JPH10193056A - 連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法

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JPH10193056A
JPH10193056A JP53597A JP53597A JPH10193056A JP H10193056 A JPH10193056 A JP H10193056A JP 53597 A JP53597 A JP 53597A JP 53597 A JP53597 A JP 53597A JP H10193056 A JPH10193056 A JP H10193056A
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JP
Japan
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molten steel
tundish
amount
magnetic field
moving magnetic
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Application number
JP53597A
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English (en)
Inventor
Noriko Kubo
典子 久保
Toshio Ishii
俊夫 石井
Masayuki Nakada
正之 中田
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造用タンディッシュにおいて、溶鋼を
攪拌して溶鋼の実滞留時間を延長させ、効率良く介在物
を除去する。 【解決手段】 溶鋼収容長さ(L)が溶鋼収容深さ
(H)及び溶鋼収容幅(W)より長く、取鍋2から注入
された溶鋼3を鋳型4に中継供給する連続鋳造用タンデ
ィッシュ1において、溶鋼収容深さを0.5mないし
2.5m、溶鋼収容幅を0.5mないし2.0m、タン
ディッシュ内溶鋼滞留量(V)を30トンないし100
トンとし、タンディッシュ内溶鋼に溶鋼収容長さ方向に
移動する移動磁場を印加する。その際にタンディッシュ
内溶鋼滞留量を1分間当たりの溶鋼通過量(Q)で除算
した値が20以上の場合には移動磁場を溶鋼注入部11
からタンディッシュ出口5に移動させ、又、前記除算値
が10以下の場合にはその逆方向に移動させることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンディッシュ内
に注入された溶鋼中の非金属介在物を効率良く除去する
ことができる連続鋳造用タンディッシュにおける介在物
除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶鋼中の非金属介在物(以下、「介在
物」と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生
原因となるので、溶鋼中から極力分離して除去する必要
がある。従って、介在物の低減技術は連続鋳造法により
良質な鋳片を得るための重要な技術であり、従来から、
鋳型での磁場による流動制御に見られるように、種々の
対策が実施されてきた。
【0003】しかし、生産性向上のために鋳片引抜き速
度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での介
在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求され
る品質の厳格化も加味されて、介在物の低減対策として
鋳型内に供給する以前に溶鋼の清浄性を向上させること
が極めて重要となっている。そのため、タンディッシュ
についても各種の介在物低減対策が提案されている。
