JP5146002B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁力によって鋳型内の溶鋼流動を制御しながら溶鋼を鋳造する鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、電磁力によって鋳型内の偏流を抑制し、表層部の非金属介在物の少ない高品質の鋳片を鋳造するための連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造では、タンディッシュ内の溶鋼を、タンディッシュ底部に設置した浸漬ノズルを介して鋳型内に注入している。この場合、特にスラブ鋳片の連続鋳造のように、2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、溶鋼の吐出流を鋳型短辺に向けて注入する連続鋳造においては、鋳型内に注入された溶鋼の吐出流は、短辺凝固シェルに衝突して下降流と上昇流(「反転流」ともいう)とに分かれ、下降流は鋳片未凝固層深部に進入し、また、上昇流は鋳型内溶鋼表面(以下、「メニスカス」という)で鋳型短辺から浸漬ノズルに向かう流れとなって、メニスカスに「渦」や、「盛り上がり」などの流れの乱れを生成させる。
脱酸生成物であるアルミナ(Al23)を主体とする非金属介在物は、前記下降流により鋳片未凝固層深くまで侵入して凝固シェルに捕捉され、また、メニスカス上に添加されたモールドパウダーは、メニスカスでの渦や盛り上がりにより溶鋼中に巻き込まれ、凝固シェルに補捉される。更に、アルミナを主体とする非金属介在物や、アルミナ付着防止のために浸漬ノズル内に吹き込まれるArガス気泡が、メニスカス近傍の溶鋼流の乱れなどに起因して、溶鋼中を浮上する過程で凝固シェルに捕捉される。特に、アルミナの付着などに起因して2つの吐出孔から吐出される吐出流の流量に差が生じた場合には、鋳型内の溶鋼流動が不均一且つ不安定となり、非金属介在物及び気泡の凝固シェルへの捕捉が増大する。鋳片に捕捉された、これら非金属介在物及び気泡が、薄鋼板において表面疵欠陥を発生させる。尚、2つの吐出孔から吐出される吐出流の流量に差が生じ、鋳型内の溶鋼流動が浸漬ノズルを挟んで左右で異なった状態を、「偏流」或いは「偏流の発生した状態」と呼んでいる。
そこで、近年では、モールドパウダー、非金属介在物及び気泡の凝固シェルへの捕捉を防止するために、鋳型内の溶鋼流動を電磁力により制御することが広く実施されている(例えば、特許文献1を参照)。
電磁力の利用方法としては、特許文献1のように、定常状態における溶鋼流動を電磁力によって最適な状態とすることが主体であるが、電磁力によって最適な状態に制御していても、浸漬ノズル吐出孔のアルミナ付着などに起因する突発的な鋳型内の偏流には的確な対処ができず、偏流が発生した場合には鋳片に欠陥が多発する。
そこで、突発的な鋳型内の偏流或いは非定常流れを解消するために、積極的に電磁力を利用する方法も提案されている。例えば、特許文献2には、鋳型内のメニスカス部分に交流移動磁場発生装置を設置するとともに、鋳型内浸漬ノズル下方の溶鋼存在部に静磁場発生装置を設置した連続鋳造方法において、(1)浸漬ノズルから吹込むArガスの背圧変化、(2)鋳型内溶鋼の湯面変動、(3)鋳型短辺側の溶鋼の湯面レベル差のうちの少なくとも1つが異常と判断された時には、交流移動磁場発生装置か静磁場発生装置の何れか一方の装置を作動させる連続鋳造方法が提案されている。
また、特許文献3には、鋳型長辺外側の上段、中段及び下段に静磁場を印加しながら溶融金属を連続鋳造する場合に、鋳型内の溶融金属に非定常流れが発生したとき、これを検出し、上段及び中段に、印加方向が等しく磁場強度を1500〜3000ガウスの静磁場を印加し、且つ下段には、上段及び中段の磁場強度の小さい方の0.3〜0.7倍までの静磁場を印加し、非定常流れを抑制した連続鋳造方法が提案されている。
また更に、非特許文献1には、湯面レベルを検知して、偏流が検知されたときには、相対する鋳型長辺の背面に設置された交流移動磁場発生装置から印加する磁場強度を、互いに異なるように変更することが提案されている。
特開平10−305353号公報 特開平11−285795号公報 特開平11−10295号公報 材料とプロセス CAMP-ISIJ 20(2007)p.867
