JP4714624B2 - 鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造における鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法に係り、更に詳細には、鋳型内の溶鋼の電磁撹拌の際に、溶鋼の旋回性を良好な状態に確保し、連続鋳造により製造される鋳片の品質向上と不均一な凝固を防止して安定した鋳造を実施できる鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法に関する。
近年、連続鋳造された製品への品質要求の厳格化に対応するため、図3(A)に示すように、鋳型80に設けられた複数の電磁撹拌装置81により、鋳型80内の溶鋼82に対して電磁撹拌を行い、凝固初期の非金属介在物及び気泡を洗い流す方法を適用した連続鋳造機83が普及している。
しかし、鋳型80内の溶鋼82に電磁撹拌を行った際には、図3(A)、(B)に示すように、電磁撹拌によって生じる鋳型80の長辺部材に沿った旋回流と、浸漬ノズル84の吐出口85から吐出し鋳型80の短辺部材86に衝突して上昇し、溶鋼82のメニスカスで浸漬ノズル84方向に反転した流れとなる吐出反転流87とが、溶鋼のメニスカスで干渉する現象が生じている。より具体的には、メニスカスで浸漬ノズル84方向に反転した吐出反転流87は、長辺部材に沿った上流側の旋回流88で、同じ順方向の流れとなり、吐出反転流87と旋回流88との干渉が発生せず、浸漬ノズル84に向かう流れが形成される。しかし、長辺部材に沿った下流側の旋回流89では、吐出反転流87と旋回流89の流れが逆向きになるため、吐出反転流87と旋回流89が衝突して、流速が低下する領域、即ち干渉域90が生じる。この干渉域90においては、溶鋼82の流速が遅いため、非金属介在物及び気泡が凝固シェルに捕捉される確立が高くなり、この領域における表面欠陥等の品質不具合発生率が高くなることが分かっている。
そこで、この問題点を解決するため、以下に示す方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、メニスカス近傍の鋳型内の溶鋼に対して、凝固シェルの内周面に沿って水平方向に回転する流れが生じるように、鋳型に電磁撹拌装置を設置し、この鋳型内に、底部に下方に向けて吐出口が設けられた浸漬ノズルを、この吐出口が電磁撹拌装置よりも下方に位置するように配置して、溶鋼を鋳型内の下方へ向けて注入する方法が開示されている。
また、特許文献2には、溶鋼の吐出流が鋳型の短辺部材側へ向かう下向きの吐出口を底部両側に備え、この各吐出口と連通するスリット状開口部を底部に備える浸漬ノズルを使用し、更に鋳型内の溶鋼に連続的又は間欠的に電磁力を付与することにより、鋳型内の溶鋼を撹拌して鋳造する方法が開示されている。
特許文献3には、溶鋼の吐出口が側壁部に設けられた浸漬ノズルと、鋳型の両側に配設されたコアを用いて電磁力を作用させ、浸漬ノズルから吐出された溶鋼を撹拌する電磁撹拌装置とを有し、鋳片を連続鋳造する連続鋳造装置であり、浸漬ノズルの吐出口を浸漬ノズルの側方から下向きに所定範囲内の角度に設定し、吐出口がコアの下面よりも低い位置になるように浸漬ノズルを配設する装置が開示されている。
そして、特許文献4には、鋳型の各長辺部材の両側にそれぞれ電磁撹拌装置を複数配置して、溶鋼のメニスカス面に鋳型壁に沿って旋回移動する旋回流を形成させる推力を付与すると共に、鋳型に注入される溶鋼の鋳造量に応じて、複数の電磁撹拌装置で発生させる推力の大きさを調整する方法が開示されている。
特開平7−112248号公報 特開2001−205396号公報 特開2004−42062号公報 特開平10−156494号公報
しかしながら、前記従来の方法には未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1について、本発明者らは、これに開示された浸漬ノズルに類似した形状の浸漬ノズルを用い、実機で鋳造試験を行った結果、浸漬ノズルからの溶鋼の吐出流速が、特許文献1に記載されたように、溶鋼注入量を吐出断面積で除したように均一とはならないことが分かった。
一般に、浸漬ノズルは、非金属介在物が付着し閉塞傾向になることが多いことから、内部にアルゴン等の不活性ガスが吹き込まれるため、溶鋼流が浸漬ノズル内に充満しておらず、浸漬ノズル内の溶鋼流が落下流となっている。このため、下方に向けて吐出口が設けられた浸漬ノズルでは、溶鋼が浸漬ノズル内を落下しながら、その重力加速度で速度を上げてゆくため、浸漬ノズル内で一部に集中した流動が形成される。その結果、浸漬ノズル下端の吐出部では、均一な吐出流が形成されず、吐出口の一部から、吐出口の断面積から算出される流速よりも速い流れが、鋳型下方に向かって吐出される。
