JP5151462B2 - アルミキルド鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、アルミキルド鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、浸漬ノズルに吹き込まれる不活性ガスに起因する品質欠陥を、鋳型内への電磁力の付与を利用して防止した、アルミキルド鋼の連続鋳造方法に関するものである。
アルミキルド鋼は、通常、酸化脱炭精錬されて溶製された溶鋼に、Alを添加して脱酸し、酸化脱炭精錬により増加した溶鋼中の酸素を除去することによって製造されている。この脱酸工程で生成したアルミナ粒子(Al23粒子)は、溶鋼とアルミナとの密度差を利用して溶鋼から除去されているが、数10μm以下の微小なアルミナ粒子の浮上速度は極めて遅く、浮上・分離に長時間を要することから、実際のプロセスでは、このような微小のアルミナ粒子を完全に浮上・分離させることは極めて困難であり、そのために、アルミキルド溶鋼中には微細なアルミナ粒子が懸濁した状態で残留する。
鋼の連続鋳造では、タンディッシュから鋳型へと溶鋼を注湯する際に、耐火物製の浸漬ノズルを用いて注湯している。この浸漬ノズルに求められる特性としては、耐熱衝撃性及びモールドパウダーや溶鋼に対する耐溶損性に優れることであり、従って、これらの特性に優れるアルミナ−黒鉛質、或いは、アルミナ質の浸漬ノズルが広く用いられている。しかしながら、アルミナ−黒鉛質或いはアルミナ質の浸漬ノズルを用いてアルミキルド鋼を鋳造すると、溶鋼中に懸濁しているアルミナ粒子が浸漬ノズル内壁表面に付着・堆積して、浸漬ノズルの閉塞が発生するという問題が発生する。
浸漬ノズルが閉塞すると、鋳造作業上及び鋳片品質上で様々な問題が発生する。例えば、鋳片引き抜き速度を低下せざるを得ず、生産性が落ちるのみならず、甚だしい場合には、鋳込み作業そのものの中止を余儀なくされる。また、浸漬ノズル内壁表面に堆積し、粗大化したアルミナ粒子が突然剥離し、鋳型内に排出され、これが鋳型内の凝固シェルに捕捉された場合には製品欠陥となり、製品歩留まりの低下につながる。
このような理由から、従来、アルミキルド鋼の連続鋳造においては、浸漬ノズル内壁表面へのアルミナの付着を防止する手段が検討され、多数の提案がなされている。そのなかの1つの手段として、浸漬ノズルの内壁にArガスなどの不活性ガスを吹き込んで、不活性ガスによって浸漬ノズル内壁に付着したアルミナを強制的に洗浄する、或いは、浸漬ノズル内壁と溶鋼との間にガス膜をつくり、アルミナが壁に接触しないようにする技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
浸漬ノズルの内壁にArガスなどの不活性ガスを吹き込むことにより、アルミナの付着は防止されたが、新たな問題が発生した。即ち、浸漬ノズルに吹き込んだ不活性ガスの気泡が鋳型内で浮上しきれずに鋳片の凝固シェルに捕捉され、この気泡が薄鋼板の表面欠陥を引き起こすという問題である。特に近年、薄鋼板の表面性状の品質要求が高くなり、問題として顕在化している。そこで、このガス気泡に起因する鋳片欠陥を防止するための技術が提案されている。
例えば、特許文献2には、タンディッシュ底部に設置した上ノズルと、上ノズルに接続するスライディングノズルと、スライディングノズルに接続する浸漬ノズルと、から構成される溶鋼注入手段を用いてアルミキルド鋼を鋳型内に注湯する際に、上ノズルと、浸漬ノズルの鋳型内溶鋼湯面よりも下方の部位との二箇所から、Arガスを吹き込むと同時に、上ノズルから吹き込んだArガスを浸漬ノズルの上部で吸引することによって、浸漬ノズルから鋳型内に流入するArガス流量を調整するとともに、対抗する凝固シェルで流れの方向が逆になるように、つまり鋳型内溶鋼湯面で旋回する流れとなるように、鋳型内溶鋼湯面を電磁攪拌して、不活性ガス気泡の凝固シェルへの捕捉を防止した連続鋳造方法が提案されている。
特開平3−297545号公報 特開2000−301300号公報
特許文献2では、鋳片凝固シェルの界面を電磁攪拌力による旋回流で洗浄して気泡の凝固シェルへの捕捉を強制的に防止しており、気泡の凝固シェルへの捕捉を防止する方法として有効である。