このように、鋳型内の偏流を電磁力によって防止する方法が提案されているが、一旦偏流が発生すると、2つの吐出孔から吐出される溶鋼流量が異なるためにバランスを元に戻すことは容易ではなく、上記従来技術であっても不十分であった。偏流が発生してから、元に戻すまでの時間が長引くと、その間に鋳造した鋳片には欠陥が多発するため、鋳片の表面溶削を必要としたり、薄鋼板で表面疵欠陥が発生して歩留りを低下させたりするなどの問題があった。また、一旦偏流が発生してしまうと、その鋳造が修了するまで偏流を解消できないこともあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋼の連続鋳造中に鋳型内に偏流が発生した場合、電磁力を利用することによって、短時間で効率的に前記偏流を解消し、非金属介在物の少ない高清浄性の鋼鋳片を得ることのできる連続鋳造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意研究・検討を行った。その結果、電磁力を利用して、非金属介在物の少ない高清浄性の鋳片を安定的に鋳造すると同時に、発生した鋳型内の偏流を電磁力により解消するには、鋳型内に、浸漬ノズルの吐出孔よりも上方側と、浸漬ノズルの吐出孔よりも下方側との上下2段の磁場発生装置を設置する必要があることが分かった。何れかの1段のみでは、電磁力を利用するとはいえ、鋳片の清浄化と偏流防止とを同時に満足させることは十分にできないからである。
この場合、吐出孔よりも下方側の磁場発生装置は、非金属介在物の鋳片未凝固層深くまでの侵入を防止するために、溶鋼流動を制動する、つまり流動する溶鋼にブレーキ力を発現する静磁場とする必要があることが分かった。一方、吐出孔よりも上方側の磁場発生装置は、流動を制動する静磁場であっても、移動する磁場の方向に溶鋼の流れを発生させる交流移動磁場であっても、また交流移動磁場と静磁場との双方であってもよいことが分かった。交流移動磁場を発生する交流移動磁場発生装置は、所謂「電磁攪拌装置」であり、交流移動磁場を印加することにより、鋳型内の溶鋼を水平方向に回転させる装置である。
このような上下2段の磁場を印加して溶鋼を連続鋳造している場合に、浸漬ノズルの吐出孔にアルミナが付着するなどして鋳型内溶鋼に偏流が発生した際には、吐出孔よりも上方側の磁場発生装置の磁場強度を変更することで、偏流が改善されることが分かった。これは、浸漬ノズルからの吐出流は、吐出孔よりも下方側に設置された静磁場によって制動され、吐出孔の下方側に設置された静磁場よりも下方側の溶鋼流動は緩やかであり、鋳型内の溶鋼流動は、主に、メニスカスと、吐出孔の下方側に設置された静磁場発生装置との範囲内で起こり、この範囲内の溶鋼流動は、主に、吐出孔よりも上方側に設置された磁場発生装置によって制御されるからである。
鋳型内に偏流が発生した場合、この偏流を解消するには、吐出孔よりも上方側に設置された磁場発生装置の磁場強度を、鋳造している鋳片の幅に応じて、変更することが効果的であることが分かった。即ち、浸漬ノズルからの吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して反転する際に発生する反転流(上昇流)が、鋳片幅が相対的に狭いときには強くなるので、この反転流の流速を減速させるために、吐出孔よりも上方側で印加する静磁場の磁場強度を高めるか、吐出孔よりも上方側で印加する交流移動磁場の磁場強度を弱めることが効果的であり、一方、鋳片幅が相対的に広いときには反転流が弱くなるので、流速が遅い側の流速を増速させるために、吐出孔よりも上方側で印加する静磁場の磁場強度を弱めるか、吐出孔よりも上方側で印加する交流移動磁場の磁場強度を強めることが効果的である、との知見を得た。
この場合に、吐出孔よりも上方側に設置された磁場発生装置に同調して、上方側の静磁場の磁場強度を増加するか、或いは交流移動磁場の磁場強度を低下するときには、上記反転流を弱くするために、吐出孔よりも下方側に設置された静磁場の磁場強度を高くし、一方、上方側の静磁場の磁場強度を低下するか、或いは交流移動磁場の磁場強度を増加するときには、上記反転流を強くするために、吐出孔よりも下方側に設置された静磁場の磁場強度を低くすることで、より一層偏流が解消されるとの知見が得られた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、上記課題を解決するための第1の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる交流移動磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が相対的に小さいときは、前記交流移動磁場の磁場強度を減少させ、鋳片幅が相対的に大きいときは、前記交流移動磁場の磁場強度を増加させることを特徴とするものである。
