JP2017064778A - 連続鋳造用の上ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】溶鋼容器から鋳型への溶鋼注入孔に設ける連続鋳造用の上ノズルとそれを用いた連続鋳造において、鋳型内溶鋼への不活性ガスの流入を抑制しつつ、鋳型内に流入する介在物を低減し、タンディッシュ湯面の波立ちを防止する。【解決手段】連続鋳造用の注入孔に設ける上ノズル1にガス吹き込み孔2を設け、ガス吹き込み孔2の断面積合計A(m2)と、上ノズル1内の不活性ガスが流れる流路3の容積Vg(m3)との関係が、下記(1)式を満たす上ノズル1とする。Vg/A≧50(m) (1)【選択図】図3

Description

本発明は、タンディッシュをはじめとする溶鋼容器から鋳型への溶鋼注入孔に設ける、連続鋳造用の上ノズルに関するものである。
鋼の連続鋳造においては、取鍋に収容した溶鋼を、まず中間の溶鋼容器であるタンディッシュに移注し、さらにタンディッシュ底部の溶鋼注入孔に接続された浸漬ノズルを通して鋳型内に注入され、連続鋳造鋳片を形成する。
転炉などの精錬炉で溶製した溶鋼を取鍋に出鋼するに際し、さらには二次精錬を行うに際し、溶鋼中に脱酸生成物としての非金属介在物が生成し、浮上分離しきれずに溶鋼中に懸濁しているものもある。また、取鍋からタンディッシュへの移注時、及びタンディッシュ内滞留中に溶鋼が空気と接触して酸化物や窒化物が生成することで非金属介在物が増大し、また取鍋の溶鋼上部あるいはタンディッシュ上部のスラグが溶鋼中に懸濁して非金属介在物として溶鋼中に残存する。これら非金属介在物が溶鋼中に残存したままで鋳型内に注入されると、鋳型内で浮上分離しきれずに鋳片に取り込まれるものもあり、これらは鋼材中の欠陥となって鋼材の割れや疵、破断の起点となる場合がある。そのため、高清浄な鋼を製造するためにはこれら介在物を効率的に溶鋼から除去することが必要である。
タンディッシュから鋳型に溶鋼を注入する注入孔において、注入孔上部の上ノズル、注入孔途中に設けるスライディングプレートを介して、注入孔下部の浸漬ノズル内に不活性ガスを吹き込むことが広く行われている。例えば特許文献1には、上ノズルにポーラス煉瓦からなるガス吹き込み部を設け、アルゴンガスや窒素ガスを吹き込む方法が開示されている。上ノズルから浸漬ノズルに至る注入孔におけるアルミナなどの非金属介在物の付着に起因するノズル詰まりを防止する目的のためである。注入孔中に吹き込まれた不活性ガスは気泡となって溶鋼とともに鋳型内に入り込む。気泡が鋳型内を浮上する際に気泡に介在物が付着し、メニスカスに浮上分離すれば、気泡も介在物も溶鋼から除去できる。一方、鋳型内溶鋼中に含まれる気泡の一部は凝固シェルに捕捉されるので、鋳片中のピンホール欠陥となって鋼材の品質を低下させることとなる。
タンディッシュ内の溶鋼中に不活性ガスを吹き込み、溶鋼中の非金属介在物をタンディッシュ内で不活性ガスの気泡に捕捉させることで、これら非金属介在物を除去する方法が知られている。特許文献2においては、タンディッシュ底部近傍において、取鍋からの溶鋼の落下位置と浸漬ノズルとの間の位置に、流れの方向に凸凹を有する断面の小さな溶鋼の流通路を設け、この流通路内の凸部分から不活性ガスを溶鋼中に吹き込む方法が提案されている。特許文献3では、タンディッシュ底部の幅方向にガス吹き込み口を複数配置し、タンディッシュ内の溶鋼中にガスを吹き込む方法が開示されている。これら方法では、タンディッシュ内で不活性ガスによって非金属介在物を除去できたとしても、不活性ガス吹き込み位置から注入孔までの間を溶鋼が通過する過程において大気やスラグによって再汚染を引き起こすとともに、タンディッシュ縦断面全体に相当する広いタンディッシュ内流路を流れる全ての溶鋼に介在物除去効果を及ぼすためには、より多くの不活性ガス吹き込み量が必要となる。不活性ガス流量の増加は、タンディッシュ湯面に浮上した介在物やスラグ等の溶鋼の汚染源の巻き込みを引き起こして溶鋼の再汚染を助長するので好ましくない。