このように、この方法では、浸漬ノズルの吐出口が下方へ向けて開口しているため、メニスカスへ向かう吐出反転流が形成されず、旋回流との干渉は回避可能であるが、下方へ向かう流速が速く、鋳片の内部品質に著しい悪化を招く可能性が高い。
また、特許文献2についても、スリット状開口部を底部に備える浸漬ノズルを使用するので、前記した特許文献1と同様、浸漬ノズル下端のスリット状開口部において溶鋼の吐出流が均一に形成されず、スリット状開口部の一部から、速い流れが鋳型下方に向かって吐出される。このように、この方法についても、スリット状開口部を底部に備えるため、メニスカスへ向かう吐出反転流が弱められ、旋回流との干渉は回避可能であるが、下方へ向かう流速が速く、鋳片の内部品質に著しい悪化を招く問題がある。
そして、特許文献3は、浸漬ノズルの吐出口の下向き角度を、浸漬ノズルの側方から下向きに35度以上75度以下の範囲内とし、しかもその吐出口の位置を規定するので、形成される吐出反転流の流速を抑え、吐出反転流と電磁撹拌旋回流との干渉がなくなり、鋳片の表面品質が向上する。しかし、浸漬ノズルの吐出口の下向き角度が大き過ぎるため、短辺部材に衝突した吐出流が鋳型下方に深く侵入するため、鋳片の内部品質に著しい悪化を招く可能性が高い。
更に、特許文献4は、鋳型に沿って旋回する溶鋼の旋回流を制御するため、複数の電磁撹拌装置で発生させる推力の大きさを調整している。更に、長辺部材に沿う旋回流の上流側に位置する電磁撹拌装置の電流値iuと、その下流側に位置する電磁撹拌装置の電流値idを、数式によって定め、その強弱撹拌比α(=id/iu)を1以下と定めている。
しかし、これは、浸漬ノズルにおけるノズル詰まり、タンディッシュのストッパーヘッドの損耗に起因した外乱、及び品質調整作業上の理由により、鋳造速度又は鋳造量が変動した場合に、旋回流を適正かつ安定な状態に維持する方法である。従って、特許文献4に開示された方法は、メニスカスへ向かう吐出反転流と旋回流との干渉回避に対して効果的でない。
更に、ここで、本願発明者らが鋭意検討し知見した結果について説明する。
鋳型内の溶鋼に対して電磁撹拌を行う際、鋳型コーナー部で形成される凝固シェルの厚みが、鋳型の長辺部材及び短辺部材の幅方向中央部に比較して著しく薄くなり、場合によっては凝固シェルが破断してブレイクアウトと呼ばれる溶鋼流出事故に繋がることを知見した。この原因解明のために、実機におけるメニスカスの流速測定と、鋳型内の低融点金属を電磁撹拌した際の鋳型内の流速分布を、詳しく調査する実験を行った結果、以下に述べるような流動が鋳型内に形成されていることを知見した。ここで、鋳型内の溶鋼の流動を、図4(A)、(B)を参照しながら説明する。なお、溶鋼の流動は、浸漬ノズル(即ち、鋳型の長辺部材の幅方向中心位置)を中心として左右対称であるため、図4(A)、(B)は、それぞれ半分のみを図示している。
図4(A)に示すように、浸漬ノズル84の吐出口85から吐出した溶鋼82の吐出流(a)は、鋳型80の短辺部材へ向かって長辺部材と平行に流れ(b)、短辺部材に衝突し、短辺部材に沿って上昇(c)又は(c´)下降する。短辺部材に沿って上昇した吐出流(c)は、メニスカスで浸漬ノズル84方向に反転した流れ、即ち吐出反転流(d1、d2)となる。ここで、長辺部材に沿う旋回流の上流側では、吐出反転流(d1)と旋回流(E1)の流れの向きが順方向となるため、吐出反転流(d1)と旋回流(E1)の干渉が発生せず、浸漬ノズル84に向かう流れが形成される。一方、長辺部材に沿う旋回流の下流側では、吐出反転流(d2)と旋回流(E2)の流れの向きが逆方向であるため、吐出反転流(d2)と旋回流(E2)が衝突して、図4(B)に示すように、流速が低下する干渉域90が生じる。なお、(E´)は、旋回流(E2)下方の溶鋼82内の旋回流を示している。
図4(A)、(B)に示すように、当該干渉域90において、行き場を失った吐出反転流(d2)は向きを変え、斜め下方にもぐり込む流動(e)となる。そして、浸漬ノズル84から吐出したばかりの吐出流(a)の前方に、その流れをさえぎる形で流動を形成する。この結果、通常、長辺部材と平行になる流れ(b)が、長辺部材に対して平行な流れを形成できずに、干渉域90を避けるように他方側の長辺部材に偏った流れとなり、長辺部材と短辺部材とで形成されるコーナー部91へ向かう流れとなる。