JP2023066986A - ノズルシステム - Google Patents

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Kiria Kojima
友一 塚口
Yuichi Tsukaguchi
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広大 藤田
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Abstract

【課題】取鍋からノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、溶融金属の再酸化、タンディッシュにおける裸湯やショートパスの発生等を抑制して、溶融金属の清浄度を高めることが可能な技術を開示する。【解決手段】取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、前記ロングノズルの外部から内部へと不活性ガスが供給されて、前記ロングノズルの内部に前記不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、前記気相領域の圧力が制御されることによって、二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるように構成されている、ノズルシステム。【選択図】図2

Description

本願は取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するためのノズルシステムを開示する。
溶融金属の連続鋳造プロセスにおいて、取鍋から鋳型へと溶融金属を供給するための中間容器としてタンディッシュが用いられている。例えば、鋼の連続鋳造を想定した場合、タンディッシュは、(1)鋳型への溶鋼供給量の安定化機能、(2)複数の鋳型への溶鋼分配機能、(3)連続鋳造を複数の溶鋼鍋を用いて継続的に実施するためのバッファ機能、(4)非金属介在物の除去機能、などの複数の機能を有する。特に、清浄度が高い高級鋼材を効率的に生産する場合には、(4)非金属介在物の除去機能が極めて重要となる。
溶鋼中の非金属介在物は、主として製鋼プロセス中で発生する酸化物や窒化物、硫化物、気泡をはじめとした鋼中の不純物に由来する。このような非金属介在物が最終製品に残留した場合、例えば応力集中による破壊の起点となって、最終製品の材質を低下させることが知られている。また、製鋼プロセスそのものにおいても、耐火物流路の内壁に非金属介在物が付着・堆積し、流路の狭窄化や閉塞を引き起こすことで、円滑な製造を阻害するだけでなく、鋳造等の加工時に母材の表層・内部双方に欠陥を発生させ得ることから、製品歩留まりを低下させるなど、製造コストを圧迫する要因となる。そのため、多くの場合、溶鋼成分の最終調整が行われる二次精錬から鋳型に至るまでの限られた工程で、非金属介在物を溶鋼中から除去する必要がある。
溶鋼から非金属介在物を除去するためには、一般的に、溶鋼と非金属介在物との比重差を利用して非金属介在物を溶鋼中で浮上させたうえで、フラックスと呼ばれる酸化物の浮遊層で回収する方法が採られるが、この際の浮上速度は小型の非金属介在物であるほど低下し、フラックス層で回収するまでの時間が長大化することが知られている。従って、溶鋼中の非金属介在物を低減するにあたり、非金属介在物の浮上に必要な時間を確保するためには、タンディッシュ内での非金属介在物の滞留時間を長くすることが有効と考えられる。
一般的に、溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給は、流量調整機能を有するスライディングノズルと、下端をタンディッシュの溶鋼中に浸漬して用いる筒状耐火物であるロングノズルとを介し、位置エネルギーを利用して流下させることでなされる。しかしながら、ロングノズルからの高速吐出流がタンディッシュの底部に衝突することで、ショートパスと呼ばれる鋳型へと向かう短絡流を形成し得るために(図3参照)、タンディッシュにおける溶鋼の滞留時間を確保することは必ずしも容易ではない。この課題に対する一般的な対策は、タンディッシュの内部に堰を設けることで溶鋼流を迂回させる方法であるが、タンディッシュの内部に耐火物を施工することは、材料費や施工時間、作業負荷の増大を招くうえ、堰の近傍に流れがほとんどなく浮上除去に寄与しない空間が発生するほか、迂回しながらも高速で鋳型へと向かう新たな流れが誘起され得るため、必ずしも介在物の浮上を助けない。特に、小型の介在物は、浮力が小さく、溶鋼の流れに追随しやすいため、迂回による効果は大型の介在物の除去に限定され易い。
また、製鋼プロセスにおいては、溶鋼の再酸化によって意図せずに非金属介在物が増加することに対しても注意を払わなくてはならない。一般的に、溶鋼の温度低下に伴うガス発生によって安定した鋳造が困難となることを避ける観点等から、連続鋳造に供される溶鋼は、精錬工程において脱酸処理が施され、可溶酸素濃度を大きく下回る酸素濃度となっており、非常に酸素を吸収しやすい状態にある。空気や低級酸化物と溶鋼とが接触した場合、溶鋼が酸素を吸収し、酸素との親和性が溶鋼よりも高い元素(溶鋼中に溶解しているAlやSiなど)と結びつくことで非金属介在物が生成する再酸化現象が生じてしまう。そのため、溶鋼鍋やタンディッシュにおいては、不活性ガスを用いた雰囲気の置換によりタンディッシュ内を低酸素濃度とするか、或いは、低級酸化物の含有量が少ない低反応性のフラックスを用いた溶鋼表面の被覆により溶鋼を外気から遮断する必要がある。しかしながら、ロングノズルによって溶鋼をタンディッシュに供給する場合、上記のようにノズルから吐出される溶鋼流が非常に高速であるため、タンディッシュの底部に衝突して発生した反転上昇流によってロングノズル近傍の溶鋼表面を被覆するフラックスが押し退けられ、溶鋼表面が裸湯として外気に直接曝露され、溶鋼が雰囲気内の酸素を吸収する再酸化現象が生じ得る(図3参照)。あるいは、ロングノズル近傍には取鍋から流出したFeO等の低級酸化物の濃度が高いスラグが存在するので、ロングノズル近傍の激しい溶鋼流によってスラグ中の低級酸化物による溶鋼の再酸化が生じ得る。