第2の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が相対的に小さいときは、前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を増加させ、鋳片幅が相対的に大きいときは、前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を減少させることを特徴とするものである。
第3の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる交流移動磁場及び静磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が相対的に小さいときは、前記交流移動磁場の磁場強度を減少させるとともに前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を増加させ、鋳片幅が相対的に大きいときは、前記交流移動磁場の磁場強度を増加させるとともに前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を減少させることを特徴とするものである。
第4の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記偏流を検知したとき、前記吐出孔よりも下方位置の静磁場の磁場強度を、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が相対的に小さいときは増加させ、鋳片幅が相対的に大きいときは減少させることを特徴とするものである。
第5の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記偏流を検知する手段が、鋳型背面に配置した熱電対か、または、鋳型幅方向に設置した2つ以上の湯面レベル計の何れかであることを特徴とするものである。
本発明によれば、鋳型内に偏流が発生したことを検知したときには、浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に印加する交流移動磁場及び/または静磁場の強度を、鋳造している鋳片の幅に応じて、相対的に鋳片幅が狭いときには、鋳型短辺側からの反転流が弱くなるように、前記交流移動磁場を弱めるか、または前記静磁場を強めるか、若しくは交流移動磁場を弱め且つ静磁場を強め、一方、相対的に鋳片幅が広いときには、鋳型短辺側からの反転流が強くなるように、前記交流移動磁場を強めるか、または前記静磁場を弱めるか、若しくは交流移動磁場を強め且つ静磁場を弱めるので、鋳型内の偏流を迅速且つ効果的に解消することができ、その結果、非金属介在物の少ない、清浄性に優れた鋳片の製造が可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る連続鋳造方法を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略図である。
図1において、相対する鋳型長辺13と、この鋳型長辺13の内側に挟持された、相対する鋳型短辺14と、により構成される鋳型2の上方所定位置に、外殻を鉄皮15で覆われ、内部を耐火物16で施行されたタンディッシュ1が配置されている。このタンディッシュ1の底部には、耐火物16に嵌合する上ノズル3が設置され、そして、上ノズル3の下面に接して、上部固定板5、摺動板6、下部固定板7及び整流ノズル8からなるスライディングノズル4が配置され、更に、スライディングノズル4の下面に接して、その下部に、それぞれ鋳型短辺14の方向を向いた2つの吐出孔10を有する浸漬ノズル9が配置され、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼流出孔11が形成されている。浸漬ノズル9は、下部に設置される吐出孔10が鋳型内の溶鋼17に埋没するようにその先端が浸漬されて使用される。
