JP2008254051A - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Katsuhiro Fuchigami
勝弘 淵上
Masamitsu Wakao
昌光 若生
Kiyoshi Shigematsu
清 重松
Kazumasa Takezaki
一誠 竹崎
Takayuki Shiragami
孝之 白神
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Abstract

【課題】操業性の低下やコストの増加を招くことなく取鍋交換時の溶鋼の清浄性を向上させることが可能な連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】定常状態でのタンディッシュ内溶鋼量Wが、連続鋳造機への溶鋼供給速度Q[ton/min]の6倍以上を維持するように溶鋼を注入し、取鍋内の溶鋼高さが50cm以下になる時点から、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度が下記(式1)を満たすようにして注入を終了し、後鍋注入開始時に再び耐火物製ノズルをタンディッシュ溶鋼内に浸漬する際に、耐火物製ノズル浸漬深さが100mm以上となるように確保するとともに、浸漬時のタンディッシュ内溶鋼量Wminが下記の(式2)を満足し、かつ、定常状態での溶鋼量との差ΔWが下記の(式3)を満足するようにする。
Q/h<0.5 ・・・(式1)
Wmin>3×Qm ・・・(式2)
ΔW>3×Qm ・・・(式3)
【選択図】図8

Description

本発明は、連続鋳造方法に関する。
取鍋から中間容器であるタンディッシュを介して鋳型へ溶鋼が供給される連続鋳造法は、生産性の観点から有利であるため、一般的に行なわれている鋳造方法である。連続鋳造法は、例えば図11に示したように、取鍋10内の溶鋼16を、取鍋10に設けられた耐火物製ノズル12を介してタンディッシュ20へと供給し、タンディッシュ20から鋳型30、32へと溶鋼を供給することで、鋳造が行なわれる。
複数の取鍋10内の溶鋼を連続的に鋳造(連々鋳)を行なうためには、取鍋10内の溶鋼16の残存量に応じて、取鍋10を交換する必要があるが、従来の連続鋳造法では、図11に示したように、後鍋(交換後の取鍋)注入開始時に耐火物製ノズル12の先端部14がタンディッシュ20中の溶鋼(以下、タンディッシュ溶鋼とも称する。)内に浸漬していないため、先端部14から吐出される溶鋼16の流れがタンディッシュ20内の溶鋼上に浮遊しているスラグを巻き込んでしまい、鋳造された鋳片中の介在物が多くなるという問題があった。
この取鍋交換前後での清浄性の悪化を改善するために、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を供給する耐火物製ノズルを、タンディッシュ中の溶鋼(以下、タンディッシュ溶鋼とも称する。)内へ浸漬することで、タンディッシュの溶鋼表面に浮遊しているスラグの巻き込みを防止することが行なわれている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
また、耐火物製ノズルをタンディッシュ溶鋼内に浸漬させるだけでなく、タンディッシュ溶鋼中のスラグの浮上除去を促進するために、タンディッシュ中に堰や特殊な介在物吸収用のフィルター等を設置することも行なわれている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開平07−236949号公報 特開平07−214252号公報 特開平07−124717号公報
しかしながら、耐火物製ノズルをタンディッシュ溶鋼内に浸漬することで、清浄性向上の効果は見られたものの、堰の設置や特殊な介在物フィルターの設置は、補修作業の増加等に伴う操業性の低下や、コストの増加を招くという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、連々鋳を行うに際して、操業性の低下やコストの増加を招くことなく、取鍋交換時の溶鋼の清浄性を向上させることが可能な、新規かつ改良された連続鋳造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明者らは鋭意研究を行なった結果、後鍋の溶鋼注入初期におけるタンディッシュの溶鋼高さが回復する時期は、タンディッシュ溶鋼内の介在物の浮上を促進している時期であることを見いだし、前鍋(すなわち、交換前の取鍋)注入末期の溶鋼注入速度の制御および後鍋の溶鋼注入初期における溶鋼高さの回復期を有効活用することが重要であることに想到した。
