JP5053226B2 - 連続鋳造用タンディッシュ - Google Patents

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本発明は、取鍋から鋳型に溶鋼を供給する際に用いられる連続鋳造用タンディッシュに関する。
鋼の連続鋳造においては、精錬工程で成分と温度を調整された溶鋼は、取鍋により連続鋳造工程に輸送される。輸送された溶鋼は、連続鋳造機の鋳型に注入されるが、取鍋から直接鋳型に注入すると、溶鋼の流量の制御が難しい。またその一方で、取鍋を交換しつつ、鋳型に継続的に溶鋼を供給して、鋳造を連続的に行う必要がある。このため、一般的に、取鍋の溶鋼は、注入ノズルなどを通じて一旦タンディッシュと呼ばれる中間容器内に注入され、タンディッシュ内で流量調整された後、鋳型内に供給されている。
上述のタンディッシュは、種々の形のものが存在するが、舟型のものが多く用いられている。注入ノズルからタンディッシュの中央部に溶鋼が供給され、舟の舳先に相当する両端部の流出口から2つの連続鋳造機の鋳型に耐火物のノズルを通じて溶鋼が流出される。タンディッシュの両端部の流出口には、例えば上下に移動して流出口の開口面積を調整する棒状のストッパーが設けられており、このストッパーによりタンディッシュ内の溶鋼の流量制御が行われている。
タンディッシュは、上述のように流量を制御しつつ溶鋼を鋳型に供給する機能を持つほかに、鋼の精錬時に不可避的に混入した酸化物であるスラグや、脱酸のために添加されたアルミから生成されるアルミナなどの非金属介在物を、その比重が鋼の比重よりも小さいことを利用してタンディッシュ内で浮上分離させる機能を有している。これにより、溶鋼中の大量の非金属介在物やスラグがそのまま鋳型内に供給され鋳片に混入することがなく、非金属介在物などが原因で生じる圧延時の疵などを抑制できる。
タンディッシュから鋳型に供給される溶鋼中の介在物は、少なければ少ないほどよい。このため、従来よりタンディッシュにおける介在物の浮上分離機能を向上させるために、タンディッシュ内に堰を設けることが行われている。例えば特許文献1に開示されているように、タンディッシュ内の溶鋼流路の同じ位置に上下方向に上堰と下堰を設け、これら上堰と下堰の間に、最大溶鋼流路断面積の20%以下の開口面積を有し、溶鋼を通過させるためのスリットを形成している。また例えば特許文献2に開示されているように、タンディッシュ内に堰を設けると共に、当該堰の下部に溶鋼を通過させるための貫通孔を形成している。このような堰により、タンディッシュ内の溶鋼の流動を調整して、直接流出口に向かう溶鋼の流れが抑制される。このようにして、介在物を浮上させ易くして、介在物を溶鋼から分離している。
特開2007−90424号公報 特開平5−318051号公報
しかしながら、特許文献1のタンディッシュを用いた場合、定常操業時に溶鋼中の介在物を分離除去できるが、操業を停止した際に、下堰の上流側の溶鋼は、下堰に堰き止められて下流側に流れずタンディッシュ内に残留してしまう。このように下堰の上流側に残留する残溶鋼はその後廃棄されるため、鋼の歩留まり落ちが生じる。
この点、特許文献2のタンディッシュを用いた場合には、堰の下部に貫通孔が形成されているので、操業を停止しても、堰の上流側の残溶鋼が貫通孔を通過して下流側に流れ、タンディッシュ内に残留する残溶鋼を少量に抑えることができる。しかしながら、単に堰の下部に貫通孔を設けただけでは、定常操業時に、タンディッシュ内に供給された溶鋼の一部が貫通孔を通過して直接流出口に流れる場合がある。この場合、溶鋼中の介在物も直接流出口に流れるので、タンディッシュ内で介在物を十分に分離除去することができない。