JP2024043884A - ノズルシステム - Google Patents

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希莉亜 小嶋
友一 塚口
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Abstract

【課題】取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を下向きに供給した場合に、ノズル内の二次メニスカスに溶融金属を叩き込んで多数の気泡を生成させ、且つ、当該気泡をノズル内に適切に回収することが可能なシステムを開示する。【解決手段】本開示のノズルシステムにおいては、(1)TP<5ton/min、θ>15°、H≧600mm、250mm≦LD≦450mm、且つ、150mm≦D2≦350mmがなる条件が満たされるか、(2)TP≧5ton/min、0°<θ≦15°、400mm≦LD≦600mm、且つ、150mm≦D2≦350mmなる条件が満たされるか、又は、(3)TP≧5ton/min、θ>15°、H<600mm、400mm≦LD≦600mm、且つ、150mm≦D2≦350mmなる条件が満たされる。【選択図】図3

Description

本願は取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するためのノズルシステムを開示する。
溶融金属の連続鋳造プロセスにおいて、取鍋から鋳型へと溶融金属を供給するための中間容器としてタンディッシュが用いられている。例えば、鋼の連続鋳造を想定した場合、タンディッシュは、(1)鋳型への溶鋼供給量の安定化機能、(2)複数の鋳型への溶鋼分配機能、(3)連続鋳造を複数の溶鋼鍋を用いて継続的に実施するためのバッファ機能、(4)非金属介在物の除去機能、などの複数の機能を有する。特に、清浄度が高い高級鋼材を効率的に生産する場合には、(4)非金属介在物の除去機能が極めて重要となる。
溶鋼中の非金属介在物は、主として製鋼プロセス中で発生する酸化物や窒化物、硫化物などに由来する。このような非金属介在物が最終製品に残留した場合、例えば応力集中による破壊の起点となって、最終製品の材質を低下させることが知られている。また、製鋼プロセスそのものにおいても、耐火物流路の内壁に非金属介在物が付着・堆積し、流路の狭窄化や閉塞を引き起こすことで、円滑な製造を阻害するだけでなく、鋳造等の加工時に母材の表層・内部双方に欠陥を発生させ得ることから、製品歩留まりを低下させるなど、製造コストを圧迫する要因となる。そのため、多くの場合、溶鋼成分の最終調整が行われる二次精錬から鋳型に至るまでの限られた工程で、非金属介在物を溶鋼中から除去する必要がある。
溶鋼から非金属介在物を除去するためには、一般的に、溶鋼と非金属介在物との比重差を利用して非金属介在物を溶鋼中で浮上させたうえで、フラックスと呼ばれる酸化物の浮遊層で回収する方法が採られるが、この際の浮上速度は小型の非金属介在物であるほど低下し、フラックス層で回収するまでの時間が長大化することが知られている。従って、溶鋼中の非金属介在物を低減するにあたり、非金属介在物の浮上に必要な時間を確保するためには、タンディッシュ内での非金属介在物の滞留時間を長くすることが有効と考えられる。
一般的に、溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給は、流量調整機能を有するスライディングノズルと、下端をタンディッシュの溶鋼中に浸漬して用いる筒状耐火物であるロングノズルとを介し、位置エネルギーを利用して流下させることでなされる。しかしながら、ロングノズルからの高速吐出流がタンディッシュの底部に衝突することで、ショートパスと呼ばれる鋳型へと向かう短絡流を形成し得るために(図5参照)、タンディッシュにおける溶鋼の滞留時間を確保することは必ずしも容易ではない。この課題に対する一般的な対策は、タンディッシュの内部に堰を設けることで溶鋼流を迂回させる方法であるが、タンディッシュの内部に耐火物を施工することは、材料費や施工時間、作業負荷の増大を招くうえ、堰の近傍に流れがほとんどなく浮上除去に寄与しない空間が発生するほか、迂回しながらも高速で鋳型へと向かう新たな流れが誘起され得るため、必ずしも介在物の浮上を助けない。特に、小型の介在物は、浮力が小さく、溶鋼の流れに追随しやすいため、迂回による効果は大型の介在物の除去に限定され易い。
また、製鋼プロセスにおいては、溶鋼の再酸化によって意図せずに非金属介在物が増加することに対しても注意を払わなくてはならない。一般的に、溶鋼の温度低下に伴うガス発生によって安定した鋳造が困難となることを避ける観点等から、連続鋳造に供される溶鋼は、精錬工程において脱酸処理が施され、可溶酸素濃度を大きく下回る酸素濃度となっており、非常に酸素を吸収しやすい状態にある。空気や低級酸化物と溶鋼とが接触した場合、溶鋼が酸素を吸収し、酸素との親和性が溶鋼よりも高い元素(溶鋼中に溶解しているAlやSiなど)と結びつくことで非金属介在物が生成する再酸化現象が生じてしまう。そのため、溶鋼鍋やタンディッシュにおいては、不活性ガスを用いた雰囲気の置換によりタンディッシュ内を低酸素濃度とするか、或いは、低級酸化物の含有量が少ない低反応性のフラックスを用いた溶鋼表面の被覆により溶鋼を外気から遮断する必要がある。しかしながら、ロングノズルによって溶鋼をタンディッシュに供給する場合、上記のようにノズルから吐出される溶鋼流が非常に高速であるため、タンディッシュの底部に衝突して発生した反転上昇流によってロングノズル近傍の溶鋼表面を被覆するフラックスが押し退けられ、溶鋼表面が裸湯として外気に直接曝露され、溶鋼が雰囲気内の酸素を吸収する再酸化現象が生じ得る(図5参照)。あるいは、ロングノズル近傍には取鍋から流出したFeO等の低級酸化物の濃度が高いスラグが存在するので、ロングノズル近傍の激しい溶鋼流によってスラグ中の低級酸化物による溶鋼の再酸化が生じ得る。
本発明者の新たな知見によると、上記のショートパスを抑制し、且つ、反転上昇流による裸湯を抑制するためには、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を供給する際、溶鋼の落下流をロングノズル内の湯面(二次メニスカス)に衝突させて、周囲の雰囲気を叩き込んで気泡群(プルーム)を生成し、気泡が有する大きな浮力によって溶鋼の注入流速を減少させることが有効である。しかしながら、生成したプルームがロングノズル内に保持・回収されず、ロングノズルの流出口から流出すると、タンディッシュ内の溶鋼に湯湧き(気泡がタンディッシュ湯面に浮上してフラックスを押しのけ、溶融金属の裸湯が大気に露出する現象)が発生し、溶鋼が再酸化される虞がある。
湯湧きによる再酸化を抑制するためには、ロングノズルの流出口からノズル外へと流出するプルームの量を低減する必要がある。本発明者は、特許文献1、2に開示されているようにロングノズルの下部を拡管することで、プルームがロングノズル内に保持され易くなり、且つ、プルームがロングノズル内に効率的に回収され易くなるものと考えた。しかしながら、本発明者の新たな知見によると、ロングノズルの形状や溶鋼のスループットやロングノズルの位置等により、ロングノズル内に生成するプルームの量が大きく変化し、ある条件においては十分な量のプルームが生成して溶鋼の注入速度が低減されてショートパスを抑制できる一方で、湯湧きによる再酸化の問題が生じたり、ある条件においてはプルームの生成量が少なく、湯湧きによる再酸化の問題は生じないものの、溶鋼の注入速度を低減できず、ショートパスや反転上昇流による裸湯の問題が生じたりする。すなわち、ロングノズルの形状を工夫するだけでは、タンディッシュにおけるショートパスの問題、反転上昇流や湯湧きによる溶融金属の再酸化の問題を解決することは難しい。
特開2002-001496号公報 特開平11-010292号公報
本願は、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、溶融金属の落下流をロングノズル内の二次メニスカスに衝突させて十分な量のプルームを生成させることで、ショートパスや反転上昇流による裸湯を抑制しつつ、生成したプルームをロングノズル内に効率的に保持・回収することで、湯湧きによる溶融金属の再酸化を抑制することが可能な新たな技術を開示する。
