JP3018960B2 - 連続鋳造方法およびそのストレート浸漬ノズル - Google Patents

連続鋳造方法およびそのストレート浸漬ノズル

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JP3018960B2
JP3018960B2 JP7264065A JP26406595A JP3018960B2 JP 3018960 B2 JP3018960 B2 JP 3018960B2 JP 7264065 A JP7264065 A JP 7264065A JP 26406595 A JP26406595 A JP 26406595A JP 3018960 B2 JP3018960 B2 JP 3018960B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、連続鋳造におい
て溶鋼をタンディッシュから水冷鋳型に注入する浸漬ノ
ズルにストレート浸漬ノズルを使用して欠陥の無いスラ
ブ,ブルーム,ビレット等の鋳片を製造することのでき
る連続鋳造方法およびこの方法に使用するストレート浸
漬ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】連続鋳造
法において、タンディッシュから水冷鋳型内へ溶鋼を注
入する際には、溶鋼の酸化を防止する目的で、ノズルの
下端を鋳型内の溶湯内に浸漬し、溶湯面下に溶湯を注入
する浸漬ノズル方式、あるいは通常のノズルから溶湯面
上に落下する溶湯注入流を不活性ガスで保護するオープ
ンキャスティング方式が採用されている。また、鋳型内
の溶湯面はモールドパウダーにより被覆し、このパウダ
ーの粉体層・焼結層・溶融層により、溶湯の酸化抑制,
介在物の混入防止,介在物の捕捉,鋳型と凝固シェル間
への溶融層流入による潤滑や急冷防止等を図っている。
【0003】このような溶鋼の水冷鋳型への注入におい
て、スラブやブルームなど比較的大断面の鋳片を1ロッ
ト数チャージ連続して鋳込む連続鋳造の場合、図7
(a)に示すように、耐火物製の浸漬ノズルの下端が閉
塞され、側壁に吐出孔50aを備えた所謂2孔浸漬ノズ
ル50を使用するのが一般的である。左右対称の2つの
吐出口50aは水平に対して下向きにある程度の角度を
設定し、溶鋼流路が全体として逆Y字状となるようにし
ている。これは、溶鋼注入流が鋳片未凝固部内に深く侵
入するのを防止し、溶鋼中の介在物や気泡が凝固シェル
に捕捉されるのを防止するためである。
【0004】しかし、このような2孔浸漬ノズルの場
合、鋳型内壁に沿う下降流により鋳片コーナー部におい
て凝固遅れが生じ、この凝固遅れにより鋳片コーナー部
に縦割れ疵等の有害疵が発生する問題点がある。また、
鋳片中央の未凝固部では溶鋼流動が少なく、液相の凝固
速度が遅いため、中心偏析が生じやすいという問題点も
ある。さらに、この2孔浸漬ノズルを使用して多連鋳を
行う場合、特にアルミキルド鋼を長時間鋳造すると、鋳
造時間の経過と共に浸漬ノズル内管部にアルミナが付着
し、ノズル詰まり等が発生する。このノズル詰まりが発
生すると、所定の流量が得られず多連鋳の阻害要因にな
るばかりか、各吐出孔の吐出量差から鋳型内溶鋼流に偏
流が発生し、パウダー巻込み原因による気泡性欠陥や、
浸漬ノズル内管部に付着したアルミナが剥離し、鋳片内
にトラップされ、介在物原因の内質不良等が発生する。
【0005】また、このような2孔浸漬ノズルを使用し
ない方法として、特開昭62−220255号公報で提
案されている連続鋳造方法がある。これは、図7(b)
に示すように、下端が開口する短いストレートノズル6
0をその下端が水冷鋳型4内の湯面の上方に位置するよ
うにタンディッシュ1に取付け、このノズルよりも大径
の浸漬管61をその下部が湯面下に浸漬されるように配
設し、この浸漬管61内に不活性ガス62を充満させて
いる。
【0006】しかし、このようなオープンキャスティン
グ方式では、ストレートノズルを取り囲む大径の浸漬管