そこで、上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、耐火物製ノズルをタンディッシュの溶鋼内に浸漬した状態で、溶鋼を取鍋から前記タンディッシュに対して注入する連続鋳造方法において、定常状態における前記タンディッシュ内の溶鋼量Wが、前記連続鋳造機への溶鋼供給速度Q[ton/min]の6倍以上を維持するように前記耐火物製ノズルから前記タンディッシュ内に溶鋼を注入し、前記取鍋内の溶鋼高さが50cm以下になる時点から、前記取鍋から前記タンディッシュへの溶鋼供給速度が下記(式1)を満たすようにして前記溶鋼の注入を終了し、その後、後鍋注入開始時に再び前記耐火物製ノズルを前記タンディッシュ内に残留している溶鋼内に浸漬する際に、前記耐火物製ノズルのノズル先端にスラグ混入防止用の板を付けて溶鋼に浸漬する時の浸漬深さが100mm以上となるように確保するとともに、前記浸漬時の前記タンディッシュ内溶鋼量Wminが下記の(式2)を満足し、かつ、定常状態での溶鋼量との差ΔWが下記の(式3)を満足することを特徴とする連続鋳造方法が提供される。
Figure 2008254051
ここで、上記の式1〜式3において、
Q :取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度[ton/min]
Qm :タンディッシュから連続鋳造機への溶鋼供給速度[ton/min]
h :取鍋内の溶鋼高さ[cm]
Wmin:取鍋交換時のタンディッシュ内の最低溶鋼量[ton]
ΔW :定常状態でのタンディッシュ内溶鋼量と最低溶鋼量との差[ton]
である。
また、上記のタンディッシュ内に、耐火物製の堰を設置してもよい。
本発明によれば、操業性の低下やコストの増加を招くことなく、取鍋交換時の溶鋼の清浄性を向上させることが可能である。
従来の連続鋳造方法では、前鍋の溶鋼注入が終了し、後鍋の溶鋼注入開始時にスラグ巻き込みが起こることで、取鍋交換時の鋳造鋳片の清浄性が悪化するものと考えられてきた。そのため、従来の連続鋳造法では、上記の特許文献1や特許文献2に記載のように、耐火物製ノズルの浸漬深さや後鍋の溶鋼注入速度を制御するという発想の基で、連続鋳造方法の制御が行なわれてきた。
しかしながら、本願発明者らが鋭意研究を行なった結果、(1)後鍋の溶鋼注入初期におけるタンディッシュの溶鋼高さの回復期は、介在物の浮上を促進している時期であること、および、(2)耐火物製ノズルの浸漬深さを所定の範囲に制御しておけば、介在物の巻き込みの影響はほとんど無く、前鍋注入末期に取鍋からタンディッシュに流入し、タンディッシュ溶鋼内に漂っている介在物が、取鍋交換時における清浄性の悪化の原因であること、を見いだした。そこで、本願発明者らは、前鍋注入末期の溶鋼注入速度を制御し、後鍋の溶鋼注入初期における溶鋼高さの回復期を有効に活用することで、取鍋交換時における清浄性を向上させることが可能であることに想到した。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造方法について説明する前に、本実施形態に係る連続鋳造方法で用いられる装置について、図1を参照しながら、簡単に説明する。
(連続鋳造方法に用いられる装置の構成)
本実施形態に係る連続鋳造方法に用いられる装置として、例えば図1(a)に示したように、取鍋100と、タンディッシュ200と、連続鋳造機(連鋳機)である鋳型300、302とがある。
取鍋100は、転炉から運ばれた溶鋼が供給される容器であり、取鍋100内に貯えられた溶鋼106を後述するタンディッシュ200に供給する。取鍋100の底部には、耐火物製ノズル102が設けられており、取鍋100内の溶鋼106は、耐火物製ノズル102を介してタンディッシュ200へと供給される。なお、タンディッシュ200へ溶鋼106を供給する際には、耐火物製ノズル102の先端部104は、タンディッシュ200内に存在する溶鋼106中に浸漬される。