本願は上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
(態様1)
取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
前記ロングノズルが、流入口、最小径部、拡径部、直筒部及び流出口を有する筒状単孔ノズルであり、
前記最小径部が、前記流出口よりも前記流入口側に存在し、
前記拡径部が、前記最小径部から前記直筒部に至るまで存在して、前記最小径部から前記直筒部に向かうにつれてノズルの内径が拡大しており、
前記直筒部が、前記拡径部の下端から前記流出口に至るまで存在し、
前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
前記ロングノズルの内部に不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
前記二次メニスカスが、前記最小径部よりも前記流出口側に存在し、
下記条件1-1~1-5が満たされるか、下記条件2-1~2-4が満たされるか、又は、下記条件3-1~3-5が満たされる、
ノズルシステム。
条件1-1:TP<5ton/min
条件1-2:θ>15°
条件1-3:H≧600mm
条件1-4:250mm≦L≦450mm
条件1-5:150mm≦D≦350mm
条件2-1:TP≧5ton/min
条件2-2:0°<θ≦15°
条件2-3:400mm≦L≦600mm
条件2-4:150mm≦D≦350mm
条件3-1:TP≧5ton/min
条件3-2:θ>15°
条件3-3:H<600mm
条件3-4:400mm≦L≦600mm
条件3-5:150mm≦D≦350mm
ここで、TPは、溶融金属のスループットであり、
θは、ノズルの長手断面形状において、前記拡径部におけるノズル内壁面とノズルの軸とのなす角度であり、
Hは、前記最小径部から前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面までの距離であり、
は、前記ロングノズルの浸漬深さであり、
は、前記流出口におけるノズルの内径である。
(態様2)
前記条件3-3が、H≦400mmなる条件である、態様1のノズルシステム。
(態様3)
下記条件4-1が満たされる、態様1又は2のノズルシステム。
条件4-1:50mm≦D≦200mm
ここで、Dは、前記最小径部におけるノズル内径である。
(態様4)
下記条件4-2が満たされる、態様1~3のいずれかのノズルシステム。
条件4-2:0.2≦D/D≦1.0
(態様5)
前記タンディッシュが、堰を有しない、態様1~4のいずれかのノズルシステム。
本開示のノズルシステムによれば、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、ロングノズルの内部において溶融金属の落下流を二次メニスカスに衝突させて十分な量のプルームを生成させることで、ショートパスや反転上昇流による裸湯を抑制しつつ、生成したプルームをロングノズル内に効率的に回収することで、湯湧きによる溶融金属の再酸化を抑制することが可能である。
ノズルシステムにおける取鍋、ロングノズル及びタンディッシュの位置関係の一例を概略的に示している。 ノズルシステムにおけるロングノズル周辺の構成の一例を概略的に示している。 ロングノズルの断面形状の一例を概略的に示している。 ロングノズルの内部の落下流の状態の一例を概略的に示している。拡径部における拡径率が小さい(角度θが小さい)場合を示している。 ロングノズルの内部の落下流の状態の一例を概略的に示している。拡径部における拡径率が大きい(角度θが大きい)場合を示している。 従来技術における課題を概略的に示している。
1.ノズルシステム
図面を参照しつつ、実施形態に係るノズルシステムについて説明する。図1に示されるように、一実施形態に係るノズルシステム100は、取鍋101からロングノズル10を介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給するものである。図2及び図3に示されるように、前記ロングノズル10は、流入口11、最小径部12、拡径部13、直筒部14及び流出口15を有する筒状単孔ノズルである。前記最小径部12は、前記流出口15よりも前記流入口11側に存在する。前記拡径部13は、前記最小径部12から前記直筒部14に至るまで存在して、前記最小径部12から前記直筒部14に向かうにつれてノズルの内径が拡大している。前記直筒部14は、前記拡径部13の下端から前記流出口15に至るまで存在する。前記流出口15は、前記タンディッシュ102における前記溶融金属105の液面105aよりも下方、且つ、前記タンディッシュ102の底面102aよりも上方に位置する。図2、図4A及び図4Bに示されるように、前記ロングノズル10の内部には、不活性ガスを含む気相領域10aと前記溶融金属105の二次メニスカス10bとが存在する。前記二次メニスカス10bは、前記最小径部12よりも前記流出口15側に存在する。ここで、一実施形態に係るノズルシステム100においては、下記条件1-1~1-5が満たされるか、下記条件2-1~2-4が満たされるか、又は、下記条件3-1~3-5が満たされる。
条件1-1:TP<5ton/min
条件1-2:θ>15°
条件1-3:H≧600mm
条件1-4:250mm≦L≦450mm
条件1-5:150mm≦D≦350mm
条件2-1:TP≧5ton/min
条件2-2:0°<θ≦15°
条件2-3:400mm≦L≦600mm
条件2-4:150mm≦D≦350mm
条件3-1:TP≧5ton/min
条件3-2:θ>15°
条件3-3:H<600mm
条件3-4:400mm≦L≦600mm
条件3-5:150mm≦D≦350mm
ここで、TPは、溶融金属105のスループットであり、θは、ノズルの長手断面形状において、前記拡径部13におけるノズル内壁面とノズルの軸とのなす角度であり、Hは、前記最小径部12から前記タンディッシュ102における前記溶融金属105の液面105aまでの距離であり、Lは、前記ロングノズル10の浸漬深さであり、Dは、前記流出口15におけるノズルの内径である。
1.1 取鍋
取鍋101は、タンディッシュ102への溶融金属105の供給元となる容器である。図1及び図2に示されるように、ノズルシステム100において、取鍋101は、底面101aと側壁101bとを有して、溶融金属105を保持している。取鍋101は、さらに、蓋(不図示)を有していてもよい。取鍋101は、溶融金属105を保持可能な形状及び材質からなるものであればよい。また、取鍋101は、底面101aの一部に流出口101axが設けられ、ここから溶融金属105を流出できるように構成されていてもよい。流出口101axには、溶融金属105の流出量を制御するための開閉機構が設けられていてもよい。取鍋101の流出口101axにはロングノズル10が直接的又は間接的に接続され得る。例えば、図2に示されるように、取鍋101の流出口101axに対して、コレクターノズル111やスライディングノズル112を介して、ロングノズル10が接続されていてもよい。取鍋101とノズルとの接続形態は特に限定されるものではなく、例えば、嵌合によって接続可能である。何らかの中間部材を介して、取鍋101とノズルとが接続されていてもよい。
1.2 タンディッシュ
タンディッシュ102は、取鍋101からの溶融金属105の供給先となる容器である。図1及び図2に示されるように、タンディッシュ102は、底面102aと側壁102bとを有して、取鍋101から供給された溶融金属105を保持している。タンディッシュ102は、さらに、蓋102cを有していてもよい。タンディッシュ102は、溶融金属105を保持可能な形状及び材質からなるものであればよい。図1に示されるように、タンディッシュ102の底面102aの一部には流出口102axが設けられていてもよく、ここから他の容器(例えば、鋳型)へと溶融金属105を流出できるように構成されていてもよい。流出口102axには、溶融金属105の流出量を制御するための開閉機構が設けられていてもよい。タンディッシュ102の流出口102axには、ノズル20が直接的又は間接的に接続されていてもよい。タンディッシュ102とノズル20との接続形態は特に限定されるものではなく、例えば、嵌合によって接続可能である。何らかの中間部材を介して、タンディッシュ102とノズル20とが接続されていてもよい。
