JP3861640B2 - 冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷延鋼板及びその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、自動車用鋼板等に用いるのに好適な、表面性状が優れた冷延鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車業界では、自動車の車体軽量化による燃費向上及び安全性向上の観点から、鋼板の高強度化による自動車車体の構成材料の薄肉化が求められている。一方、鋼板の薄肉化を図るには、腐食による板厚減少も考慮する必要がある。このように、鋼板の高強度化と耐食性の向上との両立による自動車車体の構成材料の薄肉化や車体軽量化が重要課題となっている。
【0003】
このため、特公平7−57893 号公報には、鋼板そのものの耐食性を改善することにより、引張強さが343N/mm2以上で、耐食性、特に耐孔食性に優れ、さらには深絞り用として好適な自動車用鋼板の製造方法が開示されている。
【0004】
自動車用冷延鋼板の耐食性を改善するためには、P、CuさらにはNi等といった元素を添加するのが一般的であるが、これら元素のうち、特にPは鋼を強化するとともに耐食性を向上させる効果があるために非常に重要であり、耐食性を改善した自動車用高強度冷延鋼板を製造するためには不可欠な元素である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Pを含有する鋼板は、板厚方向へのPの濃度分布の差、すなわち偏析に起因して、冷延鋼板をプレス成形すると表面にゴーストラインと呼ばれる線状かつ凹状または凸状の欠陥を生じ、外観品質が劣化し易くなる。このため、このゴーストラインを生じた冷延鋼板を、例えばドアー、フード、ルーフさらにはフェンダー等といった、高度な外観品質が要求される自動車外板用鋼板へ適用することはできず、歩留りの低下によるコストの上昇は避けられなかった。
【0006】
ここで、このような冷延鋼板の高強度化と耐食性の向上とに加え、さらに外観品質を改善することができれば、この冷延鋼板の自動車車体への適用範囲を拡大することが可能となり、結果として自動車車体をさらに軽量化することができる。
【0007】
本発明の目的は、自動車用鋼板等に用いるのに好適な、外観品質すなわち表面性状が優れた冷延鋼板及びその製造方法を提供することであり、より具体的には、耐食性に優れるとともに優れた表面性状を有することから、自動車外板用鋼板として安定して適用することができる高強度冷延鋼板及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、連続鋳造時の条件、すなわち鋳造速度を限定して連続鋳造を行い、その後に熱間圧延及び冷間圧延を行うことにより、冷間圧延後にゴーストラインが発生しない良好な表面性状を有する冷延鋼板を製造することができることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0009】
本発明は、C:0.010%以下(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする)、Si:0.1%以下、Mn:0.50%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.002〜0.10%、sol.Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ni:0.30%以下、必要に応じてNb:0.002〜0.05%及びB:0.0001〜0.0050%のうちの1種または2種、残部 Fe 及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、板厚方向の全域におけるP濃度に対する、表層から板厚方向の内部へ向けて板厚の1/6の領域に形成されるP偏析部におけるP濃度の比、すなわち{(表層から板厚の1/6の領域に形成されるP偏析部のP濃度)/(板厚方向の全域におけるP濃度)}が1.4以下であることを特徴とする冷延鋼板である。この冷延鋼板は、耐食性に優れるとともに優れた表面性状と高強度とを有することから、自動車外板用鋼板として安定して用いることができる。
【0010】