そうすると、介在物を含む溶鋼が鋳型に流れてしまい、最終的に製造される鋼の品質が低下する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、連続鋳造用のタンディッシュにおいて、溶鋼中の介在物を十分に分離除去しつつ、鋼の歩留まりを向上させることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、取鍋からの溶鋼の流入部と鋳型への溶鋼の流出部との間の溶鋼流路には、上堰と下堰が設けられ、前記上堰と前記下堰は、溶鋼流路上の同じ位置に上下方向に配置され、前記上堰と前記下堰との間であって、定常操業時のタンディッシュ内の溶鋼湯面よりも下に、溶鋼が通過するスリットが形成され、前記下堰には、操業停止時に当該下堰の上流側に残存する残溶鋼が通過する排出孔が形成され、前記排出孔の下端とタンディッシュ内底面間の距離は下記式(1)を満たし、かつ、前記排出孔の高さは下記式(2)を満たし、かつ、前記スリット及び前記排出孔の開口面積は下記式(3)を満たすことを特徴としている。なお、下記式(3)における最大の溶鋼流路断面積Sとは、定常操業時における最大流量時の溶鋼流路断面積をいう。
H≧0.1・・・・・(1)
h≦2t・・・・・(2)
≦0.2S≦0.04S・・・・・(3)
但し、H:排出孔の下端とタンディッシュ内底面間の距離(m)、h:排出孔の高さ(m)、t:下堰の厚み(m)、S:最大の溶鋼流路断面積(m)、S:スリットの開口面積(m)、S:排出孔の開口面積(m
発明者らは、排出孔をタンディッシュの底部よりある程度上方に形成すれば、定常操業時に、従来のようにタンディッシュ内に供給された溶鋼が直接排出孔を通過しなくなると考えた。そこで、このような排出孔の条件として、上記式(1)〜式(3)を実験等により導出した。これら式(1)〜式(3)の詳細については後述する。このように上記式(1)〜式(3)を満たす排出孔を形成した本発明によれば、定常操業時において、流入部から供給された溶鋼が上下方向の上堰と下堰によって下流側への流れを阻まれて、上堰と下堰の上流側で滞留し攪拌される。これにより、溶鋼中の微小な介在物が凝集粗大化し、その一部は浮上して除去される。その後、溶鋼は、スリットを通過し整流化され、その溶鋼中に含まれる粗大化した介在物は、流出部に至るまでの間に浮上し分離される。また、この定常操業時において、流入部から供給された溶鋼は、上述のように上堰と下堰の上流側で攪拌されるが、下堰の中央部に形成された排出孔の上流側の溶鋼は、下堰に沿って上昇する。そうすると、ベルヌーイの定理により排出孔の上流側の溶鋼は下流側の溶鋼よりも圧力が低くなるため、上流側の溶鋼が排出孔を通過して下流側に流出することはない。また、排出孔の上流側と下流側の溶鋼の圧力差が大きくなると、排出孔の下流側から上流側への溶鋼の逆流が発生し、上流側の溶鋼が排出孔を通過して下流側に流出するのを確実に防止できる。これにより、定常操業時に、溶鋼中の介在物が排出孔を通過して下流側に流れ出ることがなく、スリットのみから溶鋼を下流側に流出させて、溶鋼中の介在物を十分に分離除去することができる。その後、操業を停止すると、上堰と下堰の上流側での溶鋼の攪拌が停止する。そして、排出孔の上流側の溶鋼の上昇流が消滅し、排出孔の上流側と下流側の溶鋼の圧力差がなくなる。そうすると、下堰に堰き止められて上流側に残存する残溶鋼の大部分が排出孔を通過して下流側に流れる。したがって、操業停止後に下堰の上流側に残留する残溶鋼を従来よりも極めて少量にすることができ、鋼の歩留まりを向上させることができる。
前記上堰の上流側の側面が、前記下堰の上流側の側面よりも上流側に張り出していてもよい。
前記排出孔は、前記下堰の幅方向(タンディッシュ内における溶鋼流路、すなわちタンディッシュ内における流入部から流出部へと向かう流路と直交する方向)の中央部に形成されるのが好ましい。
本発明によれば、溶鋼中の介在物を十分に分離除去しつつ、鋼の歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるタンディッシュ1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。図2は、タンディッシュ1の横断面の説明図である。
