JP2803536B2 - 溶融金属の連続鋳造方法および浸漬ノズル - Google Patents

溶融金属の連続鋳造方法および浸漬ノズル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本願発明者の発明に係
る新しい浸漬ノズルを用いた溶融金属、例えば溶鋼の連
続鋳造方法に関するものであり、特に鋳造物の介在物性
欠陥を減少させるための連続鋳造方法である。ここで、
上記新しい浸漬ノズルは、溶融金属をタンデッシュから
鋳型へ注入する縦孔と、縦孔下部に設けられた少なくと
も一対の鋳型巾方向に向かう溶融金属の吐出孔と、下向
きに凸である縦孔底部と、該縦孔底部に鋳型巾方向に設
けられ、かつ、上記吐出孔と連通していないスリット開
口部から構成されたものである。
【0002】
【従来の技術】溶融金属の連続鋳造、特に溶鋼の連続鋳
造においては、安定した凝固、鋳片欠陥の原因となる鋳
片内非金属介在物の少ないことが求められている。溶鋼
の連続鋳造においては、耐火物製の浸漬ノズルが用いら
れている。特に、スラブの高速鋳造を行う場合、浸漬ノ
ズルの形状は図12(a)、(b)に示すように鋳型短
辺に向けて開口する一対の吐出孔を有したものが一般的
である。
【0003】しかし、浸漬ノズルに対しては、鋳型内溶
鋼流を均一に分散し、非金属介在物を浮上させるととも
に鋳型内溶鋼表面に適度の均等な溶鋼流れを与え、ノズ
ル側壁の左右の吐出孔から流出して鋳型の左右短辺に向
かう溶鋼に流量差を与えないこと、および鋳型の短辺に
衝突して上下方向に分かれた流れの短辺上昇流が強すぎ
ないことが望まれている。
【0004】鋳型内における溶鋼表面流速が適性範囲で
ない場合、以下のような問題が発生する。溶鋼表面流速
が適性値より小さい場合、吐出溶鋼から供給される熱が
不足するため、表面が部分的に凝固し、鋳片内に持ち込
まれるため鋳片欠陥となり、さらには、鋳造を中断せざ
るをえないこともある。
【0005】また、表面流速が適性値より大きい場合あ
るいは偏流が激しい場合、溶鋼表面に浮かべたパウダー
が鋳片内に持ち込まれ、パウダー性欠陥となり鋳片品質
劣化の原因となる。また、偏流が発生した場合、鋳型内
下方向に向かう溶鋼流れの浸入深さは通常値から20〜40
%増加し、アルミナ介在物の浮上を困難にする。
【0006】上記問題点を解決するため、図13に示す
ような浸漬ノズル本体の側壁に鋳型短辺壁に向けて下側
に傾斜して開口する一対の吐出孔を有し、山形のノズル
底部を横断して両側吐出孔へ連通し、底部に開口するス
リットを設けた浸漬ノズル(以下、2孔スリット連通ノ
ズルと称する)が提案されている(特開昭62-296944号
公報) 。
【0007】また、図14に示した浸漬ノズルは、同じ
くノズル側壁の左右の吐出孔とノズル底部を横断するス
リットが連通した2孔スリット連通型であるが、ノズル
底部の外形が半球である(特開昭61-14051号公報)。さ
らに、図15に示した浸漬ノズルは、ビレットを鋳造す
