JP7031463B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
またその一方で、取鍋を交換しつつ溶鋼を鋳型に連続的に供給して、鋳造を連続的に行う必要がある。このため、一般的には、取鍋内の溶鋼を、取鍋の底部に取り付けられたロングノズルを介して、取鍋下方に位置するタンディッシュと呼ばれる中間容器内に一旦注入し、このタンディッシュ内で流量調整した後、鋳型内に供給している。
これにより、溶鋼中に存在する介在物がそのまま鋳型内に供給されることを防止して、鋳片に混入されることを防止できるので、介在物が原因で生じる圧延時の疵や割れ等を抑制できる。
この課題を解決する技術として、例えば、特許文献1~3に、ロングノズルの側部に上向きに傾斜する吐出孔を設けて、溶鋼を上向きに吐出させ、タンディッシュ内に上向きの流れを形成する技術が開示されている。これにより、上昇流を形成して介在物の浮上促進が図れ、また、流路を長くすることでタンディッシュ内での溶鋼の滞留時間を確保して介在物の浮上分離ができる。
(1)底部吐出孔を有さず、又は、有して、内部を下方に向けて流れる溶鋼を反転させる底部と、該底部で反転した溶鋼を側方上向きに排出する側部吐出孔を備え、取鍋底部に設けられた有底筒状のロングノズルを用いて、前記取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入するに際し、前記ロングノズルの前記側部吐出孔から側方上向きに吐出する溶鋼により生じる、前記タンディッシュ湯面上の介在物の溶鋼中への巻き込みを抑制する連続鋳造方法であって、
前記側部吐出孔は、前記ロングノズルの軸心を中心として対向する位置に設けられ、前記側部吐出孔の吐出角度θは水平位置を基準として上向きに設定され、
前記ロングノズルによる前記タンディッシュ内への溶鋼の注入を、式(1)と式(2)から求められるUC,Zが0.043未満となるように行うことを特徴とする連続鋳造方法。
UC,Z={(α×W)/(ρ×π×d×x)}×(SSide/SAll)×sinθ ・・・(1)
x=L/sinθ ・・・(2)
ここで、UC,Z(m/s):吐出流の湯面位置での鉛直方向の溶鋼流速、θ(rad):側部吐出孔の吐出角度、x(m):吐出角度θ方向における側部吐出孔から湯面までの距離、α=5:側部吐出孔からの距離xにおける溶鋼流速の減衰定数、W(t/s):取鍋からタンディッシュへの単位時間当たりの溶鋼注入量、ρ(t/m3):溶鋼の密度、d(m):側部吐出孔の半径、SSide(m2):側部吐出孔1つ当たりの面積、SAll(m2):ロングノズルに設けられた全ての吐出孔の総面積、L(m):側部吐出孔の中心から湯面までの鉛直距離、である。なお、全ての吐出孔とは、ロングノズルの底部に吐出孔がある場合は、この底部吐出孔と側部吐出孔を、また、底部吐出孔がない場合は、側部吐出孔のみを指す。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造方法は、取鍋(図示しない)の底部に設けられた有底筒状のロングノズル(以下、単にノズルともいう)10を用いて、取鍋内の溶鋼をタンディッシュ11内に注入する方法である。
一方、底部を備え側部に吐出孔(以下、側部吐出孔ともいう)を有するロングノズルを用いた場合、側部吐出孔からの溶鋼の流れが、タンディッシュ内の湯面を覆う介在物、合成フラックス、また、焼籾等を巻き込み、製造される鋼の品質を悪化させるおそれがある。
以下、詳しく説明する。
この側部吐出孔12は、その開口部の形状が正面視して円形であるが、例えば、正面視して楕円形や多角形(矩形)でもよい。
本実施の形態では、対となる側部吐出孔12がノズル10に2対(合計4つ)設けられているが、1対でもよく、また、3対以上でもよい。なお、側部吐出孔を2対以上の複数対設ける場合は、ノズルの軸心を中心として等角度に設けることが好ましい。
ここで、2対(合計4つ)の側部吐出孔12は、その開口部が全て同一形状で同一面積であるが、異なってもよい
この側部吐出孔12の吐出角度θは、特に限定されるものではないが、水平位置を基準(θ=0)として上向きに、例えば、0超π/6以下の範囲内に設定できる。
ノズルは、底部を有することで、ノズル内を下方へ向けて流れる溶鋼が底部に当たって反転し、ノズル側部に設けられた吐出孔(側部吐出孔12)から吐出する流れを生じさせることができる。このため、ノズルの底部には、底部吐出孔を設けない方がよいが、使用の便宜上、上記した作用効果を妨げない範囲(全ての底部吐出孔の総開口面積が底部の面積よりも小さい範囲)で設けることができる。