を水冷鋳型内にセットする必要があるため、大断面のス
ラブ,ブルーム等を鋳造する場合には適用できるが、小
断面のスラブ,ブルーム等の製造においては水冷鋳型と
浸漬管の隙間を十分に確保することが難しい。この隙間
の確保が不十分の場合、溶鋼湯面の酸化防止に使用する
モールドパウダーの流れ込みが阻害され、操業トラブル
などの原因となる。また、浸漬管内にArガスを吹き込
んでも、ノズルと浸漬管との間が開放状態にあるため、
大気中からの溶鋼酸化を完全に防止するのは無理があ
り、溶鋼酸化により介在物生成が促進される。さらに、
鋳型内溶鋼注入流の落とし口にArガスを吹き込むこと
により溶鋼内にArガスがトラップされ、スラブ表面品
質に欠陥をもたらす原因となる。
【0007】また、2孔浸漬ノズルおよびオープンキャ
スティング方式を使用しない方法として、特開平6−1
5420号公報で提案されているストレート浸漬ノズル
を用いた無欠陥鋳片の連続鋳造方法がある。これは、図
7(c)に示すように、浸漬ノズルの下端を開放したス
トレート浸漬ノズル70と、このノズル70の吐出口下
方近傍における鋳型背面に設置した静磁場発生装置71
を組み合わせ、ノズル70からの吐出流の流速を静磁場
により減速させて溶鋼流が鋳片未凝固部内に深く侵入す
るのを防止し、さらにストレート浸漬ノズル70の上部
に不活性ガス供給管72を設け、浸漬部にガス分離開孔
73を設け、ノズル内を流下する溶鋼中の不活性ガス気
泡による洗浄作用によりノズル内面への介在物付着を防
止し、ノズル閉塞を解消している。溶鋼中の不活性ガス
はガス分離開孔73から分離して浮上させている。
【0008】しかし、このようなストレート浸漬ノズル
と静磁場発生装置を使用する方法では、ノズル先端から
の溶鋼流を減速するのに、静磁場発生装置を用いること
は効果的であるが、高価な静磁場発生装置を必要とし、
設備コストが増大する。また、静磁場条件により溶鋼流
速を最適な値に設定するのは難しい。鋳型内の溶鋼流速
を支配するのは、浸漬ノズルの吐出孔の断面積である。
また、Arガスを吹き込むことにより浸漬ノズル詰まり
を防止し、ガス分離開孔を設けることによりArガスが
溶鋼内にトラップされないようにしているが、先に述べ
たように溶鋼流速はガス分離開孔上部の断面積により支
配されるため、ガスが十分に浮上せず、スラブ表面に気
泡性欠陥が生じる。
【0009】さらに、タンディッシュ当たり数チャージ
を連続して鋳造する多連鋳において、特にアルミキルド
鋼では、浸漬ノズル内管部に付着するアルミナを完全に
抑制するのは無理があり、多連鋳を重ねる毎に鋳型内溶
鋼流速に偏流をきたし、鋳型内湯面近傍の溶鋼自身の温
度が降下し、パウダーによる保温性が低下し、パウダー
による介在物吸収能が低下し、これらの原因により、ま
すますAr気泡,介在物等が鋳片にトラップされ、無欠
陥スラブ,ブルームなどの製造には問題がある。
【0010】この発明は、前述のような問題点を解消す
べくなされたもので、その目的は、静磁場発生装置等の
高価な設備を使用することなく、比較的簡単な構成のス
トレート浸漬ノズルにより溶鋼中の介在物,気泡などが
鋳片クレータの奥深く侵入することを防止することがで
き、鋳造中の浸漬ノズル詰まり等も防止することがで
き、鋳片の表面および内部に欠陥の無い鋳片を製造する
ことのできる連続鋳造方法およびそのストレート浸漬ノ
ズルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では、浸漬ノズル先端に開口を有するストレ
ート浸漬ノズルを介して溶鋼を冷却鋳型内に注入し、ス
ラブ・ブルーム・ビレット等の所定の断面形状の鋳片を
連続的に製造する連続鋳造方法において、図1に示すよ
うに、前記ストレート浸漬ノズルに、浸漬ノズルの内部
を貫通する溶鋼流路の基端側内径に対して先端部内径が
拡大したストレート浸漬ノズルを使用し、このストレー
ト浸漬ノズルを前記拡大部分が冷却鋳型内の溶鋼湯面下
