JP4380348B2 - 表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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本発明は、表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関し、詳しくは、主にメンバー、ロッカー等の自動車の構造部品としての使途に好適な、優れた表面品質と590MPa以上の引張強度とを有する、表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関する。
近年、自動車の衝突安全性能を高める(自動車が走行中に物体と衝突した際、衝撃に対する部材のエネルギー吸収能を高め、乗員への衝撃負荷を低減させることで乗員の安全性を高める)ためや、排気ガス規制に伴う燃費向上を目的とした車体軽量化を図る目的で、メンバー、ロッカー等の各種自動車部品への高強度鋼板の適用化が進められている。
一方で、自動車マーケットのグローバル化に伴い、より腐食環境の厳しい地域での防錆性能も要求されることから、表面処理鋼板、主に溶融亜鉛めっき鋼板の適用が必要とされる。高強度の溶融亜鉛めっき鋼板としては開発が進められており、590MPa級の引張強度を有する鋼板については製品化され、自動車部品への適用も増加してきている。
しかし、更なる高強度化、高性能化の要求に対応するためには、C、Si、Mnなどの合金元素を増量する必要があるが、そのため、不めっきや合金ムラなどにより表面品質の低下が起こってしまうジレンマに陥っているのが現状である。
一方、Al添加による高強度鋼板の高性能化に関して、残留オーステナイト(以下、γと略記することもある。)型をベースとした高延性鋼板(特許文献1)や、デュアルフェイズ(DP)型をベースとして穴拡げ性および溶接性等を向上した鋼板(特許文献2〜5)が提案されている。
特許文献1では、AlはSiと同様なフェライト形成元素であり、かつ、ベイナイト変態中のセメンタイト析出抑制によるオーステナイトの安定化に寄与するものとしている。特許文献3には、Alは化成処理性に悪影響を与えず、高延性化するのに有効である旨が開示されている。特許文献2、4には、AlはSiと同様にめっき濡れ性を阻害する旨が記載されている。特許文献5には、Alは第2相がオーステナイトの場合に延性向上に寄与するベイナイト変態を促進する効果があり、強度−延性バランスを向上させる旨が開示されている。
特開平11-236621号公報 特開2003-193190号公報 特開2003-193192号公報 特開2003-193193号公報 特開2003-193194号公報
しかし、特許文献1〜5で提案された技術はいずれも、Al単独の効果を述べたものであり、そこでは、プレス成形性を向上させる上で有効な低降伏強度、高延性の性質を兼ね備えるフェライトおよびマルテンサイト主体の第2相とからなる複合組織鋼板においてAlと他の元素との複合作用効果について考慮されておらず、高強度化、高性能化、表面品質向上の要求を同時に満たすという課題は未解決のままであった。
そこで、本発明は、高強度化、高性能化、表面品質向上の要求を同時に満たした表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意考究し、その結果、Al、Crを有効活用し、さらにAl、Cr、Si、Mnのバランスを最適化することにより、590MPa級以上の引張強度を有しながら、表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを見出した。本発明は、この知見を基になされたものである。
すなわち、本発明は、基板とした鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記基板が、mass%で、C:0.02〜0.20%、Si:0.7%以下、Mn:1.5〜3.5%、P:0.10%以下、S: 0.01%以下、Al:0.1〜1.0%、N:0.010%以下、Cr:0.03〜0.5%を含有し、かつ、Al、Cr、Si、Mnの含有量を同号項とした数式:A= 400Al/(4Cr+3Si+6Mn)で定義された焼鈍時表面酸化指数Aが2.3以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに、前記基板の組織が、フェライトおよび第2相からなり、該第2相がマルテンサイト主体のものであることを特徴とする表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板である(ただし、下記高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を除く)