【0004】例えば、特開平6−7904号公報(以
下、「先行技術1」と記す)には、タンディッシュ内溶
鋼に不活性ガスを吹き込み、ガス気泡により介在物を分
離・除去する方法が、特開平7−132353号公報
(以下、「先行技術2」と記す)には、タンディッシュ
内に3つの堰を設け、これらの堰により介在物を分離・
除去する方法が、又、特開平7−132354号公報
(以下、「先行技術3」と記す)には、タンディッシュ
の底面を注入部と流出部とが深い凹凸形状とすることで
介在物を分離・除去する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、先行技術1で
は、ガス気泡による介在物低減効果は期待できるが、ガ
ス吹き込みはタンディッシュの一部にしか配置できず、
ガス吹き込みを行なうための耐火物や設備の費用、及
び、安定的にガス吹き込みを行なうための保守・保全等
の費用により増加する製造コストに比較して、介在物の
低減効果は期待した程ではない。
【0006】又、先行技術2では、後述する溶鋼の循環
流領域の発生を堰により防止できるので介在物低減効果
は期待できるが、堰は耐火物製で消耗品のため耐火物コ
ストを上昇させ、更に、タンディッシュコストの削減を
目的としたタンディッシュを熱間のまま無補修で連続的
に再使用する際には、人手では堰を設置できずに専用の
設置用設備が必要となり、製造コストが極めて増加す
る。又、堰は倒壊の虞もあり、介在物低減策として確実
性が低い。
【0007】先行技術3では、タンディッシュ底面を凹
凸の激しい形状としているので後述する溶鋼の循環流領
域が発生し難く、タンディッシュ内の溶鋼流動は介在物
の低減し易い流動パターンとなるが、実際の操業におい
ては、鋳造終了時の注入部凹形状内の残溶鋼処理の問題
や、タンディッシュ耐火物施工上の問題、更には溶鋼と
耐火物との接触面積が多いことに起因する溶鋼の熱損失
の問題等、総合的に判断すると必ずしも介在物の低減策
として優れたものでない。
【0008】このように従来のタンディッシュにおける
介在物除去方法は、製造コストの上昇に比較して期待す
る効果が得られず効率的でない。
【0009】一方、発明者等は、実機において鋳片品質
と鋳造条件とを比較・検討して、従来は介在物の除去効
果が向上すると考えられた対策が必ずしも有効でないこ
とを確認した。即ち、従来のタンディッシュにおける介
在物除去の考え方は、タンディッシュ内に滞留する溶鋼
量(以下、「タンディッシュ内溶鋼滞留量」と記す)を
単位時間当たりにタンディッシュから鋳型に供給される
溶鋼量(以下、「溶鋼通過量」と記す)で除算して求め
られる平均滞留時間を、タンディッシュの大容量化によ
り延長させ、介在物の浮上時間を確保して除去するとい
うものである。しかし、実機においては平均滞留時間と
品質とは必ずしも比例関係にない。
【0010】そこで、数値解析によりタンディッシュ内
の溶鋼流動の調査を行ない、その結果、以下の事象が判
明した。
【0011】1.タンディッシュ内の溶鋼流動は、取鍋
から重力落下する注入流の慣性力による流れと、取鍋か
ら注入直後の溶鋼とタンディッシュ内に滞留する溶鋼と
の温度差に起因する対流と、タンディッシュ出口での鋳
型への供給流に起因する流れとが相互に且つ複雑に関連
して形成される。
【0012】2.タンディッシュ内には循環流領域、所
謂、死水領域が存在し、死水領域は大容量タンディッシ
ュ程発生し易く、更に、タンディッシュ内溶鋼滞留量に
対して溶鋼通過量が不適正な条件では死水領域が拡大す
る。
【0013】3.死水領域は停滞した領域であるので、
注入された溶鋼は死水領域を経由せずタンディッシュ出
口から排出される。そのため、死水領域の発生は、溶鋼
の実際のタンディッシュ内滞留時間(以下、「実滞留時
間」と記す)を減少させて、介在物の浮上・分離を阻害
する。
【0014】4.実滞留時間は死水領域の発生により平
均滞留時間より短くなる。
【0015】5.タンディッシュにおける介在物の除去