なお、耐火物製ノズル102の先端部104には、例えば図1(b)に示したようなスラグ混入防止板(いわゆる、陣笠)105が取り付け可能である。スラグ混入防止板105は、取鍋100の交換時に、耐火物製ノズル102をタンディッシュ溶鋼に再び浸漬する際に、タンディッシュ溶鋼内に存在するスラグがノズルの先端部104からノズル102内に混入しないように防止する板である。このスラグ混入防止板105は、薄い金属板で形成され、タンディッシュ溶鋼に浸漬されると、溶鋼により溶融して消失する。
タンディッシュ200は、取鍋100と後述する鋳型300、302との間に設けられ、取鍋100から供給された溶鋼106を溜めて、介在物を除去するための中間容器である。連続鋳造を行なうために、タンディッシュ200内には、常に所定量以上の溶鋼106が存在している。また、タンディッシュ200には、堰板を設けて耐火物製ノズル102から注入された溶鋼の流れを上向きにし、介在物を浮上させるようにしてもよい。また、堰板に介在物吸収フィルターを設置し、介在物を吸収させてもよい。堰板は、タンディッシュ200の底面から立設されていてもよく、タンディッシュ200の上部から必要時に堰板を浸漬するようにしてもよい。
また、タンディッシュ200の底部には、溶鋼供給ノズル202、204を介して、例えば2つの鋳型300、302が設けられており、タンディッシュ200内に貯えられている溶鋼106が、これらの鋳型300、302に注入される。鋳型300、302は、タンディッシュ200から供給された溶鋼106の側面を凝固させ、鋳型300、302の底部から送出するための容器である。
(連続鋳造方法について)
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係る連続鋳造方法について、詳細に説明する。図2は、タンディッシュ(TD)200中の溶鋼量に着目して、連続鋳造方法を説明するための説明図である。図2の縦軸は、タンディッシュ200内の溶鋼量であり、図2の横軸は、経過時間である。
まず、最初の取鍋100(図2における1鍋目の取鍋)が所定の位置にセットされると、取鍋100内の溶鋼106が耐火物製ノズル102を介して、タンディッシュ200内に供給され、タンディッシュ200からは連続的に鋳型300、302へ溶鋼が供給される。この際、取鍋100からタンディッシュ200に供給される溶鋼量は、タンディッシュ200から鋳型300、302へ供給される溶鋼量よりも多いため、タンディッシュ200内の溶鋼量は増加していく(ステップS101)。
タンディッシュ200内の溶鋼量がタンディッシュ200の容量やタンディッシュ200から鋳型300、302へのスループット量等で規定される溶鋼量に達した後は、タンディッシュ200内の溶鋼量を一定に保つように取鍋100から溶鋼106が供給される(ステップS103:定常状態)。この定常状態におけるタンディッシュ中の溶鋼量は、例えば、鋳型300および鋳型302への合計スループット量の6倍以上であることが必要である。なお、以下の説明では、定常状態におけるタンディッシュ内の溶鋼量を、Wと表すこととする。
1鍋目の取鍋に存在した溶鋼が全てタンディッシュ200に供給されると、空になった取鍋を新たな取鍋へと交換する必要がある。この鍋交換作業時には、取鍋からタンディッシュ200へ新たな溶鋼106の供給がなく、タンディッシュ200から鋳型300、302に溶鋼が供給されるのみになるため、タンディッシュ200中の溶鋼量は、減少していく(ステップS105)。なお、以下の説明では、取鍋の交換が完了した時点を、鍋交換点と称することとする。また、鍋交換時のタンディッシュの溶鋼量(すなわち、鍋交換点でのタンディッシュの溶鋼量)は、連続鋳造過程における最低容量となるが、以下では、鍋交換点でのタンディッシュの溶鋼量を、Wminと表すこととする。
鍋の交換が完了すると、2鍋目の取鍋から溶鋼が供給され、再びタンディッシュ200内の溶鋼量は増加していき(湯面回復期、ステップS201)、タンディッシュ200内の溶鋼量がWに達すると、以降は、タンディッシュ200内の溶鋼量が一定となるように、溶鋼が取鍋から供給される(ステップS203)。その後、2鍋目の取鍋が空になると、上記と同様に取鍋の交換作業が行われ、この取鍋交換作業中は、タンディッシュ200内の溶鋼量は減少していく(ステップS205)。鍋の交換が完了すると、以下、上記と同様にして、3鍋目(ステップS301〜ステップS305)、4鍋目(ステップS401、403・・・)と連続して鋳造が行なわれる。ここで、上記の湯面回復期とは、鍋交換点から定常状態となるまでの間の期間をいう。