従来から、上記の課題を解決するための種々の手段が提案されている。例えば、特許文献1には、内径300mm以上の耐火物性の筒状体によって注入流を外気から遮断する注入管を用いる連続鋳造方法が開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、ノズルから落下した注入流が管内の液面において管内の気体を叩き込むことで溶鋼中に多数の気泡を導入し、気泡が有する大きな浮力によって注入流速を減少させて、タンディッシュ内に緩やかな上昇流を生じさせることが可能と考えられる。加えて、固体の介在物は溶鋼との濡れ性が悪く、気泡に対して容易に付着するため、気泡が有する大きな浮力によって高速で浮上除去されることも期待される。一方で、上記のような注入管では、取鍋ノズルから放出された溶鋼の飛沫や浴面で飛散した溶鋼が管内壁に付着すると、管径が大きいため付着物の抜熱が著しく、付着物が凝固及び積層して閉塞に至り易い。これは、連続鋳造の操業の継続を困難にする大きな問題である。加えて注入管では、溶鋼が気相から酸素や窒素を吸収することを避けるために、管内を大量の不活性ガスで充満させる必要があり、ロングノズルを溶鋼中に浸漬させる場合と比較して大きな操業コストがかかってしまう問題がある。
特許文献2には、タンディッシュ底部で反転した上昇流によって裸湯の曝露が発生することを防ぐために、胴体部に流れ制御部を設けたノズルが開示されている。しかしながら、特許文献2に開示された技術においては、ショートパスの発生に対しては別途対策を講じる必要があり、製造コストが増加する。加えて、ノズルの重量が増加するためノズルを把持する装置への負荷が大きく、鋳造中にノズルを支えきれなくなり、ロングノズルの接合部から溶鋼が噴き出す虞がある。
特許文献3には、注入ノズルの内部に不活性ガスのガス空間を形成し、ノズル内の鋼浴面において注入流に不活性ガスを巻き込ませるとともに、タンディッシュの底面に設置した攪拌ボックス内で該注入流を攪拌することで、溶鋼中の介在物と気泡との凝集を促進する連続鋳造方法及び連続鋳造装置が開示されている。特許文献3に開示された技術において、連続鋳造装置の注入ノズルは吐出孔の内径が十分に大きいためガス空間が安定して形成される。一方で、特許文献3に開示された技術は、注入流が巻き込んだ気泡がすべて注入ノズル内へと再浮上し、攪拌ボックス内での攪拌作用が十分に発揮されないことを回避するために、注入ノズルの内径を所定値以下とすることを特徴としているが、注入ノズルを離脱しタンディッシュの溶鋼表面に浮上した気泡は上記の通り再酸化が生じる原因となり得る。また、撹拌ボックスのコストや施工の手間がかかるという問題もある。
特許第6575355号公報 特表2020-530813号公報 特開2011-235339号公報
本願は、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、溶融金属の再酸化、タンディッシュにおける裸湯やショートパスの発生等を抑制して、溶融金属の清浄度を高めることが可能な技術を開示する。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
前記ロングノズルが、上流側である前記取鍋側に流入口を備え、下流側である前記タンディッシュ側に流出口を備え、且つ、上流側から下流側に向かって下向きに延在する、筒状単孔ノズルであり、
前記ロングノズルの前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
前記ロングノズルの外部から内部へと不活性ガスが供給されて、前記ロングノズルの内部に前記不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
前記気相領域の圧力が制御されることによって、下記式(1)で定義される二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるように構成されている、
ノズルシステム
を開示する。
ΔH=(P-P)/(ρ・g) …(1)
ここで、
は、前記タンディッシュ内の雰囲気圧力であり、
は、前記ロングノズル内の前記気相領域の圧力であり、
ρは、前記溶融金属の密度であり、
gは、重力加速度である。
本開示のノズルシステムは、前記気相領域の圧力が第1の閾値よりも高い場合に、前記気相領域へと供給される前記不活性ガスの量が低下して、前記気相領域の圧力が低下するように構成されていてもよい。
本開示のノズルシステムは、前記気相領域の圧力が第2の閾値よりも低い場合に、前記気相領域へと供給される前記不活性ガスの量が増加して、前記気相領域の圧力が上昇するように構成されていてもよい。
本開示のノズルシステムにおいては、
前記ロングノズルが少なくとも1つの連通孔を有していてもよく、
前記ロングノズル内の前記気相領域と、前記タンディッシュ内の前記雰囲気とが、前記連通孔を介して、互いに連通可能に構成されていてもよい。
本開示のノズルシステムにおいては、前記タンディッシュが内部に堰を有しないものであってもよい。
本開示の技術によれば、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、溶融金属の再酸化、タンディッシュにおける裸湯やショートパスの発生等を抑制して、溶融金属の清浄度を高めることができる。
取鍋、ノズル及びタンディッシュの位置関係の一例を概略的に示している。 ノズルの断面形状等の一例を概略的に示している。 従来技術における課題を概略的に示している。 実施例及び比較例にて用いたロングノズルの形状を概略的に示している。
1.ノズルシステム
図1及び2に一実施形態に係るノズルシステム100の構成を概略的に示す。図1に示されるように、ノズルシステム100は、取鍋101からロングノズル110を介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給するシステムである。図2に示されるように、前記ロングノズル110は、上流側である前記取鍋101側に流入口110xを備え、下流側である前記タンディッシュ102側に流出口110yを備え、且つ、上流側から下流側に向かって下向きに延在する、筒状単孔ノズルである。また、前記ロングノズル110の前記流出口110yは、前記タンディッシュ102における前記溶融金属105の液面105aよりも下方、且つ、前記タンディッシュ102の底面102aよりも上方に位置している。また、ノズルシステム100においては、前記ロングノズル110の外部から内部へと不活性ガスが供給されて、前記ロングノズル110の内部に前記不活性ガスを含む気相領域110aと前記溶融金属105の二次メニスカス110bとが存在している。ノズルシステム100は、上記のような構成を備えることを前提として、さらに、前記気相領域110aの圧力が制御されることによって、下記式(1)で定義される二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるように構成されている。