しかしながら、全ての気泡が洗浄されて除去されるものではなく、従って、特許文献2では、洗浄できなかった気泡は最終製品の薄鋼板で欠陥となる恐れがある。また、薄鋼板で欠陥となる不活性ガス気泡の大きさは、薄鋼板の用途によって異なり、例えば溶融亜鉛メッキ後に合金化処理を行う溶融亜鉛メッキ鋼板では、微細な気泡まで欠陥となることから、一概に大きな気泡のみの捕捉を防止すればよいというものではない。特許文献2では凝固シェルに捕捉される不活性ガス気泡の大きさを制御できないことから、この点において、十分とはいえない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、浸漬ノズルにArガスなどの不活性ガスを吹き込みながら、アルミキルド鋼を連続鋳造するにあたり、凝固シェルへ捕捉される不活性ガス気泡の大きさを制御し、それにより、不活性ガス気泡に起因する薄鋼板における欠陥の発生を防止することのできるアルミキルド鋼の連続鋳造方法を提供することである。
本発明者等は、浸漬ノズルから溶鋼とともに鋳型内に流出する不活性ガス気泡の粒径分布を制御する手段として、先ず、浸漬ノズル内を流下する溶鋼流による剪断力を利用することを検討した。ところが、剪断力の調整範囲が狭く、利用できないことが分かった。また、浸漬ノズルの内径を変更して溶鋼流速を変え、剪断力の調整範囲を拡大することも試みたが、十分ではなく、結局、浸漬ノズル内を流下する溶鋼流による剪断力は有効に利用できず、気泡径を制御するには、溶鋼注入量(「スループット量」ともいう)を変えることや、不活性ガスの吹き込み流量を変えることでしか、気泡径制御ができなかった。
そこで、電磁力を利用して気泡径を調整することを検討した。その結果、交流移動磁場の電磁攪拌により浸漬ノズルから吐出される溶鋼に旋回流を付加する、或いは、直流静磁場により浸漬ノズルから吐出される溶鋼に制動力を付与することで、不活性ガス気泡の気泡径の制御が可能であるとの知見が得られた。特に、ガス吹き込み位置に電磁力を印加することで、その効果が顕著になるとの知見が得られた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係るアルミキルド鋼の連続鋳造方法は、鋳型内溶鋼湯面位置よりも下方の浸漬ノズルの部位から、該浸漬ノズルを流下し、浸漬ノズル下部に設置された吐出孔から鋳型内に流出する溶鋼に不活性ガスを吹き込みながらアルミキルド鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型を水平方向から見たときに磁場発生装置の電磁コイルが前記吐出孔の出口の高さ方向の50%以上の領域と重なり合うように、電磁コイルを鋳型の背面に配置し、該電磁コイルから電磁力を印加し、該電磁力の印加によって溶鋼とともに鋳型内に流出する不活性ガス気泡の大きさを調整することを特徴とするものである。
第2の発明に係るアルミキルド鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記電磁力が交流移動磁場であって、該交流移動磁場により誘起される溶鋼流によって不活性ガス気泡を微細化することを特徴とするものである。
第3の発明に係るアルミキルド鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記電磁力が直流静磁場であって、該直流静磁場による溶鋼流の制動力によって、不活性ガス気泡の合体を促進させて、不活性ガス気泡を粗大化することを特徴とするものである。
本発明によれば、浸漬ノズルから溶鋼とともに鋳型内に流出する不活性ガス気泡の大きさを、広い範囲で制御することができるので、下工程及び薄鋼板の用途に応じて欠陥が発生しにくい気泡径に調整することが可能となり、下工程及び薄鋼板における欠陥の発生を抑制することができる。即ち、気泡径を小さくするには、吐出孔の部分に交流移動磁場つまり電磁攪拌による攪拌力を付与して剪断力を増加させ、一方、気泡径を大きくするには、直流静磁場による制動力を付与して剪断力を減少させる。このようにすることで、製造される薄鋼板において欠陥が最も少なくなるように、不活性ガス気泡の大きさを制御することが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略図である。
