JP4877099B2 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4877099B2
JP4877099B2 JP2007170746A JP2007170746A JP4877099B2 JP 4877099 B2 JP4877099 B2 JP 4877099B2 JP 2007170746 A JP2007170746 A JP 2007170746A JP 2007170746 A JP2007170746 A JP 2007170746A JP 4877099 B2 JP4877099 B2 JP 4877099B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
hot
steel sheet
rolled steel
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007170746A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009007640A (ja
Inventor
泰明 田中
規雄 今井
俊郎 富田
祐久 菊地
光 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2007170746A priority Critical patent/JP4877099B2/ja
Publication of JP2009007640A publication Critical patent/JP2009007640A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4877099B2 publication Critical patent/JP4877099B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、950MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、強度延性バランスおよび形状凍結性に優れ、好適態様にあってはさらに化成処理性や表面性状にも優れる、950MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板およびその製造方法に関する。
連続熱間圧延によって製造されるいわゆる熱延鋼板は、比較的安価な構造用材料として自動車をはじめとする各種の産業機器に広く使用されている。特に、燃費低減の観点から軽量化が求められている自動車部品では、軽量化しても強度を維持できる高強度(おおむね390MPa以上)の熱延鋼板の適用が増加しつつある。最近は環境問題意識の高まりにより、更なる車体の軽量化が求められているため、超高強度である950MPa以上の引張強さを有する熱延鋼板が要望されるようになってきている。
このように鋼板の高強度化が進むにつれて、スプリングバック等のプレス不良が発生し、加工性が劣化するという問題が顕在化してきている。また、高強度化に伴う添加元素増量の影響により熱延鋼板の表面性状は劣化する傾向にある。例えば、デスケーリング不良により熱間圧延後の熱延鋼板の表面に残存する島状スケールや、これが酸洗されて表面疵となった島状スケール疵は、外観を損ねて商品価値を下げる。さらに、島状スケール疵は、加工時のクラック発生起点となり、成形性や疲労特性を劣化させる。
低降伏比とすることによりプレス成形性を向上し、かつ優れた表面性状を有する鋼板は、例えば特許文献1に開示されているが、これに記載された化学成分および製造条件では950MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板を得ることができない。
950MPa以上の引張強度と高加工性を有する熱延鋼板としては、例えば特許文献2にベイナイトによる変態強化を利用する方法が開示されている。しかしながら、この発明では表面性状を向上させる積極的な方法は明らかにされていない。また、発明の効果を得るためには熱間圧延後0.5秒以内に30℃/秒 以上の冷却速度で冷却を開始する必要があるが、仕上圧延機の出側近傍には通常板厚・幅等の品質を制御する計測機器類が配置されているため、この冷却方法を実現するように水冷却バンクを仕上圧延機の出側近傍に近接させると、計測機器類が冷却水の影響を受けて制御不良を引き起こすおそれがある。しかも、一般に仕上熱間圧延は先端部での圧延速度を低速として後端部にかけて高速にするため、この冷却方法では圧延速度の変化に起因して実効的な冷却の程度が鋼板の先端部と後端部とで異なることなり、製品品質や製造の安定性を確保し難いという問題点を有する。
さらに特許文献3には、950MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板が開示されており、表面性状が要求される場合にはSiを低減することが示唆されている。その一方で、当該文献に開示された鋼板によれば、低降伏比特性を得るためにはマルテンサイトを存在させることが好ましいと記載されている。しかしながら、マルテンサイトを生成させるにはSi含有量が高い方が好ましいため、この方法では950MPa以上の強度を有し形状凍結性に優れしかも表面性状に優れる鋼板を得ることは困難である。
特開平9−241790号公報 特開2000−282175号公報 特開2004−68095号公報
本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解決し、強度延性バランスに優れるとともに低降伏比で形状凍結性に優れた950MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板およびその製造方法を提供することである。さらに、好適態様にあっては優れた化成処理性と表面性状とをも具備する熱延鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、950MPa以上の高強度を有しながら高い強度延性バランスを実現させるために、鋼中の微細金属炭化物による析出強化に注目し、種々の元素についてその含有量のバランスと熱間圧延工程における種々の条件とを変化させ、高強度と高延性を得るために最適な方法について鋭意研究を重ねた。
