させる。従って、Alの添加量は、0.04〜0.08質量%とする。
N:0.004質量%以下
Nは、深絞り性に悪影響を及ぼすほか、多量のNはAl量を多量必要とし表面性状を劣化させるので、その含有量は少ない程よい。Nの含有量が0.004質量%を超えるとその影響が顕著になるので、0.004質量%以下、好ましくは0.002質量%以下とする。
上記の合金元素のほかにNbを加えることができる。Nbの限定理由は以下のとおりである。
Nb:0.003〜0.020質量%
Nbは、焼鈍前の固溶Cを減少させることにより、加工性を向上させる元素であり、この効果を発現させるためには0.003質量%以上が必要である。一方、焼付硬化性を得るためには必要量の固溶Cを鋼板中に存在させなければならず、これを主に高温焼鈍中のNb炭化物の分解より得る。そのためには、Nbは、0.020質量%以下にする必要がある。従って、Nbを添加する場合には、0.003〜0.020質量%とする。
また、この他の極低炭素鋼としては、化学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03質量%以下、S:0.02質量%以下、Al:0.01〜0.06質量%、N:0.004質量%以下、B:0.002質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼種、更に、これら成分にNb:0.003〜0.020質量%、Ti:0.01〜0.04質量%を追加した鋼種が挙げられる。また更に、これらの成分にCr:0.10質量%以下、Ni:0.04質量%以下、Mo:0.02質量%以下、Cu:0.08質量%以下、V:0.007質量%以下、Sb:0.010質量%以下を追加した鋼種が挙げられる。これら鋼種は深絞り性及び耐時効性に優れた加工用薄鋼板として使用される。成分の限定理由は以下の通りである。
C:0.0025質量%以下
Cは、加工性、特にr値及び伸びを劣化させる。その影響は0.0025質量%を超えると顕著になるのでCの上限を0.0025質量%とする。
Si:0.05質量%以下
Siは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量添加されるが、その添加量が0.05質量%を超えると深絞り性及び耐食性を劣化させるので、0.05質量%以下とする。
Mn:0.05〜1.5質量%
Mnは、Sに起因する熱間脆性の防止及び鋼の強化の作用がある。この熱間脆性の防止の効果は0.05質量%以上で現れるが、1.5質量%を超えて添加すると深絞り性が劣化するので、その添加量は0.05〜1.5質量%、好ましくはめっき性の観点から1.0質量%以下とする。また、熱間脆性の防止の点からはMn(質量%)/S(質量%)は10以上が好ましい。
P:0.03質量%以下
Pは、鋼を強化する作用があるが、深絞り性を劣化させ、また粒界面に多く偏析して脆化を引き起こすので、低いほど好ましく、従って0.03質量%以下とする。
S:0.02質量%以下
Sは、熱間脆性の原因となるほか、深絞り性に悪影響を及ぼすので少ないほどよい。これらの影響は0.02質量%を超えると顕著になるので0.02質量%以下とする。特に、プレス成形性の観点からすれば、0.005質量%以下にすることが好ましい。
Al:0.01〜0.06質量%
Alは、脱酸及び鋼中Nの析出固定のために添加される。Alの添加量が0.01質量%未満では脱酸が不十分であり、一方、Alは高価であり0.06質量%を超えての添加は必要ない。従って、Alの添加量は、0.01〜0.06質量%とする。
N:0.004質量%以下
Nは、深絞り性に悪影響を及ぼすほか、多量のNはAl量を多量必要とし表面性状を劣化させるので、その含有量は少ない程よい。Nの含有量が0.004質量%を超えるとその影響が顕著になるので、0.004質量%以下、好ましくは0.002質量%以下とする。
B:0.002質量%以下
Bは、耐二次加工脆性をより一層改善するために添加するが、0.002質量%を超えて添加すると加工性、特にr値を劣化させるので、0.002質量%以下とする。
上記の合金元素のほかにNb及びTiを加えることができる。Nb及びTiの限定理由は以下のとおりである。
Nb:0.003〜0.020質量%
Nbは、焼鈍前の固溶Cを減少させることにより、加工性を向上させる元素であり、この効果を発現させるためには0.003質量%以上が必要である。一方、この効果はNbを0.020質量%を越えて添加しても飽和して無駄であり、従って、Nbを添加する場合には、0.003〜0.020質量%とする。