この結果、浸漬ノズル84から吐出した温度が高い溶鋼がコーナー部91を直撃し、生成した凝固シェルを溶解させ、場合によってはこの凝固シェルを破断し、ブレイクアウト(溶鋼漏れ)に繋がることが分かった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、浸漬ノズルからの吐出反転流と電磁撹拌による鋳型内溶鋼の旋回流との干渉による淀みの発生、及び干渉による鋳型コーナー部への吐出流の偏流に起因する凝固遅れを防止し、安定した鋳片品質と鋳造作業を実現できる鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法は、間隔を有して対向配置された一対の短辺部材と一対の長辺部材とで構成される鋳型内に、タンディッシュから浸漬ノズルを介して溶鋼を供給すると共に、前記各長辺部材の幅方向に渡って複数配列された電磁撹拌装置により、溶鋼のメニスカス面に前記長辺部材に沿って旋回移動する旋回流を形成させる推力を付与しながら溶鋼を撹拌して連続鋳造を行うための鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法において、
前記各長辺部材に沿う前記旋回流の上流側に位置する前記電磁撹拌装置の電流値iuと、下流側に位置する前記電磁撹拌装置の電流値idとの比(id/iu)を、1.0を超え1.5以下とし、
前記浸漬ノズルの下部に設けられた溶鋼の吐出口は、該浸漬ノズルの両側であって、前記鋳型の前記各短辺部材と対向する位置にそれぞれ設けられ、しかも前記吐出口の軸心を水平方向に対して下向きに15度以上35度以下の範囲内とし、
溶鋼の前記メニスカス面から前記吐出口上端までの深さ距離を、175mm以上300mm以下とし、
前記電磁撹拌装置のコア上端位置を、溶鋼の前記メニスカス面の高さ位置を中心として±20mmの範囲内とする。
本発明の鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法は、長辺部材に沿って流れる旋回流の上流側と下流側に位置する各電磁撹拌装置の電流値iuと電流値idとの比(id/iu)を適正範囲に設定するので、旋回流の流速を吐出反転流の流速よりも相対的に速くし、旋回流が吐出反転流を押し戻して、吐出反転流と旋回流の干渉を低減できる。
また、浸漬ノズルの吐出口の深さ位置を適正範囲に設定するので、形成される吐出反転流の流速を抑えることができ、旋回流が吐出反転流を押し戻して、吐出反転流と旋回流の干渉を抑制できる。
これにより、吐出反転流と旋回流の干渉域である淀み部の流速が改善され、溶鋼の旋回性を良好な状態に確保でき、凝固初期の非金属介在物及び気泡が洗い流され、鋳片表面疵及び製品疵の個数を従来法に対して改善できる。更に、吐出反転流と旋回流の干渉による吐出反転流のもぐり込みに起因した鋳型コーナー部で形成される凝固シェルの厚みの不均一も改善できる。従って、鋳片品質の向上と不均一な凝固を防止して安定した鋳造を実施できる。
本発明の鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法は、浸漬ノズルの吐出口を、鋳型の各短辺部材と対向する位置にそれぞれ設け、その下向き角度を適正範囲に設定するので、メニスカスへ向かう溶鋼流の流量を過剰に増加させることなく、形成される吐出反転流の流速を抑え、旋回流の流速を吐出反転流の流速よりも相対的に速くして、吐出反転流と旋回流の干渉を更に抑制できる。また、短辺部材に衝突した後に鋳片内最奥部へ向かう流れを抑制でき、気泡及び介在物を浮上させ易くして、凝固シェルへの捕捉を抑制できる。
本発明の鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法は、電磁撹拌装置のコア上端位置を、溶鋼のメニスカス面の高さ位置に対して適正範囲に設定するので、溶鋼に対して適切にローレンツ力を付与でき、メニスカス位置における旋回流の流速低下を抑制し、旋回流の流速を吐出反転流の流速よりも相対的に速くして、吐出反転流と旋回流の干渉を低減できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法を適用する連続鋳造設備の側断面図、部分平断面図、図2は同連続鋳造設備の鋳型と浸漬ノズルの部分側断面図である。
図1(A)、(B)、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法は、間隔を有して対向配置された一対の短辺部材10、11と一対の長辺部材12、13とで構成される鋳型14内に、タンディッシュ15から浸漬ノズル16を介して溶鋼17を供給すると共に、各長辺部材12、13の幅方向に渡って複数配列された電磁撹拌装置18〜21により、鋳型14内の溶鋼17のメニスカス面22の近傍に長辺部材12、13に沿って旋回移動する旋回流を形成させる推力を付与しながら溶鋼17を撹拌して連続鋳造を行うための方法である。以下、詳しく説明する。