ΔH=(P-P)/(ρ・g) …(1)
ここで、
は、前記タンディッシュ内の雰囲気圧力であり、
は、前記ロングノズル内の前記気相領域の圧力であり、
ρは、前記溶融金属の密度であり、
gは、重力加速度である。
1.1 取鍋
取鍋101は、タンディッシュ102への溶融金属105の供給元となる容器である。図1及び2に示されるように、ノズルシステム100において、取鍋101は、底面101aと側壁101bとを有して、溶融金属105を保持している。取鍋101は、さらに、蓋(不図示)を有していてもよい。取鍋101は、溶融金属105を保持可能な形状及び材質からなるものであればよい。また、取鍋101は、底面101aの一部に流出口101axが設けられ、ここから溶融金属105を流出できるように構成されていてもよい。流出口101axには、溶融金属105の流出量を制御するための開閉機構が設けられていてもよい。取鍋101の流出口101axにはロングノズル110が直接的又は間接的に接続され得る。例えば、図2に示されるように、取鍋101の流出口101axに対して、コレクターノズル111やスライディングノズル112を介して、ロングノズル110が接続されていてもよい。取鍋101とノズルとの接続形態は特に限定されるものではなく、例えば、嵌合によって接続可能である。何らかの中間部材を介して、取鍋101とノズルとが接続されていてもよい。
1.2 タンディッシュ
タンディッシュ102は、取鍋101からの溶融金属105の供給先となる容器である。図1及び2に示されるように、タンディッシュ102は、底面102aと側壁102bとを有して、取鍋101から供給された溶融金属105を保持している。タンディッシュ102は、さらに、蓋102cを有していてもよい。タンディッシュ102は、溶融金属105を保持可能な形状及び材質からなるものであればよい。図1に示されるように、タンディッシュ102の底面102aの一部には流出口102axが設けられていてもよく、ここから他の容器(例えば、鋳型)へと溶融金属105を流出できるように構成されていてもよい。流出口102axには、溶融金属105の流出量を制御するための開閉機構が設けられていてもよい。タンディッシュ102の流出口102axには、ノズル120が直接的又は間接的に接続されていてもよい。タンディッシュ102とノズル120との接続形態は特に限定されるものではなく、例えば、嵌合によって接続可能である。何らかの中間部材を介して、タンディッシュ102とノズル120とが接続されていてもよい。
図2に示されるように、タンディッシュ102に供給された溶融金属105の液面105a上には、フラックスを含む浮上層106が存在していてもよい。フラックスとしては公知のフラックスを採用すればよい。このようにフラックスによって溶融金属105の液面105aを被覆することで、溶融金属105を外気から遮断することができる。また、フラックスによって溶融金属105中の非金属介在物を回収することができる。さらに、タンディッシュ102内に不活性ガスが供給されてタンディッシュ102内に外気ができるだけ入り込まない状態とされていてもよい。これにより、溶融金属105の再酸化が一層抑制され得る。尚、後述するように、ノズルシステム100によれば、気泡プルームによる溶融金属105の減速効果等によって、ロングノズル110から流出した溶融金属105がタンディッシュ102の底面102aに衝突することによる反転上昇流(図3参照)を小さく抑えることができ、タンディッシュ102の液面105aが乱れ難く、液面105aの乱れによるフラックスの押し退けや途切れも生じ難いことから、裸湯による再酸化の問題が生じ難い。
図1に示されるように、タンディッシュ102は、その内部に堰を有しないものであってよい。本開示のノズルシステム100においては、ロングノズル110の内部に二次メニスカス110bが形成され、溶融金属105の落下流が当該二次メニスカス110bに衝突する際に気相を巻き込む現象(気泡プルームの形成)によって、溶融金属105の下降流速が低減され易く、タンディッシュ102における溶融金属105のショートパス(図3参照)も抑制され易いことから、タンディッシュ102の内部に堰を設けずとも溶融金属105に含まれる非金属介在物等を除去し易い。
1.3 ノズル
1.3.1 ロングノズル
図1及び2に示されるように、溶融金属105は、ロングノズル110を介して、取鍋101からタンディッシュ102へと供給される。ロングノズル110は、上流側である取鍋101側に流入口110xを備え、下流側であるタンディッシュ102側に流出口110yを備える。ロングノズル110は、上流側から下流側に向かって下向きに延在する、筒状単孔のノズルである。具体的には、ロングノズル110は、鉛直方向に中心軸を有する円筒状体であってもよい。尚、ロングノズル110は、タンディッシュ102とは独立して設置されるもので、タンディッシュ102に対して固定されている必要は無い。この点、タンディッシュの蓋に設置及び固定される注入管と、本願にいうロングノズルとでは、その構成が異なるものといえる。
図1及び2に示されるように、ロングノズル110の流出口110yは、タンディッシュ102における溶融金属105の液面105aよりも下方、且つ、タンディッシュ102の底面102aよりも上方に位置している。すなわち、ロングノズル110は、下流側の先端部がタンディッシュ102の内部の溶融金属105に浸漬されている。図2に示されるように、ノズルシステム100においては、タンディッシュ102の溶融金属105の液面105aからロングノズル110の流出口110yまでの間に距離hを有していてもよく、ロングノズル110の流出口110yからタンディッシュ102の底面102aまでの間に距離hを有していてもよい。hやhの具体値やhとhとの関係は特に限定されるものではない。例えば、hは100mm以上600mm以下であってもよく、hは200mm以上900mm以下であってもよく、hとhとの比h/hは0.2以上1.0以下であってもよく、流出口110yにおけるノズル内径Dとhとの比D/hは0.2以上3.0以下であってもよい。hやhを調整することで、後述するメカニズムによって生成した気泡のロングノズル110からの離脱等が一層抑制され易くなる。