図2に示されるように、タンディッシュ102に供給された溶融金属105の液面105a上には、フラックスを含む浮上層106が存在していてもよい。フラックスとしては公知のフラックスを採用すればよい。このようにフラックスによって溶融金属105の液面105aを被覆することで、溶融金属105を外気から遮断することができる。また、フラックスによって溶融金属105中の非金属介在物を回収することができる。さらに、タンディッシュ102内に不活性ガスが供給されてタンディッシュ102内に外気ができるだけ入り込まない状態とされていてもよい。これにより、溶融金属105の再酸化が一層抑制され得る。尚、後述するように、本開示のノズルシステム100によれば、気泡プルームによる溶融金属105の減速効果等によって、ロングノズル10から流出した溶融金属105がタンディッシュ102の底面102aに衝突することによる反転上昇流(図5参照)を小さく抑えることができ、また、湯湧きを抑えることもでき、タンディッシュ102の液面105aが乱れ難く、液面105aの乱れによるフラックスの押し退けや途切れも生じ難いことから、裸湯による再酸化の問題が生じ難い。
図1に示されるように、タンディッシュ102は、その内部に堰を有しないものであってよい。本開示のノズルシステム100においては、ロングノズル10の内部に二次メニスカス10bが形成され、溶融金属105の落下流が当該二次メニスカス10bに衝突する際に気相を巻き込む現象(気泡プルームの形成)によって、溶融金属105の下降流速が低減され易く、タンディッシュ102における溶融金属105のショートパス(図5参照)も抑制され易いことから、タンディッシュ102の内部に堰を設けずとも溶融金属105に含まれる非金属介在物等を除去し易い。
1.3 ロングノズル
図1及び2に示されるように、溶融金属105は、ロングノズル10を介して、取鍋101からタンディッシュ102へと供給される。ロングノズル10は、上流側である取鍋101側に流入口11を備え、下流側であるタンディッシュ102側に流出口15を備える。ロングノズル10は、上流側から下流側に向かって下向きに延在する、筒状単孔のノズルである。具体的には、ロングノズル10は、鉛直方向に中心軸を有する円筒状体であってもよい。尚、ロングノズル10は、タンディッシュ102とは独立して設置されるもので、タンディッシュ102に対して固定されている必要は無い。この点、タンディッシュの蓋に設置及び固定されるいわゆる「注入管」と、本願にいうロングノズルとでは、その構成が異なるものといえる。
1.3.1 基本構成
図3に示されるように、ロングノズル10は、流入口11、最小径部12、拡径部13、直筒部14及び流出口15を有する筒状単孔ノズルである。流入口11は、他の部材(例えば、コレクターノズルといったその他のノズルの下端、或いは、取鍋の流出口等)に接続され得る。最小径部12は、流出口15よりも流入口11側に存在する。最小径部12の位置は、流入口11の位置と一致していてもよいし、流入口11よりも流出口15側に存在していてもよい。拡径部13は、最小径部12から直筒部14に至るまで存在して、最小径部12から直筒部14に向かうにつれてノズルの内径が拡大している。直筒部14は、拡径部13の下端から流出口15に至るまで存在する。図2に示されるように、流出口15は、タンディッシュ102における溶融金属105の液面105aよりも下方、且つ、タンディッシュ102の底面102aよりも上方に位置している。尚、流入口11から最小径部12に至るまでのノズル形状は、その径が最小径部12の径以上であればよい。例えば、図3に示されるように、ロングノズル10は、流入口11から最小径部12までが第2の直筒部16となっていてもよい。また、拡径部13においては、上流側から下流側に向かってノズル内径が直線的に拡大(単調増加にて拡大)していてもよいし、曲線的に拡大していてもよい。また、拡径部13においては、上流側から下流側に向かってノズル内径が連続的に拡大していてもよいし、断続的に拡大していてもよい。また、図3に示されるように、ロングノズル10は、最小径部12から流出口15に至るまでにおいて、上流側から下流側に向かって内径が縮小する縮径部を有しないほうがよく、特に、二次メニスカス10bが位置する部分と流出口15との間において、上流側から下流側に向かって内径が縮小する縮径部を有しないほうがよい。二次メニスカス10bよりも下流に縮径部が存在すると、その部分において溶融金属105の下降流速が増大して、ノズルシステム100による効果が低下する虞があるためである。
1.3.2 内径
図3に示されるように、ロングノズル10は、流入口11において内径Dを有し、二次メニスカス10bよりも上流にある最小径部12において最小の内径Dを有し、二次メニスカス10bよりも下流にある流出口15において内径Dを有するものであってもよい。二次メニスカス10bにおけるノズルの内径はD以上D以下で推移し得る。また、図2及び図3に示されるように、拡径部13におけるノズルの内径は、最小径部12側から直筒部14側に向かうにつれて増加している。D、D及びDの具体的な値や関係については後述する。尚、「内径」とは、ノズルの開口形状についての面積円相当直径である。
1.3.3 長さ
図3に示されるように、ロングノズル10は、流入口11から流出口15に至るまでに長さLを有し、流入口11から最小径部12の下流側の端部(拡径部13の上流側の端部)に至るまでに長さLを有し、最小径部12の下流側の端部(拡径部13の上流側の端部)から流出口15に至るまでに長さLを有し、直筒部14の上流側端部から流出口15に至るまでに長さLを有していてもよい。L、L、L及びLの具体的な値や関係については後述する。
1.3.4 浸漬深さ、及び、ノズル下端とタンディッシュ底面との距離
図2に示されるように、ロングノズル10の流出口15は、タンディッシュ102における溶融金属105の液面105aよりも下方、且つ、タンディッシュ102の底面102aよりも上方に位置している。すなわち、ロングノズル10は、下流側の先端部がタンディッシュ102の内部の溶融金属105に浸漬されている。図2に示されるように、ノズルシステム100においては、タンディッシュ102の溶融金属105の液面105aからロングノズル10の流出口15までの間に距離L(浸漬深さL)を有していてもよく、ロングノズル10の流出口15からタンディッシュ102の底面102aまでの間に距離Lを有していてもよい。L及びLの具体的な値や関係については後述する。
1.3.5 ノズル内の溶融金属流
溶融金属105は、所定のスループットTPにて、ロングノズル10の流入口11を介してロングノズル10の内部へと流入し、ロングノズル10の流出口15を介してロングノズル10の外部へと流出する。本発明者の新たな知見によると、ノズル内の溶融金属の流れは、拡径部13における角度θの大小によって変化し得る。角度θが小さい場合(例えば、15°以下である場合)、図4Aに示されるように、ロングノズル10の内部において、溶融金属105が、最小径部12の近傍からノズルの内壁を伝うように流れ落ちて二次メニスカス10bに衝突し得る。一方、角度θが大きい場合(例えば、15°超である場合)、図4Bに示されるように、ロングノズル10の内部において、溶融金属105が、最小径部12の近傍から自由落下によって二次メニスカス10bに衝突し得る。また、図2に示されるように、ロングノズル10は最小径部12からタンディッシュ102の液面105aまでの間に高さHを有していてもよい。高さHが大きいほど、溶融金属の落下流が二次メニスカス10bへと衝突した際に生成する気泡が増加し易い。また、図2に示されるように、ノズルシステム100においては、タンディッシュ102の溶融金属105の液面から二次メニスカス10bまでの間に高さΔHが存在していてもよい。TP、θ、H及びΔHの具体的な値については後述する。
1.4 条件1-1~1-5
本開示のノズルシステム100は、その第1形態において、上記の条件1-1~1-5が満たされる。すなわち、TP<5ton/min、θ>15°、H≧600mm、250mm≦L≦450mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされる。
1.4.1 条件1-1
