JP5413277B2 - 鋼鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents
鋼鋳片の連続鋳造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5413277B2 JP5413277B2 JP2010083592A JP2010083592A JP5413277B2 JP 5413277 B2 JP5413277 B2 JP 5413277B2 JP 2010083592 A JP2010083592 A JP 2010083592A JP 2010083592 A JP2010083592 A JP 2010083592A JP 5413277 B2 JP5413277 B2 JP 5413277B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic field
- mold
- flow
- continuous casting
- width
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
このように、ストランド部の深くまで潜り込んだ非金属介在物は、内部介在物となって鋳片に残留し、鋳片をブリキや自動車材等に加工する際には、プレス割れの起源となる。そのため、鋳片中の内部介在物は極力低減する必要がある。
しかしながら、静磁場の電磁装置によって吐出流の速度を低下させることは、吐出流により生じる反転流の速度も併せて低下させてしまう。そのため、反転流による非金属介在物の浮上効果が減少してしまい、内部介在物の低減効果が相殺されてしまうため、効果的な解決策とは言えなかった。
そのために、鋳片の製品検査工程で、超音波探傷装置等の内部介在物センサにより相当量の不純物が検出された場合、当該鋳片は廃棄処分にせざるを得なかった。
1.垂直曲げ型連続鋳造機において2孔ノズルを用いて連続鋳造を行うに当たり、鋳型の長辺の両短辺側に直流磁場印加装置を配置して静磁場を印加する一方、該鋳型の長辺中央部については、少なくとも200mmの幅で静磁場を印加しない非磁場印加領域を設け、かつ該鋳型の下端から鋳造方向500mmまでの間に交流移動磁場装置を配置して溶鋼に対し交流移動磁場を印加して、該溶鋼の水平方向に流動速度が10〜40cm/sの旋回流を生じさせることを特徴とする、鋼鋳片の連続鋳造方法。
W/5≦L1≦W/2・・・(1)
(W−N)/2−L3/tanα≦L2/2・・・(2)
一般に、鋳型内に注入される溶鋼中には、脱酸時の生成物であるアルミナやスラグ、さらにはタンディッシュの耐火物が溶損して生成した非金属介在物などが混入している。
これら非金属介在物が混入した溶鋼が鋳型内に注入されると、ストランド内部に潜り込んで凝固シェルに捕捉された場合は、鋼鋳片の内部介在物となり、前記したとおり、ブリキや自動車材等の薄板製品として使用できなくなる。
その結果、以下に述べる方法によって、非金属介在物のストランド内部への潜り込み、特に、50〜200μm程度の微小な非金属介在物の潜り込みを大幅に減少させることに成功し、本発明を完成させるに到った。
さらに、交流移動磁場装置を、その中心が鋳型下端から鋳造方向500mmまでの間に位置するように配置して、溶鋼に対し交流移動磁場を印加することで、溶鋼に水平方向(鋳造方向に垂直)の旋回流を生じさせ、その際の旋回流の流動速度を10〜40cm/sとする方法である。
なお、図中の矢印は、鋳造方向を示している。
これは、吐出孔からの反転流の速度を増加させることによって、鋳型内に注がれた非金属介在物の浮上は促進することができるということを意味している。
さらに、発明者らは、内部介在物を模擬したトレーサーを使用して水モデル実験を行った。しかしながら、電磁ブレーキと、鋳型直下での流動とを併用して印加しても、図4に示すように反転流は電磁ブレーキにより相殺され、流動がない電磁ブレーキのみの場合と比べても内部介在物の量が減ることはなく、図4の場合では流動による内部介在物の低減効果が認められないことが明らかになった。
すなわち、内部介在物のさらなる低減には、電磁ブレーキと電磁撹拌による溶鋼流動のそれぞれの効果が両立する条件を見出す必要があるということである。
その結果、鋳型の長辺中央部に、少なくとも200mmの幅のブレーキングが存在しない領域を設け、さらに、鋳型下端から鋳造方向500mmまでの間で、水平方向に10〜40cm/sの流速の旋回流を生じさせることによって、水の反転流の速度を効率的に増加することができ、もって、非金属介在物の潜り込みを大幅に低減できる可能性が明らかとなった。なお、本発明で、水の流動速度は流速計を用いて測定した。
水平方向に10〜40cm/sの流速で旋回流を生じさせる
様々な旋回流で実験を行った結果、10cm/s以上の流動速度で内部介在物が大幅に低減した。一方、流動速度が40cm/s超になると、溶鋼の湯面変動が顕著となり、パウダーの巻き込み現象が生じ、鋼鋳片の表面品質に影響を及ぼした。そこで、本発明における旋回流の流動速度は10〜40cm/sとした。
交流移動磁場装置を鋳型内に設置して溶鋼を水平に流動させると、この流動の領域をそのまま通過してしまう吐出流の割合が多くなってしまい、内部介在物の低減効果が小さくなってしまう。
一方、交流移動磁場装置を鋳型下端の500mmの位置より下方に設置した場合、流動速度の増加するのが反転流の下部の一部のみになってしまうため、内部介在物の低減効果が限定的となってしまう。
これらの理由により、交流移動磁場装置の設置位置は、鋳型下端から鋳造方向に500mmまでの間とした。
なお、交流移動磁場装置の設置の基準は、交流移動磁場装置の中心とする。すなわち、本発明において、交流移動磁場装置の設置位置は、交流移動磁場装置の中心が鋳型下端から鋳造方向に500mmまでの間である。
本発明における非磁場印加領域の幅:L1は、少なくとも200mmとする。というのは、静磁場を印加しない非磁場印加領域の幅が200mmに満たないと、交流移動磁場の旋回流によって増速された反転流の上昇する経路の幅が小さくなるため、反転流の上昇が阻害され、その結果、内部介在物の低減効果が十分ではなくなってしまうからである。