別の観点からは、本発明は、C:0.010%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.50%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.002〜0.10%、sol.Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ni:0.30%以下、必要に応じてNb:0.002〜0.05%及びB:0.0001〜0.0050%のうちの1種または2種、残部 Fe 及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼に連続鋳造を行って鋼片とした後、この鋼片に熱間圧延及び冷間圧延を行うことにより冷延鋼板を製造する際に、鋳造速度が下記(1)式によって規定された関係を満足するようにして連続鋳造を行うことを特徴とする冷延鋼板の製造方法である。
【0011】
Vc ≦22.5/(Q−5.0)+0.5 ・・・・・(1)
ただし、(1) 式において、Vcは鋳造速度(m/min) を示し、Q は鋳型内吹込みAr流量(l/min) を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる冷延鋼板及びその製造方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明にかかる冷延鋼板の製造方法において用いる鋼片の組成を限定する理由を説明する。
【0013】
C: 0.010 %以下
Cは、耐食性および成形性に影響を与える元素である。C含有量が0.010 %を越えると腐食の起点となるセメンタイトが生成することがあり、また成形性も劣化する。そこで、本実施の形態では、C含有量は0.010 %以下と限定する。同様の観点から、C含有量の上限は0.004 %であることが望ましい。
【0014】
Si : 0.1 %以下
Siは、鋼を強化する作用があるが、0.1 %を超えて過剰に添加すると耐食性が劣化する。そこで、本実施の形態では、Si含有量は0.1 %以下と限定する。同様の観点から、Si含有量の上限は0.03%であることが望ましい。
【0015】
Mn : 0.50 %以下
Mnは、鋼を強化する作用があるが、0.50%を超えて過剰に添加すると、合金鉄からのピックアップによりMn含有量が0.50%を越え、C含有量の上限を0.010 %に制御することが困難になる。そこで、本実施の形態では、Mn含有量は0.50%以下と限定する。同様の観点から、Mn含有量の上限は0.34%であることが望ましく、Mn含有量の下限は0.10%であることが望ましい。
【0016】
P: 0.10 %以下
Pは、鋼を強化する作用があるとともに耐食性を向上させる効果があるため、必要量含有される。しかし、0.10%を越えて過剰に添加すると、製品の耐脆性が悪化する。そこで、本実施の形態では、P含有量は0.10%以下と限定する。同様の観点から、P含有量の上限は0.09%であることが望ましい。
【0017】
S: 0.030 %以下
Sは、その含有量が少ないほど成形性が向上する。また、S含有量が0.030 %を超えるとMnS 系介在物が生じ、成形時にプレス成形割れの原因となる。そこで、本実施の形態では、S含有量は0.030 %以下と限定する。同様の観点から、S含有量の上限は0.015 %であることが望ましい。
【0018】
Cu : 0.50 %以下
Cuは、耐食性を向上させるのに必要な元素であり、必要量含有される。しかし、Cu含有量が0.50%を越えると、Cu脆性によるスラブ疵が発生し、ひいては製品表面性状を劣化させる。そこで、本実施の形態では、Cu含有量は0.50%以下と限定する。同様の観点から、Cu含有量の上限は0.40%であることが望ましく、Cu含有量の下限は0.20%であることが望ましい。
【0019】
Ti : 0.002 〜 0.10 %
Tiは、炭窒化物形成元素であり、鋼中の固溶C、Nを TiC、TiN として固定し、成形性を向上させるために必要量含有される。しかし、Ti含有量が0.002 %未満ではかかる効果が認められず、一方Ti含有量が0.10%を越えると製品の表面性状を劣化させる。そこで、本実施の形態では、Ti含有量は0.002 %以上0.10%以下と限定する。同様の観点から、Ti含有量の上限は0.060 %であることが望ましく、Ti含有量の下限は0.020 %であることが望ましい。
【0020】
sol.Al : 0.08 %以下
Alは、鋼中酸素の脱酸のために必要に応じて添加され、鋼中にsol.Alとして含有されるが、sol.Al含有量が0.08%を越えても、さらなる脱酸効果は期待できない。そこで、本実施の形態では、sol.Al含有量は0.08%以下と限定する。同様の観点から、sol.Al含有量の上限は0.040 %であることが望ましく、sol.Al含有量の下限は0.018 %であることが望ましい。
