JP7200811B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、取鍋からタンディッシュに向けて溶鋼を注入し、このタンディッシュから連続鋳造用鋳型に前記溶鋼を供給し、鋳片を連続的に鋳造する鋼の連続鋳造方法に関するものである。
例えば、自動車用外板向け極低炭素鋼板、缶用低炭ブリキ鋼板向けの低炭アルミキルド鋼板、鋼管向け熱延鋼板、自動車用の構造部材等に用いられるハイテン鋼においては、高加工性や良好な表面形状が求められる。
これらの高加工性や良好な表面形状を実現するためには、鋼中の非金属介在物およびそれらを含む表面や内部欠陥が大きな課題となる。したがって、高加工性、良好な表面形状が必要な場合、溶鋼から非金属介在物を除去して清浄性を高めることが必要である。
従来は、タンディッシュに堰を設けて溶鋼の上昇流を形成したり、連続鋳造の鋳型内で電磁ブレーキを用いて浸漬ノズルからの吐出流を制動させたりすることで、非金属介在物の浮上除去を行っていたが、十分に除去されておらず、非金属介在物が最終成品である薄鋼板まで持ち込まれ、有害なアルミナクラスターや、非金属介在物が一定量残存している。
そこで、非金属介在物のさらなる除去を行うために、例えば、特許文献1~4に示すように、タンディッシュ内の溶鋼において非金属介在物の浮上分離を促進する技術が提案されている。
特許文献1においては、スラグ・非金属介在物起因の欠陥を生じさせないために、タンディッシュの注入流落下領域に凹部を形成して撹拌することによって、スラグの浮上を図るものである。
特許文献2においては、タンディッシュに溶鋼を注入するロングノズルについて底部を持つ構造とするとともに横方向に開口した横孔を形成し、この横孔から溶鋼を吐出することによって上昇流を生じさせ、タンディッシュ内での非金属介在物の浮上を効果的に行う溶鋼注入方法を提案している。
特許文献3においては、特許文献2と同様に、ロングノズルの下端部を閉塞し、側面に上向きの吐出口を持つロングノズルを提案し、タンディッシュ内における溶鋼の滞留時間を長くし、非金属介在物の浮上分離を効果的に行うものとしている。
特許文献4においては、特許文献2、3と同様の考え方をもつものであり、ノズルに底とその周面に形成された吐出用開口部1個を持つロングノズルを提案することで、タンディッシュ内において溶鋼中の介在物が浮上するのに十分な時間を確保するようにしている。
特開平04-344854号公報 特開昭59-183960号公報 特開平05-200507号公報 特開平07-155911号公報
ところで、特許文献1のように、タンディッシュに凹部を形成した場合には、連続鋳造が終わった後、タンディッシュ内に残存する溶鋼量が多くなり、溶鋼歩留の低下に繋がるため、実生産プロセスとしては、コスト的に成り立たない。
また、特許文献2~4に示すように、ロングノズルの下端を閉塞した場合には、取鍋から溶鋼の注入を開始する際に、大きな溶鋼静圧を持った運動量の大きな溶鋼落下によって大きな衝撃力がかかり、ロングノズルが損傷し、損傷したロングノズルの破片がタンディッシュ内に落下するトラブルが発生するおそれがあった。また、上述の衝撃力がロングノズルを把持する把持力よりも大きくなってロングノズルと取鍋下部に隙間があき、隙間から溶鋼が漏れるおそれがあった。このように、操業上の問題があるため、実用化が出来ていない。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、ロングノズルの損傷、溶鋼漏れ等のトラブルを生じさせずに、また、溶鋼歩留りも悪化させることなく、非金属介在物の除去を十分に行うことができ、清浄度の高い鋼鋳片を製造可能な鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、以下に示すような知見を得た。
本発明者らは、上記課題を解決するためには、ロングノズルを活用することが重要であると考えた。すなわち、ロングノズル内で溶鋼を乱流、撹拌状態に保ち、微細な非金属介在物の凝集を促進する機能を持たせることを、損傷、溶鋼漏れ等のトラブルを生じさせずに活用する方法を見つけ出すことである。ロングノズル内で非金属介在物を凝集させて浮上しやすくすれば、タンディッシュに凹部を形成する必要がなくなるため、溶鋼歩留りも悪化させることなく、非金属介在物の除去を行うことができる。
