JP2005028376A - 鋼の連続鋳造用タンディッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】清浄化の機能を高めた堰を有するタンディッシュを提供することを目的とする。
【解決手段】溶鋼を精錬工程から輸送する取鍋と、連続鋳造用鋳型との間に配置されるタンディッシュにおいて、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入するノズル位置と、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するノズル位置の間に設けられる堰であって、複数の孔を有し、さらに孔の総面積がタンディッシュ内の溶鋼流路断面積の50%以下である多孔堰が、複数設置されたことを特徴とする鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
【選択図】 図1
【解決手段】溶鋼を精錬工程から輸送する取鍋と、連続鋳造用鋳型との間に配置されるタンディッシュにおいて、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入するノズル位置と、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するノズル位置の間に設けられる堰であって、複数の孔を有し、さらに孔の総面積がタンディッシュ内の溶鋼流路断面積の50%以下である多孔堰が、複数設置されたことを特徴とする鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造用のタンディッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造においては、精錬工程で成分と温度を調整された溶鋼を取鍋で連続鋳造工程に輸送する。輸送された溶鋼は、連続鋳造機の鋳型に耐火物製のノズルを用いて注入されるが、取鍋から直接注入するのは溶鋼の流量の制御が難しくまた、取鍋を交換し、連続鋳造を続けて行う目的もあって、一般にはタンディッシュと呼ばれる中間容器内にノズルあるいは酸化を抑える不活性ガスでシールしたシュラウドを通して溶鋼を一旦溜めて、流量を制御しつつ鋳型内にノズルを通じて溶鋼を供給するのが一般的である。
【0003】
タンディッシュは、種々の形のものが存在するが、最も一般的には、舟の形をしたタンディッシュの中央部に取鍋からノズルを通じて溶鋼を供給し、舟の両舳先に相当する場所に設けられた上下に移動することにより流出口の断面積を制御して流量を制御する棒状のストッパー、あるいは丸孔が開いた2乃至3枚のプレートで孔の開口面積を制御し流量を制御するスライディングノズルにより、両端から溶鋼を2つの連鋳機(ストランドと呼ばれる)に供給する。
【0004】
さらに、タンディッシュは、前記のように溶鋼を1つの取鍋から2つの鋳型に注ぎ分ける機能を持つほか、通常鋼を精錬する際に不可避的に混入する酸化物であるスラグの液滴や、脱酸を行うために通常生成するアルミナなどのいわゆる非金属介在物を、その比重が鋼の比重の半分以下であることを利用して浮上分離し、鋳型内に侵入して鋼に捕捉され圧延時に疵を生成することを防止する機能も有している。
【0005】
前記のように、比重の差を利用して、介在物を浮上させるものの、鋼中には数μm径からmm単位のものまで存在しており、鋼の品質要求の高まりによって、年々介在物の浮上性改善要求が高まっている。そこで、同じタンディッシュで内部に堰を設けることにより流動を制御し、浮上分離率を高める試みとして、例えば(特許文献1)あるいは(特許文献2)には、非金属介在物の浮上性を高めるために複数の平板状の堰を配置する技術が開示されている。
【0006】
上記の通り、取鍋から注入された溶鋼中の大きな介在物が浮上してできるスラグ溜りを、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を供給するノズル周りに溜めておいて、鋳型の方へ移動させないための上堰、取鍋からタンディッシュへ注入した溶鋼が、直接鋳型の方へ流れを作らないように設けられる下堰の2つを基本的な構成要素にしたものが多く開示されている。
【0007】
一方、流体の風洞実験で知られるように、格子状の多孔板を通すことにより流れが整流化されることを利用し、タンディッシュ内の溶鋼の流れに対して垂直断面を覆う堰に多数の孔をあけて、取鍋のノズルから注入される溶鋼を攪拌領域に閉じ込めて、その後多孔を通して整流化する方法が例えば、(特許文献3)に開示されている。この様に、タンディッシュ内の溶鋼の流れを整流化させて、溶鋼を舟型のタンディッシュ両端の鋳型上部へ輸送し、その間に介在物を浮上させるというものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−224152号公報