効率を向上させるためには、死水領域を減少させて有効
滞留量(有効滞留量とは、タンディッシュ内溶鋼滞留量
から死水領域の溶鋼量を除いた溶鋼量である)を増加さ
せることが重要である。
【0016】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、その目的とするところは電磁攪拌装置にて溶鋼を攪
拌して死水領域を低減し、溶鋼の実滞留時間を延長させ
ることで、効率良く介在物を除去することができるタン
ディッシュにおける介在物除去方法を提供するものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に係る連続
鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法は、溶鋼
収容長さが溶鋼収容深さ及び溶鋼収容幅より長く、取鍋
から注入された溶鋼を鋳型に中継供給する連続鋳造用タ
ンディッシュにおいて、溶鋼収容深さを0.5mないし
2.5m、溶鋼収容幅を0.5mないし2.0m、タン
ディッシュ内溶鋼滞留量を30トンないし100トンと
し、タンディッシュ底部のタンディッシュ内溶鋼にタン
ディッシュの溶鋼収容長さ方向に移動する移動磁場を印
加することを特徴とするものである。
【0018】タンディッシュ内における3次元の溶鋼流
動をナビエ・ストークスの方程式を用いて数値解析し、
タンディッシュ内の溶鋼流動パターンを調査した。尚、
数値解析は、溶鋼通過量と同一の溶鋼量をタンディッシ
ュ内に注入して、タンディッシュ内溶鋼滞留量を一定に
保持する条件で行なった。
【0019】タンディッシュを大容量化してタンディッ
シュ内溶鋼滞留量を多くすると、問題になるのは死水領
域が大きくなることである。この死水領域は、不活性な
溶鋼であるので、実滞留時間を短くすることはあって
も、延長させる効果はなく、そして更に、溶鋼温度低下
の原因となる。数値解析の結果、この死水領域の発生原
因は以下の通りであることが分かった。
【0020】タンディッシュ内の溶鋼は、タンディッシ
ュ耐火物との伝導伝達とタンディッシュ内溶鋼表面での
放射伝達とにより冷却される。従って、タンディッシュ
内に注入された直後の溶鋼とタンディッシュに滞留する
溶鋼とには、常に温度差があり、通常、注入された直後
の溶鋼は滞留する溶鋼に比べ5℃から10℃高い。この
温度差は、溶鋼の密度差を発生させる原因となり、その
ため、タンディッシュに注入された直後の溶鋼は浮力を
受ける。
【0021】図2に、数値解析により得たタンディッシ
ュ内の溶鋼流動パターンを模式的に示す。尚、図2は、
タンディッシュ内溶鋼滞留量に対して溶鋼通過量が適正
な条件での溶鋼流動パターンである。ロングノズルを介
して取鍋から注入された溶鋼は、タンディッシュ底部に
衝突した後、取鍋からの重力落下による慣性力でタンデ
ィッシュ出口に向かって水平方向に流れようとするが、
浮力の影響を受けてタンディッシュ壁に沿って上昇す
る。そのため、溶鋼は上昇しながらタンディッシュ出口
に向かって流れ、そして、タンディッシュ出口付近では
タンディッシュ出口に向けて下降し、タンディッシュ出
口より鋳型内に供給される。その際、溶鋼は粘性流体で
あるため、粘性により随伴流が形成される。これは鋳型
に供給する量以上の溶鋼がタンディッシュ出口に向かう
流れを形成することを意味する。しかしながら、タンデ
ィッシュ出口では必要量しか流出しないために、形成さ
れた随伴流の大部分は流出できずに取鍋からの溶鋼注入
部方向に方向転回して戻ることになる。即ち、これが循
環流の原因であり、死水領域がタンディッシュ底部に発
生する。
【0022】本発明では、タンディッシュ底部のタンデ
ィッシュ内溶鋼にタンディッシュの溶鋼収容長さ方向に
移動する移動磁場を印加して、溶鋼を移動磁場方向に強
制的に移動させるので、上記の死水領域が減少して溶鋼
の有効滞留量が増加する。その結果溶鋼の実滞留時間が