るため、縦孔が中間で一旦収斂した後拡大する下向き吐
出孔を有し、その際、少なくとも2つ以上の側方の吐出
孔がスロート(収斂部と拡大部の境目)の上方に設けた
もの(以下スロートノズルと称する)である(特公昭53
-12448号公報)。
【0008】これらの浸漬ノズルを使用すると、鋳型内
に注入される溶鋼はノズル先端部のスリットからその一
部が鋳型内下方向に注入されるので、ノズル側壁の左右
の吐出孔から注入され鋳型短辺に向かう溶鋼量が少なく
なり、よって鋳型内溶鋼面の表面流速が低減され、溶鋼
表面の鋳型パウダー巻き込みが防止されると言うもので
ある。
【発明が解決しようとする課題】前記の2孔スリット連
通ノズル(図13)を用いた場合の鋳型内溶鋼流動を、
水モデル試験で調査した結果を図16に示す。ノズル側
壁の吐出孔から流出した溶鋼は鋳型の短辺側に向かい鋳
片の凝固シェルに衝突後、短辺に沿って上昇する流れ
(以下、短辺上昇流と称する。)と下降する流れ(短辺
下降流と称する。)に分かれる。短辺上昇流は鋳型内の
溶鋼表面に到達後、溶鋼湯面に盛り上がり、その後短辺
側からノズルに向かう表層流れとなる。
【0009】高速鋳造において、パウダーの巻き込みを
低減する原理を以下に述べる。浸漬ノズルの底部にスリ
ットを設け、溶鋼の一部をスリットから注入し、2孔吐
出孔からの流量を減少させ、短辺上昇流の持つエネルギ
ーを減じることにより湯面変動量、表面流速を高速鋳造
時においても適正範囲に制御する必要がある。
【0010】従って、鋳造速度、鋳型断面寸法等の鋳造
条件が変化した場合、適正なスリット面積、2孔吐出孔
径、角度を選択しない場合、溶鋼表面流速を適正範囲に
保つことができない。即ち、溶鋼表面流速が適性値より
小さい場合、吐出溶鋼から供給される熱が不足するた
め、表面が部分的に凝固し、鋳片内に持ち込まれるため
鋳片欠陥となり、さらには鋳造を中断する必要が生じる
ためである。また、表面流速が適性値より大きい場合あ
るいは偏流が激しい場合、溶鋼表面に浮かべたパウダー
が鋳片内に持ち込まれ、パウダー性欠陥となり鋳片品質
を劣化させる。
【0011】従来技術に示した例のうち、適正ノズル形
状が明記されているものは、以下の鋳造条件である。2
孔スリット連通ノズルにおいては、ノズル内径60mm、
2孔吐出孔の形状を楕円形(60×80mmあるいは60×12
0 mm)、スリット幅を3 〜5 mmとし、鋳造速度740
l/分(5.25ton /min)における鋳造実施例が示
されているのみである。
【0012】また、特開昭61-14051号公報では、2孔ス
リット連通ノズルのノズル先端部の外形が半球であると
いうのみで、その他の点については一切示されていな
い。また、特公昭53ー12448号公報に示す浸漬ノズル(図
15)の場合、スロート部の断面寸法は内部縦穴断面積
より30〜70%だけ小さくし、同時に9 c m2 以上でなけ
ればならないとしている。しかし本ノズルは鋳造速度0.