本発明者の新たな知見によると、溶融金属105のスループットTPが5ton/min未満である場合、溶融金属105が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーが小さく、十分な量のプルームが生成し難い。結果として、溶融金属105の落下流をプルームによって十分に減速させることができず、ショートパスや反転上昇流が生じ易い。そのため、スループットTP以外の条件を工夫することで、プルームの生成量を増加させる必要がある。条件1-1に関して、スループットTPは、4ton/min以下、3ton/min以下又は2ton/min以下であってもよい。
1.4.2 条件1-2
スループットTPが5ton/min未満である場合に十分な量のプルームを生成させるためには、図4Bに示されるように、拡径部13における角度θを15°超と大きくして、ロングノズル10の内部において溶融金属105を自由落下させることで、溶融金属105の落下流が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーを増大させるとよい。条件1-2に関して、角度θは、16°以上、17°以上、18°以上、19°以上又は20°以上であってもよく、60°以下、50°以下、40°以下又は30°以下であってもよい。
1.4.3 条件1-3
スループットTPが5ton/min未満である場合に十分な量のプルームを生成させるためには、最小径部12から溶融金属105の液面105aまでの高さHを600mm以上と高くして、ロングノズル10の内部における溶融金属105の自由落下距離を長くすることで、溶融金属105の落下流が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーを増大させるとよい。
1.4.4 条件1-4
ノズルシステム100において、条件1-1~1-3が満たされることで、ロングノズル10の内部に適切な量のプルームを生成させることができる。このようにして適切な量のプルームを生成させた場合において、ロングノズル10の浸漬深さLが浅すぎると、ロングノズル10の内部においてプルームを保持・回収するための体積が小さくなり、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、浸漬深さLが250mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、浸漬深さLが深すぎる分には問題ない。ただし、浸漬深さLが深すぎると、ロングノズル10の流出口15とタンディッシュ102の底面102aとの距離が近くなりすぎて、反転上昇流やショートパスが発生し易くなる虞がある。この点、浸漬深さLが450mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件1-4に関して、浸漬深さLは、300mm以上又は350mm以上であってもよく、425mm以下又は400mm以下であってもよい。
1.4.5 条件1-5
ノズルシステム100において、条件1-1~1-3が満たされることで、ロングノズル10の内部に適切な量のプルームを生成させることができる。このようにして適切な量のプルームを生成させた場合において、ロングノズル10の流出口15の内径Dが小さすぎると、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、内径Dが150mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、内径Dが大きい分には問題ない。ただし、内径Dが大きすぎると、ロングノズル10の重量が過度に増加する虞がある。この点、内径Dが350mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件1-5に関して、内径Dは、200mm以上又は250mm以上であってもよく、325mm以下又は300mm以下であってもよい。
1.5 条件2-1~2-4
本開示のノズルシステム100は、その第2形態において、上記の条件2-1~2-4が満たされる。すなわち、TP≧5ton/min、0°<θ≦15°、400mm≦L≦600mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされる。
1.5.1 条件2-1
本発明者の新たな知見によると、溶融金属105のスループットTPが5ton/min以上である場合、溶融金属105が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーが大きく、過剰な量のプルームが生成して湯湧きが発生し易い。そのため、スループットTP以外の条件を工夫することで、プルームの生成量を抑えること、及び/又は、生成したプルームがロングノズル10の流出口15から流出しないようにすることが必要となる。条件2-1に関して、スループットTPは、6ton/min以上、7ton/min以上、8ton/min以上又は9ton/min以上であってもよい。TPの上限は特に限定されず、ノズルシステム100の操業条件によって適切なTPが決定されればよい。TPは、15ton/min以下、13ton/min以下又は10ton/min以下であってもよい。
1.5.2 条件2-2
スループットTPが5ton/min以上である場合にプルームの生成量を抑えるためには、図4Aに示されるように、拡径部13における角度θを15°以下と小さくして、ロングノズル10の内部において溶融金属105がノズル内壁を伝って流れ落ちるようにすることで、溶融金属105が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーを減少させるとよい。条件2-2に関して、角度θは、14°以下、13°以下、12°以下、11°以下又は10°以下であってもよく、0°超であり、2°以上、4°以上、6°以上又は8°以上であってもよい。
1.5.3 条件2-3
本発明者の新たな知見によると、ノズルシステム100において、条件2-1及び2-2が満たされた場合、ロングノズル10の内部におけるプルームの生成量をある程度抑えることができるものの、プルームの生成量が依然として多い傾向にある。このようにプルームの生成量が多い場合に、ロングノズル10の浸漬深さLが浅すぎると、ロングノズル10の内部においてプルームを保持・回収するための体積が小さくなり、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、浸漬深さLが400mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、浸漬深さLが深すぎる分には問題ない。ただし、浸漬深さLが深すぎると、ロングノズル10の流出口15とタンディッシュ102の底面102aとの距離が近くなりすぎて、反転上昇流やショートパスが発生し易くなる虞がある。この点、浸漬深さLが600mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件2-3に関して、浸漬深さLは、425mm以上又は450mm以上であってもよく、550mm以下又は500mm以下であってもよい。
1.5.4 条件2-4
上述の通り、ノズルシステム100において、条件2-1~2-3が満たされた場合、プルームの生成量が多い傾向にあるものの、浸漬深さLが調整されることで、湯湧きの発生が抑制され得る。ただし、浸漬深さLが調整されたとしても、ロングノズル10の流出口15の内径Dが小さすぎると、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、内径Dが150mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、内径Dが大きい分には問題ない。ただし、内径Dが大きすぎると、ロングノズル10の重量が過度に増加する虞がある。この点、内径Dが350mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件2-4に関して、内径Dは、200mm以上又は250mm以上であってもよく、325mm以下又は300mm以下であってもよい。
尚、上述の通り、ノズルシステム100において条件2-2が満たされる場合、ロングノズル10の内部において溶融金属105がノズル内壁を伝って流れ落ちることとなる。そのため、最小径部12から溶融金属105の液面105aまでの高さHが変化したとしても、プルームの生成量は実質的に変わらない。すなわち、条件2-1~2-4が満たされる場合、高さHに特に制限はない。この場合の高さHは、例えば、100mm以上1000mm以下であってもよい。