即ち、タンディッシュにおける溶鋼汚染の機会は多く、溶鋼が鋳型への注入孔に流入する直前において介在物を除去することが、介在物除去法としては最も効果的である。特許文献4においては、不活性ガス及び介在物の注入孔への流入をできるだけ防止する方法として、不活性ガスの吹き込み位置を、タンディッシュの注入孔の内面から適正に離す方法が開示されている。同文献の図4では、上ノズルの中心からガス吹き込み位置までの距離をX、上ノズルの内面半径をRとし、気泡が鋳片に巻き込まれない限界の距離比X/Rについて、ノズル内平均溶鋼流速vとの関係を(1)式として明らかにしている。同文献に記載のものは、ガス吹き込み帯はアルミナグラファイトあるいはポーラスプラグなどで作られ、浸漬ノズルに連なる注入孔を取り囲むように設置して、吹き込んだ不活性ガスはタンディッシュの溶湯中を気泡として浮上する。その際、注入孔に流入する溶湯中の微細介在物と衝突することにより、微細介在物を気泡内に取り込み、微細介在物を含めた介在物の除去が可能となる。
特開2009−66603号公報 特開平8−117939号公報 特開2002−11555号公報 特開平10−34299号公報
特許文献4に記載の発明により、タンディッシュ内において、溶鋼注入孔に近い位置で不活性ガス吹き込みを行って介在物を除去し、かつ注入孔からの不活性ガス流入を最小限とする連続鋳造が可能となった。その一方、特許文献4に記載の方法では、まだ注入孔からの距離が大きい。本発明は、鋳型内溶鋼への不活性ガスの流入を抑制しつつ、不活性ガスの吹き込みをさらに注入孔に近い位置から行うことを可能とし、不活性ガスによる介在物除去後の溶鋼再汚染のチャンスをより一層低減する連続鋳造方法に適した上ノズルを提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)溶鋼容器から鋳型への溶鋼注入孔に設ける連続鋳造用の上ノズルであって、
上ノズル上部に、ガス吹き込み孔を、注入孔中心を中心とした円周上に複数個設置し、
ガス吹き込み孔の断面積合計A(m2)と、上ノズル内の不活性ガスが流れる流路の容積Vg(m3)との関係が、下記(1)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用の上ノズル。
g/A≧50(m) (1)
本発明は、連続鋳造用の注入孔に設ける上ノズルにガス吹き込み孔を設け、ガス吹き込み孔の断面積合計A(m2)と、上ノズル内の不活性ガスが流れる流路の容積Vg(m3)との関係が、上記(1)式を満たす上ノズルとする。この上ノズルを用いて連続鋳造を行うことにより、鋳型内溶鋼への不活性ガスの流入を抑制しつつ、鋳型内に流入する介在物を低減し、タンディッシュ湯面の波立ちを抑えることができる。
実験1の水モデル実験で用いた上ノズル付近を示す部分断面図である。 実験1でのガス吹き込み孔配置距離x、スループットW、吹き込みガス流速と、鋳型へ吸い込まれる気泡比率との関係を示す図である。 実験2のオフライン実験で用いた上ノズル付近を示す部分図であり、(A)は部分断面図、(B)はB−B矢視図、(C)はC−C矢視断面図である。 実験2でのVg/Aとアルゴンガス流量の関係を示す図である。
タンディッシュ底部から溶鋼中に不活性ガスを吹き込むに際して、ガス吹き込み部の耐火物としては、ポーラスプラグ、あるいは微細な吹き込みノズルを設けた耐火物が用いられる。ガス吹き込み部から溶鋼中に吹き込まれた不活性ガスができるだけ速やかに微細な気泡となるように、吹き込みが行われる。特許文献4に記載のものについても、ガス吹き込み帯はアルミナグラファイトあるいはポーラスプラグなどで作られている。