8 〜1.5 ton/ minの範囲のビレット用浸漬ノズルで
ある。
【0013】以上のように従来技術は浸漬ノズル形状が
最適化されていないだけでなく、適正な鋳型内流動を実
現するために満たさなければならない種々の鋳造条件に
おける適正ノズル形状は示されていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明は、側壁の一対の吐出孔と底部スリットの開
口を連通させない形状にした浸漬ノズルを発明し、更
に、種々の鋳造条件(鋳造速度、鋳型断面寸法)におけ
る鋳型内表面流速を求めた。また、安定操業、良好な鋳
片品質を達成できる適正表面流速範囲を水モデル実験と
操業実績により求めた。それらにより、鋳造条件に応じ
た適正なスリット面積、2孔吐出孔形状を求めることが
でき、下記の発明をするに至った。
【0015】(1)請求項1の発明は下記の工程を備え
ていることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法であ
る。 (a)鋳片の厚み(T:m),鋳片の巾(W:m)及び
鋳造速度(Q:ton/min)に対して、下式をによ
りVが13〜20であるような吐出孔面積(Sl :
2)、全吐出孔面積(S:m2)、底部スリット開口間隙
(w:m)及び吐出孔下向き角度(α:度)を計算する
工程と、 V=3.36×10-3・(0.22/T) ・(0.72 W+0.14)×Q2.4
・(2Sl /S) -0.12 ・w-2.15 ・(Sl) 0.9 ・α
-0.65 (b)浸漬ノズルであって、内部縦孔の下部には少なく
とも一対の鋳型巾方向に向かう下向きの溶融金属の吐出
孔を有し、ノズル底部は下向きに凸である内面により構
成された底部と、該底部に前記吐出孔と連通していない
スリット開口をそなえている浸漬ノズルの内から、前記
計算した吐出孔面積(Sl :m2)、全吐出孔面積(S:
2)、底部スリット開口間隙(w:m)及び吐出孔角度
(α:度)を有する浸漬ノズルを選択する工程と、 (c)前記選択した浸漬ノズルを用いて溶融金属を連続
鋳造する工程。
【0016】(2)請求項2の発明は、前記溶融金属が
炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、その他鉄基合金の何
れか一つである請求項1記載の溶融金属の連続鋳造方法
である。
【0017】(3)請求項3の発明は下記の特徴を備え
た浸漬ノズルである。 (a)浸漬ノズルであって、内部縦孔の下部には少なく
とも一対の鋳型巾方向に向かう下向きの溶融金属の吐出
孔と、縦孔底部が下向きに凸である内面となっている底
部と、該底部に前記吐出孔と連通していないスリット開
口部をそなえている浸漬ノズルであって、 (b)下式により計算したVが13〜20となるような吐出
孔面積(Sl :m 2) 、全吐出孔面積(S:m 2) 、底
部スリット開口間隙(w:m )及び吐出孔角度α:
度)を有する浸漬ノズルである。 V=3.36×10-3・(0.22/T) ・(0.72 W+0.14)×Q2.4
・(2Sl/ S) -0.12 ・w-2.15 ・( Sl)0.9・α
-0.65 ただし、T:鋳片の厚み( m) 、W:鋳片の巾(m
)、Q:鋳造速度(ton/min)、T: スラブ厚み
( m) 、W: スラブ幅( m)
【0018】
【作用】本発明において、鋳造速度に応じた適正形状を
求めたノズルは、図1に一例を示すように鋳型短辺に向
かう一対の吐出孔とこの吐出孔と連通していない底部ス
リットの開口部を設けた形状にした浸漬ノズルである。
図1に示した浸漬ノズルを用いた場合の鋳型内溶鋼流動
を図2に示す。鋳型短辺に向かう吐出孔からの流れは短
辺に衝突後、短辺上昇流と短辺下降流れに分かれる。短
辺上昇流は湯面に到達後、浸漬ノズルに向かう表層流と
なり、その流速を適正範囲に保つ必要がある。
【0019】鋳型内表面流速を適正範囲に保つために、
底部スリットと側壁の吐出孔の面積比を適正値とするこ
とにより、それぞれの吐出孔の溶鋼通過量を適正値とす
るとともに、側壁吐出孔の径、吐出方向角度を鋳型内表
面流速が適正範囲となるように設定する必要がある。ま