に埋没しないように配置して溶鋼を冷却鋳型内に注入す
る。図1におけるB寸法は、50〜100mmとするの
が好ましい。
【0012】このような方法を実施するためのストレー
ト浸漬ノズルとしては、タンディッシュ内の溶鋼を内部
の溶鋼流路を介して冷却鋳型内に注入し、前記溶鋼流路
が浸漬ノズルの基端から先端まで貫通するストレート浸
漬ノズルにおいて、前記溶鋼流路の先端部内径を基端側
内径よりも拡大させることでノズル先端部に拡大スト
レートノズル孔を形成し、基端側のストレートノズル孔
と先端部の拡大ストレートノズル孔との境目部分が冷却
鋳型内の溶鋼湯面よりも上方に位置するようにストレー
ト浸漬ノズルをタンディッシュ底部に取り付けたものが
好ましい。即ち、図2(a)に示すように、先端部内径
が階段状に拡大する形状のものが好ましい。
【0013】また、このようなストレート浸漬ノズルに
おいては、浸漬ノズルの基端側のストレートノズル孔
断面積A1 に対する先端部の拡大ストレートノズル孔
断面積A2 の比が、(A2 /A1)=1.5〜2.0の範
囲であることが好ましい。
【0014】
【作用】以上のような構成において、図1に示すよう
に、タンディッシュ内の溶鋼は、ストレート浸漬ノズル
の溶鋼流路の断面積A1 の基端側と断面積A2 の先端部
を順に通って冷却鋳型内の溶鋼湯面下に注入される。こ
こで、溶鋼流路内の流体の流れは、連続の式、Q=A1
1 =A2 2 に従うことが知られている。従って、先
端部のA2 断面での溶鋼流速V2 は断面積比(A2 /A
1)に見合う分だけ減少することになる。また、このA2
断面での溶鋼流速が鋳型内で形成された凝固シェルに衝
突する最大流速Vmax は、ノズル内径d0 とノズルから
の距離xの関数として表すことができる。即ち、減衰の
式は、Vmax =6.3V0 /(x/d0 )〔V0 :ノズ
ル吐出孔での中心流速〕であり、V0 =V2 とすると、
Vmaxは当然減少し、溶鋼流が鋳片内部のクレータ
(未凝固部)の奥深く侵入するのを抑制することができ
る。これにより、溶鋼内気泡・溶鋼内介在物か浮上促進
され、鋳片内にトラップされることなく、良好な無欠陥
スラブ,ブルーム等の製造が可能となる。
【0015】断面積比(A/A1)は、1.5〜2.
0の範囲が最適である。図3は、溶鋼スループットとノ
ズル先端からの溶鋼到達距離の関係を、従来一般の単純
ストレート浸漬ノズルを使用した場合と、本発明の急拡
大管ストレート浸漬ノズルで(A2/A1)<1.5および
(A2/A1)≧1.5とした場合について比較したグラフ
である。この図3より明らかなように、単純ストレート
浸漬ノズルと急拡大管ストレート浸漬ノズルの到達距離
に顕著な差が見られるが、(A2/A1)<1.5の場合に
は、到達距離は単純ストレート浸漬ノズルと差はない。
従って、(A2/A1)<1.5では、先端部ストレートノ
ズル孔を拡大したことによる作用が減少し、ノズル先端
からの溶鋼流が鋳片クレータ(未凝固部)の奥深く侵入
し、溶鋼内気泡・溶鋼内介在物がトラップされ、拡大に
よる効果が減少する。また、(A2/A1)>2.0にする
と、通常の浸漬ノズル外径の範囲では、浸漬ノズルパウ
ダーラインにおけるノズル外壁肉厚が減少し、パウダー
鋳造による浸漬ノズルの耐用時間が短くなり、多連鋳が
不可となる。
【0016】溶鋼注入に際しては、拡大した断面積A2
の先端部ストレートノズル孔が溶鋼湯面下に埋没しない
ことが重要である。本発明の急拡大管ストレート浸漬ノ
ズルを用いた水モデル実験結果によると、埋没させた場
合には断面積A1 の基端側ストレートノズル孔が湯面下
に位置し、単純ストレート浸漬ノズルを用いた条件と同
様となり、ノズル先端からの溶鋼流の到達距離は、図3
の単純ストレート浸漬ノズルと同様の位置まで侵入する
結果となった。また、図1のB寸法としては、50〜1
00mm程度が最適条件である。B寸法<50mmに設
定すると、鋳造中の湯面変動により、パウダー等の巻き
込み現象を引き起こす。また、B寸法>100mmに設