【特許文献2】
特開平7−132353号公報
【特許文献3】
特開昭62−197251号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らも、実際の舟型のタンディッシュにおいて、前記の(特許文献3)の多孔堰を参考に、水モデル実験により孔配置を堰全体に均一に配置する等の適正化を行った堰を試作し、この堰を実湯で評価し、鋼のサンプリングを行うことにより効果を評価した。
【0010】
その結果、実際の溶鋼サンプルの評価では水モデル試験の結果とは異なり、比較的大きな介在物も鋳片内で発見され、また、汚染された鋳片の長さもモデル実験で予測されるものよりは長いという問題があることが判った。
【0011】
この原因は、溶鋼では温度むらがある場合には、タンディッシュの上部や壁で冷却された溶鋼は比重が重く下方に移動しようとし、また内部の温度が高い溶鋼は上に浮上しようとすることによって発生する熱対流によるものであると推定した。
【0012】
このため、温度変化によって発生する比重差を考慮した数値流体解析(ブシネスク近似と呼ばれる、比較的熱膨張が小さい時に用いる解法)を、実際のタンディッシュで測定した温度データをもとに調整した伝熱条件を用いて実施したところ、図3(a)に示す様に整流化したと思われていた流れが、実際には図3(b)に示す様に湯面側で速い流れになり、底部では逆流も生じ、前記のプラグフローとは程遠い流れになっているものとの推定を得た。
【0013】
実際、図3(b)に示す様な流れがある場合に、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の非金属介在物粒子を取鍋のノズルから流出させ、その軌跡を追ってみる数値解析をしてみると、湯面側の速い流れに乗って、鋳型へのノズルに流出してしまうことがわかった。
【0014】
このように、タンディッシュ内には熱対流があることは古くから知られているものの、その制御については十分できておらず、特に、今回の多孔堰については、整流化後の流れの制御を検討する必要があることがわかった。
【0015】
本発明は、清浄化の機能を高めた堰を有するタンディッシュを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)溶鋼を精錬工程から輸送する取鍋と、連続鋳造用鋳型との間に配置されるタンディッシュにおいて、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入するノズル位置と、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するノズル位置の間に設けられる堰であって、複数の孔を有し、さらに孔の総面積がタンディッシュ内の溶鋼流路断面積の50%以下である多孔堰が、複数設置されたことを特徴とする鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
(2)孔の位置がタンディッシュの幅方向に偏芯している多孔堰を、孔の偏芯方向がタンディッシュ長さ方向に対して、交互になる様に複数配列されたものが、タンディッシュ内に設置された堰の一部または全部であることを特徴とする前記(1)記載の鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の装置と作用を図面に基づいて説明する。
図1(a)は本発明に関わるタンディッシュの例を示す。図1(b)はタンディッシュ3内に設置された多孔堰6である。精錬工程を経て取鍋1により輸送された溶鋼Mは、取鍋からの注入ノズル2を経て、タンディッシュ3に注入される。注入された溶鋼Mは、鋳型(図示せず)への注入ノズル5につながる溶鋼流出口4までタンディッシュ内を輸送される。
【0018】
取鍋1からタンディッシュへ注入された溶鋼Mは、多孔堰6でせき止められて、取鍋1からの注入ノズル2まわりで攪拌されるが、多孔堰6の孔7によりフィルターのように整流化され、下流側に流出する。
【0019】
整流化された溶鋼Mは前記の熱対流の作用により、再び成層化しようとするが、下流側に設置された多孔堰6により成層化せず、整流化される。この様に、溶鋼Mは複数の多孔堰6を通過し、整流化されたまま最終的に流出口4まで運ばれる。
【0020】
ここで、多孔堰同士の間隔は特に規定するものではなく、溶鋼の整流化が保持できる長さを適宜設定すれば良いが、通常はタンディッシュ内の溶鋼深さ(溶鋼液面とタンディッシュ底部との距離)と同程度以下で設置されることが多く、また下限値は施工上可能な長さとなる。