た、底部スリットの開口間隙寸法は溶鋼注入量に応じて
開口長手寸法との積、即ち開口断面積から選択するが、
浸漬ノズル内部縦孔底面のスリット開口部に溶鋼圧力を
発生させる程度に底部スリットの流出量を減ずることが
できる範囲の間隙値であれば良い。
【0020】内部(静)圧力の割合が弱い場合、ノズル
内の溶鋼流れによる動圧力の影響を受けて、底部スリッ
トの一部分から流出してしまうので均一に広がった扇型
板状の流れにならない。そこで、表面流速に及ぼす浸漬
ノズル形状、鋳造条件の影響を水モデル実験により求
め、鋳造条件に応じた適正ノズル形状を求めることがで
きる。
【0021】水モデル実験1 先ず、現実の連続鋳造機の縮尺度1/3のタンデッシ
ュ、鋳型、浸漬ノズルからなる透明アクリル樹脂で製作
した水モデル試験装置を用い、フルード数によって溶鋼
に近似させる条件で、従来の2孔ノズルを用いて鋳型内
表面流速と実機で測定した鋳型内湯面変動量との関係を
調査した。水モデル試験においては小形プロペラ流速検
出器によって鋳型内各部の測定を行い、各々の個所の左
右測定点の同一時刻の測定信号を多チャンネルデータ記
録装置に連続記録した。
【0022】水モデル試験に用いた浸漬ノズルは図12
(a) 、(b) に示した従来の2孔浸漬ノズルである。ノズ
ル及び注入条件は実機に換算して次の条件となるように
設定した。ノズル縦孔径は92mm 、吐出孔径は88mm
一定とし、吐出角度を15〜45度、鋳造速度2.0 〜5.5
ton/ minの間で変化させた。なお、鋳片の幅は1〜
1.8 m /minとした。
【0023】その結果、鋳型内表面流速と鋳型内湯面変
動量の間には図3に示す関係があった。即ち、鋳型内表
面流速と鋳型内湯面変動量の間には相関があり、適正湯
面変動量である2 〜6 mmの範囲内とするためには、鋳
型内表面流速は13〜20cm/sであることが必要である
ことが判明した。
【0024】水モデル実験2 実験1と同様の水モデル実験を本願発明の浸漬ノズルを
用いて行い、浸漬ノズル形状と鋳型内表面流速の関係を
求めた。実験に用いた浸漬ノズルは図1に示した本発明
の浸漬ノズルを、試験条件を単純にするため内部縦孔底
面形状が半球形にしたノズルで、図4に示したが、溶鋼
鋳造用実物ノズルの寸法に換算したノズル各部寸法は下
記の通りであり、試験を行ったノズルの吐出孔形状およ
び底部スリット面積の関係を表1に示し、実験No. を記
入したところが実験を実施した条件である。
【0025】ノズル寸法; 内部縦孔径:92mm 、吐出孔直径:50〜70mm 、吐
出孔流出方向(α):下向き5 〜35度、底部スリットの
開口間隙値(w) :10〜40mm 、幅方向の広がり角度
(β):80〜180 度の範囲、吐出孔とスリットの間の距
離:20〜60mm、なお、2α+β<210 とした。
【0026】鋳造条件; 鋳造速度:2.4 〜6.5 ton /minに相当する条件 鋳型巾: 0.9 , 1.2, 1.65 m の3水準 鋳型厚み:0.15, 0.22, 0.3 m の3水準
【0027】
【表1】
【0028】以上の結果から鋳型内表面流速と鋳造条
件、浸漬ノズル形状の関係を求めた。具体的には、実験
により得られた表面流速と鋳造条件、ノズル形状の間で
重回帰を行なった。その結果、表面流速V(c m/s)
は下式で表せることが出来た。 V=3.36×10-3・(0.22/T) ・(0.72 W+0.14) ×Q2.4 ・(2Sl/S)-0.12 ・w-2.15 ・(Sl)0.9 ・α-0.65 −−−−(1) ただし、T: スラブ厚み( m) 、W: スラブ幅( m) Q: 鋳造速度( ton/ min) 、Sl: 側壁吐出孔面積
( m2) S: 全吐出孔面積合計( m2)、w: 底部スリットの平均
開口間隙値( m) α: 側壁吐出孔流出下向き角度(度)
である。
【0029】上記(1)式の妥当性を確認するため、回
帰式を求めた以外の条件においても水モデル実験を行な
い、測定した表面流速と上記式による計算結果を比較し
た。結果を図5に示したが、両者は極めて良く一致し、
上記(1)式の妥当性を証明できた。このことは、種々