例えばタンディッシュ1は、図1及び図2に示すように外形が水平方向に長い細長形状に形成され、内部に溶鋼Mを貯留できる。例えばタンディッシュ1の中央付近の天井面1aには、流入部としての注入ノズル10が下方向に向けて挿入されている。この注入ノズル10により、上方の取鍋11からタンディッシュ1内に溶鋼Mを流入させることができる。タンディッシュ1の端部付近の底面1bには、流出部としての流出口12が形成されている。流出口12には、図示しない連続鋳造機の鋳型に連通するノズル13が接続されている。この流出口12とノズル13により、タンディッシュ1内の溶鋼Mを鋳型に供給できる。タンディッシュ1内には、注入ノズル10から溶鋼Mが流入され、流出口12から排出されるので、注入ノズル10側(上流側)から流出口12側(下流側)に向かって溶鋼Mの流れ(便宜上、溶鋼流路Fと記載する)が形成される。
流出口12の上方には、流量調節棒14が設けられている。流量調節棒14は、上下動して流出口12の開口面積を変えて、タンディッシュ1内の溶鋼Mの流量を調整できる。
タンディッシュ1内であって、注入ノズル10と流出口12との間には、板状の耐火物で構成された上堰20と下堰21が設けられている。上堰20と下堰21は、溶鋼流路F上の同じ位置に上下方向に配置されている。上堰20は、例えばタンディッシュ1の側壁面1cに固定されて、形成されている。これにより、例えば上堰20の上流側で浮上したスラグを上堰20により的確に捕集できる。下堰21は、タンディッシュ1の底面1bに固定され、底面1bから上方向に向けて形成され、上堰20と対向している。これにより、注入ノズル10から供給された溶鋼Mの流れが下堰21により十分に堰き止められるので、流速の速い溶鋼Mがそのまま後述するスリット22に流れ込むことを防止できる。
図1に示すように上堰20と下堰21との間には、溶鋼Mが通過するスリット22が形成されている。スリット22は、定常操業時のタンディッシュ1内の溶鋼Mの湯面Mよりも下に形成されている。なお、後述するように上堰20と下堰21の上流側(注入ノズル10側)で溶鋼Mの攪拌流を十分に発生させるため、スリット22の下端の位置は注入ノズル10の下端の位置よりも上方に設定されるのが好ましい。スリット22は、図3に示すように例えばタンディッシュ1の幅方向の両端部にわたり略長方形又は略台形に形成されている。スリット22は、下記式(4)に示すように、開口面積Sが例えば最大溶鋼流路断面積S(最大流量時の溶鋼流路断面積)の20%以下になるように形成されている。つまり、湯面Mが安定する定常操業時に、上堰20、下堰21及びスリット22の溶鋼Mに浸かる部分の総面積の20%以下になるように、スリット22の開口面積Sが設定されている。スリット22の開口面積Sを最大溶鋼流路断面積Sの20%以下としたのは、本発明者が水モデル実験を行い、スリット22により溶鋼Mの整流化を実現することが可能な上限値であることを確認したことに基いている。
≦0.2S・・・・・(4)
但し、S:最大の溶鋼流路断面積(m)、S:スリット22の開口面積(m
ちなみに、スリット22の開口面積Sの下限値は特に規定するものではないが、鋳型への溶鋼Mの供給を充分に確保する場合は、スリット22の開口面積Sを最大溶鋼流路断面積Sの10%以上とすることが好ましい。