1.6 条件3-1~3-5
本開示のノズルシステム100は、その第3形態において、上記の条件3-1~3-5が満たされる。すなわち、TP≧5ton/min、θ>15°、H<600mm、400mm≦L≦600mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされる。
1.6.1 条件3-1
上述の通り、溶融金属105のスループットTPが5ton/min以上である場合、溶融金属105が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーが大きく、過剰な量のプルームが生成して湯湧きが発生し易い。そのため、スループットTP以外の条件を工夫することで、プルームの生成量を抑えること、及び/又は、生成したプルームがロングノズル10の流出口15から流出しないようにすることが必要となる。条件3-1に関して、スループットTPは、6ton/min以上、7ton/min以上、8ton/min以上又は9ton/min以上であってもよい。スループットTPの上限は特に限定されず、ノズルシステム100の操業条件によって適切なTPが決定されればよい。TPは、15ton/min以下、13ton/min以下又は10ton/min以下であってもよい。
1.6.2 条件3-2
スループットTPが5ton/min以上である場合において、図4Bに示されるように、拡径部13における角度θを15°超と大きくして、ロングノズル10の内部において溶融金属105を自由落下させて、二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーを増大させた場合、ロングノズル10の内部におけるプルームの生成量がさらに増加する。そのため、TP及びθ以外の条件を工夫することで、プルームの生成量を抑えること、及び/又は、生成したプルームがロングノズル10の流出口15から流出しないようにすることが必要となる。条件3-2に関して、角度θは、16°以上、17°以上、18°以上、19°以上又は20°以上であってもよく、60°以下、50°以下、40°以下又は30°以下であってもよい。
1.6.3 条件3-3
スループットTPが5ton/min以上で、且つ、角度θが15°超である場合に、ロングノズル10の内部におけるプルームの生成量を抑えるためには、最小径部12から溶融金属105の液面105aまでの高さHを600mm未満と低くして、ロングノズル10の内部における溶融金属105の自由落下距離を短くすることで、溶融金属105の落下流が二次メニスカス10bに衝突した際のエネルギーを減少させるとよい。条件3-3に関して、高さHは、550mm以下、500mm以下、450mm以下又は400mm以下であってもよい。高さHの下限は特に限定されず、ノズルシステム100の操業条件によって適切な高さHが決定されればよい。高さHは、200mm以上、250mm以上、300mm以上又は350mm以上であってもよい。
1.6.4 条件3-4
本発明者の新たな知見によると、ノズルシステム100において、条件3-1~3-3が満たされた場合、ロングノズル10の内部におけるプルームの生成量をある程度抑えることができるものの、プルームの生成量が依然として多い傾向にある。このようにプルームの生成量が多い場合に、ロングノズル10の浸漬深さLが浅すぎると、ロングノズル10の内部においてプルームを保持・回収するための体積が小さくなり、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、浸漬深さLが400mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、浸漬深さLが深すぎる分には問題ない。ただし、浸漬深さLが深すぎると、ロングノズル10の流出口15とタンディッシュ102の底面102aとの距離が近くなりすぎて、反転上昇流やショートパスが発生し易くなる虞がある。この点、浸漬深さLが600mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件3-4に関して、浸漬深さLは、425mm以上又は450mm以上であってもよく、550mm以下又は500mm以下であってもよい。
1.6.5 条件3-5
上述の通り、ノズルシステム100において、条件3-1~3-4が満たされた場合、プルームの生成量が多い傾向にあるものの、浸漬深さLが調整されることで、湯湧きの発生が抑制され得る。ただし、浸漬深さLが調整されたとしても、ロングノズル10の流出口15の内径Dが小さすぎると、ロングノズル10の流出口15から気泡が流出して、湯湧きが発生してしまう。この点、内径Dが150mm以上であれば、このような問題が生じ難い。一方、湯湧きを抑制する観点からは、内径Dが大きい分には問題ない。ただし、内径Dが大きすぎると、ロングノズル10の重量が過度に増加する虞がある。この点、内径Dが350mm以下であれば、このような問題が生じ難い。条件3-5に関して、内径Dは、200mm以上又は250mm以上であってもよく、325mm以下又は300mm以下であってもよい。
1.7 その他の条件
以下、第1形態、第2形態及び第3形態の各々に共通する条件について説明する。
1.7.1 流入口における内径D
流入口11におけるノズルの内径Dは、後述の最小径部12におけるノズルの内径Dと実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。流入口11におけるノズルの内径Dは、例えば、70mm以上又は100mm以上であってもよく、200mm以下、170mm以下又は150mm以下であってもよい。
1.7.2 最小径部における内径D
最小径部12におけるノズルの内径Dは、例えば、下記条件4-1を満たすものであってもよい。内径Dは、70mm以上又は90mm以上であってもよく、190mm以下、180mm以下又は150mm以下であってもよい。また、最小径部12におけるノズルの内径Dと、流出口15におけるノズルの内径Dとの比D/Dは、下記条件4-2を満たすものであってもよい。比D/Dは、0.3以上又は0.4以上であってもよく、0.9以下又は0.8以下であってもよい。
条件4-1:50mm≦D≦200mm
条件4-2:0.2≦D/D≦1.0
1.7.3 ロングノズルの長さL
ロングノズル10は、流入口11から流出口15に至るまでに長さ(全長)Lを有し得る。長さLは、後述の長さLと長さLとの合計に等しい。
1.7.4 流入口から最小径部の下流側端部までの長さL
ロングノズル10は、流入口11から最小径部12の下流側の端部(拡径部13の上流側の端部)に至るまでに長さLを有していてもよい。また、上述の通り、ロングノズル10は、流入口11から最小径部12までが第2の直筒部16となっていてもよい。このような直筒部16を備えることで、ノズル内の溶融金属105の流速及び流通方向が安定化し、ノズル内の気相領域10aや二次メニスカス10bが安定し、直筒部16よりも下流側において安定してプルームを生成させ易くなる。この場合、長さLは、第2の直筒部16の長さと一致し得る。長さLは、例えば、250mm以上又は500mm以上であってもよく、1000mm以下又は800mm以下であってもよい。
1.7.5 最小径部の下流側端部から流出口までの長さL
最小径部12の下流側の端部(拡径部13の上流側の端部)から流出口15に至るまでに長さLは、例えば、300mm以上、400mm以上又は500mm以上であってもよく、1200mmm以下、1000mm以下又は800mm以下であってもよい。また、長さLと長さLとの比L/Lは、例えば、0.3以上、0.4以上又は0.5以上であってもよく、2.0以下、1.8以下又は1.6以下であってもよい。長さLが長いほど、ノズル内部の二次メニスカス10bからノズル下端までの体積が大きくなり易く、プルームの保持体積が大きくなり易い。そのため、溶融金属の流速を減速させる効果、非金属介在物を上昇させる効果等の種々の効果が一層顕著に得られ易くなる。一方、長さLが長すぎると、これら効果が飽和するほか、ノズル重量が過度に重くなり易い。また、長さLが長すぎても短すぎても、上記の高さHや浸漬深さLに係る条件を満たすことができなくなる虞がある。
1.7.6 直筒部の上流側端部から流出口に至るまでの長さL