延長するので、介在物が効率良く除去される。
【0023】又、介在物の除去効率を高めるために、タ
ンディッシュの溶鋼収容深さを0.5mないし2.5
m、溶鋼収容幅を0.5mないし2.0mとする必要が
ある。溶鋼収容深さが0.5m未満では、タンディッシ
ュ内溶鋼滞留量を所定量確保しようとすると、タンディ
ッシュ内溶鋼表面積が増加して溶鋼の温度降下が大きく
なり、又、2.5mを超えると介在物の浮上距離が長く
なり過ぎ、共に介在物の分離効率が低下するからであ
る。そして、溶鋼収容幅が0.5m未満ではタンディッ
シュ耐火物との接触面積が増加して溶鋼の温度低下が大
きくなり、又、2.0mを超えると、タンディッシュ内
溶鋼滞留量に上限(100トン)があるので、必要な溶
鋼収納長さが確保できなくなることにより、注入流の慣
性力による流れがタンディッシュ出口まで影響するた
め、共に介在物の分離効率が低下するからである。
【0024】更に、本発明ではタンディッシュ内溶鋼滞
留量を30トンないし100トンとする必要がある。タ
ンディッシュ内溶鋼滞留量が30トン未満では、溶鋼の
絶対量が少なく、タンディッシュ内溶鋼表面やタンディ
ッシュ耐火物への熱ロスが大きくなって介在物の浮上性
で不利となるためであり、又、100トンを超える容量
は現在の製鋼炉の炉容積に比較して大きすぎ、耐火物コ
ストが増加して現実的でないためである。
【0025】又、本願請求項2に係る連続鋳造用タンデ
ィッシュにおける介在物除去方法は、請求項1の連続鋳
造用タンディッシュにおける介在物除去方法において、
タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間当たりの溶鋼通過
量で除算した値が20以上の場合には移動磁場の移動方
向を上流から下流方向に、前記除算値が10以下の場合
には移動磁場の移動方向を下流から上流方向とすること
を特徴とするものである。
【0026】タンディッシュ内溶鋼滞留量を一定にし
て、溶鋼通過量を変化させた時の溶鋼流動パターンを図
3及び図4に示す。
【0027】図3は、溶鋼通過量がタンディッシュ内溶
鋼滞留量に対して相対的に少ない条件での数値解析によ
り得たタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に
示した図である。この場合は、取鍋からの注入流量が少
ないために、タンディッシュ底部に衝突した後、取鍋か
らの重力落下による慣性力でタンディッシュ底部をタン
ディッシュ出口に向かって水平方向に流れようとする流
れが弱く、そのため、注入された溶鋼は溶鋼温度差によ
る浮力を受けて溶鋼表面側に上昇する。更に、タンディ
ッシュ出口に向かって水平方向に流れようとする流れ
は、タンディッシュ出口から溶鋼注入部方向に流れる循
環流に衝突して減衰してしまうために、タンディッシュ
中央部に拡大した死水領域が発生する。
【0028】又、図4は、溶鋼通過量が相対的に多すぎ
る条件での数値解析により得たタンディッシュ内の溶鋼
流動パターンを模式的に示した図である。この場合は、
タンディッシュでの抜熱が相対的に小さくなるので浮力
の影響が小さく、又、注入流のタンディッシュ出口に向
かう水平方向への慣性力も大きいため、タンディッシュ
底部に衝突した溶鋼流はそのままタンディッシュ底部を
タンディッシュ出口に向かう流れとなり、その結果、死
水領域が溶鋼表面側に発生する。この死水領域は比較的
小さいものである。
【0029】このように、タンディッシュ内溶鋼滞留量
に対して溶鋼通過量が少な過ぎる場合には、死水領域が
拡大して有効滞留量が少なくなるので実滞留時間が短く
なり、又、溶鋼通過量が多過ぎる場合には、死水領域は
小さくなるが、溶鋼通過量が多いので実滞留時間が短く
なる。つまり、タンディッシュ内溶鋼滞留量に応じて、
適切な溶鋼通過量が存在することが分る。
【0030】実機での試験結果(詳細は後述)から、図
7に示すように、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間