本発明者らは、低融点金属を用いた実験装置及び実機において、種々の実験を行った結果、浸漬ノズル16から吐出して短辺部材10、11により形成される吐出反転流と、電磁撹拌による電磁撹拌旋回流(以下、単に旋回流ともいう)との干渉を低減するには、旋回流を吐出反転流よりも相対的に強くする必要があることを知見した(図4(A)参照)。
鋳型14の長辺部材12に沿う旋回流の上流側と下流側に位置する電磁撹拌装置18、19と、長辺部材13に沿う旋回流の上流側と下流側に位置する電磁撹拌装置20、21は、複数の電磁コイル(以下、コアともいう)を直線上に展開し、この複数の電磁コイルにそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加して、それぞれの電磁コイルに発生する磁力を周期的に変動させることにより、一定方向に移動磁界を生成する装置である。この移動磁界の強さは、各電磁撹拌装置18〜21にそれぞれ流す電流値i1〜i4により、それぞれ制御できる。なお、各電磁撹拌装置18〜21の電流値i1〜i4の制御は、制御装置23によって行う。
ここで、それぞれの電磁撹拌装置18〜21により発生する移動磁界が、図1(B)に示すように、メニスカス面22の近傍の各短辺部材10、11及び各長辺部材12、13に沿う、例えば右回りの旋回流が形成されるように、電流値i1〜i4の制御を行う。
このとき、各長辺部材側での旋回流の上流側に配置される電磁撹拌装置の電流値をiu(アンペア)とし、下流側に配置される電磁撹拌装置の電流値をid(アンペア)として、電流値idと電流値iuとの比(id/iu)を強弱撹拌比(α)とする。これにより、旋回流の上流側の電磁撹拌装置18、20に通電されるそれぞれの電流値i1、i3はiuとなり、一方、下流側の電磁撹拌装置19、21にそれぞれ通電される電流値i2、i4はid=αiuとなる。
このように、電磁撹拌制御においては、各電磁撹拌装置18〜21に流れる電流値i1〜i4を制御するものであり、前記した強弱撹拌比(α)を、制御パラメーターとしている。
なお、iuは、鋼種に応じて設定することが望ましく、例えば、300アンペア以上800アンペア以下となるように設定される。
ここで、旋回流の上流側の電磁撹拌装置18、20の電流値iuと、下流側の電磁撹拌装置19、21の電流値idとの比(id/iu)、即ち強弱撹拌比(α)を1.0を超え1.5以下とする。
上流側の電磁撹拌装置18、20に対する下流側の電磁撹拌装置19、21の電流値の比が1.0を超えることで、電磁撹拌による旋回流の下流側で撹拌の推力を強め、上昇してきた吐出反転流を押し戻すために必要な流速を溶鋼に付与できる。
一方、吐出反転流は、凝固界面及び溶鋼流同士の摩擦損失によって減衰するが、流動する距離が長くなるほど減衰が大きくなり流速が低下する。従って、浸漬ノズル16の下部に設けられた吐出口24の浸漬深さが浅い場合、吐出流の短辺部材10、11への衝突位置からメニスカスまでの距離が短くなるため、吐出流が減衰する距離が短くなり、旋回流と対峙する吐出反転流の流速が大きくなる。
この場合、吐出反転流の流速に応じて旋回流の流速を速くすれば、干渉による淀みは解消できる。しかし、旋回流の流速が速過ぎると、メニスカスでの湯面変動が大きくなり、溶鋼を覆うパウダーの巻き込み及びパウダーの溶融層厚みの変動を招き、例えば、鋳片品質の悪化、また鋳型14と凝固シェル間の潤滑不良起因によるブレイクアウトなどの操業トラブルの原因となるため、おのずと旋回流の流速の速さに限界がある。本発明者らの研究によれば、メニスカスでの溶鋼の流速の上限は60cm/秒と考えており、この上限を超えない範囲で操業する必要がある。この条件を満足するには、強弱撹拌比を1.5以下にする必要がある。
以上のことから、強弱撹拌比(α)を1.0を超え1.5以下に規定したが、下限値を1.1とすることが好ましく、上限値を1.4、更には1.35とすることが好ましい。
また、図2に示すように、溶鋼17のメニスカス面22から浸漬ノズル16の吐出口24上端、即ち吐出口24の外側上端25までの深さ距離(以下、浸漬深さともいう)Dを、175mm以上300mm以下とする。
前記したように、鋳造時における操業トラブルを回避するには、メニスカスでの溶鋼の流速の上限を60cm/秒にする必要があると考えられ、この上限を超えない範囲で操業する必要がある。ここで、メニスカスでの溶鋼の流速が60cm/秒を超えない範囲で、旋回流と吐出反転流の干渉を防止するには、おのずと吐出反転流を抑制する必要がある。
そこで、本発明者らの検討の結果、浸漬深さを175mm以上300mm以下に規定したが、下限値を190mm、更には200mmとすることが好ましく、上限値を270mm、更には250mmとすることが好ましい。