【0021】
N: 0.0080 %以下
Nは、その含有量が少ないほど成形性が向上する。しかし、N含有量が0.0080%超では析出物が増加し、成形性、とりわけ延性が低下する。そこで、本実施の形態では、N含有量は0.0080%以下と限定する。同様の観点から、N含有量の上限は0.0040 %であることが望ましい。
【0022】
Ni : 0.30 %以下
Niは、Cu脆性によるスラブ疵抑制のために添加される。しかし、Niそのものが高価であるために添加量の抑制が望まれるが、上述したCu含有量の上限値と見合う上限値として0.30%は必要である。そこで、本実施の形態では、Ni含有量は0.30%以下と限定する。同様の観点から、Ni含有量の上限は0.20%であることが望ましい。
【0023】
Nb : 0.002 〜 0.05 %
Nbは、本実施の形態においては必要に応じて添加される任意添加元素である。Nbは、炭化物形成元素であり、鋼中の固溶CをNbC として固定し、成形性を向上させるために必要量含有される。しかし、Nb含有量が0.002 %未満ではかかる効果が認められず、一方Nb含有量が0.05%を越えると延性を劣化させることがある。そこで、Nbを添加する場合には、Nb含有量は0.002 %以上0.05%以下と限定する。同様の観点から、Nb含有量の上限は0.025 %であることが望ましく、Nb含有量の下限は0.010 %であることが望ましい。
【0024】
B: 0.0001 〜 0.0050 %
Bは、本実施の形態においては必要に応じて添加される任意添加元素である。Bは、鋼の耐二次加工脆性の改善のために必要量含有される。しかし、B含有量が0.0001%未満ではかかる効果がなく、一方B含有量が0.0050%を越えると製品の表面性状を劣化させることがある。そこで、Bを添加する場合には、B含有量は0.0001%以上0.0050%以下と限定する。同様の観点から、B含有量の上限は0.0040%であることが望ましく、B含有量の下限は0.0020%であることが望ましい。
【0025】
上記以外は、Fe及び不可避的不純物である。
かかる鋼組成を有する鋼は、例えば転炉等により溶製され、連続鋳造法により鋼片であるスラブとされる。連続鋳造は、溶融した鋼を凝固させる工程であるが、一般的に、凝固の進行過程に際して成分の偏析を生じることが知られている。これらの成分のうちでも特にPは、鋼の強度に大きな影響を与えるため、凝固したスラブ中にPの偏析が存在すると、冷間圧延後のコイルの表面に、母材鋼に生じた局部的な強度差に起因して、ゴーストラインと呼ばれる外観欠陥が発生する場合がある。このため、連続鋳造の過程におけるPの偏析はコイルの表面性状を良好に保つために最小とする必要がある。
【0026】
本発明者らは、ゴーストラインは表層から板厚方向の内部へ向けて板厚の1/6 の領域にPが偏析することが主な要因であり、この偏析は、連続鋳造中に浸漬ノズルの閉塞防止を目的として浸漬ノズル中へ吹込まれるArガスに関係していることを突き止めた。
【0027】
図1は、連続鋳造法により、タンディッシュ1に収容された溶鋼2をスライドゲート3及び浸漬ノズル4を介して、鋳型5内に鋳込む状況を模式的に示す説明図である。なお、図1における符号6aは溶鋼を示し、符号6bは凝固シェルを示す。
【0028】
図1に示すように、スライドゲート3からのArガスは浸漬ノズル4を通して鋳型5の内部へと持ち込まれ気泡7となるが、気泡7の一部7aは鋳型5の上面まで浮上し切れずに、浮上途中に凝固シェル6bに捕捉される。凝固シェル6bに捕捉されたガス気泡7aは抜熱の抵抗となって凝固の進行を妨げるため、ガス気泡7aの周囲は凝固が遅れてPの偏析を生じ易くなる。
【0029】
そこで、本発明者らは、プレス成形後の冷延鋼板の表面にゴーストラインを生じさせないためには、鋳造速度と鋳型内吹込みAr流量との関係を適正に制御する必要があると考え、その関係を鋭意検討した結果、この関係は下記(1) 式として表現されることがわかった。
【0030】
Vc ≦22.5/(Q−5.0)+0.5 ・・・・・(1)
ただし、Vcは鋳造速度(m/min) を示し、Q は鋳型内吹込みAr流量(l/min) を示す。この理由は以下の通りである。
【0031】
前述したように、ゴーストラインは、表層から板厚方向の内部へ向けて板厚の1/6 の領域にPが偏析することが主因であると考えられることから、Pの偏析を全く生じさせないか、またはPの偏析があっても、この1/6 の領域より深い位置であれば、冷延鋼板の外面にゴーストラインは生じないことになる。
【0032】
