JP4938490B2 - 溝付浸漬ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造用浸漬ノズルに係り、特に吐出孔に溝を設けて、吐出流の低速化を図った連続鋳造用浸漬ノズルに関する。
従来の浸漬ノズルでは、吐出孔は一定の吐出角を有しており、吐出流がまとまった流速として吐出されていた。その結果、速い流速のまま鋳型コーナー部に衝突し、凝固遅れを発生させていた。これを解決するために、ノズルの底部に孔(特許文献1参照。)もしくはスリット(特許文献2参照。)を設けて吐出流を分散させるノズルが考案されている。
また、特許文献3は、吐出孔の内壁上部及び下部の角度α・βを夫々、好適な範囲とする浸漬ノズルを開示する。これによれば、浸漬ノズルとモールド壁間隔が小さい場合にも、吐出流により凝固シェルが再溶解することを防ぐことができるとされる。
特開2003-311381号公報 特許第3566904号公報 特開平11-216542号公報
しかしながら、この特許文献1及び2に記載される構成では、使用中に孔もしくはスリットへ介在物が付着して効果が減少してしまうと考えられる。一方、特許文献3に係る浸漬ノズルは、吐出孔の内壁上部及び下部の角度に着目する点で興味深いものである。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、鋳型コーナー部における溶鋼の流速を低速化して凝固遅れを抑制できる浸漬ノズルを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下のように構成される浸漬ノズルが提供される。即ち、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズルである。該浸漬ノズルの周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔が穿孔されると共に、前記溶鋼吐出孔の内底面には、前記浸漬ノズルの底面視において前記溶鋼吐出孔の穿孔方向と平行に延びる溶鋼吐出溝が刻設される。更に下記式(1)及び(2)を満足する。
a/A=0.1〜0.9・・・(1)
Δθ[deg.]=15〜45・・・(2)
ただし、
aは、前記溶鋼吐出溝の刻設幅
Aは、前記溶鋼吐出孔の外周側開口縁の幅
Δθは、前記溶鋼吐出孔の内底面が水平と為す角度と、前記溶鋼吐出溝の内底面が水平と為す角度と、の差
以上の構成によれば、鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、前記溶鋼吐出孔から吐出される溶鋼の流れが分散されて、鋳型コーナー部における溶鋼の流速を低速化して凝固遅れを抑制できる。
上記の浸漬ノズルは、更に、以下のように構成されるとよい。即ち、下記式(3)〜(5)を満足する。
a/A=0.2〜0.8・・・(3)
Δθ[deg.]=25〜40・・・(4)
b/B≧0.4・・・(5)
ただし、
aは、前記溶鋼吐出溝の刻設幅
Aは、前記溶鋼吐出孔の外周側開口縁の幅
Δθは、前記溶鋼吐出孔の内底面が水平と為す角度と、前記溶鋼吐出溝の内底面が水平と為す角度と、の差
bは、前記溶鋼吐出孔の内底面と前記溶鋼吐出溝の内底面との交差線と、前記浸漬ノズルの外周面と、の径方向における離隔距離
Bは、前記浸漬ノズルの内周面と、前記浸漬ノズルの外周面と、の径方向における離隔距離
以上の構成によれば、溶鋼過熱度ΔTが高めな条件となっても、鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、凝固遅れを抑制できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る浸漬ノズルの縦断面図である。図2は、図1の2-2線矢視断面図である。図3は、図1の3-3線矢視断面図である。
図1に示される浸漬ノズル1は、鋼の連続鋳造において、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ滑らかに注湯するのに供される有底円筒状のものであって、その使用状態においては垂直とされる。本図及び図2に示す如く浸漬ノズル1は、中空円筒状の耐火物により構成され、その下端は閉塞される。この浸漬ノズル1の周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔2が穿孔される。更に、前記溶鋼吐出孔2の内底面3には、前記浸漬ノズル1の底面視(図3参照)において前記溶鋼吐出孔2の穿孔方向4と平行に延びる溶鋼吐出溝5が刻設される。具体的には下記の通りである。