図2に示されるように、ロングノズル110は、二次メニスカス110bよりも上流において最小の内径Dを有し、二次メニスカス110bにおいて内径Dを有し、二次メニスカス110bよりも下流の流出口110yにおいて内径Dを有するものであってもよい。尚、DはD以上D以下で推移し得る。内径D~Dの具体的な値は、特に限定されるものではない。例えば、Dは100mm以上150mm以下であってもよく、Dは100mm以上300mm以下であってもよく、Dは150mm以上300mm以下であってもよい。
また、ロングノズル110は、流入口110xから二次メニスカス110bの位置までの間に長さLを有していてもよく、二次メニスカス110bの位置から流出口110yまでの間に長さLを有していてもよい。ロングノズル110の全体の長さLはL+Lであってよい。L、L及びLの具体的な値は、特に限定されるものではない。例えば、Lは1000mm以上1700mm以下であってもよく、Lは750mm以上1000mm以下であってもよく、Lは250mm以上700mm以下であってもよい。
図2に示されるように、ロングノズル110は、最小の内径Dを有する部分と流出口110yとの間において、上流側から下流側に向かって内径が縮小する縮径部を有しないほうがよく、特に、二次メニスカス110bが位置する部分と流出口110yとの間において、上流側から下流側に向かって内径が縮小する縮径部を有しないほうがよい。二次メニスカス110bよりも下流に縮径部が存在すると、その部分において溶融金属105の下降流速が増大して、ノズルシステム100による効果が若干低下する虞があるためである。
一方で、図2に示されるように、ロングノズル110は、上流側から下流側に向かって内径が増加する拡径部110cを有していてもよい。拡径部110cにおける拡径率については特に限定されるものではない。拡径部110cにおいては、上流側から下流側に向かってノズル内径が直線的に拡大(単調増加にて拡大)していてもよいし、曲線的に拡大していてもよい。また、拡径部110cにおいては、上流側から下流側に向かってノズル内径が連続的に拡大していてもよいし、断続的に拡大していてもよい。また、ロングノズル110の全体長さに占める拡径部110cの長さの割合も特に限定されるものではない。ロングノズル110においては、拡径部110cの下端(拡径が終了する部分)におけるノズル内径と、流出口110yにおけるノズル内径Dとが、実質的に同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、ロングノズル110は、複数の拡径部を有するものであってもよい。
1.3.2 コレクターノズル
図2に示されるように、ノズルシステム100においては、ロングノズル110の上流にコレクターノズル111が設けられていてもよい。コレクターノズル111は、その上流側の端部が、直接的又は間接的に取鍋101に接続され得る。また、コレクターノズル111は、その下流側の端部が、ロングノズル110の上流側の端部に接続され得る。図2に示されるように、コレクターノズル111は、ロングノズル110との接続部において、内径Dを有していてもよい。Dの具体的な値は特に限定されるものではない。例えば、Dと上述のDとが1.0≦D/D≦1.4なる関係が満たしていてもよい。すなわち、ロングノズル110とコレクターノズル111との接続部において、コレクターノズル111の内径D(cm)に対するロングノズル110の最小の内径D(cm)の比D/Dが1.0以上1.4以下であってもよい。この比が小さ過ぎると、ロングノズル110とコレクターノズル111との接続部又はその近傍で、上流側から下流側に向かって縮径することによる段差が生じる場合があり、溶融金属105の漏洩や耐火物の異常損耗を引き起こす虞がある。一方、この比が大き過ぎると、ロングノズル110の側面からの放熱の影響でロングノズル110の内壁に溶融金属105が固着し易くなる。また、ロングノズル110の重量が無用に増加する虞もある。コレクターノズル111は、従来公知のコレクターノズルから適宜選定して構成されてもよい。ロングノズル110とコレクターノズル111との接続部における構造は従来と同様であってよい。例えば、ロングノズル110の上端部とコレクターノズル111の下端部とを互いに嵌め合わせることで接続部が構成されていてもよい。
1.3.3 スライディングノズル
図2に示されるように、ノズルシステム100においては、コレクターノズル111の上流に流量調整機構112が設けられてもよい。流量調整機構112の具体例としては、例えば、図2に示されるようなスライディングノズルが挙げられる。スライディングノズルにおいては、流通口を有する少なくとも一枚のスライド板112aが、溶融金属105の流通方向とは交差する方向にスライドされることで、流路径が変化し得る。或いは、流量調整機構112は、スライディングノズル以外の開閉機構であってもよい。流量調整機構112の形態については公知であることから、ここではこれ以上の説明を省略する。
1.4 不活性ガス供給機構
図2に示されるように、ノズルシステム100においては、ロングノズル110の外部から内部へと不活性ガスが供給されて、ロングノズル110の内部に不活性ガスを含む気相領域110aと溶融金属105の二次メニスカス110bとが形成される。ロングノズル110の外部から内部へと不活性ガスを供給する方法や手段は特に限定されない。例えば、図2に示されるように、ノズルシステム100は、ロングノズル110の外部から内部へと不活性ガスを供給する、不活性ガス供給機構113を有していてもよい。尚、取鍋101からノズルを介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給する場合、取鍋101とノズルとの接続部やノズル同士の接続部等からエジェクタによってロングノズル110の内部へと外気が取り込まれる場合があるが、ノズルシステム100においては、これとは別に、ロングノズル110の内部へと不活性ガスを意図的に供給する機構113が採用され得る。
