JP6627744B2 - 鋼の連続鋳造方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造技術、詳細には高品質のスラブを連続鋳造により製造するための鋳型内での溶鋼流動制御技術に関するものである。
近年、自動車用鋼板、缶用鋼板、高機能厚板材などの高級鋼製品の品質要求が厳格化しており、このため、連続鋳造されるスラブ自体にも高品質化が求められている。スラブに要求される品質の1つとして、スラブ表層・内部の介在物量が少ないことが挙げられる。スラブ表層・内部に捕捉される介在物には、下記のようなものがある。
(1)アルミニウムなどによる溶鋼の脱酸工程で生成し、溶鋼中に懸濁している脱酸生成物
(2)タンディッシュや浸漬ノズルで溶鋼内に吹き込まれるArガス気泡
(3)鋳型内の溶鋼湯面上に散布したモールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれて懸濁したもの
これらの介在物は何れも製品段階で表面欠陥や内部欠陥となるため、スラブ表層・内部に捕捉される量を極力少なくすることが重要である。
従来、溶鋼中の非金属介在物、モールドフラックス、気泡が凝固シェルに捕捉され、製品欠陥となることを防止するために、鋳型内で溶鋼流に磁界を印加し、磁界による電磁気力を利用して溶鋼の流動を制御することが行われており、この技術に関して数多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、浸漬ノズルからの吐出流に移動磁場を印加し、鋳型内の溶鋼流速が介在物付着臨界流速以上でモールドパウダー巻込み臨界流速以下の範囲となるように、吐出流に制動力あるいは水平方向の回転力を与える技術が開示されている。
また、特許文献2には、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の上部磁極と1対の下部磁極を設け、メニスカス近傍の上部磁極により交流磁界と直流磁界を重畳印加して表面の溶鋼を撹拌しつつ制動し、下部磁極により直流磁界を印加して溶鋼を制動することにより、介在物や気泡、モールドパウダーのスラブへの混入を防止する技術が開示されている。
また、特許文献3には、メニスカス近傍の上部磁極により溶鋼を撹拌する交流磁界を印加し、下部磁極により直流磁界を印加するとともに、鋳型長辺壁の浸漬ノズルに対向する位置に湾曲部を設けて浸漬ノズルと鋳型間の距離を大きくとる流動制御方法が開示されている。
特許第4380171号公報 特許第4569715号公報 特許第4505530号公報
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題がある。
特許文献1の方法は、磁場印加による流動制御装置は移動磁場のための磁極1対だけであるため、設備費は安いものの、溶鋼吐出流に対して制動力あるいは水平方向の撹拌力を与えるだけであり、鋼板の表面品質に最も影響を及ぼすメニスカス近傍の溶鋼流動を完全にコントロールするのには限界がある。このため、近年の高級鋼製品の厳格な品質要求に十分に対応することができない。
また、特許文献2の方法は、上部磁極による交流磁界と直流磁界の重畳印加、下部磁極による直流磁界の印加により飛躍的な品質向上が認められるものの、コイル構造が複雑・大型化するため設置できる連続鋳造機に制約があり、また、設備投資費が高額になる難点がある。
特許文献3の方法は、上部交流磁界と下部直流磁界の印加に加え、鋳型長辺形状に湾曲部を設けているため、磁場印加コイルの設置位置との干渉などを回避する必要性があり、設備が複雑となる。また、鋳型内で鋳片形状を矯正するため鋳型銅板への摩擦力負荷が大きくなり、銅板寿命の低下や凝固シェルの破断によるブレークアウト等の操業阻害も懸念される。