(タンディッシュに介在物が流入する時期について)
本願発明者らは、取鍋100からの溶鋼注入末期における清浄性悪化の原因を探るべく、実機におけるサンプリングを行ない、酸化物等の介在物がタンディッシュに流入する時期を特定することを試みた。図3は、取鍋内の溶鋼の高さとタンディッシュに流入した介在物の量との関係を示したグラフ図である。なお、図3の横軸は、取鍋内溶鋼高さ[cm]を表しており、図3の縦軸は、タンディッシュに流入した介在物指標である。
ここで、タンディッシュに流入した介在物指標とは、取鍋内の溶鋼高さが100cmである場合にタンディッシュに流入した介在物の量の平均を1として指標化した、タンディッシュに流入した介在物の量である。介在物の量は、スライム法を用いて、粒径37μm以上の球形介在物の個数をカウントすることで行なった。なお、球形介在物を指標としたのは、液体状態のスラグが溶鋼中に巻き込まれると、球状の介在物となるためである。
図3に示した例では、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度Q[ton/min]が5ton/minの場合、7.5ton/minの場合、および、10ton/minの場合における介在物指標を示しているが、いずれの溶鋼供給速度の場合でも、取鍋内溶鋼高さが50cm超過の場合には、介在物指標が約1程度であるのに対し、50cm以下となる場合には、介在物指標が増加傾向にあることがわかる。これは、取鍋内溶鋼高さが50cm以下となる場合には、タンディッシュに流入した介在物量が増加することを示している。
図3に示した結果から、タンディッシュに介在物が流入する時期は、取鍋内の溶鋼高さが50cm以下となる時期であることがわかった。
(取鍋交換時の介在物流出挙動について)
続いて、本願発明者らは、取鍋交換時を模擬した水モデル実験を行い、擬似介在物粒子の流出挙動について検討した。水モデル実験は、介在物に見立てた擬似粒子をタンディッシュに流し、タンディッシュから流出した擬似粒子の量を計測する。計測の結果は、タンディッシュ溶鋼量が定常状態の量である場合の流出量を1として、指標化した(介在物指標)。ここで、水モデル実験に用いた擬似粒子は、粒径200μm程度の球状の粒子であり、粒子の比重は約0.9g/cmである。この擬似粒子は、実際の溶鋼の介在物系において、約100μmの粒子に相当するものである。
計測結果を、図4に示す。図4の縦軸は、タンディッシュから鋳型へと流出した擬似介在物粒子の量を指標化したものであり、図4の横軸は、擬似介在物粒子添加後の時間である。図4では、定常状態におけるタンディッシュから鋳型への擬似介在物粒子の流出挙動と、取鍋交換時におけるタンディッシュから鋳型への擬似介在物粒子の流出挙動とを示している。図4を参照すると、介在物流出量が一旦増大し、その後介在物流出量が減少していくという挙動は、定常状態時および取鍋交換時の双方の場合で共通であることがわかった。更に、取鍋交換時を模擬した場合における鍋交換点以降の湯面回復期(すなわち、タンディッシュの溶鋼量が増大している時期)の介在物流出量は、定常状態における介在物流出量よりも少ないことが判明した。
湯面回復期の介在物流出量が定常状態時よりも少ないという結果は、「後鍋の溶鋼注入開始時にスラグ巻き込みが起こり、取鍋交換時に鋳造された鋳片の清浄性を悪化させる」という従来から考えられてきた考察は誤りであることを示している。本願発明者らは、湯面回復期に介在物流出量が少ない理由として、タンディッシュ内の溶鋼全体の流れが上昇流となり介在物の浮上を促進するためであると考えている。この結果から、湯面回復期を有効に活用することで、取鍋交換時に鋳造される鋳片の品質を向上させることが可能であることがわかった。具体的には、耐火物製浸漬ノズルの浸漬深さを深くしてタンディッシュの深部から溶鋼の上昇流が生じるようにするとともに、後鍋注入開始後の湯面回復時間を長くすることで、取鍋交換時に鋳造される鋳片の清浄性を向上可能であることがわかった。
(耐火物製ノズルの浸漬深さについて)
次に、タンディッシュ内の溶鋼への耐火物製ノズルの浸漬深さと介在物の巻き込み量との関係を検討するために水モデル実験を行い、耐火物製ノズルの浸漬深さを変化させて介在物の巻き込み量を計測した。水モデル実験では、タンディッシュ内に溶鋼の代わりに水を送入した上で水面に上記の擬似粒子を浮かべておき、耐火物製ノズルの浸漬深さを変化させて、鋳型に流出する擬似粒子の量を計測した。この際、定常状態時における耐火物製ノズルの浸漬深さである500mmの巻き込み量を1として、各浸漬深さにおける介在物の巻き込み量を指標化した。