ノズルシステム100においては、溶融金属105の供給中に、ロングノズル110の内部に気相領域110a及び二次メニスカス110bが形成され、且つ、二次メニスカス高さΔHが所定の範囲に維持される。二次メニスカス110bに溶融金属105の下降流が衝突することで、気相領域110aから溶融金属105中に気体が巻き込まれ、溶融金属105中に大小様々な気泡群が生成し得る。ノズルシステム100がロングノズル110の内部へと不活性ガスを供給する機構113を有することで、ロングノズル110の内部において気相領域110aを維持し易くなり、二次メニスカス高さΔHの制御もより容易となる。不活性ガスとしては、例えば、Arが挙げられる。ロングノズル110に対する不活性ガスの供給量は特に限定されるものではなく、また、気相領域110aにおける圧力も特に限定されるものではなく、いずれについても二次メニスカス高さΔHが所定の範囲となるようなものであればよい。不活性ガス供給機構113は、不活性ガスの供給量や圧力を制御する制御部を備えていてもよい。例えば、制御部からの信号等に基づいて、不活性ガス供給弁の開閉制御等が行われ、不活性ガスの供給量や圧力が目標値に制御され得る。
ロングノズル110の内部へと不活性ガスを供給する機構113の具体的な形態は限定されない。例えば、不活性ガス供給源(高圧の不活性ガスが充填された容器等)とロングノズル110とを配管や弁等を介して直接的又は間接的に接続することで、当該機構113が構成され得る。或いは、不活性ガス供給源とロングノズル110よりも上流側の位置(例えば、コレクターノズル111、スライディングノズル112又は取鍋101)とを接続して、不活性ガスが供給された溶融金属105がロングノズル110に流入するようにしてもよい。ただし、不活性ガス供給機構113がロングノズル110に対して直接的に接続された場合、或いは、ロングノズル110の近傍に接続された場合のほうが、ロングノズル110に吹き込まれる不活性ガスの量を制御し易くなる。例えば、上記の機構113によって不活性ガスが供給される位置は、ロングノズル110とコレクターノズル111との接続部又はその近傍であってよく、具体的には、接続部から100mmの範囲内にあってもよい。この範囲内であれば、上記の機構113を設置し易い。また、この範囲内において不活性ガスが供給されることで、ロングノズル110の内部に気相領域110aを一層形成し易くなる。或いは、ロングノズル110が上述の拡径部110cを備える場合、不活性ガス供給機構113は当該拡径部110cに設けられていてもよい。
1.5 式(1)
ノズルシステム100においては、ロングノズル110内の気相領域110aの圧力が制御されることによって、上記式(1)で定義される二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下とされることが重要である。ΔHは15cm以下であってもよい。
図2に示されるように、ΔHは、ロングノズル110の内部の二次メニスカス110bの高さ位置とタンディッシュ102における溶融金属105の液面105aの高さ位置との差に相当する。上記式(1)の通り、ノズルシステム100においては、ロングノズル110の内部の気相領域110aの圧力が高ければ高いほど、ΔHが小さくなる。ΔHが0cmの場合とは、気相領域110aの圧力がタンディッシュ102内の雰囲気圧力と一致する場合に相当する。すなわち、ノズルシステム100においては、ロングノズル110の内部の気相領域110aの圧力が、タンディッシュ102内の雰囲気圧力と同じか、それよりも負圧とされる。
ノズルシステム100において、ΔHがマイナスとなる場合(ロングノズル110の内部の気相領域110aの圧力がタンディッシュ102内の雰囲気圧力に対して正圧である場合)、二次メニスカス110bから流出口110yまでのロングノズル110の容積が少なくなり、気泡プルームによる作用効果が発揮され難くなり、また、ロングノズル110内の気泡の保持が困難となる場合がある。一方、ロングノズル110の気相領域110aの圧力を過度に低下させた場合、気密を保つことが難しくなり、外気の吸い込みを引き起こし易くなる。また、ΔHが過度に大きくなって、溶融金属105の自由落下距離が短くなり、二次メニスカス110bに溶融金属105の下降流が衝突する際の衝突力が低下し、気相領域110aから溶融金属105中への気体の巻き込みが少なくなり、気泡プルームが十分に生成しない虞がある。
これに対し、ノズルシステム100においては、二次メニスカス高さΔHが0cm以上となるように気相領域110aの圧力が制御されることで、二次メニスカス110bから流出口110yまでの間においてロングノズル110の容積が十分に確保でき、気泡プルームによる作用効果が発揮されるとともに、ロングノズル110内に気泡を保持し易い。結果として、タンディッシュ102における裸湯やショートパスの発生等が抑制されて、溶融金属105の清浄度を高めることができる。一方、二次メニスカス高さΔHが20cm以下となるように気相領域110aの圧力が制御されることで、気相領域110aが過度に負圧となることがなく、外気の取り込みが抑制され、結果として溶融金属の再酸化が抑制され、溶融金属105の清浄度を高めることができる。
式(1)の計算に必要なタンディッシュ102の内部の雰囲気圧力Pは、タンディッシュ102の内部に通じる配管等に設置した圧力計によって計測することが可能である。また、ロングノズル110の内部の気相領域110aの圧力Pも、同様にロングノズル110の内部の気相領域110aに通じる流路を耐火物に穿ちその流路に接続した配管等に設置した圧力計によって計測することが可能である。あるいは、予備実験によってロングノズル110の内部へ供給される不活性ガスの流量とロングノズル110の内部の気相領域110aの圧力Pとの関係を求めておき、不活性ガスの供給流量からPを推定できるようにしておいても構わない。尚、式(1)を用いてΔHを計算する際は、単位を全てSI単位に揃えて計算する。得られるΔHの単位はmとなるが、これをcmに換算すればよい。