直筒部14の上流側端部から流出口15に至るまでの長さLは、例えば、300mm以上、350mm以上又は400mm以上であってもよく、1000mm以下、900mm以下又は800mm以下であってもよい。また、長さLと長さLとの比L/Lは、例えば、0.3以上、0.4以上又は0.5以上であってもよく、2.0以下、1.8以下又は1.6以下であってもよい。長さLが長いほど、ロングノズル10の内部においてプルームを保持・回収するための体積が大きくなり易く、また、浸漬深さLを大きくし易い。
1.7.7 流出口からタンディッシュの底面までの距離L
ロングノズル10の流出口15からタンディッシュ102の底面102aまでの距離Lは、例えば、200mm以上900mm以下であってもよい。また、浸漬深さLと距離Lとの比L/Lは、例えば、0.2以上2.0以下であってもよい。また、流出口15におけるノズルの内径Dと距離Lとの比D/Lは、例えば、0.2以上2.0以下であってもよい。
1.7.8 二次メニスカス高さΔH
上述の通り、ロングノズル10の内部には気相領域10a及び二次メニスカス10bが形成される。ここで、気相領域10aの圧力によって、二次メニスカス10bの高さΔHが若干変化し得る。二次メニスカス高さΔHは、下記式(1)で定義され得る。ノズルシステムにおいては、二次メニスカスの高さΔHが、-10cm以上20cm以下とされてもよい。ΔHは-7cm以上、-5cm以上、-3cm以上又は-1cm以上であってもよく、10cm以下、7cm以下、5cm以下、3cm以下又は1cm以下であってもよい。
ΔH=(P-P)/(ρ・g) …(1)
ここで、Pは、タンディッシュ102内の雰囲気圧力であり、
は、ロングノズル10内の気相領域10aの圧力であり、
ρは、溶融金属105の密度であり、
gは、重力加速度である。
1.7.9 タンディッシュにおける平均滞留時間τ
タンディッシュ102における溶融金属105の平均滞留時間τは、例えば、240秒以上であってもよい。タンディッシュ102内の平均滞留時間τが短過ぎると、溶融金属105について十分な清浄化効果を得ることが難しくなる虞がある。同時間が240秒以上であることで、例えば、50~100ミクロン程度の介在物も浮上によって除去され易くなるものと考えられる。同時間の上限値は特に限定されないが、連続鋳造の定常操業時に同時間が1500秒を超えることは現実的でない。平均滞留時間τが長すぎるとタンディッシュ102における溶融金属105の温度低下が大きくなり過ぎるからである。尚、平均滞留時間τは、タンディッシュ102の容量Vτ(cm)と、ノズルからの溶融金属の流量Q(cm/s)との比Vτ/Qとして計算され得る。
1.8 その他の構成
1.8.1 コレクターノズル
図2に示されるように、ノズルシステムにおいては、ロングノズル10の上流にコレクターノズル111が設けられていてもよい。コレクターノズル111は、その上流側の端部が、直接的又は間接的に取鍋101に接続され得る。また、コレクターノズル111は、その下流側の端部が、ロングノズル10の上流側の端部に接続され得る。コレクターノズル111は、ロングノズル10との接続部において、内径Dを有していてもよい。Dの具体的な値は特に限定されるものではない。例えば、Dと上述のDとが1.0≦D/D≦1.4なる関係を満たしていてもよい。すなわち、ロングノズル10とコレクターノズル111との接続部において、コレクターノズル111の内径D(cm)に対するロングノズル10の最小の内径D(cm)の比D/Dが1.0以上1.4以下であってもよい。この比が小さ過ぎると、ロングノズル10とコレクターノズル111との接続部又はその近傍で、上流側から下流側に向かって縮径することによる段差が生じる場合があり、溶融金属105の漏洩や耐火物の異常損耗を引き起こす虞がある。一方、この比が大き過ぎると、ロングノズル10の側面からの放熱の影響でロングノズル10の内壁に溶融金属105が固着し易くなる。また、ロングノズル10の重量が無用に増加する虞もある。コレクターノズル111は、従来公知のコレクターノズルから適宜選定して構成されてもよい。ロングノズル10とコレクターノズル111との接続部における構造は従来と同様であってよい。例えば、ロングノズル10の上端部とコレクターノズル111の下端部とを互いに嵌め合わせることで接続部が構成されていてもよい。
1.8.2 スライディングノズル
図2に示されるように、ノズルシステムにおいては、コレクターノズル111の上流に流量調整機構112が設けられてもよい。流量調整機構112の具体例としては、例えば、図2に示されるようなスライディングノズルが挙げられる。スライディングノズルにおいては、流通口を有する少なくとも一枚のスライド板112aが、溶融金属105の流通方向とは交差する方向にスライドされることで、流路径が変化し得る。或いは、流量調整機構112は、スライディングノズル以外の開閉機構であってもよい。流量調整機構112の形態については公知であることから、ここではこれ以上の説明を省略する。
1.8.3 不活性ガス供給機構
図2に示されるように、ノズルシステムにおいては、ロングノズル10の外部から内部へと不活性ガスが供給されて、ロングノズル10の内部に不活性ガスを含む気相領域10aと二次メニスカス10bとが形成されるようにしてもよい。ロングノズル10の外部から内部へと不活性ガスを供給する方法や手段は特に限定されない。例えば、図2に示されるように、ノズルシステムは、ロングノズル10の外部から内部へと不活性ガスを供給する、不活性ガス供給機構113を有していてもよい。尚、取鍋101からノズルを介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給する場合、取鍋101とノズルとの接続部やノズル同士の接続部等からエジェクタ効果によってロングノズル10の内部へと外気が取り込まれる場合があるが、ノズルシステムにおいては、これとは別に、ロングノズル10の内部へと不活性ガスを意図的に供給する機構113が採用され得る。
図2に示されるように、ノズルシステム100においては、溶融金属105の供給中に、ロングノズル10の内部に気相領域10a及び二次メニスカス10bが形成され、且つ、二次メニスカス高さΔHが所定の範囲に維持されるようにしてもよい。ノズルシステム100がロングノズル10の内部へと不活性ガスを供給する機構113を有することで、ロングノズル10の内部において気相領域10aを維持し易くなり、二次メニスカス高さΔHの制御もより容易となる。不活性ガスとしては、例えば、Arが挙げられる。ロングノズル10に対する不活性ガスの供給量は特に限定されるものではなく、また、気相領域10aにおける圧力も特に限定されるものではない。不活性ガス供給機構113は、不活性ガスの供給量や圧力を制御する制御部を備えていてもよい。例えば、制御部からの信号等に基づいて、不活性ガス供給弁の開閉制御等が行われ、不活性ガスの供給量や圧力が目標値に制御され得る。
ロングノズル10の内部へと不活性ガスを供給する機構113の具体的な形態は限定されない。例えば、不活性ガス供給源(高圧の不活性ガスが充填された容器等)とロングノズル10とを配管や弁等を介して直接的又は間接的に接続することで、当該機構113が構成され得る。或いは、不活性ガス供給源とロングノズル10よりも上流側の位置(例えば、コレクターノズル111、スライディングノズル112又は取鍋101)とを接続して、不活性ガスが供給された溶融金属105がロングノズル10に流入するようにしてもよい。ただし、不活性ガス供給機構113がロングノズル10に対して直接的に接続された場合、或いは、ロングノズル10の近傍に接続された場合のほうが、ロングノズル10に吹き込まれる不活性ガスの量を制御し易くなる。例えば、上記の機構113によって不活性ガスが供給される位置は、ロングノズル10とコレクターノズル111との接続部又はその近傍であってよく、具体的には、接続部から100mmの範囲内にあってもよい。この範囲内であれば、上記の機構113を設置し易い。また、この範囲内において不活性ガスが供給されることで、ロングノズル10の内部に気相領域10aを一層形成し易くなる。或いは、不活性ガス供給機構113はロングノズル10の拡径部13に設けられていてもよい。
1.8.4 タンディッシュ内の堰
上述したように、本開示のノズルシステムにおいては、タンディッシュ102の内部に溶融金属105の流動制御機能を有する堰を設ける必要がない。本開示のノズルシステム100によれば、堰を使わずともショートパスを防止することが可能である。むしろ、タンディッシュ102に堰を設置すると、デッドゾーンと呼ばれる淀み域を形成して実質タンディッシュ容量を減じる問題や、コスト増大の問題がある。