一方、L1の上限は、1000mm程度とすることが好ましい。というのは、非磁場印加領域による効果は、L1が1000mmを超えると飽和するからである。また、L1が広すぎると、浸漬ノズルからの吐出流が静磁場の領域を避けて、非磁場印加領域(L1)を通過してしまうからである。
図1に示したように、鋳型の幅をW(mm)、2孔ノズルの外径をN(mm)、長辺中央部において静磁場を印加しない領域の幅をL1(mm)、両短辺側に設置した直流磁場装置の幅をL2(mm)、2孔ノズルの中央から直流磁場装置の上側までの距離をL3(mm)、2孔ノズルの吐出孔角度をα(°)とした場合、以下に述べる関係式を満足させることが有利である。
その条件を式(3)に示す。
L1≧W/5・・・(3)
また、水モデル実験の結果、直流磁場装置の幅L2が狭すぎると、吐出流がブレーキを避けるように流れ、ブレーキが無い長辺側中央から下降してしまうため、L2をWに対してある割合以上にすることが望ましい。その条件を式(4)に示す。
L2≧W/4・・・(4)
ここに、W=L1+2L2であることから、式(3)と式(4)と組み合わせると、以下の式(1)を得ることができる。
W/5≦L1≦W/2・・・(1)
すなわち、2孔ノズルの孔の中央からノズル吐出孔角度αに沿って引いた線が、図1に示しているとおりに、電磁ブレーキの長さの半分であるL2/2よりも、鋳型長辺の短辺側で交差することが望ましく、これを示しているのが以下の式(2)である。
(W−N)/2−L3/tanα≦L2/2・・・(2)
従って、式(1)と式(2)の条件を併せて満たすことにより、鋳型長辺の短辺側に位置している直流磁場印加装置によって、より効果的に吐出流に対して電磁ブレーキの印加および良好な反転流の形成が達成される。
同時に表面品質が要求される場合には、さらに、鋳型内で2孔ノズルの吐出孔近傍に旋回流を印加できる交流移動磁場装置を設置しても、本発明の効果は維持され、高い表面品質と共に、内部品質も良い鋼鋳片を製造することができる。
というのは、鋳型内の静磁場とストランド旋回磁場に加えて鋳型内に旋回磁場をさらに印加すると、溶鋼の凝固界面における洗浄効果が生じるからである。
なお、2孔ノズルの中央(吐出孔の中心)から、直流磁場印加装置の上側までの距離L3は200〜500mm程度の範囲とすることが望ましい。
なお、上記した磁場装置としては、リニア型コイル式で最大電流:1000A、周波数:2〜3Hzの交流を印加し、その設置位置として、磁場装置の中心がメニスカスから1.0〜1.5mにあるなどが例示できる。
また、その使用条件は、特に磁束密度が0.01〜0.15テスラである。
鋳型の幅:Wは、1000〜1800mm、鋳型の厚みは、200〜300mm、2孔ノズルの外径:Nは、100〜200mm、吐出孔角度:αは、0〜50°、および鋳造速度は、1.0〜3.0m/min程度とすることが好適である。
1チャージ約200トンの低炭ブリキの溶鋼を、14チャージ(試験No.1〜14)鋳造した。発明例(試験No.1〜6,8,9,13,14)では、これらの溶鋼を、鋳型長辺の両短辺側の近傍のみに静磁場を印加するように直流磁場印加装置を設置し、鋳型の長辺中央部について、少なくとも200mmの静磁場を印加しない非磁場印加領域を設け、かつ鋳型下端から鋳造方向200mmの位置に交流移動磁場装置を設置し、水平方向に10〜40cm/sの流速の旋回流を付与する条件で、垂直曲げ連続鋳造機を用いて連続鋳造を行った。主な鋳造条件を表1に示す。
なお、比較例(試験No.7)は、式(1)を満たさないにように非磁場印加領域L1を調節した。比較例(試験No.10〜11)は、交流移動磁場装置による流速が40cm/s超の条件で鋳造を行った。比較例(試験No.12)は、溶鋼流の速度が10cm/s未満の条件で鋳造を行った。
さらに、電磁ブレーキは、一律に、磁束密度が0.3テスラの静磁場を印加した。
交流移動磁場で0.15テスラの移動磁場を印加した場合の流動速度は50cm/sであった。また、0.05テスラの移動磁場を印加した場合の流動速度は3cm/sであった。
なお、上記の圧延は、冷間圧延であり、連続鋳造されたスラブを熱間圧延および冷間圧延して鋼板とし、この鋼板に錫めっき処理を施した。
さらに、パウダーによる表面欠陥も非常に少ない結果となっていることも併せて確認した。
2 2孔ノズル
3 鋳型下端
L1 静磁場を印加しない領域の幅
L2 両短辺側に設置した直流磁場装置の幅
L3 2孔ノズルの中央から直流磁場装置の上側までの距離
W 鋳型の幅
N 2孔ノズルの外径
α 2孔ノズルの吐出孔角度
Claims (3)
- 垂直曲げ型連続鋳造機において2孔ノズルを用いて連続鋳造を行うに当たり、鋳型の長辺の両短辺側に直流磁場印加装置を配置して静磁場を印加する一方、該鋳型の長辺中央部については、少なくとも200mmの幅で静磁場を印加しない非磁場印加領域を設け、かつ該鋳型の下端から鋳造方向500mmまでの間に交流移動磁場装置を配置して溶鋼に対し交流移動磁場を印加して、該溶鋼の水平方向に流動速度が10〜40cm/sの旋回流を生じさせることを特徴とする、鋼鋳片の連続鋳造方法。
- 前記鋳型の幅:W(mm)と、前記非磁場印加領域の幅:L1(mm)とが、次式(1)の関係を満足することを特徴とする、請求項1に記載の鋼鋳片の連続鋳造方法。
W/5≦L1≦W/2・・・(1)
- 前記2孔ノズルの外径をN(mm)、前記直流磁場印加装置の幅をL2(mm)、前記2孔ノズルの孔中央から前記直流磁場印加装置の上端までの距離をL3(mm)、および、2孔ノズルの吐出孔角度をα(°)とするとき、これらについて次式(2)の関係を満足することを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼鋳片の連続鋳造方法。
(W−N)/2−L3/tanα≦L2/2・・・(2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010083592A JP5413277B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 鋼鋳片の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010083592A JP5413277B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 鋼鋳片の連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011212716A JP2011212716A (ja) | 2011-10-27 |