また、摺動板6は、往復型アクチュエーター12と接続されており、往復型アクチュエーター12の作動により、上部固定板5と下部固定板7との間をこれらの固定板と接触したまま移動し、摺動板6と上部固定板5及び下部固定板7とで形成する開口部面積を調整することにより溶鋼流出孔11を通過する溶鋼量が制御される。上ノズル3には、ポーラス煉瓦(図示せず)が配置され、このポーラス煉瓦の部分から、溶鋼流出孔11を流下する溶鋼17にArガスを吹き込むように構成されている。
鋳型長辺13の背面には、吐出孔10よりも上方側に、鋳型長辺13を挟んで相対する上部磁場発生装置22が配置され、且つ、吐出孔10よりも下方側に、鋳型長辺13を挟んで相対する下部磁場発生装置23が配置されている。上部磁場発生装置22は、交流移動磁場を印加する交流移動磁場発生装置であっても、また、静磁場を印加する直流静磁場発生装置であっても、更には、交流移動磁場と静磁場とを重畳して印加する交流直流重畳磁場発生装置の何れであっても構わない。一方、下部磁場発生装置23としては、静磁場を発生する直流静磁場発生装置を配置する。
この場合、交流移動磁場の印加方法は、鋳型内の溶鋼17がメニスカス19で水平方向に回転するように、相対する交流移動磁場発生装置の磁場移動方向を逆向きとする。静磁場は、磁束が相対する鋳型長辺13を貫通すように印加される限り、その方向はどちらでも構わない。静磁場は、永久磁石でも印加できるが、本発明では静磁場の強度を変更する必要があることから、直流静磁場発生装置を使用する。また、上部磁場発生装置22は、鋳造方向の磁場強度分布において、メニスカス19の近傍位置が最も磁場強度が高くなるように、設置位置を調整する。下部磁場発生装置23は、吐出孔10よりも下方側の鋳型背面である限り、設置位置は特に規定する必要はない。交流移動磁場の周波数は、0.1Hz〜100Hz程度とする。
このように構成されるスラブ連続鋳造機を用い、以下のようにして本発明に係る連続鋳造方法を実施する。
転炉または電気炉などの一次精錬炉若しくはRH真空脱ガス装置などの二次精錬炉で溶製された溶鋼17を、取鍋(図示せず)からタンディッシュ1に注入し、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量になったなら、摺動板6を開き、溶鋼流出孔11を介して溶鋼17を鋳型2に注入する。溶鋼17は、吐出孔10から、鋳型短辺14に向かう吐出流18となって鋳型内に注入される。鋳型内に注入された溶鋼17は鋳型2により冷却され、凝固シェル21を形成する。そして、鋳型内に所定量の溶鋼17が注入されたなら、吐出孔10を鋳型内の溶鋼17に浸漬した状態で、鋳型2の下方に設置したピンチロール(図示せず)を駆動して、外殻を凝固シェル21とし、内部に未凝固の溶鋼17を有する鋳片の引き抜きを開始する。
引き抜き開始後はメニスカス19の位置を鋳型内の略一定位置に制御しながら、鋳片引き抜き速度を増速し、所定の速度に達したならば、その速度で維持する。鋳型内のメニスカス19の上にはモールドパウダー20を添加する。モールドパウダー20は溶融して、溶鋼17の酸化防止や凝固シェル21と鋳型2との間に流れ込み潤滑剤として機能する。上ノズル3からは、所定量(5〜15NL/min程度)のArガスを溶鋼流出孔11の内部に吹き込む。
また、鋳片引き抜き速度が所定速度に達したならば、上部磁場発生装置22及び下部磁場発生装置23から所定強度の磁場を印加する。磁場の磁束密度は、特に規定するものではなく、鋳造条件に応じて設定すればよいが、例えば、交流移動磁場の場合は、0.05〜0.15テスラ程度、静磁場の場合は、0.1〜0.3テスラ程度とすればよい。
