JP6806111B2 - 非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法 - Google Patents

非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造によって製造された鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する方法に関する。
溶鋼中には金属アルミニウムによる脱酸処理で生じたアルミナなどの非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)が存在し、この介在物は溶鋼との比重差によって浮上し、溶鋼上に存在するスラグに吸収され、溶鋼から分離される。但し、介在物の浮上速度は遅く、溶鋼に介在物が残留して鋳片に混入すると、この介在物は、冷延鋼板、鍍金鋼板などの薄鋼板製品における表面欠陥の発生原因となる。したがって、介在物の低減技術は、連続鋳造法で良質な鋳片を得るための重要な技術であり、従来から、鋳型での磁場による流動制御に見られるように、種々の対策が実施されてきた。
しかし、生産性向上のために鋳片引き抜き速度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での介在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求される品質の厳格化も加味されて、介在物の低減対策として鋳型内に供給する以前に溶鋼の清浄性を向上させることが極めて重要となっている。そのため、タンディッシュにおいても各種の介在物低減対策が提案されている。
例えば、特許文献1には、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入するロングノズル吐出口と、タンディッシュから鋳型への溶鋼の出鋼口との間に、タンディッシュを受鋼槽と出鋼槽とに分離する隔壁が立設された連続鋳造用タンディッシュを用い、前記受鋼槽から前記出鋼槽へは、前記隔壁に設けられた1または2以上の四角形の開口から溶鋼を供給し、前記隔壁から前記出鋼口までの水平方向の距離LW、前記溶鋼の湯面から前記開口の中心までの垂直方向の距離HW、タンディッシュから鋳型へ流出する溶鋼量Qと前記開口の全面積Sとの比Q/S及び溶鋼温度Tが、所定の関係を満たすようにした連続鋳造方法が提案されている。
特許文献2には、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を流入させるロングノズルの周囲に、流入する溶鋼をタンディッシュ底部で反転上昇させ且つ前記ロングノズルの湯面高さ位置でその上昇流を一定速度の水平流となす全閉型のダムを形成し、且つ前記ロングノズルの湯面高さ位置に前記ロングノズルの外周面から前記ダムの内壁面よりも外側に伸る制波プレートを設け、更に前記ダムの外にタンディッシュノズルに向かう緩やかな溶鋼の下降流を形成する流出域を設けた連続鋳造用タンディッシュが提案されている。
特許文献3には、取鍋から注入された溶鋼を鋳型に中継供給する連続鋳造用タンディッシュにおいて、タンディッシュの溶鋼収容深さを0.5〜2.5m、タンディッシュの溶鋼収容幅を0.5〜2.0mとし、タンディッシュ内溶鋼滞留量を、1分間あたりのタンディッシュから鋳型への溶鋼注入流量で除算した値が10〜20となるように、タンディッシュ内溶鋼滞留量または溶鋼注入流量を制御し、タンディッシュ内で介在物の浮上・分離を促進する連続鋳造方法が提案されている。
特許文献4には、タンディシュ内を堰によって取鍋吐出流影響領域と押し出し流れ領域とに区分し、前記押し出し流れ領域において、タンディシュ内溶鋼深さをH、押し出し流れ領域の溶鋼容積をV、1ストランドあたりの溶鋼の鋳型への注湯流量をQ、ストークスの法則に従う粒子径50μmの介在物粒子のタンディシュ内溶鋼表面までの浮上速度をVy、粒子径50μmの介在物粒子がタンディシュ内溶鋼表面まで浮上する時間をt50、全ての粒子径の介在物粒子のタンディシュ内平均滞留時間をTとしたとき、T/t50≧0.8(ここで、T=V/Q、t50=H/Vy)を満たす条件下で連続鋳造する、タンディシュ内溶鋼の介在物浮上分離促進方法が提案されている。
特開2008−260038号公報 特開平3−161151号公報 特開平10−193049号公報 特開昭61−193752号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1、2、4に提案される、介在物浮上に有利な形状のタンディッシュは、複雑な内部形状や堰の配置などにより、製造コストが増加するという問題がある。
また、タンディッシュの形状が同一であっても、タンディッシュから鋳型内に介在物が流出される場合と流出されない場合があり、介在物の鋳型内への流出は、タンディッシュの形状のみでなく、操業条件に影響されることを示唆している。
特許文献3では、タンディッシュ内の滞留時間を一定の範囲に収めるように単位時間あたりの溶鋼注入流量を調整することで、介在物除去ができることを示しているが、実際の操業では、タンディッシュ内の滞留時間を特許文献3で規定する範囲内に収めた場合においても、一定の頻度で薄鋼板製品にアルミナによる介在物欠陥が発生しており、特許文献3のみでは介在物除去の対策として不十分となる場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、タンディッシュ内で介在物の浮上・分離を促進させながら連続鋳造する連続鋳造操業において、タンディッシュ内での介在物の浮上・分離が十分か不十分かを、つまり、連続鋳造される鋳片に、この鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、アルミナなどの介在物を起因とする薄鋼板製品における表面欠陥の発生率と操業条件とを調査した。その結果、介在物を起因とする表面欠陥の発生率は、タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に相関があることを見出した。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に基づいて、連続鋳造される鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定することを特徴とする、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