JP5413277B2 true JP5413277B2 (ja) | 2014-02-12 |
Family
ID=44943015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010083592A Active JP5413277B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 鋼鋳片の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5413277B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6891821B2 (ja) * | 2017-03-03 | 2021-06-18 | 日本製鉄株式会社 | 連続鋳造機 |
KR102310701B1 (ko) * | 2019-12-27 | 2021-10-08 | 주식회사 포스코 | 주조 설비 및 주조 방법 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6272458A (ja) * | 1985-09-26 | 1987-04-03 | Toshiba Corp | 電磁撹拌方法 |
JPS63119962A (ja) * | 1986-11-08 | 1988-05-24 | Kobe Steel Ltd | 電磁攪拌用ロ−ル装置 |
JP3522497B2 (ja) * | 1997-07-04 | 2004-04-26 | 新日本製鐵株式会社 | 鋼の連続鋳造方法 |
JP5125663B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-01-23 | Jfeスチール株式会社 | スラブ鋳片の連続鋳造方法 |
-
2010
- 2010-03-31 JP JP2010083592A patent/JP5413277B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011212716A (ja) | 2011-10-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4505530B2 (ja) | 鋼の連続鋳造用装置 | |
US8397793B2 (en) | Steel continuous casting method | |
KR101176816B1 (ko) | 강의 연속 주조 방법 | |
JP5014934B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
KR100654738B1 (ko) | 극저탄소강 슬래브의 제조방법 | |
JP5217785B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP4411945B2 (ja) | 極低炭素鋼のスラブ連続鋳造方法 | |
JP5929872B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP5413277B2 (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP6278168B1 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP2011212723A (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP5791234B2 (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP5354179B2 (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP5772767B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP5125663B2 (ja) | スラブ鋳片の連続鋳造方法 | |
JP2010058148A (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP5044981B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP7200722B2 (ja) | 湾曲型連続鋳造装置における鋳型内流動制御方法 | |
JP2005152996A (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP2010099704A (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP6627744B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法及び装置 | |
JP2010110766A (ja) | 鋼の連続鋳造装置及び鋼の連続鋳造方法 | |
JP5359653B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP5454664B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP5304297B2 (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131015 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131028 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5413277 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |