JP2000202602A - 連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法

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JP2000202602A
JP2000202602A JP11000908A JP90899A JP2000202602A JP 2000202602 A JP2000202602 A JP 2000202602A JP 11000908 A JP11000908 A JP 11000908A JP 90899 A JP90899 A JP 90899A JP 2000202602 A JP2000202602 A JP 2000202602A
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tundish
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ladle
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Makoto Suzuki
真 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不活性ガスを利用して、連続鋳造用タンディ
ッシュ内において安定して且つ効率良く介在物を除去す
る。 【解決手段】 その一端を取鍋2の溶鋼流出孔6、7に
密着させ、他端をタンディッシュ1内の溶鋼9に浸漬さ
せた注入管4を介して取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内
に注入する際に、注入管の、タンディッシュ内溶鋼に浸
漬させた部位で、注入管内に不活性ガスを吹き込みなが
ら注入する。その際に、不活性ガス吹き込み量を、注入
管を通過する溶鋼1トン当たり0.5〜50Nlとする
こと、注入管の内径Dを取鍋の溶鋼流出孔Doの内径以
下とすること、及び、注入管のタンディッシュ内溶鋼へ
の浸漬深さLを、タンディッシュ内溶鋼の湯面位置から
取鍋底部までの距離Hの1/6〜1/4とすることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンディッシュ内
に注入された溶鋼中の非金属介在物を効率良く除去する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼中の非金属介在物(以下、「介在物」
と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生原因
となるので、極力除去する必要があり、そのため、最終
製品の品質に直接関与する連続鋳造工程では、清浄性の
優れた鋳片を得る手段として種々の介在物低減対策が実
施されてきた。そして、生産性向上のために鋳片引抜き
速度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での
介在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求さ
れる品質の厳格化も加味され、溶鋼を鋳型に供給する以
前のタンディッシュにおける介在物低減対策が特に重要
となっている。
【0003】タンディッシュ内で介在物を除去する方法
としては、不活性ガスを溶鋼中に吹き込み、介在物を不
活性ガス気泡で捕捉させ、介在物を気泡と共に浮上・分
離させる方法が有効であるが、気泡が大きいと介在物捕
捉の効果が少ないだけでなく、気泡が溶鋼表面から離脱
する際に溶滓を巻込んだり、空気による溶鋼の酸化の原
因となるため、微細化した気泡を吹き込む方法が数多く
提案されている。
【0004】例えば、特開平8−117939号公報
(以下、「先行技術1」と記す)には、溶鋼の流れの方
向に凹凸を有する通路をタンディッシュ内に設けて溶鋼
を通過させ、凸部分より溶鋼中にガスを吹き込む方法が
開示されている。先行技術1によれば、凸部分では溶鋼
流速が速くなり、この溶鋼流により剪断力が働いて気泡
の離脱が促進され、直径が2mm以下の微細な気泡を安
定して溶鋼中に吹き込むことが可能となり、介在物を効
率的に取り除くことができるとしている。
【0005】特開昭58−58965号公報(以下、
「先行技術2」と記す)には、タンディッシュの下部に