前記の浸漬ノズル1の周壁の耐火物厚み(図2において符号Bで示す。即ち、浸漬ノズル1の内周面6と、浸漬ノズル1の外周面7と、の径方向における離隔距離に相当する。)は、同じく底壁の耐火物厚みと比較して若干薄肉とされる。前記の溶鋼吐出孔2は、タンディッシュから浸漬ノズル1へ流入する溶鋼を鋳型内へ適宜に吐出するための孔であって、一端は該浸漬ノズル1の内周面6に接続され、他端は該浸漬ノズル1の外周面7に接続され、更に、本図に示す垂直断面視において溶鋼吐出孔2はその穿孔方向が若干斜め下向きとなるように形成される。詳しくは、この溶鋼吐出孔2の内底面3が水平と為す角度θ1[deg.](ただし、下向きを正とする。)は-10〜60に設定され、この内底面3は浸漬ノズル1の内底面Pに接続される。溶鋼吐出孔2の内周側開口縁8は、図1に示す垂直断面視において角部に若干の丸みを帯びた矩形とされ、溶鋼吐出孔2の外周側開口縁9も同様である。なお、この溶鋼吐出孔3の外周側開口縁9は内周側開口縁8よりも幅広に形成され、もって、図3に示す底面視において溶鋼吐出孔2は、内周側開口縁8から外周側開口縁9へ向かうにつれて徐々に拡大するように形成される。内周側開口縁8の幅は本図において符号fで示され、外周側開口縁9の幅は同じく符号Aで示す。
前記の溶鋼吐出溝5の形状を以下に詳細に説明する。溶鋼吐出溝5は、前述したように本図に示す底面視において、前記溶鋼吐出孔2の穿孔方向4と平行に延在し、その内周側端10は溶鋼吐出孔2の内底面3に接続され、その外周側端11は浸漬ノズル1の外周面7に接続される。この溶鋼吐出溝5は、本図において溶鋼吐出孔2の穿孔方向4と垂直な方向に着目すると、溶鋼吐出孔2の略中央に形成される。この溶鋼吐出溝5の刻設幅を符号aで観念すると、下記式(1)が満足される。更に、図2に示される浸漬ノズル1の垂直断面視において前記溶鋼吐出溝5の内底面12が水平と為す角度(ただし、下向きを正とする。)をθ2で観念し、溶鋼吐出孔2の内底面3が水平と為す角度θ1と、溶鋼吐出溝5の内底面12が水平と為す角度θ2と、の差を符号Δθで観念すると、下記式(2)が満足される。
a/A=0.1〜0.9・・・(1)
Δθ[deg.]=15〜45・・・(2)
更に好ましくは、上記の溶鋼吐出溝5は、以下のように形成される。即ち、下記式(3)及び(4)が満足される。更に、溶鋼吐出孔2の内底面3と溶鋼吐出溝5の内底面12との交差線(本実施形態では、溶鋼吐出溝5の内周側端10が相当する。)と、浸漬ノズル1の外周面7と、の径方向における離隔距離を符号bで観念すると、下記式(5)が満足される。
a/A=0.2〜0.8・・・(3)
Δθ[deg.]=25〜40・・・(4)
b/B≧0.4・・・(5)
なお、図1〜3に示すように本実施形態において溶鋼吐出溝5は、その内底面12と側面とが直交するように構成されるが、実際には、製造上の便宜や強度上の問題を考慮して、前記の内底面12と側面とが直交する部位には適宜にRを付すのがよいであろう。同様に、面同士が鋭角に交差する部位や面同士が鈍角に交差する部位に対しては適宜のRを付すのがよい。なお、Rが付される前の上記交差部位については、該交差部位を挟む一対の面を仮想的に延長すれば容易に観念できることは言うに及ばない。
ところで、上記の浸漬ノズル1の上端は、この浸漬ノズル1から鋳型内へ吐出される溶鋼の吐出流量を調節するための溶鋼流量調節ユニットを介してタンディッシュの底部に接続される。この溶鋼流量調節ユニットに関して以下に概説する。図4を参照されたい。図4は、浸漬ノズルが連結された溶鋼流量調節ユニットの縦断面図である。本図に示す如く溶鋼流量調節ユニット13は、略円筒状に形成され、その延在方向中央には紙面と垂直方向へ開閉可能なスライドプレート14を備え、その延在方向上部にはポーラス状のリング15が設けられる。このリング15は、浸漬ノズル1や溶鋼流量調節ユニット13の内部に形成される流路内を流動する溶鋼に対してArガスに代表される不活性ガスを吹き込むためのガス噴出孔としての役割を担うものであって、適宜の吹込みノズル16を備える。以上の構成で、図略のArガス供給装置を吹込みノズル16に接続すると、Arガスが、浸漬ノズル1内を流動する溶鋼に適宜に供給されることとなる。