のノズル寸法、種々の鋳造条件において上記(1)式を
用いて計算したVをを13〜20cm/sとするような
場合には種々の鋳造条件に於ける適性なノズル形状が与
えられるということである。
【0030】
【実施例】
実施例1 上記(1)式からスラブ巾0.9 、1.2 、1.5 m の各々
に対して、鋳造速度が3.5 ton/ minの場合について
適正ノズル形状を表したのが、図6図であり、実線また
は破線で囲った部分が各鋳造条件における適正ノズル形
状を表す。図6で、スリット面積の小さい領域(左側)
は、スリット面積が小さいためノズル内に溶鋼流れの停
滞域が発生するためノズル内にアルミナ介在物堆積し、
ノズル詰まりが生ずる領域である。スリット面積の大き
い領域(右側)は、スリット面積が大きいため溶鋼はス
リットを貫通し、そのため湯面に適当な流速が得られ
ず、湯面が沈滞する領域である。
【0031】そして、スリット面積が1.0 〜4.5 ×10
-3cmの範囲では、スリット面積が小さく、かつ、ノズ
ル吐出孔角度αの小さい領域は鋳型内湯面が激しく変動
する傾向のある湯暴れ領域、スリット面積が大きく、か
つ、ノズル吐出孔角度αの大きい領域は鋳型内湯面が適
正範囲以下に沈静してしまう領域である。鋳造量5to
n/minの鋳造条件を例に図6の本発明の適性ノズル
範囲を説明する。
【0032】鋳造スラブ巾0.9mの最適ノズルは破線
で囲まれた領域、スラブ巾1.2 から1.5 mのスラブ巾は
実線内が最適ノズル領域であり、○印のマークは各々の
領域の好適条件、◎印は鋳造スラブ巾0.9 mと1.2 から
1.5 mの両条件に適したノズルである。なお、×印は図
6に示した4例の鋳造条件の何れにも適さないノズル範
囲を示す。
【0033】上記適正条件を満たす浸漬ノズルと、満た
さない浸漬ノズルを用い、実機鋳造を行い、鋳型内鋼面
の湯面変動量、鋳造スラブから圧延した冷間圧延薄鋼板
の表面品質を調査する試験を行った。鋳造鋼種は転炉で
脱炭吹錬した溶鋼をRH真空脱ガス装置で成分調整した
C≦0.05 %、Si≦ 0.03 %、Mn≦ 0.30 %、P≦
0.03 %、S≦ 0.02 %、Sol Al 0.20 〜0.40%(成
分組成はwt%)の冷間圧延薄鋼板用の低炭素アルミキ
ルド鋼である。
【0034】取鍋からタンディッシュの注入はエアシー
ルパイプを使用し、タンディッシュ内面にマグネシヤ材
質の断熱ボードを、タンディッシュカバーと内部溶鋼面
の内部空間にArガスを吹込み,溶鋼の二次酸化防止を
防止した。タンディッシュ内溶鋼温度は1545〜1560℃に
維持して溶鋼中介在物のタンディッシュ内での浮上分離
を促進させた。
【0035】鋳型への溶鋼鋳造はスライディングノズル
溶鋼流量制御装置と浸漬ノズルを用い、鋳型内湯面制御
回路により鋳型内湯面を鋳型上端から100 mmの一定高
さに保つとともにスライディングノズルと浸漬ノズル内
部にArガスを9l/分の量を吹き込みこれらの部分で
のアルミナ介在物の付着防止を行ない、モールドパウダ
は低炭素アルミキルド鋼鋳造用のものを使用した。
【0036】鋳型断面寸法は厚み0.22m、幅1.2 m、鋳
造速度4.4 ton/ minとした。使用したノズルは、適
正範囲内ノズルである試験No.(α20-S36 )内径70mmの
もの条件(1)と、比較ノズルとして適正範囲外ノズル
である試験No.(α30-S36 )で内径70mmのもの条件
(2)とした。試験No. は表1に示したものである。
【0037】適正条件(1)の浸漬ノズルを選択した理
由を以下に述べる。S36 はスリット開口面積3.6 ×10-3
( m2)であるので、スリットを矩形とした場合、その間
隙を30mmとすると内部縦孔底面のスリット円弧長が12
cmとなる。本浸漬ノズルの縦孔径は9.2 cmであるた
めスリット広がり角度(β)は150 度となる。この場合
は、スリットからの溶鋼広がり角度は140 度の扇形板状
流れとなる。αを20度とすれば、2 α+β<210 である
ので、底部スリットからの流れとの干渉を防止できる。
【0038】本実施例において、(1)式を用いてVを
計算する過程を説明する。T=0.22、W=1.2,、Q=4.