Ti:0.01〜0.04質量%
Tiは、NまたはNとSの析出固定のために添加するが、特に、Nの析出固定力がAlよりも強いために、加工性をより一層向上させる。この効果を得るためには、Tiの含有量は0.01質量%以上とする必要がある。一方、過剰な添加は加工性、特に延性を劣化させるので、0.04質量%以下にする必要がある。従って、Tiを添加する場合には、0.01〜0.04質量%とする。
上記の合金元素のほかに、更に、Cr、Ni、Mo、Cu、V及びSbを加えることができる。これら合金元素の限定理由は以下のとおりである。
Cr:0.10質量%以下
Crは、鋼の強化元素であり、強度に応じて必要量添加するが、0.10質量%を超えると加工性を低下させるので、0.10質量%以下とする。
Ni:0.04質量%以下
Niは、鋼の強化元素であり、強度に応じて必要量添加するが、0.04質量%を超えると加工性を低下させるので、0.04質量%以下とする。
Mo:0.02質量%以下
Moは、鋼の強化元素であり、強度に応じて必要量添加するが、0.02質量%を超えると加工性を低下させるので、0.02質量%以下とする。
Cu:0.08質量%以下
Cuは、鋼の強化元素であり、強度に応じて必要量添加するが、0.08質量%を超えると加工性を低下させるので、0.08質量%以下とする。
V:0.007質量%以下
Vは、鋼の強化元素であり、強度に応じて必要量添加するが、0.007質量%を超えると加工性を低下させるので、0.007質量%以下とする。
Sb:0.010質量%以下
Sbは、鋼の表面性状改善のために添加する元素であるが、0.010質量%を超えて添加しても表面性状改善効果が飽和するので、0.010質量%以下とする。
以上説明したように、本発明によれば、薄鋼板用のスラブ鋳片を連続鋳造するに当たり、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、タンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5NL/min以上20NL/min以下とするので、浸漬ノズルから吐出される高気泡濃度の吐出流と鋳片長辺側の凝固シェルとが直接接触することが抑制され、吐出流内の気泡は鋳型内溶鋼湯面を介して系外に排出するので、不活性ガス気泡に起因する鋳片の表面欠陥を大幅に減少させることができ、表面品質に優れたスラブ鋳片を安定して製造することが可能となる。
尚、上記説明では3枚板構成のスライディングノズル4の例を挙げたが、2枚板構成のスライディングノズルについても上記に沿って本発明を適用することができる。また、不活性ガスを上ノズル3から溶鋼流出孔11に吹き込む例で説明したが、不活性ガスの吹き込み位置は上ノズル3に限るものではなく、例えば上部固定板5や浸漬ノズル9であっても構わない。
図1に示す連続鋳造設備を用い、C:0.002質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03〜0.05質量%、S:0.02質量%以下、Al:0.04〜0.08質量%、N:0.004質量%以下、Nb:0.003〜0.020質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる極低炭素鋼を鋳造する際に、鋳片の厚みを変更した試験を実施し、得られた鋳片表層の気泡に起因する欠陥の発生数を調査した。気泡に起因する表面欠陥は、鋳片表面を2mmの厚みで切削加工し、切削加工面を浸透探傷法により検査して調査した。表1に、鋳片厚み、鋳型内溶鋼湯面位置における浸漬ノズルの外径、溶鋼スプープット、溶鋼流出孔へのArガス吹き込み流量、及び、鋳片の平均欠陥密度の測定値を示す。尚、鋳片の平均欠陥密度は、鋳片の表層を超音波探傷して検出した、100μm以上の気泡及び介在物の個数(個/m)の測定結果である。
Figure 0005044981
表1に示すように、鋳片の厚みが285mm以上になると、気泡に起因する表面欠陥が減少することが分かった。また、鋳片の厚みが同一の場合、浸漬ノズルの外径を小さくすることで、気泡に起因する表面欠陥が減少することも分かった。尚、前述した図4は、浸漬ノズルの外径を180mmとした、表1に示す試験における平均欠陥密度を図示したものである。