計測結果を、図5に示す。図5の縦軸は、タンディッシュから鋳型へと流出した擬似介在物粒子の量を指標化したものであり、図5の横軸は、耐火物製ノズルの浸漬深さ[mm]を表している。なお、浸漬深さの負の数字は、耐火物製ノズルがタンディッシュ内の水に浸漬していない状態、換言すれば、耐火物製ノズルが水面よりも上に存在している状態を表している。
図5を参照すると、耐火物製ノズルの先端部が水面から100mmの高さにある場合(図5の横軸が−100mmの場合)には、介在物の巻き込み量は、定常状態の約4.5倍であることがわかる。また、耐火物製ノズルの先端部が水面に近づくにつれて、介在物の巻き込み量は低下し、耐火物製ノズルの先端部が水面上に存在する場合(図5の横軸が0の場合)では、介在物の巻き込み量は定常状態の約2.5倍であることがわかった。また、耐火物製ノズルの浸漬深さが100mm以上の場合には、巻き込み指標の値はほぼ1となることがわかった。この結果から、耐火物製ノズルの浸漬深さ(耐火物製ノズルの先端部とタンディッシュ内溶鋼表面との距離)が100mm以上となるように維持することにより、介在物の巻き込みは、定常状態と同様の水準を維持可能であることがわかった。
(前鍋注入末期のタンディッシュへの供給速度)
続いて、タンディッシュへの溶鋼の供給速度と介在物の流出挙動との関係を検討するために、取鍋内の溶鋼高さに応じて取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度を変化させて、タンディッシュに流出した介在物の量を計測した。図6は、タンディッシュへの溶鋼供給速度と介在物の量との関係を示したグラフ図である。図6の横軸は、タンディッシュへの溶鋼供給速度Q[ton/min]を取鍋内溶鋼高さ[cm]で割った値[ton/min・cm]であり、図6の縦軸は、同一条件で計測した介在物量指数のうち最大のものを示したものである。
図5を参照すると、Q/hの値が0.5以上の場合には、介在物指標は2を超えるのに対して、Q/hの値が0.5未満の場合には、介在物指標が2程度に漸近している。この結果より、前鍋注入末期の溶鋼供給速度を制御することで、取鍋からタンディッシュへの介在物の流入量を、定常状態の2倍程度に抑制することが可能であることがわかる。
(タンディッシュ溶鋼量と介在物量との関係について)
次に、再び取鍋交換時を模擬した水モデル実験を行い、タンディッシュ内の溶鋼量と、タンディッシュから鋳型へと流出する介在物の量との関係を検討した。ここで、タンディッシュ内の溶鋼量として、鍋交換時におけるタンディッシュ溶鋼量の最低容量であるWminと、定常状態のタンディッシュ溶鋼量WとWminとの差であるΔWに着目した。Wminは、上記の通り、タンディッシュ内溶鋼の最低容量を表す量であるが、最低容量が少なくなりすぎると、タンディッシュ内溶鋼中の介在物が浮上できずに鋳型へと流入してしまい、介在物の巻き込みが増加すると考えられる。また、ΔWが大きいほど、後鍋注入開始時の介在物浮上効果が大きいと考えられる。他方、WminやΔWは、タンディッシュから全ての鋳型へと供給される溶鋼の供給速度Qmにも影響されることから、Wmin/QmやΔW/Qmといった変数を考慮することで、タンディッシュ内の溶鋼量と介在物の量との関係を明らかにすることが可能である。
水モデル実験では、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度Qが5ton/minの場合、7.5ton/minの場合、および、10ton/minの場合のそれぞれについて、ΔW/Qmと介在物指標との関係およびWmin/Qmと介在物指標との関係を検討した。それぞれの結果を、以下の図7および図8に示す。
上述のタンディッシュへの溶鋼の供給速度と介在物の流出挙動との関係から、前鍋の溶鋼注入末期には、取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度を低下させたとしても、タンディッシュに流入した介在物量指数は2程度にしかならない。そのため、取鍋交換時における介在物量を、定常状態における介在物量と同程度以下にするためには、タンディッシュ溶鋼量の制御を行うことで、介在物量を定常状態の0.5倍程度にすることが必要となる。