そして、以上のように構成される浸漬ノズル1は、その周壁に穿孔される溶鋼吐出孔2の穿孔方向4(図3も併せて参照。)が鋳型の幅方向と一致するようにタンディッシュ(実質的には溶鋼流量調節ユニット13)に着設される。
以上の構成の浸漬ノズル1を採用することにより奏される効果を図5に基づいて説明する。図5は、溶鋼の流れをイメージした図である。即ち、浸漬ノズル1から鋳型内へ若干斜め下向きに吐出される溶鋼の流れの一部が、更に斜め下向きに形成される溶鋼吐出溝5内を通過することで、溶鋼吐出孔2から吐出される溶鋼の流れが分散される。従って、鋳型内へ吐出される溶鋼の流量を確保しつつ、鋳型コーナー部における溶鋼の流速を低速化できるので、凝固遅れの抑制に寄与する。
以下、本実施形態に係る浸漬ノズル1の技術的効果を確認するための計算に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の第一計算〜第三計算により合理的に裏付けられている。
<凝固遅れとブレークアウトとの因果関係>
先ず、第一計算〜第三計算について説明する前に、本発明が凝固遅れに着目している根拠、即ち「凝固遅れとブレークアウトとの因果関係」について説明することで浸漬ノズル1を凝固遅れの観点から評価することの意義を説明する。
上記実施形態に係る浸漬ノズル1を用いることにより期される効果は、前述したように主として鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、鋳型コーナー部における溶鋼の流速を低速化して凝固遅れを抑制することである。更には、これにより究極的には所謂ブレークアウト(凝固シェル内の溶鋼が凝固シェル外部へ流出してしまう現象)を回避することを目的とする。そこで、ここでは、凝固遅れを定量的に評価するための凝固遅れ度を定義すると共に、この凝固遅れ度とブレークアウトとの因果関係について説明する。
即ち、「凝固遅れ」とは凝固シェルの部分的な成長遅れをいい、その定量化には凝固遅れ度が用いられる。「凝固遅れ度」は、図6に示すホワイトバンドに基づく。「ホワイトバンド」とは、凝固中のシェル前方の溶質が溶鋼流動により洗浄されて現れる線状組織であり、凝固シェルの成長の様子を表す。コーナー部のシェルBと健全部のシェルAの厚さに差が生じると、凝固遅れ部と健全部の凝固に伴う収縮量が異なり、凝固遅れ部には鋳片幅方向の引張応力が集中し、縦割の原因となる。縦割の程度が大きくなると凝固シェル内の溶鋼が凝固シェル外部へ流出し、ブレークアウトが発生する。過去のデータ(下記表1参照)で、凝固遅れ度が40%を越えるとブレークアウトが発生した実績があるために凝固遅れ度40%を許容上限とした。
Figure 0004938490
<第一〜第三計算に共通する事項>
以下、第一〜第三計算に共通する事項について説明する。図7を参照されたい。図7は、第一〜第三計算に共通する事項に関する説明図である。
(計算)
・計算には、流体解析に関して定評のある汎用数値計算ソフト(フルーエント:k-εモデル)を採用する。
・浸漬ノズル1を介して鋳型内へ注湯される溶鋼の密度[kg/m3]は、7000とする。
・鋳造速度Vc[m/min]は、表2〜4に記載の通りである。
・浸漬ノズル入口を通過する時点における溶鋼の溶鋼過熱度ΔT[℃]は、25又は35に設定した。なお、この溶鋼過熱度ΔT[℃]は、溶鋼温度と凝固開始温度との差を意味し、25℃とする設定は目標としている実操業に対応するものであり、35℃という設定を設けたのは実操業上でのバラツキを考慮すると若干高めの温度も十分に検証しておくとよいからである。
(鋳型)
・鋳型幅[m]は、1.26とする。
・鋳型厚み[m]は、0.24とする。
・浸漬ノズル1を介して鋳型内へ注湯される溶鋼は、メニスカス距離M[m]を6として観念される鋳型内の仮想的な水平面を均一に通過して排出されることとする。なお、「メニスカス距離M[m]」とは、鋳型内の溶鋼湯面を起点とし、鋳造経路に沿って観念される距離を意味する。