そこで、ロングノズルの下方の溶鋼の吐出口を変化させて、ロングノズルの損傷、溶鋼漏れ等のトラブルを生じさせることなく、ロングノズル内の乱流、撹拌エネルギーを用いることによって、非金属介在物の凝集を促進して、非金属介在物を効率的に浮上分離して個数密度を減少させることができる、ロングノズルの形状を解明することを試みた。
本発明者は、連続鋳造装置において低炭アルミキルド鋼を鋳造する際に、ロングノズル内溶鋼流速v(m/s)、および、ロングノズルの下方の溶鋼の吐出口を変化させて、取鍋、タンディッシュ、鋳片で、溶鋼メタルのサンプリング、鋳片サンプルの採取を行い、それらの成分分析、非金属介在物の調査、解析を詳細に行った。非金属介在物の調査は、スライム抽出法で行った。鋳片の表層から60mm程度の深さの位置にある介在物の集積帯位置から、サンプルを切り出して30μm以上の大きさの非金属介在物を捕集する網の中で、塩化第一鉄水溶液中で約500g電気分解を行って非金属介在物を電解抽出しスライムとして捕集した。捕集したスライムを水簸(水洗しながら非金属介在物のみを分離捕集すること)、分級したのちに、非金属介在物の粒径分布、最大粒径を求めた。
鋭意研究の結果、取鍋下部に設置したロングノズル下方の溶鋼の吐出口に開口孔を有する底面部を設けることで、取鍋の溶鋼がロングノズル内を落下してくる運動エネルギーを止めることになり、その急激な運動エネルギーの変化がロングノズルの内部の溶鋼を乱流撹拌状態にして、非金属介在物の凝集を促進できるとともに、底面部に設けた開口孔の分、溶鋼の衝突力を低減することができ、ロングノズルの損傷や溶鋼漏れを防止できることを知見した。
また、底面開口孔の開口面積を大きくしすぎると、ロングノズル内での溶鋼の乱流状態が不十分になり、底面開口孔の開口面積を小さくしすぎると、溶鋼が落下する運動エネルギーによる衝突力で、ロングノズルが損傷したり、溶鋼漏れが発生したりして、操業トラブルとなるため、両者を両立するためには底面開口孔の開口面積を適正化することが重要であることを知見した。
さらに、タンディッシュ内の底部に沿った流れによって、非金属介在物が鋳型に直接流入する現象を抑制する為に、ロングノズルの側面に側面開口孔を設けて、直接、底面開口孔から流出する溶鋼量を制限することで、最終成品である薄鋼板まで持ち込まれる非金属介在物量、大きさを、品質に必要な値を超えないように鋳造することができることを知見した。
こうして、ロングノズルの破損、溶鋼漏れ等のトラブルを引き起こすことなく、非金属介在物の十分な除去が可能で、高品質の鋼鋳片を鋳造することができる、ロングノズルを用いた鋼の連続鋳造方法を見出した。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明の鋼の連続鋳造方法は、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入し、このタンディッシュから連続鋳造用鋳型に前記溶鋼を供給し、鋳片を連続的に鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記取鍋の下端に、有底筒状のロングノズルが配設され、このロングノズルを介して、前記取鍋から前記タンディッシュへの前記溶鋼が注入される構成とされており、前記ロングノズルは、底面部に開口する底面開口孔と、側面に開口する側面開口孔と、を有しており、前記ロングノズルの前記底面部の全面積をS(m)、前記底面開口孔の面積をSB(m)、前記側面開口孔の総開口面積をST(m)、定常時における前記ロングノズル内の流速をv(m/s)とした場合に、以下の(1)~(3)式を満足するとともに、
(1)式:0.14≦SB/S
(2)式:0<SB/(SB+ST)≦0.55
(3)式:v×(S-SB)≧0.0035
定常鋳造時における前記底面開口孔からの溶鋼流出量が3t/minを超えないように、前記取鍋から前記タンディッシュに向けて前記溶鋼を注入することを特徴としている。
この構成の鋼の連続鋳造方法によれば、取鍋からタンディッシュに対して溶鋼の注入を開始する際に、大きな溶鋼静圧を持った運動量の大きな溶鋼落下によっても、ロングノズルの破損、溶鋼漏れ等のトラブルの発生を抑制でき、安定して鋳造を行うことができる。また、底面部を有することでロングノズル内の溶鋼が乱流状態となり、非金属介在物を効率的に凝集させることができ、かつ、側面開口孔からの吐出流によって温度差による対流を促し、非金属介在物の浮上分離を促進することができ、清浄度が十分に高い鋼鋳片を製造することが可能となる。