1.8.5 高さ寸法
本開示のノズルシステム100の高さ方向寸法は特に限定されない。同寸法は、取鍋101側のコレクターノズル111とタンディッシュ102の液面105aとの距離や、ロングノズル10の浸漬深さL等から決定され、概ね1m~2.5mとなる場合が多い。
1.8.6 溶融金属の種類
本開示のノズルシステム100において、取鍋101からロングノズル10を介してタンディッシュ102へと供給される溶融金属105の種類に特に制限はない。特に、溶融金属105が溶鋼である場合に、本開示のノズルシステムによる高い効果が期待できる。溶鋼の鋼種は特に限定されない。
1.9 作用・効果
以上の通り、本開示のノズルシステム100においては、条件1-1~1-5、条件2-1~2-4、又は、条件3-1~3-5が満たされることで、取鍋101からロングノズル10を介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給する際、ロングノズル10の内部において溶融金属105の落下流を二次メニスカス10bに衝突させて十分な量のプルームを生成させることで、ショートパスや反転上昇流による裸湯を抑制しつつ、生成したプルームをロングノズル10内に効率的に回収することで、湯湧きによる溶融金属105の再酸化を抑制することが可能である。
2.溶融金属の連続鋳造方法
本開示の技術は、溶融金属の連続鋳造方法としての側面も有する。本開示の溶融金属の連続鋳造方法は、上記本開示のノズルシステム100を用いることに特徴がある。本開示の連続鋳造方法は、例えば、本開示のノズルシステム100を用いて、取鍋101からロングノズル10を介してタンディッシュ102へと溶融金属105を供給すること、タンディッシュ102からノズル20を介して鋳型(不図示)へと溶融金属105を供給すること、及び、鋳型から鋳片を連続的に引き抜くこと、を含み得る。本開示の溶融金属の連続鋳造方法においては、上記のノズルシステム100が採用されることを除いて、一般的な連続鋳造条件が採用され得る。或いは、上述したように、平均滞留時間τが所定以上となるように調整されてもよい。
3.補足
尚、上記した種々の指標とその適正範囲の探索には、本出願人による特許第6750533号による実験装置を活用することができる。当該実験装置は、溶融金属流に作用する重力、慣性力、粘性力及び表面張力の影響を忠実に再現し、気泡の浮力や浮上速度を含めた気液二相流現象を精度よく再現できる装置である。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
1.予備実験
水を作業流体とするモデル実験を行なった。作業流体である水(以下、単に水と標記する)は、ロングノズルの拡径部の開始位置までは内壁に沿って流れ、拡径部の角度θが15°未満の場合、そのまま内壁に沿ってロングノズルの内部の二次メニスカスに衝突することを確認した(図4A)。一方、拡径部の角度θが15°以上の場合は、水の流れが内壁面から離れ、完全な自由落下流として二次メニスカスに衝突することを確認した(図4B)。水のスループットを同じ量とした場合、後者のほうが気泡(プルーム)の生成量が多くなることが分かった。
また、水モデル実験により、気泡の生成量が過剰に少ないと、水の下降流の流速低減効果が小さくなり、ショートパスが発生し易くなることを確認した。一方で、気泡の生成量が過剰に多いと、ロングノズルの下部を拡管しても、プルームをロングノズル内に回収することが難しくなり、湯湧きが発生することを確認した。また、プルームの生成量は、水の流量(スループット)、自由落下距離、落下流の表面乱れによって変化することを確認した。例えば、水のスループットTPが大きく、自由落下距離Hが長く、落下流の表面乱れが大きいほど気泡の生成量は多くなることを確認した。例えば、スループットが溶融金属に換算して5ton/min未満と小さく、拡径部の角度θが15°未満と小さい場合、プルームの生成量が少なく(図4A)、ショートパスが形成され易い。一方、スループットが溶融金属に換算して5ton/min以上と大きく、拡径部の角度θが15°以上で、且つ、拡径部の開始位置がタンディッシュ湯面から離れていると、プルームの生成量が多くなり(図4B)、ロングノズル下部を拡管してもプルームを回収することが難しい。
種々の条件にて予備実験を行ったところ、水のスループットTPが溶融金属に換算して5ton/min未満と小さい場合は、拡径部の角度θを15°以上とし、且つ、拡径部の開始位置をタンディッシュ湯面から離れた位置(600mm≦H)とし、自由落下距離を稼ぐことで、プルームの生成量を適切な量とすることができることが確認された(第1形態)。また、スループットTPが溶融金属に換算して5ton/min以上と大きい場合、拡径部の角度θを15°以下として、ノズル内壁を伝うように溶融金属を流れ落としつつ二次メニスカスに衝突させることで、プルームの生成量が適切な量に抑えられることが確認された(第2形態)。或いは、スループットTPが溶融金属に換算して5ton/min以上と大きく、拡径部の角度θが15°以上と大きい場合、拡径部の開始位置をタンディッシュ湯面近傍に設定(H<600mm、好ましくはH≦400mm)し、自由落下距離を短くすることで、プルームの生成量を適切な量に抑えられることが確認された(第3形態)。
2.連続鋳造試験
連続鋳造試験を行い、溶融金属の流量(スループット)、自由落下距離、落下流の表面乱れ等の関係を確認し、上記の第1~第3形態に係る効果が妥当であることを確認した。具体的には、図1~図3に示されるようなシステムを用いて鋼の連続鋳造を行った。下記表1に、実施例及び比較例の各々の連続鋳造条件を示す。表1におけるTP、D、D、D、θ、L、L、L、L、L及びHについては、図2及び図3に示される通りである。また、下記表2に、実施例及び比較例にて採用した鋳片の組成を示す。
尚、表1における「鋼の清浄度指数」とは、厚み250mm幅1800mmに凝固した鋳片内の介在物濃度を幅中央1/4厚み、1/4幅1/4厚み、3/4幅1/4厚み、幅中央3/4厚み、1/4幅3/4厚み、3/4幅3/4厚み、の6か所から採取した5mm角×50mm長さ(鋳造方向長さ)の試料中の酸化物総量(T.O)として分析した値を、後に示す比較例4の値を10として指数化したものである。当該指数が小さいほど、溶鋼の清浄度が高い。
ロングノズル中の気泡がノズル外へ流出すると、その気泡がタンディッシュ湯面に浮上して湯湧きを引き起こす。表1における「気泡の回収率」とは、湯湧きの発生状況をカメラで撮影し、その程度により、以下の基準で評価したものである。
〇:湯湧きが全く発生しない
△:湯湧きが時々発生する
×:湯湧きが常時発生する
Figure 2024043884000002
Figure 2024043884000003
実施例1~4は、TP<5ton/min、θ>15°、H≧600mm、250mm≦L≦450mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件を満たす例であり、上記の第1形態に相当する。実施例1~4においては、スループットTPが小さいものの、拡径部の角度θを大きくし、且つ、高さHを高くすることで、ロングノズルの内部において溶鋼がノズル壁面から離れて自由落下流として二次メニスカスに叩き込まれて多くの気泡(プルーム)が生成した。実施例1~4については、十分な量のプルームが生成し、且つ、それをロングノズル内に回収することができたため、タンディッシュにおける湯湧きやショートパスの発生が抑制され、鋼の清浄度が向上したものと考えられる。これに対し、比較例1においては、TP<5ton/min、250mm≦L≦450mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされるものの、θ>15°、且つ、H≧600mmなる条件が満たされなかったため、ロングノズルの内部におけるプルームの生成量が不足し、ショートパスが発生して、鋼の清浄度指数が悪化したものと考えられる。