その結果、Ti、Nb、Vを含有させた鋼において、フェライトを適切な温度域で形成させると、フェライト中に金属炭化物が微細分散し、950MPa以上の高強度を有しつつ、引張強度(MPa)×全伸び(%)≧15000の強度延性バランスに優れた特性を示す熱延鋼板を得られることを見出した。
さらにプレス成形性、とくに形状凍結性を向上させるべく、前述の強度延性バランスを維持しながら、鋼板の降伏比(YR)を低減させうる化学組成についても鋭意研究を重ねた。その結果、C、Ti、NbおよびVの含有量のバランスを適切に規定することで降伏比が80%未満の鋼板が得られうることを見出した。また、かかる熱延鋼板を、鋼板内の硬度分布という組織上の特徴をとして規定可能であることも見出した。
しかも、SiとVの含有量を適切に規定することで、自動車用部材用鋼板に要求される重要な表面特性である化成処理性について最大限の効果が得られることを見出し、化成処理性を大幅に改善できるとの知見を得た。
加えて、上記の化学組成を有する鋼が高強度と高い強度延性バランスとを安定的に発現しうる好ましい製造方法についても検討した。その結果、C、Ti、NbおよびVの含有量のバランスを適切な範囲とした鋼板を、熱間圧延後の冷却過程において600〜780℃の温度域に一旦空冷以下の冷却速度にて滞留させて15〜80%のフェライトを生成させ、その後の冷却工程および/または巻取工程において残部組織の硬度を適切に制御することにより、950MPa以上の高強度と引張強度(MPa)×全伸び(%)≧15000とを有し、さらに降伏比80%未満を有する鋼板が得られることを見出した。
また、上記の鋼板の表面性状を向上しうる製造方法についても鋭意研究を重ねた結果、鋼中のP、Si、Alの含有量に応じて粗圧延後の粗バーの温度を規定することにより、デスケーリング効果を効率的かつ安定的に引き出すことが可能であり、鋼板の表性状を著しく改善できるという知見を得た。
ここに、950MPa以上の高強度と引張強度(MPa)×全伸び(%)≧15000の高い強度延性バランスとを有しつつ、降伏比80%未満の優れた形状凍結性を有する鋼板、さらには化成処理性や表面性状に優れた熱延鋼板を完成した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.01〜0.2%、Al:0.1%超3.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)を満足する化学組成を有し、引張強度TSが、950MPa以上であって、かつ、全伸びEl(%)との積であるTS×El値が15000MPa・%以上であり、さらに、降伏比が80%未満であることを特徴とする熱延鋼板。
Figure 0004877099
ここで、式(1)中のC、Ti、NbおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(2)記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Cr、Cu、Ni、Mo、ZrおよびWからなる群から選ばれる1種以上を合計で1.0質量%以下含有することを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱延鋼板。
(4)前記化学組成が下記式(2)を満足することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱延鋼板。
Figure 0004877099
ここで、式(2)中のSiおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(5)15〜80面積%のフェライトを含有し、前記フェライトの平均ビッカース硬度と残部組織の平均ビッカース硬度との差ΔHvが50以上である鋼組織を有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(6)鋼板表面の島状スケールまたは島状スケール疵の面積率が3%以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(7)下記工程(A)〜(C)を備えることを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板の製造方法:
(A)質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.01〜0.2%、Al:0.10%超3.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)を満足する化学組成を有する鋼塊または鋼片を1200℃以上とした後に粗熱間圧延を施して粗バーとする粗熱間圧延工程;
(B)前記粗バーに圧延完了温度がAr点温度以上である仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とする仕上熱間圧延工程;および
(C)前記仕上熱間圧延工程により得られた前記熱延鋼板を30℃/秒以上の平均冷却速度で600〜780℃の温度域まで冷却し、次いで前記温度域に2〜20秒間滞在させ、その後30℃/秒以上の平均冷却速度で500℃以下の温度域まで冷却して巻取る冷却工程。
Figure 0004877099
ここで、式(1)中のC、Ti、NbおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(8)前記工程(A)と前記工程(B)との間に下記工程(D)を備え、該工程(D)で得られたデスケーリング後の粗バーが工程(B)に供される上記(7)記載の熱延鋼板の製造方法:
(D)前記粗熱間圧延工程で得られた粗バーの表面温度TBRT(℃)が下記式(3)を満たす状態で該粗バーにデスケーリングを施すデスケーリング工程。