図7を参照すると、いずれのQの場合においても、ΔW/Qmが3超過の場合には、介在物指標が0.5以下となる場合が存在することがわかった。また、取鍋からの溶鋼供給速度Qが小さいほど、介在物指標が0.5以下となるΔW/Qmの範囲が広くなることもわかった。
図8を参照すると、図7の場合と同様に、いずれのQの場合においても、Wmin/Qmが3超過の場合には、介在物指標が0.5以下となる場合が存在することがわかった。また、取鍋からの溶鋼供給速度Qが小さいほど、介在物指標が0.5以下となるWmin/Qmの範囲が広くなることもわかった。
図7および図8から得られた結果を、縦軸にΔW/Qm、横軸にWmin/Qmをとってまとめたものが、図9である。図9には、定常状態での溶鋼量WとQmとの関係を表す直線も記載してある。図9を参照すると、Wmin/Qが3よりも大きく、かつ、ΔW/Qmが3よりも大きく、かつ、Wが6×Qmよりも大きい場合に、介在物指標が0.5以下となることがわかった。また、上記の3つの条件(Wmin/Qm>3、ΔW/Qm>3、W>6×Qm)のいずれか1つでも満足しない場合は、介在物指標が0.5超過となることがわかった。
これらの知見より、取鍋交換時に鋳造された鋳片の清浄性を向上させるためには、前鍋の溶鋼注入末期には、できるだけ取鍋からの溶鋼供給速度を低下させ、かつ、耐火物製ノズルのタンディッシュへの浸漬深さを100mm以上となるように制御し、かつ、後鍋注入開始後の湯面回復時間を長くすることが必要であることがわかった。すなわち、(1)耐火物製ノズルの浸漬深さを100mm以上で維持する、かつ、(2)W>6×Qm、かつ、(3)Q/h<0.5、かつ、(4)Wmin/Qm>3、かつ、(5)ΔW/Qm>3、の5つの条件が満たされることが必要であることがわかった。
以上説明したように、上記5つの条件を満たすように制御を行なうことで、操業性の低下やコストの増加を招くことなく、取鍋交換時においても鋳造される鋳片の清浄性を向上させることが可能であり、定常状態において鋳造された鋳片と同程度の清浄性を得ることが可能であることがわかった。また、タンディッシュ内に堰を設けることで、更なる清浄性の向上を図ることが可能である。
以下、実施例および比較例を示しながら、本発明に係る連続鋳造方法について、詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一具体例であって、本発明が以下に示す実施例に規制されるわけではない。
耐火物製ノズルの浸漬深さを100mm以上に維持した上で以下の表1に示す条件で鋳造した鋳片を用いて冷延板を製造し(実施例1〜5および比較例1〜5)、それぞれの冷延板について、探傷試験を行なった。評価は、定常状態において鋳造された鋳片を用いて製造された冷延板の探傷結果の平均値を1として、指標化した。探傷試験の結果は、表1に合わせて記載した。なお、探傷試験に関する指標は、小さいほど結果が良好であったことを示す。また、全体評価も合わせて表1に記載した。
なお、上述の探傷試験では、極間法を用いて磁粉探傷により100μm以上の介在物個数を検出したものである。そして、冷延鋼板のコイルを1m程度に切り出して、切り出したコイル中に含まれる介在物の個数の平均値を計測した。また、評価に際しては、定常状態時に鋳造した鋳片から製造した冷延鋼板のコイルにおける介在物の個数の平均値を1として探傷試験における介在物の個数を指標化し、指標が1.5未満の場合を○、指標が1.5以上のものを×とした。
Figure 2008254051
表1から明らかなように、W>6×Qm、Q/h<0.5、Wmin/Qm>3、ΔW/Qm>3、の4つの条件を満足する実施例1〜5では、冷延鋼板での磁粉探傷結果が、定常状態における探傷結果と同程度の値を示し、全体評価も良好であるのに対し、上記の4つの条件を満足しない比較例1〜5では、磁粉探傷結果が定常状態の倍程度の値を示し、全体評価も不良であることがわかった。また、タンディッシュ内に堰を設けた実施例2および実施例4では、堰を設けなかった実施例1、実施例3、実施例5に比べ、探傷結果が良好であることがわかった。