本発明が適用されるスラブ連続鋳造設備の鋳型部の概略図である。 スラブ鋳片の厚みが厚い場合と薄い場合とで、吐出流による高気泡濃度領域と凝固シェルとの位置関係を比較して示す図である。 シミュレーションにより求めた鋳片厚みと壁面気泡存在確率との関係を示す図である。 実際の連続鋳造設備で鋳片厚みを変化させてスラブ鋳片を連続鋳造した際の、鋳片表面から2〜3mm深さの位置における平均欠陥密度を示す図である。 シミュレーションにより求めた溶鋼湯面における浸漬ノズルの外径と壁面気泡存在確率との関係を示す図である。 鋳型内の溶鋼に磁界を印加する方法を示す概略図である。 鋳型内の溶鋼に磁界を印加する方法を示す概略図である。 鋳型内の溶鋼に磁界を印加する方法を示す概略図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 上ノズル
4 スライディングノズル
5 上部固定板
6 摺動板
7 下部固定板
8 整流ノズル
9 浸漬ノズル
10 吐出孔
11 溶鋼流出孔
12 往復型アクチュエーター
13 鋳型長辺
14 鋳型短辺
15 鉄皮
16 耐火物
17 溶鋼
18 吐出流
19 溶鋼湯面
20 モールドパウダー
21 凝固シェル
22 不活性ガス供給配管
23 磁界発生装置
24 磁界発生装置
25 磁界発生装置
26 磁界発生装置
27 高気泡濃度領域

Claims (7)

  1. 学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03〜0.05質量%、S:0.02質量%以下、Al:0.04〜0.08質量%、N:0.004質量%以下を含有する極低炭素鋼の薄鋼板の素材であるスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、下部に鋳型短辺側に向いて開口する一対の吐出孔のみを有する浸漬ノズルを介してタンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5N/min以上20NL/min以下とし、前記吐出孔から鋳型短辺に向けて溶鋼を注入するとともに、鋳型内の溶鋼に交流磁界を印加して溶鋼を水平方向に旋回攪拌し、凝固シェル前面の溶鋼流速を0.14m/sec以上として連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記極低炭素鋼は、化学成分として、更に、Nb:0.003〜0.020質量%を含有することを特徴とする、請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 学成分として、C:0.0025質量%以下、Si:0.05質量%以下、Mn:0.05〜1.5質量%、P:0.03質量%以下、S:0.02質量%以下、Al:0.01〜0.06質量%、N:0.004質量%以下、B:0.002質量%以下を含有する極低炭素鋼の薄鋼板の素材であるスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳片の厚みを285mm以上、単位時間当たりの溶鋼の鋳造量を4トン/min以上7トン/min以下、下部に鋳型短辺側に向いて開口する一対の吐出孔のみを有する浸漬ノズルを介してタンディッシュから鋳型へ注入される溶鋼中に吹き込む不活性ガスの吹き込み流量を5N/min以上20NL/min以下とし、前記吐出孔から鋳型短辺に向けて溶鋼を注入するとともに、鋳型内の溶鋼に交流磁界を印加して溶鋼を水平方向に旋回攪拌し、凝固シェル前面の溶鋼流速を0.14m/sec以上として連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記極低炭素鋼は、化学成分として、更に、Nb:0.003〜0.020質量%、Ti:0.01〜0.04質量%を含有することを特徴とする、請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
  5. 前記浸漬ノズルの鋳型内溶鋼湯面位置における外径は200mm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
  6. 前記浸漬ノズルの鋳型内溶鋼湯面位置における外径は160mm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
  7. 前記交流磁界に、静磁界を重畳して印加することを特徴とする、請求項1ないし請求項6の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
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