Figure 0004877099
ここで、式(3)中のAl、PおよびSiは鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(9)前記化学組成が、Feの一部に代えて、Cr、Cu、Ni、Mo、ZrおよびWからなる群から選ばれる1種以上を合計で1.0質量%以下含有することを特徴とする上記(7)または(8)に記載の熱延鋼板の製造方法。
(10)前記化学組成が、Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
(11)前記化学組成が下記式(2)を満足することを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
Figure 0004877099
ここで、式(2)中のSiおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
向けて、設けられることが望ましい。
本発明によれば950MPa以上の高強度であっても強度延性バランスおよび形状凍結性に優れ、さらに好適態様にあっては、化成処理性や表面性状に優れる熱延鋼板が得られる。かかる鋼板を例えば自動車用鋼材として用いれば車輌重量の大幅な軽減に寄与する。
以下に、本発明の最良の形態や製造条件の範囲およびこれらの設定理由について説明する。なお、本明細書において、化学組成を表す「%」は、特にことわりが無い限り「質量%」である。
1.化学組成
本実施形態に係る鋼の化学組成について説明する。
C:0.05〜0.25%
Cは、強度向上に有効な元素であり、950MPa以上の強度を得るために0.05%以上含有させる。C含有量が0.05%を下回ると目的とする強度を得ることが困難となり、0.25%を超えるとフェライト中に粗大な炭化物を形成して加工性を損なう。したがって、C含有量を0.05%以上0.25%以下とする。好ましい含有量は0.08%以上0.20%以下である。
Si:0.01〜1.5%
Siは、強度向上に伴う延性の劣化を緩やかにするため、強度延性バランスを向上させる作用を有する。しかしながら、Si含有量が0.01%を下回るとこの作用による効果が十分でなく、1.5%を超えて含有させても効果が飽和する。したがって、Si含有量を0.01%以上1.5%以下とする。また、Si含有量が多いと島状スケールや島状スケール疵が発生しやすく、また残留オーステナイトが形成されて伸びフランジ性等の成形性が劣化する傾向を示す。このため、Si含有量を1.0%以下とすることが好ましい。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、強度向上に有効な元素であり、目的とする強度を得るために0.5%以上含有させる。さらに、Mnは、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させるため、仕上温度を低下させることを可能とし、フェライト粒径の微細化を容易にするとともに第二相の形成を促す。このため、伸びフランジ性の向上と低YR化に寄与する。この観点からは、Mnを0.8%以上含有させることが好ましい。一方、過剰の含有は仕上圧延後のフェライト変態を遅延させ、製造安定性を損なう。このためMn含有量を3.0%以下とする。また、含有量が多いとスラブ中心部に偏析する傾向が強くなり成形性が劣化するようになる。このため、Mn含有量を2.5%以下とすることが好ましい。
P:0.1%以下
一般に不純物として含有されるが、強度向上にも寄与するため、積極的に含有させても良い。しかし、粒界に偏析し脆化を生じるため、P含有量は0.1%以下とする。
S:0.01%以下
一般に不純物として含有され、Mn、Ti等と結合し、粗大な硫化物系の介在物を形成して加工性を著しく損なう。このため、S含有量を0.01%以下とする。0.007%以下とすることが好ましく、0.003%以下とすることがより好ましい。
V:0.1%超0.5%以下
Vは、本発明において重要な元素の一つであり、フェライト変態を促進する作用を有するとともに、Cと結合して微細な炭化物となり、鋼の析出強化に有効に作用する。950MPa以上の強度を確保するために0.1%を超えて含有させる。0.15%以上含有させることが好ましい。一方、過剰に含有させても効果が飽和していたずらにコスト増を招くため、V含有量を0.5%以下とする。0.3%以下とすることが好ましい。
Nb:0.1%以下
Nbは、含有させることにより炭窒化物を形成し、オーステナイト粒を微細化してフェライトの核生成サイトを増やし、フェライトの粗大化を抑制する。さらに、V、Tiとの複合添加により微細な析出物を形成し強度向上に大きく寄与する。一方、過剰に含有させるとフェライト変態の遅延を招き、良好な延性を確保するために必要なフェライト量を確保することが困難となる。このため、Nb含有量を0.1%以下、好ましくは0.05%以下とする。Nbによる上記効果を確実に得るためには、Nb含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
Ti:0.01〜0.2%
Tiは、本発明において重要な元素の一つであり、含有させることにより鋼中のNを固定し伸びフランジ性の向上に寄与する。このため、Ti含有量を0.01%以上とする。さらに、N固定に要する以上のTiを含有させることにより、Cと結合し微細な炭化物を形成して鋼の析出強化に有効に作用する。このため、Ti含有量を0.05%以上とすることが好ましく、0.08%以上とすることがさらに好ましい。一方、過剰に含有させるとオーステナイト中に粗大な炭窒化物を形成して鋼の機械特性を劣化させるため、Ti含有量を0.2%以下とし、0.15%以下とすることが好ましい。
Al:0.10%超3.0%以下