質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.2%以下、Mn:1.0〜3.0%、Al:0.5〜2.0%、Cr:1.0%未満を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPが0.1%以下、Sが0.1%以下、Nが0.020%以下であり、かつ、Si、Al、Mnが、<1>式:2≦Si(%)+Al(%)+Mn(%)≦4、を満足し、さらに体積%でマルテンサイトを3〜50%含有する鋼板の上に、質量%でFe:7〜15%を含有する亜鉛合金めっき層を備える高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明では、基板が、さらにmass%で、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、V:0.3%以下、Mo:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、B:0.002%以下を含有するものであってもよい。
本発明によれば、基板とする鋼板の化学組成を限定し、特にCrを0.03〜0.5%添加するとともに焼鈍時表面酸化指数A(=400Al/(4Cr+3Si+6Mn))を制御し、かつ鋼板組織を限定することにより、590MPa以上の引張強度を有する表面品質に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することが可能であり、防錆性が要求される自動車の部品等への適用が可能となることから、自動車業界における利用価値は大きい。
以下、本発明の各種限定要件について詳しく説明する。
まず、基板とした鋼板の組成要件の限定理由は次のとおりである。成分元素の含有量の単位はmass%とし、%と略記する。
C:0.02〜0.20%
Cは鋼の強化に有効な元素であり、強化能を得るためには、0.02%以上のC量を必要とする。しかし、C量が0.20%を超えると、スポット溶接における十字引張強度の低下が顕著となることから、C量は0.02〜0.20%の範囲とする。
Si:0.7%以下
Siは鋼の強化および強度−延性バランスを向上させるのに有効な元素であり、適宜添加することができる。しかし、Si量が0.7%を超えると、溶融亜鉛めっきにおける不めっきの発生や合金化処理反応性の低下を助長するため、表面品質や防錆性能が劣化する。そのため、Si量は0.7%以下とする。ただし、後述のように、A≧2.3を満たす範囲とする。
Mn:1.5〜3.5%
Mnは鋼の焼入れ強化に有効な元素であり、添加を必要とする。しかしMn量が1.5%未満の場合、焼入れ性が低下し、比較的冷却速度の遅い溶融亜鉛めっきラインでは、第2相の形成が不十分となり、強度が低下したり、加熱後の冷却段階で延性を劣化させるパーライトが形成され易くなる。また、Mn量が3.5%を超えると、溶製された鋼をスラブに鋳造する際、スラブ表面やコーナー部に割れが発生し易くなる。さらに、スラブを熱間圧延し、さらに、冷間圧延および焼鈍を施して得られた鋼板では、表面欠陥が顕在化する。このため、Mn量は1.5〜3.5%の範囲とする。ただし、後述のように、A≧2.3を満たす範囲とする。
P:0.10%以下
Pは鋼の強化に有効な元素であり、適宜添加することができる。P量の増大に伴い、圧延時に形成される表面酸化層(スケール)の剥離が大きくなるが、特に、P量が0.10%を超えると、粗圧延および仕上圧延時に鋼板表面に噴射される高圧水により、スケールの剥離量が過大となるため、得られた熱延板の表面粗さが極めて大きくなる。このような熱延板を冷間圧延した後、焼鈍を施して得られた焼鈍板では、表面粗さが著しく大きい。さらに、溶融亜鉛めっき後の合金化反応性が低下し、焼けムラと呼ばれる表面外観不良を引き起こす。このため、P量は0.10%以下とするが、スポット溶接における十字引張強度確保の観点から、0.05%以下が好ましい。
S:0.01%以下