[2]予めタンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量が臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定することを特徴とする、上記[1]に記載の非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
[3]前記臨界溶鋼滞留量を、タンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量の0.95倍以下とすることを特徴とする、上記[2]に記載の非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
[4]前記臨界溶鋼注入流量を、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量の0.75倍以上とすることを特徴とする、上記[2]または上記[3]に記載の非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
[5]設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量が80トンの連続鋳造用タンディッシュを用い、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量が6.6トン/minの鋳造条件では、前記臨界溶鋼滞留量を76トンとし、且つ、前記臨界溶鋼注入流量を5.0トン/minとすることを特徴とする、上記[2]に記載の非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
本発明によれば、タンディッシュの形状に拘わらずに、操業条件だけで介在物のタンディッシュから鋳型への流入の危険性を評価することができ、介在物が流入する危険性の高い操業条件で製造した鋳片を確実に検知することが可能となる。
本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の概略図である。 冷延鋼板においてアルミナ起因の表面欠陥が発生したスラブ鋳片と、タンディッシュ内溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型への1分間あたりの溶鋼注入流量との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の概略図であり、図1では、鋳型よりも鋳造方向下流側の設備を省略している。
溶鋼8の連続鋳造では、タンディッシュ2の上方所定位置に取鍋1を配置し、取鍋1に収容された溶鋼8を、取鍋1の底部に設置されたロングノズル5を介してタンディッシュ2に注入し、タンディッシュ内に溶鋼8を滞留させた状態で、タンディッシュ内の溶鋼8を、タンディッシュ2の底部に設置された浸漬ノズル7を介して、タンディッシュ2から鋳型3に注入している。鋳型3の内部空間に注入された溶鋼8は、鋳型3で冷却されて鋳型3との接触面に凝固シェル9を生成し、外殻を凝固シェル9とし、内部を未凝固の溶鋼8とする鋳片10が、鋳型3の下方に設置された鋳片支持ロール(図示せず)で支持されながら、鋳型下方に連続的に引き抜かれる。鋳型3から引き抜かれた鋳片10は、鋳型下方に設置された二次冷却帯で、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルから噴射される冷却水によって冷却され、鋳片厚み中心位置まで凝固し、その後、所定の長さに切断されて連続鋳造鋳片が製造される。
タンディッシュ2は、タンディッシュ2を積載するタンディッシュカー(図示せず)に取り付けられたロードセルなどの秤量器(図示せず)によって、その質量が連続鋳造中に連続的または間歇的に秤量されるように構成されている。図1において、符号4は、取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入流量を制御するためのスライディングノズル、符号6は、タンディッシュ2から鋳型3への溶鋼注入流量を制御するためのスライディングノズルである。
タンディッシュ2は、連続鋳造機のストランドの数(鋳型3の設置数に該当、図1のスラブ連続鋳造機は2ストランド型連続鋳造機)、タンディッシュ2に滞留する溶鋼8の深さ(「溶鋼収容深さ」と定義する)、及び、タンディッシュ2に滞留する溶鋼8の幅(「溶鋼収容幅」と定義する)によって、溶鋼収納容量の上限値が決められている。
溶鋼収容深さを大きくするほど、溶鋼中介在物の浮上時間が長くなり、タンディッシュ2における介在物の除去が促進される。また、溶鋼収容幅が小さくなると、タンディッシュ2での溶鋼8の温度降下が大きくなり、溶鋼温度の低下に起因する浸漬ノズル7での凝固地金による閉塞が起こり易くなる。溶鋼収容深さを小さくした場合も、同様に、浸漬ノズル7での凝固地金による閉塞が起こり易くなる。したがって、通常、溶鋼収容深さ及び溶鋼収容幅は、少なくとも0.5m以上が確保されている。溶鋼収容深さ及び溶鋼収容幅の上限は、規定する必要はないが、余りに大きくすると、設備コストが嵩むことから、通常、2.5m程度が上限値とされている。