当たりの溶鋼通過量で除算した値が20以上の場合は溶
鋼通過量が少な過ぎ、又この除算値が10以下の場合に
は溶鋼通過量が多過ぎて、共に介在物の分離・除去が良
くないことが分かった。
【0031】しかし、タンディッシュ内溶鋼を移動磁場
により所定の方向に攪拌すると、前記除算値が20以
上、又は10以下であっても、移動磁場による強制的な
溶鋼流れでタンディッシュ内溶鋼流動パターンが変化し
て、介在物が低減する。
【0032】即ち、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分
間当たりの溶鋼通過量で除算した値が20以上の場合に
は、移動磁場によりタンディッシュ底部の溶鋼を上流側
から下流側、即ち溶鋼注入部側からタンディッシュ出口
側に強制的に移動させると、タンディッシュ出口から溶
鋼注入部に向かう随伴流が減速して、溶鋼流動パターン
は図5に示すように適正な溶鋼通過量の時と類似したパ
ターンとなり、死水領域が減少する。そのため、有効滞
留量が増加して、溶鋼の実滞留時間が延長するので、介
在物が効率的に除去される。
【0033】又、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間
当たりの溶鋼通過量で除算した値が10以下の場合に
は、移動磁場によりタンディッシュ底部の溶鋼を下流側
から上流側、即ちタンディッシュ出口側から溶鋼注入部
側に強制的に移動させると、タンディッシュ底部をタン
ディッシュ出口に向かって流れる注入流の慣性力による
流れは、減速されると共に溶鋼湯面側に上昇して、溶鋼
流動パターンは図6に示すように適正な溶鋼通過量の時
と類似したパターンとなり、死水領域が減少する。その
ため、有効滞留量が増加して、溶鋼の実滞留時間が延長
するので、介在物が効率的に除去される。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。
図1は本発明を適用した連続鋳造用タンディッシュの概
要図であり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図
である。
【0035】内面を耐火物で構築された直方体形状のタ
ンディッシュ1の上方には取鍋2が配置されており、取
鍋2内の溶鋼3は取鍋2の底部に設置したロングノズル
8を介してタンディッシュ1内の溶鋼注入部11に注入
される。注入された溶鋼3は、溶鋼収容深さをH、溶鋼
収容幅をW、溶鋼収容長さをL、そして、タンディッシ
ュ内溶鋼滞留量をVとして、タンディッシュ1内に滞留
する。
【0036】タンディッシュ1は、溶鋼収容深さ(H)
を0.5mないし2.5m、又、溶鋼収容幅(W)を
0.5mないし2.0mの範囲からそれぞれ任意の値を
選択して、その形状を決定する。その際に、タンディッ
シュ内溶鋼滞留量(V)が30トンないし100トンと
なるように、溶鋼収容深さ(H)、溶鋼収容幅(W)、
及び溶鋼収容長さ(L)を決める必要がある。
【0037】タンディッシュ1の底部には、溶鋼注入部
11の反対側にタンディッシュ出口5が設置されてお
り、タンディッシュ1内に注入された溶鋼3は、タンデ
ィッシュ出口5に接続する浸漬ノズル7を介して、タン
ディッシュ出口5から1分間当たりの溶鋼通過量をQと
して、鋳型4内に供給される。鋳型4内に供給された溶
鋼3は鋳型4内で冷却されて凝固し、鋳片9が形成され
る。その際に、取鍋2からの1分間当たりの溶鋼注入量
(Q’)を溶鋼通過量(Q)に略等しく制御して、タン
ディッシュ内溶鋼滞留量をVの一定値となるように制御
する。
【0038】溶鋼注入部11、及び、タンディッシュ出
口5のタンディッシュ1の溶鋼収容長さ方向の位置は、
タンディッシュ1の溶鋼収容長さ(L)に対し、それぞ
れのタンディッシュ側壁10、10aからの距離がL/
5以内であることが好ましい。これは、タンディッシュ