本発明者らは、ロングノズル10の側部吐出孔12から吐出された溶鋼のタンディッシュ11湯面での鉛直方向の流速を小さくすれば、湯面上の介在物の巻き込みを抑制できると考えた。
側部吐出孔12から距離x(m)での吐出流の流速UCは、吐出直後の流速と側部吐出孔12の径に比例し、側部吐出孔12からの距離に反比例することが知られている。
従って、吐出流の流速UCは、以下の式(3)のように表わされる。
UC=α×Um×d/x ・・・(3)
ここで、αは溶鋼流速の減衰定数であり、本発明者らの検討の結果、取鍋からタンディッシュ11に注入される溶鋼の場合は、概ねα=5を用いればよいことがわかった。
Um=W/(ρ×π×d2)×(SSide/SAll) ・・・(4)
ロングノズル10の側部吐出孔12から吐出された溶鋼(吐出流)のタンディッシュ11湯面での鉛直方向の溶鋼流速UC,Zは、ロングノズル10の側部吐出孔12の吐出角度θ(rad)から式(5)で表わされる。
UC,Z=UC×sinθ ・・・(5)
UC,Z={(α×W)/(ρ×π×d×x)}×(SSide/SAll)×sinθ ・・・(1)
なお、吐出角度θ方向における側部吐出孔12から湯面までの距離x(m)は、側部吐出孔12の中心から湯面までの鉛直距離(ロングノズルの浸漬深さ)L(m)と、側部吐出孔12の吐出角度θ(rad)とから、次の式(2)で表わされる。
x=L/sinθ ・・・(2)
まず、側部吐出孔12の吐出角度θ方向における、側部吐出孔12(図1中のP1:以下、同様)から湯面(図1中のP2)までの距離xを、側部吐出孔12の吐出角度θと、ロングノズル10の浸漬深さLとを用いて、前記した式(2)により求める。
この図2は、2対(合計4個)の側部吐出孔が設けられたロングノズルを用いて行った水モデル試験の結果であり、具体的には、介在物を模擬した粒子をロングノズルに供給し、タンディッシュから排出される粒子の個数を測定することで、介在物の流出率を評価した結果である。なお、図2の横軸が溶鋼流速UC,Zを、縦軸が介在物個数指数を、それぞれ示しており、縦軸については、側部吐出孔が設けられていない円筒状(底無し)のロングノズルを使用した際の、排出される水に含まれる上記した粒子の割合を1として図示している。
・側部吐出孔の吐出角度θ:0を超えπ/6以下(rad)
・側部吐出孔の半径d:0.047~0.067(m)
・全吐出孔の総面積SAll:0.036(m2)
・側部吐出孔1つ当たりの面積SSide:0.007~0.014(m2)
・ロングノズルの浸漬深さL:0.3(m)
・側部吐出孔からの溶鋼流速の減衰定数α:5
・スループットW:0.162(t/s)
一方、下限値については、溶鋼流速UC,Zが0.043m/s未満であれば、円筒状のロングノズルを使用した場合よりも良好な結果が得られるため、特に規定していないが、連続鋳造の操業条件(例えば、溶鋼注入量Wやロングノズルの構成等)を考慮すれば、例えば、4.4×10-4m/s以上、更には6.1×10-4m/s以上にすることが好ましい。
また、算出した溶鋼流速UC,Zが0.043m/s以上であれば、スループットWやノズルの浸漬深さLを変更して、溶鋼流速UC,Zが0.043m/s未満となる条件を求める。なお、スループットWやノズルの浸漬深さLを変更できない場合は、溶鋼流速UC,Zが0.043m/s未満となるように、ロングノズルの構成(側部吐出孔の半径d、側部吐出孔の吐出角度θ、1つ当たりの面積SSideや総面積SAll)を予め変更する。
ここでは、表1に示すように、連続鋳造の条件を種々変更し、鋳片品質を調査した結果について説明する。
使用したロングノズルは、1対(合計2つ)もしくは2対(合計4つ)の側部吐出孔が設けられ、その全ての側部吐出孔の開口部の形状は正面視して円形で、同じサイズのものである。
このロングノズルを用いて鋳造した鋳片の品質は、タンディッシュから流出して定常部の鋳片中に混入した介在物の個数をカウントすることで評価した。具体的には、取鍋の容量の約半分の量の鋳造長さに相当する位置の鋳片の1/4幅、1/2幅、3/4幅の各位置において、厚み方向に0~60mmの位置より採取した20mm幅×20mm長×60mm厚みのサンプルを用いて、電解抽出法により行った。介在物は、粒径53μm以上の介在物のみカウントし、幅方向3箇所の平均個数を求めた。更に、側部吐出孔が設けられていない円筒状(底無し)のロングノズルを使用した際の、介在物(粒径53μm以上)の個数を1として、各水準での粒径53μm以上の介在物の個数を指数化した。ここで、指数が1未満の場合を鋳片品質が良好(○)とし、1以上の場合を鋳片品質が悪化(×)とした。
この結果を、表1に示す。