Alは、本発明において重要な元素の一つであり、フェライト変態を促進し、低温でも十分なフェライト相が得られるようにして製造安定性を高めるとともに、粗大なセメンタイトの形成を抑制し良好な伸びフランジ性の確保に有効である。このため、Al含有量を0.10%超とする。0.12%以上とすることが好ましい。一方、過剰に含有させると、オーステナイトからフェライトへの変態温度を過度に上昇させ、仕上温度の上昇を招き製造安定性を損なうとともに、オキサイドを形成し成形性を劣化させる。このため、Al含有量を3.0%以下とする。2.0%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすればさらに好ましい。
N:0.01%以下
Nは、Ti、Nb、V等と結合し、粗大な窒化物を形成して加工性を損なわせる不純物元素である。したがって、N含有量を0.01%以下とする。0.006%以下とすることが好ましい。
さらに、次の元素を任意成分として含有していてもよい。
Cr、Cu、Ni、Mo、Zr、Wからなる群から選ばれる1種以上を合計で1.0%以下
上記元素は強度を向上させる作用を有するとともに、伸びフランジ性を損なうパーライトの形成を抑制する作用を有する。このため合計で1.0%以下含有させてもよい。上記効果を確実に得るには合計含有量を0.1%以上とすることが好ましい。一方、合計含有量が1.0%を上回ると効果が飽和して製品のコストアップにつながり、また化成処理性を損なう。好ましい合計含有量は0.8%以下である。
Ca、Mg、REMからなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01%以下
Ca、Mg、REM(希土類金属)は溶鋼中でオキサイドを形成し、脱酸作用により鋼の清浄度を向上し特性改善に寄与する。また炭窒化物の形成核として作用するため、適切に微細分散化すると、粗大な炭窒化物の形成を抑制し伸びフランジ性を向上する。このため、合計で0.01%以下含有させてもよい。上記効果を確実に得るには合計含有量を2ppm以上とすることが好ましい。一方、合計含有量が0.01%を超えると粗大オキサイドを形成し、かえって鋼の清浄度を低下させ、伸びフランジ性を損なう。好ましい合計含有量は0.005%以下である。
バランス規定
上記化学組成を、下記式(1)を満足するように規定することにより、優れた強度延性バランスと形状凍結性とを具備させることができる。さらに、好ましくは、下記式(2)を満足するように規定することにより、良好な化成処理性をも具備させることができる。
Figure 0004877099
上記式(1)は、金属炭化物と未変態オーステナイトとの炭素分配に関する式である。C,Ti,Nb,およびVの含有量(単位:質量%)からなる式である中辺が、左辺を下回る、すなわち0.10未満となると、低YRが得られず形状凍結性が劣化する。一方、この中辺が右辺を上回る、すなわち1.0を超えると、粗大なセメンタイトや残留オーステナイトの形成により延性や伸びフランジ性が劣化する。機械特性に関しては、化学組成が下記式(4)を満足するように規定することがさらに好ましい。
Figure 0004877099
上記式(2)は化成処理性に関する式であり、SiとVとの含有量(単位:質量%)の総和である左辺が、右辺を上回る、すなわち1.5質量%を超えると、化成処理性が著しく劣化する。この原因は必ずしも明らかではないが、SiおよびVが鋼板表面に濃化して化成反応を阻害していることに起因すると推測される。なお、目標化成処理性における良好との判断基準は、「化成結晶による鋼板表面の被覆率が50%以上であること」とした。化成処理性に関しては、化学組成が下記式(5)を満足するように規定することがさらに好ましい。
Figure 0004877099
2.表面性状
本実施形態に係る鋼板は、その表面における島状スケールまたは島状スケール疵の面積率は3%以下とすることが好ましい。ここで規定する面積率は、熱延鋼板の非定常部分を除いた部分、すなわち圧延幅方向の両端部よりそれぞれ100mmおよび圧延方向の先端部および後端部よりそれぞれ30mを除いた部分における面積割合である。
ここで、「島状スケール疵」とは酸洗後に赤スケールが除去されてできるへこんだ押し込み疵であるから、酸洗前鋼板の島状スケールと酸洗後の島状スケール疵の位置および面積率はほぼ一致する。したがって、酸洗前の島状スケールの面積率を調査すれば酸洗後の島状スケール疵の面積率が得られることから、「島状スケールまたは島状スケール疵の面積率」を得るためには、酸洗前の鋼板表面の島状スケールの面積率を求めればよい。
なお、この表面性状は、後述する製造方法を実施することによって安定的に得ることが可能である。
3.鋼組織
本発明による鋼組織は、15〜80面積%のフェライトと残部硬質相とよりなることが好ましい。フェライトが15面積%を下回ると延性が劣化し、成形性が損なわれる場合がある。また、フェライトが80面積%を超えると、YRが上昇し形状凍結性が劣化する場合がある。この理由は定かではないが、おそらくフェライト中において金属炭化物の微細析出が顕著となり、微細分散強化によりYRが上昇するものと推測される。好ましいフェライト面積率は65%以下である。
なお、ここでいうフェライトとは、ポリゴナルフェライト、擬ポリゴナルフェライト、ベイニティックフェライトが含まれる。
さらに、上記フェライトの平均ビッカース硬度と残部組織の平均ビッカース硬度との差ΔHvを50以上とすると、YR<80%を達成することができる。好ましい硬度差はΔHv≧80である。一方ΔHvが過大となると伸びフランジ性の劣化を招くため、伸びフランジ性を要する場合にはΔHv≦250とすることが好ましい。
フェライトを除いた残部組織はパーライト以外の組織であればよく、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトが例示される。パーライトを残部組織とすると、低YRが得られず形状凍結性を劣化させ、さらには伸びフランジ性を著しく劣化させる。
なお、残部組織における残留オーステナイトの面積率は、伸びフランジ性を要する場合には5面積%以下とすることが好ましい。残留オーステナイトの面積率が増加すると伸びフランジ性を劣化させる傾向がある。