通常、1基のタンディッシュ2で全てのストランドに溶鋼8を供給することから、ストランド数に応じてタンディッシュ2の長さが設定されている。
このようにして決まるタンディッシュ2のサイズから定まる溶鋼収納容量を、設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量と定義する。これに対して、連続鋳造中の溶鋼収納容量は、取鍋1からの溶鋼供給量及び鋳型への溶鋼注入流量に応じて経過時間別に変化する。この経過時間別に変化する、連続鋳造中の溶鋼収納容量を、「溶鋼滞留量」と定義する。尚、溶鋼滞留量が、設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量を超えないようにするために、一般的に、タンディッシュ2にはオーバーフロー排出口が設けられている。
一方、タンディッシュ2から鋳型3へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量をQ(トン/min)とし、各ストランドの溶鋼注入流量をQ(トン/min)とすると、各ストランドでの溶鋼注入流量Qの和が、タンディッシュ2から鋳型3へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量Qとして定められる。各ストランドでの溶鋼注入流量Qは、各ストランドでの鋳片10の横断面積と鋳片引き抜き速度との積から求められる。したがって、溶鋼注入流量Qは、それぞれのストランドでの鋳片引き抜き速度の変化に伴って変化する。
鋳片引き抜き速度の最大値は、鋳片10の厚み中心位置が連続鋳造機の最下流の鋳片支持ロールの位置で凝固するときの鋳片引き抜き速度であり、各ストランドにおける鋳片引き抜き速度の最大値と鋳片10の横断面積とから算出される溶鋼注入流量QiMaxの和を、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量と定義する。
本発明に係る、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法では、タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュ2から鋳型3へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量Qに基づいて、連続鋳造される鋳片10に、当該鋳片10を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる介在物がタンディッシュ2から流入した危険性が有るか無いかを判定する。
これは、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が多いほど、溶鋼中の介在物の浮上・分離が促進され、また、タンディッシュ2から鋳型3へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量Qが少ないほど、タンディッシュ内での溶鋼8の滞在時間が長くなり、溶鋼中の介在物の浮上・分離が促進されることに基づいている。
具体的には、予めタンディッシュ2の設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が前記臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュ2から鋳型3へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量Qが前記臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片10に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定することが好ましい。
ここで、前記臨界溶鋼滞留量は、タンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量の0.95倍以下とし、また、前記臨界溶鋼注入流量は、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量の0.75倍以上とすることが好ましい。
例えば、設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量が80トンの連続鋳造用タンディッシュを用い、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量が6.6トン/minの鋳造条件の場合には、臨界溶鋼滞留量を76トンとし、且つ、臨界溶鋼注入流量を5.0トン/minとすることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、タンディッシュ2の形状に拘わらずに、操業条件だけで介在物のタンディッシュ2から鋳型3への流入の危険性を評価することができ、介在物が流入する危険性の高い操業条件で製造した鋳片10を確実に検知することが可能となり、当該鋳片10を通常運用から外して、鋳片10の表面手入れ(研削)を行う、または、鋳片10の詳細検査を行うなどの処置を行うことが実現される。
本発明を実施例によって詳細に説明する。
単ストランド型スラブ連続鋳造機で、炭素含有量が0.10質量%以下、珪素含有量が0.1質量%以下、マンガン含有量が0.5質量%以下、燐含有量が0.05質量%以下、硫黄含有量が0.02質量%以下の炭素鋼を連続鋳造する際に本発明を実施した。
このスラブ連続鋳造機で使用されるタンディッシュは、溶鋼収容深さが2.0m、溶鋼収容幅が1.5mであり、設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量は80トンである。また、このスラブ連続鋳造機で鋳造可能なスラブ鋳片は、厚みが220〜300mmで、幅が800〜2200mmであり、スラブ連続鋳造機の設備長さ44m及び凝固時間から求められる鋳片引き抜き速度の最大値は、スラブ厚みが220mmの場合には3.0m/min、スラブ厚みが300mmの場合には1.6m/minである。尚、凝固時間を求めるときの凝固係数kは28.5mm・min1/2を用いた。