設けた電磁攪拌装置によりポーラス煉瓦の表面近傍の溶
鋼を20〜80cm/secの流速で攪拌しつつ、ポー
ラス煉瓦から不活性ガスを吹き込む方法が開示されてい
る。先行技術2によれば、溶鋼流により気泡の離脱が促
進され、直径10mm以下の気泡を吹き込むことが可能
となり、介在物を効率良く除去できるとしている。
【0006】又、特開昭57−177914号公報(以
下、「先行技術3」と記す)には、取鍋内溶鋼を注入管
を介してタンディッシュ内へ注入する際に、取鍋内溶鋼
の湯面位置とタンディッシュ内溶鋼の湯面位置との高低
差を2m以上確保しつつ、取鍋の溶鋼流出孔近傍から溶
鋼1トン当たり0.01〜1.0Nm3 の不活性ガスを
注入管内に吹き込む方法が開示されている。先行技術3
によれば、溶鋼の落下に伴う落下エネルギーにより不活
性ガスは直径5mm以下に微細化してタンディッシュ内
の溶鋼中を懸濁・浮上するので、介在物を効率良く除去
できるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】溶鋼中の気泡により介
在物を効率的に除去するためには、気泡と溶鋼中の介在
物との衝突する確率を高めること、更に、気泡と衝突し
た介在物の、気泡に付着する確率を高めることが効果的
であることが知られている。そこで、本発明者等は、介
在物を効率的に除去するためのガス吹き込み条件を種々
検討した。
【0008】先ず、衝突確率及び付着確率を理論的に計
算し、不活性ガス気泡の大きさと介在物の大きさ別の除
去率との関係を求めた。その結果を図7に示す。図7に
示すように、気泡の直径を2.0mm以下とすることに
より、直径20μm程度の微細な介在物も、除去率が急
激に高くなることが判明した。
【0009】次に、気泡の直径を2.0mm以下とする
には、溶鋼流速、即ち溶鋼流による剪断力をどの程度に
する必要があるかを確認するため、単孔ノズルから吹き
込まれる不活性ガス気泡の大きさと溶鋼流速との関係を
調査した。図8はその調査結果を示す図であり、ガス流
量を2水準として単孔ノズルにて吹き込まれたガスから
生成する気泡の大きさに及ぼす溶鋼流速の影響を示す図
である。図8に示すように、気泡の直径を1.0〜2.
0mmとするためには、ガス吹き出し孔前面の溶鋼流速
を少なくとも80cm/sec以上にする必要があるこ
とが分かった。
【0010】このような高速度の溶鋼流を、タンディッ
シュ内で形成することは極めて困難である。因みに、図
9は、1分間当たりの溶鋼通過量が6トンの時に、流路
の断面積と流路での溶鋼流速との関係を示す図であり、
図9に示すように、溶鋼流速を80cm/sec以上と
するためには、流路の断面積を少なくとも200cm 2
以下にする必要がある。これは、円形の断面形状を仮定
すると、直径が16cm以下の流路になり、溶鋼静圧の
小さいタンディッシュ内においてこのような狭い流路に
溶鋼を水平方向に通すことは実質的に不可能である。
【0011】この検討結果から判断すれば、先行技術1
では直径2mm以下の気泡を安定して生成させることは
極めて難しく、介在物低減効果は余り期待できない。更
に、先行技術1ではタンディッシュ内に堰を設置する必
要があり、堰設置に伴う耐火物施工上の問題や、堰の存
在がタンディッシュの熱間再使用の障害となる等の問題
点がある。
【0012】又、先行技術2では、元々溶鋼流速の上限
値が80cm/secであり、上記検討結果から判断す
れば、直径2mm以下の気泡を安定して得ることはでき
ないが、仮に、溶鋼流速を80cm/sec以上として
気泡を微細化しても、先行技術2では、電磁攪拌装置に
よる溶鋼流がタンディッシュ内全体の溶鋼流動に影響を
与えるので、タンディッシュ内の溶鋼流動パターンが介
在物の浮上・分離にとって必ずしも適切な流動状態には
ならず、タンディッシュ全体の介在物除去効率は良いと
はいえない。例えば、タンディッシュの上流側から下流
側に攪拌する場合には、取鍋からの受鋼位置から鋳型へ
の溶鋼排出孔へと向かう短絡流を形成し、介在物の浮上
・分離を阻害する。
【0013】先行技術3では、取鍋の溶鋼流出孔近傍か
ら注入管内に不活性ガスを吹き込むので、溶鋼流速は十
分に速く、気泡は微細化する。しかし、取鍋の溶鋼流出
孔にはスライディングノズル等の流量調整手段が設置さ
れており、通常、溶鋼は流量調整のために流量調整手段
にて絞られて注入されるため、流量調整手段直下の注入
管内部は負圧になる。又、流量調整手段直下の注入管内