4.製造条件
本実施形態に係る熱延鋼板は、上記のような化学組成上の特徴および鋼組織上の特徴を有し、好適態様においてはさらに上記の表面性状を有し、機械特性として、950MPa以上の高強度と引張強度(MPa)×全伸び(%)≧15000の高い強度延性バランスとを有しつつ、さらに降伏比が80%未満であるならば、製造方法には特に限定されない。ただし、次のような製造方法を採用すれば、本実施形態に係る熱延鋼板を効率的に、かつ安定的に得ることが実現される。
(1)熱間圧延前の加熱
上記化学組成を備える鋼塊または鋼片の温度を1200℃以上として熱間圧延に供し、粗大な炭窒化物を固溶させることが好ましい。粗大な炭窒化物は、伸びフランジ性を阻害するとともに、強度向上に寄与する微細な炭窒化物を形成する元素を消費する。したがって、1200℃以上とすることによって、強度低下や伸びフランジ性の低下などの機械特性の劣化が回避される。
なお、連続鋳造により得られた鋼塊や分塊圧延後の鋼片の温度が1200℃以上であるならば、追加的な加熱を行わなくてもよい。一方、鋼塊または鋼片の温度の上限は特に限定されないが、加熱炉の炉内耐熱壁の耐久性およびスケールロスによる歩留まりの低下の観点から1400℃以下とすることが好ましい。
(2)粗熱間圧延
上記の温度に加熱された鋼塊または鋼片に粗熱間圧延を施して粗バーとする。鋼塊または鋼片に機械的な圧縮加工を加える粗熱間圧延工程は1050℃以上の温度域において行うことが好ましい。このようにすることにより、加工歪に起因する粗大な炭窒化物の形成が低減され、良好な穴拡げ性が実現される。
(3)粗熱間圧延後のデスケーリング
上記の粗熱間圧延を施した粗バーをデスケーリングするにあたって、粗バーの表面温度TBRTが下記式(3)を満たすようにすることが好ましい。粗バーの表面温度TBRTが式(3)を満たすことで、鋼板表面の島状スケール発生の原因となるFeO−FeSiO共晶化合物層を半溶融状態とすることが可能となり、スケール剥離性が著しく向上する。このため、優れた表面性状を有する鋼板が得られやすい。
Figure 0004877099
ここで、式中のAl、P、Siは化学組成における各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
粗バーを上記のTBRTとする手段については特に限定されない。工業的には、例えば粗熱間圧延用ロールスタンド群と仕上熱間圧延用ロールスタンド群の間に設置された誘導加熱装置等の使用が好適である。なお、粗熱間圧延に供される鋼塊または鋼片の加熱温度を高温とすることにより粗熱間圧延後の粗バーの温度をTBRTとすることができる場合には、上記のような粗熱間圧延後の加熱を施さなくてもよい。デスケーリングを行う手段・設備についても特に限定しないが、実用的にはスプレーによる高圧水の噴射が好適である。
(4)仕上熱間圧延
上記粗バーに仕上熱間圧延を施すにあたって、仕上熱間圧延をオーステナイト温度域で行い、仕上熱間圧延の終了温度をAr点温度以上とすることが好ましい。また、圧延中に導入された加工歪みによるフェライト変態の促進効果が高まるため、仕上げ圧延の終了温度をAr点温度に近づけることがより好ましい。本発明で規定される鋼のAr点は概ね750℃から980℃である。
(5)仕上熱間圧延後の冷却から巻取り
仕上熱間圧延が完了したら、30℃/秒以上の平均冷却速度で600〜780℃まで冷却し、続いて、その温度域で2秒間以上20秒間以下の時間滞留させた後、30℃/秒以上の平均冷却速度で500℃以下の温度域まで冷却して巻き取ることが好ましい。以下の説明では、上記の冷却および冷却速度を、便宜的にそれぞれ第一、第二冷却および第一、第二冷却速度という。
第一冷却速度を30℃/秒より低くすると、フェライト相が過剰に形成され、強度不足となったり、高YRとなって形状凍結性が損なわれたりする場合がある。また、冷却中にパーライトが析出するおそれがあり、この場合には伸びフランジ性が低下してしまう。特に好ましい第一冷却速度は50℃/秒以上である。
第一冷却における冷却停止温度を780℃より高い温度とすると、フェライト中に析出する金属炭化物が急激に粗大化し、強度が低下するおそれがある。一方、この冷却停止温度を600℃未満とすると、フェライトの形成が不足し、強度、延性および伸びフランジ性のバランスが劣化する場合がある。YR、延性および伸びフランジ性のバランスを考慮すると、第一冷却における冷却停止温度は650℃以上750℃以下とすることが一層好ましい。
第一冷却における冷却停止時の滞留時間を2秒間未満とすると、十分な量のフェライトが得られず、延性および伸びフランジ性が低下する場合がある。一方、20秒間を超えて滞留させると強度低下を招く場合がある。これは過剰なフェライト相の生成と析出物の粗大化に起因するものと推測される。したがって、特に好ましい滞留時間は5秒間以上15秒間以下である。
第二冷却速度を30℃/秒よりも低くすると、冷却中にフェライト粒内の炭化物粗大化および冷却中のフェライト変態によって、第二相の体積率が低下したりその硬度が低下したりして、鋼板全体の強度が低下する場合がある。また、冷却速度が遅いとパーライトが形成して伸びフランジ性が損なわれる。特に好ましい第二冷却速度は50℃/秒以上である。
引き続いて行なわれる巻取り過程では、巻取温度を500℃超とすると、YRが上昇して形状凍結性を損なう場合がある。巻取温度を低くすれば低くするほど、硬質なマルテンサイトの形成がなされやすい。このため巻取温度を低く設定することでYRを特に低下させることができる。したがって、巻取温度は300℃以下とすることが特に好ましい。しかしながら、巻取温度が低すぎると錆び発生により製品表面が劣化する場合がある。冷却水が鋼板表面に残存することが原因と推測される。したがって、巻取温度は80℃以上とすることが好ましい。
1.実施例1