【0021】
また、多孔堰が十分な整流化効果を発揮するには、発明者らの経験では、各堰ごとに(孔の総面積)/(タンディッシュ内溶鋼の流路断面積)×100で表される面積率を50%以下、好ましくは30%以下とすれば良い。これは、面積率が50%超の場合、圧力損失が小さくなりすぎるため、各孔を通過する溶鋼量間にばらつきが出て整流化しないためである。また、面積率は小さいほど整流効果が発揮されるため望ましいため、下限値は特に規定するものではなく、所定の鋳造速度に見合う溶鋼流量が得られる様に、孔の総面積を適宜設定すれば良い。
【0022】
発明者らは、さらに試験を重ね、上記の多孔堰6の孔7群を断面内で均等に設置するのではなく、図2(b)のように、孔7の位置がタンディッシュ3の幅方向に偏芯している多孔堰6b,6cを、その偏芯方向が幅方向に交互になる様な配列を一部に設置した。
この様に設置すれば、整流化の度合いはさらに進むことを、先に述べた数値解析によって確認した。
【0023】
図4は、堰なしの場合、多孔堰1段の場合、多孔堰3段の場合(図1)、偏芯多孔堰を含有する3段(図2)の場合に、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の介在物の鋳型への流出指数の解析検討結果を示している。ここで、鋳型への介在物流出指数とは、取鍋からの流入口で与えた介在物個数に対して、鋳型へ溶鋼を注入するノズルを通じて鋳型に流出する介在物個数の比を堰なしの場合を1として相対的に示した指数である。
【0024】
その結果、堰なしの場合や、1段多孔堰を用いた場合と比較して、本発明の装置である3段多孔堰や、偏芯多孔堰を含有する3段多孔堰を用いた場合、鋳型への大型介在物流出指数を大きく低減できることが可能である。
【0025】
【実施例】
長さ7m、上端幅1m、下端幅0.5m、深さ1mの2ストランド用タンディッシュにおいて、堰がない場合、多孔堰1段、多孔堰3段(図1)、偏芯多孔堰を含有する3段(図2)の各場合について、鋳型内で採取した溶鋼サンプル100gを電解抽出法により非金属介在物のみ取り出し、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の介在物を表すものとして、75μmから125μmの間の径の介在物の個数を調査した。
【0026】
介在物の中には、鋳型内の潤滑剤であるパウダーが巻き込まれたものも存在するが、その中にナトリウムが存在するか否かを元に、ナトリウムが存在しない介在物をタンディッシュから持ち込まれた介在物として、その個数のみカウントし比較した。
【0027】
また、各場合において、鋳型は1500mm幅、厚み250mm、鋳造速度1.5m/分で同じ条件とした。さらに、サンプリング時期も鋳造開始からの時間を10分で統一し、溶鋼のベースとなる清浄度がほぼ同じであることを、タンディッシュの入り側でとったサンプルの電解抽出により確認した。
【0028】
その結果は図5に示す様に、堰なしの場合や、1段多孔堰を用いた場合と比較して、本発明の装置である3段多孔堰や、偏芯多孔堰を含有する3段多孔堰を用いた場合、鋳型への大型介在物流出指数を著しく減少できた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の装置を用いれば、大型介在物が少ない清浄鋼の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の多段多孔堰を設けた装置の概要であり、(b)は多段多孔堰の正面を示す。
【図2】(a)は本発明の孔群を偏芯させた多段多孔堰を設けた装置の概要であり、(b)は偏芯多段多孔堰の正面を示す。
【図3】1段多孔堰の場合の熱対流の影響の解析例を示す。
【図4】100μmの直径の介在物の鋳型への流出率の解析検討例を示す。
【図5】実施例における介在物減少効果例を示す。
【符合の説明】
1 取鍋
2 取鍋からの注入ノズル
3 タンディッシュ
4 鋳型への溶鋼流出口
5 鋳型への注入ノズル
6 多孔堰
7 多孔堰の孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造用のタンディッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造においては、精錬工程で成分と温度を調整された溶鋼を取鍋で連続鋳造工程に輸送する。輸送された溶鋼は、連続鋳造機の鋳型に耐火物製のノズルを用いて注入されるが、取鍋から直接注入するのは溶鋼の流量の制御が難しくまた、取鍋を交換し、連続鋳造を続けて行う目的もあって、一般にはタンディッシュと呼ばれる中間容器内にノズルあるいは酸化を抑える不活性ガスでシールしたシュラウドを通して溶鋼を一旦溜めて、流量を制御しつつ鋳型内にノズルを通じて溶鋼を供給するのが一般的である。