以下、スラブ鋳片の厚みが220mm、スラブ鋳片の幅が1280mmの場合について、タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量と、スラブ鋳片から圧延された冷延鋼板におけるアルミナ起因の表面欠陥との関係の調査結果を説明する。尚、単ストランド型スラブ連続鋳造機において、スラブ鋳片の厚みが220mm、幅が1280mmの場合は、連続鋳造機の設備仕様から定められる、タンディッシュから鋳型へ注入される1分間あたりの上限の溶鋼注入流量は、6.6トン/min(≒22×128×300×7.85/1000000)になる。
図2に、横軸をタンディッシュ内溶鋼滞留量とし、縦軸をタンディッシュから鋳型への1分間あたりの溶鋼注入流量とし、冷延鋼板においてアルミナ起因の表面欠陥が発生したスラブ鋳片を「●」、アルミナ起因の表面欠陥が発生しなかったスラブ鋳片を「○」として表示した調査結果を示す。図2には、特許文献3で規定される、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間あたりの溶鋼注入流量で除算した値が10(上限値)及び20(下限値)となる溶鋼注入流量を破線で示している。
図2からも明らかなように、タンディッシュ内溶鋼滞留量が76トン以下で、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される1分間あたりの溶鋼注入流量が5.0トン以上の範囲では、冷延鋼板においてアルミナ起因の表面欠陥が発生する危険性のあることがわかった。つまり、タンディッシュ内溶鋼滞留量が、タンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量の0.95倍以下となり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される1分間あたりの溶鋼注入流量が、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量の0.75倍以上になると、冷延鋼板にアルミナ起因の表面欠陥が発生することがわかった。
また、図2において、特許文献3で、介在物が少なく清浄と規定する範囲でもアルミナ起因の表面欠陥が発生しており、特許文献3だけでは、冷延鋼板においてアルミナ起因の表面欠陥を十分に防止できないことがわかった。具体的には、調査対象の53本のスラブ鋳片は、全て特許文献3では介在物除去効果があるとされるが、これらの53本のスラブ鋳片のうち、8本のスラブ鋳片で介在物起因の表面欠陥が発生していた。
尚、特許文献3のように、タンディッシュ内溶鋼滞留量をタンディッシュから鋳型へ注入される1分間あたりの溶鋼注入流量で除算した値で介在物の有無を判定すれば、この値が15.2(=76/5)以上の場合に、鋳造される鋳片に表面欠陥の原因となるアルミナがタンディッシュから流入しないことが確認できた。
上記53本のスラブ鋳片について、介在物起因の欠陥を、本発明を適用して予測した場合と、特許文献3を適用して予測した場合とで、冷延鋼板における介在物起因の表面欠陥発生の見逃し率、空振り率などを比較した。本発明を適用して予測した場合とは、タンディッシュ内溶鋼滞留量が76トン以下で、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される1分間あたりの溶鋼注入流量が5.0トン以上の範囲では、アルミナ起因の表面欠陥が発生する危険性のあると予測する方法である。一方、特許文献3を適用して予測した場合とは、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間あたりの溶鋼注入流量で除算した値が10〜20の範囲は、清浄なスラブ鋳片であり、介在物起因の表面欠陥は発生しないと予測する方法である。
表1に,本発明を適用して予測したときの予測と冷延鋼板における欠陥発生の実績との対比結果を示す。尚、表1及び後述する表2の構成及び各パラメーターの定義は、気象庁ウェブサイト「天気予報の精度検証結果(http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html)」の「検証方法の説明」に倣っている。
Figure 0006806111
表1から、以下の結果が得られる。
予測したスラブ鋳片の総本数=N=A+B+C+D=53本で、
見逃し率=(B/N)×100=(0/53)×100=0%、
空振り率=(C/N)×100=(26/53)×100=49%、
介在物リスクカバー率=[(A+C)/N]×100=(34/53)×100=64%、
となる。
また、表2に、特許文献3を適用して予測したときの予測と冷延鋼板における欠陥発生の実績との対比結果を示す。
Figure 0006806111
表2から、以下の結果が得られる。
予測したスラブ鋳片の総本数=N=E+F+G+H=53本で、
見逃し率=(F/N)×100=(8/53)×100=15%、
空振り率=(G/N)×100=(0/53)×100=0%、
介在物リスクカバー率=[(E+G)/N]×100=(0/53)×100=0%、
となる。
表3に、本発明を適用して予測した場合と、特許文献3を適用して予測した場合とで、見逃し率などを比較して示す。
Figure 0006806111