また、本発明の鋼の連続鋳造方法においては、前記タンディッシュ内の前記溶鋼の湯面を、フラックス及び不活性ガスの一方又は両方で覆う構成とすることが好ましい。
この場合、前記タンディッシュ内の前記溶鋼の湯面を、フラックス及び不活性ガスで覆うことにより、タンディッシュ内の溶鋼の酸化を抑制でき、非金属介在物の生成を抑制することが可能となる。よって、さらに清浄度が十分に高い鋼鋳片を製造することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、ロングノズルの損傷、溶鋼漏れ等のトラブルを生じさせずに、また、溶鋼歩留りも悪化させることなく、非金属介在物の除去を十分に行うことができ、清浄度の高い鋼鋳片を製造可能な鋼の連続鋳造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である鋼の連続鋳造方法を実施する連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本実施形態における鋼の連続鋳造方法において用いられるロングノズルの概略説明図である。(a)が軸線に沿った断面説明図、(b)がX-X断面図である。 取鍋からの溶鋼注入時の溶鋼の運動量を説明する説明図である。 ロングノズルの底面部の全面積Sと底面開口孔の面積SBとの比SB/Sと、溶鋼漏れ及びロングノズルの損傷本数との関係を示すグラフである。 攪拌エネルギー指数(v×(S-SB))と、粒径30~100μmの非金属介在物個数密度との関係を示すグラフである。 底面開口孔の面積SB及び側面開口孔の総開口面積STの関係式SB/(SB+ST)と非金属介在物の最大径との関係を示すグラフである。 底面開口孔からの溶鋼流出量と粒径100μm超えの非金属介在物個数密度との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1に示す連続鋳造装置10においては、取鍋11によって転炉から溶鋼を移送し、ロングノズル20を介してタンディッシュ13に溶鋼2を注入し、このタンディッシュ13において大きな介在物を浮上分離した後、浸漬ノズル14を介して鋳型15に溶鋼を供給し、鋳型15内で凝固シェルを形成し、得られた鋳片1を連続的に鋳造するものである。そして、鋳型15から製出された鋳片1は、複数のサポートロール18からなるサポートロール群17によって引き抜かれ、2次冷却手段(図示なし)によってさらに冷却することで凝固シェルを成長させて完全凝固させる。
そして、本発明の実施形態である鋼の連続鋳造方法においては、取鍋11からタンディッシュ13へ溶鋼を注入する際に用いられるロングノズル20に特徴を有している。図2に、本発明の実施形態である鋼の連続鋳造方法において用いられるロングノズル20を示す。
本実施形態におけるロングノズル20は、図2に示すように、有底筒状をなし、具体的には、概略円筒形状をなしており、その上端に、取鍋へ取り付けるためのフランジ部21が形成されている。
また、ロングノズル20は、軸線O沿って延在する溶鋼経路22を有しており、この溶鋼経路22の下端に底面部23が形成されている。そして、ロングノズル20には、底面部23に開口する底面開口孔24と、溶鋼経路22の側面に開口する側面開口孔25と、が設けられている。なお、側面開口孔25は、周方向に間隔をあけて複数設けられており、本実施形態では、図2(b)に示すように、4つの側面開口孔25が周方向に等間隔に配設されている。
ここで、ロングノズル20においては、底面部23の内面積をS(m)、底面開口孔24の面積をSB(m)、側面開口孔25の総開口面積をST(m)、定常時における前記ロングノズル内の流速をv(m/s)とした場合に、以下の(1)式~(3)式を満足するように構成されている。なお、(3)式の左辺を攪拌パラメータ指数と定義する。
(1)式:0.14≦SB/S
(2)式:0<SB/(SB+ST)≦0.55
(3)式:v×(S-SB)≧0.0035
さらに、本実施形態では、定常鋳造時における底面開口孔24からの溶鋼流出量が3t/minを超えないように、取鍋11からタンディッシュ13への溶鋼の注入量を制御するように構成されている。
なお、底面開口孔24からの溶鋼流出量は、全体の溶鋼流量に全ての開口孔の面積に対する底面開口孔24の面積の割合(SB/(SB+ST))を乗じて算出されるものである。