定すると、浸漬ノズル近傍の湯面の動きが全く無くな
り、メニスカスの温度低下となり、湯面の皮張りが生
じ、溶鋼内気泡が鋳片表面等ヘトラップされ、操業トラ
ブル,品質不良となる。
【0017】次に、従来の2孔浸漬ノズルの場合には、
鋳型内壁に沿う下降流により鋳片コーナー部において凝
固遅れが生じ、この凝固遅れにより鋳片コーナー部に縦
割れ疵等の有害疵が発生するが、本発明の急拡大管スト
レート浸漬ノズルでは、吐出孔からの溶鋼流は下向き鉛
直となるので、鋳片コーナー部の凝固遅れが無くなり、
鋳片コーナー部の縦割れ疵等を解消することができる。
また、鋳片中央の未凝固部での溶鋼流動を確保でき、中
心偏析も軽減できる。さらに、下向き鉛直の溶鋼流によ
り横方向の偏流が防止され、偏流に起因するパウダー巻
き込み原因による表面欠陥が減少する。
【0018】また、一般的な2孔浸漬ノズルでも溶鋼流
がクレータ奥深く侵入するのを防止することができる
が、2孔浸漬ノズルを使用して多連鋳を行う場合、特に
アルミキルド鋼を長時間鋳造すると、浸漬ノズル内管部
にアルミナが付着してノズル詰まり等が発生する。本発
明の急拡大管ストレート浸漬ノズルでは、吐出口が拡大
しているので、ノズル詰まりを解消でき、多連鋳が可能
となり、また溶鋼流の偏流によるパウダー巻き込み原因
の気泡性欠陥およびアルミナトラップによる介在物原因
の内質不良を解消することができる。
【0019】さらに、従来のオープンキャスティング方
式では、小断面の鋳片に適用できないが、本発明の急拡
大管ストレート浸漬ノズルでは、小断面のスラブ,ブル
ーム等にも適用できる。また、従来のストレート浸漬ノ
ズル方式のように、高価な静磁場発生装置を必要としな
い。さらに、Arガスに起因する問題、溶鋼酸化防止不
足による介在物生成やArガストラップによるスラブ表
面欠陥を解消することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示する一実施
例に基づいて詳細に説明する。図1に、この発明に係る
連続鋳造においてストレート浸漬ノズルを使用して溶鋼
を注入する例を示す。図2に、この発明に係るストレー
ト浸漬ノズルの形状を示す。
【0021】図1において、タンディッシュ1の下には
スライディングノズル装置2とストレート浸漬ノズル3
が設けられており、取鍋から中間容器としてのタンディ
ッシュ1内に注入された溶鋼は、タンディッシュ1の底
部に設けた上ノズル5、スライディングノズル装置2の
スライディングノズル孔6、ストレート浸漬ノズル3の
溶鋼流路7を介して水冷鋳型4内の溶鋼湯面下に注入さ
れる。
【0022】スライディングノズル装置2は、上ノズル
5に接合される固定の上プレート8と、油圧シリンダ1
1により摺動するスライドプレート9と、ストレート浸
漬ノズル3が接合される固定の下プレート10とからな
り、油圧シリンダ11でスライドプレート9の開度を調
整することにより、溶鋼流量が鋳造速度や鋳片サイズな
どに応じて制御される。なお、水冷鋳型4内に注入され
た溶鋼は、水冷鋳型4による一次冷却により鋳片表面に
凝固シェルが形成され、続くガイドロール群におけるス
プレー水等により二次冷却されて凝固が促進され、完全
凝固した鋳片が引き抜かれる(図示省略)。
【0023】このような構成において、本発明では、上
下に貫通する溶鋼流路7を有するストレート浸漬ノズル
3を、上部および中間部の基端側ストレートノズル孔7
aの内径に対して下部の先端部ストレートノズル孔7b
の内径が急拡大する急拡大管ストレート浸漬ノズルとす
る。基端側ストレートノズル孔7aの断面積をA1
し、先端部ストレートノズル孔7bの断面積をA2 とす
ると、断面積比(A2/A1)は、前述した理由から1.5
〜2.0の範囲とするのが好ましい。
【0024】溶鋼注入に際しては、拡大した断面積A2
の先端部ストレートノズル孔7bが溶鋼湯面下に埋没し
ないように設定する。図1のB寸法は、前述した理由に
より50〜100mm程度とする。