溶鋼中で浮上する気泡は、気泡径などから定まる上昇速度で上昇する。特許文献4に記載のものは、タンディッシュ底部の注入孔にごく近い位置でガスを吹き込んで気泡を生成しているので、注入孔への溶鋼流入速度が速いと、上昇しようとする気泡が溶鋼流に取り込まれて注入孔から鋳型内に流れ込んでしまう。そのため、特許文献4に記載のように、ガス吹き込み位置を注入孔の中心から十分に離す必要があった。
本発明は、タンディッシュ底部のガス吹き込み孔から流出したガスの溶鋼中におけるガス流速を増大させれば、ガス吹き込み孔の位置を注入孔中心により一層近づけても、注入流への気泡の持ち込みを防止できるのではないかとの着想から生まれた。ガス吹き込みノズルとして直管状のノズルを使用した場合(即ち末広のラバールノズルを用いない場合)、吹き込みガス圧力を増大しても、ノズルから流出する最大流速は音速までに限定される。そこで、吹き込むガスの元圧を上昇して、音速またはそれに近い流速で溶鋼へのガス吹き込みを行い、注入孔への気泡混入の低減度合いを評価することとした。
実験1として行った水モデル実験について説明する。
タンディッシュを模した2立方メートルの立方体の水槽内に水を入れ、底部の排出口はタンディッシュ7から鋳型への注入孔5を模したものであり、その形状を図1に示す。注入孔5の内径は90mmφであり、図1に示すように、注入孔上端付近は断面円弧形状で、タンディッシュ底部8に接続する部分の直径は142mmである。ストッパー6の位置調整で流出水量を調整する。上ノズル1には、注入孔5中心を中心とした円周上に、直径0.3mmのガス吹き込み孔2を等間隔に20個配置している。ガス吹き込み孔配置円周の半径から注入孔半径(45mm)を引いた距離を「ガス吹き込み孔配置距離x(mm)」とし、x=10〜70mmの範囲でガス吹き込み孔配置距離xの値が異なる5種類の上ノズル1を準備した。ガス吹き込み孔へのガスを導入するガス導入口にアルゴンガスを供給し、アルゴンガスの元圧を3種類に変化させ、ガス吹き込み孔2からのガス吹き込み量を変化させた。ガス吹き込み量実績によると、ガス吹き込み孔2から水中に流出するガス流速は、それぞれ、音速、音速の3/4、音速の1/2となっていることがわかった。ガス流速が音速の水準では、ガス流量が28.3NL/分、流速換算で330m/秒であった。なお、水槽内の各パーツ等は全て透明樹脂を使用した。
ガス吹き込み孔2からのガス吹き込みを行いつつ、所定の水流量で注入孔5から水を流出させ、一方で水槽に水を供給し、水槽内の水位を一定に保持した。この状態で吹き込んだガスの挙動をカメラで撮影し、撮影画像から、注入孔5を経由して鋳型内に吸い込まれる気泡と、タンディッシュ湯面に浮上する気泡の面積を測定し、鋳型に吸い込まれる気泡の比率を算出した。
ガス吹き込み孔配置距離xを変化させたそれぞれの上ノズル1について、吹き込みガス流量を3種類に変化させ、各水準において、注入孔5への水流量を変化させた。それぞれのxの条件において、吹き込んだガスの挙動をカメラで撮影した。撮影した画像から注入孔5内に吸い込まれる気泡とタンディッシュ湯面に浮上する気泡の面積を測定することで、注入孔5に吸い込まれる気泡比率を測定した。注入孔5への水流量が増えるほど、注入孔5に吸い込まれる気泡比率が増大する。その上で、注入孔5に吸い込まれる気泡比率が10%となる水流量(スループットW)を実験から求めた。図2は、横軸をガス吹き込み孔配置距離x(mm)、縦軸をスループットW(m3/hr)とし、注入孔5に吸い込まれる気泡比率が10%となるスループットWをプロットした。ガス吹き込み孔2からのガス流速で層別している。