以下に、本実施形態において、上述の(1)~(3)式、及び、定常鋳造時における底面開口孔24からの溶鋼流出量、を規定した理由について説明する。
本実施形態においては、ロングノズル20の溶鋼流路22の下端に、底面部23を設けることで、ロングノズル20の内部(溶鋼経路22内)を乱流攪乱状態にして、非金属介在物を凝集させ、非金属介在物の浮上分離の促進を図っている。
また、底面部23に底面開口孔24を設けることにより、鋳造開始時の取鍋開孔時の溶鋼落下による衝突力を低減することにより、ロングノズル20の損傷や、ロングノズル20の位置ずれによる溶鋼漏れ等の大きな操業トラブルの抑制を図っている。
そこで、実験を繰り返して、上述のトラブルを回避するために必要な底面開口孔の条件について検討した。
図3に、取鍋11の下部に設置してタンディッシュ13へ注入するロングノズル20の底面部への衝撃力を説明する概略図を示す。
取鍋11からタンディッシュ13に溶鋼注入を開始するときに、取鍋11の下部にあるスラインディングノズルを開放する。溶鋼は、取鍋11の溶鋼高さH(m)による溶鋼静圧Pから求められる初速度vでロングノズル20内(溶鋼経路22)を自由落下する。ロングノズル20内(溶鋼経路22)を自由落下した溶鋼は、重力加速度gを受けて加速し、ロングノズル20の底面部へ衝突する。
溶鋼流出初速度v、溶鋼流出初期流量Q(kg/s)とすると、
(kg/s)=ロングノズル断面積×v×溶鋼密度
ロングノズル20の下端での出口溶鋼流出速度vとすると、
v=v+g×t,x=v×t+0.5×g×t
ロングノズルの長さLとし、x=Lを代入することで、ロングノズル20の上部から下端までの落下時間t(s)が求まり、v(m/s)が求まる。さらに、ロングノズル20の下端での溶鋼流出流量Q(kg/s)が求まる。
ロングノズル20の下端における溶鋼流の衝撃力Fは、以下の式で算出される。
衝撃力F(N)=溶鋼流出流量Q(kg/s)×溶鋼流出速度v(m/s)
取鍋11の溶鋼高さH(m)は、製鋼工場によって異なるため、初速度vが変わり、ロングノズル20の底面部への衝突力Fも変わる。
本実施形態においては、取鍋11内の溶鋼量が約100tから400tの異なる製鋼工場で、底面部の全面積S(m)と前記底面開口孔の面積SB(m)を変えたロングノズルを用いて実機実験を行った。その時の、ロングノズル20の損傷状況、溶鋼漏れ状況を確認し、図4を実験的に得た。横軸に、各製鋼工場で用いて実験を行ったロングノズル20のSB/Sを取り、その時の溶鋼漏れトラブル回数と、ロングノズル20の損傷本数を縦軸に取って示した。
この結果から、溶鋼漏れトラブルを発生させることが無く、かつ、ロングノズル20の損傷を発生させることのない条件として、SB/S≧0.14を得た。
次に、溶鋼漏れ、ロングノズル20の損傷トラブルを生じさせないSB/S≧0.14の範囲で、非金属介在物の凝集効果を十分に得るために必要な要件について、検討を行った。
ここで、本実施形態においては、「撹拌エネルギー指数v×(S-SB)」を考案した。その定義は、開口のある底面部23において遮蔽され、下向きに流れていた溶鋼流が反対方向(上向き)の流れに変えられ、消失した運動エネルギーを指数とした。下向き運動エネルギーの消失した分が、ロングノズル20の内部の溶鋼に撹拌エネルギーとして働くと考察した。すなわち、底面部23から流出しようとした溶鋼流にせん断力が働き、そのせん断力の大小によって、非金属介在物の凝集エネルギーの大小を指数化しようと考察したものである。
この指数で整理した結果を図5に示す。ロングノズル20内の撹拌エネルギー指数と凝集効果が働く100μm以下の非金属介在物の個数密度の関係である。
図5に示すように、撹拌エネルギー指数v×(S-SB)≧0.0035とすることで、非金属介在物の凝集効果を十分に得られることを確認した。
本実施形態においては、上述のように、ロングノズル20の損傷、溶鋼漏れ等のトラブルを発生させず、非金属介在物の凝集効果を得るために、底面部23に底面開口孔24を設けることを考案した。底面開口孔24があることで、ロングノズル20の損傷は免れるが、底面開口孔20の開口面積SBの増大に従い、従来のストレート型のノズルのように、タンディッシュ13の底部を這って、直接鋳型に流れ込む溶鋼流れによって、比較的大きな非金属介在物が流入する課題が残った。