部は溶鋼で充填されておらず、空洞が存在する。従っ
て、取鍋の溶鋼流出孔近傍から吹き込まれた不活性ガス
は、一旦は溶鋼中に混入するが、注入管内の負圧の領域
を通過する際に、その一部が溶鋼から離脱してしまう。
このため、タンディッシュ内に注入される溶鋼中に、タ
ンディッシュ内で介在物を浮上させるのに十分な量の気
泡を混入させることが困難となる。仮に、気泡の溶鋼か
らの離脱を見越して大量の不活性ガスを吹き込むと、気
泡は粗大化して介在物の低減効果が発揮できない。
【0014】又、溶鋼中に混入させた気泡の大きさが適
切でないと、介在物除去効果が十分に発揮されないだけ
でなく、新たな問題が発生する。例えば、気泡が大き過
ぎると、気泡が浮上してタンディッシュ内溶鋼湯面に到
達した時、湯面を擾乱させ、湯面上に存在するスラグ等
を溶鋼中に巻込む虞がある。又、気泡が小さ過ぎると、
タンディッシュ内で十分浮上しない可能性があり、この
場合、溶鋼中に懸濁したまま鋳型内に流出して凝固シェ
ルに捕捉され、欠陥の原因となることもある。
【0015】このように不活性ガスを利用した、従来の
タンディッシュにおける介在物の除去方法は、効率良く
介在物を除去する点において、未だ十分とはいえず改善
する余地がある。
【0016】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、不活性ガスを利用して、
連続鋳造用タンディッシュ内において安定して且つ効率
良く介在物を除去する方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による連続鋳造用
タンディッシュにおける介在物除去方法は、その一端を
取鍋の溶鋼流出孔に密着させ、他端をタンディッシュ内
の溶鋼に浸漬させた注入管を介して取鍋内の溶鋼をタン
ディッシュ内に注入する際に、注入管の、タンディッシ
ュ内溶鋼に浸漬させた部位で、注入管内に不活性ガスを
吹き込むことを特徴とするものである。そして、その際
に、不活性ガス吹き込み量を、注入管を通過する溶鋼1
トン当たり0.5〜50Nlとすることや、注入管の内
径を取鍋の溶鋼流出孔の内径以下とすること、及び、注
入管のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さを、タンディ
ッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋底部までの距離の1/
6〜1/4とすることが好ましい。
【0018】本発明では、注入管の、タンディッシュ内
溶鋼に浸漬された部位で、注入管内にAr等の不活性ガ
スを吹き込む。この部分では、溶鋼が取鍋から落下する
落下エネルギーを持つために溶鋼流速は80cm/se
c以上の高速であり、そのため、吹き込まれた不活性ガ
スは落下する溶鋼流により容易に微細化される。更に、
この部分では、溶鋼が注入管内に充満しているので、吹
き込んだガスは溶鋼中に混入する。そして、溶鋼と共に
タンディッシュ内に流入した微細な気泡は介在物を捕捉
して浮上・分離するので、介在物を効率良く除去するこ
とができる。
【0019】吹き込まれる不活性ガスの量が不足する
と、介在物と気泡とが衝突する確率が低下して介在物の
除去効率が悪く、逆に、吹き込まれる不活性ガスの量が
多過ぎると、前述の図8からも分かるように、微細な気
泡の生成が困難になり、介在物の除去効率が悪くなる。
図1は、注入管を通過する溶鋼1トン当たりのAr吹き
込み量を0.2〜500Nlとして、Ar吹き込み量と
介在物除去率との関係を調査した結果を示す図である。
図1に示すように、高い介在物除去率を確保するために
は、Ar吹き込み量を溶鋼トン当たり0.5〜50Nl
の範囲とすることが必要であることが分かる。尚、図1
において、縦軸の介在物除去率の評価はAが優れ、B、
C、Dの順に劣ることを表わしている。
【0020】注入管の内径が取鍋の溶鋼流出孔内径に比
べて大き過ぎると、取鍋から落下する溶鋼流の落下エネ
ルギーが分散して、タンディッシュ内溶鋼への攪拌エネ
ルギー、及び、注入管内の溶鋼流速が低下する。図2
は、取鍋の溶鋼流出孔内径を一定とし、タンディッシュ
内溶鋼の湯面位置から取鍋底部までの距離を2.0mと
した条件において、注入管の浸漬部位の注入管内の溶鋼
攪拌エネルギー、及び、注入管下端位置での溶鋼流速に
及ぼす注入管内径の影響を調査した結果を示す図であ
る。図2に示すように、注入管の内径を取鍋の溶鋼流出