図1及び図3に示すように、例えば下堰21の幅方向(溶鋼流路Fと直交する方向、すなわち図3中のX方向)の中央部には、操業停止時に下堰21の上流側に残存する残溶鋼を下流側に通過させる排出孔23が形成されている。排出孔23は、例えば略長方形に形成されている。排出孔23は、図4及び下記式(1)に示すように、排出孔23の下端とタンディッシュ1の底面1bとの間の距離Hが0.1m以上になるように形成されている。また排出孔23は、下記式(2)に示すように、排出孔23の高さhが下堰21の厚みtの2倍以下になるように形成されている。さらに排出孔23は、図3及び下記式(5)に示すように、排出孔23の開口面積Sがスリット22の開口面積Sの20%以下になるように形成されている。そして上記式(4)と下記式(5)から、最大溶鋼流路断面積S、スリット22の開口面積S及び排出孔23の開口面積Sとの関係は下記式(3)を満たしている。なお、排出孔23の個数は、複数であってもよいが1つであるのが好ましい。また、排出孔23の下端とタンディッシュ1の底面1bとの間の距離Hは0.1m、排出孔23の高さhは0.05m、排出孔23の開口面積Sはスリット22の開口面積Sの20%であることが好ましい。
H≧0.1・・・・・(1)
h≦2t・・・・・(2)
≦0.2S・・・・・(5)
≦0.2S≦0.04S・・・・・(3)
但し、H:排出孔23の下端とタンディッシュ内底面1bとの間の距離(m)、h:排出孔23の高さ(m)、t:下堰21の厚み(m)、S:最大の溶鋼流路断面積(m)、S:スリット22の開口面積(m)、S:排出孔23の開口面積(m
発明者らは、上記式(1)〜式(3)を導出するために、溶鋼と同じ動粘性係数を有し、相似則により溶鋼と同じ流れを再現することができる水モデルを用いて実験を行った。本水モデル実験の際に、下記5つのパラメータを条件(a)〜(e)で変更させて実験を行った。そして、定常操業時に流出口12から流出する介在物の個数が許容範囲となり、かつ、操業停止時に下堰21の上流側に残留する溶鋼が最少量となる条件を確認し、上記式(1)〜式(3)を導出した。
(a)注入ノズル10から供給される溶鋼Mの流量:10、20、30(リットル/s)
(b)排出孔23の下端とタンディッシュ内底面1bとの間の距離H:0.05、0.1、0.15(m)
(c)下堰21の厚みt:
0.05、0.1(m)
(d)排出孔23の高さh:0.05、0.1、0.15、0.2、0.25(m)
(e)スリット22に対する排出孔23の開口面積比S/S:0.15、0.2、0.25
ちなみに、排出孔23の下端とタンディッシュ1の底面1bとの間の距離Hの上限値は特に規定するものではないが、操業停止時に残溶鋼をなるべく少なくするという観点から0.2m以下とすることが好ましい。また、排出孔23の高さhは、排出孔23の開口面積Sと排出孔23の形状により、一義的に決まるため、下限値は特に規定するものではない。さらに、排出孔23の開口面積Sの下限値は特に規定するものではないが、操業停止時において鋳型への溶鋼Mの供給を充分に確保する場合は、0.01m以上とすることが好ましい。
次に、以上のように構成されたタンディッシュ1の作用について説明する。
先ず取鍋11から注入ノズル10を介してタンディッシュ1内に溶鋼Mが供給される。注入ノズル10から供給された溶鋼Mは、注入ノズル10の径よりも広がりつつタンディッシュ1の底面1bに衝突し、下堰21に向かって流れる。そして図5に示すように定常操業時、すなわち溶鋼Mの湯面Mが所定の高さで安定すると、注入ノズル10から供給され下堰21に向かう溶鋼Mは、下堰21に衝突し、湯面Mに向かって上昇流を形成する。溶鋼Mの上昇流の流速は、溶鋼Mが上昇するにつれて減速するため、一部の溶鋼Mがスリット22を通過して下流側へ流出すると共に、残りの溶鋼Mが湯面Mに向かって流れ、上堰20と下堰21の上流側で上下方向に対流し攪拌される。このとき、このような溶鋼Mの攪拌流により、溶鋼M中の微小な介在物が、相互に凝集して、粗大化する。溶鋼M中のスラグの大部分は、上堰20と下堰21の上流側において浮上し上堰20に捕集される。また、凝集粗大化した介在物の一部も、この上堰20と下堰21の上流側において浮上し上堰20に捕集される。