このような浸漬ノズル16の吐出口24は、浸漬ノズル16の両側であって、鋳型14の各短辺部材10、11と対向する位置にそれぞれ設けることが好ましい。なお、短辺部材と長辺部材の幅が顕著に異ならない場合には、浸漬ノズルの吐出口を、浸漬ノズルの両側であって、各長辺部材と対向する位置にそれぞれ設けてもよい。
前記したように、旋回流を吐出反転流よりも相対的に強くすることで、浸漬ノズル16からの吐出反転流と旋回流の干渉を抑制できる。この吐出反転流は、強弱撹拌比と吐出口24の浸漬深さを、前記した条件に設定することで抑制可能であるが、浸漬ノズル16の吐出口24から吐出する溶鋼流の吐出角度によっては、十分な抑制効果が得られず、結果として吐出反転流と旋回流の干渉を十分抑制できない恐れもある。
そこで、本発明者らが、強弱撹拌比と吐出口24の浸漬深さを前記した条件に設定し、更に水平方向Hに対する吐出口24の軸心Lの下向き角度γを鋭意検討した結果、以下の結果が得られた。
浸漬ノズルの吐出口の下向き角度γが小さく水平方向Hに近過ぎる場合、短辺部材に衝突した後に、メニスカスへ向かう溶鋼流の流量が増加するため、溶鋼流の流速の減衰が生じにくくなり、吐出反転流が強まって、旋回流との干渉が大きくなる傾向がある。一方、水平方向Hに対する吐出口の下向き角度γが大き過ぎる場合、短辺部材に衝突した後に鋳片内最奥部へ向かう流れが強くなり、鋳片内部へ持ち込まれた気泡及び介在物が浮上しにくくなり、凝固シェルに捕捉されて品質欠陥になる。
以上のことから、浸漬ノズル16の吐出口24の軸心Lを、水平方向Hに対して下向きに、15度以上35度以下(好ましくは、下限を20度、上限を30度)の範囲内に設定した。
以上に示したように、旋回流を吐出反転流よりも相対的に強くすること、そのために、強弱撹拌比、及び吐出口24の浸漬深さ、更には吐出口24の下向き角度を、前記した条件に設定することで、旋回流の流速及び吐出反転流の流速を好適な範囲に設定することができる。これにより、吐出反転流と旋回流の干渉を十分抑制でき、短辺部材10、11に衝突した後の鋳片内最奥部へ向かう溶鋼の流れも抑制できた。
しかし、このような条件で鋳造した鋳片を調査した結果、なお一部の鋳片でメニスカス近傍における流速低下起因と思われる気泡及び介在物の濃化が認められた。この原因を突き止めるために、操業条件の解析及び低融点金属を用いた流動実験を行った結果、電磁撹拌装置のコア上端の位置に対して、メニスカス面の高さ位置が高過ぎる場合に、メニスカス部に淀みが生成する現象を知見した。
この淀みは、これまで述べてきた吐出反転流と旋回流の干渉によるものではない。
各電磁撹拌装置18〜21のコアから溶鋼17に印加されるローレンツ力は、高さ方向に分布を持っており、コアの高さ方向中心位置から離れるほど小さくなっている。特に、ローレンツ力は、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26から離れるとその低下が大きく、メニスカス面22の高さ位置がコア上端26の位置より上になり、しかもその距離が離れるほど、溶鋼17に付与される旋回流の流速が低下するため、電磁撹拌されている溶鋼17は、高さ方向に流速分布をもつことになる。
一般に、コアの高さ方向中心部分のローレンツ力が最も大きく、従って、旋回流の流速も大きくなるので、短辺部材10、11に衝突した撹拌流が放射状(広角度の範囲)に広がる。このとき、下方及び側方に向かう流れに大きな流動抵抗はない。これは、メニスカスにおける旋回流とコアの高さ方向中心部分の旋回流の流速に差がない場合、コアの高さ方向中心部分の流れがメニスカスの流れを押し退けて上方に向かうことはできないため、下方もしくは側方に向かうしかないためである。
しかし、上述したようなケースで、メニスカス面22の高さ位置がコア上端26の位置より上になり、しかもその距離が離れた場合は、メニスカスにおける旋回流の流速がコアの高さ方向中心部分における旋回流の流速よりも大きく低下する。このため、コアの高さ方向中心部分の流れが短辺部材10、11に衝突した後メニスカスへ向かい、反転して浸漬ノズル16へ向かう流れに転じる。この結果、メニスカスの旋回流と干渉して淀みを生じる結果となる。
そこで、本願発明者らが、この旋回流自体に起因した干渉を回避する条件を模索したところ、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置と、溶鋼17のメニスカス面22の高さ位置とから、以下の関係が得られた。なお、コアの高さ(垂直方向長さ)は、例えば、150mm以上300mm以下程度である。