孔の内径以下とすることによって、溶鋼流の落下エネル
ギーが分散せず、溶鋼流速を高い状態に保つことができ
る。尚、図2の縦軸の指数は、注入管内径が取鍋の溶鋼
流出孔内径と等しい時の前記攪拌エネルギー及び溶鋼流
速を基準値として指数化して表示したもので、大きい数
値ほど攪拌エネルギーは大きく、又、溶鋼流速は速いこ
とを示している。
【0021】更に、本発明者等は、注入管のタンディッ
シュ内溶鋼への浸漬深さによって介在物の除去効率が異
なることを確認した。その原因について水モデル実験等
で検討したところ、注入管内部で生成した不活性ガス気
泡は、一般には溶鋼流に乗って注入管外に流出するが、
気泡の大きさによっては、注入管内の溶鋼中を浮上し、
注入管外には流出しないことが分かった。大きい気泡の
方が浮力が大きく、浮上速度が大きいため、注入管内部
で浮上しやすく、これに対し、小さい気泡は浮力が小さ
く、注入管外に流出する。この時、注入管の浸漬深さが
変わると、注入管から流出する気泡の大きさが変化す
る。即ち、浸漬深さが浅い場合には、大きさの大小を問
わず、ほとんどの気泡が溶鋼流と共に注入管外に流出す
るが、浸漬深さが深くなると、大きい気泡は注入管の下
端まで下降できずに注入管内部で上昇し、注入管外へは
ほとんど流出しなくなる。
【0022】介在物の除去効率を高めるためには、前述
の図7に示すように、直径が2.0mm以下の気泡を注
入管から流出させることが必要であり、又、粗大な気泡
を注入管から流出させると、タンディッシュ内溶鋼の湯
面を擾乱させてスラグを巻込む虞があるため、粗大な気
泡は注入管から流出させないことが必要である。即ち、
注入管の浸漬深さは、この観点に基づき決めることがで
きる。但し、溶鋼流の落下エネルギーによっても、注入
管から流出する気泡の大きさが変化するので、浸漬深さ
の適正範囲は、溶鋼流の落下エネルギー、即ち、タンデ
ィッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋底部までの距離を加
味して決める必要がある。
【0023】図3は、タンディッシュ内溶鋼の湯面位置
から取鍋底部までの距離を最大3.0mまで変更すると
共に注入管の浸漬深さを変更して、注入管から流出する
気泡の大きさを水モデルにより調査した結果を示す図で
ある。図3に示すように、注入管の浸漬深さを、タンデ
ィッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋底部までの距離の1
/6〜1/4の範囲(図中の斜線域)とすることで、粗
大な気泡を注入管から流出させることなく、2.0mm
以下の気泡を注入管から流出させることができる。浸漬
深さを、タンディッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋底部
までの距離の1/4を越える範囲(図中のY域)にする
と、注入管から流出される気泡は極微細なものが主体と
なり、タンディッシュ内で十分浮上しきれずに、溶鋼中
に懸濁したまま鋳型内に流出するものが増加してタンデ
ィッシュ内での介在物除去効率が低下する。又、浸漬深
さを、タンディッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋底部ま
での距離の1/6未満(図中のZ域)にすると、粗大な
気泡も注入管から流出し、清浄性に悪影響を及ぼし、好
ましくない。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図4は、本発明の実施の形態の1例を示す連続鋳
造設備の概要図であり、図5は、図4における注入管の
取り付け構造の詳細図である。
【0025】図4及び図5において、内面を耐火物で構
築されたタンディッシュ1が、タンディッシュカー(図
示せず)に搭載されて鋳型3の上方所定位置に配置さ
れ、又、タンディッシュ1の上方所定位置には溶鋼9を
収容した取鍋2が配置されている。取鍋2の底部には、
鉄皮16を貫通し、取鍋耐火物17と嵌合して、内径が
0 である上ノズル6が設置され、この上ノズル6の下
面側に、固定板13、摺動板14、及び整流ノズル15
から成るスライディングノズル7が設置されている。ス
ライディングノズル7は溶鋼9の流量調整手段であり、
その孔径は上ノズル6の内径(D0 )に等しい。このよ
うにして、上ノズル6とスライディングノズル7とで取