4 である。S1は一つの吐出孔面積であり、吐出孔径70
mmであるから、S1=π(35×10-3)2( m2)となる。
Sは溶鋼が流出する吐出孔と底部スリットの合計面積で
ある。従って、本実施例の場合、S=(2 S1+3.6 ×
10-3)(m2)となる。次に、wは底部スリットの平均開口
間隙値である。本実施例の場合は均一であり、w=0.03
(m)である。なお、底部スリットが本実施例と異な
り、wが均一でない場合は後に述べる。
【0039】以上の値を(1)式に代入すると、V=1
5.4となり、Vは13〜20の範囲にあるので本浸漬ノ
ズルは適性なノズルである。一方、試験No.(α30-S36 )
内径70mmの場合についてもVの計算例を示す。本浸漬
ノズルは吐出孔の下向き角度α=30度となるだけで、他
の値T、Q、S、S1、wは同じである。これらの値を
(1)式に代入すると、V=11.8となり、従って、本ノ
ズルは不適性ノズルである。
【0040】底部スリットの形状が長方形でない場合の
平均開口間隙値wの計算方法を述べる。スリット間隙が
スリットの長手方向に分布がある場合、まずスリットの
面積Aを求める。次に、鋳型長辺に平行な面で切断し、
この時の円弧長さを求め,これをLとすれば、底部開口
間隙値x=A/Lである。例えば、底部スリット形状が
偏平な楕円である場合、スリット面積Ss=πab/
4、L=a,平均開口間隙値w=πb/4となる。
【0041】鋳型内溶鋼面の湯面変動量の測定は、鋳型
上部に設置した非接触型渦流式湯面距離計を用いて、鋳
型の左右短辺近傍において最も湯面変動量が大きくなる
個所を測定し、マルチチャンネルデータ記録装置に左右
測定点の測定信号を連続記録した。解析のため、各々の
湯面変動量、片流れ現象を定量化するための左右の測定
点の同一時刻の湯面変動差の値を各々記録した。
【0042】鋳造中の鋳型内湯面変動値を図7に示す。
適正ノズル(1)の場合、鋳造中湯面変動量は3 〜4 m
mの間で変化しているが、適正範囲外ノズル(2)の場
合、湯面変動量は0.8 〜2.1 mmの間で変化しており、
適正湯面変動量の範囲外となっている。
【0043】冷間圧延薄鋼板の表面品質に対する効果を
確認する調査は、2ストランド連続鋳造機の片方の鋳型
に本願の浸漬ノズルで上記適性なもの(1)、、他方の
鋳型に従来の2孔吐出孔ノズルを用いて鋳造し、同一ヒ
ートの鋳造中に鋳造速度を2・0m/分と2.4m/分
と変えた鋳造を行ない、鋳造スラブを無手入れで2・5
mm厚の熱間圧延コイルに圧延した。
【0044】そのコイル表面を酸洗した後タンデム冷間
圧延機で0.7 mm厚の冷間圧延薄鋼板コイルに圧延し
て、コイル検査ラインでコイル全長の表裏面を検査員が
目視検査した。発見した表面疵の内、アルミナ介在物と
モールドパウダに起因して発生したヘゲ欠陥は、さらに
欠陥に付随した介在物を走査型電子顕微鏡で分析しAl
23 、CaO、Na+ 等が存在するかどうかを調査し
た。
【0045】欠陥数の表示方法はヘゲ1個の欠陥長さを
1.5 mとして、へげ疵総長さ(表裏合計の欠陥数×1.5
)を1コイルの表裏合計長さで割り100 倍した欠陥発
生指数(%)を用いた。冷間圧延薄鋼板の表面品質の比
較を行った結果を図8に示す。冷延コイル表面品質は従
来ノズル(図12(b))を用いて、1.2 m/minの
条件で鋳造したた場合の欠陥発生率を基準(1.0 )とし
て、相対指数により示した。
【0046】本願発明による適性ノズル(1)で鋳造を
行なった場合、欠陥発生相対指数は0.4 以下の良好な鋳
片が得られたが、従来のノズルを用い2.4 m/minで
鋳造した場合、相対指数は1.3 となった。本願発明によ
る適性ノズルの場合、表面流が適正範囲内にあるととも
に、偏流が発生しないためパウダー巻き込みがなくなり