図1において、相対する鋳型長辺13と、相対する鋳型長辺13の内側に挟持された、相対する鋳型短辺14と、から構成される鋳型2の上方所定位置に、外殻を鉄皮15で覆われ、内部を耐火物16で施行されたタンディッシュ1が配置されている。このタンディッシュ1の底部には、耐火物16に嵌合する上ノズル3が設置され、そして、上ノズル3の下面に接して、上部固定板5、摺動板6、下部固定板7及び整流ノズル8からなるスライディングノズル4が配置され、更に、スライディングノズル4の下面に接して、その下部に一対の吐出孔10を有する浸漬ノズル9が配置され、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼流出孔11が形成されている。摺動板6は、往復型アクチュエーター12と接続されており、往復型アクチュエーター12の作動により、上部固定板5と下部固定板7との間をこれらの固定板と接触したまま移動し、摺動板6と上部固定板5及び下部固定板7とで形成する開口部面積を調整することによって、溶鋼流出孔11を通過する溶鋼量が制御されるように構成されている。浸漬ノズル9は、下部に設置される吐出孔10が鋳型内の溶鋼17に埋没するようにその先端が浸漬されて使用される。
浸漬ノズル9の側壁には、上部が浸漬ノズル9の外側に開口したガス導入管23が設置されている。また、浸漬ノズル9の側壁の、鋳型内溶鋼湯面19の位置よりも下方位置には、ポーラス煉瓦からなるガス吹込部22が設置されており、前記ガス導入管23の下端部はガス吹込部22に連通している。つまり、ガス導入管23を介して吹き込まれたArガスなどの不活性ガスは、ガス吹込部22から溶鋼流出孔11及び吐出孔10の内壁面に吹き込まれるように構成されている。
図1では、ガス吹込部22は、溶鋼流出孔11及び吐出孔10の内壁面を露出しており、ガス吹込部22から、溶鋼流出孔11及び吐出孔10の内壁面の双方に不活性ガスが吹き込まれるように構成されているが、どちらか一方のみから吹き込むようにしてもよく、また、これらの部位からは吹き込まずに、浸漬ノズル9の底部にガス吹込部22を配置して底部のみから吹き込むようにしてもよい。要は、鋳型内溶鋼湯面19の位置よりも下方位置であるならば、溶鋼流出孔11または吐出孔10の内壁面に吹き込む限り、どこの部位から吹き込んでも構わない。尚、本発明において、浸漬ノズル9の、鋳型内溶鋼湯面19の位置よりも下方位置から不活性ガスを吹き込む理由は、当該部位は溶鋼流れのよどみが形成されやすい部位であり、アルミナの付着が激しいことから、その部位に直接不活性ガスを吹き込んでアルミナの付着を防止することを目的としている。従って、図1では上ノズル3や上部固定板5などから不活性ガスを吹き込むことは明示していないが、上ノズル3や浸漬ノズル9の上部でのアルミナの付着を防止することを目的として、上ノズル3や上部固定板5などから不活性ガスを吹き込むことは、本発明を実施する上で何ら問題とならない。
鋳型長辺13の背面には、磁場発生装置の電磁コイル24が、鋳型長辺13を挟んで鉛直方向のほぼ同一位置に、相対して設置されている。この場合、鋳型長辺13の背面から水平方向に見たときに、電磁コイル24が、吐出孔10の出口の高さ方向の長さ(L0)の50%以上の領域と重なり合うように、電磁コイル24の設置位置を設定する。両者の重なる領域が、吐出孔10の出口の高さ方向の長さ(L0)の50%未満では、ガス吹込部22における電磁力による剪断力の増減の効果が不十分であり、不活性ガス気泡の大きさを制御しにくくなるからである。図1では、電磁コイル24は、その上端が吐出孔10の上端よりも上方で、その下端が浸漬ノズル9の下端よりも下方であり、電磁コイル24が吐出孔10の高さ方向の長さ(L0)の100%と重なり合った状態を示している。ここで、吐出孔10の高さ方向の長さ(L0)は、吐出孔10の形状如何に拘わらず、最も上下間の距離の長い箇所とする。
電磁コイル24は、交流移動磁場及び直流静磁場の両方を印加することができるように構成されており、電磁コイル24に接続する電源(図示せず)の切り替え装置によって、交流移動磁場または直流静磁場を任意に選択して印加できるようになっている。当然ではあるが、交流移動磁場及び直流静磁場の両方を印加することもできる。
このように構成されるスラブ連続鋳造機を用い、以下のようにして本発明の連続鋳造方法を適用する。