調査対象の全スラブ鋳片において、介在物欠陥発生率(調査対象の全スラブ鋳片のうち、介在物欠陥が発生したスラブ鋳片の割合)は15%(=8/53)である。特許文献3を適用して評価した場合には、介在物リスク範囲のカバー率(介在物流入リスクがあるとされる操業条件の範囲内のスラブ鋳片が調査対象の全スラブ鋳片に占める割合)が0%である。これは、調査対象の全スラブ鋳片で介在物流入リスクがないと解釈されるが、実際には、この操業条件の範囲内で介在物起因の欠陥が発生しており、したがって、特許文献3による評価方法は、介在物流入リスクの指標としては不十分である。本発明を適用して評価した場合の介在物リスク範囲のカバー率は、64%であった。
また、見逃し率(介在物流入リスクがあるとされる操業条件の範囲外で介在物欠陥が発生した件数が全スラブ鋳片に占める割合)は、特許文献3を適用して評価した場合は15%であったのに対し、本発明を適用して評価した場合は、見逃し率は0%であった。本発明を適用して評価した場合の空振り率(介在物流入リスクがあるとされる操業条件の範囲内で介在物欠陥が発生しなかった件数が全スラブ鋳片に占める割合)は49%であった。
このように、本発明を適用することで、特許文献3において規定された介在物除去効果の高いとされる製造条件で発生した介在物欠陥に対しても、効果的に検知することができ、特許文献3よりも精度良く介在物の流入を判定できることが確認できた。
1 取鍋
2 タンディッシュ
3 鋳型
4 スライディングノズル
5 ロングノズル
6 スライディングノズル
7 浸漬ノズル
8 溶鋼
9 凝固シェル
10 鋳片

Claims (4)

  1. タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に基づいて、連続鋳造される鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法であって、
    予めタンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量が臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定するに際し、
    前記臨界溶鋼滞留量を、タンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量の0.95倍以下とすることを特徴とする、連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
  2. タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に基づいて、連続鋳造される鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法であって、
    予めタンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量が臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定するに際し、
    前記臨界溶鋼注入流量を、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量の0.75倍以上とすることを特徴とする、連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
  3. タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に基づいて、連続鋳造される鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法であって、
    予めタンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量が臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定するに際し、
    前記臨界溶鋼滞留量を、タンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量の0.95倍以下とし、且つ、前記臨界溶鋼注入流量を、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量の0.75倍以上とすることを特徴とする、連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
  4. タンディッシュ内の溶鋼滞留量及びタンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量に基づいて、連続鋳造される鋳片に、当該鋳片を圧延して製造される薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有るか無いかを判定する、非金属介在物による連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法であって、
    予めタンディッシュの設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量別に、臨界溶鋼滞留量及び臨界溶鋼注入流量を決めておき、タンディッシュ内の溶鋼滞留量が臨界溶鋼滞留量以下になり、且つ、タンディッシュから鋳型へ注入される単位時間あたりの溶鋼注入流量が臨界溶鋼注入流量以上になったときに、鋳造される鋳片に、薄鋼板製品で表面欠陥を発生させる非金属介在物がタンディッシュから流入した危険性が有ると判定するに際し、
    設備仕様から定められる上限の溶鋼収納容量が80トンの連続鋳造用タンディッシュを用い、連続鋳造機の設備仕様から定められる上限の溶鋼注入流量が6.6トン/minの鋳造条件では、前記臨界溶鋼滞留量を76トンとし、且つ、前記臨界溶鋼注入流量を5.0トン/minとすることを特徴とする、連続鋳造鋳片の品質悪化危険性の判定方法。
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