表1に示す化学組成を有する鋼のうち、本発明範囲内の化学組成を有する鋼種A〜F、および範囲外の鋼種G,I〜Kについて、インゴットを鍛造し、厚さ30mmの鋼片を得た。得られた鋼片を再加熱し、試験用小型タンデムミルにて熱間圧延を施して板圧2.6mmの熱間圧延鋼板を得た。熱間圧延に際して、鋼片の加熱温度、仕上温度、第一冷却速度、第一冷却停止温度およびその温度における滞留時間、第二冷却速度、巻取温度について種々の検討を行った。冷却については水スプレー装置を用い、実ラインにおける熱延鋼帯巻取り後の熱履歴を模擬した温度制御型除冷炉を用いて巻取過程を模擬した。各試験の熱間圧延条件は表2に示したとおりである。なお、全ての表中の下線は、本発明の範囲外であることを意味する。
Figure 0004877099
Figure 0004877099
得られた熱延鋼板からJIS5号試験片を採取して、引張強度などを測定して機械特性を評価した。また、100mm四方の試験片を採取し、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001に準じて穴拡げ性を評価した。
次に、鋼組織を評価すべく、得られた熱延鋼板の圧延方向の厚さ方向断面をナイタール腐食により光学顕微鏡観察し、フェライト面積率を測定した。さらに鋼板の1/4t部近傍より圧延面に平行なサンプルを採取し、X線回折法により残留オーステナイト量を測定した。
さらに、得られた鋼板から100mm×70mmのサンプルを複数枚採取し、これを酸洗後に、日本パーカライジング社製バルボンドWL35を満たした浸漬槽に液温35℃にて180秒間浸漬して化成処理を施した後、これらの表・裏面を走査型電子顕微鏡にて観察し、鋼板表面に対する化成結晶の平均被覆率を見積もった。
表2に実施した鋼種と熱間圧延条件の詳細を示す。さらに表3には実施により得られた鋼板の特性を示す。本発明で規定する範囲内の鋼種および熱間圧延条件を適用した鋼板(試番1〜8)は、本発明に定める機械特性を満足することが確認された。
Figure 0004877099
一方、試番9〜12に示す、本発明範囲外の化学組成を有する鋼種を用いた鋼板のうち、試番9は引張強度が950MPa以上を達成するものの、フェライトと第二相の硬度差が比較的小さく、結果としてYRが高く形状凍結性に劣った。また、試番10〜12はVの含有量不足等により目的とする強度に達しなかった。
加熱温度を規定外で実施した試番13は目的とする強度を満足しなかった。粗大な金属炭化物がオーステナイト中に析出したことによって、析出強化・変態強化量が不足したものと推測される。
巻取温度について規定外の実施である試番14はYRが規定を満たさず、形状凍結性に劣った。フェライト中に過度な金属炭化物微細析出が生じて転位運動が阻害されたと推測される。
一時冷却停止温度を規定外に低く実施した試番15は、フェライト率不足により延性が不芳で、さらにフェライト変態中の微細金属炭化物による強化が不足し強度延性バランスに劣った。
一時冷却停止温度における滞留時間を本発明の規定外に長時間実施した試番16は強度低下により規定を満たなかった。滞留中にフェライト中の金属炭化物が粗大化したことによると推測される。一方で、一時冷却停止をまったく実施しなかった試番17は、試番15と同様に強度延性バランスに劣った結果となった。
一時冷却停止温度を規定外に高く実施した試番18では、試番16と同様に強度規定を満たさなかった。また、冷却速度を規定外に低めた試番19も同様に強度不足となり、これはフェライト内の金属炭化物粗大化に起因すると推測される。
2.実施例2
表1に示す化学組成を有する鋼のうち、本発明範囲内の化学組成を有するA、B、E鋼、および範囲外の化学組成を有するH鋼を、連続鋳造によりスラブとし、熱間圧延を実施した。熱間圧延に際し、スラブ加熱温度、粗圧終了温度、粗圧後に得られた粗バーの再加熱温度、仕上温度、第一冷却速度、第一冷却停止温度およびその温度における滞留時間、第二冷却速度、巻取温度について、条件を変更して鋼板を製造した。実施した鋼種および熱間圧延条件の詳細を表4に示す。
Figure 0004877099
鋼板表面の島状スケールまたは島状スケール疵の面積率は、酸洗前の鋼板表面の島状スケールの面積率から決定した。得られた酸洗前の熱延鋼板において、圧延幅方向の両端部より100mmを除き、さらに圧延方向の先端部および後端部端よりそれぞれ30mを除いた部分における、鋼板表面の島状スケールによる面積率が3%以下である場合を良好とし、3%を超える場合を不良とした。なお、この評価は圧延表・裏面で実施し、島状スケールの面積率が高い方の面を判定の対象とした。
続いて、酸洗後の熱延鋼板から、上記のような、圧延幅方向の両端部よりそれぞれ100mm、および圧延方向の先端部および後端部よりそれぞれ30mを除いた鋼板を対象として、圧延方向について10mピッチで、1/4w、1/2w、3/4wの位置近傍より、100mm×70mmの表面性能評価用サンプル、JIS5号引張試験片、内部組織観察用試験片(X線分析用サンプル含む)および100mm角の穴拡げ性測定用のサンプルを採取して、観察・分析、および各種特性評価を行った。
ここで化成結晶の平均被覆率は次のようにして行った。日本パーカライジング社製バルボンドWL35を満たした浸漬槽に、液温35℃にて、各表面性能評価用サンプルを180秒間浸漬して化成処理を施した。化成処理後の表・裏面を走査型電子顕微鏡にて観察して、鋼板表面への化成結晶の平均被覆率を見積もった。
また、JIS5号引張試験片により引張強度などの機械特性を測定した。穴拡げ試験は、実施例1と同様に行い、鋼板の平均的な穴拡げ性を評価した。
表5には実施により得られた鋼板の特性を示す。なお、表中、表面性状については、○が良好(スケール面積率が3%以下)であり、×が不芳(スケール面積率が3%超)である。
Figure 0004877099
本発明の規定内の実施を行った試番20〜22では、本規定に定める機械特性および良好な表面性状を実現する鋼板が得られた。
一方で、粗バー加熱温度(TBRT)が式(3)に規定する温度に満たない試番23および24は、優れた機械特性が得られたものの、島状スケール疵が評価基準の3%を超える結果となった。また、試番25は鋼の化学組成においてSiとVの含有量のバランスが式(2)を満たさないため、化成処理性が著しく劣化し、さらに、粗バー加熱温度(TBRT)が式(3)に規定する温度に満たないため、表面性状も劣化した結果となった。