【0025】以上のような構成において、スラブ用連続
鋳造機において本発明の急拡大管ストレートノズル3
(断面積比(A2/A1)=1.8)を使用して中炭材のア
ルミキルド鋼の鋳造実験を行った。この時の鋳造条件
は、 鋳造鋳型サイズ:厚み300mm,幅700mm タンディッシュの溶鋼過熱分:26〜38 °C 溶鋼スループット:1.5 ton/min であった。
【0026】図4にスラブ表面のピンホール発生個数の
結果を示す。比較のために単純ストレートノズル,断面
積比(A2/A1)<1.5の急拡大管ストレートノズル
3,2孔浸漬ノズル(逆Y字型)を使用した場合も示し
た。この図4から、単純ストレートノズルと断面積比
(A2/A1)<1.5の急拡大管ストレートノズル3とで
は顕著な差はないが、本発明の断面積比(A2/A1)≧
1.5の急拡大管ストレートノズル3では、溶鋼流速抑
制の結果、ピンホール発生個数を大幅に低減でき、従来
の2孔浸漬ノズルと同等レベルとなっている。
【0027】一方、従来の2孔浸漬ノズルにより鋳造し
たスラブは、一般的に鋳片コーナー部に凝固遅れが生
じ、コーナー部に凝固遅れが生じると鋳片コーナーの縦
割れ疵等となって現れ、有害疵となる。図5に凝固遅れ
指数の結果を示す。この凝固遅れ指数は、鋳造後の鋳片
の横断面を研磨し、酸洗後のホワイトラインのくびれ程
度で評価した。この図5から明らかなように、本発明の
断面積比(A2/A1)≧1.5の急拡大管ストレートノズ
ル3を使用することにより、吐出口からの溶鋼流が下向
き鉛直となり、凝固遅れ指数を半減させることができ
た。
【0028】また、図6に、浸漬ノズル詰まりの結果を
示す。浸漬ノズル詰まりの指標の条件として、1タンデ
ィッシュ当たり500分以上の鋳造時間において、アル
ミナ付着原因によりスライディングゲートの開度が鋳造
開始から鋳造末期まで20%変化した場合を指標とし
た。図6からも明らかなように、急拡大管ストレートノ
ズル3を使用することにより、浸漬ノズル詰まりが激減
し、タンディッシュ当たりの連々指数もアップし、また
耐火物のコスト合理化も大きく改善された。
【0029】なお、急拡大管ストレートノズル3は、図
2(a)に示す形状に限らず、図2(b)に示すよう
に、基端側ストレートノズル孔7aの内径から先端に向
かって漸次内径が増加するテーパー形状の先端部ストレ
ートノズル孔7b’としてもよい。浸漬ノズル内の溶鋼
の流れを円管内の流体として考えた場合、流体の流速は
吐出孔の断面積に律速されるので、断面積が拡大する形
状であればその他の形状でもよい。
【0030】
【発明の効果】前述の通り、この発明は、ストレート浸
漬ノズルに、浸漬ノズルの内部を貫通する溶鋼流路の基
端側内径に対して先端部内径が拡大したストレート浸漬
ノズルを使用し、このストレート浸漬ノズルを前記拡大
部分が冷却鋳型内の溶鋼湯面下に埋没しないように配置
して溶鋼を冷却鋳型内に注入するように構成したため、
次のような効果を奏する。
【0031】(1) 比較的簡単な構造のストレート浸漬ノ
ズルを用いて、溶鋼流が鋳片内部の未凝固部の奥深く侵
入するのを抑制することができ、溶鋼内気泡・溶鋼内介
在物の浮上促進,鋳片内へのトラップ阻止により、良好
な無欠陥鋳片を製造することができる。
【0032】(2) 吐出孔からの溶鋼流が下向き鉛直とな
り、鋳片コーナー部の凝固遅れが無くなり、鋳片コーナ
ー部の縦割れ疵等を解消することができる。また、鋳片
中央の未凝固部での溶鋼流動を確保でき、中心偏析も軽
減できる。さらに、下向き鉛直の溶鋼流により横方向の
偏流が防止され、偏流に起因するパウダー巻き込み原因
による表面欠陥が減少する。
【0033】(3) 吐出口が拡大しているので、ノズル詰
まりを解消でき、多連鋳が可能となり、また溶鋼流の偏
流によるパウダー巻き込み原因の気泡性欠陥およびアル
ミナトラップによる介在物原因の内質不良を解消するこ
とができる。
【0034】(4) 従来の静磁場発生装置のような高価な