【0003】
タンディッシュは、種々の形のものが存在するが、最も一般的には、舟の形をしたタンディッシュの中央部に取鍋からノズルを通じて溶鋼を供給し、舟の両舳先に相当する場所に設けられた上下に移動することにより流出口の断面積を制御して流量を制御する棒状のストッパー、あるいは丸孔が開いた2乃至3枚のプレートで孔の開口面積を制御し流量を制御するスライディングノズルにより、両端から溶鋼を2つの連鋳機(ストランドと呼ばれる)に供給する。
【0004】
さらに、タンディッシュは、前記のように溶鋼を1つの取鍋から2つの鋳型に注ぎ分ける機能を持つほか、通常鋼を精錬する際に不可避的に混入する酸化物であるスラグの液滴や、脱酸を行うために通常生成するアルミナなどのいわゆる非金属介在物を、その比重が鋼の比重の半分以下であることを利用して浮上分離し、鋳型内に侵入して鋼に捕捉され圧延時に疵を生成することを防止する機能も有している。
【0005】
前記のように、比重の差を利用して、介在物を浮上させるものの、鋼中には数μm径からmm単位のものまで存在しており、鋼の品質要求の高まりによって、年々介在物の浮上性改善要求が高まっている。そこで、同じタンディッシュで内部に堰を設けることにより流動を制御し、浮上分離率を高める試みとして、例えば(特許文献1)あるいは(特許文献2)には、非金属介在物の浮上性を高めるために複数の平板状の堰を配置する技術が開示されている。
【0006】
上記の通り、取鍋から注入された溶鋼中の大きな介在物が浮上してできるスラグ溜りを、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を供給するノズル周りに溜めておいて、鋳型の方へ移動させないための上堰、取鍋からタンディッシュへ注入した溶鋼が、直接鋳型の方へ流れを作らないように設けられる下堰の2つを基本的な構成要素にしたものが多く開示されている。
【0007】
一方、流体の風洞実験で知られるように、格子状の多孔板を通すことにより流れが整流化されることを利用し、タンディッシュ内の溶鋼の流れに対して垂直断面を覆う堰に多数の孔をあけて、取鍋のノズルから注入される溶鋼を攪拌領域に閉じ込めて、その後多孔を通して整流化する方法が例えば、(特許文献3)に開示されている。この様に、タンディッシュ内の溶鋼の流れを整流化させて、溶鋼を舟型のタンディッシュ両端の鋳型上部へ輸送し、その間に介在物を浮上させるというものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−224152号公報
【特許文献2】
特開平7−132353号公報
【特許文献3】
特開昭62−197251号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らも、実際の舟型のタンディッシュにおいて、前記の(特許文献3)の多孔堰を参考に、水モデル実験により孔配置を堰全体に均一に配置する等の適正化を行った堰を試作し、この堰を実湯で評価し、鋼のサンプリングを行うことにより効果を評価した。
【0010】
その結果、実際の溶鋼サンプルの評価では水モデル試験の結果とは異なり、比較的大きな介在物も鋳片内で発見され、また、汚染された鋳片の長さもモデル実験で予測されるものよりは長いという問題があることが判った。
【0011】
この原因は、溶鋼では温度むらがある場合には、タンディッシュの上部や壁で冷却された溶鋼は比重が重く下方に移動しようとし、また内部の温度が高い溶鋼は上に浮上しようとすることによって発生する熱対流によるものであると推定した。
【0012】
このため、温度変化によって発生する比重差を考慮した数値流体解析(ブシネスク近似と呼ばれる、比較的熱膨張が小さい時に用いる解法)を、実際のタンディッシュで測定した温度データをもとに調整した伝熱条件を用いて実施したところ、図3(a)に示す様に整流化したと思われていた流れが、実際には図3(b)に示す様に湯面側で速い流れになり、底部では逆流も生じ、前記のプラグフローとは程遠い流れになっているものとの推定を得た。
【0013】
実際、図3(b)に示す様な流れがある場合に、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の非金属介在物粒子を取鍋のノズルから流出させ、その軌跡を追ってみる数値解析をしてみると、湯面側の速い流れに乗って、鋳型へのノズルに流出してしまうことがわかった。
【0014】