本発明者らはかかる視点にたち、鋳込条件を変更して種々実験を行った。図2にこの実験の結果を示す。なお、スラブ中に気泡が存在すると凝固遅れによってその周囲にPが偏析することから、スラブ段階での良否判定を、スラブ表皮から内部へ向けて厚さの1/6 以内の領域における気泡の存在の有無により行った。
【0033】
図2に示すグラフから、(1) 式により規定される関係を満足すると、スラグ中に気泡が存在しないのに対し、満足しないと気泡が存在してしまうことがわかる。これは、鋳造速度が速い領域ではガス気泡7の持込み量が増加するため、気泡7を生じさせないためにはArガス流量を低くする必要があり、一方、浸漬ノズル4の閉塞防止の観点からArガス流量を低くできない場合には鋳造速度を低くすることで鋳型内で凝固シェルを十分に発達させ、気泡の捕捉深さを、この1/6 の領域より深い位置に制御することができるためと、考えられる。
【0034】
なお、本実験では、Q≦5およびVc≦0.5 の領域ではいずれの条件でも1/6 厚以内に気泡は確認されなかった。
こうして得られたスラブを加熱及び熱間圧延を行った後に、冷間圧延を行うのであるが、それらの条件には特に制約はなく、周知慣用の手段及び条件にしたがって行えばよい。
【0035】
図3は、このようにして得られる本発明にかかる冷延鋼板の形状を模式的に示す説明図である。同図に示すように、本発明にかかる冷延鋼板は、C:0.010%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.50%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.002〜0.10%、sol.Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ni:0.30%以下、必要に応じてNb:0.002〜0.05%及びB:0.0001〜0.0050%のうちの1種または2種、残部 Fe 及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、板厚方向の全域におけるP濃度に対する、表層から板厚方向の内部へ向けて板厚Tの1/6の領域に形成されるP偏析部におけるP濃度の比、すなわち{(表層から板厚Tの1/6の領域に形成されるP偏析部のP濃度)/(板厚方向の全域におけるP濃度)}が1.4以下である冷延鋼板である。
【0036】
この冷延鋼板は、耐食性に優れるとともに優れた表面性状と高強度とを有することから、自動車外板用鋼板として安定して用いることができる。このため、Pを含有された高強度冷延鋼板の自動車車体への適用範囲を、これまでにない例えばドアー、フード、ルーフさらにはフェンダー等に対しても拡大することが可能となり、結果として自動車車体のいっそうの軽量化を図ることができる。
【0037】
なお、冷延鋼板とした後に、必要に応じて、電気めっきおよび溶融亜鉛めっきを行って耐食性を高めることにより、自動車用鋼板として要求される耐食性をさらに向上することもできる。
【0038】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細に説明する。
表1に示す化学組成の鋼を転炉にて溶製した後、同表の鋳造速度Vc(m/min) および鋳型内吹込みArガス流量Q(リットル/min) の条件で連続鋳造を行った。なお、Arガスはタンディッシュのスライドゲート固定盤に設けたガスチャネルより吹込んだ。
【0039】
【表1】
【0040】
得られたスラブを1250℃で加熱及び均熱した後、粗圧延を行って、続いて仕上げ圧延を行い、熱延鋼板とした。この熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延を行い板厚0.8mm とし、次いで連続焼鈍ラインで850 ℃で再結晶焼鈍を行った。
【0041】
このようにして得られた冷延鋼板について、表面性状の調査を行った。
このゴーストラインの検査は、冷延製品から全幅×300mm の寸法の試料を採取し、幅方向に5%の塑性歪みを付与した後、表面全体を幅方向に砥石で研磨し、圧延方向に長く延伸した凹または凸の変形を検出することにより行った。
【0042】
また、検出された凹凸疵部を直角に10mmピッチで切断した後、EDX (X線マクロアナライザー) でPの線分析を厚み方向へ実施し、各試料における偏析率 (板厚方向の全域におけるP濃度に対する、表層から板厚方向の内部へ向けて板厚の1/6 の領域に形成されるP偏析部におけるP濃度の比) の最大値を測定した。表2にこれらの測定結果を示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から、本発明例の試料(No.1 、4 、6 、8 、10) にかかる冷延鋼板は、比較例の試料(No.2 、3 、5 、7 、9)に比較すると、いずれも良好な表面性状を有することが明らかである。