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、1対の直流磁場用磁極と1対の交流磁場用磁極を設けるだけの比較的簡易な流動制御装置で高品質のスラブを鋳造することが可能な連続鋳造方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]水平断面が矩形状の連続鋳造用の鋳型(1)の外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の上部磁極(3)と1対の下部磁極(4)を備えるとともに、鋳型(1)内の中心位置に挿入され、鋳型短辺方向に溶鋼を吐出する2孔式の浸漬ノズル(2)を備え、鋳型上下方向において上部磁極(3)がメニスカス近傍に位置し、且つ下部磁極(4)の交流磁界のピーク位置が浸漬ノズル(2)の溶鋼吐出孔(20)よりも下方に位置する連続鋳造機を用い、上部磁極(3)により直流磁界を印加して溶鋼流を制動し、且つ下部磁極(4)により交流磁界を印加して溶鋼に旋回流を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う方法であって、
上部磁極(3)の下端と下部磁極(4)の上端との間の距離を150mm以上とし、浸漬ノズル(2)の浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔(20)上端までの距離)を200mm超300mm以下、溶鋼吐出孔(20)の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度を5°以上50°以下とすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
[2]上記[1]の連続鋳造方法において、下部磁極(4)により印加する交流磁界の磁束密度Rが0.02T以上0.10T以下、上部磁極(3)により印加する直流磁界の磁束密度Dが0.10T以上0.35T以下であり、前記交流磁界の磁束密度Rと前記直流磁界の磁束密度Dの比R/Dが0.15以上0.70以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
[3]水平断面が矩形状の連続鋳造用の鋳型(1)の外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する直流磁界印加用の1対の上部磁極(3)と交流磁界印加用の1対の下部磁極(4)を備えるとともに、鋳型(1)内の中心位置に挿入され、鋳型短辺方向に溶鋼を吐出する2孔式の浸漬ノズル(2)を備え、鋳型上下方向において上部磁極(3)がメニスカス近傍に位置し、且つ下部磁極(4)の交流磁界のピーク位置が浸漬ノズル(2)の溶鋼吐出孔(20)よりも下方に位置する連続鋳造機であって、
上部磁極(3)の下端と下部磁極(4)の上端との間の距離が150mm以上であり、浸漬ノズル(2)の浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔(20)上端までの距離)が200mm超300mm以下、溶鋼吐出孔(20)の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度が5°以上50°以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造装置。
本発明によれば、1対の直流磁場用磁極と1対の交流磁場用磁極を設けるだけの比較的簡易な流動制御装置で高品質のスラブを安定して鋳造することができる。
2孔式浸漬ノズルを鋳型短辺方向に溶鋼を吐出するように鋳型内の中心位置に挿入し、この浸漬ノズルの溶鋼吐出孔位置において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に交流磁界を直接的に作用させて水平方向の回転撹拌力を与えるケースを示す説明図 図1のケースにおける鋳型内での溶鋼の流動と渦流の発生状況を示す説明図 図1と同様に、浸漬ノズルの溶鋼吐出孔位置において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に交流磁界を直接的に作用させて水平方向の回転撹拌力を与えるとともに、メニスカス近傍に直流磁界を作用させて溶鋼流を制動するケースを示す説明図 図3と同様に、メニスカス近傍に直流磁界を作用させて溶鋼流を制動するとともに、浸漬ノズルの溶鋼吐出孔よりも下方位置において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に交流磁界を作用させて水平方向の回転撹拌力を与えるケースを示す説明図 本発明の実施に供される連続鋳造機の鋳型及び浸漬ノズルの一実施形態を示す縦断面図 図5に示す鋳型の平面図 図5中のVII-VII線に沿う断面図 実施例2における比R/Dと製品欠陥指数との関係を示すグラフ