(浸漬ノズル)
・浸漬ノズル1は、その下端のメニスカス距離M[m]が0.29となるように鋳型内へ垂直に設置する。このとき、溶鋼吐出孔2・2(図2を併せて参照。)は鋳型の狭面に対面するようにする。
・浸漬ノズル1の内径D[mm](図2を併せて参照。)は、85とする。
・溶鋼は、メニスカス距離M[m]を-0.8として観念される浸漬ノズル1内流路の仮想的な円形の面のうち鋳型厚み方向に分割された半円の面を均一に通過して流入することとする。このようにしたのは、スライドプレートによる影響や流路内に不均一に形成される付着介在物による影響を模擬するためである。
(計算結果の評価の方法)
・鋳型内における定常状態の溶鋼流速Uと、所定の計算式と、に基づいて凝固遅れ度を算出する。
・「鋳型内における定常状態の溶鋼流速U」は、以下のように得るものとする。即ち、第一に、4つのコーナーの近傍である所定の複数の地点における溶鋼の定常状態の流速を記録する。ここで、「コーナーの近傍である所定の複数の地点」とは具体的に、メニスカス距離M[m]は0.5、0.7、0.9、1.1であり、狭面から20[mm]離れ、広面から20[mm]離れた地点を意味するものとし、「溶鋼の定常状態の流速」は、溶鋼の定常状態の流速のうち鉛直成分の流速を指すものとする。第二に、上記記録した4つの流速データを各コーナ毎に平均する。この平均化された流速データのうち最も大きい流速を「鋳型内における定常状態の溶鋼流速U」として記録する。
・「所定の計算式」は、下記式で表される式であり、これは上記「鋳型内における定常状態の溶鋼流速U」と、凝固温度からの溶鋼過熱度ΔTと、が凝固遅れ度(R.S.C.)に与える影響を数式化したものである(中田:日本学術振興会製鋼第19委員会凝固プロセス研究会資料、19委-12227、凝固プロセスIV39、2006)。
R.S.C[%]=(0.0361×(U0.8・ΔT)+0.1132)×100
次に、第一〜第三計算を具体的に説明する。なお、上記の事項と重複する内容については適宜に割愛する。
<第一計算>
本計算は、Δθ(図2参照。)に着目するものである。計算条件は、下記表2を参照されたい。試験結果を同じく表2と図8に示す。
Figure 0004938490
これら表2及び図8によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を25とする場合において、上記の差Δθ[deg.]を15〜45とすると、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。この差Δθ[deg.]を15以上とすると凝固遅れ度についての評価を良好とできるのは、溶鋼吐出孔2から吐出される溶鋼が十分に分散されたからだと考えられる。一方、この差Δθ[deg.]が45より大きくなると凝固遅れ度についての評価が良好とならないのは、溝と吐出孔の角度差が大き過ぎるために、溶鋼が溝部に導入されず吐出孔の穿孔方向に吐出されて溶鋼流が鋳型内で分散されないからだと考えられる。
同様に、これら表2及び図8によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を35とする場合において、上記の差Δθ[deg.]を25〜40とすると、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。その理由は、上記と同様であると言える。
<第二計算>
本計算は、a/A(図1参照。)に着目するものである。計算条件は、下記表3を参照されたい。試験結果を同じく表3と図9に示す。
Figure 0004938490
これら表3及び図9によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を25とする場合において、上記のa/Aを0.1〜0.9とすると、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。このa/Aを0.1以上とすると凝固遅れ度についての評価を良好とできるのは、溶鋼吐出孔2から吐出される溶鋼が十分に分散されたからだと考えられる。一方、このa/Aが0.9より大きくなると凝固遅れ度についての評価が良好とならないのは、溝幅が大きすぎて溶鋼が溝部にまとまって導入され、鋳型内で溶鋼が分散されないからだと考えられる。