この定常操業時において、排出孔23の上流側では、図6に示すように、上述した攪拌流により、下堰21に沿って上昇する溶鋼Maの上昇流が発生する。そうすると、ベルヌーイの定理により排出孔23の上流側の溶鋼Maの圧力が下流側の溶鋼Mbの圧力よりも低くなり、下流側の溶鋼Mbが排出孔23を通過して上流側に流れる逆流が生じる。したがって、この逆流により上流側の溶鋼Maは排出孔23を通過して下流側に流出しない。つまり、上流側の溶鋼Ma中に含まれる介在物が下流側に流出することがない。なお、排出孔23の上流側と下流側の圧力差が小さく、下流側の溶鋼Mbの逆流が発生しない場合であっても、上流側の溶鋼Maの圧力が下流側の溶鋼Mbの圧力より低いため、少なくとも溶鋼Maが排出孔23を通過して下流側に流出することはない。
このように上堰20と下堰21の上流側の溶鋼Mは、スリット22のみを通過し整流化されて下流側に流れる。溶鋼M中の凝集粗大化された介在物は、溶鋼Mとの比重差が大きくなっており、スリット22から流出口12に到達するまでの間に浮上し分離される。スリット22を通過した少量のスラグも浮上し分離される。
介在物とスラグが除去された溶鋼Mは、流出口12から流出し、ノズル13を通じて連続鋳造機の鋳型に供給される。
その後、注入ノズル10からの溶鋼Mの供給を止め操業を停止すると、上堰20と下堰21の上流側の攪拌が停止する。そして、排出孔23の上流側の溶鋼Maの上昇流が消滅し、排出孔23の上流側の溶鋼Maと下流側の溶鋼Mbとの圧力差がなくなる。そうすると、操業停止後に、図7に示すように上堰20と下堰21の上流側に残存する残溶鋼Nの湯面Nがスリット22よりも下方になっても、排出孔23よりも上方の残溶鋼Nは、排出孔23を通過して下流側に流れ、流出口12から鋳型に流出する。
以上の実施の形態によれば、タンディッシュ1内に、上堰20と下堰21を上下に配置し、上堰20と下堰21との間にスリット22を形成した。これにより、定常操業時に、上堰20及び下堰21の上流側において、溶鋼Mの介在物が攪拌されるので、微小な介在物を凝集粗大化でき、その一部を浮上させて上堰20で捕集することができる。また、スリット22により溶鋼Mの流れを整流化できるので、スリット22から流出口12までの間に、粗大化した介在物を浮上させ分離することができる。また、この定常操業時において、排出孔23の上流側の溶鋼Maは下堰23に沿って上昇するので、排出孔23において、上流側の溶鋼Maは下流側の溶鋼Mbよりも圧力が低くなり、下流側の溶鋼Mbは上流側へ逆流する。これにより、上流側の溶鋼Ma中の介在物が排出孔23を通過して下流側に流出することがなく、スリット22のみから溶鋼Mを下流側に流出させて、溶鋼M中の介在物を十分に分離除去することができる。したがって、鋳型に介在物が入り込むことを防止でき、品質要求のより高い製品を製造することができる。
また、操業停止時においては、上堰20と下堰21の上流側の攪拌が停止し、排出孔23の上流側の溶鋼Maの上昇流と下流側の溶鋼Mbの逆流が消滅する。これにより、下堰21の上流側に残存する残溶鋼Nの大部分が排出孔23を通過して下流側に流出する。したがって、操業停止後に下堰21の上流側に残留する残溶鋼Nを従来よりも極めて少量にすることができるため、従来廃棄していた残溶鋼Nを有効に利用することができ、鋼の歩留まりを向上させることができる。
さらに、排出孔23が下堰21の幅方向の中央部に形成されていると、排出孔が下堰の端部に形成される場合に比べて、定常操業時に発生する排出孔23の上流側の溶鋼Maの上昇流の流速が速くなるため、好ましい。つまり、注入ノズル10がタンディッシュ1の幅方向の中央部に設けられているため、これに対応して下堰21の排出孔23が下堰21の幅方向の中央部に形成されていることにより、排出孔23の上流側の溶鋼Maと下流側の溶鋼Mbの圧力差がより大きくなる。これにより、定常操業時に下流側の溶鋼Mbの逆流を確実に発生させることができ、上流側の溶鋼Maが排出孔23を通過して下流側に流出するのを確実に防止することができる。