本発明者らは、水平断面が矩形状の鋳型を用いた鋼の連続鋳造法において、図1に示すように、2孔式浸漬ノズルを鋳型短辺方向に溶鋼を吐出するように、鋳型内の中心位置に挿入し、この浸漬ノズルの溶鋼吐出孔位置において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に交流磁界(移動磁場)を直接的に作用させて水平方向の回転撹拌力を与えるケースについて、鋳型内流動状況に関する調査を行った。このケースにおける鋳型内の流速分布を数値計算や実機1/4サイズの低融点合金(Bi、Pb、Sn、Cd合金:融点70℃)装置による流速測定により繰り返し調査した結果、図2に示すように、溶鋼吐出流に対して印加された水平方向の回転力によって上昇した流れがメニスカス面において反対側からの流れと衝突して流れが乱れ、しばしば渦流が発生する挙動が確認された。このようなケースで実際に鋳造した製品の欠陥分布を調査すると、渦流発生が確認された領域において欠陥発生率が高く、また欠陥要因分析によりモールドパウダー性の欠陥であることを突き止めた。つまり、メニスカス面での流れの乱れによって渦流が発生してモールドパウダーを巻き込むことが、製品欠陥発生のメカニズムであると推定された。
そこで本発明者らは、上記課題の解決策として、図1に示すような浸漬ノズルの溶鋼吐出孔位置での交流磁界の印加に加えて、図3に示すようにメニスカス近傍に直流磁界を作用させて溶鋼流を制動する手法を考案し、その効果を検証したが、モールドパウダーの巻込みは低減しなかった。この要因を明らかにするために種々の調査を行ったところ、上部の直流磁界と下部の交流磁界の位置が近すぎるために磁場が干渉し合い、想定していた効果を発揮できていないことが判った。
さらなる調査・検討の結果、本発明者らは図4に示すような解決策を見出した。すなわち、メニスカス面での溶鋼流を制動するために、上部磁極はメニスカス近傍に設置して直流磁界を印加する必要がある。一方、交流磁界と直流磁界との干渉を避けるために下部磁極を下方へ移動させ、下部磁極による交流磁界のピーク位置が浸漬ノズルの溶鋼吐出孔よりも下方に位置するようにする。上部磁極と下部磁極間の距離について鋭意調査を行ったところ、上部磁極の下端と下部磁極の上端の間の距離が150mm以上離れていれば、相互に干渉し合わず、狙いとする効果を発揮できることが判った。
下部磁極を下方に移動させたために、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に直接的には交流磁界を印加できなくなったが、溶鋼吐出孔からの溶鋼吐出角度が、水平方向から下向き5°以上50°以下の浸漬ノズルを用いれば、溶鋼吐出孔から吐出された後の溶鋼流に対して交流磁界を印加して水平方向の旋回力を与えることができるため、交流磁界印加の効果を享受できることも明らかとなった。
一般的な連続鋳造機の鋳型の長さは800〜1000mm程度である。このような鋳型制約のなかで図4に示す装置を実現するには、浸漬ノズルの浸漬深さ(メニスカスから溶鋼吐出孔上端までの距離)は200mm超300mm以下が好ましいことも確認した。
図5〜図7は、本発明の実施に供される連続鋳造機の鋳型および浸漬ノズルの一実施形態を示すもので、図5は鋳型及び浸漬ノズルの縦断面図、図6は鋳型の平面図、図7は図5中のVII-VII線に沿う断面図である。
図において、1は連続鋳造用の鋳型であり、この鋳型1は鋳型長辺部10(鋳型側壁)と鋳型短辺部11(鋳型側壁)とにより水平断面が矩形状に構成されている。
2は鋳型1内の中心位置に挿入された2孔式の浸漬ノズルであり、この浸漬ノズル2を通じて鋳型1の上方に設置されたタンディッシュ(図示せず)内の溶鋼を鋳型1内に注入する。この浸漬ノズル2は、筒状のノズル本体の下端に底部21を有するとともに、この底部21の直上の側壁部に、両鋳型短辺部11と対向するように1対の溶鋼吐出孔20が貫設されており、この1対の溶鋼吐出孔20から鋳型短辺方向に溶鋼を吐出する。
なお、溶鋼中のアルミナなどの非金属介在物が浸漬ノズル2の内壁面に付着・堆積してノズル閉塞を生じることを防止するため、通常、浸漬ノズル2のノズル本体内部や上ノズル(図示せず)の内部に設けられたガス流路にArガスなどの不活性ガスが導入され、この不活性ガスがノズル内壁面からノズル内に吹き込まれる。