転炉または電気炉などの一次精錬炉若しくはRH真空脱ガス装置などの二次精錬炉で溶製されたアルミキルド鋼の溶鋼17を、取鍋(図示せず)からタンディッシュ1に注入し、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量になったなら、摺動板6を開き、溶鋼流出孔11を介して溶鋼17を鋳型2に注入する。溶鋼17は、吐出孔10から、鋳型短辺14に向かう吐出流18となって鋳型内に注入される。鋳型内に注入された溶鋼17は鋳型2により冷却され、凝固シェル21を形成する。そして、鋳型内に所定量の溶鋼17が注入されたなら、吐出孔10を鋳型内の溶鋼17に浸漬した状態で、鋳型2の下方に設置したピンチロール(図示せず)を駆動して、外殻を凝固シェル21とし、内部に未凝固の溶鋼17を有する鋳片の引き抜きを開始する。引き抜き開始後は、鋳型内溶鋼湯面19の位置を鋳型内のほぼ一定位置に制御しながら、鋳片引き抜き速度を徐々に増して、所定速度まで増速し、その速度を維持する。鋳型内溶鋼湯面19の上にはモールドパウダー20を添加する。モールドパウダー20は溶融して、溶鋼17の酸化防止や凝固シェル21と鋳型2との間に流れ込み潤滑剤としての効果を発揮する。
この鋳造中、電磁コイル24から、交流移動磁場または直流静磁場のうちの何れか一方を印加しつつ、吹込部22から、溶鋼流出孔11を流下して吐出孔10から鋳型内に流出する溶鋼17に、不活性ガスを吹き込む。ここで、不活性ガスとはArガスなどの希ガスであり、希ガス以外は不活性ガスとは定義しない。また、図1では、不活性ガスとしてArガスを示しているが、Arガス以外であっても構わない。
この場合、電磁コイル24から印加する磁場は、以下の指針に沿って設定する。
即ち、本発明者等が詳細に薄鋼板の欠陥部を調査・検討した結果、薄鋼板において欠陥となる不活性ガス気泡の大きさは、その用途に応じて異なることが分かった。例えば、溶融亜鉛メッキ鋼板のうちで、メッキ後に合金化処理を行う場合には、より微細な気泡が欠陥として検出されやすく、従って、欠陥個数を低減するためには、粗大気泡のみならず、微細気泡の捕捉をも抑制する必要がある。
浸漬ノズル9のノズル閉塞防止のために必要な不活性ガス吹き込み流量を一定とすると、気泡径を小さくすると、気泡個数が増加し、それに応じて凝固シェル21に捕捉される気泡個数が増加するので、微細な気泡までもが欠陥となる場合には、気泡径を粗大化させ、凝固シェル21に捕捉される気泡個数を減少させることが望ましい。また、気泡径を粗大化させることによって気泡の浮上も促進される。
このような理由から気泡径を粗大化させる場合には、電磁コイル24から直流静磁場を印加する。直流静磁場を印加することによって吐出孔10から吐出される吐出流18が減速される。これにより、溶鋼流出孔11を流下する溶鋼流も減速して、溶鋼流による剪断力が小さくなり、気泡径が増大する。また、吐出流18が減速されることによって吐出流18とともに流出する気泡の合体が促進され、気泡径が増大するという効果も発現する。
一方、溶融亜鉛メッキ鋼板であっても、メッキ後に合金化処理を行わない場合には、微細な気泡は欠陥にならない。従って、このように微細な気泡が欠陥とならない場合には、可能な限り気泡径を小さくして、大型の気泡の凝固シェル21への捕捉を抑制することが望ましい。
このような理由から気泡径を微細化させる場合には、電磁コイル24から交流移動磁場を印加する。交流移動磁場を印加して、鋳型内の溶鋼17に旋回流が形成されるように電磁攪拌することで、吐出孔10から吐出される吐出流18が増速される。これにより、溶鋼流出孔11を流下する溶鋼流も増速して、溶鋼流による剪断力が大きくなり、気泡径が減少する。また、交流移動磁場で鋳型内の溶鋼17に旋回流を形成することにより、凝固シェル21の界面における洗浄効果がもたらされ、気泡の捕捉が抑制されるという効果も発現する。
図2に、交流移動磁場を印加した場合と、直流静磁場を印加した場合とで、不活性ガス流量を一定とした条件下での、不活性ガス気泡の分布状態を模式的に比較して示す。図2に示すように、交流移動磁場を印加した場合には、磁場を印加しない場合に比較して、気泡径が小さくなって、気泡個数が増加する。一方、直流静磁場を印加した場合には、気泡径が大きくなって、気泡個数が減少する。
以上説明したように、本発明によれば、浸漬ノズル9から溶鋼17とともに鋳型内に流出する不活性ガス気泡の大きさを、広い範囲で制御することができるので、下工程及び薄鋼板の用途に応じて欠陥が発生しにくい気泡径に調整することが可能となり、下工程及び薄鋼板における欠陥の発生を抑制することができる。