図2において、■のプロットは、ガス吹き込み孔2からのガス流速が音速の1/2の場合であり、このプロットを結んだラインよりも右下側が良好範囲で、注入孔5に吸い込まれる気泡比率が10%以下となる。◆のプロットは、ガス吹き込み孔2からのガス流速が音速の3/4の場合であり、上記■に比較すると同じスループットWでも良好範囲が左側、すなわちガス吹き込み孔配置距離xが短い側に広がっている。▲のプロットが、ガス吹き込み孔2からのガス流速が音速の場合の結果であり、◆のプロットよりもさらに、注入孔5に吸い込まれる気泡比率が10%以下となる良好範囲が同じスループットWでも左側に広がっている。図2から、スループットWが同じであれば、ガス吹き込み孔2からのガス流速が速くなるほど、ガス吹き込み孔配置距離xを小さくすることができると分かる。したがって、注入孔5により一層近い位置にガス吹き込み孔2を設けつつ、注入孔5への気泡の持ち込みを少なく維持することが可能となる。また、上ノズル1のガス吹き込み孔配置距離xが同じであれば、ガス吹き込み孔2からのガス流速が速くなるほど、注入孔5に吸い込まれる気泡の比率が減少し、水のスループットWを多くすることができるといえる。
ガス吹き込み孔2からのガス流速を増大して音速レベルにすることによる上記効果については、以下のように説明することができる。即ち、ガス吹き込み孔2からのガス流速を増大させていくと、ガス吹き込み孔2出口から液中にガスジェットが形成され、ガス流速が速くなるほどガスジェットの長さが増大する。ガスジェット内ではガス流速が速いので、ガスジェットの長さが長いほど、ガスは水の注入流に押し流されにくくなり、ガス吹き込み孔配置距離xを小さくすることが可能になった。
以上の実験1の水モデル実験結果に基づき、実際の溶鋼を収容したタンディッシュにおいて、ガス吹き込み孔2からのガス流速を増大する試験を行った。上ノズル1のガス吹き込み孔2の配置は実験1と同様である。上ノズル1に供給する不活性ガスの元圧を上昇してガス流量を増大させたところ、タンディッシュ内の溶鋼中を上昇する気泡の量が過剰となり、タンディッシュ湯面の波立ちが激しくなった。これでは、かえってタンディッシュ湯面のスラグや浮上済み介在物の巻き込みを助長することになる。常温の不活性ガスを溶鋼中に吹き込んだ場合、溶鋼によってガスの温度が上がることで体積は6倍程度に膨張する。ガス吹き込み孔2から音速で噴出するガスの温度は溶鋼温度よりも低温であり、溶鋼中で加熱されてガス温度が上昇し、ガス容積が増大するため、気泡の容量が過大となったのである。また、溶鋼内でのガスの急激な膨張によって、吹き込んだ不活性ガスの勢いを阻害してしまうデメリットもある。
ガス吹き込み孔2から吹き出す以前においてガス温度を十分に上昇させておけば、同じ音速でガスを噴出させたとしても、噴出後のガスの膨張を抑制することができ、吹き込みガス量(NL/分)は少なくなる。音速で噴出しているので、気泡が注入流に巻き込まれない点については低温ガスをガス吹き込み孔から吹き出した場合と同様のはずである。しかし、吹き込みガス温度を上昇させるために専用ガス加熱装置を設けると設備が複雑化し、望ましくない。
そこで、実験2として行ったオフライン実験について説明する。