Claims (11)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.01〜0.2%、Al:0.10%超3.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)を満足する化学組成を有し、
    引張強度TSが、950MPa以上であって、かつ、全伸びEl(%)との積であるTS×El値が15000(MPa・%)以上であり、さらに、
    降伏比が80%未満であることを特徴とする熱延鋼板。
    Figure 0004877099
    ここで、式(1)中のC、Ti、NbおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、Cr、Cu、Ni、Mo、ZrおよびWからなる群から選ばれる1種以上を合計で1.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記化学組成が下記式(2)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼板。
    Figure 0004877099
    ここで、式(2)中のSiおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  5. 15〜80面積%のフェライトを含有し、前記フェライトの平均ビッカース硬度と残部組織の平均ビッカース硬度との差ΔHvが50以上である鋼組織を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱延鋼板。
  6. 鋼板表面の島状スケールまたは島状スケール疵の面積率が3%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼板。
  7. 下記工程(A)〜(C)を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法:
    (A)質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.01〜0.2%、Al:0.10%超3.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)を満足する化学組成を有する鋼塊または鋼片を1200℃以上とした後に粗熱間圧延を施して粗バーとする粗熱間圧延工程;
    (B)前記粗バーに圧延完了温度がAr点温度以上である仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とする仕上熱間圧延工程;および
    (C)前記仕上熱間圧延工程により得られた前記熱延鋼板を30℃/秒以上の平均冷却速度で600〜780℃の温度域まで冷却し、次いで前記温度域に2〜20秒間滞在させ、その後30℃/秒以上の平均冷却速度で500℃以下の温度域まで冷却して巻取る冷却工程。
    Figure 0004877099
    ここで、式(1)中のC、Ti、NbおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  8. 前記工程(A)と前記工程(B)との間に下記工程(D)を備え、該工程(D)で得られたデスケーリング後の粗バーが工程(B)に供される請求項7記載の熱延鋼板の製造方法:
    (D)前記粗熱間圧延工程で得られた粗バーの表面温度TBRT(℃)が下記式(3)を満たす状態で該粗バーにデスケーリングを施すデスケーリング工程。
    Figure 0004877099
    ここで、式(3)中のAl、PおよびSiは鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  9. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、Cr、Cu、Ni、Mo、ZrおよびWからなる群から選ばれる1種以上を合計で1.0質量%以下含有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の熱延鋼板の製造方法。
  10. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
  11. 前記化学組成が下記式(2)を満足することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
    Figure 0004877099
    ここで、式(2)中のSiおよびVは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
JP2007170746A 2007-06-28 2007-06-28 熱延鋼板およびその製造方法 Active JP4877099B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007170746A JP4877099B2 (ja) 2007-06-28 2007-06-28 熱延鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007170746A JP4877099B2 (ja) 2007-06-28 2007-06-28 熱延鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009007640A JP2009007640A (ja) 2009-01-15
JP4877099B2 true JP4877099B2 (ja) 2012-02-15

Family