気相領域110aの圧力は、上述の圧力計等で連続的又は断続的に測定されればよく、測定された圧力に応じて気相領域110aに供給される不活性ガスの量を増減させることで、二次メニスカス高さΔHを0cm以上20cm以下に維持することができる。具体的には、ノズルシステム100は、気相領域110aの圧力が第1の閾値よりも高い場合に、気相領域110aへと供給される不活性ガスの量が低下して、気相領域の圧力が低下するように構成されていてもよい。また、ノズルシステム100は、気相領域110aの圧力が第2の閾値よりも低い場合に、気相領域110aへと供給される不活性ガスの量が増加して、気相領域の圧力が上昇するように構成されていてもよい。不活性ガスの供給量の制御は、例えば、上述したような制御部による開閉弁の制御等によってなされ得る。尚、「第1の閾値」については特に限定されるものではなく、例えば、上記のΔHが0cmとなる圧力を基準に適当な閾値が設定されればよい。また、「第2の閾値」についても特に限定されるものではなく、例えば、上記のΔHが20cmとなる圧力を基準に適当な閾値が設定されればよい。第1の閾値と第2の閾値とは互いに異なる閾値であってもよいし、同じ閾値であってもよい。
或いは、気相領域110aとタンディッシュ102内の雰囲気とを互いに連通させることで、気相領域110aの圧力をタンディッシュ102内の雰囲気と一致させることができ、結果としてΔHが0cmとなる。この点、ノズルシステム100においては、ロングノズル110が少なくとも1つの連通孔(不図示)を有していてもよく、ロングノズル110内の気相領域110aと、タンディッシュ102内の雰囲気とが、当該連通孔を介して、互いに連通可能に構成されていてもよい。上述したように、タンディッシュ102は、その内部に不活性ガスが供給されて、タンディッシュ102内に外気ができるだけ入り込まないように構成され得る。この場合、(1)連通孔を介して、気相領域110aをタンディッシュ102内に常時開放して、二次メニスカス高さΔHを常に0cmに保持してもよいし、(2)気相領域110aの圧力が第1の閾値よりも高い場合に、連通孔を介して、気相領域110aからタンディッシュ102内へと不活性ガスが排出されるようにしてもよいし、(3)気相領域110aの圧力が第2の閾値よりも低い場合に、連通孔を介して、タンディッシュ102内から気相領域110aへと不活性ガスが供給されるようにしてもよい。すなわち、連通孔は、気相領域110aとタンディッシュ102内の雰囲気との間において常時開放されていてもよいし、弁等によって開閉制御されるものであってもよい。連通孔の大きさや数は特に限定されるものではない。尚、ノズルシステム100においては、例えば、ロングノズル110内の気相領域110aの圧力が過度に高くなった場合に、気相領域110aが外気に開放されるようにしてもよいが、この場合、ロングノズル110内への外気の取り込み及び溶融金属105の再酸化を防ぐために、何らかの工夫(例えば、逆止弁を設ける等)が必要となる。
1.6 その他の条件や構成
ノズルシステム100においては、上記の構成やΔHが満たされる限り、それ以外の条件や構成は特に限定されるものではない。以下、その他の条件や構成の一例を示す。
1.6.1 溶融金属の流量及びタンディッシュにおける平均滞留時間
ロングノズル110に供給される溶融金属105の流量Qは、例えば、8000cm/s以上であってもよく、タンディッシュ102における溶融金属105の平均滞留時間τは、例えば、240秒以上であってもよい。ノズルシステム100における溶融金属105の流速低減効果は、大流量の溶融金属105がタンディッシュを通過する高生産性の連続鋳造において特に有用である。具体的には、溶融金属105の流量Qが8000cm/s以上となるような場合である。さらに同流量が18000cm/s以上であるとなお有用である。同流量の上限は特に限定されないが、40000cm/sを超える連続鋳造は現実的でない。それほど大きな生産速度には他工程が追随し得ないからである。一方、タンディッシュ102内の平均滞留時間τが短過ぎると、溶融金属105について十分な清浄化効果を得ることが難しくなる虞がある。同時間が240秒以上であることで、例えば、50~100ミクロン程度の介在物も浮上によって除去され易くなるものと考えられる。同時間の上限値は特に限定されないが、連続鋳造の定常操業時に同時間が1500秒を超えることは現実的でない。平均滞留時間が長すぎるとタンディッシュ102における溶融金属105の温度低下が大きくなり過ぎるからである。尚、平均滞留時間τは、タンディッシュ102の容量Vτ(cm)と、ノズルからの溶融金属の流量Q(cm/s)との比Vτ/Qとして計算され得る。
1.6.2 タンディッシュ内の堰
上述したように、ノズルシステム100においては、タンディッシュ102の内部に溶融金属105の流動制御機能を有する堰を設ける必要がない。ノズルシステム100によれば、堰を使わずともタンディッシュ102の内部における溶融金属105の滞留時間を確保することが可能である。むしろ、タンディッシュ102に堰を設置すると、デッドゾーンと呼ばれる淀み域を形成して実質タンディッシュ容量を減じる問題や、コスト増大の問題がある。
1.6.3 高さ寸法
ノズルシステム100の高さ方向寸法は特に限定されない。同寸法は、取鍋101側のコレクターノズル111とタンディッシュ102の液面105aとの距離や、ロングノズル110の浸漬深さから決定され、概ね1mから2.5mとなる場合が多い。
1.6.4 溶融金属の種類
ノズルシステム100において、取鍋101からロングノズル110を介してタンディッシュ102へと供給される溶融金属105の種類に特に制限はない。特に、溶融金属105が溶鋼である場合に、ノズルシステム100による高い効果が期待できる。溶鋼の鋼種は特に限定されない。
1.7 作用・効果
以上の通り、ノズルシステム100においては、二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるように気相領域110aの圧力が制御されることで、ロングノズル110の内部の二次メニスカス110bよりも下流側における溶融金属105に気泡プルームを形成する機能と、気泡プルームを構成する大型気泡をロングノズル110の内部に保持する機能とを両立し易い。これにより、非金属介在物の捕捉除去、ロングノズル吐出流速の低減、ロングノズル周囲の湯面における再酸化の防止、を同時に実現することができる。また、ロングノズル110内の気相領域110aが過度に負圧となることがなく、ロングノズル110内への外気の取り込みも抑制される。これらの結果、図3に示されるような裸湯の問題やショートパスの問題が生じ難く、また、外気の取り込みによる溶融金属105の再酸化の問題も生じ難く、溶融金属105の清浄度が高まり易い。
2.溶融金属の連続鋳造方法