Sは鋼中に過剰に存在すると、スラブ加熱時にオーステナイトの結晶粒界に偏析し、熱間圧延の際、鋼板表層部から赤熱脆性が起こり易くなる。特に、S量が0.01%を超えると、この悪影響が懸念される。このため、S量は0.01%以下とするが、スポット溶接における十字引張強度確保の観点から、0.005%以下がより好ましい。
Al:0.1〜1.0%
Alは本発明において重要な元素である。
Alは鋼中に過剰に存在すると、溶融亜鉛めっき後の鋼板の表面品質が劣化するが、Cr、Si、Mnとの相互作用により、1.0%以下ならば良好な表面品質を得ることができる。この理由は明確ではないが、冷延後の焼鈍によりCr、Si、Mn系の酸化物が表面に生成し、表面品質を劣化させるのをAl:0.1〜1.0%添加することにより、Al系あるいは複合酸化物が生成し、劣化を防ぐものと推定される。
上記効果は、0.1%未満では認められず、逆に1.0%超では効果が飽和し、高コスト化および溶接性の劣化等の問題を引き起こすため、Al量は0.1〜1.0%とする。ただし、後述のように、A≧2.3を満たす範囲とする。
N:0.010%以下
Nは鋼中に過剰に存在すると、鋳造時にスラブ表面に割れが発生するばかりか、溶融亜鉛めっき後の鋼板の延性も劣化する。さらに、AINが過剰に析出し、上記Alの効果が有効に発揮されなくなる。これら悪影響側の効果は、N量が0.010%を超えると顕著に発現する。このため、N量は0.010%以下とする。
Cr:0.03〜0.5%
Crは本発明において重要な元素である。特にCGLのように焼鈍後の冷却速度が遅くマルテンサイトが生成しにくいプロセスにおいては、Crは鋼の焼入れ強化に非常に有効な元素である。この効果を得るには、0.03%以上の添加を必要とする。しかし、Cr量が0.5%を超えるとこの効果は飽和し、一方で、表面品質を著しく低下させる。このため、Cr量は0.03〜0.5%の範囲とする。ただし、後述のように、A≧2.3を満たす範囲とする。
A:2.3以上
Aは不めっきの程度をよく記述できる基板成分含有量の関数として本発明者らが見出した焼鈍時表面酸化指数であり、数式:A=400Al/(4Cr+3Si+6Mn)で定義され、本発明において最も重要な項目である。式の右辺のAl、Cr、Si、Mnは同号元素の成分含有量(mass%)を表す。
Al、Cr、Si、Mnは、めっき前の焼鈍段階で鋼板表面に酸化物を形成しうる元素であるが、Al、Cr、Si、Mnがそれぞれ上記含有量の限定範囲を満たし、かつ、A≧2.3を満たすときに不めっきの無い、表面品質に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。Al、Cr、Si、Mnがそれぞれ上記含有量の限定範囲を満たしていてもA<2.3の場合は不めっきが発生し、表面品質が劣化するため、Aは2.3以上とする。
ここで、Cr添加量、Al添加量およびAの具体的数値を求めた実験と結果について詳述する。
mass%で、C:0.048〜0.220%、Si:0.02〜0.80%、Mn:1.40〜3.65%、P:0.014〜0.120%、S:0.001%、Al:0.03〜1.25%、N:0.0052〜0.0059%、Cr:0(すなわち無添加)〜1.5%、Nb:0〜0.09%、Ti:0〜0.09%、B:0〜0.0023%の範囲内で組成を種々変えた鋼スラブ(厚さ:30mm)に熱間の粗圧延および仕上圧延を施して得られた熱延板(板厚3.2mm)を板厚1.6mmまで冷間圧延した後、100mm×150mmのサイズに剪断し、基板サンプルを得た。この基板サンプルを、縦型溶融めっきシミュレータにて実機連続溶融亜鉛めっきラインに即したヒートサイクルによって、還元焼鈍〜溶融亜鉛めっきおよび合金処理を施し、めっき板サンプルを得た。
上記還元焼鈍〜溶融亜鉛めっきおよび合金処理では、還元性雰囲気(5%H2−N2)で最高温度830℃で180s焼鈍した後、1、5、10℃/sの3水準の冷却速度で冷却し、次いで470℃の浴温で溶融亜鉛めっきを施した後、520℃での60s保持による合金化処理を行った。
得られためっき板サンプルについて次の調査を行った。
同一条件で作製された3枚の表面をスキャナにより読み込み、画像解析により不めっき面積率を測定し、平均値を算出した。平均値は小数点第1位で四捨五入し、不めっき面積率として定義した。不めっき域は黒色で示され、正常部(白色)に対する黒色部の比として同定した。
また、各基板サンプルの組成から上記定義式を用いて焼鈍時表面酸化指数Aを算出した。