実施例5~8は、TP≧5ton/min、0°<θ≦15°、400mm≦L≦600mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件を満たす例であり、上記の第2形態に相当する。実施例5~8おいては、スループットTPが大きいものの、拡径部の角度θを小さくし、浸漬深さLを深くすることで、ロングノズルの内部に適切な量のプルームが生成し、且つ、それをロングノズル内に回収することができたため、タンディッシュにおける湯湧きやショートパスの発生が抑制され、鋼の清浄度が向上したものと考えられる。これに対し、比較例2においては、TP≧5ton/min、0°<θ≦15°、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされるものの、400mm≦L≦600mmなる条件が満たされなかったため、生成したプルームをロングノズル内に保持・回収することができず、湯湧きが発生して、鋼の清浄度指数が悪化したものと考えられる。
実施例9~12は、TP≧5ton/min、θ>15°、H<600mm、400mm≦L≦600mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件を満たす例であり、上記の第3形態に相当する。実施例9~12においては、スループットTPが大きく、拡径部の角度θが大きいものの、高さHを低くし、且つ、浸漬深さLを深くすることで、ロングノズルの内部に適切な量のプルームが生成し、且つ、それをロングノズル内に回収することができたため、タンディッシュにおける湯湧きやショートパスの発生が抑制され、鋼の清浄度が向上したものと考えられる。これに対し、比較例3においては、TP≧5ton/min、θ>15°、400mm≦L≦600mm、且つ、150mm≦D≦350mmなる条件が満たされるものの、H<600mmなる条件が満たされなかったため、プルームが過剰に生成し、生成したプルームをロングノズル内に保持・回収することができず、湯湧きが発生して、鋼の清浄度指数が悪化したものと考えられる。
また、比較例4は、ロングノズルの流出口の内径Dが小さ過ぎたため、ロングノズルの内部に生成したプルームが流出口から流出し、且つ、生成したプルームをロングノズル内に保持・回収することができず、湯湧きが発生して、鋼の清浄度指数が悪化したものと考えられる。
尚、上記実施例では、溶融金属として所定の組成を有する溶鋼を用いた場合を例示したが、上記実施例による効果は、溶鋼以外の溶融金属を用いた場合にも同様に期待できる。
3.まとめ
以上の結果から、以下のノズルシステムによれば、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、ロングノズルの内部において溶融金属の落下流を二次メニスカスに衝突させて十分な量のプルームを生成させることで、ショートパスや反転上昇流による裸湯を抑制しつつ、生成したプルームをロングノズル内に効率的に回収することで、湯湧きによる溶融金属の再酸化を抑制することが可能であるといえる。
取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
前記ロングノズルが、流入口、最小径部、拡径部、直筒部及び流出口を有する筒状単孔ノズルであり、
前記最小径部が、前記流出口よりも前記流入口側に存在し、
前記拡径部が、前記最小径部から前記直筒部に至るまで存在して、前記最小径部から前記直筒部に向かうにつれてノズルの内径が拡大しており、
前記直筒部が、前記拡径部の下端から前記流出口に至るまで存在し、
前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
前記ロングノズルの内部に不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
前記二次メニスカスが、前記最小径部よりも前記流出口側に存在し、
下記条件1-1~1-5が満たされるか、下記条件2-1~2-4が満たされるか、又は、下記条件3-1~3-5が満たされる、
ノズルシステム。
条件1-1:TP<5ton/min
条件1-2:θ>15°
条件1-3:H≧600mm
条件1-4:250mm≦L≦450mm
条件1-5:150mm≦D≦350mm
条件2-1:TP≧5ton/min
条件2-2:0°<θ≦15°
条件2-3:400mm≦L≦600mm
条件2-4:150mm≦D≦350mm
条件3-1:TP≧5ton/min
条件3-2:θ>15°
条件3-3:H<600mm
条件3-4:400mm≦L≦600mm
条件3-5:150mm≦D≦350mm
ここで、TPは、溶融金属のスループットであり、
θは、ノズルの長手断面形状において、前記拡径部におけるノズル内壁面とノズルの軸とのなす角度であり、
Hは、前記最小径部から前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面までの距離であり、
は、前記ロングノズルの浸漬深さであり、
は、前記流出口におけるノズルの内径である。
100 ノズルシステム
101 取鍋
101a 底面
101b 側壁
102 タンディッシュ
102a 底面
102b 側壁
102c 蓋
105 溶融金属
10 ロングノズル
11 流入口
12 最小径部
13 拡径部
14 直筒部
15 流出口
16 第2の直筒部
10a 気相領域
10b 二次メニスカス
111 コレクターノズル
112 流量調整機構(スライディングノズル)
112a スライド板
113 不活性ガス供給機構
20 ノズル

Claims (5)

  1. 取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
    前記ロングノズルが、流入口、最小径部、拡径部、直筒部及び流出口を有する筒状単孔ノズルであり、
    前記最小径部が、前記流出口よりも前記流入口側に存在し、
    前記拡径部が、前記最小径部から前記直筒部に至るまで存在して、前記最小径部から前記直筒部に向かうにつれてノズルの内径が拡大しており、
    前記直筒部が、前記拡径部の下端から前記流出口に至るまで存在し、
    前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
    前記ロングノズルの内部に不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
    前記二次メニスカスが、前記最小径部よりも前記流出口側に存在し、
    下記条件1-1~1-5が満たされるか、下記条件2-1~2-4が満たされるか、又は、下記条件3-1~3-5が満たされる、
    ノズルシステム。
    条件1-1:TP<5ton/min
    条件1-2:θ>15°
    条件1-3:H≧600mm
    条件1-4:250mm≦L≦450mm
    条件1-5:150mm≦D≦350mm
    条件2-1:TP≧5ton/min
    条件2-2:0°<θ≦15°
    条件2-3:400mm≦L≦600mm
    条件2-4:150mm≦D≦350mm
    条件3-1:TP≧5ton/min
    条件3-2:θ>15°
    条件3-3:H<600mm
    条件3-4:400mm≦L≦600mm
    条件3-5:150mm≦D≦350mm
    ここで、TPは、溶融金属のスループットであり、
    θは、ノズルの長手断面形状において、前記拡径部におけるノズル内壁面とノズルの軸とのなす角度であり、
    Hは、前記最小径部から前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面までの距離であり、
    は、前記ロングノズルの浸漬深さであり、
    は、前記流出口におけるノズルの内径である。
  2. 前記条件3-3が、H≦400mmなる条件である、
    請求項1に記載のノズルシステム。
  3. 下記条件4-1が満たされる、
    請求項1に記載のノズルシステム。
    条件4-1:50mm≦D≦200mm
    ここで、Dは、前記最小径部におけるノズル内径である。
  4. 下記条件4-2が満たされる、
    請求項3に記載のノズルシステム。
    条件4-2:0.2≦D/D≦1.0
  5. 前記タンディッシュが、堰を有しない、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のノズルシステム。
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