同様に、これら表3及び図9によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を35とする場合において、上記のa/Aを0.2〜0.8とすると、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。その理由は、上記と同様であると言える。
<第三計算>
本計算は、b/B(図2を併せて参照。)に着目するものである。計算条件は、下記表4を参照されたい。試験結果を同じく表4と図10に示す。
Figure 0004938490
これら表4及び図10によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を25とする場合において、上記のb/Bを何れの値に設定しても、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。
一方で、これら表4及び図10によれば、溶鋼過熱度ΔT[℃]を35とする場合において、上記のb/Bを0.4以上とすると、凝固遅れ度についての評価を良好とできることが判る。このb/Bを0.4以上としなければ凝固遅れ度についての評価を良好とできないのは、溝部に導入された溶鋼が溝に沿って吐出されるために必要な溝の奥行きが不十分だからだと考えられる。
以上説明したように上記実施形態において浸漬ノズル1は以下のように構成される。即ち、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズル1である。該浸漬ノズル1の周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔2が穿孔されると共に、前記溶鋼吐出孔2の内底面3には、前記浸漬ノズル1の底面視において前記溶鋼吐出孔2の穿孔方向4と平行に延びる溶鋼吐出溝5が刻設される。更に下記式(1)及び(2)を満足する。
a/A=0.1〜0.9・・・(1)
Δθ[deg.]=15〜45・・・(2)
ただし、
aは、溶鋼吐出溝5の刻設幅
Aは、溶鋼吐出孔2の外周側開口縁9の幅
Δθは、溶鋼吐出孔2の内底面3が水平と為す角度θ1と、溶鋼吐出溝5の内底面12が水平と為す角度θ2と、の差
以上の構成によれば、鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、溶鋼吐出孔2から吐出される溶鋼の流れが分散されて、鋳型コーナー部における溶鋼の流速を低速化して凝固遅れを抑制できる。
上記の浸漬ノズル1は、更に以下のように構成される。即ち、下記式(3)〜(5)を満足する。
a/A=0.2〜0.8・・・(3)
Δθ[deg.]=25〜40・・・(4)
b/B≧0.4・・・(5)
ただし、
aは、溶鋼吐出溝5の刻設幅
Aは、溶鋼吐出孔2の外周側開口縁9の幅
Δθは、溶鋼吐出孔2の内底面3が水平と為す角度θ1と、溶鋼吐出溝5の内底面12が水平と為す角度θ2と、の差
bは、溶鋼吐出孔2の内底面3と溶鋼吐出溝5の内底面12との交差線と、浸漬ノズル1の外周面7と、の径方向における離隔距離
Bは、浸漬ノズル1の内周面6と、浸漬ノズル1の外周面7と、の径方向における離隔距離
以上の構成によれば、溶鋼過熱度ΔTが高めな条件となっても、鋳型内への溶鋼吐出流量を確保しつつ、凝固遅れを抑制できる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は以下のように変更できる。
<第一変形例>
図11を参照されたい。図11は、本発明の第一変形例を示す図である。本変形例が上記実施形態と相違する点は、(1)浸漬ノズル1の流路の面積と同一面積である浸漬ノズル1の内底面P(図2を併せて参照。)に、深さ20[mm]の凹部Q(通称、湯溜り部。)が形成されていることと、(2)該凹部Qに収容され、浸漬ノズル1の底面視において溶鋼吐出孔2の穿孔方向4と同一方向へ延在する突部R(高さ20[mm]・幅20[mm]のI型堰:ただし、この突部Rの突出方向端面は、溶鋼吐出孔2の内底面3の内周側端と直接的に接続している。)が形成されていること、である。上記各計算と同様の計算を実施し、本変形例においても凝固遅れ度が大幅に改善される上述の効果が十分に奏されることが計算条件及び計算結果としての下記表5から判る。