さらに、引張試験により鋼板の降伏強度と引張強度を測定し、その比(降伏強度/引張強度×100%)を降伏比YRとして求めた。YRの低いほうがマルテンサイトの生成した組織、いわゆるデュアルフェイズ鋼となっていることを示すものである。
以下に、これらの結果について示す。
図1に各冷却速度におけるCr添加量とYRの関係を示す。冷却速度10℃/sではCrレスでも低YRであり、Cr添加量の増加と共にYRが低下しているが、冷却速度1および5℃/sでは、Cr<0.03%では高YRでありマルテンサイトが生成していないのに対し、Cr≧0.03%ではYRが低下し、マルテンサイトが生成していることが分かる。すなわち、Cr≧0.03%であれば、冷却速度の遅いCGLでも安定してマルテンサイト生成組織を得ることができることを示すものである。
図2にAl添加量が0.1〜1.0%のめっき板サンプルにおけるAと不めっき面積率の関係を示す。Aが増加すると不めっき面積率が減少し、2.3以上で不めっき面積率=0となることが分かる。
ここで、不めっき面積率が0となるAをA*と定義する。図2においてはA*=2.3となる。
図3にAl添加量とA*の関係を示す。Al≧0.1%ではA*はほぼ2.3で安定するが、Al<0.1%のときは、Al添加量の減少と共にA*が増加し、不めっきが発生しやすくなることが明確となった。
また、本発明では、基板の鋼組成には、必要に応じて、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、V:0.3%以下、Mo:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、B:0.002%以下を添加することができる。
Nb:0.1%以下
Nbは鋼中において、固溶状態で存在し、また、Cと微細炭化物を形成することにより、熱間圧延時にオーステナイトを細粒化して、これから変態するフェライト、パーライト等の熱延板組織を微細化し、更に、焼鈍段階で形成されるフェライトおよびオーステナイトの微細化、さらには焼鈍中の溶解、再析出により析出強化付与にも寄与する。この効果は0.01%以上の添加で顕現する。しかし、Nb量が0.1%を超えると、焼鈍時にフェライトの再結晶温度は上昇し、また、焼鈍後の鋼板組織に加工組織が残存し易くなり、得られた鋼板の延性が著しく劣化する。よって、Nbを添加する場合、その添加量は0.1%以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1%である。
Ti:0.1%以下
Tiは鋼中でCまたはNと微細炭化物や微細窒化物を形成することにより、熱延板組織ならびに焼鈍後の鋼板組織の微細化および焼鈍中の溶解、再析出により析出強化付与に有効に作用する。この効果は0.01%以上の添加で顕現する。しかし、Ti量が0.1%を超えると、焼鈍後の鋼板の延性が著しく劣化する。よって、Tiを添加する場合、その添加量は0.1%以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1%である。
V:0.3%以下
Vは鋼の強化に有効な元素であり、また、Vと形成される窒化物は焼鈍板組織の微細化に寄与する。これらの効果は0.03%以上の添加で顕現する。しかし、V量が0.3%を超えると、これらの効果は飽和する。よって、Vを添加する場合、その添加量は0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.03〜0.3%である。
Mo:0.5%以下
Moは鋼の焼入れ強化に有効な元素であり、この効果は0.03%以上の添加で顕現する。しかし、Mo量が0.5%を超えると、この効果は飽和する。よって、Moを添加する場合、その添加量は0.5%以下が好ましく、より好ましくは0.03〜0.5%である。
B:0.002%以下
Bは熱間圧延時にオーステナイト粒界に偏析し、オーステナイトの粒成長を抑制することにより、これから変態するパーライト等の熱延組織の微細化に有効に作用し、また、焼鈍時の加熱段階でパーライトから逆変態しオーステナイトの粒界にも偏析して、オーステナイトの細粒化に寄与し、さらには、加熱後の冷却過程で形成されるオーステナイトの低温変態相の微細化に大きく寄与する。これらの効果は0.0002%以上の添加で顕現する。しかし、B量が0.002%を超えると、微細化効果が飽和するばかりか、熱間圧延時にオーステナイトの再結晶が著しく遅滞するため、熱間圧延の変形抵抗が上昇し、圧延負荷が著しく増大する。さらに、溶融亜鉛めっき後の合金化反応性が低下し、焼けムラと呼ばれる表面性不良を引き起こす。よって、Bを添加する場合、その添加量は0.002%以下が好ましく、より好ましくは0.0002〜0.002%である。