即ち、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の高さ位置に対するメニスカス面22の高さ位置の上がり代を20mm以下とすることで、コアの高さ方向中心部分の旋回流の流速に対するメニスカスでの旋回流の流速の低下を抑制でき、その結果、干渉による淀みの形成を回避できることが分かった。
一方、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置よりもメニスカス面22の高さ位置が下がった場合、溶鋼17に対して相対的に電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置が上方へずれるために、溶鋼17にローレンツ力が印加されにくくなり、電磁撹拌による旋回流の流速が低下する。また、吐出流の短辺部材10、11への衝突位置からメニスカスまでの距離が短くなるため、吐出反転流の流速が速くなり、前記した理由により流速が低下した旋回流との干渉が生じ、表面品質の悪化等を招く。このコア上端26の位置よりも、メニスカス面22の高さ位置が下がった場合の干渉防止には、コア上端26の位置に対するメニスカス面22の低下代を20mm以内にすることが有効であることがわかった。
なお、ここでは、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置を固定した条件で、メニスカス面22の高さ位置が変化した場合について述べたが、メニスカス面22の高さ位置が一定となった条件下で、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置が変化した場合も、全く同様の作用であることはいうまでもない。
以上のことから、各電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置を、溶鋼17のメニスカス面22の高さ位置を中心として±20mm(好ましくは、上限を15mm、下限を−15mm)の範囲内とする。
以上に示したように、強弱撹拌比と吐出口24の浸漬深さを前記した条件に設定し、更には、吐出口24の下向き角度、及び電磁撹拌装置18〜21のコア上端26の位置のいずれか1又は2を設定して、連続鋳造を行うことで、旋回流を吐出反転流よりも相対的に強くできる。これにより、浸漬ノズル16からの吐出反転流と電磁撹拌による鋳型14内の溶鋼17の旋回流の干渉による淀みの発生、及び干渉による鋳型コーナー部への吐出流の偏流に起因する凝固遅れを防止し、安定した鋳片品質と鋳造作業を実現できる
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、前記実施の形態で示した強弱撹拌比、吐出口の浸漬深さ、吐出口の下向き角度、及び電磁撹拌装置のコア上端の位置が、連続鋳造により製造した鋳片品質に及ぼす影響について説明する。なお、鋳片品質は、鋳片表面の疵、製品疵、及び鋳型コーナー部で形成される凝固シェルの厚みの均一度によって評価した。
この鋳片表面の疵とは、鋳片に残存する介在物及び気泡の単位面積当たりの個数を表しており、鋳片の鋳型接触部(ここでは、鋳造方向の長さが300mmの部分)を1mmずつ研削し、ルーペにて個数をカウントして、個/cm2で評価した。ここで、製品として問題無いものを○、欠陥はあるが用途限定で使用できるものを△、使用できないものを×とした。
また、製品疵は、製造した鋳片を圧延して板厚0.2mmのブリキ原板を製造した後、これを非破壊検査により評価した。ここで、製品として問題無いものを○、欠陥はあるが用途限定で使用できるものを△、使用できないものを×とした。
そして、凝固シェルの厚みの均一度は、鋳片断面のホワイトバンド観察により凝固シェルの再溶解状況を調査して評価した。一般に、鋳片のコーナー部は、その他の部位に比較して70%程度の凝固シェル厚みとなるのが通例であるので、70%以上を○、50%以上70%未満を△とした。なお、50%未満では、凝固シェルに局部的な破れが発生し、溶鋼の漏れ出しが生じたケースがあったことから、トラブルになる懸念が高くなることから×とした。
一般に溶鋼が凝固する際、硫黄とリンは、溶けた溶鋼に染み出すため、鋼の結晶、即ちデンドライトの間に濃化する。しかし、溶鋼の強い流れが局部的に発生すると、溶鋼がデンドライトの間を洗い流すため再溶解が起こり、硫黄とリンの濃化した部分が洗い流されてなくなる。なお、鋳型のコーナー部に吐出流があたったケースでも、同様の洗い流し現象が起こる。その結果、鋳片のコーナー部に、硫黄が濃化した層(再溶解が起きていない部分)と、硫黄が濃化していない層(再溶解が起きた部分)が現れる。そこで、硫黄の偏析状態を調べるサルファプリントで調査すると、鋳片のコーナー部に白っぽく見える部分(硫黄が濃化していない層)、即ちホワイトバンドが発生するため、再溶解状況が確認できる。