一方、比較例9~14は、溶鋼流速UC,Zが0.043m/s以上であったため、介在物の指数は1以上であり、鋳片品質が悪化(判定:×)した。
Claims (1)
- 底部吐出孔を有さず、又は、有して、内部を下方に向けて流れる溶鋼を反転させる底部と、該底部で反転した溶鋼を側方上向きに排出する側部吐出孔を備え、取鍋底部に設けられた有底筒状のロングノズルを用いて、前記取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入するに際し、前記ロングノズルの前記側部吐出孔から側方上向きに吐出する溶鋼により生じる、前記タンディッシュ湯面上の介在物の溶鋼中への巻き込みを抑制する連続鋳造方法であって、
前記側部吐出孔は、前記ロングノズルの軸心を中心として対向する位置に設けられ、前記側部吐出孔の吐出角度θは水平位置を基準として上向きに設定され、
前記ロングノズルによる前記タンディッシュ内への溶鋼の注入を、式(1)と式(2)から求められるUC,Zが0.043未満となるように行うことを特徴とする連続鋳造方法。
UC,Z={(α×W)/(ρ×π×d×x)}×(SSide/SAll)×sinθ ・・・(1)
x=L/sinθ ・・・(2)
ここで、UC,Z(m/s):吐出流の湯面位置での鉛直方向の溶鋼流速、θ(rad):側部吐出孔の吐出角度、x(m):吐出角度θ方向における側部吐出孔から湯面までの距離、α=5:側部吐出孔からの距離xにおける溶鋼流速の減衰定数、W(t/s):取鍋からタンディッシュへの単位時間当たりの溶鋼注入量、ρ(t/m3):溶鋼の密度、d(m):側部吐出孔の半径、SSide(m2):側部吐出孔1つ当たりの面積、SAll(m2):ロングノズルに設けられた全ての吐出孔の総面積、L(m):側部吐出孔の中心から湯面までの鉛直距離、である。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018078434A JP7031463B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 連続鋳造方法 |
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JP2018078434A JP7031463B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 連続鋳造方法 |
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JP2019181547A JP2019181547A (ja) | 2019-10-24 |
JP7031463B2 true JP7031463B2 (ja) | 2022-03-08 |
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Family Applications (1)
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JP2018078434A Active JP7031463B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 連続鋳造方法 |
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JP (1) | JP7031463B2 (ja) |
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JPS5586662A (en) * | 1978-12-25 | 1980-06-30 | Hitachi Ltd | Molten slag removing device in tundish in continuous casting |
JPS59183960A (ja) * | 1983-04-04 | 1984-10-19 | Nippon Steel Corp | 溶融金属注入方法 |
JPH05200507A (ja) * | 1992-01-28 | 1993-08-10 | Nisshin Steel Co Ltd | 連続鋳造用ロングノズル |
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2018
- 2018-04-16 JP JP2018078434A patent/JP7031463B2/ja active Active
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