タンディッシュから注入孔を経由して鋳型内に溶鋼を注入している時点において、注入孔上部に位置する上ノズル1は十分に加熱されている。そのため、上ノズル1内のガス滞留時間を長くすれば、滞留中にガスが加熱され、高温のガスがガス吹き込み孔2から噴出することになるはずである。実験2においては、図3に示すように、上ノズル1内の不活性ガスが流れる流路3の容積Vgを増大させ、容積Vg(m3)として種々の値を有するものを準備した。上ノズル1内の流路3の容積は、焼成時に消滅するリング状の材料を耐火物内に挿入し、その厚みを変化させて調整した(図3)。そのため、作成された上ノズル1の流路3の形状は、円筒を二つ組み合わせた形状をしており、内部のリング状の空洞に不活性ガスを吹き込み、上部の貫通孔(吹き込み孔2)に抜ける構造とした。しかし、上ノズル1内の流路3の容積Vgが同じであれば、流路3の形状によらず同様のガス加熱効果が得られると考察される。
上ノズル上部のガス吹き込み孔2は、直径0.3mmφのものを同心円状に20個配置している。ガス吹き込み孔2の断面積合計をA(m2)とする。アルゴンガスを元圧0.7MPaで供給し、ガス吹き込み孔2からアルゴンガスを音速で大気中に放出する試験を行った。評価指標としてVg/Aを採用した。単位はmである。実験では、Vg/A=15〜191mのものを準備した。
まず、上ノズル1を常温のままとし、アルゴンガスを元圧0.7MPaで供給し、Vg/Aとアルゴンガス流量(NL/分)の関係を測定した。その結果、Vg/Aの値にかかわらず、アルゴンガス流量は28.3NL/分で一定であった。
次に、オフラインで上ノズル1をバーナーで加熱し、上ノズル内に設置した熱電対計測温度が1000℃になるように保持した。同じようにアルゴンガスを元圧0.7MPaで供給し、Vg/A(m)とアルゴンガス流量(NL/分)の関係を測定した。結果を図4に示す。図4から明らかなように、Vg/Aが大きくなるほど、アルゴンガス流量が低下している。
供給されたアルゴンガスは、上ノズル1内の流路3の容量Vgが大きくなるほど、上ノズル1内の滞在時間が長くなる。上ノズル1を1000℃に加熱した実験では、ガスの滞在時間が長くなるほど、ガス吹き込み孔2に到達したときのガス温度が上昇している。そしてガスの元圧が十分に高いことから、ガス吹き込み孔2からはガスが音速で噴出している。ガス温度をT(K)とすると、音速は√Tに比例し、ガス吹き込み孔2から流出するガスの実容量は√Tに比例する。一方、NL換算の容量は実容量の1/Tに比例するから、結果として、ガス温度が高くなるほど、ガス流量(NL/分)が低下することになる。図4において、上ノズル1を1000℃に加熱した場合の結果において、Vg/Aが大きくなるほどガス流量が低下した現象はこのように説明することができる。
上ノズル1への供給ガスの元圧を十分に高くしていれば、ガス吹き込み孔2から吹き込むガス温度が低温でも高温でも、吐出ガス流速は音速に達している。一方で、吹き込むガス温度が高いほど、ガス流量(NL/分)が低下する。また、ガス吹き込み孔2から吐出するときにガス温度が上昇しているので、吐出後のさらなる膨張が低減する。その結果、同じ音速でガスを噴出していながら、Vg/Aが大きい上ノズル1を用いた場合、アルゴン気泡に起因するタンディッシュ湯面の暴れが低減すること、鋳型内溶鋼へのガスの流入をより一層低減できることが期待できる。
そして、図4より、Vg/Aを大きくするほどガス流量(NL/分)が低下しているところ、特にVg/Aが50mまではVg/A拡大に伴うガス流量(NL/分)低下が著しいことと、それが50m以上になるとその拡大の影響が小さくなっていることが分かる。したがって、Vg/Aの拡大効果を十分に享受するためには、Vg/Aを50m以上にすると良い。Vg/Aを50m以上とすることにより、ガス吹き込み孔2から吐出するガスの温度を十分に上昇することができ、ガスの膨張を十分に抑えられると考えられるからである。このVg/A拡大効果は、Vg/Aが80m程度まではVg/Aへの依存性が多少残っているため、Vg/Aを80m以上にすることがさらに好ましい。このVg/Aの上限は特に定めないが、その拡大効果が飽和してしまうことを考えて、実際上250m程度までで十分と考える。