まず、各電磁撹拌装置の強弱撹拌比の影響を検討した結果について、表1を参照しながら説明する。
ここで、実施例1、2は、強弱撹拌比を、前記した1.0を超え1.5以下の適正範囲に設定した結果であり、比較例1〜3は、適正範囲外に設定した結果である。なお、浸漬ノズルの吐出口の浸漬深さを200mm、吐出口の下向き角度を20度、及び電磁撹拌装置のコア上端位置とメニスカス面の高さ位置を同じ位置に、それぞれ設定した。また、鋳片の鋳造幅を1250mm、鋳造厚みを250mm、鋳造速度を1.4m/分、溶鋼温度を1530℃、各長辺部材の幅方向に設けられた電磁撹拌装置(コア)の個数を2個(合計4個)、及び各電磁コイル間の周波数(位相移動速度)を4.4Hzとした。
Figure 0004714624
表1に示す実施例1、2のように、強弱撹拌比を適正範囲内に設定することで、吐出反転流と旋回流の干渉を抑制でき、淀み部の流速が改善された。その結果、凝固初期の非金属介在物及び気泡が洗い流され、鋳片表面疵及び製品疵の個数が、比較例1、2に対して改善した(○)。また、吐出反転流と旋回流の干渉による吐出反転流のもぐり込みに起因した吐出流による凝固シェルの厚みの不均一も改善した(○)。
一方、比較例1、2は、強弱撹拌比が適正範囲の下限を下回ったため、旋回流が吐出反転流に対して相対的に弱くなり、吐出反転流と旋回流の干渉を抑制できず、その結果、鋳片表面疵が発生し(×)、凝固シェル厚みが不均一となった(×)。
また、比較例3は、強弱撹拌比が適正範囲の上限を上回ったため、撹拌のし過ぎによる溶鋼の湯面変動が起こり、その結果、鋳片表面疵が発生し(×)、凝固シェルの厚みが不均一となった(×)。
次に、浸漬ノズルの吐出口の浸漬深さの影響を検討した結果について、表2を参照しながら説明する。
ここで、実施例1、3、4は、吐出口の浸漬深さを、前記した175mm以上300mm以下の適正範囲に設定した結果であり、比較例4、5は、適正範囲外に設定した結果である。なお、各電磁撹拌装置の強弱撹拌比を1.1とし、他の条件は前記した表1の条件と同じとした。
Figure 0004714624
表2に示す実施例1、3、4のように、吐出口の浸漬深さを適正範囲内に設定することで、吐出反転流と旋回流の干渉を抑制でき、淀み部の流速が改善された。その結果、凝固初期の非金属介在物及び気泡が洗い流され、鋳片表面疵及び製品疵の個数が、比較例4、5に対して改善した(○)。また、吐出反転流と旋回流の干渉による吐出反転流のもぐり込みに起因した吐出流による凝固シェルの厚みの不均一も改善した(○)。
一方、比較例4は、吐出口の浸漬深さが浅くなり過ぎ、溶鋼の湯面変動が起こり、その結果、鋳片表面疵が発生し(×)、凝固シェルの厚みが不均一となった(×)。
また、比較例5は、吐出口の浸漬深さが深くなり過ぎ、メニスカスへの溶鋼からの熱供給が悪くなり、デッケルと呼ばれる凝固した鋼が生成して、鋳片品質の悪化及び操業トラブルの原因となった(×)。
浸漬ノズルの吐出口の下向き角度の影響を検討した結果について、表3を参照しながら説明する。
ここで、実施例1、6、7は、下向き角度を前記した15度以上35度以下の適正範囲に設定した結果であり、実施例5、8は、適正範囲外に設定した結果である。なお、各電磁撹拌装置の強弱撹拌比を1.1とし、他の条件は前記した表1の条件と同じとした。
Figure 0004714624
表3に示す実施例1、6、7のように、吐出口の下向き角度を適正範囲内に設定することで、吐出反転流と旋回流の干渉抑制により、淀み部の流速がより一層改善された。その結果、凝固初期の非金属介在物及び気泡が洗い流され、鋳片の表面疵及び製品疵の個数が、従来法(例えば、特許文献1〜3)に対して60〜70%低減した(○)。また、吐出反転流と旋回流の干渉による吐出反転流のもぐり込みに起因した吐出流による凝固シェルの厚みの不均一も大幅に改善した(○)。
一方、実施例5のように、吐出口の下向き角度を小さくし、水平に近い状態にした場合、短辺部材に衝突した後にメニスカスへ向かう溶鋼流の流量が増加するため、吐出反転流が強まって旋回流との干渉が大きくなった。その結果、実施例1、6、7と比較して、鋳片の表面疵の個数が多くなり、また凝固シェルの厚みも不均一となったが、用途を限定すれば使用可能であった(△)。
また、実施例8のように、吐出口の下向き角度を大きくした場合、短辺部材に衝突した後に鋳片内最奥部へ向かう流れが強くなったため、鋳片内部へ持ち込まれた気泡及び介在物が浮上しにくくなり、凝固シェルに捕捉されて品質欠陥になった。その結果、実施例1、6、7と比較して、製品疵の個数が多くなったが、用途を限定すれば使用可能であった(△)。