なお、上記実施例2は、図10に示したように、タンディッシュ200内に上堰206と下堰208の2段堰を設けた場合の例であり、上記実施例4は、タンディッシュ200内に下堰208のみの1段堰を設けた場合の例であり、上記比較例1は、タンディッシュ200内に上堰206のみの1段堰を設けた場合の例である。ここで、図10に示したように、上堰206は、タンディッシュ中央部からの距離Lが2000mm、タンディッシュ下部からの高さHが800mmとなるように設けられており、下堰208は、タンディッシュ中央部からの距離Lが1000mm、タンディッシュ下部からの高さHが400mmとなるように設けられている。
以上のように、本発明に係る連続鋳造方法によれば、操業性の低下やコストの増加を招くことなく、取鍋交換時に鋳造される鋳片の清浄性を、定常状態において鋳造された鋳片と同程度の清浄性とすることが可能である
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の好適な実施形態に係る連続鋳造方法に用いられる装置について説明するための説明図である。 同実施形態に係る連続鋳造方法について説明するための説明図である。 取鍋内溶鋼高さとタンディッシュに流入した介在物の量との関係を示したグラフ図である 取鍋交換時の介在物流出挙動について説明するための説明図である。 耐火物製ノズルの浸漬深さと介在物の巻き込み量との関係を示したグラフ図である。 タンディッシュへの溶鋼供給速度と介在物の量との関係を示したグラフ図である。 タンディッシュ溶鋼量と介在物量との関係を示したグラフ図である。 タンディッシュ溶鋼量と介在物量との関係を示したグラフ図である。 タンディッシュ溶鋼量と介在物量との関係を示したグラフ図である。 タンディッシュ内に設けた堰について説明するための説明図である。 従来の連続鋳造方法に用いられる装置について説明するための説明図である。
符号の説明
100 取鍋
102 耐火物製ノズル
104 先端部
105 スラグ混入防止板
106 溶鋼
200 タンディッシュ
202、204 溶鋼供給ノズル
206 上堰
208 下堰
300,302 鋳型

Claims (2)

  1. 耐火物製ノズルをタンディッシュの溶鋼内に浸漬した状態で、溶鋼を取鍋から前記タンディッシュに対して注入する連続鋳造方法において、
    定常状態における前記タンディッシュ内の溶鋼量Wが、前記連続鋳造機への溶鋼供給速度Q[ton/min]の6倍以上を維持するように前記耐火物製ノズルから前記タンディッシュ内に溶鋼を注入し、前記取鍋内の溶鋼高さが50cm以下になる時点から、前記取鍋から前記タンディッシュへの溶鋼供給速度が下記(式1)を満たすようにして前記溶鋼の注入を終了し、
    後鍋注入開始時に再び前記耐火物製ノズルを前記タンディッシュ内に残留している溶鋼内に浸漬する際に、前記耐火物製ノズルのノズル先端にスラグ混入防止用の板を付けて溶鋼に浸漬する時の浸漬深さが100mm以上となるように確保するとともに、前記浸漬時の前記タンディッシュ内溶鋼量Wminが下記の(式2)を満足し、かつ、定常状態での溶鋼量との差ΔWが下記の(式3)を満足する
    ことを特徴とする連続鋳造方法。

    Q/h<0.5 ・・・(式1)
    Wmin>3×Qm ・・・(式2)
    ΔW>3×Qm ・・・(式3)

    Q :取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給速度[ton/min]
    Qm :タンディッシュから連続鋳造機への溶鋼供給速度[ton/min]
    h :取鍋内の溶鋼高さ[cm]
    Wmin:取鍋交換時のタンディッシュ内の最低溶鋼量[ton]
    ΔW :定常状態でのタンディッシュ内溶鋼量と最低溶鋼量との差[ton]
  2. 前記タンディッシュ内に、耐火物製の堰を設置することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
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CN107282906A (zh) * 2016-04-01 2017-10-24 南京梅山冶金发展有限公司 确定连铸混浇过程的混浇率和时间的实验方法
WO2023157897A1 (ja) * 2022-02-17 2023-08-24 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した鋼材

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