以上の実施の形態では、上堰20と下堰21が同じ厚みで形成されていたが、図8に示すように上堰20が下堰21よりも厚く、上堰20の上流側の側面20aが下堰21の上流側の側面21aよりも上流側に張り出していてもよい。かかる場合、注入ノズル10から下方向に向けて流入した溶鋼Mが下堰21に沿って上昇し、上堰20の下端面に衝突する。衝突した溶鋼Mは、注入ノズル10側に向かって流れて対流する。このように、溶鋼Mの上昇流が弱められるので、例えば注入ノズル10から溶鋼Mが高速供給された場合にも、湯面Mを穏やかな状態に保ち、上昇流による湯面M付近のスラグの巻き込みを抑制できる。
長さ7m、幅1.5m、深さ1mの2ストランド用タンディッシュを用いて、下記の種々の条件において、定常操業時にタンディッシュを通過して鋳型に流出した溶鋼中の非金属介在物の個数と、操業停止時にタンディッシュ内に残留する残溶鋼量とを調査する実験を行った。なお、本実施例において、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を供給する注入ノズルの径は、0.2mである。
本実施例では、図9に示すように下堰21に排出孔を形成しないタンディッシュ100を用いた場合と、先に図1に示したように下堰21に排出孔23を形成したタンディッシュ1を用いた場合の2通りの条件で実験を行った。なお、タンディッシュ100の構成は、排出孔の有無以外のタンディッシュ1の構成と同一であるので、説明を省略する。これらタンディッシュ1とタンディッシュ100のスリット22の開口面積は、共に最大溶鋼流路断面積の20%とし、上記式(3)の右不等式を満たしている。また下堰21の厚みtが0.2mのものを用いたため、排出孔23が形成されたタンディッシュ1において、排出孔23は、その高さhが上記式(2)を満たす0.1mの矩形断面で形成した。またスリット22に対する排出孔23の開口面積比S/Sとしては、15%、20%、25%の3通りの条件で実験を行った。さらにタンディッシュ1の底面1bと排出孔23の下端との間の距離Hとしては、0m、0.05m、0.1m、0.15mの4通りの条件で実験を行った。
そして、非金属介在物の個数の調査では、鋳型内の溶鋼サンプル100gを電解抽出法により非金属介在物のみを抽出し、直径が75〜125μmの非金属介在物の個数を計測した。本実施例では、直径75〜125μmの非介在物が鋼の品質に悪影響を及ぼすことを、通常の操業で確認していたことから、かかる直径の非介在物の個数を計測した。また、残溶鋼量の調査では、操業停止後、溶鋼が鋳型に流出しなくなった状態でタンディッシュ内に残留する残溶鋼量を計測した。
以上の条件で実験を行った結果を表1に示す。表1中、下堰に形成された排出孔の条件が上記式(1)及び式(3)を共に満たしていれば「○」が示され、式(1)又は式(3)のいずれかを満たしていなければ「×」が示されている。なお、上述したように上記式(2)及び式(3)の右不等式については、試験No.1〜No.8のすべての条件において満たされている。また、表1中の介在物個数指標は、排出孔を設けない場合(試験No.1)の非金属介在物の個数を1として、各条件における非金属介在物の個数の比率を示している。表1中の残溶鋼比は、排出孔を設けない場合(試験No.1)の残溶鋼量を1として、各条件における残溶鋼量の比率を示している。
表1を参照すると、排出孔を設けた場合(試験No.2〜No.8)には、残溶鋼比が0〜0.21であった。これによって、下堰に排出孔を設けた場合、操業停止時の残溶鋼量を極めて少量にすることができ、鋼の歩留まりを向上させることができることが分かった。
しかしながら、試験No.2及びNo.3では、排出孔の面積比S/Sは上記式(3)を満たしているが、排出孔の底面からの距離Hが上記式(1)を満たしていない。また、試験No.8では、排出孔の底面からの距離Hは上記式(1)を満たしているが、排出孔の面積比S/Sが上記式(3)を満たしていない。このように、上記式(1)又は式(3)のいずれかを満たしていない場合、介在物個数指標は2〜5であった。すなわち、定常操業時に溶鋼が排出孔を通過して下流側に流れ、溶鋼中の介在物が増加したことが分かった。