本開示の技術は、溶融金属の連続鋳造方法としての側面も有する。本開示の溶融金属の連続鋳造方法は、上記本開示のノズルシステム100を用いることに特徴がある。本開示の連続鋳造方法は、例えば、ノズルシステム100を用いて、取鍋101からロングノズル110を介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給すること、タンディッシュ102からノズル120を介して鋳型(不図示)へと溶融金属105を供給すること、及び、鋳型から鋳片を連続的に引き抜くこと、を含み得る。本開示の溶融金属の連続鋳造方法においては、上記のノズルシステム100が採用されることを除いて、一般的な連続鋳造条件が採用され得る。或いは、上述したように、流量Qや平均滞留時間τが所定以上となるように調整されてもよい。
3.補足
尚、上記した種々の指標とその適正範囲の探索には、本出願人による特許第6750533号による実験装置を活用することができる。当該実験装置は、溶融金属流に作用する重力、慣性力、粘性力及び表面張力の影響を忠実に再現し、気泡の浮力や浮上速度を含めた気液二相流現象を精度よく再現できる装置である。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
図1及び2に示されるようなシステムを用いて鋼の連続鋳造を行った。下記表1及び2に、実施例及び比較例の各々の連続鋳造条件を示す。また、下記表3に、実施例及び比較例にて採用した鋳片の組成を示す。尚、表1及び2における「鋼の清浄度指数」とは、厚み250mm幅1800mmに凝固した鋳片内の介在物濃度を幅中央1/4厚み、1/4幅1/4厚み、3/4幅1/4厚み、幅中央3/4厚み、1/4幅3/4厚み、3/4幅3/4厚み、の6か所から採取した5mm角×50mm長さの試料中の酸化物総量として分析した値を、後に示す比較例3Bの値を10として指数化したものである。当該指数が小さいほど、溶鋼の清浄度が高い。
Figure 2023066986000002
Figure 2023066986000003
Figure 2023066986000004
1.ロングノズルAを用いた場合
図4(A)に示されるロングノズルを用いて連続鋳造を行った。図4(A)において、ロングノズルの流入口から拡径部の上端までの長さLは733mm、拡径部の長さLは267mm、拡径部の下端から流出口までの長さLは400mmであった。この場合において、図2に示されるロングノズルの内径Dは130mm、Dは130~210mm、Dは210mmであり、hは540mm、hは740mmであり、ロングノズルの流入口(上端)から流出口(下端)までの長さLは1400mmであった。
1.1 実施例1A
表1の実施例1Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが25cmであったものを5cmへと変化させたうえで、ΔHが5cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=590mmであった)。
1.2 実施例2A
表1の実施例2Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが-5cmであったものを0cmへと変化させたうえで、ΔHが0cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=540mmであった)。
1.3 実施例3A
表1の実施例3Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、二次メニスカス高さΔHが10cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=640mmであった)。
1.4 実施例4A
表1の実施例4Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが30cmであったものを5cmへと変化させたうえで、ΔHが5cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=590mmであった)。
1.5 比較例1A
表1の比較例1Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、二次メニスカス高さΔHが-5cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=490mmであった)。
1.6 比較例2A
表1の比較例2Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが50cmであったものを25cmへと変化させたうえで、ΔHが25cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=790mmであった)。
1.7 比較例3A
表1の比較例3Aにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、二次メニスカス高さΔHが25cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=790mmであった)。
2.ロングノズルBを用いた場合
図4(B)に示されるロングノズルを用いて連続鋳造を行った。図4(B)において、ロングノズルの流入口から拡径部の上端までの長さLは733mm、拡径部の上端から流出口までの長さLは667mmであった。この場合において、図2に示されるロングノズルの内径Dは130mm、Dは130~210mm、Dは210mmであり、hは540mm、hは740mmであり、ロングノズルの流入口(上端)から流出口(下端)までの長さLは1400mmであった。
2.1 実施例1B
表2の実施例1Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが30cmであったものを10cmへと変化させたうえで、ΔHが10cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=640mmであった))。
2.2 実施例2B
表2の実施例2Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが25cmであったものを15cmへと変化させたうえで、ΔHが15cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=690mmであった)。