鍋2の溶鋼流出孔を形成している。
【0026】そして、スライディングノズル7の下面側
には、上端内径が上ノズル6の内径(D0 )に等しく、
下端内径が上ノズル6の内径(D0 )よりも小さいDで
ある注入管4が接続されている。前述したように、注入
管4を落下する溶鋼流の落下エネルギーの分散防止のた
め、注入管4の内径を上ノズル6の内径(D0 )よりも
小さくすることが好ましいが、図に示すようなテーパー
状とする必要はなく、ストレート状としても良い。尚、
流量調整手段であるスライディングノズル7の孔径は上
ノズル6の内径より小さい場合があるので、本発明では
スライディングノズル7等の流量調整手段を除く部位の
溶鋼流出孔の最小内径を取鍋2の溶鋼流出孔内径の基準
値とし、この基準値に対して注入管4の内径を定めるこ
ととする。
【0027】注入管4には、その内部に空洞部であるス
リット11が設けられ、このスリット11は、注入管4
の内壁面に露出するようにして注入管4の先端部に埋め
込まれたポーラス煉瓦12につながっており、注入管4
に取り付けられたガス導入管8からスリット11内に供
給されるAr等の不活性ガスは、ポーラス煉瓦12を介
して注入管4の管内に吹き込まれるようになっている。
尚、吹き込む不活性ガスは高純度品であることが必要で
あり、純度の低い不活性ガスでは、却って溶鋼9の清浄
性を損なう要因となる。
【0028】タンディッシュ1の注入管4の設置位置の
長手方向反対側の底部には、鋳型3への溶鋼排出孔とな
る浸漬ノズル5が設置されている。
【0029】このような構成の連続鋳造設備を用いて、
注入管4の先端をタンディッシュ1内の溶鋼9に浸漬深
さをLとして浸漬させつつ、取鍋2内の溶鋼9をタンデ
ィッシュ1に注入する際に、注入管4のポーラス煉瓦1
2を埋設した部位をタンディッシュ1内の溶鋼9に浸漬
させて、ポーラス煉瓦12から注入管4の管内に不活性
ガスを吹き込む。前述したように、吹き込む不活性ガス
量は、注入管4を通過する溶鋼9の1トン当たり0.5
〜50Nlとすることが好ましく、又、注入管4の浸漬
深さ(L)は、タンディッシュ1内の溶鋼湯面から取鍋
底部までの距離をHとしたとき、距離(H)の1/6〜
1/4の範囲とすることが好ましい。尚、本発明で記す
取鍋底部とは、図4に示すように、取鍋2内の溶鋼9の
下端位置のことである。
【0030】注入管4内に吹き込まれた不活性ガスは、
タンディッシュ1内の溶鋼9中に微細な気泡となって混
入し、気泡中に溶鋼9中の介在物を吸着させ、次いで、
タンディッシュ1内の溶鋼湯面に浮上する。そのため、
介在物は効率良く溶鋼9から除去され、鋳型3へは介在
物の少ない清浄な溶鋼9が鋳造される。鋳型3内に鋳造
された溶鋼9は鋳型3内で冷却されて凝固し、清浄性の
優れた鋳片10が鋳造される。
【0031】尚、上記説明は単ストランド鋳造のタンデ
ィッシュ1における説明であるが、本発明は単ストラン
ド鋳造に限るものではなく、多ストランド鋳造であって
も上記に従って本発明を適用することができる。又、注
入管4からの不活性ガスの吹き込み方法も上記説明に限
るものではなく、例えばポーラス煉瓦12の代わりに複
数の細孔を有する煉瓦を用いて吹き込んでも良い。
【0032】
【実施例】図4に示す連続鋳造設備を用いた実施例を以
下に説明する。本実施例では、上ノズルの内径と等しい
内径が65mmφの注入管を使用した。定常鋳造中のタ
ンディッシュ内溶鋼の浴深さは、最も浅い部分で1.0
m、最も深い部分で2.0mで、タンディッシュ容量は
60トンである。タンディッシュ内の溶鋼湯面位置から
取鍋底部までの距離(H)は2.0mであり、これに対
応して注入管の浸漬深さ(L)を450mmとし、厚み
250mm、幅1800mmのスラブ鋳片を鋳片引抜き
速度1.8m/minで鋳造した。この時の注入管内の
通過溶鋼量は6.3t/minである。
【0033】この条件で、高純度Arを70Nl/mi
nで注入管から吹き込んだ。吹き込みAr量は、溶鋼1
トン当たり11Nlとなる。そして、鋳造中タンディッ
シュ内の溶鋼湯面を遠隔カメラで観察すると共に、鋳造
された鋳片から試験片を切り出し、試験片から溶解抽出
法により介在物を抽出して、鋼中の介在物量を評価し
た。
【0034】又、比較のために、その他の条件を実施例
と同一として、スライディングノズルの固定板から注入
管内にArを70Nl/min吹き込んだ比較例と、注
入管内にAr吹き込みを行わない従来例も実施した。