これに対して、試験No.4〜No.7では、排出孔が上記式(1)及び式(3)を共に満たしている。この場合、介在物個数指標は1であった。すなわち、排出孔の下流側から上流側への溶鋼の逆流が発生し、排出孔から介在物を含む溶鋼が下流側に流れ出ないため、溶鋼中の介在物を十分に除去することができた。以上のことから、排出孔が上記式(1)〜式(3)のすべてを満たす場合、定常操業時の溶鋼中の介在物を十分除去しつつ、操業停止時の残溶鋼を極めて少量にして、鋼の歩留まりを向上できることが分かった。
Figure 0005053226
本発明は、連続鋳造用のタンディッシュを用いて、取鍋から鋳型に溶鋼を供給
する際に有用である。
本実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 本実施の形態にかかるタンディッシュの横断面の説明図である。 上堰、下堰、スリット及び排出孔を側面から見たタンディッシュの縦断面の説明図である。 排出孔の寸法及び位置を示したタンディッシュの縦断面の説明図である。 定常操業時のタンディッシュ内の溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 定常操業時の排出孔付近の溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 操業停止時のタンディッシュ内に残存する残溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 上堰を下堰よりも上流側に張り出させた場合のタンディッシュの縦断面の説明図である。 実施例において、下堰に排出孔を形成しない場合のタンディッシュの縦断面の説明図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
10 注入ノズル
11 取鍋
12 流出口
13 ノズル
14 流量調節棒
20 上堰
21 下堰
22 スリット
23 排出孔
M 溶鋼
F 溶鋼流路

Claims (3)

  1. 鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、
    取鍋からの溶鋼の流入部と鋳型への溶鋼の流出部との間の溶鋼流路には、上堰と下堰が設けられ、
    前記上堰と前記下堰は、溶鋼流路上の同じ位置に上下方向に配置され、
    前記上堰と前記下堰との間であって、定常操業時のタンディッシュ内の溶鋼湯面よりも下に、溶鋼が通過するスリットが形成され、
    前記下堰には、操業停止時に当該下堰の上流側に残存する残溶鋼が通過する排出孔が形成され、
    前記排出孔の下端とタンディッシュ内底面間の距離は下記式(1)を満たし、
    かつ、前記排出孔の高さは下記式(2)を満たし、
    かつ、前記スリット及び前記排出孔の開口面積は下記式(3)を満たすことを特徴とする、連続鋳造用タンディッシュ。
    H≧0.1・・・・・(1)
    h≦2t・・・・・(2)
    ≦0.2S≦0.04S・・・・・(3)
    但し、H:排出孔の下端とタンディッシュ内底面間の距離(m)、h:排出孔の高さ(m)、t:下堰の厚み(m)、S:最大の溶鋼流路断面積(m)、S:スリットの開口面積(m)、S:排出孔の開口面積(m
  2. 前記上堰の上流側の側面が、前記下堰の上流側の側面よりも上流側に張り出していることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  3. 前記排出孔は、前記下堰の幅方向の中央部に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
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