交流移動磁場及び直流静磁場を印加することのできる電磁コイルを鋳型背面に配置したスラブ連続鋳造機を用い、電磁コイルの設置位置を変化させるとともに、印加する磁場を交流移動磁場または直流静磁場若しくは磁場印加なしの3水準に変化させて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造し、鋳造後のスラブ表層2〜3mmの位置について、超音波探傷装置を用いておおむね80ミクロン径以上の不活性ガス気泡個数を測定した。
鋳造条件は、溶鋼注入量を4.5〜6.0トン/min、鋳片幅を1200〜1500mm、鋳片厚みを250mmとした。磁場強度は、交流移動磁場の場合は0.05〜0.2T、直流静磁場の場合は0.1〜0.3Tの範囲内とした。不活性ガスとしてはArガスを使用し、Arガスの吹き込み量は、ノズル閉塞が起こらないようにスライディングノズルの開度を見ながら、5〜12NL/minの範囲内で調整した。浸漬ノズルの吐出孔は、辺の長さが80mmの正方形とした。また、Arガスの吹き込み位置は、吐出孔の上面側内壁面または浸漬ノズル直胴部の内壁面の2水準とした。この二箇所は、ともに鋳型内溶鋼湯面よりも下方に位置する部位である。
また、実験的に鋳造後のスラブに対して、熱間圧延、冷間圧延及び溶融亜鉛メッキ処理を、この順に行い、冷間圧延後及び亜鉛メッキ後の薄鋼板に対して表面欠陥の発生個数を調査した。
表1に、試験条件及びスラブ、冷間圧延後の薄鋼板、及び溶融亜鉛メッキ処理後の薄鋼板での欠陥調査結果を示す。尚、表1に示す「コイルと吐出孔との重なり率」とは、図3に示すように、鋳型を鋳型長辺側から水平方向に見た場合に、浸漬ノズル9の吐出孔10の出口と磁場発生装置の電磁コイル24とが重なり合った部分の長さ(L)と、吐出孔出口の高さ方向の長さ(L0)との百分率による比(=100×L/L0)である。
Figure 0005151462
表1に示すように、本発明例では、冷間圧延後の薄鋼板及び溶融亜鉛メッキ処理後の薄鋼板における欠陥を大幅に低減できることが確認された。特に、交流移動磁場を印加した本発明例1及び本発明例2では、溶融亜鉛メッキ処理後の薄鋼板における欠陥を大幅に低減することができた。これは、溶融亜鉛メッキ鋼板であっても、メッキ後に合金化処理を行わない場合には、微細な気泡は欠陥とならず、交流移動磁場を印加したことによって気泡が微細化されたことに基づくものである。
本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略図である。 交流移動磁場を印加した場合と、直流静磁場を印加した場合とで、不活性ガス気泡の分布状態を模式的に示す図である。 電磁コイルと吐出孔との重なり率を説明するための図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 上ノズル
4 スライディングノズル
5 上部固定板
6 摺動板
7 下部固定板
8 整流ノズル
9 浸漬ノズル
10 吐出孔
11 溶鋼流出孔
12 往復型アクチュエーター
13 鋳型長辺
14 鋳型短辺
15 鉄皮
16 耐火物
17 溶鋼
18 吐出流
19 鋳型内溶鋼湯面
20 モールドパウダー
21 凝固シェル
22 ガス吹込部
23 ガス導入管
24 電磁コイル

Claims (1)

  1. 鋳型内溶鋼湯面位置よりも下方の浸漬ノズルの部位から、該浸漬ノズルを流下し、浸漬ノズル下部に設置された吐出孔から鋳型内に流出する溶鋼に不活性ガスを吹き込みながらアルミキルド鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型を水平方向から見たときに磁場発生装置の電磁コイルが前記吐出孔の出口の高さ方向の50%以上の領域と重なり合うように、交流移動磁場及び直流静磁場の両方を印加することのできる電磁コイルを鋳型の背面に配置し、浸漬ノズルから鋳型内に流出する不活性ガス気泡の大きさを、磁場を印加しないときの不活性ガス気泡に比較して微細化する場合には、前記電磁コイルから交流移動磁場を印加し、一方、不活性ガス気泡の大きさを、磁場を印加しないときの不活性ガス気泡に比較して粗大化する場合には、前記電磁コイルから直流静磁場を印加し、これらの磁場の印加によって溶鋼とともに鋳型内に流出する不活性ガス気泡の大きさを調整することを特徴とする、アルミキルド鋼の連続鋳造方法。
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