鋼スラブの連続鋳造において、本発明を適用した。連続鋳造装置は、堰のない容量30トンの舟形タンディッシュを用い、タンディッシュ底部の注入孔から鋳型内に溶鋼を注入することにより、厚み230mm、幅1600mmのスラブ鋳片を鋳造した。注入量制御にはタンディッシュストッパー6を用いている。注入孔5の上部に配置する上ノズル1の形状は実験1、2と同様であり、注入孔5の内径は90mmφであり、図3に示すように、注入孔上端付近は断面円弧形状で、タンディッシュ底部8に接続する部分の直径は142mmである。上ノズル1には、注入孔中心を中心とした円周上に、直径0.3mmのガス吹き込み孔2を等間隔に20個配置している。ガス吹き込み孔の断面積合計Aはいずれも、A=1.4×10-62である。上ノズル1内の不活性ガスが流れる流路3は、図3に示すように、注入孔5を取り囲むスリット上に形成し、スリットの幅を調整することにより、流路3の容積Vgを調整した。流路3の容積Vg、Vg/A、ガス吹き込み孔配置距離x、溶鋼のスループットWについては下記表1に示すとおりである。アルゴンガスを元圧0.5MPaで供給した。鋼成分は質量%で、C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.1%、P:0.01%、S:0.005%、鋳造開始時のタンディッシュ内溶鋼温度は1590℃である。
鋳片の気泡密度については、鋳片のピンホール欠陥密度を測定することによって評価した。鋳片の両長辺面の1/4及び3/4幅の位置から、厚み方向に50mm、幅方向に100mm、鋳造方向に10mmの試料を切り出し、X線を透過させることでピンホール欠陥の密度を測定した。
鋳片中の介在物密度については、上記ピンホール欠陥密度測定用として切り出した試料を顕微鏡で観察し、鋼中に存在する介在物の密度を測定した。
タンディッシュ湯面には、Sr(ストロンチウム)を含有するフラックスを配置している。上ノズル1から吹き込む不活性ガスがタンディッシュ湯面に浮上分離する際の湯面暴れによってフラックスが溶鋼中に懸濁すると、Srが鋳型内溶鋼まで運ばれるので、鋳片中のSr含有量を評価することにより、不活性ガス吹き込みに起因するタンディッシュ湯面暴れ状況を評価した。
表1に示す比較例1は、ガス吹き込み孔配置距離x=15mm、Vg/A=31mの従来の上ノズル1を用い、ガス元圧を0.5MPaとしてガス吹き込み孔2から音速でガスを噴出させ、溶鋼スループットW=40m3/hrで鋳造を行っている。そこで、比較例1の気泡密度、介在物密度、Sr含有量をいずれも1として数値を指数化し、表1に各実施例および比較例の結果を示した。気泡密度指数は、0.5以下を好適範囲とした。介在物指数は比較例1に対して若干の改善を示す0.9以下を好適範囲とした。Sr濃度指数は1.5以下を好適範囲(許容範囲)とした。
Figure 2017064778
表1に結果を示す。本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
実施例1〜実施例4が本発明例であって、いずれも本発明に係る上ノズル形状の要件を満たしている。実施例1はVg/A=92mで本発明範囲内であり、気泡密度指数は0.4であった。この介在物指数は0.9であり、気泡密度指数が大きく低下したのに介在物指数も少し低下しており、本発明に係る上ノズルを用いて連続鋳造を行うことにより、吹き込まれたArが鋳型内へと引き込まれる比率が減少してピンホール低減効果を奏したと考えられる。一方、鋳型内へ引き込まれるArの比率が減少した代わりにタンディッシュ内で上昇するArの比率が増えたため、上ノズルのガス吹込み孔の位置を従来の上ノズル(比較例1)より離したにも関わらず介在物指数が低下するという、本発明の狙い通りの結果を得ることができていた。この実施例1におけるSr濃度指数は1.5であったので、比較例1に比べればタンディッシュ内溶鋼表面の暴れは大きかったことになるが、介在物指数の低下が示している通り、この程度のSr濃度指数の増加は許容範囲と言える。