この鋳造中に、鋳型内溶鋼に偏流の発生したことが検知されたなら、上部磁場発生装置22から印加する磁場の磁束密度を、鋳造している鋳片の幅に応じて変更する。つまり、鋳片の幅が相対的に狭い場合には、交流移動磁場の磁束密度を減少させるか、または、静磁場の磁束密度を増加させるか、若しくは、交流移動磁場の磁束密度を減少させ且つ静磁場の磁束密度を増加させて、吐出流18が鋳型短辺側の凝固シェル21に衝突した後に上下に分岐して形成される、上方のメニスカス19に向かう流れである反転流を減速させる。鋳片の幅が相対的に広い場合には、交流移動磁場の磁束密度を増加させるか、または、静磁場の磁束密度を減少させるか、若しくは、交流移動磁場の磁束密度を増加させ且つ静磁場の磁束密度を減少させて、吐出流18が鋳型短辺側の凝固シェル21に衝突した後に上下に分岐して形成される、上方のメニスカス19に向かう流れである反転流を増速させる。
この場合、上部磁場発生装置22の磁束密度の変更に同調させて、下部磁場発生装置23から印加する静磁場の磁束密度を変更することが好ましい。鋳片幅が相対的に狭く、前記反転流を減速させる場合には、下部磁場発生装置23から印加する静磁場の磁束密度を増加させ、一方、鋳片幅が相対的に広く、前記反転流を増速させる場合には、下部磁場発生装置23から印加する静磁場の磁束密度を減少させる。下部磁場発生装置23は、本来、吐出流18に制動力を与えるための装置であり、下部磁場発生装置23の磁束密度を増加させれば吐出流18を減速させる効果が大きくなり、それに応じて反転流が弱くなり、下部磁場発生装置23の磁束密度を減少させれば吐出流18を減速させる効果が小さくなり、それに応じて反転流が強くなる。
鋳型内溶鋼の偏流は、メニスカス19の変化を検知する湯面レベル計(図示せず)や、鋳型長辺13の背面に埋設して熱電対(図示せず)で検知する。偏流が発生すると、浸漬ノズル9を境として、前記反転流が強くなった側のメニスカス19が全体的に盛り上がるので、湯面レベル計で浸漬ノズル9の左右でのメニスカス19の位置を測定し、測定値を比較・対比することで、偏流の発生を検知することができる。また、偏流が発生すると、前記反転流が強くなった側の溶鋼温度が、新たに供給される高温の溶鋼量が相対的に多くなることから上昇するので、鋳型長辺13の背面に埋設した熱電対で鋳型銅板温度を測定し、浸漬ノズル9の左右で測定値を比較・対比することで、偏流の発生を検知することができる。
偏流が発生した場合の磁場の制御例を表1に示す。表1では、鋳片幅1200mmを境とし、幅が1200mm以上の鋳片を相対的に広い幅の鋳片とし、幅が1200mm未満の鋳片を相対的に狭い幅の鋳片として、磁束密度を変更している。
Figure 0005146002
以上説明したように、本発明によれば、鋳型内に偏流が発生したことを検知したときには、浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に印加する交流移動磁場及び/または静磁場の強度を、鋳造している鋳片の幅に応じて、相対的に鋳片幅が狭いときには、鋳型短辺側からの反転流が弱くなるように、前記交流移動磁場を弱めるか、または前記静磁場を強めるか、若しくは交流移動磁場を弱め且つ静磁場を強め、一方、相対的に鋳片幅が広いときには、鋳型短辺側からの反転流が強くなるように、前記交流移動磁場を強めるか、または前記静磁場を弱めるか、若しくは交流移動磁場を強め且つ静磁場を弱めるので、鋳型内の偏流を迅速且つ効果的に解消することができる。
図1に示す連続鋳造設備において、上部磁場発生装置として交流直流重畳磁場発生装置を配置し、本発明を適用した。磁場強度の範囲は、交流移動磁場が0.03〜0.10テスラ、直流静磁場は0.1〜0.35テスラの範囲で変化させた。幅が900〜1850mm、厚みが250mmの鋳片を、4.5〜6.0トン/minの注湯速度(「スループット」ともいう)で鋳造した。
偏流の検知は、浸漬ノズルの左右の幅/4位置に配置した2つの湯面レベル計によるメニスカス位置の測定値、並びに、鋳型長辺背面の幅方向に設置した10点の熱電対による鋳型銅板温度の測定値に基づき実施した。
偏流が発生したとき、即ち、2つの湯面レベル計による測定値に20mm以上の差が生じたとき、(1)交流直流重畳磁場発生装置の交流移動磁場のみで制御する、(2)交流直流重畳磁場発生装置の直流静磁場のみで制御する、(3)交流直流重畳磁場発生装置の交流移動磁場と直流静磁場とで同時に制御する、の3水準の試験を実施した。この場合、前述した表1と同様に、鋳片幅1200mmを境とし、幅が1200mm以上の鋳片を相対的に広い幅の鋳片とし、幅が1200mm未満の鋳片を相対的に狭い幅の鋳片として、磁束密度を変更した。また比較のために、偏流が発生した以降も、磁束密度を変更しないまま鋳造する試験も実施した。尚、全ての試験で、下部磁場発生装置からの磁束密度(0.2テスラ)は変更せずに行った。