【0045】
また、本発明例の試料(No.1 、4 、6 、8 、10) にかかる冷延鋼板は、自動車外板用鋼板として要求される耐食性と強度とをともに備えていた。
また、図4には、ゴーストラインの程度を示すゴーストラインコードと偏析率との関係をグラフで示す。ゴーストラインコードとは、発生したゴーストラインの程度 (幅、高さ、深さ等) を基準に照らして5段階で評価した特性値であり、1から5まで徐々に発生程度が悪化することを示している。本実施例では、コード1、2を合格とした。
【0046】
同図に示すグラフから、偏析率が1.4 以下であれば、ゴーストラインコードを2以下に抑制でき、良好な表面性状が得られることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、自動車用鋼板等に用いるのに好適な、表面性状が優れた冷延鋼板及びその製造方法を提供することができた。より具体的には、耐食性に優れるとともに優れた表面性状を有することから、自動車外板用鋼板として安定して適用することができる高強度冷延鋼板及びその製造方法を提供することができた。
【0048】
かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造法により、タンディッシュに収容された溶鋼をスライドゲート及び浸漬ノズルを介して、鋳型内に鋳込む状況を模式的に示す説明図である。
【図2】確認実験の結果を示すグラフである。
【図3】本発明にかかる冷延鋼板の形状を模式的に示す説明図である。
【図4】実施例において、ゴーストラインの程度を示すゴーストラインコードと偏析率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 タンディッシュ
2 溶鋼
3 スライドゲート
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6a 溶鋼
6b 凝固シェル
7、7a ガス気泡
Claims (4)
- 質量%で、C:0.010%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.50%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.002〜0.10%、sol.Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ni:0.30%以下、残部 Fe 及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、板厚方向の全域におけるP濃度に対する、表層から板厚方向の内部へ向けて板厚の1/6の領域に形成されるP偏析部におけるP濃度の比が1.4以下であることを特徴とする冷延鋼板。
- さらに、質量%で、Nb:0.002〜0.05%及びB:0.0001〜0.0050%のうちの1種または2種を含有する請求項1に記載された冷延鋼板。
- 質量%で、C:0.010%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.50%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.002〜0.10%、sol.Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ni:0.30%以下、残部 Fe 及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼に連続鋳造を行って鋼片とした後、当該鋼片に熱間圧延及び冷間圧延を行うことにより冷延鋼板を製造する際に、鋳造速度が下記(1)式によって規定された関係を満足するようにして前記連続鋳造を行うことを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
Vc≦22.5/(Q−5.0)+0.5 ・・・・・(1)
ただし、Vcは鋳造速度(m/min)を示し、Qは鋳型内吹込みAr流量(l/min)を示す。 - さらに、前記鋼が、質量%で、Nb:0.002〜0.05%及びB:0.0001〜0.0050%のうちの1種または2種を含有する請求項3に記載された冷延鋼板の製造方法。
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