このように、タンディッシュ内には熱対流があることは古くから知られているものの、その制御については十分できておらず、特に、今回の多孔堰については、整流化後の流れの制御を検討する必要があることがわかった。
【0015】
本発明は、清浄化の機能を高めた堰を有するタンディッシュを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)溶鋼を精錬工程から輸送する取鍋と、連続鋳造用鋳型との間に配置されるタンディッシュにおいて、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入するノズル位置と、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するノズル位置の間に設けられる堰であって、複数の孔を有し、さらに孔の総面積がタンディッシュ内の溶鋼流路断面積の50%以下である多孔堰が、複数設置されたことを特徴とする鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
(2)孔の位置がタンディッシュの幅方向に偏芯している多孔堰を、孔の偏芯方向がタンディッシュ長さ方向に対して、交互になる様に複数配列されたものが、タンディッシュ内に設置された堰の一部または全部であることを特徴とする前記(1)記載の鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の装置と作用を図面に基づいて説明する。
図1(a)は本発明に関わるタンディッシュの例を示す。図1(b)はタンディッシュ3内に設置された多孔堰6である。精錬工程を経て取鍋1により輸送された溶鋼Mは、取鍋からの注入ノズル2を経て、タンディッシュ3に注入される。注入された溶鋼Mは、鋳型(図示せず)への注入ノズル5につながる溶鋼流出口4までタンディッシュ内を輸送される。
【0018】
取鍋1からタンディッシュへ注入された溶鋼Mは、多孔堰6でせき止められて、取鍋1からの注入ノズル2まわりで攪拌されるが、多孔堰6の孔7によりフィルターのように整流化され、下流側に流出する。
【0019】
整流化された溶鋼Mは前記の熱対流の作用により、再び成層化しようとするが、下流側に設置された多孔堰6により成層化せず、整流化される。この様に、溶鋼Mは複数の多孔堰6を通過し、整流化されたまま最終的に流出口4まで運ばれる。
【0020】
ここで、多孔堰同士の間隔は特に規定するものではなく、溶鋼の整流化が保持できる長さを適宜設定すれば良いが、通常はタンディッシュ内の溶鋼深さ(溶鋼液面とタンディッシュ底部との距離)と同程度以下で設置されることが多く、また下限値は施工上可能な長さとなる。
【0021】
また、多孔堰が十分な整流化効果を発揮するには、発明者らの経験では、各堰ごとに(孔の総面積)/(タンディッシュ内溶鋼の流路断面積)×100で表される面積率を50%以下、好ましくは30%以下とすれば良い。これは、面積率が50%超の場合、圧力損失が小さくなりすぎるため、各孔を通過する溶鋼量間にばらつきが出て整流化しないためである。また、面積率は小さいほど整流効果が発揮されるため望ましいため、下限値は特に規定するものではなく、所定の鋳造速度に見合う溶鋼流量が得られる様に、孔の総面積を適宜設定すれば良い。
【0022】
発明者らは、さらに試験を重ね、上記の多孔堰6の孔7群を断面内で均等に設置するのではなく、図2(b)のように、孔7の位置がタンディッシュ3の幅方向に偏芯している多孔堰6b,6cを、その偏芯方向が幅方向に交互になる様な配列を一部に設置した。
この様に設置すれば、整流化の度合いはさらに進むことを、先に述べた数値解析によって確認した。
【0023】
図4は、堰なしの場合、多孔堰1段の場合、多孔堰3段の場合(図1)、偏芯多孔堰を含有する3段(図2)の場合に、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の介在物の鋳型への流出指数の解析検討結果を示している。ここで、鋳型への介在物流出指数とは、取鍋からの流入口で与えた介在物個数に対して、鋳型へ溶鋼を注入するノズルを通じて鋳型に流出する介在物個数の比を堰なしの場合を1として相対的に示した指数である。
【0024】
その結果、堰なしの場合や、1段多孔堰を用いた場合と比較して、本発明の装置である3段多孔堰や、偏芯多孔堰を含有する3段多孔堰を用いた場合、鋳型への大型介在物流出指数を大きく低減できることが可能である。
【0025】
【実施例】
長さ7m、上端幅1m、下端幅0.5m、深さ1mの2ストランド用タンディッシュにおいて、堰がない場合、多孔堰1段、多孔堰3段(図1)、偏芯多孔堰を含有する3段(図2)の各場合について、鋳型内で採取した溶鋼サンプル100gを電解抽出法により非金属介在物のみ取り出し、介在物の平均的な大きさ(直径)である100μm径の介在物を表すものとして、75μmから125μmの間の径の介在物の個数を調査した。