設備を必要としない。また、従来の2孔浸漬ノズルのよ
うに側壁吐出孔を必要とせず、先端吐出孔分のノズル耐
火物の削減およびノズル製作工程の簡略化を図れる。ま
た、多連鋳での連続使用により耐火物コストも低減する
ことができる。これにより、設備コストを大幅に低減で
きる。
【0035】(5) 小断面のスラブ,ブルーム等にも適用
できる。さらに、Arガスに起因する介在物生成やスラ
ブ表面欠陥を解消することができる。
【0036】(6) 以上から、比較的簡単で安価なストレ
ート浸漬ノズルのみを使用して、表面欠陥および内部欠
陥の無い鋳片を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る連続鋳造においてストレート浸
漬ノズルを使用して溶鋼を注入する例を示す断面図であ
る。
【図2】(a)は、この発明に係るストレート浸漬ノズ
ルを示す正面図、(b)はその変形例を示す正面図であ
る。
【図3】溶鋼スループットに対するノズル先端からの到
達距離を本発明と比較例とで比較したグラフである。
【図4】ピンホール発生個数を本発明と比較例とで比較
したグラフである。
【図5】凝固割れ指数を本発明と比較例とで比較したグ
ラフである。
【図6】ノズル詰まり指数を本発明と比較例とで比較し
たグラフである。
【図7】従来のノズルの断面図であり、(a)は2孔浸
漬ノズル、(b)はオープンキャスティングノズル方
式、(c)はストレート浸漬ノズル方式を示す。
【符号の説明】
1…タンディッシュ 2…スライディングノズル装置 3…急拡大管ストレート浸漬ノズル 4…水冷鋳型 5…上ノズル 6…スライディングノズル孔 7…溶鋼流路 7a…基端側ストレートノズル孔 7b…先端部ストレートノズル孔 8…上プレート 9…スライドプレート 10…下プレート 11…油圧シリンダ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬ノズル先端に開口を有するストレー
    ト浸漬ノズルを介して溶鋼を冷却鋳型内に注入し、所定
    の断面形状の鋳片を連続的に製造する連続鋳造方法にお
    いて、 前記ストレート浸漬ノズルに、浸漬ノズルの内部を貫通
    する溶鋼流路の基端側内径に対して先端部内径が拡大し
    たストレート浸漬ノズルを使用し、このストレート浸漬
    ノズルを前記拡大部分が冷却鋳型内の溶鋼湯面下に埋没
    しないように配置して溶鋼を冷却鋳型内に注入すること
    を特徴とする連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 タンディッシュ内の溶鋼を内部の溶鋼流
    路を介して冷却鋳型内に注入し、前記溶鋼流路が浸漬ノ
    ズルの基端から先端まで貫通するストレート浸漬ノズル
    において、前記溶鋼流路の先端部内径を基端側内径より
    拡大させることでノズル先端部に拡大ストレートノ
    ズル孔を形成し、基端側のストレートノズル孔と先端部
    の拡大ストレートノズル孔との境目部分が冷却鋳型内の
    溶鋼湯面よりも上方に位置するようにストレート浸漬ノ
    ズルをタンディッシュ底部に取り付けてなることを特徴
    とするストレート浸漬ノズル。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のストレート浸漬ノズル
    において、浸漬ノズルの基端側のストレートノズル孔
    断面積A1 に対する先端部の拡大ストレートノズル孔
    断面積A2 の比が、(A2 /A1)=1.5〜2.0の範
    囲であることを特徴とするストレート浸漬ノズル。
JP7264065A 1995-10-12 1995-10-12 連続鋳造方法およびそのストレート浸漬ノズル Expired - Fee Related JP3018960B2 (ja)

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