基板とした鋼板の組成において、上記の元素以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。なお、本発明の作用効果を害さない範囲で、その他の微量元素を含有することは許容される。
次に、基板とした鋼板の組織要件について説明する。本発明で目標とした引張強度590MPa以上を達成するために、鋼板組織は、フェライトと第2相との混合組織であって、第2相がマルテンサイト主体である組織とする。もっとも、自動車構造部材への適用を考慮すると、引張強度590〜1470MPaを安定して達成するのが望ましく、そのためには、フェライトの体積分率3〜95%(第2相の体積分率5〜97%)とし、第2相の主体であるマルテンサイトの第2相中体積分率は、70%以上の範囲とするのが好ましい。第2相には、主体であるマルテンサイトのほか、ベイナイト、パーライト、ベイニティックフェライト、残留オーステナイトを含んでも良い。ただし、残留オーステナイトを含む場合は、引張強度確保の観点から、その体積分率は3%以下とするのが良い。
次に、本発明のめっき鋼板の製造方法について述べる。本発明のめっき鋼板は、前述の化学組成になる鋼を溶製して鋳造する工程と、次いで粗圧延および仕上圧延を施す熱間圧延(熱延)工程と、熱間圧延後に酸洗を施す工程と、次いで冷間圧延(冷延)を施す工程と、その後焼鈍、溶融亜鉛めっきを順次施す工程とにより製造できるものである。
溶製・鋳造の方法は特に限定されず、成分偏析等、特に組織の不均一など無ければ良い。鋳造成品であるスラブは、鋳造後熱いうちに直ちに熱間圧延しても良いし、あるいは一旦冷却し再び加熱してから熱間圧延しても良い。仕上圧延終了温度は950℃以下、巻取り温度は680℃以下、冷延圧下率は30%以上、焼鈍温度は750〜900℃がそれぞれ好ましい。
なお、焼鈍工程前に酸洗および脱脂処理等の表面清浄工程を通しても構わず、溶融亜鉛めっき後、合金化処理を行っても良い。その場合、合金化めっき層中のFe含有率が9〜12%となるように実施するのが好ましい。
また、亜鉛めっき後の鋼帯には、形状矯正、表面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を加えてもよく、さらに得られた鋼板に化成処理を施しても所望の特性に何ら悪影響をおよぼすことはない。
以上の製造工程を経て、本発明の意図する表面品質に優れる590MPa以上の引張強度を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
また、従来Si添加鋼において、熱延後の鋼板表面にFeが虎縞状に生成し、冷間圧延前の酸洗により除去されるとその部分が凹となり、醜い凹凸模様を形成することで表面外観を損ねる、いわゆる赤スケール跡の問題があった。しかし本発明で用いる基板の鋼組成では、Al添加により、Al系あるいは複合酸化物が優先的に生成すると推定されるため、Si添加にも関わらず、Fe2O3の生成を抑制することが可能であるため、溶融亜鉛めっき鋼板はもちろんのこと、冷延鋼板や熱延鋼板(白皮)においても、表面外観の向上が可能である。
表1に示す化学組成になる鋼(鋼番号1〜36)を実験室にて溶製した後、鋳造して、厚さ50mmのスラブを作製した。このスラブを厚さ30mmまで分塊圧延した後、大気炉にて1270℃で1h加熱して、熱間圧延に供した。粗圧延および仕上圧延を経て厚さ4.0mmの熱延板を作製した。なお、仕上圧延終了温度は860℃とした。圧延後、平均20℃/sの冷却速度で鋼板を冷却し、600℃での巻取りに相当する600℃×1hの熱処理を施した。次に、この熱延板を酸洗し、板厚1.6mmまで冷間圧延した。この冷延鋼板を100mm×150mmのサイズに剪断した供試材に酸洗および電解脱脂を施した後、縦型溶融めっきシミュレータにて実機の連続溶融亜鉛めっきラインに即したヒートサイクルによって、還元焼鈍、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施した。このシミュレーションでは、還元性雰囲気(5%H2−N2)で820℃で180s均熱した後、平均5℃/sの冷却速度で冷却して、470℃の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬した後、550℃で60s合金化処理を施した。得られたサンプルについて次の調査を行った。