実施例2はVg/A=183mであり、実施例1に比較して気泡密度指数がより改善している。介在物指数も実施例1よりもさらに低下しており、吹込みArの加熱効果が十分に発揮された結果と考えることができる。その上、Sr濃度指数も実施例1よりも低かったために、溶鋼表面の暴れを抑制する効果も加わっている可能性がある。
実施例3は、Vg/Aは実施例2と同じ183mであるが、ガス吹込み孔の位置を比較例1に近い20mmにした例である。溶鋼スループットも実施例2より少し大きいが、それでも気泡密度指数は比較例1より大幅に低く、かつ、介在物指数も低かったので、ガス吹込み孔の位置が20mmまでは本発明の効果が確認されたと言える。一方、実施例4は、Vg/Aは実施例2、3と同じ183mであるが、ガス吹込み孔の位置を比較例3と同じ70mmまで遠ざけた例である。この場合、気泡密度指数は0.01と大幅に低くなったが、比較例3でも気泡密度指数は低いので、この位遠ざけた場合には鋳型内へ引き込まれるArの比率は元々相当に低いものと考えられる。その代わりに、比較例3では介在物指数が目立って悪化しており、その原因としてSr濃度指数が高かったようにタンディッシュ内溶鋼表面の暴れが大きくなっていたことが考えられる。実施例4では、介在物指数が比較例1よりも低く、タンディッシュ内溶鋼表面の暴れを抑制してArを吹き込む本発明の効果が、介在物減少の方に発揮されたと考えられる。
比較例1〜比較例3について説明する。
比較例1は、ガス吹き込み孔配置距離xが15mmで、Vg/Aが(1)式から外れている従来の上ノズルを用いた例である。前記したように、この比較例の鋳片気泡密度等を1としている。
比較例2は、Vg/Aが(1)式から外れた上ノズルを用いており、ガス吹込み孔の位置を実施例1,2と同じ45mmとした例である。Vg/Aが(1)式から外れた31mでは、気泡密度指数は0.9と少し改善されていたものの比較例1の指数とあまり変わらず、介在物指数も特に変わらなかった。
比較例3は、Vg/Aが(1)式を外れるとともに、吹き込み孔配置距離x=70mmと吹き込み孔の位置が注入孔から遠くした例である。そのため、気泡密度指数は大幅に低かったが、Ar吹込みによる介在物低減効果が発揮されにくかった。吹き込んだ不活性ガスが吹き込み後に膨張するとともにそのほとんどがタンディッシュ湯面に到達するため、Sr濃度指数が2.3と不良であったことから、タンディッシュ内溶鋼表面の暴れの影響もあって介在物指数が1.3と不良となったと考えられる。
1 上ノズル
2 ガス吹き込み孔
3 流路
4 ガス導入口
5 注入孔
6 ストッパー
7 タンディッシュ
8 タンディッシュ底部
x ガス吹き込み孔配置距離

Claims (1)

  1. 溶鋼容器から鋳型への溶鋼注入孔に設ける連続鋳造用の上ノズルであって、
    上ノズル上部に、ガス吹き込み孔を、注入孔中心を中心とした円周上に複数個設置し、
    ガス吹き込み孔の断面積合計A(m2)と、上ノズル内の不活性ガスが流れる流路の容積Vg(m3)との関係が、下記(1)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用の上ノズル。
    g/A≧50(m) (1)
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