ID=40323014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007170746A Active JP4877099B2 (ja) 2007-06-28 2007-06-28 熱延鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4877099B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017050790A1 (en) * 2015-09-22 2017-03-30 Tata Steel Ijmuiden B.V. A hot-rolled high-strength roll-formable steel sheet with excellent stretch-flange formability and a method of producing said steel

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4380348B2 (ja) * 2004-02-09 2009-12-09 Jfeスチール株式会社 表面品質に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板
JP4424185B2 (ja) * 2004-12-08 2010-03-03 住友金属工業株式会社 熱延鋼板とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009007640A (ja) 2009-01-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10435762B2 (en) High-yield-ratio high-strength cold-rolled steel sheet and method of producing the same
TWI464296B (zh) 加工性優異之高強度熔融鍍鋅鋼板及其製造方法
US9028626B2 (en) Method for manufacturing high strength galvanized steel sheet with excellent formability
JP4555694B2 (ja) 加工性に優れる焼付け硬化型熱延鋼板およびその製造方法
TWI406966B (zh) 加工性優異之高強度熔融鍍鋅鋼板及其製造方法
JP5418168B2 (ja) 成形性に優れた高強度冷延鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびそれらの製造方法
JP5194841B2 (ja) 成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP4837426B2 (ja) バーリング加工性に優れた高ヤング率薄鋼板及びその製造方法
WO2011004779A1 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法
JP5817671B2 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
JP2014019928A (ja) 高強度冷延鋼板および高強度冷延鋼板の製造方法
WO2014171057A1 (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
WO2013054464A1 (ja) 深絞り性およびコイル内材質均一性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP4539484B2 (ja) 高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP4840269B2 (ja) 高強度鋼板とその製造方法
JP2017002333A (ja) 形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法
JP4888255B2 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
US20180044751A1 (en) High-strength cold-rolled steel sheet and method for manufacturing the same (as amended)
JP5870861B2 (ja) 疲労特性と延性に優れ、且つ延性の面内異方性の小さい高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5141235B2 (ja) 成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP6492869B2 (ja) 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法
US7485194B2 (en) High tensile hot-rolled steel sheet excellent in resistance to scuff on mold and in fatigue characteristics
JP4840270B2 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
JP2007138189A (ja) 加工性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
JP4438614B2 (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111101

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4877099

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350