これについては、本実施形態においては、ロングノズル20の底面部23に設けた底面開口孔24とロングノズル20の側面に設けた側面開口孔25で、溶鋼流を適切に分配することで解決した。この時、底面開口孔24の開口面積SBと側面開口孔25の総開口面積STとの比は、次のような実験で求めた。
側面開口孔25からの流出する溶鋼流が大きくなるとタンディッシュ13内で上向きの流れが生じ、比較的大きな非金属介在物が浮上除去されやすくなると考えられる。
そこで、底面開口孔24と側面開口孔25のそれそれから流出する溶鋼流の分配比を示す指標として、SB/(SB+ST)を定義し、SB/(SB+ST)を変化させたロングノズル20を用いて連続鋳造を行い、鋳片1中の非金属介在物の最大径を調査した。図6に、SB/(SB+ST)に対する非金属介在物最大径の関係を示す。
SB/(SB+ST)を0.55以下に制御することで、鋳片1に巻き込まれる非金属介在物を100μm程度まで小さくすることができることがわかった。
一方、底面開口孔24からの溶鋼流出流量が大きくなると、直接、鋳型15に流れ込む非金属介在物が多くなる。そこで、底面開口孔24からの溶鋼流出流量と、特に製品で問題となる鋳片1中の100μm超の非金属介在物の個数密度の関係を調査した。図7に、底面開口孔24からの溶鋼流出流量と100μm超の非金属介在物の個数密度の関係を示す。ここで、底面開口孔24からの溶鋼流出流量は、全溶鋼流出流量に全ての開口孔の面積に対する底面開口孔24の面積の割合(SB/(SB+ST))を乗じて求める。
底面開口孔24からの溶鋼流出流量が3t/minを超えないように制御することで、100μm超の非金属介在物の個数密度を小さくすることが可能なことを知見した。
以上のような実験結果から、本実施形態では、上述の(1)~(3)式、及び、定常鋳造時における底面開口孔24からの溶鋼流出量、を規定した。
また、本実施形態においては、ロングノズル20からタンディッシュ13内に溶鋼が流れ出た後の再酸化を防ぐために、タンディッシュ13の溶鋼表面をタンディッシュ13内の大気雰囲気から遮断して酸素濃度を低減することが好ましい。
このため、タンディッシュ13内の溶鋼の湯面を、フラックス及び不活性ガスの一方又は両方で覆うことが好ましい。高級鋼においては、不活性ガスシールとフラックスシールの両方を適用することが望ましい。低級鋼においては、不活性ガスシールもしくは、フラックスシールのどちらかによって、確実にシールできることが望ましい。
フラックスにはCaO-Al-SiO系をベースとした、低融点組成で、溶鋼温度で十分溶融し、溶鋼表面を覆うことが可能なものを用いることが望ましい。
こうして、非金属介在物を凝集合体させ浮上を強化させるような高清浄鋼の溶製においては、溶鋼表面の酸素濃度を制御して再酸化を抑制しつつ、非金属介在物の除去を図ることで、大きなアルミナクラスターの低減効果を得ることができる。なお、酸素濃度は、酸素分圧でPO2=10-14(atm)以下とすることが好ましい。
以上のような構成とされた本実施形態である鋼の連続鋳造方法によれば、底面部23に開口する底面開口孔24と、側面に開口する側面開口孔25と、を有するロングノズル20を用いて、上述の(1)~(3)式を満足するとともに、定常鋳造時における底面開口孔24からの溶鋼流出量が3t/minを超えないように、取鍋11からタンディッシュ13に向けて溶鋼を注入する構成とされているので、取鍋11からタンディッシュ13に対して溶鋼の注入を開始する際に、大きな溶鋼静圧を持った運動量の大きな溶鋼落下によっても、ロングノズル20の破損、位置ずれに溶鋼漏れの発生を抑制でき、安定して鋳造を行うことができる。
また、底面部23を有することでロングノズル20内の溶鋼が乱流状態となり、非金属介在物を効率的に凝集させることができ、かつ、側面開口孔25からの吐出流によって温度差による対流を促し、非金属介在物の浮上分離を促進することができ、清浄度が十分に高い鋳片1を製造することが可能となる。
また、本実施形態において、タンディッシュ13内の溶鋼の湯面を、フラックス及び不活性ガスの一方又は両方で覆う構成とした場合には、タンディッシュ13内の溶鋼の酸化を抑制でき、非金属介在物の生成を抑制することが可能となる。よって、さらに清浄度の高い鋳片を製造することが可能となる。
以上、本発明の実施形態である鋼の連続鋳造方法について、具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、側面開口孔を4つ設けたものとして説明したが、これに限定されることはなく、側面開口孔の個数は4,6,8,・・・のように偶数個設けることが好ましい。