側壁10、10aからの距離がL/5を超える場合に
は、溶鋼注入部11とタンディッシュ側壁10との間、
及びタンディッシュ出口5とタンディッシュ側壁10a
との間に死水領域が生成することがあるためである。
【0039】そして、タンディッシュ1の底に移動磁場
発生装置6が設置されている。移動磁場発生装置6は最
大磁束密度が0.3T程度のものであれば良い。移動磁
場発生装置6の設置位置は、タンディッシュ1内の溶鋼
流動パターンを上記の図5及び図6とするために、溶鋼
注入部11とタンディッシュ出口5との間、又は、溶鋼
注入部11とタンディッシュ出口5との間を含む範囲と
すれば良い。通常、タンディッシュ1の外面は鉄皮で構
成されるが、移動磁場発生装置6の磁束密度を減衰させ
ないために、移動磁場発生装置6を設置する範囲のタン
ディッシュ1の外面をステンレス鋼等の非磁性材とする
か、又は、鉄皮を削除して移動磁場発生装置6の外枠を
タンディッシュ1の鉄皮の代替として使用すれば良い。
【0040】鋳造中に、移動磁場発生装置6にて移動磁
場をタンディッシュ1内の溶鋼3に印加して、移動磁場
方向に溶鋼3を強制的に流動させる。移動磁場の移動方
向は、タンディッシュ内溶鋼滞留量(V)を1分間当た
りの溶鋼通過量(Q)で除算した値が20以上の場合に
は、溶鋼注入部11からタンディッシュ出口5への方向
とし、この除算値が10以下の場合には、タンディッシ
ュ出口5から溶鋼注入部11への方向とすることが好ま
しい。又、タンディッシュ内溶鋼滞留量(V)を1分間
当たりの溶鋼通過量(Q)で除算した値が10を超え2
0未満の場合には、溶鋼注入部11からタンディッシュ
出口5への方向としても、又、その逆方向としても何方
でも良い。
【0041】尚、図1に示すタンディッシュ1の形状は
直方体であるが、断面が台形の場合には、溶鋼収容幅
(W)は、最大幅が2.0m以下で、最小幅が0.5m
以上とすればよく、タンディッシュ1内で溶鋼収容深さ
(H)にタンディッシュの長さ方向で差がある場合に
は、最も深い位置が2.5m以下で、最も浅い位置が
0.5m以上とすればよい。又、図1に示すタンディッ
シュは単ストランドであるが、多ストランドの場合にも
同様に適用できることはいうまでもない。
【0042】図1において、移動磁場発生装置6の設置
位置をタンディッシュ1の底面としているが、タンディ
ッシュ1の側面下部に設置しても溶鋼3を同様に移動さ
せることができるので、タンディッシュ1の側面下部と
しても良い。タンディッシュ1の側面に設置する際には
両側面に設置することもできる。両側面に設置すること
で、溶鋼流動の制御が容易にできる。
【0043】
【実施例】図1に示す直方体形状のタンディッシュにて
本発明を実施した。使用したタンディッシュは、溶鋼収
容深さ(H)が2.0m、溶鋼収容幅(W)が0.8
m、溶鋼収容長さ(L)が7.0mで、タンディッシュ
内溶鋼滞留量が約80トンであり、ロングノズルからの
溶鋼注入部をタンディッシュ側壁から1.0mの位置
に、又、タンディッシュ出口をタンディッシュ側壁から
0.7mの位置に設置した。そして、低炭素Alキルド
鋼を、厚み250mm、幅2100mmの鋳片サイズ
で、単ストランドで鋳造した。
【0044】移動磁場発生装置を設置する範囲のタンデ
ィッシュ底外面をステンレス鋼で構成し、溶鋼注入部か
ら1.0m離れた位置から3m離れた位置の範囲に移動
磁場発生装置を設置した。移動磁場発生装置の外形寸法
は幅0.8m、長さ2.0mであり、ポールピッチは
0.7m、周波数1Hzで3相の交流移動磁場を発生す
る。印加した磁場強度は0.1Tである。。
【0045】タンディッシュ内溶鋼滞留量を80トンに
保持して、溶鋼通過量を、3.0、3.5、4.0、
5.5、8.0、10.0、及び10.7トン/min
の5条件で実施した。タンディッシュ内溶鋼滞留量を溶
鋼通過量で除算した値は、それぞれ26.7、22.
9、20.0、14.5、10.0、8.0、及び7.