【0026】
介在物の中には、鋳型内の潤滑剤であるパウダーが巻き込まれたものも存在するが、その中にナトリウムが存在するか否かを元に、ナトリウムが存在しない介在物をタンディッシュから持ち込まれた介在物として、その個数のみカウントし比較した。
【0027】
また、各場合において、鋳型は1500mm幅、厚み250mm、鋳造速度1.5m/分で同じ条件とした。さらに、サンプリング時期も鋳造開始からの時間を10分で統一し、溶鋼のベースとなる清浄度がほぼ同じであることを、タンディッシュの入り側でとったサンプルの電解抽出により確認した。
【0028】
その結果は図5に示す様に、堰なしの場合や、1段多孔堰を用いた場合と比較して、本発明の装置である3段多孔堰や、偏芯多孔堰を含有する3段多孔堰を用いた場合、鋳型への大型介在物流出指数を著しく減少できた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の装置を用いれば、大型介在物が少ない清浄鋼の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の多段多孔堰を設けた装置の概要であり、(b)は多段多孔堰の正面を示す。
【図2】(a)は本発明の孔群を偏芯させた多段多孔堰を設けた装置の概要であり、(b)は偏芯多段多孔堰の正面を示す。
【図3】1段多孔堰の場合の熱対流の影響の解析例を示す。
【図4】100μmの直径の介在物の鋳型への流出率の解析検討例を示す。
【図5】実施例における介在物減少効果例を示す。
【符合の説明】
1 取鍋
2 取鍋からの注入ノズル
3 タンディッシュ
4 鋳型への溶鋼流出口
5 鋳型への注入ノズル
6 多孔堰
7 多孔堰の孔
Claims (2)
- 溶鋼を精錬工程から輸送する取鍋と、連続鋳造用鋳型との間に配置されるタンディッシュにおいて、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入するノズル位置と、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するノズル位置の間に設けられる堰であって、複数の孔を有し、さらに孔の総面積がタンディッシュ内の溶鋼流路断面積の50%以下である多孔堰が、複数設置されたことを特徴とする鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
- 孔の位置がタンディッシュの幅方向に偏芯している多孔堰を、孔の偏芯方向がタンディッシュ長さ方向に対して、交互になる様に複数配列されたものが、タンディッシュ内に設置された堰の一部または全部であることを特徴とする請求項1記載の鋼の連続鋳造用タンディッシュ。
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JP2003193955A JP2005028376A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 鋼の連続鋳造用タンディッシュ |
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Country Status (1)
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2007090424A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-12 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造用タンディッシュ |
JP2008178884A (ja) * | 2007-01-23 | 2008-08-07 | Jfe Steel Kk | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2008264834A (ja) * | 2007-04-20 | 2008-11-06 | Jfe Steel Kk | 連続鋳造用タンディッシュ |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003193955A patent/JP2005028376A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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