タンディッシュから浸漬ノズル2に流入した溶鋼は、浸漬ノズル2の1対の溶鋼吐出孔20から鋳型1内の鋳型短辺方向に吐出される。吐出された溶鋼は、鋳型1内で冷却されて凝固シェル5を形成し、鋳型1の下方に連続的に引き抜かれ鋳片となる。鋳型1内のメニスカス6には、溶鋼の保温剤および凝固シェル5と鋳型1との潤滑剤として、モールドフラックスが添加される。
上述したような調査・検討により得られた知見に基づき、本発明では、鋳型1の外側(鋳型側壁の背面)に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の上部磁極3a,3bと1対の下部磁極4a,4bを設け、上部磁極3a,3bにより直流磁界を印加して溶鋼流を制動し、且つ下部磁極4a,4bにより交流磁界を印加して溶鋼に旋回流を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う。
上部磁極3a,3bと下部磁極4a,4bは、それぞれ鋳型長辺部10の幅方向において、その全幅に沿うように配置される。
上部磁極3a,3bと下部磁極4a,4bは、鋳型上下方向において、上部磁極3a,3bがメニスカス近傍に位置し、且つ下部磁極4a,4bの交流磁界のピーク位置が浸漬ノズル2の溶鋼吐出孔20よりも下方に位置するように配置する。ここで、上部磁極3a,3bは、その鉄心上端位置がメニスカスの上方100mm〜メニスカスの下方100mm程度の範囲内に存在するように配置されることが好ましい。
さらに、上述した理由から、上部磁極3a,3bの各下端と下部磁極4a,4bの各上端との間の距離Lを150mm以上とし、浸漬ノズル2の浸漬深さd(但し、メニスカス6から溶鋼吐出孔20上端までの距離)を200mm超300mm以下、溶鋼吐出孔20の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度αを5°以上50°以下とする。
上述したように溶鋼吐出角度αが5°未満では、溶鋼吐出孔から吐出された後の溶鋼流に対して交流磁界を適切に印加できない。一方、溶鋼吐出角度αが50°を超えると、溶鋼中の介在物が鋳型下方へと潜り込みやすくなり、これが内部欠陥となって、例えばコイルをプレス加工する際のプレス割れの起点となる可能性が懸念される。
上部磁極3a,3bの各下端と下部磁極4a,4bの各上端との間の距離Lは、150mm以上を確保することが重要である。一般的な連続鋳造装置の鋳型長さは800〜1000mm程度であるため、電磁石コイルの鋳造方向での長さによって距離Lの上限はおのずと決まってくる。ここで、連続鋳造装置で用いられる電磁石コイルの鋳造方向での長さは、用途にもよるが一般的には200〜400mm程度である。
さらに、本発明者らは鋭意実験を重ね、直流磁界の磁束密度と交流磁界の磁束密度に最適な範囲が存在することを見出した。すなわち、下部磁極4a,4bにより印加する交流磁界の磁束密度Rを0.02T(テスラ)以上0.10T(テスラ)以下、上部磁極3a,3bにより印加する直流磁界の磁束密度Dを0.10T(テスラ)以上0.35T(テスラ)以下とし、且つその交流磁界の磁束密度Rと直流磁界の磁束密度Dの比R/Dを0.15以上0.70以下とする条件が最適であることが判った。交流磁界の磁束密度Rが0.02T未満では、溶鋼に付与する旋回力が弱いため気泡や介在物の洗浄効果を発揮しにくい。一方、交流磁界の磁束密度Rが0.10Tを超える旋回力では、上部に直流磁界を印加したとしてもモールドパウダーの巻込みを完全に抑制することが難しくなる。また、直流磁界の磁束密度Dが0.10T未満ではメニスカス面での溶鋼制動力が不足するため、モールドパウダーの巻き込み抑制効果がやや小さくなる。一方、直流磁界の磁束密度Dが0.35Tを超えるような磁極の場合、鉄芯やコイルの構造が大型化し、連続鋳造鋳型内に交流磁極と併用して収めることが困難となる。また、交流磁界の磁束密度Rと直流磁界の磁束密度Dが上述したような範囲であっても、R/Dが0.15未満では、直流磁界による制動力に対して交流磁界の旋回力が弱いため、気泡や介在物の洗浄効果がやや小さくなる。一方、R/Dが0.70を超えると、交流磁界の旋回力が直流磁界の制動力に対して強すぎるため、モールドパウダーの巻き込み抑制効果がやや小さくなる。