5となる。このそれぞれの条件で、移動磁場の移動方向
を上流(溶鋼注入部)から下流(タンディッシュ出口)
への方向と、その逆の下流から上流への方向として印加
した。又、比較材として磁場を印加しない鋳造も実施し
た。
【0046】これらの条件で鋳造した鋳片を薄鋼板に圧
延し、薄鋼板において介在物による表面欠陥の発生率を
調査した。タンディッシュ内溶鋼滞留量を溶鋼通過量で
除算した値を横軸に、調査した欠陥発生指数を縦軸とし
て図7に示す。
【0047】図7に示すように、移動磁場を印加した本
発明の実施例では、移動磁場を印加しない比較材に比べ
て介在物による欠陥発生指数が低くなる。そして、比較
例ではタンディッシュ内溶鋼滞留量を溶鋼通過量で除算
した値が20以上及び10以下で欠陥発生指数が特に高
くなっているのに対し、本発明の実施例では、前記除算
値が20以上の領域においては、移動磁場を上流(溶鋼
注入部)から下流(タンディッシュ出口)の方向へ移動
させることにより、又、前記除算値が10以下の領域に
おいては、移動磁場を下流から上流への方向へ移動させ
ることにより、欠陥発生指数を低く抑えることができ
た。
【0048】このように、比較例ではタンディッシュ内
溶鋼滞留量に対して溶鋼通過量の適正値が存在している
が、本発明によればタンディッシュ内溶鋼滞留量に対し
て如何なる溶鋼通過量であっても、安定して介在物を除
去することが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、堰の設置やガス吹き込
み等の介在物低減対策を施すことなく、移動磁場により
タンディッシュ内の溶鋼流動パターンを最適なパターン
に制御して介在物の除去効率を高めることができるの
で、介在物の少ない高品質の鋳片を効率良く安定して製
造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した連続鋳造用タンディッシュの
概要図であり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面
図である。
【図2】溶鋼通過量が適正な条件での数値解析により得
たタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に示し
た図である。
【図3】溶鋼通過量が少ない条件での数値解析により得
たタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に示し
た図である。
【図4】溶鋼通過量が多すぎる条件での数値解析により
得たタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に示
した図である。
【図5】溶鋼通過量が少ない条件において、移動磁場を
上流から下流に移動させて印加した時のタンディッシュ
内の溶鋼流動パターンを模式的に示した図である。
【図6】溶鋼通過量が多すぎる条件において、移動磁場
を下流から上流に移動させて印加した時のタンディッシ
ュ内の溶鋼流動パターンを模式的に示した図である。
【図7】本発明の実施例による欠陥発生指数を、比較例
と対比して示した図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 取鍋 3 溶鋼 4 鋳型 5 タンディッシュ出口 6 移動磁場発生装置 7 浸漬ノズル 8 ロングノズル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼収容長さが溶鋼収容深さ及び溶鋼収
    容幅より長く、取鍋から注入された溶鋼を鋳型に中継供
    給する連続鋳造用タンディッシュにおいて、溶鋼収容深
    さを0.5mないし2.5m、溶鋼収容幅を0.5mな
    いし2.0m、タンディッシュ内溶鋼滞留量を30トン
    ないし100トンとし、タンディッシュ底部のタンディ
    ッシュ内溶鋼にタンディッシュの溶鋼収容長さ方向に移
    動する移動磁場を印加することを特徴とする連続鋳造用
    タンディッシュにおける介在物除去方法。
  2. 【請求項2】 タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間当
    たりの溶鋼通過量で除算した値が20以上の場合には移
    動磁場の移動方向を上流から下流方向に、前記除算値が
    10以下の場合には移動磁場の移動方向を下流から上流
    方向とすることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造
    用タンディッシュにおける介在物除去方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011245550A (ja) * 2010-04-26 2011-12-08 Jfe Steel Corp 連続鋳造方法および連続鋳造装置
KR101328251B1 (ko) * 2011-12-28 2013-11-14 주식회사 포스코 용강유동 제어장치 및, 용강유동 제어장치를 포함하는 연속주조장치와 용강유동 제어장치를 이용하는 연속주조방법
CN111215615A (zh) * 2020-03-04 2020-06-02 中天钢铁集团有限公司 能提高钢水纯净度的连铸中间包及其冶金工艺

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