【0035】鋳造中の遠隔カメラによる観察では、実施
例、比較例、及び従来例ともに溶鋼湯面の擾乱は観察さ
れなかった。又、図6は、鋼中の介在物量を調査した結
果を示す図であるが、図6に示すように、本発明の実施
例では鋼中の介在物が大幅に減少しており、清浄性の優
れた鋳片が製造できた。これに対して、比較例では介在
物の低減効果が少なく、従来例と大差ない介在物量であ
った。尚、図6の縦軸は介在物量を指数化したもので、
指数が低いほど介在物量が少ないことを表わしている。
【0036】
【発明の効果】本発明では、注入管の、タンディッシュ
内溶鋼に浸漬させた部位から注入管内に不活性ガスを吹
き込むので、微細な気泡を溶鋼中に混入させることが可
能となり、この気泡によりタンディッシュ内において介
在物を効率良く除去することができる。又、堰を必要と
しないので熱間で再使用するタンディッシュにも適用可
能であり、工業的効果は格別である。
【図面の簡単な説明】
【図1】注入管から吹き込まれるAr量の、介在物除去
率に及ぼす影響を調査した結果を示す図である。
【図2】溶鋼攪拌エネルギー及び溶鋼流速に及ぼす注入
管内径の影響を調査した結果を示す図である。
【図3】タンディッシュ内溶鋼湯面から取鍋底部までの
距離と注入管浸漬深さとを変更して注入管から流出され
る気泡の大きさを調査した結果を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の1例を示す連続鋳造設備
の概要図である。
【図5】図4における注入管の取り付け構造の詳細図で
ある。
【図6】鋼中の介在物量を実施例、比較例、及び従来例
で比較して示す図である。
【図7】気泡の大きさと介在物の除去率との関係を示す
図である。
【図8】生成する気泡の微細化に及ぼす溶鋼流速の影響
を示す図である。
【図9】溶鋼通過量が6t/minの場合、流路の断面
積と溶鋼流速との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 取鍋 3 鋳型 4 注入管 5 浸漬ノズル 6 上ノズル 7 スライディングノズル 8 ガス導入管 9 溶鋼 10 鋳片 11 スリット 12 ポーラス煉瓦
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E004 HA00 4E014 NA03 4K013 AA07 AA09 BA14 CA00 CA02 CA11 CA23 CF13 CF15 DA02 DA05 DA17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その一端を取鍋の溶鋼流出孔に密着さ
    せ、他端をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた注入管
    を介して取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入する際
    に、注入管の、タンディッシュ内溶鋼に浸漬させた部位
    で、注入管内に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする
    連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法。
  2. 【請求項2】 前記不活性ガス吹き込み量を、注入管を
    通過する溶鋼1トン当たり0.5〜50Nlとすること
    を特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシ
    ュにおける介在物除去方法。
  3. 【請求項3】 前記注入管の内径を取鍋の溶鋼流出孔の
    内径以下とすることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去
    方法。
  4. 【請求項4】 前記注入管のタンディッシュ内溶鋼への
    浸漬深さを、タンディッシュ内溶鋼の湯面位置から取鍋
    底部までの距離の1/6〜1/4とすることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の連続鋳造
    用タンディッシュにおける介在物除去方法。
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