(表面性状:) 同一条件あたり3枚ずつ用意したサンプルの表面をスキャナーにより読み込み、前述の方法で不めっき面積率を求めた。また、不めっき面積率=0であった試料についてはさらにめっき表面外観を観察し、合金化ムラによる濃淡模様の有無を判定した。濃淡模様無しが○、濃淡模様有りが×として判定した。
(引張特性:) 鋼板を伸長率0.5%にて調質圧延して、引張試験および穴拡げ試験により、降伏強度(YP)、引張強度(TS)、降伏比(YR)、全伸び(El)、穴拡げ率(λ)を測定した。引張試験は圧延方向についてJIS Z 2201に規定の5号試験片を用いて行った。穴拡げ試験は鉄鋼連盟規格に規定の方法にて行い、λを算出した。
(鋼板組織:) 圧延方向に並行な断面の光顕観察組織を画像解析し、フェライトおよび第2相中マルテンサイトの体積分率を測定した。
Figure 0004380348
Figure 0004380348
Figure 0004380348
その結果、表2に示すように、本発明要件を満たすサンプル(発明例)は、590〜1479MPaの好適高強度範囲を満たしながら、表面品質に優れるものとなった。これに対し、本発明要件を満たさないサンプル(比較例)は、好適高強度範囲と優れた表面品質とを同時に満足することはできなかった。
本発明は、自動車の構造部品に係わる産業に利用することができる。
各冷却速度におけるCr添加量とYRの関係を示す図である。 Aと不めっき面積率の関係を示す図である。 Al添加量とA*の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 基板とした鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記基板が、mass%で、C:0.02〜0.20%、Si:0.7%以下、Mn:1.5〜3.5%、P:0.10%以下、S: 0.01%以下、Al:0.1〜1.0%、N:0.010%以下、Cr:0.03〜0.5%を含有し、かつ、Al、Cr、Si、Mnの含有量を同号項とした数式:A= 400Al/(4Cr+3Si+6Mn)で定義された焼鈍時表面酸化指数Aが2.3以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに、前記基板の組織が、フェライトおよび第2相からなり、該第2相がマルテンサイト主体のものであることを特徴とする表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板(ただし、下記高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を除く)

    質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.2%以下、Mn:1.0〜3.0%、Al:0.5〜2.0%、Cr:1.0%未満を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPが0.1%以下、Sが0.1%以下、Nが0.020%以下であり、かつ、Si、Al、Mnが、<1>式:2≦Si(%)+Al(%)+Mn(%)≦4、を満足し、さらに体積%でマルテンサイトを3〜50%含有する鋼板の上に、質量%でFe:7〜15%を含有する亜鉛合金めっき層を備える高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記基板が、mass%で、さらにNb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記基板が、mass%で、さらにV:0.3%以下、Mo:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 前記基板が、mass%で、さらにB:0.002%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
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