欠陥が低減されている。
【0047】実施例2 スラブ厚み0.3 mの場合において、表面流速推定式を用
いて鋳造速度が3 ton/min,5 ton/minの
場合について適性ノズル形状を示したのが図9であり、
実線で囲った部分が適性ノズル形状である。上記適正条
件を満たす浸漬ノズルと満たさない浸漬ノズルを用いて
実機鋳造を行なった。
【0048】鋳造鋼種、鋳造条件、その他測定項目は全
て実施例1と同様である。異なる点は、スラブ厚み0.3
m,巾1.2 m,鋳造速度5.0 ton/minであり、使
用したノズルは適正範囲のノズルは表1 に示す試験No
(α20-S35) 、内径70mm のもの(1')、適性範囲外ノ
ズルは (α30-S35) 、内径70mm のもの(2')であっ
た。鋳造中の鋳型内湯面変動量を図10に示した。
【0049】図11には上記適正範囲のノズル(1')と適
性範囲外ノズル(2')を使用して製造した冷延コイルの表
面欠陥発生相対指数を示した。この図から、本発明によ
る適正範囲のノズルを使用した場合は、欠陥発生相対指
数は0.33の良好なコイルが得られたが、適正範囲外のノ
ズルで製造した場合、その指数は1.0 であった。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る連続鋳造方法により溶融金
属、特に溶鋼を連続鋳造すると、鋳型内での湯面の不均
一な変動を防止でき、同時に鋳型下方への溶鋼の侵入深
さを浅くすることが出来るため、鋳片の表面性状と介在
物欠陥を著しく減少でき、そのため品質の高い鋼材を製
造できる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの形状と寸法を示す図である。
【図2】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルを用いた場合における鋳型内溶鋼の流動状
況を示す図である。
【図3】浸漬ノズルを用いた連続鋳造における鋳型内表
面流速と鋳型内湯面変動を示す図である。
【図4】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの水モデル実験のために用いられた浸漬ノ
ズルの形状と寸法を示す図である。
【図5】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの寸法と鋳造条件とを関数とする鋳型内表
面流速を求める式と実測値との妥当性を証明する図であ
る。
【図6】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの適正な寸法を示す図である。
【図7】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの適正なものと不適正なものを用いた場合
における鋳型両短辺の湯面変動両を示す図である。
【図8】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明され
た浸漬ノズルの適正なものと従来のノズルを用いて製造
した冷延コイルの表面欠陥指数を比較した図である。
【図9】スラブ厚みが300mmの場合に対して、本願
発明に係る連続鋳造方法のために発明された浸漬ノズル
の適正な寸法を示す図である。
【図10】スラブ厚み300mmの場合において、本願
発明に係る連続鋳造方法のために発明された浸漬ノズル
の適正なものと不適正なものを用いた場合における鋳型
両短辺の湯面変動両を示す図である。
【図11】本願発明に係る連続鋳造方法のために発明さ
れた浸漬ノズルの適正なものと不適正なものを用いて製
造した冷延コイルの表面欠陥指数を比較した図である。
【図12】従来の2孔ノズルの形状を示す図である。