このため本発明では、下部磁極4a,4bにより印加する交流磁界の磁束密度Rを0.02T以上0.10T以下、上部磁極3a,3bにより印加する直流磁界の磁束密度Dを0.10T以上0.35T以下とし、前記交流磁界の磁束密度Rと前記直流磁界の磁束密度Dの比R/Dを0.15以上0.70以下とすることが好ましい。
[実施例1]
図5〜図7に示すような構成の連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造した。鋳造厚みを250mm、鋳造幅を1000〜2200mm、溶鋼スループットを4.0〜7.5ton/minとした。
浸漬ノズルは、外径150mm、内径90mmの2孔式であり、溶鋼吐出孔の形状は1辺の長さを80mmの正方形状とした。浸漬ノズルからの吹き込み不活性ガスにはArガスを使用した。
本発明例と比較例8〜23では、図4に示すように上部磁極によりメニスカス近傍に直流磁界を印加し、下部磁極により交流磁界を印加した。一方、比較例1〜7では、図1に示すように浸漬ノズルの溶鋼吐出孔位置にのみ磁極(表2では便宜上「下部磁極」としている)を配置し、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に直接的に交流磁場を印加した。
鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計測で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(気泡性、介在物性、モールドパウダー性欠陥)を判別し、コイル長さ100mあたりの欠陥個数を求め、これを製品欠陥指数として品質を評価した。
その結果を、本発明例及び比較例の鋳造条件とともに表1〜表3に示す。
本発明例1〜26は、いずれも製品欠陥指数が0.26〜0.36個/100mと良好な結果であった。
これに対して、比較例1〜7は製品欠陥指数が0.72〜0.84個/100mと劣位であった。
また、比較例8〜17は上部磁極下端と下部磁極上端間の距離を本発明範囲外としたものであるが、製品欠陥指数が0.61〜0.74個/100mと劣位であった。これは、上部磁極下端と下部磁極上端間の距離が小さいため、直流磁界と交流磁界の干渉によりそれぞれの効果を発揮できなかった影響と考えられる。
また、比較例18、19は溶鋼吐出角度を本発明範囲外としたものであるが、製品欠陥指数は0.63〜0.65個/100mと劣位であった。
また、比較例20〜23は浸漬ノズルの浸漬深さを本発明範囲外としたものであるが、製品欠陥指数は0.45〜0.71個/100mと、本発明例と比較して劣位であった。
なお、表1〜表3では鋳造厚みが250mmのものだけを記載したが、鋳造厚み220〜300mmでも同等の効果が得られることが確認された。また、浸漬ノズルの条件についても、溶鋼吐出角度が5°以上50°以下の範囲であれば、同等の効果が得られることが確認された。
Figure 0006627744
Figure 0006627744
Figure 0006627744
[実施例2]
実施例1と同様に、図5〜図7に示すような構成の連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造した。鋳造厚みを250mm、鋳造幅を1600mm、溶鋼スループットを5.5〜6.5ton/minとした。
浸漬ノズルは、外径150mm、内径90mmの2孔式であり、溶鋼吐出孔の形状は1辺の長さを80mmの正方形状とした。浸漬ノズルからの吹き込み不活性ガスにはArガスを使用した。
本発明条件の下で、上部磁極の直流磁束密度と下部磁極の交流磁束密度を変化させて鋳造を行った。
鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計測で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(気泡性、介在物性、モールドパウダー性欠陥)を判別し、コイル長さ100mあたりの欠陥個数を求め、これを製品欠陥指数として品質を評価した。