タンディッシュから2つのストランドに溶鋼を供給する場合、側面開口孔を、タンディッシュの長手方向別に半分ずつ(2,3,4,・・・)、かつ、両ストランド左右で対照に配置することにより、両ストランドに対照な流れを得て、なおかつタンディッシュの壁に直接向かう流れや、鋳型内に直接向かう直送流を避けることが可能となる。
また、本実施形態においては、側面開口孔の吐出角度について言及していないが、タンディッシュ底に這う流れが生じることをさらに抑制するためには、側面開口孔の吐出角度を水平面(上向き0°)とすることが好ましい。
本発明の効果について検証するために実施した検証試験について説明する。
自動車用に用いられる低炭アルミキルド鋼を転炉出鋼、RH二次精錬工程で、脱ガス処理を行い、その後、表1に示す条件のロングノズルを用いて、表1に示す溶鋼流量で取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入し、連続鋳造を行った。なお、ロングノズルは、いずれも側面開口孔が4個水平面に開口しているものを用いた。
鋳造途中でのノズル破損、溶鋼漏れのトラブルが発生したものは、トラブル発生時点で鋳造を中止し、非金属介在物の調査は実施しなかった。トラブルなく鋳造できた鋳片については、非金属介在物の調査を前述したスライム抽出法で行い、非金属介在物の粒径分布、最大粒径を求めた。鋳片サンプルの採取を行い、スライム法を用いて、非金属介在物個数密度を調査した。試験結果を表2に示す。
Figure 0007200811000001
Figure 0007200811000002
No.1~14は発明例であり、ノズル破損や溶鋼漏れのトラブルなく鋳造でき、非金属介在物個数密度も少なく、直径200μmを超えるような粗大な介在物も見られなかった。
No.15~17はSB/Sが小さすぎる比較例であり、ロングノズル底面開口孔が小さすぎるためにノズル破損や溶鋼漏れのトラブルが発生した。
No.18~20は撹拌エネルギーが小さすぎる比較例であり、500個/kgを超える直径30~100μmの非金属介在物が存在した。
No.21~23はSB/(SB+ST)が大きすぎる比較例であり、直径200μmを超える非金属介在物が存在した。
No.24~26は、底面開口孔からの溶鋼流出流量が3.0t/minを超える比較例であり、直径100μm超の大きな非金属介在物が10個/kg以上存在した。
1 鋳片
10 連続鋳造装置
11 取鍋
13 タンディッシュ
15 鋳型
20 ロングノズル
22 溶湯経路
23 底面部
24 底面開口孔
25 側面開口孔

Claims (2)

  1. 取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入し、このタンディッシュから連続鋳造用鋳型に前記溶鋼を供給し、鋳片を連続的に鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    前記取鍋の下端に、有底筒状のロングノズルが配設され、このロングノズルを介して、前記取鍋から前記タンディッシュへの前記溶鋼が注入される構成とされており、
    前記ロングノズルは、底面部に開口する底面開口孔と、側面に開口する側面開口孔と、を有しており、
    前記ロングノズルの前記底面部の全面積をS(m)、前記底面開口孔の面積をSB(m)、前記側面開口孔の総開口面積をST(m)、定常時における前記ロングノズル内の流速をv(m/s)とした場合に、以下の(1)~(3)式を満足するとともに、
    (1)式:0.14≦SB/S
    (2)式:0<SB/(SB+ST)≦0.55
    (3)式:v×(S-SB)≧0.0035
    定常鋳造時における前記底面開口孔からの溶鋼流出量が3t/minを超えないように、前記取鍋から前記タンディッシュに向けて前記溶鋼を注入することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記タンディッシュ内の前記溶鋼の湯面を、フラックス及び不活性ガスの一方又は両方で覆うことを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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