2.3 実施例3B
表2の実施例3Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、二次メニスカス高さΔHが10cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=640mmであった)。
2.4 実施例4B
表2の実施例4Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが-10cmであったものを5cmへと変化させたうえで、ΔHが5cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=590mmであった)。
2.5 比較例1B
表2の比較例1Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが-10cmであったものを-5cmへと変化させたうえで、ΔHが-5cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=490mmであった)。
2.6 比較例2B
表2の比較例2Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが35cmであったものを25cmへと変化させたうえで、ΔHが25cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=790mmであった)。
2.7 比較例3B
表2の比較例3Bにおいては、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を所定の溶鋼スループットにて供給しつつ、ロングノズル内へと不活性ガスとしてのArを吹き込むことで、ロングノズル内に気相領域及び二次メニスカスを形成し、Arの吹込み量又は吸引量(排出量)を調整することで、二次メニスカス高さΔHが25cmであったものを-10cmへと変化させたうえで、ΔHが-10cmを維持した状態で連続鋳造を行った(このとき、図2にいうLは、L=ΔH+h=440mmであった)。
3.結果
表1及び2に示される結果から、ロングノズルの形状によらず、二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるようにロングノズル内の気相領域の圧力を制御することで、ΔHが0cm未満や20cm超となるように制御した場合よりも、連続鋳造後に得られる鋳片における鋼の清浄度が向上することが分かる。すなわち、ΔHが0cm以上に制御されることで、ロングノズルの内部の二次メニスカスよりも下流側における溶鋼に気泡プルームを形成する機能と、気泡プルームを構成する大型気泡をロングノズルの内部に保持する機能とを両立することができたものと考えられる。これにより、非金属介在物の捕捉除去、ロングノズル吐出流速の低減、ロングノズル周囲の湯面における再酸化の防止、を同時に実現することができる。また、ΔHが20cm以下であれば、ロングノズル内の気相領域が過度に負圧となることがなく、ロングノズル内への外気の取り込みも抑制されたものと考えられる。これらの結果、タンディッシュにおける裸湯の問題やショートパスの問題が生じ難く、また、外気の取り込みによる溶鋼の再酸化の問題も生じ難く、鋼の清浄度が向上したものと考えられる。
100 ノズルシステム
101 取鍋
101a 底面
101b 側壁
102 タンディッシュ
102a 底面
102b 側壁
102c 蓋
105 溶融金属
110 ロングノズル
110x 流入口
110y 流出口
110a 気相領域
110b 二次メニスカス
110c 拡径部
111 コレクターノズル
112 流量調整機構(スライディングノズル)
112a スライド板
113 不活性ガス供給機構
120 ノズル

Claims (5)

  1. 取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
    前記ロングノズルが、上流側である前記取鍋側に流入口を備え、下流側である前記タンディッシュ側に流出口を備え、且つ、上流側から下流側に向かって下向きに延在する、筒状単孔ノズルであり、
    前記ロングノズルの前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
    前記ロングノズルの外部から内部へと不活性ガスが供給されて、前記ロングノズルの内部に前記不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
    前記気相領域の圧力が制御されることによって、下記式(1)で定義される二次メニスカス高さΔHが0cm以上20cm以下となるように構成されている、
    ノズルシステム。
    ΔH=(P-P)/(ρ・g) …(1)
    ここで、
    は、前記タンディッシュ内の雰囲気圧力であり、
    は、前記ロングノズル内の前記気相領域の圧力であり、
    ρは、前記溶融金属の密度であり、
    gは、重力加速度である。
  2. 前記気相領域の圧力が第1の閾値よりも高い場合に、前記気相領域へと供給される前記不活性ガスの量が低下して、前記気相領域の圧力が低下するように構成されている、
    請求項1に記載のノズルシステム。
  3. 前記気相領域の圧力が第2の閾値よりも低い場合に、前記気相領域へと供給される前記不活性ガスの量が増加して、前記気相領域の圧力が上昇するように構成されている、
    請求項1又は2に記載のノズルシステム。
  4. 前記ロングノズルが少なくとも1つの連通孔を有し、
    前記ロングノズル内の前記気相領域と、前記タンディッシュ内の前記雰囲気とが、前記連通孔を介して、互いに連通可能に構成されている、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のノズルシステム。
  5. 前記タンディッシュが内部に堰を有しない、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のノズルシステム。
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