Figure 0004938490
<第二変形例>
次に、図12を参照されたい。図12は、本発明の第二変形例を示す図である。本変形例が上記第一変形例と相違する点は、上記の突部Rがその延在方向の中央において幅方向に狭窄されていること、である。具体的には、上記突部Rの延在方向端部における幅は40[mm]となっており、同じく延在方向中央における幅は15[mm]となっている。上記各計算と同様の計算を実施し、本変形例においても凝固遅れ度が大幅に改善される上述の効果が十分に奏されることが計算条件及び計算結果としての下記表6から判る。
Figure 0004938490
<第三変形例>
次に、図13を参照されたい。図13は、本発明の第三変形例を示す図である。本変形例が上記第一変形例と相違する点は、上記の突部Rがその延在方向の中央において分割されていること、である。具体的には、上記突部Rの延在方向端部における幅は40[mm]となっており、同じく延在方向中央における分割に伴う一対の突部R・R相互の離隔距離は10[mm]となっている。更に、分割された一対の突部R・R夫々の、浸漬ノズル1の中心側の、端部には底面視において10[mm]のRが付されている。上記各計算と同様の計算を実施し、本変形例においても凝固遅れ度が大幅に改善される上述の効果が十分に奏されることが計算条件及び計算結果としての下記表7から判る。
Figure 0004938490
◆ ところで、溶鋼吐出孔2は、図3に示すように内周側から外周側へ向かって拡大するように形成されるとしたが、これに限らず、この溶鋼吐出孔2の内周側開口縁8と外周側開口縁9の開口断面積は同一としてもよい。
本発明の一実施形態に係る浸漬ノズルの縦断面図 図1の2-2線矢視断面図 図1の3-3線矢視断面図 浸漬ノズルが連結された溶鋼流量調節ユニットの縦断面図 溶鋼の流れを曲線と矢でイメージした図 凝固遅れ度の説明図 第一〜第三計算に共通する事項に関する説明図 第一計算の計算結果を示す図 第二計算の計算結果を示す図 第三計算の計算結果を示す図 本発明の第一変形例を示す図 本発明の第二変形例を示す図 本発明の第三変形例を示す図
符号の説明
1 浸漬ノズル
2 溶鋼吐出孔
3 内底面
4 穿孔方向
5 溶鋼吐出溝

Claims (2)

  1. タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズルにおいて、該浸漬ノズルの周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔が穿孔されると共に、前記溶鋼吐出孔の内底面には、前記浸漬ノズルの底面視において前記溶鋼吐出孔の穿孔方向と平行に延びる溶鋼吐出溝が刻設され、更に下記式(1)及び(2)を満足する、ことを特徴とする浸漬ノズル。
    a/A=0.1〜0.9・・・(1)
    Δθ[deg.]=15〜45・・・(2)
    ただし、
    aは、前記溶鋼吐出溝の刻設幅
    Aは、前記溶鋼吐出孔の外周側開口縁の幅
    Δθは、前記溶鋼吐出孔の内底面が水平と為す角度と、前記溶鋼吐出溝の内底面が水平と為す角度と、の差
  2. 下記式(3)〜(5)を満足する、ことを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズル。
    a/A=0.2〜0.8・・・(3)
    Δθ[deg.]=25〜40・・・(4)
    b/B≧0.4・・・(5)
    ただし、
    aは、前記溶鋼吐出溝の刻設幅
    Aは、前記溶鋼吐出孔の外周側開口縁の幅
    Δθは、前記溶鋼吐出孔の内底面が水平と為す角度と、前記溶鋼吐出溝の内底面が水平と為す角度と、の差
    bは、前記溶鋼吐出孔の内底面と前記溶鋼吐出溝の内底面との交差線と、前記浸漬ノズルの外周面と、の径方向における離隔距離
    Bは、前記浸漬ノズルの内周面と、前記浸漬ノズルの外周面と、の径方向における離隔距離
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