その結果を鋳造条件とともに表4に示す。また、表4における比R/Dと製品欠陥指数との関係をグラフ化したものを図8に示す。本発明例27〜31、34〜39、42〜45はR/Dが好適範囲(R/D:0.15〜0.70)のものであるが、製品欠陥指数は0.26〜0.30個/100mと安定して良好であった。一方、本発明例32、33、40、41はR/Dが好適範囲から外れており、製品欠陥指数は0.34〜0.38個/100mであったが、これらも比較例よりは十分に品質の良い製品であった。
なお、表4では鋳造厚みや鋳造幅が一定の条件のものだけを記載したが、鋳造厚み220〜300mm、鋳造幅1000〜2200mmでも同等の効果が得られることが確認された。
Figure 0006627744
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3a,3b 上部磁極
4a,4b 下部磁極
5 凝固シェル
6 メニスカス
10 鋳型長辺部
11 鋳型短辺部
21 底部
20 溶鋼吐出孔

Claims (3)

  1. 水平断面が矩形状の連続鋳造用の鋳型(1)の外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の上部磁極(3)と1対の下部磁極(4)を備えるとともに、鋳型(1)内の中心位置に挿入され、鋳型短辺方向に溶鋼を吐出する2孔式の浸漬ノズル(2)を備え、上部磁極(3)と下部磁極(4)が電磁石コイルからなり、該電磁石コイルの鋳造方向での長さが200〜400mmであり、鋳型上下方向において上部磁極(3)がメニスカス近傍に位置し、且つ下部磁極(4)の交流磁界のピーク位置が浸漬ノズル(2)の溶鋼吐出孔(20)よりも下方に位置する連続鋳造機を用い、上部磁極(3)により直流磁界を印加して溶鋼流を制動し、且つ下部磁極(4)により交流磁界を印加して溶鋼に旋回流を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う方法であって、
    上部磁極(3)の下端と下部磁極(4)の上端との間の距離を150mm以上とし、浸漬ノズル(2)の浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔(20)上端までの距離)を200mm超300mm以下、溶鋼吐出孔(20)の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度を5°以上50°以下とすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 下部磁極(4)により印加する交流磁界の磁束密度Rが0.02T以上0.10T以下、上部磁極(3)により印加する直流磁界の磁束密度Dが0.10T以上0.35T以下であり、前記交流磁界の磁束密度Rと前記直流磁界の磁束密度Dの比R/Dが0.15以上0.70以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 水平断面が矩形状の連続鋳造用の鋳型(1)の外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する直流磁界印加用の1対の上部磁極(3)と交流磁界印加用の1対の下部磁極(4)を備えるとともに、鋳型(1)内の中心位置に挿入され、鋳型短辺方向に溶鋼を吐出する2孔式の浸漬ノズル(2)を備え、上部磁極(3)と下部磁極(4)が電磁石コイルからなり、該電磁石コイルの鋳造方向での長さが200〜400mmであり、鋳型上下方向において上部磁極(3)がメニスカス近傍に位置し、且つ下部磁極(4)の交流磁界のピーク位置が浸漬ノズル(2)の溶鋼吐出孔(20)よりも下方に位置する連続鋳造機であって、
    上部磁極(3)の下端と下部磁極(4)の上端との間の距離が150mm以上であり、浸漬ノズル(2)の浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔(20)上端までの距離)が200mm超300mm以下、溶鋼吐出孔(20)の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度が5°以上50°以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造装置。
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