電磁撹拌装置のコア上端位置の影響を検討した結果について、表4を参照しながら説明する。
ここで、実施例1、10、11は、コア上端位置を前記したメニスカス面の高さ位置に対して±20mmの範囲内の適正範囲に設定した結果であり、実施例9、12は、適正範囲外に設定した結果である。なお、各電磁撹拌装置の強弱撹拌比を1.1とし、他の条件は前記した表1の条件と同じとした。
Figure 0004714624
表4に示す実施例1、10、11のように、メニスカス面の高さ位置に対するコア上端位置を適正範囲内に設定することで、吐出反転流と旋回流の干渉抑制により、淀み部の流速が更に改善された。その結果、凝固初期の非金属介在物及び気泡が洗い流され、鋳片の表面疵及び製品疵の個数が、従来法(例えば、特許文献1〜3)に対して80〜85%低減した(○)。また、吐出反転流と旋回流の干渉による吐出反転流のもぐり込みに起因した吐出流による凝固シェルの厚みの不均一も大幅に改善した(○)。
一方、実施例9のように、メニスカス面の高さ位置よりもコア上端位置が高過ぎる場合、溶鋼にローレンツ力が印加されにくくなり、電磁撹拌による旋回流の流速が低下する。また、吐出流の短辺部材への衝突位置からメニスカスまでの距離が短くなるため、吐出反転流の流速が速くなり、流速が低下した旋回流との干渉が生じる。その結果、実施例1、10、11と比較して、鋳片の表面疵の個数が多くなり、また凝固シェルの厚みも不均一となったが、用途を限定すれば使用可能であった(△)。
また、実施例12のように、メニスカス面の高さ位置よりもコア上端位置が低過ぎる場合、メニスカスにおける旋回流の流速がコアの高さ方向中心部分における旋回流の流速よりも低下するため、コアの高さ方向中心部分の流れが短辺部材に衝突した後メニスカスへ向かい、反転して浸漬ノズルへ向かう流れに転じる。この結果、メニスカスの旋回流と干渉して淀みを生じ、実施例1、10、11と比較して、鋳片の表面疵の個数が多くなり、また凝固シェルの厚みも不均一となったが、用途を限定すれば使用可能であった(△)。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、各電磁撹拌装置により発生する移動磁界が、メニスカス面の各短辺部材及び各長辺部材に沿う、右回りの旋回流が形成される場合について説明したが、制御装置により、各電磁撹拌装置により発生する移動磁界を、左回りの旋回流が形成されるようにしてもよい。
(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法を適用する連続鋳造設備の側断面図、部分平断面図である。 同連続鋳造設備の鋳型と浸漬ノズルの部分側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ従来例に係る鋳型内の溶鋼の流れを示す平面図、部分側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ従来例に係る鋳型内の溶鋼の流れを示す部分斜視図、部分平面図である。
符号の説明
10、11:短辺部材、12、13:長辺部材、14:鋳型、15:タンディッシュ、16:浸漬ノズル、17:溶鋼、18〜21:電磁撹拌装置、22:メニスカス面、23:制御装置、24:吐出口、25:外側上端、26:コア上端

Claims (1)

  1. 間隔を有して対向配置された一対の短辺部材と一対の長辺部材とで構成される鋳型内に、タンディッシュから浸漬ノズルを介して溶鋼を供給すると共に、前記各長辺部材の幅方向に渡って複数配列された電磁撹拌装置により、溶鋼のメニスカス面に前記長辺部材に沿って旋回移動する旋回流を形成させる推力を付与しながら溶鋼を撹拌して連続鋳造を行うための鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法において、
    前記各長辺部材に沿う前記旋回流の上流側に位置する前記電磁撹拌装置の電流値iuと、下流側に位置する前記電磁撹拌装置の電流値idとの比(id/iu)を、1.0を超え1.5以下とし、
    前記浸漬ノズルの下部に設けられた溶鋼の吐出口は、該浸漬ノズルの両側であって、前記鋳型の前記各短辺部材と対向する位置にそれぞれ設けられ、しかも前記吐出口の軸心を水平方向に対して下向きに15度以上35度以下の範囲内とし、
    溶鋼の前記メニスカス面から前記吐出口上端までの深さ距離を、175mm以上300mm以下とし、
    前記電磁撹拌装置のコア上端位置を、溶鋼の前記メニスカス面の高さ位置を中心として±20mmの範囲内とすることを特徴とする鋳型内溶鋼の電磁撹拌方法。
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