鋳造後の鋳片のおよそ300μm以上の気泡及び非金属介在物の個数を、鋳造後の鋳片表層2〜3mmの位置について、超音波探傷方法を用いて測定した。欠陥個数は、偏流が発生したときの2〜3鋳片の一部を切り出し、その最大値を測定値とした。表2に、磁場の印加条件及び鋳片の欠陥個数の測定値を示す。
Figure 0005146002
表2に示すように、本発明を適用することで、偏流発生時での、鋳片に捕捉される気泡及び非金属介在物が削減することが分かった。つまり、偏流が抑制されることが分かった。特に、交流直流重畳磁場発生装置の交流移動磁場及び直流静磁場の双方を変更して偏流を制御することで、気泡及び非金属介在物の個数は大幅に低減することが確認できた。
本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 上ノズル
4 スライディングノズル
5 上部固定板
6 摺動板
7 下部固定板
8 整流ノズル
9 浸漬ノズル
10 吐出孔
11 溶鋼流出孔
12 往復型アクチュエーター
13 鋳型長辺
14 鋳型短辺
15 鉄皮
16 耐火物
17 溶鋼
18 吐出流
19 メニスカス
20 モールドパウダー
21 凝固シェル
22 上部磁場発生装置
23 下部磁場発生装置

Claims (5)

  1. その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる交流移動磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が1200mm未満のときは、前記交流移動磁場の磁場強度を減少させ、鋳片幅が1200mm以上のときは、前記交流移動磁場の磁場強度を増加させることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が1200mm未満のときは、前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を増加させ、鋳片幅が1200mm以上のときは、前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を減少させることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  3. その下部に鋳型短辺方向を向いた2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルの吐出孔よりも上方位置に鋳片幅全域にわたる交流移動磁場及び静磁場を印加するとともに、前記吐出孔よりも下方位置に鋳片幅全域にわたる静磁場を印加しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型内溶鋼に偏流が発生したとき、該偏流を検知し、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が1200mm未満のときは、前記交流移動磁場の磁場強度を減少させるとともに前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を増加させ、鋳片幅が1200mm以上のときは、前記交流移動磁場の磁場強度を増加させるとともに前記吐出孔よりも上方位置の静磁場の磁場強度を減少させることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記偏流を検知したとき、前記吐出孔よりも下方位置の静磁場の磁場強度を、鋳造される鋳片の幅に応じて、鋳片幅が1200mm未満のときは増加させ、鋳片幅が1200mm以上のときは減少させることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
  5. 前記偏流を検知する手段が、鋳型背面に配置した熱電対か、または、鋳型幅方向に設置した2つ以上の湯面レベル計の何れかであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
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