【図13】従来の2孔連通ノズルを示す図である。
【図14】従来の2孔連通ノズルの水モデル実験に使用
したノズルを示す図である。
【図15】従来のスロートノズルを示す図である。
【図16】従来の2孔連通ノズルを使用した場合におけ
る鋳型内溶鋼流動を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−155912(JP,A) 特開 平2−207950(JP,A) 特開 平5−269557(JP,A) 特開 平2−165851(JP,A) 特開 昭63−238957(JP,A) 特開 平6−262307(JP,A) 実開 平6−41950(JP,U) 実開 昭63−170057(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/10 330 B22D 11/18 B22D 41/50 520

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程を備えていることを特徴とす
    る溶融金属の連続鋳造方法。 (a)鋳片の厚み(T:m ),鋳片の巾(W:m )
    及び鋳造速度(Q:ton/min)に対して、下式に
    よりVが13〜20であるような吐出孔面積(Sl :m 2)
    、全吐出孔面積(S:m 2) 、底部スリット開口間隙
    (w:m )及び吐出孔角度(α:度)を計算する工程
    と、 V=3.36×10-3・(0.22 /T) ・(0.72 W+0.14)×Q
    2.4 ・(2Sl /S) -0.12 ・w-2.15 ・( Sl )0.9・α
    -0.65 (b)浸漬ノズルであって、内部縦孔の下部には少なく
    とも一対の鋳型巾方向に向かう下向きの溶融金属の吐出
    孔と、縦孔底部が下向きに凸である内面となっている底
    部と、該底部に前記吐出孔と連通していないスリット開
    口部をそなえている浸漬ノズルの内から、前記計算した
    吐出孔面積(Sl :m 2) 、全吐出孔面積(S:m 2)
    、底部スリット開口間隙(w:m )及び吐出孔角度
    (α:度)を有する浸漬ノズルを選択する工程と、 (c)前記選択した浸漬ノズルを用いて溶融金属を連続
    鋳造する工程。
  2. 【請求項2】 前記溶融金属が炭素鋼、低合金鋼、ステ
    ンレス鋼、その他鉄基合金の何れか一つである請求項1
    記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 下記の特徴を備えた溶融金属の連続鋳造
    用浸漬ノズル。 (a)浸漬ノズルであって、内部縦孔の下部には少なく
    とも一対の鋳型巾方向に向かう下向きの溶融金属の吐出
    孔と、縦孔底部が下向きに凸である内面となっている底
    部と、該底部に前記吐出孔と連通していないスリット開
    口部をそなえている浸漬ノズルであって、 (b)下式により計算したVが13〜20となるような吐出
    孔面積(Sl :m2)、全吐出孔面積(S:m2)、底部ス
    リット開口間隙(w:m )及び吐出孔角度(α:度)
    を有する浸漬ノズルである。 V=3.36×10-3・(0.22/T) ・(0.72 W+0.14)×Q2.4
    ・(2Sl/ S) -0.12 ・w-2.15 ・( Sl)0.9・α
    -0.65 ただし、T:鋳片の厚み( m) 、W:鋳片の巾(m
    )、Q:鋳造速度(ton/min)、T: スラブ厚み
    ( m) 、W: スラブ幅( m)
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